JPH0560616U - 異形断面条打抜き用プレス金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】パンチの損傷防止及び加工精度の向上を図るこ
とができる異形断面条打抜き用金型の提供。 【構成】幅方向の一部に肉厚の厚い部分を有する異形断
面条の打抜き用プレス金型であり、該金型はその先端部
形状が前記異形断面条と係合する段差付きの形状をした
パンチと、その押さえ面の形状が前記異形断面条と係合
する段差付きの形状をしたストリッパとより構成されて
いる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の対象】

本考案は、幅方向の一部に肉厚の厚い部分を有する異形断面条を対象とした、 異形断面条打抜き用プレス金型の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、板材のプレス加工に使用される打抜き用金型にあっては、ストリッパ 及びパンチの板材との接触面の形状は、平坦なものとなっている。従って、この 金型を用いて平坦な板材を打抜く場合には、ストリッパ及びパンチは板材の打抜 部位に均等な押さえ力及び剪断力を提供する。

【０００３】 ところで、図３に示すような幅方向の一部に１〜数本の肉厚の厚い部分７を有 する異形断面条（以下、異形条と称する）７がある。これは、例えば、リードフ レーム等に用いられる。このような異形条７の打抜きに使用される金型も、図４ に示すように、平坦な板材を打抜く場合と同じ金型１６、つまり被加工材７との 接触面が平坦なストリッパ１１及びパンチ１３を備えたものが用いられている状 況にある。そして、最近、トランジスタ用リードフレーム等では、異形条を用い て微細かつ高精度の打抜きが要求される状況にある。

【０００４】 このため、異形条の打抜きにおいては、次のような問題が発生している。すな わち、前記した状況においてプレス加工を実施すると、被加工材７に厚肉部８が 存在することにより、図４に示すようにパンチ１３の一部分のみが被加工材７に 先に接触して剪断を開始するため、パンチ１３の刃先にチッピングが生じたり、 またパンチ１３の軸線に対する荷重が偏心荷重となることによってパンチ１３に 対して曲げモーメントが発生することにより、パンチ１３そのものが破損する場 合があった。

【０００５】 さらに、図４に示すように、ストリッパ１１によって被加工材７を押さえつけ る場合においても、ストリッパ１１と被加工材７の接触面は厚肉部８に限定され るため、ストリッパ１１の姿勢は不安定なものとなる。これにより、ストリッパ １１による被加工材７の押さえつけは不完全なものとなり、加工精度の低下を招 いていた。

【０００６】 あるいは、ストリッパ１１による板押さえ力が厚肉部８に集中するため、厚肉 部８が変形する場合もあった。

【０００７】

【考案の目的】

本考案の目的は、前述した従来技術の欠点を解決し、パンチの損傷防止及び加 工精度の向上を図ることができる、新規な異形断面条打抜き用金型を提供するこ とにある。

【０００８】

【考案の要点】

本考案の要旨は、その先端部形状が前記異形断面条と係合する段差付きの形状 をしたパンチと、その押さえ面の形状が前記異形断面条と係合する段差付きの形 状をしたストリッパとを備えたことにあり、それによってパンチに対する偏心荷 重の解消及び前記異形断面条に対して均一な板押さえ力を与えることを実現した ことにより、パンチの損傷防止及び加工精度の向上を図ることができるようにし たものである。

【０００９】 本考案において、異形断面条の材質としては、特に限定しないが、例えば、銅 ，銅合金，鉄合金（４２アロイ，インバーなど）が使用される。

【００１０】

【考案の実施例】

図１に本考案金型の一実施例を示す。同図において、６はストリッパ１，パン チ３，ダイ４，上型５を備えた異形条打抜き用金型を示す。７は被加工材である 銅合金系の異形条である。なお、本実施例で使用される異形条７は、幅方向の中 央部分に一本肉厚の厚い部分８を有するものであり、これはトランジスタ用リー ドフレーム素材として使用される。

【００１１】 ストリッパ１の押さえ面２の形状は、被加工材である異形条７と係合する段差 ａを有するものである。また、パンチ３の先端部形状は、異形条７と係合する段 差ｂを有するものである。段差ａ，ｂの寸法は、それぞれ異形条７の肉厚の厚い 部分８の寸法ｈと合致するように設けられている。

【００１２】 したがって、このような異形条打抜き用金型６を用いて、異形条７を打抜くと 次のようになる。

【００１３】 図示しない送り装置によって、被加工材７が作業エリア上に配置される。次い で上方より上型５が下がり、ストリッパ１によって被加工材７が押さえつけられ る。この時ストリッパ１は、被加工材７の段差部に係合する形状に加工されてい るため、被加工材７の厚肉部８のみならず、薄肉部９においてもストリッパ１の 押さえ面２と被加工材７の表面と接触することによって、被加工材７に対して均 一な押さえ力が作用することになる。その後、パンチ３が下降してきて剪断を行 う。パンチ３の先端部形状も被加工材７の段差部に係合する形状に加工されてい るため、被加工材７の打抜部分の表面と全面接触し、肉厚の厚い部分８のみが先 に剪断されることはなく、打抜部分全域で一斉に剪断が開始されることになる。

【００１４】 上記実施例は、幅方向の中央部分に一本の肉厚の厚い部分を有する異形断面条 を対象としたものであるが、幅方向の一部に１あるいは数本の肉厚の厚い部分を 有する異形断面条を対象とする場合は、それらの形状に応じて、パンチの先端部 形状及びストリッパの押さえ面の形状を複数の段差付きものとすることが可能で ある。

【００１５】

【考案の効果】

以上の説明からも明らかなように、本考案の異形断面条打抜き金型によれば、 パンチの先端部形状を異形断面条と係合する形状とすることにより、該パンチに 対して偏心荷重が発生することを解消したことにより、パンチ刃先のチッピング やパンチ自体の破損を防止することにより、パンチの工具寿命を延長することが できる効果がある。また、ストリッパの押さえ面の形状を異形断面条と係合する 形状とすることにより、ストリッパが安定した状態で被加工材を押さえることが 可能となり、被加工に対して、肉厚の厚い部分に板押さえ力が集中しない均一な 板押さえ力を与えることができる効果がある。さらには、パンチの先端部形状及 びストリッパの板押さえ面の形状が、被加工材である異形断面条と係合する形状 とすることにより、被加工材に対して安定した状態で接触することを可能とした ことにより、加工精度の向上を図ることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による異形断面条打抜き用金型を使用し
たプレス加工の一実施例を示す断面図である。

【図２】ストリッパ及びパンチの段差部の拡大図であ
る。

【図３】異形断面条の一例である。

【図４】従来の実施例である。

【符号の説明】 １ ストリッパ ２ 押さえ面 ３ パンチ ４ ダイ ５ 上型 ６ 金型 １１ ストリッパ １３ パンチ １６ 金型 ７ 異形断面条（被加工材） ８ 厚肉部 ９ 薄肉部 ａ ストリッパの段差 ｂ パンチの段差 ｈ 肉厚部の寸法

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】幅方向の一部に肉厚の厚い部分を有する異
   形断面条を対象とした、異形断面条打抜き用プレス金型
   において、該金型はその先端部形状が前記異形断面条と
   係合する段差付きの形状をしたパンチと、その押さえ面
   の形状が、前記異形断面条と係合する段差付きの形状を
   したストリッパとより構成されたことを特徴とする異形
   断面条打抜き用プレス金型。