JPH0561036A - 位相差補償板および位相差補償板製造用の光等方性シート - Google Patents

位相差補償板および位相差補償板製造用の光等方性シート

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JPH0561036A
JPH0561036A JP3244766A JP24476691A JPH0561036A JP H0561036 A JPH0561036 A JP H0561036A JP 3244766 A JP3244766 A JP 3244766A JP 24476691 A JP24476691 A JP 24476691A JP H0561036 A JPH0561036 A JP H0561036A
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resin layer
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林次郎 市川
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寛 古森
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治恭 坪井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面平滑性の極めてすぐれた光等方性シート
を位相差補償板製造用シートとして用いた位相差補償板
を提供することを主たる目的とする。 【構成】 対向する表面層が耐溶剤性および液晶配向性
を有する樹脂製の光等方性シート(4), (4)間に、高分子
液晶(6) の配向層が成層されている位相差補償板であ
る。この場合、樹脂製の光等方性シート(4), (4)の少な
くとも一方が、流延製膜法により形成した樹脂層(2) を
表面側に有し、該樹脂層(2) の自由面の表面粗度が 0.5
μm以下であって、かつ全体のレターデーション値が3
0nm以下、可視光線透過率が60%以上である光等方性
シートからなることが特に好ましく、また高分子液晶
(6) の成層に際しては、樹脂層(2) の自由面をラビング
処理するか、樹脂層(2) の自由面側に形成した配向膜
(5) をラビング処理しておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子液晶の配向層が
成層されている位相差補償板に関するものである。ま
た、位相差補償板製造用の樹脂製の光等方性シートに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】STN(スーパー・ツイステド・ネマチ
ック)方式の液晶表示パネルとして、第1偏光板/駆動
用液晶セル/色相補償用液晶セル/第2偏光板の構成を
有するSTN液晶表示パネルが開発されている。(「日
経マイクロデバイス、1987年8月号、36〜38
頁」および「日経マイクロデバイス、1987年10月
号、84〜88頁」の記事参照)
【0003】入射光は、第1偏光板を経て直線偏光とな
り、駆動用液晶セルを通過する間に位相差を生じて楕円
偏光となるが、そのときの楕円率および方位角は各波長
により異なる。しかしながら、駆動用液晶セルを経た透
過光は色相補償用液晶セルを通過する間に逆方向にツイ
ストされ、楕円偏光は再び直線偏光となり(つまり位相
差が打ち消され)、第2偏光板を経て取り出される。こ
れにより、透過光の波長依存性はなくなり、実質的に白
黒表示となる。従って、もし必要ならカラーフィルタを
付加してフルカラーとすることもできる。
【0004】上述の駆動用液晶セルおよび色相補償用液
晶セルを用いるダブルセル方式のSTN液晶表示パネル
は、厚さが厚く、重量が大で、かつコストが高くなると
いう不利があり、また反射型にすると暗くなりすぎると
いう不利がある。
【0005】そこでこの不利を解消すべく、色相補償用
液晶セルに代えて、一軸延伸した高分子フィルムからな
る位相差素膜の両面に光等方性のフィルムを積層した位
相差板を用いる方式Aが種々提案されている。また、光
等方性シート間に高分子液晶の配向層を成層した方式B
も提案されている。
【0006】方式Aに属するものとして、たとえば本出
願人の出願にかかる特開平1−118819号公報およ
び特開平1−124821号公報には、液晶セルを構成
する一方の電極支持用基板として、配向された合成樹脂
フィルムからなる光学的位相差素膜フィルムまたはその
少なくとも片面に光等方性非晶質フィルムを積層したも
のを用いることが示されている。これらは、位相差板と
液晶セル基板とを一体化しものである。
【0007】本出願人の出願にかかる特開平1−127
329号公報には、配向された合成樹脂フィルムからな
る光学的位相差素膜フィルムまたはその少なくとも片面
に光等方性非晶質フィルムを積層した積層フィルムから
なる光学的位相差基板を、粘着剤層を介して剥離シート
上に積層した構成を有する積層体が示されている。
【0008】本出願人の出願にかかる特開平2−158
701号公報には、低配向した流延法フィルムからなる
レターデーション値30〜1000nmの複屈折性単位フ
ィルムの複数層が、それぞれの複屈折性単位フィルムの
光軸を同一方向に合わせた状態で積層一体化された複屈
折性多層フィルムからなる複合位相板が示されている。
【0009】特開昭64−519号公報には、色相補償
用に液晶を用いる方式のほか、上記の方式Aおよび方式
Bについても言及があり、方式Aについては、ポリビニ
ルアルコール、ポリエステル、ポリエーテルアミド、ポ
リエチレン等を一軸延伸処理したフィルムを用いること
ができること、方式Bについては、ポリペプチド−ポリ
メチルメタクリレート混合フィルム等を用いる方法、P
CII系、CCII系、ビフェニル等の低分子液晶にカイラ
ルドーパントを混合してラセン構造を持たせた液晶組成
物をポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ
アミド等の高分子に混合させたものを用いることができ
ることが記載されている。
【0010】平成3年4月17日発行の化学工業日報に
は、高分子キラル液晶を基板上に塗布したSTN型LC
D用色補償板の記事が掲載されている。ただし高分子キ
ラル液晶を塗布成層する相手方の基板はガラスである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】高分子液晶を使用した
色相補償用の位相差板を作製するには、高分子液晶また
は高分子に分散した低分子液晶の溶液をガラス基板に塗
布することが必要となる。このとき、ガラス基板には予
め配向膜を形成すると共に、該配向膜をラビング処理
し、そのラビング処理した配向膜側の面が高分子液晶層
側となるように高分子液晶の成層を行う。
【0012】しかしながら、高分子液晶をガラス基板に
塗布成層するのでは、先に述べたダブルセル方式のST
N液晶表示パネルにおける重量、厚さ等の問題点が解消
できないので、高分子液晶を塗布成層する相手方の基材
がプラスチックスシートであることが望まれる。本発明
者らはこの観点から樹脂製の光等方性シート間に、高分
子液晶の配向層を成層した位相差補償板につき検討を試
み一応の成果を得たが、高分子液晶を塗布成層する光等
方性シートの表面にわずかでも凹凸があると、その位相
差補償板を使用したSTN液晶ディスプレイに紫、緑な
どの色がついて画面が非常に見にくくなるという事態を
生じた。
【0013】本発明は、このような背景下において、表
面平滑性の極めてすぐれた光等方性シートを位相差補償
板製造用シートとして用いた位相差補償板を提供するこ
とを主たる目的になされたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の位相差補償板
は、対向する表面層が耐溶剤性および液晶配向性を有す
る樹脂製の光等方性シート(4), (4)間に、高分子液晶
(6) の配向層が成層されているものである。この場合、
上記の樹脂製の光等方性シート(4), (4)の少なくとも一
方が、流延製膜法により形成した樹脂層(2) を表面側に
有し、該樹脂層(2)の自由面の表面粗度が 0.5μm 以下
であって、かつ全体のレターデーション値が30nm以
下、可視光線透過率が60%以上である光等方性シート
からなることが特に好ましい。
【0015】また本発明の位相差補償板製造用の光等方
性シートは、流延製膜法により形成した樹脂層(2) を表
面側に有し、該樹脂層(2) の自由面の表面粗度が 0.5μ
m 以下であって、かつ全体のレターデーション値が30
nm以下、可視光線透過率が60%以上である樹脂製の光
等方性シート(4)からなるものである。
【0016】以下本発明を詳細に説明する。
【0017】樹脂製の光等方性シート(4), (4)として
は、対向する表面層が耐溶剤性および液晶配向性を有す
る樹脂層(2) で構成されているものが用いられる。
【0018】このような樹脂層(2) の一つのグループと
しては、配向性がありかつ耐溶剤性もある樹脂、たとえ
ば、ポリイミド系樹脂、ポリパラバン酸系樹脂、ポリビ
ニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体
などがあげられ、光等方性を確保するために流延法によ
り製膜できるものが選ばれる。このような樹脂を用いる
場合には、光等方性シート(4) 上の配向膜(5) を設ける
ことなく、単にラビング処理により高分子液晶(6) を配
向させることができる。
【0019】樹脂層(2) の他の一つのグループは、それ
自体は高分子液晶(6) を配向させる性質を有しないが、
溶剤に溶解して被膜を形成し、乾燥や硬化により耐溶剤
性を有するようになる樹脂である。この場合は配向膜
(5) の形成が必要となるので、耐熱性および耐溶剤性を
有する被膜を与えることのできる樹脂、殊に架橋性樹脂
に架橋剤を配合した樹脂組成物を用いることが望まし
い。配向膜(5) としては、ポリイミド系樹脂、ポリビニ
ルアルコール系樹脂、ポリパラバン酸系樹脂などが用い
られる。
【0020】このような架橋性樹脂としては、フェノキ
シエーテル型架橋性樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹
脂、アクリルエポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール
樹脂またはウレタン樹脂などがあげられる。このうち典
型的な例として、フェノキシエーテル型架橋性樹脂とア
クリル樹脂について詳述する。
【0021】架橋性樹脂の中で特に好ましい樹脂は、下
記の化1で示されるフェノキシエーテル型重合体であ
る。
【0022】
【化1】
【0023】(式中、R1 〜R6 は、それぞれ水素、炭
素数1〜3の低級アルキル基またはBr 、R7 は炭素数
2〜4の低級アルキレン基、mは0〜3の整数、nは2
0〜300の整数をそれぞれ意味する。)
【0024】この重合体の水酸基の水素部分に架橋剤で
ある多官能性化合物を架橋反応させると、フェノキシエ
ーテル型架橋重合体が得られる。架橋重合体を得るため
に反応させる架橋剤(多官能性化合物)としては、水酸
基との反応活性が高い基、例えば、イソシアネート基、
カルボキシル基、カルボキシル基における反応性誘導基
(たとえばハライド、活性アミド、活性エステル、酸無
水物基等)、メルカプト等を同一または異なって2以上
有する化合物などが用いられ、特にポリイソシアネート
が重要である。
【0025】アクリル樹脂としては、分子中に少なくと
も3個以上のアクリロイルオキシ基または/およびメタ
アクリロイルオキシ基を含有する化合物(以下、多官能
(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物という)を主
成分とする多官能不飽和単量体または/およびその初期
ラジカル反応物を主成分とする組成物をあげることがで
きる。特に好ましいのは、分子中に少なくとも3個以上
の(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する多官能不飽
和単量体を、全不飽和単量体に対して50重量%以上、
好ましくは70重量%、特に好ましくは90重量%以上
含有する不飽和単量体混合物または/およびその初期ラ
ジカル反応物から成る組成物である。
【0026】上記いずれのグループの樹脂層(2) であっ
ても、樹脂層(2) の自由面の表面粗度は、 0.5μm 以
下、好ましくは0.2μm 以下、さらに好ましくは 0.1μm
以下に設定することが特に望ましい。一般に、溶融押
出フィルムの表面粗度は100μm 厚のフィルムで3〜
4μm 、流延製膜フィルムの表面粗度は100μm 厚の
フィルムで2〜3μm である。表面粗度をこのように常
識外とも言えるほど小さくする方法は後述する。
【0027】光等方性シート(4) は、位相差補償板とい
う特定用途に用いるものであることを考慮して、そのレ
ターデーション値が60nm以下、好ましくは30nm以
下、可視光線透過率が60%以上、好ましくは70%以
上であることが要求される。
【0028】上記の表面粗度、レターデーション値およ
び可視光線透過率を有する光等方性シート(4) は、好適
には、次に述べる第1、第2または第3の方法によって
製造される。
【0029】第1の方法は、下層(1) 上に樹脂層(2) 形
成用の樹脂溶液を流延した後、半乾燥被膜(2a)中の残存
溶媒量が絶乾被膜重量の5〜100重量%となるまで乾
燥を行うと共に、その半乾燥被膜(2a)の上から表面粗度
0.5μm 以下、好ましくは0.15μm 以下の圧着用材料
(3) を圧着状態で接触させ、ついで乾燥または硬化を進
める方法である。
【0030】下層(1) としては、基材層、耐透気性樹脂
層、架橋性樹脂硬化物層、これらの層の積層体などがあ
げられ、積層構成の場合は、層間にアンカーコーティン
グ層や接着剤層を設けることができる。
【0031】ここで基材層としては、ポリカーボネー
ト、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホ
ン、ポリスルホン、ポリアリレート、アモルファスポリ
オレフィン、ポリパラバン酸系樹脂、ポリアミド、ポリ
イミドなどがあげられる。基材層は熱変形温度が80℃
以上であることが望ましい。
【0032】基材層は流延法や押出法により得られ、そ
の厚さは30μm 〜3mm程度とすることが多い。
【0033】耐透気性樹脂層を構成する耐透気性樹脂と
しては、たとえば、アクリロニトリル成分、ビニルアル
コール成分またはハロゲン化ビニリデン成分を50モル
%以上含有する重合体から形成された層があげられ、特
にポリビニルアルコールまたはその共重合変性物あるい
はグラフト物、エチレン含量が15〜50モル%のエチ
レン−ビニルアルコール共重合体など、水酸基を有する
ポリマーが重要である。
【0034】耐透気性樹脂層は通常流延法により形成さ
れ、その酸素透過率(ASTM D-1434-75に準じて測定)が
30cc/24hr・m2・atm 以下、殊に20cc/24hr・m2
atm以下さらには10cc/24hr・m2・atm 以下であるこ
とが望ましい。耐透気性樹脂層の厚さは、1〜50μm
、殊に2〜20μm の範囲に設定するのが適当であ
る。
【0035】架橋性樹脂硬化物層としては、先に樹脂層
(2) の説明のところで述べたような架橋性樹脂硬化物層
が用いられる。
【0036】下層(1) 上に樹脂層(2) 形成用の樹脂溶液
を流延した後は、半乾燥被膜(2a)中の残存溶媒量が絶乾
被膜重量の5〜100重量%、好ましくは15〜80重
量%となるまで乾燥を行う。乾燥の程度が小さすぎると
きは、半乾燥被膜(2a)が流動しやすいため表面平滑な樹
脂層(2) が得られず、また後述の圧着用材料(3) が剥離
しにくくなり、一方乾燥が行きすぎたときには、半乾燥
被膜(2a)が変形しないようになるため樹脂層(2) の表面
平滑性が得られなくなり、共に所期の目的を達成しえな
くなる。
【0037】そして、半乾燥被膜(2a)中の残存溶媒量が
適度となった時点において、その半乾燥被膜(2a)の上か
ら表面粗度 0.5μm以下の圧着用材料(3) を圧着状態で
接触させる。
【0038】圧着用材料(3) として特に好ましいもの
は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二
軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸
ポリエチレンナフタレートフィルム、二軸延伸ポロプロ
ピレンフィルムなどの二軸延伸プラスチックスフィルム
である。結晶性プラスチックスフィルムのうち填料を配
合しないものは、二軸延伸により表面平滑性が顕著に向
上するという性質を有するからである。二軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルムの場合を例にとると、そ
の表面粗度は0.15μm 以下、0.05μm 以下、さらには0.
01μm 以下のものまで入手できるので、そのようなシー
トを圧着用材料(3) として用いることが望ましい。
【0039】圧着用材料(3) としては、そのほか、研磨
した鋼板ベルト、研磨した鋼板ドラムなどを用いること
もできる。
【0040】上記のようにして半乾燥被膜(2a)の上から
表面粗度 0.5μm 以下の圧着用材料(3) を圧着状態で接
触させた後、圧着用材料(3) を除去してさらに乾燥また
は硬化を進めるか、場合によっては圧着用材料(3) を除
去することなく乾燥または硬化を進めてから圧着用材料
(3) を除去する。
【0041】これにより、下層(1) /樹脂層(2) の層構
成を有しかつ樹脂層(2) の自由面の表面平滑度が極めて
高い積層シートが得られる。
【0042】第2の方法は、表面粗度 0.5μm 以下の圧
着用材料(3) (殊に二軸延伸プラスチックスフィルム)
上に樹脂層(2) 形成用の樹脂溶液を流延した後、半乾燥
被膜(2a)中の残存溶媒量が絶乾被膜重量の5〜100重
量%となるまで乾燥を行い、ついでこの積層体の半乾燥
被膜(2a)側を下層用樹脂層(1')に重ね合わせて圧着する
ことにより半乾燥被膜(2a)を下層用樹脂層(1')に転写し
た後、圧着用材料(3)を剥離除去し、さらにその剥離の
前または後に加熱を行い、転写した半乾燥被膜(2a)を乾
燥または硬化して樹脂層(2) となす方法である。この方
法においては、圧着用材料(3) に接触していた面が樹脂
層(2) の自由面となる。
【0043】第3の方法は、樹脂層(2) 形成用の樹脂溶
液をタンクに入れて、脱気下に濃縮を行うことにより溶
媒量が樹脂分の5〜100重量%となるまで減少させ、
ついでこの濃縮樹脂溶液を、予め下層用樹脂層(1')を供
給してある製膜用ロールと予め平滑性ある二軸延伸プラ
スチックスフィルム(3) を供給してある製膜用ロールの
間隙にタンクから吐出して両フィルム間に挟持されるよ
うにし、ついでこの挟持シートから二軸延伸プラスチッ
クスフィルム(3) を剥離除去すると共に、その剥離操作
の前または/後に加熱を行うことにより挟持層を乾燥ま
たは硬化して樹脂層(2) となす方法である。この方法に
おいても、二軸延伸プラスチックスフィルムに接触して
いた面が樹脂層(2) の自由面となる。この第3の方法
は、第1や第2の方法に比し、工業的であるということ
ができる。
【0044】上記のようにして得られた光等方性シート
(4) の樹脂層(2) (あるいはさらにその上に形成した配
向膜(5) )にラビング処理を施した後、その上から高分
子液晶(6) を塗布成層し、もう1枚の光等方性シート
(4) の樹脂層(2) 側を重ね合わせて高分子液晶(6) を配
向処理すれば、目的とする位相差補償板が得られる。こ
の場合、一方の光等方性シートは通常の光等方性シート
を用いることもできる。
【0045】高分子液晶(6) としては、(i) 高分子液
晶、(ii)低分子液晶を高分子に混合したもの、がいずれ
も用いられる。
【0046】
【作用】上記の光等方性シート(4) を用いた位相差補償
板を液晶セルと偏光板との間に介在させて、偏光板/位
相差補償板/液晶セル/偏光板の構成を有する液晶表示
パネルを作成すれば、ガラスを用いた位相差補償板に比
し軽量化、破損防止が図られる。殊に、高分子液晶(6)
に面する側の光等方性シート(4) の樹脂層(2) の自由面
の表面平滑度が高いものを用いれば、液晶セルに封入す
る液晶としてSTN液晶を用いた場合でも、その位相差
補償板を使用したSTN液晶ディスプレイに紫、緑など
の色がついて画面が非常に見にくくなるという事態を生
じない。
【0047】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。以下「部」とあるのは重量部である。
【0048】実施例1 基材層(1a)の一例としてのポリカーボネートシート(厚
さ90μm 、レターデーション値10nm)の片面に、水
溶性四級化エステルウレタン系アンカーコーティング剤
を塗布、乾燥して厚さ 1.0μm のアンカーコーティング
層を設けた後、そのアンカーコーティング層の上から、
エチレン含量32モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合
体20部、水45部、n−プロパノール50部、メチロ
ール化メラミン (住友化学工業株式会社製スミテックM
−3)4部よりなる組成の樹脂液を流延し、温度110
℃の乾燥機中を通過させて乾燥させた。これにより、厚
さ10μm の耐透気性樹脂層(1b)が形成された。
【0049】ついで、この耐透気性樹脂層(1b)の上か
ら、フェノキシエーテル樹脂(東都化成株式会社製)4
0部、メチルエチルケトン40部、セロソルブアセテー
ト20部、トリレンジイソシアネートとトリメチロール
プロパンとのアダクト体の75%溶液(日本ポリウレタ
ン株式会社製コロネートL)40部よりなる組成の硬化
性樹脂組成物溶液をアプリケーターを使用して塗布し、
80℃で4分間乾燥してから、130℃で20分間加熱
して、厚さ8μm のフェノキシエーテル樹脂系の架橋性
樹脂硬化物層(1c)を形成させた。このときの層構成は(1
a)/(1b)/(1c)である。
【0050】次に、ポリカーボネートシートの他の面
に、上記と同様にしてアンカーコーティング層を設け、
さらにそのアンカーコーティング層の上から、上記と同
様にして厚さ12μm の耐透気性樹脂層(1b)を形成させ
た。このときの層構成は(1b)/(1a)/(1b)/(1c) である。
【0051】ついで、この耐透気性樹脂層(1b)の上か
ら、上記と同じ組成の硬化性樹脂組成物溶液をアプリケ
ーターを使用して塗布し、60℃で1分間乾燥した。半
乾燥被膜(2a)中の残存溶媒量は、絶乾被膜重量の30重
量%であった。
【0052】このようにして得られた(2a)/(1b)/(1a)/
(1b)/(1c)の層構成の積層シートの半乾燥被膜(2a)上
に、圧着用材料(3) の一例としての厚さ100μm 、表
面粗度 0.004μm の二軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルム(帝人株式会社製Oタイプ)を当てがいなが
ら温度80℃、プレス圧10kgf/cm2の条件にてロール
群間を通して圧着して貼り合わせた。続いて、この貼合
シートから二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィル
ム(3) を剥離除去し(剥離操作は円滑であった)、12
5℃まで段階的に昇温してから、この温度で60分加熱
してエイジングを行った。
【0053】上記の操作により、半乾燥被膜(2a)は乾燥
硬化して厚さ10μm の架橋性樹脂硬化物層(2) とな
り、その自由面の表面平滑度は、光の干渉を利用した非
接触式表面粗さ計による測定で 0.1μm以下であった。
【0054】このようにして得られた光等方性シート
(4) のレターデーション値は18nm、可視光線透過率は
89%、酸素透過率(ASTM D-1434-75に準じて測定)は
0.5cc/24hr・m2・atm 、表面の鉛筆硬度は両面ともH
であり、透湿性を有しなかった。全体の厚さは132μ
m であった。
【0055】次に、上記の光等方性シート(4) の平滑処
理した側の架橋性樹脂硬化物層(2)面に、ポリイミド系
樹脂溶液を塗布、乾燥、キュアして配向膜(5) を形成さ
せた後、常法によりラビング処理した。
【0056】上記で得られた配向膜(5) 付きの光等方性
シート(4)のラビング処理面にカイラル高分子液晶(6)
を塗布し、同様に上記で得られた他方のラビング処理し
た配向膜(5) 付きの光等方性シート(4) のラビング処理
面を前記カイラル高分子液晶(6) に対して積層し、加温
して温度勾配を与えながら液晶分子を配列させた。
【0057】このようにして得られた位相差補償板を用
いて偏光板/位相差補償板/液晶セル(STN液晶を封
入したもの)/偏光板の構成を有する液晶表示パネルを
作製し、評価を行ったところ、得られた液晶表示パネル
は、ディスプレイに着色むらが見られず、駆動用液晶セ
ルと共に色相補償用液晶セルを用いた従来の液晶表示パ
ネルと遜色のない性能を有していた。
【0058】実施例2 実施例1と同様にして、基材層(1a)上にアンカーコーテ
ィング層、その上に耐透気性樹脂層(1b)、さらにその上
に架橋性樹脂硬化物層(1c)を形成した。次に基材層(1a)
の他の面にアンカーコーティング層、その上に耐透気性
樹脂層(1b)を形成した。これにより、(1b)/(1a)/(1b)/
(1c) の層構成の下層用樹脂層(1')が得られた。
【0059】一方、圧着用材料(3) の一例としての厚さ
100μm 、表面粗度 0.004μm の二軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム上に、実施例1と同じ架橋性
樹脂硬化物層(2) 形成用の硬化性樹脂組成物溶液をアプ
リケーターを用いて塗布し、60℃で1分間乾燥した。
形成した半乾燥被膜(2a)中の残存溶媒量は、絶乾被膜重
量の30重量%であった。
【0060】次に、上記で作製した圧着用材料(3) /半
乾燥被膜(2a)からなる積層体の半乾燥被膜(2a)側を、同
じく上記で作製した下層用樹脂層(1')の(1b)側に重ね合
わせながら、温度80℃、プレス圧10kgf/cm2 の条件
にてロール群間を通して圧着して貼り合わせた。これを
室温下に36時間放置後、この貼合シートから圧着用材
料(3) を剥離除去し(剥離操作は円滑であった)、12
5℃まで段階的に昇温してから、この温度で60分加熱
してエイジングを行った。
【0061】上記の操作により、転写した半乾燥被膜(2
a)は乾燥硬化して架橋性樹脂硬化物層(2) となり、その
自由面の表面平滑度は光の干渉を利用した非接触式表面
粗さ計による測定で 0.1μm 以下であった。
【0062】次に、上記で得た光等方性シート(4) の平
滑処理した側の架橋性樹脂硬化物層(2) 面に、ポリイミ
ド系樹脂溶液を塗布、乾燥、キュアして配向膜(5) を形
成させた後、常法によりラビング処理し、さらに実施例
1と同様にして、位相差補償板、さらには液晶表示パネ
ルを製造した。得られた液晶表示パネルは、表示に着色
むらが見られず、駆動用液晶セルと共に色相補償用液晶
セルを用いた従来の液晶表示パネルと遜色のない性能を
有していた。
【0063】実施例3 実施例1における樹脂層(2) 形成用の樹脂溶液をタンク
に入れて、脱気下に濃縮を行い、溶媒量が絶乾被膜重量
の20重量%となるまで減少させた。
【0064】ついでタンクから濃縮樹脂溶液を吐出して
1対の製膜用ロールの間隙に供給すると同時に、予めそ
れぞれのロールに供給してある実施例1の圧着用材料
(3) および実施例2で作製した下層用樹脂層(1')により
吐出体を挟持して圧着し、さらに平板式冷却装置により
冷却を行った。これにより、(3)/(2a)/(1b)/(1a)/(1b)/
(1c)の層構成を有する積層シートが得られた。
【0065】これを一旦巻取機により巻き取った後、数
日放置し、ついで巻取機から繰り出して圧着用材料(3)
を剥離除去し(剥離操作は円滑であった)、125℃ま
で段階的に昇温してから、この温度で60分間加熱して
エイジングを行った。
【0066】上記の操作により、先の挟持層は乾燥硬化
して架橋性樹脂硬化物層(2) となり、その自由面の表面
平滑度は光の干渉を利用した非接触式表面粗さ計による
測定で 0.1μm 以下であった。
【0067】次に、上記の光等方性シート(4) の平滑処
理した側の架橋性樹脂硬化物層(2)面に、ポリイミド系
樹脂溶液を塗布、乾燥、キュアして配向膜(5) を形成さ
せた後、常法によりラビング処理し、さらに実施例1と
同様にして、位相差補償板、さらには液晶表示パネルを
製造した。得られた液晶表示パネルは、表示に着色むら
が見られず、駆動用液晶セルと共に色相補償用液晶セル
を用いた従来の液晶表示パネルと遜色のない性能を有し
ていた。
【0068】実施例4 実施例1と同様にして、基材層(1a)上にアンカーコーテ
ィング層、その上に耐透気性樹脂層(1b)、さらにその上
に架橋性樹脂硬化物層(1c)を形成させた。
【0069】ついで、基材層(1a)の他の面に、ポリビニ
ルアルコール20部、水40部よりなる組成の樹脂液を
流延し、温度110℃の乾燥機中を通過させ、ポリビニ
ルアルコールの半乾燥被膜(2a)を形成させた。半乾燥被
膜(2a)中の残存溶媒量(残存水分量)は、絶乾被膜重量
の25重量%であった。
【0070】このようにして得られた(2a)/(1a)/(1b)/
(1c) の層構成の積層シートの半乾燥被膜(2a)上に、圧
着用材料(3) の一例としての厚さ80μm 、表面粗度
0.003μm の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを当てがいながら温度70℃、プレス圧13kgf/cm
2 の条件にてロール群間を通して圧着して貼り合わせ
た。続いて、この貼合シートから二軸延伸ポリエチレン
テレフタレートフィルム(3)を剥離除去し(剥離操作は
円滑であった)、110℃で20分間乾燥した。この操
作により半乾燥被膜(2a)の厚さは6μmとなり、その面
の表面平滑度は光の干渉を利用した非接触式表面粗さ計
による測定で 0.1μm 以下であった。
【0071】次に、上記の位相差補償板製造用シート
(4) の平滑処理した側のポリビニルアルコール(2) 面を
常法によりラビング処理し、さらに実施例1と同様にし
て、位相差補償板、さらには液晶表示パネルを製造し
た。得られた液晶表示パネルは、デジスプレイに着色む
らが見られず、駆動用液晶セルと共に色相補償用液晶セ
ルを用いた従来の液晶表示パネルと遜色のない性能を有
していた。
【0072】
【発明の効果】樹脂製の光等方性シート(4) を用いた位
相差補償板を液晶セルと偏光板との間に介在させて、偏
光板/位相差補償板/液晶セル/偏光板の構成を有する
液晶表示パネルを作成すれば、ガラスを用いた位相差補
償板に比し軽量化、破損防止が図られる。
【0073】殊に、高分子液晶(6) に面する側の光等方
性シート(4) の樹脂層(2) の自由面の表面平滑度が高い
ものを用いれば、液晶セルに封入する液晶としてSTN
液晶を用いた場合でも、その位相差補償板を使用したS
TN液晶ディスプレイに紫、緑などの色がついて画面が
非常に見にくくなるという事態を生じない。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向する表面層が耐溶剤性および液晶配向
    性を有する樹脂製の光等方性シート(4), (4)間に、高分
    子液晶(6) の配向層が成層されている位相差補償板。
  2. 【請求項2】樹脂製の光等方性シート(4), (4)の少なく
    とも一方が、流延製膜法により形成した樹脂層(2) を表
    面側に有し、該樹脂層(2) の自由面の表面粗度が 0.5μ
    m 以下であって、かつ全体のレターデーション値が30
    nm以下、可視光線透過率が60%以上である光等方性シ
    ートからなることを特徴とする請求項1記載の位相差補
    償板。
  3. 【請求項3】樹脂層(2) の自由面がラビング処理されて
    いるか樹脂層(2) の自由面側に形成した配向膜(5) がラ
    ビング処理されている請求項2記載の位相差補償板。
  4. 【請求項4】流延製膜法により形成した樹脂層(2) を表
    面側に有し、該樹脂層(2) の自由面の表面粗度が 0.5μ
    m 以下であって、かつ全体のレターデーション値が30
    nm以下、可視光線透過率が60%以上である樹脂製の光
    等方性シート(4)からなる位相差補償板製造用の光等方
    性シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002090532A (ja) * 2000-09-14 2002-03-27 Konica Corp 光学異方体および液晶表示装置
JP2008304926A (ja) * 2008-07-08 2008-12-18 Konica Minolta Holdings Inc 光学異方体、その製造方法及び液晶表示装置

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