JPH0564895U - 消音装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダクトとキャビネットを隔離すると共に両内
部の圧力を均等化する消音装置を得る。 【構成】 ダクト１内の圧力はベローズ９ａ内に導入さ
れる。キャビネット８内の圧力はベローズ９ａ外側から
加わる。ベローズ９ａ内外の圧力差に応じてベローズ９
ａが平衡位置まで伸縮し、両圧力を均等化させる。ま
た、ダクト１内の騒音はスピーカ７から出力される逆位
相の音によって消音される。 【効果】 スピーカが圧力差や流通気体の条件の影響を
受けない為に最適動作し、効果の高い消音動作が安定し
て行なえる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はダクトに用いられる能動的消音装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図４は例えば実開平２−４１４９号公報に開示された従来の能動的消音装置の 断面構成を示すものである。図において、１はダクト、２は送風機、３はマイク ロフォン、４はマイクロフォン３よりの信号を受けて逆位相の信号を生成するデ ィジタル・オーディオ・プロセッサ（ＤＳＰ）を有したコントローラーとしての ディジタルフィルタ、５は増幅器、７は振動板７ａを有するスピーカ、８はスピ ーカ７を収納したキャビネット、１０は連通穴である。

【０００３】 次に動作について説明する。送風機２の作動によりダクト１内に気体が流通し 、騒音が発生する。このダクト１内の騒音は、マイクロフォン３によって集音さ れて電気信号に変換され、更にディジタルフィルタ４によって逆位相の信号に変 換され、増幅器５を通し、スピーカ７よりダクト１内に逆位相で放射される。こ れにより、ダクト１内の騒音はスピーカ７より放射された逆位相の音と消去しあ って消音される。

【０００４】 スピーカ７はキャビネット８に収納されるが、しばしばダクト１内の圧力とキ ャビネット８内の圧力には差が生じる。このため、スピーカ７の振動板７ａは前 又は後にオフセットされることになる。このような現象が生じるとスピーカ７は 、正常な動作が出来なくなり、発生音響出力に歪を生じるので、消音効果が減る 。そこで、この現象を除去する為に、キャビネット８内とダクト１内を連通させ る連通穴１０が設けられ、両内部間の圧力差を無くしている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

従来の消音装置は以上のように構成されているので、ダクト１内の流通気体の 条件が、塵埃を含んでいる場合、腐蝕性ガスを含んでいる場合、高温の場合など では、連通穴１０を設けている為に、ダクト１内の流通気体がキャビネット８内 に流入し、スピーカ７に損傷を与え、消音動作が安定的に出来ないなどの問題点 があった。

【０００６】 そこで、特開平１−１４３５９３号公報に開示された消音装置では、ダクト内 部とキャビネット内部を隔離するようにスピーカシステムにダクトに対向するパ ッシブラジエータを設け、このパッシブラジエータの支持コンプライアンスをス ピーカの振動系の支持コンプライアンスより小さくしてある。

【０００７】 しかし、これでは上記問題点を解消できるものの、パッシブラジエータの支持 コンプライアンスを高くすなわちその支持スティフネスを低くしなければ圧力差 は小さくならず、圧力差均等化には役立たず、スピーカのオフセットの問題点が 生じる。

【０００８】 この考案は上記のような問題点を解消するためになされたもので、ダクトとキ ャビネットを隔離すると共に両内部の圧力の均等化を行うことのできる消音装置 を得ることを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

この考案の消音装置は、該装置において、スピーカの振動系の支持コンプライ アンスより十分大きなコンプライアンスを有し、ダクトとキャビネット内の圧力 差を受けて圧力差をなくす方向に動くベローズ又はシリンダ内のピストンを有す る圧力調整器を設けたものである。

【００１０】

【作用】

この考案における消音装置は、ベローズ又はピストンによりダクトとキャビネ ット間を仕切ってダクト内の流通気体がキャビネット内のスピーカに及ぼす影響 を除去し、ダクトとキャビネット内に圧力差が生じると、スピーカの支持コンプ ライアンスよりベローズ又はピストンのコンプライアンスを大きくしている為に 、この圧力差によりスピーカに悪影響を及ぼす事なくベローズ又はピストンが圧 力差をなくす方向に作動し、この圧力調整器により両圧力を均等化する。

【００１１】

【実施例】

実施例１． 図１はこの考案の一実施例による消音装置の全体の構成を示し、図１において 、従来例と同一又は相当部分には図４と同一符号１〜５，７，７ａ，８を付し、 その説明を省略する。９はダクト１内部とキャビネット８内部の圧力を均等化さ せる圧力調整器であり、その詳細な断面構造を図２に示す。

【００１２】 図２において、９ａは内外の圧力差により図示矢印方向に伸縮自在に設けられ たベローズ、９ｂはダクト１内部とベローズ９ａ内部とを連通させる細管であり 、少くともベローズ９ａはキャビネット８内部に配置されている。また、スピー カ７は、ダクト１のスピーカ用開口を塞ぐようにダクト１外壁に取り付けられ、 ダクト１の外側に取り付けられたキャビネット８内に収納されている。このキャ ビネット８は密閉形でダクト１と外部から隔離されている。なお、ベローズ９ａ はスピーカ７の振動系の支持コンプライアンスより十分に高いコンプライアンス を有する。

【００１３】 次に図１及び図２を参照して実施例１の動作について説明する。ダクト１内の 圧力とキャビネット８内の圧力に差がある場合、この圧力差は細管９ｂを通して ベローズ９ａ内に導入されたダクト１内の圧力とベローズ９ａ外部のキャビネッ ト８内の圧力との差となって現われる。このベローズ９ａ内外の圧力差によりベ ローズ９ａが平衡位置まで伸縮し、その圧力差をなくし、ダクト１内の圧力とキ ャビネット８内の圧力を均等化する。

【００１４】 この場合、ベローズ９ａのコンプライアンスはスピーカ７の振動系の支持コン プライアンスより十分に高い為に、スピーカ７にオフセットは生じない。

【００１５】 また、細管９ｂは、管の径及び長さが調整されることによりまたは管内にフィ ルタが挿入されることにより適切な流路抵抗、ダンピングを有し、ダクト１内の 微少時間内の圧力変動をカットするハイカットフィルタとしての役割を果す。

【００１６】 また、キャビネット８はダクト１から隔離されているので、ダクト１内の流通 気体がその内部に流入せず、スピーカ７を損傷しない。その他の従来例と重複す る動作説明は省略する。

【００１７】 実施例２． 図３はこの考案の他の一実施例による消音装置に用いられる圧力調整器等の詳 細な断面構造を示している。図３において、従来例と同一又は相当部分には同一 符号１，７，８を付し、その説明を省略する。９ｃは筒状のシリンダ、９ｄはシ リンダ９ｃ内を図示矢印方向に移動自在に設けられ、ダクト１内とキャビネット ８内間を仕切っているピストン、９ｅはピストン９ｄによって区分されたシリン ダ９ｃの内部の一方とダクト１内とを連通させる細管、９ｆはシリンダ９ｃの内 部の他方とキャビネット８内とを連通させる細管である。圧力調整器９Ａは上記 構成要素９ｃ〜９ｆで構成されている。

【００１８】 ダクト１内とキャビネット８内に圧力差がある場合、各々の圧力は細管９ｅ， ９ｆによりシリンダ９ｃ内に導かれ、ピストン９ｄの両側にかかる。この圧力差 によりピストン９ｄがシリンダ９ｃ内を平衡位置まで移動し、ダクト１内とキャ ビネット８内の圧力を均等化する。

【００１９】 ピストン９ｄは支持コンプライアンスを有せず、スティフネスが略０となる為 に、両圧力は完全に均等化される。また、ピストン９ｄの仕切りによりダクト１ 内の流通気体がキャビネット８内に入り込むことはないので、スピーカ７を損傷 しない。更に、ピストン９ｄとシリンダ９ｃ間には粘性抵抗があり、ダクト１内 の微少時間内の圧力変動はカットされる。その他の消音装置の構成及び動作は従 来例と同様であるので、省略する。

【００２０】

【考案の効果】

以上のように、この考案によればダクトとキャビネットを隔離し、ダクト内と キャビネット内の圧力を均等化する圧力調整器を消音装置に備えたので、スピー カの最適動作が確保され、効果の高い消音動作が安定して行なえる効果がある。

【提出日】平成４年７月９日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００７

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００７】 しかし、これでは上記問題点を解消できるものの、パッシブラジエータの支持 コンプライアンスを高くしなければ圧力差は小さくならず、圧力差均等化には役 立たず、スピーカのオフセットの問題点が生じる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例による消音装置の構成を示
す簡略図である。

【図２】上記一実施例による圧力調整器等の詳細な構造
を示す断面図である。

【図３】他の一実施例による圧力調整器等の詳細な構造
を示す断面図である。

【図４】従来の消音装置の構成を示す図である。

【符号の説明】

１ ダクト ３ マイクロフォン ４ ディジタルフィルタ ５ 増幅器 ７ スピーカ ８ キャビネット ９，９Ａ 圧力調整器 ９ａ ベローズ ９ｃ シリンダ ９ｄ ピストン ９ｂ，９ｅ，９ｆ 細管

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダクト内の騒音をマイクロフォンにより
   集音し、該マイクロフォンの出力に基づいて上記騒音と
   逆位相の音を、上記ダクト外側に取り付けられたキャビ
   ネット内に収納されたスピーカから上記ダクト内に出力
   して消音する消音装置において、上記スピーカの振動系
   の支持コンプライアンスより十分大きなコンプライアン
   スを有し、上記ダクト内と上記キャビネット内との圧力
   差を受けて上記圧力差をなくす方向に動くベローズ又は
   シリンダ内のピストンを有する圧力調整器を備えたこと
   を特徴とする消音装置。