JPH0564572A - イチヨウ葉抽出物入り清涼飲料 - Google Patents

イチヨウ葉抽出物入り清涼飲料

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JPH0564572A
JPH0564572A JP3252826A JP25282691A JPH0564572A JP H0564572 A JPH0564572 A JP H0564572A JP 3252826 A JP3252826 A JP 3252826A JP 25282691 A JP25282691 A JP 25282691A JP H0564572 A JPH0564572 A JP H0564572A
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泰男 籾山
Isao Sugiura
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 イチョウ葉抽出物を含有する清涼飲料におい
て、ゼラチン、ペクチン、タマリンドガム、アカシアガ
ムのうち、それらがゲル化剤および増粘剤としての実質
的な効果を示さない濃度において、1種類または2種類
以上を組合せて使うことにより当該抽出物の溶解安定性
を向上させる。 【効果】 清涼飲料条件下では、極めて溶け難いイチョ
ウ葉抽出物を安定的に溶解させる溶解補助効果を示す物
質を特定しそれが本来使用されてる濃度範囲とは全く異
なる極めて低い濃度において、安定な状態で溶解させ、
手軽にイチョウ葉抽出物を摂取することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イチョウ葉抽出物を含
有する清涼飲料において、特定の極性高分子物質を1種
類または2種類以上組合せて使うことにより、イチョウ
葉抽出物の沈殿を防止した清涼飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】イチョウ葉には、10数種類のフラボノ
イド類が含まれており、これらには、脳や手足の末梢血
流を特異的に増加させる働きのあることが1965年に
ドイツで見い出され、現在、ヨーロッパでは健康維持の
ため広く用いられている。イチョウ葉抽出物の製法につ
いては、特公昭46−28091号公報(いちょう葉か
ら血管に対し有効な活性物質の製造法)、特公昭49−
27323号公報(血管に対し有効な活性物質の精製
法)、特開昭63−10798号公報(フラボン配糖
体)、特開昭62−292794号公報(フラボン配糖
体の製造法)、特開平2−193907号公報(イチョ
ウエキスの製法)などが公知である。食品用には、含水
エタノール抽出によって製造されたイチョウ葉抽出物が
使用できる。イチョウ葉抽出物を食品に使うことに関し
ては、特開昭62−190046号公報(イチョウ抽出
物入りキャンデー)、特開昭62−262947号公報
(イチョウ抽出物入り健康茶)、特開平2−31646
号公報(イチョウ抽出物入りチョコレート)、特開平2
−31648号公報(イチョウ抽出物入りガム)などが
公知である。
【0003】清涼飲料への使用に関しては、特開昭62
−205028号公報(イチョウ抽出物入り健康飲料)
と特開平2−142456(イチョウ葉清涼飲料)が公
知である。前者は、イチョウ葉抽出物を含有する健康飲
料が製造可能であることを味覚的な観点から示したもの
であり、後者は、イチョウ葉抽出物を用いて清涼飲料を
つくるにあたって、イチョウ葉抽出物が有機酸の存在下
で、水に溶け難くなり沈殿が生じ易くなること、および
有機酸が入らないとPHが高くなり、微生物の増殖が抑
えにくくなって、製品の保存性に問題が生じることにつ
いて論じている。そして、その解決方法として、化学反
応時の残存物質としての有機酸を含むポリデキストロー
スを使用することで、微生物の増殖とイチョウ葉抽出物
の沈殿の生成をあわせ抑えられることを開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イチョウ葉
抽出物を含む清涼飲料を製造するに際し、イチョウ葉抽
出物が析出し、沈殿しないようにする技術に関するもの
である。含水エタノール抽出によって得られるイチョウ
葉抽出物には、主要成分としてケルセチン、イソラムネ
チン、ケンフェロール、ギンゲチン、ビロベチン、クマ
ロイルグルコラムノシドなどのフラボン配糖体を主とす
るフラボノイドとギンゴライド、ビロバリドなどのテル
ペノイドが含まれている。イチョウ葉抽出物は1%以下
の濃度において水に完全に溶解するが、上記のように複
雑な成分からなるため、水溶液中で経時的に程度の差こ
そあれ沈殿の生成が認められ、液状品への応用には注意
が必要である。特に、清涼飲料は医薬品と異なり、「お
いしさ」という味覚上の点と殺菌効率の点で、天然果汁
や酸味料が使われるため必然的にPHが低くなる。この
ような条件下では、イチョウ葉抽出物の溶解安定性が著
しく低下し、0.01%程度の極めて低い濃度でも沈殿
を生じてしまうため、この点が製品化にあたってまず解
決しなければならない課題であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明のイチョウ葉抽出物入り清涼飲料の具体的な構
成は、イチョウ葉抽出物を含有する清涼飲料において、
ゼラチン、ペクチン、タマリンドガム、アカシアガムの
うち、それらがゲル化剤および増粘剤としての実質的な
効果を示さない濃度において、1種類または2種類以上
を組合せて使うことにより当該抽出物の溶解安定性を向
上させることを特徴とするものである。以下に、本発明
を完成するに至った経緯を述べる。前記特開平2−14
2456号公報には、イチョウ葉抽出物が有機酸の存在
下では水に溶け難く、大部分が沈殿して析出してしまう
ことが述べられており、また有機酸を含むポリデキスト
ロースによって、沈殿の析出と微生物の増殖をあわせ抑
えられることが開示されている。
【0006】発明者等は、独自の全く異なる視点から課
題の解決を図るため、沈殿物の分析や生理活性の変化に
ついて検討を進めた。その結果、沈殿が生じた状態で
も、生理活性に変化がみられないことなどから、沈殿は
主としてフラボノイド配糖体からの糖の解離、またはフ
ラボノイドやテルペノイド化合物の部分的会合などがP
Hの変化や、加熱によって促進されたものであり、それ
によって成分の極性が小さくなり、水に対する溶解性だ
けが低下したものと推定した。
【0007】このことから、発明者等は、第1に、溶媒
としての水溶液の極性を増加させることで、第2に、イ
チョウ葉抽出物の極性が低下しないよう、また低下して
も包接や吸着などの方法で極性を補助することで、沈殿
の生成が防止できるのではないかとの仮説をたて、それ
にもとづいて課題の解決を進めた。
【0008】第1の水溶液の極性を増加させる方法とし
て糖およびアルコールの効果を検討した。清涼飲料を透
明ガラスビンに充填、熱殺菌し、外観上の変化を経時的
に観察した結果を表1に示す。
【表1】 表1のNo.1から6はイチョウ葉抽出物40mg、無
水クエン酸0.1gおよび被検討物質を精製水に溶解
し、全量を100mlの清涼飲料とした。表1のNo.
7については、イチョウ葉抽出物40mg、砂糖10
g、無水クエン酸0.1gおよび被検討物質を精製水に
溶解し、全量を100mlの清涼飲料とした。糖および
アルコール類すべてに沈殿発生の遅延効果がみられた。
しかし、清涼飲料としての味覚的、物性的、法律的に許
される範囲の濃度では、製品化に耐えるだけの十分な遅
延効果が得られなかった。
【0009】次に、第2として、イチョウ葉抽出物の主
成分であるフラボン配糖体から糖が解離したりして、化
合物の極性が低下するのを防ぐ物質として、あるいは極
性を補助する方法としてのミセル形成や吸着効果のある
物質として、極性の大きい高分子物質の検討を試みた。
イチョウ葉抽出物40mg、砂糖10g、無水クエン酸
0.1gおよび被検討物質を精製水に溶解し、全量が1
00mlの清涼飲料とした。当該清涼飲料を透明ガラス
ビンに充填、熱殺菌し外観上の変化を経時的に観察した
結果を表2に示す。
【表2】 その結果、清涼飲料製造条件下において、イチョウ葉抽
出物の溶解安定性を著しく向上させる溶解補助効果を示
す物質を見つけることに成功した。すなわち、多数の極
性基を有し、しかも水溶液中でいろいろな立体構成をと
り得る食品用高分子化合物のうち、イチョウ葉抽出物と
特異的に安定な結合状態をとり得る物質として、ゼラチ
ン、ペクチン、タマリンドガム、アカシアガムを見い出
した。
【0010】これらは、単独で使うことができるが、2
種類以上を組合せて使うことにより、さらに安定した効
果が期待できる。表2の試験と同様の方法で、被検討物
質を2種類以上組合せて、清涼飲料を調製し経時的に観
察した結果を表3に示す。
【表3】 これらのうちゼラチン、ペクチンは、本来ゲル化剤とし
ての用途であり、ゲル化しない低濃度域での効果や用途
は知られていない。また、タマリンドガム、アカシアガ
ムは、本来増粘剤としての用途であり、増粘効果を示す
に至らない低濃度域での効果や用途は知られていない。
【0011】
【発明の効果】本発明の効果は、イチョウ葉抽出物を安
定的に溶解させるにあたり、溶解補助効果を示す物質を
特定するとともに、その物質が本来使用されてる濃度範
囲とは、全く異なる極めて低い濃度において、予期し得
ない効果を見い出し利用することで、清涼飲料条件下で
は、極めて溶け難いことが知られていたイチョウ葉抽出
物の問題点を解決し、安定な状態で溶解させることがで
きたことにある。これにより、清涼飲料のかたちで手軽
にイチョウ葉抽出物を摂取することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イチョウ葉抽出物を含有する清涼飲料に
    おいて、ゼラチン、ペクチン、タマリンドガム、アカシ
    アガムのうち、それらがゲル化剤および増粘剤としての
    実質的な効果を示さない濃度において、1種類または2
    種類以上を組合せて使うことにより当該抽出物の溶解安
    定性を向上させることを特徴とする清涼飲料。
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