JPH056176Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両のキヤンバストツプ構造に関する
ものである。

（従来技術） 従来より、車体のルーフに開口部を形成し該開
口部をキヤンバスによつて開閉蓋するようにした
キヤンバストツプ車は公知である（例えば、実開
昭61−78020号公報参照）。

ところで、この種のキヤンバストツプ車におい
ては、キヤンバスの車幅方向における剛性を高め
るために該キヤンバスを車幅方向に跨いだ状態で
複数の幌骨リンクが設けられるが、その場合、従
来のキヤンバストツプ車においては、第５図に示
すようにキヤンバス１００を、その表皮を構成す
るトツプレザー１０１と、該トツプレザー１０１
の下面１０１ａに車幅方向に向けて取付けられて
該トツプレザー１０１との間に車幅方向に延びる
袋状空間１０４を構成する帯状のインナートリム
１０２とで構成し、このインナートリム１０２内
の袋状空間１０４に幌骨リンク１０３を差し入
れ、その両端部１０３ａ，１０３ａを上記トツプ
レザー１０１の両耳部分１０１ｂ，１０１ｂに固
定するようにしている（上記公知例の第５図参
照）。即ち、インナートリム１０２によつて幌骨
リンク１０３が車室内に露出するのを防ぐように
している。

ところが、このような構成のものにあつては、
上述のようにインナートリム１０２を幌骨リンク
１０３の目隠し部材として機能させている以上、
これをその中間で不連続とする（即ち、幌骨リン
ク１０３をその中間で車室側に露出させる）こと
はできないという構造上の理由から、該幌骨リン
ク１０３はその中間においてはトツプレザー１０
１及びインナートリム１０２側に対してそれぞれ
非連結とされている。このため、キヤンバス１０
０を閉じた状態（即ち、キヤンバス１００で車体
の開口部を閉蓋した状態）で車両を走行させる場
合、走行風による吹出し効果によつて幌骨リンク
１０３と連結されていないトツプレザー１０１の
車幅方向中間部分がバタつき、比較的大きなバタ
ツキ音が発生しドライバービリテイーを損ねると
いう問題があつた。

また、この場合、トツプレザー１０１の下面１
０１ａからインナートリム１０２が下方（車室
側）に突状に突出しているため、車室内からの見
映えが悪く、商品価値の低下を招くというおそれ
もあつた。

さらに、キヤンバス１００の開放状態時（即
ち、キヤンバス１００を開口部の後部に折り畳み
状態で縮納した状態）においては、車室内にイン
ナートリム１０２が車幅方向に折曲状態で突出し
ているため、長期の使用中、このインナートリム
１０２の折曲部分が他の部分よりも大きく損耗し
且つ変色することになる。このため、キヤンバス
１００を閉じた状態においては、車室内にこのイ
ンナートリム１０２の損耗、変色部分が縞状に露
出することとなり、車室内の見映えがさらに悪化
するという問題もあつた。

（考案の目的） 本考案は上記従来技術の項で指摘した問題点を
解決しようとするもので、キヤンバスをトツプレ
ザーとインナートリムとからなる二重構造とした
ものにおいて、車両走行時におけるキヤンバスの
バタツキを可及的に減少させるとともに、車室内
の見映えを良好ならしめるようにした車両のキヤ
ンバストツプ構造を提供することを目的とするも
のである。

（目的を達成するための手段） 本考案は上記の目的を達成するための手段とし
て、車体のルーフに形成した開口部を、車体前後
方向に展張又は縮納自在とされたキヤンバスを備
えたキヤンバスアセンブリにより開放又は閉蓋す
るようにした車両において、上記キヤンバスを、
その表皮を構成するトツプレザーとその内皮を構
成するインナートリムとからなる二重構造とする
とともに、上記トツプレザーの下面に幌骨リンク
を車幅方向に向けて固着してこれを車体前後方向
に展張又は縮納可能とし、さらに上記インナート
リムを上記幌骨リンクをその下方から覆う如く上
記トツプレザーの下面側に配置するとともにこれ
を車体後部に配置したトリム巻取り装置により車
体前後方向に巻取り・巻戻し自在としたものであ
る。

（作用） 本考案では、上記の手段により、 (1) 幌骨リンクが、二重構造とされたキヤンバス
のトツプレザーとインナートリムの間に配置さ
れ且つトツプレザーの下面に固着される構造で
あるため、該幌骨リンクとトツプレザーとを上
記従来例の如く幌骨リンクの両端部においての
み固着するのではなくその中間部分においても
トツプレザー側に固着することができる、 (2) 車室側に位置して上記幌骨リンクの目隠し部
材となるインナートリムが必要に応じて巻取
り・巻戻し自在とされているため、キヤンバス
による開口部の開放状態及び閉蓋状態のいずれ
の状態においても車室内には略平滑面に展張さ
れたインナートリムが露出せしめられる、 等の作用が得られる。

（実施例） 以下、第１図ないし第４図を参照して本考案の
好適な実施例を説明する。

本考案のキヤンバストツプ構造の説明に先だつ
て、本考案のキヤンバストツプ構造を備えたキヤ
ンバストツプ車の全体構成を第４図を参照して略
述する。このキヤンバストツプ車は、車体１のル
ーフ２に開口部３を形成している。この開口部３
の車幅方向両側には左右一対のガイドレール５が
車体前後方向に向けて配置されている。この開口
部３には、上記ガイドレール５に沿つて車体前後
方向に展張又は縮納可能とされたキヤンバスアセ
ンブリ１０が設けられており、該開口部３はこの
キヤンバスアセンブリ１０によつて開放（第４図
に示す状態第３図参照）又は閉蓋（第１図及び第
２図参照）されるようになつている。

以下、このキヤンバスアセンブリ１０の構造並
びにその作動を、上記第４図と第１図ないし第３
図に示す詳細縦断面図を併用して詳述することに
する。

Ａ：キヤンバスアセンブリの構造 キヤンバスアセンブリ１０は、第１図および第
４図にそれぞれ示す如く、車体前方側に位置する
フロントパネル１１と、本体後方側に位置するリ
ヤパネル１２と、該フロントパネル１１とリヤパ
ネル１２の間に跨つて配置されるキヤンバス１４
とを有している。

フロントパネル１１は、上記開口部３をその車
幅方向に跨ぎ得るような幅寸法をもつパネル材で
構成されている。このフロントパネル１１は、そ
の両側部に設けたスライド部材（図示省略）を上
記ガイドレール５に嵌合させることにより該ガイ
ドレール５に沿つて車体前後方向に移動可能とさ
れており、上記リヤパネル１２側に設けた開閉用
モータ３０により押引駆動されるプツシユプルケ
ーブル（図示省略）によつて開閉動（前後動）さ
れる。尚、このフロントパネル１１は、第１図に
示すように開口部３の前端部に位置する閉時には
第１図に示すようにその前縁部１１ｂの下面が車
体１側のシールラバー６に当接するが、この閉状
態から開作動する場合にはリフト機構（図示省
略）により第３図に示す如く前方に向かつて上向
き状態に傾斜されるようになつている。又、フロ
ントパネル１１の中央部に形成した開口１８部分
にはルーフガラス１３が取付けられている。この
開口１８は、昇降機構（図示省略）によりリフト
アツプし得るようになつている（第１図の符号１
３′参照）。

キヤンバス１４は、その表皮を構成するトツプ
レザー１５と内皮を構成するインナートリム１６
とからなる二重構造とされている。

トツプレザー１５は、適度の可撓性を有するキ
ヤンバス地で構成されており、その前縁部１５ａ
は上記フロントパネル１１の後縁１１ａに固定さ
れたフロント幌骨部材２１に固着され、またその
後縁部１５ｂは上記リヤパネル１２に固定された
リヤ幌骨部材２２に固着されており、第１図に示
す如く上記フロントパネル１１がその閉位置に位
置した状態において該フロントパネル１１ととも
に上記開口部３を閉蓋し得るような形状寸法を有
している。

このトツプレザー１５の車体前後方向の中間部
は、車幅方向に向けて設けられた複数（この実施
例では５本）の幌骨リンクにより支持されその車
幅方向における剛性が確保されている。具体的に
は、３本の可動側幌骨リンク２３，２３，２３と
２本の掛止側幌骨リンク２４，２４とを車体前後
方向に交互に配置し、この各幌骨リンク２３，２
４のうち、掛止側幌骨リンク２４はこれをその両
端部において上記ガイドレール５に摺動自在に掛
止させ、上記フロントパネル１１の開閉動に追従
して該ガイドレール５に沿つて車体前後方向に移
動し得るようにしている。これに対して、各可動
側幌骨リンク２３，２３，２３は、これをリンク
バー２５を介してそれぞれそと車体前後方向前方
側に位置するフロント幌骨部材２１あるいは掛止
側幌骨リンク２４に対して上下方向に揺動自在に
連結するとともに、それぞれスプリング２６によ
り常時上方にはね上げる如く回動付勢している
（第３図参照）。また、この各幌骨リンク２３，２
４は、それぞれトツプレザー１５とこの下方に非
連結状態で配置される後述のインナートリム１６
との間の空室３９内に配置されるものであり、従
つて、トツプレザー１５をルーフ２から取り外し
た単体状態において該トツプレザー１５の下面側
に容易に固着することが可能である。このため、
この実施例においては各幌骨リンク２３，２４を
それぞれそのほぼ全長に亘つてトツプレザー１５
側に固着させている。

インナートリム１６は、上記トツプレザー１５
と同様に高度の可撓性を有するキヤンバス地で構
成されている。このインナートリム１６の後縁１
６ｂ側は、上記リヤパネル１２部分に設けられた
リトラクター３１（実用新案登録請求の範囲中の
トリム巻取り装置に該当する）に固定されてお
り、該インナートリム１６はこのリトラクター３
１の巻込み力により車体後方側に展張付勢されて
いる。

一方、このインナートリム１６の前縁１６ａに
は、トリム前縁部材１７が取付けられている。こ
のトリム前縁部材１７は、上記フロントパネル１
１の後縁部１１ａの下面側に設けたカバー３８よ
り車体前方側に配置されており、第１図に示す如
く該カバー３８と車体前後方向において係合する
ことによりその車体後方側への移動が規制されて
いる。このように、トリム前縁部材１７がカバー
３８と係合した状態においてはインナートリム１
６は上記リトラクター３１の巻込み力により該カ
バー３８とリトラクター３１との間に張設されて
この上方に位置する上記各幌骨リンク２３，２４
をその下方から覆うことができるようになつてい
る。

さらに、上記トリム前縁部材１７には、下方に
露出する把持部３３と前方に延出する鈎形の掛止
部３４とを有するトリム操作部材３２が取付けら
れており、上記インナートリム１６は、第１図に
示す状態からこのトリム操作部材３２を掴んでイ
ンナートリム１６を車体前方側に引き出しその掛
止部３４を上記フロントパネル１１の前縁部１１
ｂの下面に突設したフロント側掛止部材３５の掛
止部３６に掛止させることにより第２図に示す如
く上記各幌骨リンク２３，２４部分とともに上記
ルーフガラス１３部分をも覆う事ができるように
なつている。

Ｂ：作動並びにその作用 次に、このキヤンバスアセンブリ１０の作動並
びにその作用を第１図ないし第３図を参照して説
明する。

キヤンバスアセンブリ１０の閉状態時、即ち、
キヤンバスアセンブリ１０による開口部３の閉蓋
状態時には、第１図に示す如く、キヤンバス１４
のトツプレザー１５は略平面状に展張配置されて
おり、このトツプレザー１５とその前方側に位置
するフロントパネル１１とでルーフ２の開口部３
は閉蓋される。この時、インナートリム１６はフ
ロントパネル１１の移動とともにリトラクター３
１から巻戻され（引き出され）、上記トツプレザ
ー１５の下方を覆つている。従つて、この状態に
おいては、ルーフガラス１３が車室内に臨んでい
るため、このルーフガラス１３から車室内に採光
される。また、このルーフガラス１３からの採光
が必要でない場合には、第２図に示す如くインナ
ートリム１６をさらに車体前方側に引き出してそ
のトリム操作部材３２の掛止部３４を上記フロン
ト側掛止部材３５の掛止部３６に掛止し、該イン
ナートリム１６によつて該ルーフガラス１３を覆
えばよい。

第１図に示すキヤンバスアセンブリ１０の閉状
態から、上記開閉用モータ３０等から構成される
駆動装置によつてフロントパネル１１を車体後方
側に引き寄せると、これに連動してキヤンバス１
４のトツプレザー１５が第３図に示す如く上記各
可動側幌骨リンク２３，２３，２３の作用により
折り畳まれながら車体後部側に縮納される。これ
と同時に、キヤンバス１４のインナートリム１６
はその大部分がリトラクター３１側に巻き取ら
れ、該リトラクター３１と近接した位置で該リト
ラクター３１とカバー３８との間に張設される。

このように、このキヤンバスアセンブリ１０に
おいては、車室に常時臨むインナートリム１６が
常にリトラクター３１の巻込み力により展伸状態
に保持されているため、例えば上記従来例（第５
図参照）の如く車室側にインナートリム１０２よ
りなる突状部分が露出するような場合に比べて車
室内の見映えが良好であり、それだけ商品価値が
向上することになる。

また、上述のように各幌骨リンク２３，２４を
トツプレザー１５の下面に対してそのほぼ全長に
亘つて固着するようにしているため、車幅方向に
おいて各幌骨リンク２３，２４とトツプレザー１
５とが一体化される。この結果、例えば第１図に
示す如くキヤンバスアセンブリ１０を閉じた状態
で車両を走行させる場合、走行風による吸出し効
果がトツプレザー１５部分に作用しても、該トツ
プレザー１５はその車幅方向の全長に亘つて各幌
骨リンク２３，２４と一体化されているため、バ
タつくということがなく（トツプレザー１５のバ
タツキ現象の防止）、従つてバタツキ音による走
行騒音あるいはバタツキによるトツプレザー１５
の損傷が可及的に低減されることとなる。

（考案の効果） 本考案の車両のキヤンバストツプ構造は、車体
のルーフに形成した開口部を、車体前後方向に展
張又は縮納自在とされたキヤンバスを備えたキヤ
ンバスアセンブリにより開放又は閉蓋するように
した車両において、上記キヤンバスを、その表皮
を構成するトツプレザーとその内皮を構成するイ
ンナートリムとからなる二重構造とするととも
に、上記トツプレザーの下面に幌骨リンクを車幅
方向に向けて固着してこれを車体前後方向に展張
又は縮納可能とし、さらに上記インナートリムを
上記幌骨リンクその下方から覆う如く上記トツプ
レザーの下面側に配置されするとともにこれを車
体後部に配置したトリム巻取り装置により車体前
後方向に巻取り・巻戻し自在としたことを特徴と
するものである。

従つて、本考案の車両のキヤンバストツプ構造
によれば、 (1) 幌骨リンクをトツプレザーの下面にしかもそ
の全長に亘つて固着することも可能であり、こ
のため上記従来例の如く幌骨リンクの両端部の
みをトツプレザーに固定するようにした場合に
比して該トツプレザーのバタツキを幌骨リンク
によつてより効果的に抑制することができ、車
両走行時におけるトツプレザーのバタツキによ
る走行騒音が可及的に低減される、 (2) インナートリムが必要に応じて巻取り・巻戻
し自在されているため、キヤンバスを開いた状
態でも閉じた状態でも常に略平坦面状のインナ
ートリムが車室内に臨むこととなり、この結
果、例えば従来例の如く車室内に突状のインナ
ートリムが縞状に露出するような場合に比し
て、車室内の見映えが良好となる、 等の実用的効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るキヤンバストツ
プ構造を備えたキヤンバスアセンブリの縦断面
図、第２図及び第３図は第１図の状態変化図、第
４図は第１図に示したキヤンバスアセンブリを備
えたキヤンバストツプ車の全体斜視図、第５図は
従来構造をもつキヤンバスの下方からの要部斜視
図である。 １……車体、２……ルーフ、３……開口部、５
……ガイドレール、１０……キヤンバスアセンブ
リ、１１……フロントパネル、１２……リヤパネ
ル、１３……ルーフガラス、１４……キヤンバ
ス、１５……トツプレザー、１６……インナート
リム、１７……トリム前縁部材、２１……フロン
ト幌骨部材、２２……リヤ幌骨部材、２３……可
動側幌骨リンク、２４……掛止側幌骨リンク、２
５……リンクバー、２６……スプリング、３０…
…開閉用モータ、３１……リトラクター（トリム
巻取り装置）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体のルーフに形成した開口部を、車体前後方
   向に展張又は縮納自在とされたキヤンバスを備え
   たキヤンバスアセンブリにより開放又は閉蓋する
   ようにした車両において、上記キヤンバスが、そ
   の表皮を構成するトツプレザーとその内皮を構成
   するインナートリムとからなる二重構造とされる
   とともに、上記トツプレザーはその下面に幌骨リ
   ンクが車幅方向に向けて固着され且つ車体前後方
   向に展張又は縮納可能とされ、また上記インナー
   トリムは上記幌骨リンクをその下方から覆う如く
   上記トツプレザーの下面側に配置され且つ車体後
   部に配置したトリム巻取り装置により車体前後方
   向に巻取り・巻戻し自在とされていることを特徴
   とする車両のキヤンバストツプ構造。