JPH0563273U - スピニングリール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻取り時に耳障りな音を発生させず、爪体、
歯部夫々の磨耗を抑制し乍ら、釣り糸に張力が作用した
際には、確実にロータの逆転を阻止する。 【構成】 ロータ５と一体回転する複数の歯部８と、バ
ネ１３の付勢力で歯部８に咬合する爪体９とを備え、釣
り糸巻取り操作時に摩擦操作手段Ａからの力で爪体９に
接触して、爪体１１を歯部８から離間させるカム体１１
を備えるものにおいて、バネ１３の付勢力を、ロータ５
の釣り糸巻取り方向への回転時における摩擦操作手段Ａ
からの操作力より小さく設定すると共に、ロータ５の巻
取り方向への回転停止時における摩擦操作手段Ａの位置
保持力より大きく設定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ベールを備えるロータと一体回転する系に内歯型、若しくは、外歯 型の複数のラチェット歯を備え、このラチェット歯との咬合によりロータの釣り 糸繰り出し方向への回転を阻止する爪体を備え、この爪体をラチェット歯と咬合 する方向へ付勢するバネを備え、この爪体と接触して該爪体をラチェット歯から 離間させる許容姿勢と、爪体のラチェット歯への咬合を許す阻止姿勢とに姿勢変 更自在なカム体を備え、このロータの釣り糸巻取り方向への回転時にカム体を前 記許容姿勢に操作し、ロータの釣り糸繰り出し方向への回転時にカム体を前記阻 止姿勢に操作するよう、該カム体とロータの回転駆動部材との間に摩擦操作手段 を備えて成るスピニングリールの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、上記のように構成されたスピニングリールとして実公昭６３−６４号公 報に示されるものが存在し、この従来例では、釣り糸の巻取り用の回転駆動系に 対して、ラチェットホイールを設けると共に、この回転駆動系に対して、接触状 態でカム体を外嵌し、この回転駆動系の回転時には、この回転力に起因する操作 力を摩擦構造を介してカム体に伝え、該カム体を阻止姿勢と、許容姿勢とに切換 えるよう構成してあり、ハンドルを釣り糸巻取り方向に操作した場合には、カム 体の接当で爪体をラチェットホイールから離間させ、又、釣り糸の張力によって ロータに逆転力が作用した場合には、カム体の作動によって爪体とラチェットホ イールとの係合を許容してロータの逆転を阻止できるよう構成されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記の従来例のように構成されたスピニングリールでは、釣り糸の巻取り方向 への駆動時には爪体とラチェット歯との接触が阻止されるので、単純なラチェッ トホイール型と比較して、巻取り時に爪体とラチェット歯との接触に起因する耳 障りな音が発生せず、又、爪体、ラチェット歯夫々の磨耗が抑制されるという良 好な面を有するものとなっている。

【０００４】 又、実釣時におけるスピニングリールの扱いについて考えるに、例えば、魚が 掛かって釣り糸を巻取る際には、釣り竿を立てる方向に大きく煽って釣り竿に弾 性復元力を蓄えると共に、竿の姿勢をゆっくり戻し乍ら迅速に釣り糸の巻取り操 作を行い、又、釣り糸を所定量巻取ると、巻取り操作を停止して再び釣り竿を煽 った後、再度迅速に釣り糸の巻取り操作を行うという動作を繰り返すのが普通で あり、この動作においては、釣り糸の巻取りを停止した後には前述した爪体がラ チェット歯に咬合してロータの釣り糸繰り出し方向への回転を阻止するものとな る。

【０００５】 しかし、従来からのスピニングリールではハンドルを巻取り操作した際に、爪 体をラチェット歯から軽く離間させるよう、爪体に作用するバネの付勢力を比較 的小さく設定してあり、又、カム体を操作する摩擦操作手段の摩擦力を比較的大 きく設定していることから、釣り糸巻取り方向にハンドルを操作し、操作を停止 した直後には、この摩擦機構の摩擦力がバネの付勢力より大きいことに起因して 、爪体がラチェット歯に咬合することができず、前述のように釣り竿を煽って魚 を寄せる場合に、釣り糸の張力でロータを大きく逆転させることもある。

【０００６】 尚、このように釣り糸の張力でロータが逆転するものでも、この逆転に伴って カム体の姿勢変更が行われるため、釣り糸を少し繰り出した後に逆転が阻止され るものの、この逆転が阻止される際にはショックを伴うことも多く、例えば、魚 のアタリを待つ場合に、ハンドルを巻取り方向に操作した直後に、釣り人がハン ドルを少し逆転方向に操作して爪体をラチェット歯に咬合させておくことにより 、このショックの発生を抑制することも行われている。

【０００７】 又、前述のように釣り糸に張力が作用した際にロータが回転して釣り糸が繰り 出され、又、ショックを発生させるものでは、釣りの能率を低下させるばかりで 無く、釣り糸の切断に繋がることもあり、更に、ショックの発生を抑制する目的 でハンドルを逆転操作することは、釣り糸を無駄に繰り出すばかりで無く、釣り 人にとって煩わしいものであり、改善の余地がある。

【０００８】 本考案の目的は、釣り糸の巻取り操作時に耳障りな音を発生させず、爪体、ラ チェット歯夫々の磨耗が抑制されるという良好な面を損なうこと無く、釣り糸に 張力が作用した際に、特別の操作を行ずとも、釣り糸の無駄な繰り出し、ショッ クの発生が抑制されるスピニングリールを合理的に構成する点にある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案の特徴は冒頭に記したように、ロータと一体回転する系に複数のラチェ ット歯を備え、このラチェット歯と咬合する爪体を備え、この爪体をラチェット 歯と咬合する方向へ付勢するバネを備え、ロータの巻取り方向への回転を許す許 容姿勢とロータの逆転を阻止する阻止姿勢とに姿勢変更自在なカム体を備え、こ のロータの回転時にカム体を前記許容姿勢と阻止姿勢に操作するよう、該カム体 とロータの回転駆動部材との間に摩擦操作手段を備えて成るスピニングリールに おいて、 前記バネの付勢力を、ロータの釣り糸巻取り方向への回転時における摩擦操作 手段からの操作力より小さく設定すると共に、このバネの付勢力をロータの巻取 り方向への回転停止時における摩擦操作手段の位置保持力より大きく設定してあ る点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。

【００１０】

【作用】

上記特徴を例えば図１及び図２に示すように構成すると、ハンドル操作でロー タ５を釣り糸巻取り方向に操作した際には、摩擦操作手段Ａによってカム体１１ が許容姿勢Ｆに設定されることにより、爪体９とラチェット歯８‥との接触を阻 止した状態での釣り糸の巻取りが可能となり、又、このハンドル操作を停止した 際には、爪体９のバネ１３が摩擦操作手段Ａの摩擦力に抗してカム体１１を阻止 姿勢Ｓに切換えると共に、このバネ１３の付勢力によって爪体９をラチェット歯 ８‥に咬合させるものとなる。

【００１１】 つまり、この考案では釣り糸を巻取る際には、単にハンドル操作を行うだけで 、従来と同様に爪体９とラチェット歯８‥との接触が阻止され、接触音の発生が 解消され、又、磨耗も抑制されるものとなるものであり乍ら、ハンドル１の巻取 り操作を停止した時点で爪体９がラチェット歯８‥に咬合するので、ハンドル１ の巻取り操作の停止直後に釣り糸に張力が作用しても、ロータ５を大きく逆転さ せることが無いものとなる。

【００１２】

【考案の効果】

従って、バネと摩擦操作手段との相対的な強度を設定するだけで、釣り糸の巻 取り操作時に耳障りな音を発生させず、又、爪体、ラチェット歯夫々の磨耗が抑 制されるという良好な面を損なうこと無く、釣り糸に張力が作用した際に、特別 の操作を行ずとも、釣り糸の無駄な繰り出し、ショックの発生が抑制されるスピ ニングリールが合理的に構成されたのである。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１乃至図３に示すように、ハンドル１を有したリール本体２の前部に釣り糸 （図示せず）を巻き取るスプール３、及び、ベール４を有したロータ５夫々を備 えてスピニングリールを構成する。 このリールでは、前記ハンドル１のからの動力を筒状の駆動軸６を介してロー タ５に伝えると共に、この駆動軸６に内嵌されたスプール軸７の前端部に前記ス プール３を支持している。

【００１４】 又、リール本体２の前部とロータ５との間にロータ５の釣り糸繰り出し方向へ の回転を阻止する逆転阻止機構を備え、この機構はロータ５の内周面に形成した ラチェット歯としての多数の歯部８‥と、この歯部８‥に咬合可能に構成された 揺動型の爪体９と、この爪体９の姿勢を制御するカム体１１と、このカム体１１ の姿勢を設定する摩擦操作手段Ａとで構成されると共に、この摩擦操作手段Ａは 駆動軸６の釣り糸巻き取り方向への回転でカム体１１を図２に示す如く許容姿勢 Ｆに設定し、又、駆動軸６の釣り糸繰り出し方向への回転でカム体１１を図１に 示す如く阻止姿勢Ｓに設定するよう、その一端が駆動軸６と一体回転する部材６ Ａに外嵌状態で接触し、かつ、他端がカム体１１に連結する線状のバネ材１０で 成っている。

【００１５】 更に、爪体９は支軸１２周りで揺動自在に支持されると共に、バネ１３で歯部 ８‥と咬合する方向に付勢され、又、この爪体９の支軸１２を基準にした係合側 の端部位置までの距離Ｂ₁ を、被操作部９Ａまでの距離Ｂ₂ より大きく設定し、 更に、駆動軸６の軸芯を基準としたカム体１１の揺動端部までの距離Ｃ₁ を比較 的大きい値に設定することにより、駆動軸６の回転によりこのカム体１１を迅速 に作動させ得るよう構成してある。 因みに、駆動軸６の軸芯を基準としたカム体１１の揺動端部までの距離Ｃ₁ は 、駆動軸６の軸芯を基準とした前記支軸１２までの距離Ｃ₂ より大きく設定され ている。

【００１６】 又、この爪体９の操作系では、前記バネ１３の付勢力をロータ５の釣り糸巻取 り方向への回転時における摩擦操作手段Ａからの操作力より小さく設定すると共 に、このバネ１３の付勢力をロータ５の巻取り方向への回転停止時における摩擦 操作手段Ａの位置保持力より大きく設定することにより、ハンドル１を巻取り方 向に操作した際には、図２に示す如く、摩擦操作手段Ａによってカム体１１が許 容姿勢Ｆに設定されることにより、爪体９と歯部８‥との接触を阻止した状態で の釣り糸の巻取りが可能となり、又、ハンドル１の巻取り操作を停止した際には 、図１に示す如く、爪体９のバネ１３が摩擦操作手段Ａの摩擦力に抗して、カム 体１１を阻止姿勢Ｓに切換えると共に、このバネ１３の付勢力によって爪体９を 歯部８‥に咬合させるよう構成されている。

【００１７】 尚、このリールでは、リール本体２に備えた切換レバー１４の操作で回動姿勢 が９０度切換えられる規制片１５を備え、図１、図２に示すように、規制片１５ の姿勢を設定した状態では、前述のようにロータ５の逆転が阻止され、又、この 規制片１５の姿勢を９０度変更することによって、ロータ５の逆転を許容する状 態にも設定できるように構成され、又、前記ベール４は、前記ロータ５の一対の アーム部５Ａ，５Ａに備えた揺動アーム１６，１６を介して、解放姿勢と、巻取 り姿勢とに揺動自在に支持されている。

【００１８】 〔別実施例〕 本考案は上記実施例以外に、例えば、従来例に挙げた構造のように外歯型のラ チェット歯を備えたホイールと爪体との組み合わせで成る逆転阻止機構に適用し て実施でき、又、摩擦操作手段を、柔軟に変形可能な樹脂を回転系に接触させて 構成することも可能である。

【００１９】 尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記 すが、該記入により本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】ロータの逆転を阻止する状態でのカム体等の正
面図

【図２】ロータの巻取り方向への回転を許容する状態で
のカム体等の正面図

【図３】スピニングリールの一部切欠き側面図

【符号の説明】

４ ベール ５ ロータ ８ ラチェット歯 ９ 爪体 １０ バネ材 １１ カム体 １３ バネ Ａ 摩擦操作手段 Ｆ 許容姿勢 Ｓ 阻止姿勢

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベール（４）を備えるロータ（５）と一
   体回転する系に内歯型、若しくは、外歯型の複数のラチ
   ェット歯（８）を備え、このラチェット歯（８）との咬
   合によりロータ（５）の釣り糸繰り出し方向への回転を
   阻止する爪体（９）を備え、この爪体（９）をラチェッ
   ト歯（８）と咬合する方向へ付勢するバネ（１３）を備
   え、この爪体（９）と接触して該爪体（９）をラチェッ
   ト歯（８）から離間させる許容姿勢（Ｆ）と、爪体
   （９）のラチェット歯（８）への咬合を許す阻止姿勢
   （Ｓ）とに姿勢変更自在なカム体（１１）を備え、この
   ロータ（５）の釣り糸巻取り方向への回転時にカム体
   （１１）を前記許容姿勢（Ｆ）に操作し、ロータ（５）
   の釣り糸繰り出し方向への回転時にカム体（１１）を前
   記阻止姿勢（Ｓ）に操作するよう、該カム体（１１）と
   ロータ（５）の回転駆動部材との間に摩擦操作手段
   （Ａ）を備えて成るスピニングリールであって、 前記バネ（１３）の付勢力を、ロータ（５）の釣り糸巻
   取り方向への回転時における摩擦操作手段（Ａ）からの
   操作力より小さく設定すると共に、このバネ（１３）の
   付勢力をロータ（５）の巻取り方向への回転停止時にお
   ける摩擦操作手段（Ａ）の位置保持力より大きく設定し
   てあるスピニングリール。
2. 【請求項２】 前記摩擦操作手段（Ａ）を、その一端を
   回転駆動部に接触状態で外嵌し、かつ、他端をカム体
   （１１）に連結したバネ材（１０）で構成して成る請求
   項１記載のスピニングリール。