JP2000312924A - ワークのコーナエッジ形成方法 - Google Patents

ワークのコーナエッジ形成方法

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JP2000312924A
JP2000312924A JP11123738A JP12373899A JP2000312924A JP 2000312924 A JP2000312924 A JP 2000312924A JP 11123738 A JP11123738 A JP 11123738A JP 12373899 A JP12373899 A JP 12373899A JP 2000312924 A JP2000312924 A JP 2000312924A
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work
edge
punch
forming
female mold
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Hiromi Saito
弘己 斉藤
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Kikuchi Seisakusho Co Ltd
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Kikuchi Seisakusho Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 腕時計のフレームや浮き文字等を金属板から
なるワークのプレス加工により成形する場合において、
鋭利なエッジ状の稜線をワークの一部に形成でき、かつ
金型の寿命を向上させると共に、安価なプレス加工で鋳
造と同様に鋭利なエッジ加工を可能とし、部品のコスト
を低減させる。 【解決手段】 雌型1上に配置されたワーク2にパンチ
3をプレスして押し込むことによりワークの雌型側にエ
ッジ2cを生じさせるワークのコーナエッジ形成方法に
おいて、第1の部材の軟材2aと第2の部材の硬材2b
とが板厚方向に接合されたワークの軟材に、突起部3a
が形成されたパンチをプレスすることにより、突起部で
軟材を圧縮し応力が広範囲に分散した圧力を軟材に生じ
させて圧力により硬材を広範囲から押圧してワークの雌
型側に亀裂を生じさせることなく鋭利なエッジを生じさ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワークのコーナエ
ッジ形成方法に係り、特に腕時計のフレームや浮き文字
等を金属板からなるワークのプレス加工により成形する
場合において、従来の単一素材のプレス加工では不可能
であった、曲率半径がごく小さなエッジ、即ち鋭利なエ
ッジ状の稜線をワークの一部に形成でき、かつ金型の寿
命を大幅に向上させると共に、高価となる鋳造によるこ
となく安価なプレス加工で鋳造と同様に見栄えのある鋭
利なエッジ加工を可能とし、高級感のある部品のコスト
を大幅に低減させることができるワークのコーナエッジ
形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】単一素材のワークに対するプレス加工で
は、従来加工後のワーク外側のコーナが曲率半径約1〜
1.5mm程度のRになることが一般的であった。コー
ナに大きなRが形成されていてもよい品物の場合には従
来の方法でも問題ないが、デザイン的な要因で仕上がり
がよくないと判断される品物の場合には、プレス加工で
は成形できないため、鋳造や鍛造により製造するしか手
段がなかった。
【0003】プレス加工によりワークのコーナのRを極
力小さくして鋭利なエッジ状の稜線にする方法として
は、例えばヒール・ビード金型構造を用いた方法が検討
されてきた。このヒール・ビード金型構造とは、図18
と図19に示すように、稜線状の突起部13aが形成さ
れたパンチ13を雄型として用いるものであり、該突起
部13aと雌型11の隅部11aとを接近させるように
プレスすることによって、ワーク12のコーナ12dの
形状が雌型11の形状通りに成形されることを狙ったも
のである。
【0004】しかしワーク12が単一素材からなる場合
には、材料の成分、伸び率、曲げモーメントの問題や、
プレス圧力、プレス速度等の問題があり、雌型11の隅
部11aまで材料が行き渡らず、コーナ12dのRがあ
まり小さくならないという欠点があり、また硬い材料に
直接パンチ13が当接する場合には、量産時に該パンチ
13が破損しやすいという欠点があった。
【0005】また図20と図21に示すように、ワーク
12の角度を安定させるためのプレス加工では、例えば
雌型11の隅部11aが直角に形成されており、そこへ
パンチ13を垂直に押し込むことによって材料を雌型1
1の隅部11aまで行き渡らせてコーナ12dを直角に
成形することを狙っているが、やはり上記の理由により
隅部11aまで材料が行き渡らず、突起部13aのない
パンチ13でプレスしたワーク(図示せず)よりはコー
ナ12dのRが小さくなるものの、鋭利なエッジに見え
るほどにはコーナのRを小さくすることができないとい
う欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の欠点を除くためになされたものであって、その
目的とするところは、軟材と硬材とが板厚方向に例えば
圧延接合されたワークを用いることによって、圧延接合
されていない単なる2枚重ねの板材をプレスしたときに
圧力の分散により生じる板材のずれやこれに起因する亀
裂を防止することであり、またこれによって圧力をワー
クのコーナに集中させて該コーナの雌型側に亀裂を生じ
させることなく鋭利なエッジを形成できるようにするこ
とである。
【0007】また他の目的は、雌型のうちエッジの形成
に関わる隅部は曲率半径を極力小さく形成しておき、軟
材と硬材とが板厚方向に接合されたワークの軟材側に、
少なくともエッジの形成に必要な長さを持った稜線状の
突起部が形成されたパンチを該突起部と雌型の隅部とが
接近するようにプレスすることによって、突起部で軟材
を圧縮し応力が広範囲に分散した圧力を該軟材に生じさ
せて該圧力により硬材を広範囲から押圧できるようにす
ることであり、またこれによって安価なプレス加工であ
っても鋳造や鍛造と同様に、ワークの雌型側に亀裂を生
じさせることなく見栄えのある稜線状の鋭利なエッジを
生じさせ、高級感のある部品のコストを大幅に低減させ
ることである。
【0008】更に他の目的は、上記したように、ワーク
の軟材側にパンチをプレスすることによって、プレス時
にパンチに作用する応力を軽減させることであり、また
これによってワークに鋭利なエッジを形成するにもかか
わらず、金型の寿命を大幅に向上させることである。
【0009】また硬材側からパンチを押し込むことによ
って、例えばアルミニウムのような靱性が少なく脆い軟
材であっても、亀裂を生じさせることなく鋭利なエッジ
を形成できるようにすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】要するに本発明方法(請
求項1)は、雌型上に配置されたワークにパンチをプレ
スして押し込むことにより該ワークの雌型側にエッジを
生じさせるワークのコーナエッジ形成方法において、第
1の部材と第2の部材とが板厚方向に接合されたワーク
の第1の部材側に、突起部が形成されたパンチをプレス
することにより、突起部で第1の部材を圧縮し該第1の
部材に生じた圧力により第2の部材を押圧してワークの
雌型側に亀裂を生じさせることなく鋭利なエッジを生じ
させることを特徴とするものである。
【0011】また本発明方法(請求項2)は、雌型上に
配置されたワークにパンチをプレスして押し込むことに
より該ワークの雌型側にエッジを生じさせるワークのコ
ーナエッジ形成方法において、第1の部材と第2の部材
とが板厚方向に接合されたワークの第1の部材側に、突
起部が形成されたパンチをプレスすることにより、突起
部で第1の部材を圧縮し応力が広範囲に分散した圧力を
該第1の部材に生じさせて該圧力により第2の部材を広
範囲から押圧してワークの雌型側に亀裂を生じさせるこ
となく鋭利なエッジを生じさせることを特徴とするもの
である。
【0012】また本発明方法(請求項3)は、雌型上に
配置されたワークにパンチをプレスして押し込むことに
より該ワークの雌型側にエッジを生じさせるワークのコ
ーナエッジ形成方法において、第1の部材と第2の部材
とが板厚方向に接合されたワークの第1の部材側に、少
なくともエッジの形成に必要な長さを持った稜線状の突
起部が形成されたパンチをプレスすることにより、突起
部で第1の部材を圧縮し応力が広範囲に分散した圧力を
該第1の部材に生じさせて該圧力により第2の部材を広
範囲から押圧してワークの雌型側に亀裂を生じさせるこ
となく鋭利なエッジを生じさせることを特徴とするもの
である。
【0013】また本発明方法(請求項4)は、雌型上に
配置されたワークにパンチをプレスして押し込むことに
より該ワークの雌型側にエッジを生じさせるワークのコ
ーナエッジ形成方法において、雌型のうちエッジの形成
に関わる隅部は曲率半径を極力小さく形成しておき、軟
材と硬材とが板厚方向に接合されたワークの軟材側に、
少なくともエッジの形成に必要な長さを持った稜線状の
突起部が形成されたパンチを該突起部と雌型の隅部とが
接近するようにプレスすることにより、突起部で軟材を
圧縮し応力が広範囲に分散した圧力を該軟材に生じさせ
て該圧力により硬材を広範囲から押圧してワークの雌型
側に亀裂を生じさせることなく鋭利なエッジを生じさせ
ることを特徴とするものである。
【0014】また本発明方法(請求項5)は、雌型上に
配置されたワークにパンチをプレスして押し込むことに
より該ワークの雌型側にエッジを生じさせるワークのコ
ーナエッジ形成方法において、雌型のうちエッジの形成
に関わる隅部は曲率半径を極力小さく形成しておき、硬
材と軟材とが板厚方向に接合されたワークの硬材側に、
少なくともエッジの形成に必要な長さを持った稜線状の
突起部が形成されたパンチを該突起部と雌型の隅部とが
接近するようにプレスすることにより、突起部で硬材を
圧縮し応力が広範囲に分散した圧力を該硬材に生じさせ
て該圧力により軟材を広範囲から押圧してワークの雌型
側に亀裂を生じさせることなく鋭利なエッジを生じさせ
ることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面に示す実施例に
基いて説明する。本発明の第1実施例に係るワークのコ
ーナエッジ形成方法(請求項4)は、図1から図16に
おいて、雌型1上に配置されたワーク2にパンチ3をプ
レスして押し込むことにより該ワーク2の雌型1側にエ
ッジ2cを生じさせるワークのコーナエッジ形成方法に
おいて、雌型1のうちエッジ2cの形成に関わる隅部1
aは曲率半径を極力小さく形成しておき、第1の部材の
一例たる軟材2aと第2の部材の一例たる硬材2bとが
板厚方向に接合されたワーク2の軟材2a側に、少なく
ともエッジ2cの形成に必要な長さを持った稜線状の突
起部3aが形成されたパンチ3を該突起部3aと雌型1
の隅部1aとが接近するようにプレスすることにより、
突起部3aで軟材2aを圧縮し応力が広範囲に分散した
圧力4を該軟材2aに生じさせて該圧力4により硬材2
bを広範囲から押圧してワーク2の雌型1側に亀裂を生
じさせることなく鋭利なエッジ2cを生じさせる方法で
ある。
【0016】工具である雌型1とパンチ3は、基本的に
は通常のプレス加工用の金型であるが、ヒール・ビード
金型構造を用いているために、加工パンチ3には例えば
断面山形で稜線状に連なった突起部3aが一体的に形成
され、ワーク2のエッジ2cを形作る雌型1の隅部1a
の曲率半径は極力小さく形成されている。図3、図7及
び図9(a)に記載の突起部3aの場合、高さは例えば
約0.5mmであり、形状は雌型1の隅部1aの形状と
ほぼ等しくなっている。
【0017】突起部3aの断面形状には、図9(a)に
示す山形の他に、図9(b)に示す丸形や、図9(c)
に示す四角形があるが、丸形の場合にはワーク2のコー
ナ2dは従来の丸いR形状になってしまうため、図10
に示すように、ワーク2のコース2dに鋭利なエッジ2
cを生じさせるためには、山形の突起部3aを用いる。
四角形の突起部3aは、予め鈍角にかつ鋭利なエッジ2
cに形成しておいたワーク2のコーナ2dを、例えば直
角に再プレス成形する際に用いる形状である。
【0018】ワーク2は、図4に示すように、夫々の板
厚が例えば0.35mmの例えば純アルミニウム板であ
る軟材2aと例えばSUS304ステンレス板である硬
材2bとを板厚が0.64mmになるように、温間で圧
延して板厚方向に接合したものである。圧延接合したの
は、単に軟材2aと硬材2bとを重ねただけではプレス
加工時に加工圧力の分散により軟材2aと硬材2bとが
ずれてしまい鋭利なエッジ2cが形成されないためであ
る。
【0019】本発明の第2実施例に係るワークのコーナ
エッジ形成方法(請求項5)は、図16において、雌型
1上に配置されたワーク2にパンチ3をプレスして押し
込むことにより該ワーク2の雌型1側にエッジ2cを生
じさせるワークのコーナエッジ形成方法において、雌型
1のうちエッジ2cの形成に関わる隅部1aは曲率半径
を極力小さく形成しておき、第1の部材の一例たる硬材
2bと第2の部材の一例たる軟材2aとが板厚方向に接
合されたワーク2の硬材2b側に、少なくともエッジ2
cの形成に必要な長さを持った稜線状の突起部3aが形
成されたパンチ3を該突起部3aと雌型1の隅部1aと
が接近するようにプレスすることにより、突起部3aで
硬材2bを圧縮し応力が広範囲に分散した圧力4を該硬
材2bに生じさせて該圧力4により軟材2aを広範囲か
ら押圧してワーク2の雌型1側に亀裂を生じさせること
なく鋭利なエッジ2cを生じさせる方法である。
【0020】そして本発明に係るワークのコーナエッジ
形成方法(請求項1)は、雌型上に配置されたワークに
パンチをプレスして押し込むことにより該ワークの雌型
側にエッジを生じさせるワークのコーナエッジ形成方法
において、第1の部材と第2の部材とが板厚方向に接合
されたワークの第1の部材側に、突起部が形成されたパ
ンチをプレスすることにより、突起部で第1の部材を圧
縮し該第1の部材に生じた圧力4により第2の部材を押
圧してワークの雌型側に亀裂を生じさせることなく鋭利
なエッジを生じさせる方法である。
【0021】また本発明に係るワークのコーナエッジ形
成方法(請求項2)は、雌型上に配置されたワークにパ
ンチをプレスして押し込むことにより該ワークの雌型側
にエッジを生じさせるワークのコーナエッジ形成方法に
おいて、第1の部材と第2の部材とが板厚方向に接合さ
れたワークの第1の部材側に、突起部が形成されたパン
チをプレスすることにより、突起部で第1の部材を圧縮
し応力が広範囲に分散した圧力4を該第1の部材に生じ
させて該圧力4により第2の部材を広範囲から押圧して
ワークの雌型側に亀裂を生じさせることなく鋭利なエッ
ジを生じさせる方法である。
【0022】また本発明に係るワークのコーナエッジ形
成方法(請求項3)は、雌型上に配置されたワークにパ
ンチをプレスして押し込むことにより該ワークの雌型側
にエッジを生じさせるワークのコーナエッジ形成方法に
おいて、第1の部材と第2の部材とが板厚方向に接合さ
れたワークの第1の部材側に、少なくともエッジの形成
に必要な長さを持った稜線状の突起部が形成されたパン
チをプレスすることにより、突起部で第1の部材を圧縮
し応力が広範囲に分散した圧力4を該第1の部材に生じ
させて該圧力4により第2の部材を広範囲から押圧して
ワークの雌型側に亀裂を生じさせることなく鋭利なエッ
ジを生じさせる方法である。
【0023】本発明は、上記のような工具及び材料によ
り実施され、以下その作用について説明する。まず本発
明方法の第1実施例において、ワーク2のコーナ2dを
鈍角で鋭利なエッジ2cに成形するときの作用について
説明すると、図5から図8に示すように、予め雌型1と
パンチ3は、例えば雌型1が上になり、パンチ3が下に
なるように図示しないプレス機に取り付けておくものと
し、ワーク2については、コーナ2dを鋭利なエッジ2
cに加工する直前の工程まで既に終了しているものとす
る。
【0024】図6に示すように、ワーク2を雌型1に配
置した後、矢印A方向へ下降させて冷間でプレスする
と、図7に示すように、パンチ3の突起部3aがワーク
2の軟材2aにくい込む。このとき突起部3aが軟材2
aを圧縮することにより、図10に示すように、突起部
3aがくい込んだ箇所の軟材2aが矢印B方向に押し込
まれるように圧縮され、図7に示すように、応力が広範
囲に分散した圧力4が該軟材2aに生じ、該圧力4によ
り硬材2bが広範囲から押圧されて雌型1の隅部1aま
で押し込まれるので、図8に示すように、ワーク2の雌
型1側、即ち硬材2b側に亀裂を生じることなく鋭利な
エッジ2cが形成される。
【0025】本発明方法を用いると、例えば図11と図
12に示す腕時計のフレームのような外装部品のワーク
2や、図16に示す浮き文字2eが刻印されたワーク2
の該浮き文字2eに、デザイン上見栄えのよいエッジ2
cを鋳造や鍛造といった高コストの手段によることな
く、安価なプレス加工によって形成することができる。
またパンチ3は軟材2aに押し込まれることから、該パ
ンチ3に作用する応力が小さいので、寿命が大幅に向上
する。
【0026】次に本発明方法を用いてワーク2のコーナ
2dに直角なエッジ2cを形成する場合の作用について
説明する。図13から図15において、例えば図9
(c)に示す四角形の突起部3aを持ったパンチ3と鈍
角な隅部1aを持った雌型2を用いて、ワーク2の軟材
2a側から突起部3aを押し込むようにプレスすること
により、まず鈍角なエッジ2cがワーク2のコーナ2d
の硬材2b側に形成される。
【0027】続いて図15に示すように、四角形の突起
部3aを持ったパンチ3と直角な隅部1aを持った雌型
2を用いて、鈍角なエッジ2cが形成されたワーク2を
直角に折り曲げるようにしながら突起部3aを軟材2a
側から押し込むようにプレスすることにより、軟材2a
が矢印C方向に圧縮され、応力が広範囲に分散した圧力
(図示せず)が該軟材2aに生じ、該圧力により硬材2
bが広範囲から押圧されて雌型1の隅部1aまで矢印D
方向に押し込まれるので、ワーク2の雌型1側、即ち硬
材2b側に亀裂を生じることなく直角で鋭利なエッジ2
cが形成される。
【0028】本発明方法の第2実施例の作用について説
明すると、第1実施例と同様に、雌型1とパンチ3は、
例えば雌型1が上になり、パンチ3が下になるように図
示しないプレス機に取り付けておくものとし、ワーク2
については、コーナ2dを鋭利なエッジ2cに加工する
直前の工程まで既に終了しているものとする。
【0029】図17に示すように、雌型1を矢印A方向
へ加工させて冷間でプレスすると、パンチ3の突起部3
aがワーク2の硬材2bにくい込む。このとき突起部3
aが硬材2bを圧縮することにより、突起部3aがくい
込んだ箇所の硬材2bが押し込まれるように圧縮され、
応力が広範囲に分散した圧力(図示せず)が該硬材2b
に生じ、該圧力により軟材2aが広範囲から押圧されて
雌型1の隅部1aまで押し込まれるので、ワーク2の雌
型1側、即ち軟材2a側に亀裂を生じることなく鋭利な
エッジ2cが形成される。
【0030】以上のように、本発明方法を用いると、プ
レス工程のみで、ステンレス鋼のような硬くて延性が少
く機械加工性が悪い薄板材料又はアルミニウムのような
柔らかくて靱性が少なく脆い薄板材料でも亀裂を生じさ
せることなく鋭利なエッジを形成することが可能であ
る。
【0031】
【発明の効果】本発明は、上記のように軟材と硬材とが
板厚方向に例えば圧延接合されたワークを用いたので、
圧延接合されていない単なる2枚重ねの板材をプレスし
たときに圧力の分散により生じる板材のずれやこれに起
因する亀裂を防止することができ、またこの結果圧力を
ワークのコーナに集中させて該コーナの雌型側に亀裂を
生じさせることなく鋭利なエッジを形成することができ
るという非常に優れた効果が得られる。
【0032】また雌型のうちエッジの形成に関わる隅部
は曲率半径を極力小さく形成しておき、軟材と硬材とが
板厚方向に接合されたワークの軟材側に、少なくともエ
ッジの形成に必要な長さを持った稜線状の突起部が形成
されたパンチを該突起部と雌型の隅部とが接近するよう
にプレスするようにしたので、突起部で軟材を圧縮し応
力が広範囲に分散した圧力を該軟材に生じさせて該圧力
により硬材を広範囲から押圧できる効果があり、またこ
の結果安価なプレス加工であっても鋳造や鍛造と同様
に、ワークの雌型側に亀裂を生じさせることなく見栄え
のある稜線状の鋭利なエッジを生じさせ、高級感のある
部品のコストを大幅に低減させることができる効果があ
る。
【0033】更には、上記したように、ワークの軟材側
にパンチをプレスすることで、プレス時にパンチに作用
する応力を軽減させることができ、またこの結果ワーク
に鋭利なエッジを形成するにもかかわらず、金型の寿命
を大幅に向上させることができる効果がある。
【0034】また硬材側からパンチを押し込むことで、
例えばアルミニウムのような靱性が少なく脆い軟材であ
っても、亀裂を生じさせることなく鋭利なエッジを形成
することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1から図16は本発明の第1実施例に係り、
図1は雌型の斜視図である。
【図2】パンチの斜視図である。
【図3】雌型とパンチを合わせた状態を示す縦断面図で
ある。
【図4】ワークの縦断面図である。
【図5】コーナが丸い状態を示すワークの縦断面図であ
る。
【図6】ワークを雌型に配置し、パンチで軟材側からプ
レスする状態を示す縦断面図である。
【図7】ワークを雌型に配置し、パンチで軟材側からプ
レスした状態及び硬材に作用する分布負荷を示す縦断面
図である。
【図8】コーナが鋭利なエッジに形成されたワークの縦
断面図である。
【図9】パンチの突起部と雌型の隅部の種類を示す縦断
面図である。
【図10】図9(a)のパンチと雌型の組合せで軟材側
からワークをプレスしている状態を示す縦断面図であ
る。
【図11】硬材側のコーナに稜線状の鋭利なエッジが形
成されたワークの斜視図である。
【図12】硬材側のコーナの稜線状の鋭利なエッジを示
すワークの部分縦断面斜視図である。
【図13】四角形の突起部を持つパンチと鈍角な隅部を
持つ雌型を用いて軟材側からワークをプレスした状態を
示す縦断面図である。
【図14】四角形の突起部を持つパンチによって軟材側
からプレスされ、硬材側のコーナに鈍角なエッジが形成
されたワークの縦断面図である。
【図15】四角形の突起部を持つパンチと直角な隅部を
持つ雌型を用いて軟材側からワークのコーナを直角にプ
レスする状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図16】軟材側からパンチを押し込むプレス加工によ
り硬材側に鋭利なエッジのある浮き文字が形成されたワ
ークの斜視図である。
【図17】本発明の第2実施例に係り、硬材側からワー
クをプレスしている状態を示す縦断面図である。
【図18】図18から図21は従来例に係り、図17は
単一素材からなりコーナが丸くRに加工されたワークの
斜視図である。
【図19】丸形の突起部を持つパンチと丸形の隅部を持
つ雌型を用いて単一素材からなるワークをプレスした状
態を示す縦断面図である。
【図20】四角形の突起部を持つパンチと直角の隅部を
持つ雌型を用いて単一素材からなるワークをプレスした
状態を示す縦断面図である。
【図21】四角形の突起部を持つパンチと直角の隅部を
持つ雌型を用いて単一素材からなるワークをプレスした
ときのワークの内部組織の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 雌型 2 ワーク 2a 軟材 2b 硬材 2c エッジ 3 パンチ 3a 突起部 4 圧力

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雌型上に配置されたワークにパンチをプ
    レスして押し込むことにより該ワークの前記雌型側にエ
    ッジを生じさせるワークのコーナエッジ形成方法におい
    て、第1の部材と第2の部材とが板厚方向に接合された
    前記ワークの前記第1の部材側に、突起部が形成された
    前記パンチをプレスすることにより、前記突起部で前記
    第1の部材を圧縮し該第1の部材に生じた圧力により前
    記第2の部材を押圧して前記ワークの前記雌型側に亀裂
    を生じさせることなく鋭利なエッジを生じさせることを
    特徴とするワークのコーナエッジ形成方法。
  2. 【請求項2】 雌型上に配置されたワークにパンチをプ
    レスして押し込むことにより該ワークの前記雌型側にエ
    ッジを生じさせるワークのコーナエッジ形成方法におい
    て、第1の部材と第2の部材とが板厚方向に接合された
    前記ワークの前記第1の部材側に、突起部が形成された
    前記パンチをプレスすることにより、前記突起部で前記
    第1の部材を圧縮し応力が広範囲に分散した圧力を該第
    1の部材に生じさせて該圧力により前記第2の部材を広
    範囲から押圧して前記ワークの前記雌型側に亀裂を生じ
    させることなく鋭利なエッジを生じさせることを特徴と
    するワークのコーナエッジ形成方法。
  3. 【請求項3】 雌型上に配置されたワークにパンチをプ
    レスして押し込むことにより該ワークの前記雌型側にエ
    ッジを生じさせるワークのコーナエッジ形成方法におい
    て、第1の部材と第2の部材とが板厚方向に接合された
    前記ワークの前記第1の部材側に、少なくともエッジの
    形成に必要な長さを持った稜線状の突起部が形成された
    前記パンチをプレスすることにより、前記突起部で前記
    第1の部材を圧縮し応力が広範囲に分散した圧力を該第
    1の部材に生じさせて該圧力により前記第2の部材を広
    範囲から押圧して前記ワークの前記雌型側に亀裂を生じ
    させることなく鋭利なエッジを生じさせることを特徴と
    するワークのコーナエッジ形成方法。
  4. 【請求項4】 雌型上に配置されたワークにパンチをプ
    レスして押し込むことにより該ワークの前記雌型側にエ
    ッジを生じさせるワークのコーナエッジ形成方法におい
    て、前記雌型のうちエッジの形成に関わる隅部は曲率半
    径を極力小さく形成しておき、軟材と硬材とが板厚方向
    に接合された前記ワークの前記軟材側に、少なくともエ
    ッジの形成に必要な長さを持った稜線状の突起部が形成
    された前記パンチを該突起部と前記雌型の前記隅部とが
    接近するようにプレスすることにより、前記突起部で前
    記軟材を圧縮し応力が広範囲に分散した圧力を該軟材に
    生じさせて該圧力により前記硬材を広範囲から押圧して
    前記ワークの前記雌型側に亀裂を生じさせることなく鋭
    利なエッジを生じさせることを特徴とするワークのコー
    ナエッジ形成方法。
  5. 【請求項5】 雌型上に配置されたワークにパンチをプ
    レスして押し込むことにより該ワークの前記雌型側にエ
    ッジを生じさせるワークのコーナエッジ形成方法におい
    て、前記雌型のうちエッジの形成に関わる隅部は曲率半
    径を極力小さく形成しておき、硬材と軟材とが板厚方向
    に接合された前記ワークの前記硬材側に、少なくともエ
    ッジの形成に必要な長さを持った稜線状の突起部が形成
    された前記パンチを該突起部と前記雌型の前記隅部とが
    接近するようにプレスすることにより、前記突起部で前
    記硬材を圧縮し応力が広範囲に分散した圧力を該硬材に
    生じさせて該圧力により前記軟材を広範囲から押圧して
    前記ワークの前記雌型側に亀裂を生じさせることなく鋭
    利なエッジを生じさせることを特徴とするワークのコー
    ナエッジ形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012101826A1 (ja) * 2011-01-28 2012-08-02 トヨタ自動車株式会社 プレス成形用金型
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