JPH04129768U - スピニングリールのストツパ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転枠のストッパを抵抗体によって穏やかに
作用させるとともに、ストッパが作用姿勢と非作用姿勢
とに切り換わる際の切り換え作動に連動して、抵抗体を
作用状態と非作用状態とに自動的に切り換える。 【構成】 回転枠７の糸繰り出し方向への回転を阻止し
糸巻き取り方向への回転を許容するラチェット機構Ａを
設けるとともに、ラチェット機構Ａを作用姿勢と非作用
姿勢に切り換える切り換えレバー２０を設け、回転枠７
の伝動系に介装するギヤ２５に作用して逆転抵抗を作用
させるべく、摩擦抵抗部２９とラチェット機構２８とを
介して軸支される音だしギヤ２４を設け、切り換えレバ
ー２０の切り換え作動に連動して音だしギヤ２４を、ギ
ヤ２５に作用させる状態と作用させない状態とに切り換
えするように、切り換えレバー２０と音だしギヤ２４と
を連係してある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、回転枠の糸繰り出し方向への回転を阻止し糸巻き取り方向への回転 を許すストッパ機構を設け、このストッパ機構を、回転枠の糸繰り出し方向への 回転を阻止し糸巻き取り方向への回転を許す作用姿勢と前記糸繰り出し方向への 回転及び前記糸巻き取り方向への回転を許す非作用姿勢とに切り換える切り換え 機構を設けてあるスピニングリールのストッパ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のスピニングリールのストッパ装置においては、ストッパ機構と しては、ストッパ機能を満足するだけの必要最小限の機能しか有してなかった。 例えば、回転枠伝動系を構成するラチェット歯車とこのラチェット歯車に咬合す るラチェット爪とでストッパ機構を構成し、ラチェット爪の係合部がラチェット 歯車の歯部に咬合して、ラチェット爪の停止力をラチェット歯車に直接作用させ ていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

この場合には、ラチェット爪の停止力が直に回転枠の伝動系に作用するので、 衝撃的に回転枠が停止し、糸切れを生じたり、一旦針掛かりした魚をバラしてし まうこともあった。また、ラチェット爪及びラチェット歯車に大きな衝撃力が作 用するために、それに備えるだけの強度を持たなければならず、構造が大型化す る、或いは、強度のある材料の使用によって製造コストが高騰する欠点があった 。 本考案の目的は、回転枠の伝動系に作用する有効な機構を設けることによって 、上記した従来欠点を解消し、併せて、その有効な機構を作用状態と非作用状態 とに切換るに操作性よく行えるものを提供する点にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 本考案による特徴構成は、前記回転枠の伝動系に介装する係止回転体に作用し てその係止回転体に逆転抵抗を付与する抵抗体を、前記係止回転体に作用する作 用状態と前記係止回転体より離間する非作用状態とに切り換え可能に構成し、前 記作用姿勢で前記抵抗体を作用状態に切り換え前記非作用姿勢で前記非作用状態 に切り換えるべく、前記切り換え機構と前記抵抗体とを連係してある点にあり、 その作用効果は次の通りである。

【０００５】

【作用】

つまり、ストッパ機構の作用姿勢では、係止回転体が逆転方向に回転しようと すると、係止回転体に作用した抵抗体が係止回転体の逆転方向への回転移動に抵 抗を与えて減速させ、その後、係止回転体及び回転枠が停止する。係止回転体が 糸巻き取り方向に回転すると、抵抗体は抵抗を作用させない。ストッパ機構の非 作用姿勢では、抵抗体は係止回転体に作用せず、係止回転体がいずれの方向に回 転しても抵抗を及ぼさない。 従って、係止回転体が逆転する際に、抵抗体で係止回転体に抵抗を作用させ、 係止回転体の逆転速度を緩めた状態で、ストッパ機構を作用させるので、穏やか に停止させることができる。しかも、ストッパ機構の作用状態の切り換えに連動 して、抵抗体の作用状態を自動的に切り換えることが出来る。

【０００６】

【考案の効果】

その結果、抵抗体の抵抗を係止回転体の逆転時のみ作用させる限定した使い方 によって、回転枠伝動系に作用する衝撃力を緩和でき、糸切れあるいは魚のバラ しを少なくできる。しかも、糸を巻き取る方向に回転する係止回転体の正転時に は、抵抗体は非作用状態にあるので回転枠伝動系は抵抗を受けずに円滑に回転す る。その為に、回転枠を回転操作するその操作力を軽減できて釣り人等の操作負 担を軽減できる。更には、切り換え機構の作動に連動して、抵抗体の係止回転体 に対する作用・非作用を自動的に切り換えできるので、操作忘れがなく便利に使 用できる。

【０００７】

【実施例】

図５に示すように、ハンドル１を軸支したリール本体２よりスプール軸３を延 出するとともに、このスプール軸３にスプール４を遊嵌し、このスプール軸３と スプール４との間にドラグ装置５を設け、スプール４をスプール軸３に一体化す る。スプール軸３の基端部に筒軸６を遊嵌するとともに、筒軸６に回転枠７を一 体回転可能に装着し、筒軸６におけるリール本体２内に位置する部分にピニオン ギヤ９を形成し、このピニオンギヤ９とハンドル軸に装着されたメインギヤ１０ との咬合によって、ハンドル１操作による回転枠４の糸巻き取り作動を行うこと ができるスピニングリールを構成する。

【０００８】 ベールアーム８の姿勢切り換え機構について説明する。ベールアーム８の一端 をアームカム１１に一体揺動可能に取り付け、このアームカム１１を回転枠７の 一方の支持腕７ａに揺動すべく取り付け、第４図に示すように、ベールアーム８ の他端をアーム２２を介して他方の支持腕７ａに揺動可能に取り付けてある。一 方の支持腕７ａ内に図示してないがベールアーム８を糸繰り出し姿勢と糸巻き取 り姿勢とのいずれの姿勢においてもその姿勢を保持させるトグル式付勢機構を設 けてある。他方の支持腕７ａ内にベールアーム８が糸繰り出し姿勢より糸巻き取 り姿勢にハンドル１の巻き取り操作によって瞬間的に切り換わる際の衝撃力を緩 和する緩衝機構１２を設けてある。この緩衝機構１２は、出退ピン１４とこの出 退ピン１４を出側に付勢するバネ１３と出退ピン１４の先端に装着されているゴ ム緩衝材１５とからなる。一方アーム３０の裏面に内向き突出部３０ａを設け、 この突出部３０ａとゴム緩衝材１５との接当によって、ベールアーム８が糸巻き 取り姿勢に穏やかに切り換わるようにしてある。

【０００９】 次に回転枠７のストッパ機構Ａについて説明する。図１乃至図３に示すように 、筒軸６に一体回転可能に装着されたラチェット歯車１６とこのラチェット歯車 １６に咬合するラチェット爪１７とでストッパ機構Ａを形成し、ラチェット爪１ ７をスプール軸３と平行な軸芯周りで揺動可能にかつ咬合方向に付勢する。ラチ ェット歯車１６と隣接させてカム体１８を設け、カム体１８の外周面に大径部１ ８ａと小径部１８ｂを形成し、大径部１８ａでラチェット爪１７を持ち上げて、 ラチェット爪１７を非咬合姿勢に設定するとともに、小径部１８ｂでラチェット 爪１７を咬合姿勢に設定する。カム体１８はラチェット歯車１６と摩擦保持機構 を介して一定角度範囲だけ一体に回転し、回転枠７の糸巻き取り方向への回転時 には、ラチェット爪１７を持ち上げ、回転枠７の糸繰り出し方向への回転時には 、ラチェット爪１７を咬合姿勢にする。リール本体２の底面にストッパレバー２ ０を設け、ストッパレバー２０を一体的に支持する支持軸２０ａをストッパ歯車 １６近くまで延出し、その延出端に切り換えカム１９を固着し、切り換えカム１ ９でラチェット爪１７の一端を接当して押さえラチェット爪１７を非咬合姿勢に 切り換える。したがって、ストッパレバー２０を図３で示すように一方に操作す ると、切り換えカム１９がラチェット爪１７に作用して非咬合姿勢に切り換え、 回転枠７の糸繰り出し方向及び糸巻き取り方向のいずれの方向へも回転可能なス トッパ機構Ａの非作用姿勢と、ストッパレバー２０を、図１及び図２に示すよう に、他方に操作すると、切り換えカム１９がラチェット爪１７より離れラチェッ ト爪１７の咬合姿勢への切り換わりを許容し、図２に示すように、回転枠７の糸 繰り出し方向への回転を阻止し、図１に示すように、糸巻き取り方向への回転を 許容するストッパ機構Ａの作用姿勢とに切り換えできる。このストッパレバー２ ０を切り換え機構と称する。

【００１０】 音だし機構Ｂについて説明する。図５に示すように、回転枠７の内向きボス部 に係止回転体としての音だし歯部２５を形成し、図１乃至図３に示すように、音 だし歯部２５の外方に半月状の移動体２１を配置し、音だし歯部２５に係合して クリック音を発生する音だしギヤ２４を移動体２１に軸支してある。移動体の一 端をリール本体２前面より突き出した支持ピン２２に外遊嵌するとともに、他端 を支持軸２０ａに取り付けたアーム２３に相対揺動可能に軸支してある。つまり 、ストッパレバー２０を図で示す位置に操作すると、ストッパ機構Ａが作動しな い状態になり、移動体２１が音だし歯部２５より離れ、音だしギヤ２４が音だし 歯部２５より離間する。この状態よりストッパレバー２０を切り換えるとストッ 機構Ａが作動しない状態になり、移動体２１が音だし歯部２５に近接し、音だし ギヤ２４が音だし歯部２５に咬合する。音だしギヤ２４に係合して、クリック音 を発生する音だし片２６を揺動可能に移動体２１に軸支し、音だしギヤ２４の回 転によって音だし片２６を弾いてクリック音を発生させる。

【００１１】 回転枠７に逆転抵抗を施す抵抗体Ｃについて説明する。図１乃至図３に示すよ うに、抵抗体Ｃを、音だしギヤ２４とこの音だしギヤ２４を枢支する支軸２７と の間に介在させたワンウエイクチッチ２８と、このワンウエイクラッチ２８と支 軸２７との間に介在させた摩擦抵抗部２９とで、形成する。つまり、この抵抗体 Ｃは、回転枠７が糸繰り出し方向に回転作動するときに回転抵抗を付与し、糸巻 き取り方向に回転作動する時は抵抗を付与しない。したがって、回転枠７を逆転 させようとすると、ラチェット爪１７が完全にラチェット歯車１６に咬合する前 に抵抗体Ｃが回転抵抗を付与し、衝撃的な係合を緩和する。 ここに、ストッパ機構Ａを作用姿勢に切り換えると、音だしギヤ２４が音だし 歯部２５に咬合し、抵抗体Ｃが作用状態になり、ストッパ機構Ａが非作用姿勢に 切り換わると、抵抗体Ｃが非作用状態になり、ストッパレバー２０だけの操作に よって自動的に切り換えができる。

【００１２】 〔別実施例〕 音だしギヤ２４を軸支する移動体２１としては、図６で示すように、スプー ル軸３の軸芯に平行な軸芯Ｘ周りで上下揺動するアーム状のものでもよい。この 場合には勿論音だしギヤ２４に抵抗体Ｃを介在させている点においては変わりは ない。 ワンウエイクラッチ２８としては、ベアリングタイプのものではなくコイル スプリング形式のものでもよい。

【００１３】 尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記 すが、該記入により本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】ストッパ機構を作用姿勢で抵抗体を作用状態に
して、糸を巻き取る状態を示す正面図

【図２】ストッパ機構を作用姿勢で抵抗体を作用状態に
して、ストッパ機構を作用させる状態を示す正面図

【図３】ストッパ機構を非作用姿勢で抵抗体を非作用状
態にしてある正面図

【図４】ベールアームを巻き取り姿勢に切換る際の衝撃
を緩和する緩衝機構を内装した支持腕を示す底面図

【図５】リールの縦断側面図

【図６】抵抗体を別形態のストッパ機構に装着した状態
を示す正面図

【符号の説明】

７ 回転枠 ２０ 切り換え機構 ２５ 係止回転体 Ａ ストッパ機構 Ｃ 抵抗体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転枠（７）の糸繰り出し方向への回転
   を阻止し糸巻き取り方向への回転を許すストッパ機構
   （Ａ）を設け、このストッパ機構（Ａ）を、回転枠
   （７）の糸繰り出し方向への回転を阻止し糸巻き取り方
   向への回転を許す作用姿勢と前記糸繰り出し方向への回
   転及び前記糸巻き取り方向への回転を許す非作用姿勢と
   に切り換える切り換え機構（２０）を設けてあるスピニ
   ングリールのストッパ装置であって、前記回転枠（７）
   の伝動系に介装する係止回転体（２５）に作用してその
   係止回転体（２５）に逆転抵抗を付与する抵抗体（Ｃ）
   を、前記係止回転体（２５）に作用する作用状態と前記
   係止回転体（２５）より離間する非作用状態とに切り換
   え可能に構成し、前記作用姿勢で前記抵抗体（Ｃ）を作
   用状態に切り換え前記非作用姿勢で前記抵抗体（Ｃ）を
   前記非作用状態に切り換えるべく、前記切り換え機構
   （２０）と前記抵抗体（Ｃ）とを連係してあるスピニン
   グリールのストッパ装置。