JP3683164B2 - 打ち抜き加工方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は打ち抜き加工方法及びその装置に関し、詳しくは基壁部から一体に突出又は屈曲した被加工壁部を打ち抜き加工する打ち抜き加工方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、基壁部から一体に突出又は屈曲した被加工壁部を有する被加工材に対して、押さえ型、ダイス及びパンチを用いて穴抜き等の打ち抜き加工を施すことがなされている。
【0003】
この打ち抜き加工は、基壁部の一面側及び被加工壁部の一面側にダイスの底面及び側面をそれぞれ配設するとともに、基壁部の他面側及び被加工壁部の他面側に押さえ型を配設した状態で、被加工壁部に対して押さえ型側からダイス側へ向かってパンチを打ち抜くことにより、被加工壁部に穴抜きの打ち抜き加工を施すものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の打ち抜き加工では、被加工材に寸法バラツキ(被加工壁部の位置や厚さ等のバラツキ)があると、そのバラツキに応じて被加工材とダイス及び押さえ型との間に隙間が生じてしまうことから、打ち抜き加工後に被加工材が変形したり、打ち抜き精度が低下したりするという問題があった。
【0005】
例えば、被加工壁部とダイスの側面との間に隙間があると、この隙間分だけ被加工壁部のダイス側への倒れ込みが許容されることから、打ち抜き加工時、打ち抜き荷重により基壁部と被加工壁部との境界部付近で曲がりが発生し、被加工壁部が上記隙間分だけ傾いてしまう。このように傾いた状態の被加工壁部に例えば穴抜き加工を施せば、打ち抜かれた穴が斜めに空いてしまい、打ち抜き精度が低下する。そして、この被加工壁部の傾きや上記境界部付近での曲がりの程度は上記隙間の大きさ等に依存することから、個々の被加工材における寸法バラツキによって様々な変形や打ち抜き精度の低下が発生してしまう。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、被加工材に寸法バラツキがあっても、打ち抜き加工後の変形や打ち抜き精度の低下を抑えることを解決すべき技術課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の打ち抜き加工方法は、基壁部と、該基壁部から一体に突出又は屈曲する被加工壁部とを有する被加工材に対して、押さえ型、ダイス及びパンチを用いて打ち抜き加工する打ち抜き加工方法であって、
上記基壁部の一面側及び上記被加工壁部の一面側に上記ダイスの底面及び側面をそれぞれ配設するとともに、該基壁部の他面側及び該被加工壁部の他面側に押さえ型を配設する配設工程と、
上記被加工壁部に対して、上記押さえ型側から上記ダイス側へ向かって上記パンチを打ち抜くことにより、該被加工壁部を打ち抜き加工する加工工程とを備え、
上記基壁部と上記被加工壁部との境界部に当接する上記ダイスの肩部には該ダイスの側面から所定量突出する横突起が設けられ、上記配設工程で該横突起が当接又は圧接された該被加工壁部を上記押さえ型で押さえることにより該ダイスの側面と該被加工壁部との間に所定の隙間を形成するとともに、上記加工工程で打ち抜き荷重により該被加工壁部が該ダイス側へ倒れ込む変形量を該隙間で規制、調整することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の打ち抜き加工方法は、好適な態様において、前記ダイスの肩部には該ダイスの底面から所定量突出する縦突起が設けられ、前記配設工程で前記基壁部と前記被加工壁部との境界部が該縦突起及び前記横突起により前記押さえ型に押圧される。
【0009】
本発明の打ち抜き加工方法は、好適な態様において、前記加工工程の後に、前記基壁部と前記加工壁部との境界部及び該被加工壁部を前記押さえ型で押さた状態で、前記横突起を該被加工壁部に圧接させながら前記被加工部材から前記ダイスを引く抜く仕上げ工程を実施する。
【0010】
上記課題を解決する本発明の打ち抜き加工装置は、基壁部と、該基壁部から一体に突出又は屈曲する被加工壁部とを有する被加工材の該被加工壁部を打ち抜き加工する打ち抜き加工装置であって、
上記基壁部の一面側に底面が配設されるとともに上記被加工壁部の一面側に側面が配設されるダイスと、
上記基壁部の他面側及び上記被加工壁部の他面側に配設される押さえ型と、
上記押さえ型側から上記ダイス側へ向かって上記被加工壁部を打ち抜くパンチとを備え、
上記基壁部と上記被加工壁部との境界部に当接する上記ダイスの肩部には、該ダイスの側面から所定量突出する横突起、及び該ダイスの底面から所定量突出する縦突起のうちの少なくとも横突起が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の打ち抜き加工方法では、基壁部と、該基壁部から一体に突出又は屈曲する被加工壁部とを有する被加工材に対し、押さえ型、ダイス及びパンチを用いて配設工程及び加工工程を順に実施して打ち抜き加工する。
【0012】
上記被加工材の形状としては、基壁部と、この基壁部から一体に突出又は屈曲する被加工壁部とを有するものであれば特に限定されない。例えば、平板状の基壁部と、この基壁部の両端付近から一体に略直角に屈曲して互いに略平行に延在する一対の被加工壁部とを有する断面略U字状部をもつ被加工材や、あるいは平板状の基壁部の略中央又は一端付近から一つの被加工壁部が一体に略直角に突出又は屈曲する断面略T字状部又は断面略L字状部をもつ被加工材を用いることができる。
【0013】
また、被加工材の材質も特に限定されず、鋼材、アルミニウムや銅等を採用することができる。
【0014】
上記ダイスとしては、被加工材の基壁部の一面側に配設される底面と、被加工壁部の一面側に配設される側面とを有するものを用いる。例えば、断面略U字状部をもつ被加工材を打ち抜き加工する場合は、被加工材の基壁部の上面に配設される底面と、両被加工壁部の対向内面に配設される両側面とを有するダイスを用いることができる。なお、このダイスの側面には、打ち抜き加工時にパンチが挿通される所定形状のダイス孔が所定部位に設けられている。
【0015】
そして、本発明方法で用いるダイスには、被加工材の基壁部と被加工壁部との境界部に当接する肩部に、ダイスの側面から所定量突出する横突起が設けられている。この横突起は、配設工程において、該横突起が当接又は圧接された被加工壁部が上記押さえ型で押さえられることにより、ダイスの側面と被加工壁部との間に所定の隙間を形成するとともに、加工工程において、パンチの打ち抜き荷重により被加工壁部がダイス側へ倒れ込む変形量を、該被加工壁部の先端がダイスの側面に当接することにより規制、調整するものである。かかる横突起の突出量は、被加工材に発生しうる寸法バラツキの範囲を予め求めておき、そのバラツキ量に応じて設定することができる。すなわち、横突起の突出量は、配設工程でダイスの側面を被加工壁部の一面に配設したときに横突起を該被加工壁部に少なくとも当接させることができ(言い換えれば、横突起を被加工壁部に当接又は圧接させることができ)、かつ、加工工程で被加工壁部と基壁部との境界部が打ち抜き荷重により曲がって該被加工壁部がダイス側に傾いたときに、この変形が弾性変形域の範囲内に納まるように定めることが好ましい。配設工程でダイスの側面を被加工壁部の一面に配設したときに横突起が該被加工壁部に少なくとも当接していれば、加工工程時に該被加工壁部が傾く変形量は常にほぼ横突起の突出量、すなわち上記隙間分とすることができる。また、加工工程時における上記境界部の変形が弾性変形域にあれば、加工工程後に脱型した際、弾性復元により被加工壁部の形状をほぼ元の形状に戻すことができる。具体的には、被加工材の寸法バラツキが0〜0.3mm程度のとき、横突起の突出量は0.2〜0.5mm程度とすることが好ましい。
【0016】
また、ダイスの肩部には、ダイスの底面から所定量突出する縦突起を設けることが好ましい。かかる縦突起を設けた場合は、配設工程において、上記横突起と共にこの縦突起により、被加工壁部と基壁部との境界部を該境界部の外側に配設された押さえ型に押圧して、該境界部を押さえ型の型面に沿って倣わせることができる。このため、配設工程及び加工工程において、該境界部付近の曲がりのバラツキを抑えることができる。
【0017】
また、配設工程において、上記横突起が被加工壁部に強く圧接される場合は、被加工材に対してダイスを配設する際に被加工壁部の一面側がダイスの横突起により強く圧接されることにより、該被加工壁部が他面側に向かってダイスの側面から大きく離れるように上記境界部が塑性変形し、該境界部の内面側に引張の曲げ応力が残留するとともに、該境界部の外面側に圧縮の曲げ応力が残留する。このとき、ダイスの肩部に縦突起が設けられていれば、その後被加工壁部と基壁部との境界部を外側から押さえ型で押さえることにより、該境界部の内側が当接する縦突起を支点として被加工壁部がダイスの側面に近づく方向に該境界部を塑性変形させることができる。これにより、該境界部の外面側に残留していた圧縮の曲げ応力を引張の曲げ応力に変えることができ、該境界部に存在していた曲げ応力を緩和又は解消することができる。このため、加工工程後における境界部の曲がりのバラツキを抑えることができる。この縦突起の突出量は、上記したような機能を有効に発揮し得るように0.05〜3.0mm程度とすることが好ましい。
【0018】
上記押さえ型としては、被加工材の基壁部及び被加工壁部を押さえてこれらを所定位置及び所定形状に保持しうるものであれば特に限定されない。例えば、断面略U字状部をもつ被加工材を打ち抜き加工する場合は、被加工材の基壁部となる底壁の下面、及び両被加工壁部の外面に当接又は圧接されうる押さえ型とすることができる。但し、基壁部と被加工壁部との境界部における曲がりのバラツキを効果的に抑える等の観点より、該境界部の外面を確実に押さえることができるものであることが望ましい。
【0019】
上記パンチとしては、特に限定されず、打ち抜き形状に応じて所望の形状とすることができる。
【0020】
本発明の打ち抜き加工方法における配設工程では、被加工材の基壁部の一面側及び被加工壁部の一面側にダイスの底面及び側面をそれぞれ配設するとともに、基壁部の他面側及び被加工壁部の他面側に押さえ型を配設する。例えば、断面略U字状部をもつ被加工材を打ち抜き加工する場合は、基壁部となる底壁の上面及び両被加工壁部の対向内面にダイスの底面及び両側面をそれぞれ配設するとともに、基壁部となる底壁の下面及び両被加工壁部の外面に押さえ型を配設する。
【0021】
なお、被加工材に対してダイス及び押さえ型を配設する順序については特に限定されないが、ダイスの肩部に設けられた横突起が被加工材の被加工壁部に圧接されるような場合は、被加工材に対するダイスの配設の容易性等を向上させる観点より、まずダイスを被加工材に対して圧入等により配設してから、このダイスが配設された被加工材に対して押さえ型を配設することが好ましい。
【0022】
本発明方法の打ち抜き加工方法では、上記したように基壁部と被加工壁部との境界部に当接するダイスの肩部に、該ダイスの側面から所定量突出する横突起が設けられたダイスを用いている。このため、上記配設工程では、該横突起が当接又は圧接された該被加工壁部を上記押さえ型で押さえることにより、該ダイスの側面と該被加工壁部との間に、該横突起の突出量と略同等の所定の隙間が形成される。
【0023】
そして、その後の加工工程で、被加工壁部に対して押さえ型側からダイス側へ向かってパンチを打ち抜くことにより、該被加工壁部を打ち抜き加工する。このとき、パンチの打ち抜き荷重により、被加工壁部と基壁部との境界部における弾性変形又は塑性変形を伴って被加工壁部がダイス側へ上記隙間分だけ倒れ込む。このとき、上述のとおり上記隙間は横突起の突出量と略同等とされることから、本発明の打ち抜き加工方法では、加工工程時に打ち抜き荷重により被加工壁部がダイス側へ倒れ込む変形量を上記隙間で規制、調整して常にほぼ一定のものとすることができる。このため、パンチによる打ち抜き精度を常にほぼ一定のものとすることが可能となる。また、加工工程で上記境界部が弾性変形していた場合は、この弾性変形量も上記隙間で規制されたほぼ一定のものとすることができることから、加工工程後にダイス及び押さえ型から被加工材を脱型したとき、上記境界部における弾性復元量もほぼ一定とすることができ、加工工程後の境界部における曲がりのバラツキを抑えて打ち抜き加工による変形を抑えることが可能となる。
【0024】
また、ダイスの肩部に縦突起が設けられている場合は、上記したように加工工程後に上記境界部付近に発生する曲がりのバラツキを抑えることができるため、打ち抜き加工による変形をより効果的に抑えることが可能となる。
【0025】
さらに、本発明の打ち抜き加工方法においては、上記加工工程後に、上記基壁部と上記加工壁部との境界部及び該被加工壁部を上記押さえ型で押さた状態で、上記横突起を該被加工壁部に圧接させながら上記被加工部材から上記ダイスを引く抜く仕上げ工程を実施することが好ましい。こうすることで、上記加工工程で上記境界部が塑性変形して、加工工程が終了した時点で被加工壁部がダイス側に倒れ込んでいたり、あるいは被加工材自身の形状バラツキにより被加工壁部が加工前から反っていたりしたとしても、かかる加工工程後に残存する変形を横突起のしごき加工により矯正することができる。
【0026】
上述した本発明の打ち抜き加工方法は、基壁部と、該基壁部から一体に突出又は屈曲する被加工壁部とを有する被加工材の該被加工壁部を打ち抜き加工する打ち抜き加工装置であって、上記基壁部の一面側に底面が配設されるとともに上記被加工壁部の一面側に側面が配設されるダイスと、上記基壁部の他面側及び上記被加工壁部の他面側に配設される押さえ型と、上記押さえ型側から上記ダイス側へ向かって上記被加工壁部を打ち抜くパンチとを備え、上記基壁部と上記被加工壁部との境界部に当接する上記ダイスの肩部に、該ダイスの側面から所定量突出して該ダイスの側面と該被加工壁部との間に所定の隙間を形成する横突起、及び該ダイスの底面から所定量突出して該ダイスの底面と該基壁部との間に所定の隙間を形成する縦突起のうちの少なくとも横突起が設けられた打ち抜き加工装置により実施することができる。
【0027】
かかる打ち抜き加工装置において、上記横突起及び上記縦突起の双方を設ける場合は、それぞれを別体として設けることも可能ではあるが、両者を一体として上記ダイスの肩部のコーナー部に設けることが好ましい。このようにダイスの側面及び底面の双方から横方向及び縦方向に所定量突出する一つの突起物(縦横突起)をダイスのコーナー部に設けることにより、上記基壁部と上記被加工壁部との境界部のコーナー部を該突起物で確実に押圧することが可能となる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0029】
本実施例は、図6に示すように、鋼材よりなり、平板状の基壁部11と、この基壁部11の両端から一体に略直角に屈曲して互いに平行に延びる一対の被加工壁部12、12とを有する断面略U字状部をもつ被加工材10に対して、各被加工壁部12、12にそれぞれ円形穴12a、12aを同軸的に打ち抜き加工して、ステアリングヨークやスリーブヨーク等を製造するものである。なお、この被加工材10の基壁部11には、基壁部11に貫通された軸孔13aをもつ軸部13が一体に設けられている。また、この被加工材10は、発生する寸法バラツキにより、各被加工壁部12、12間の間隔、すなわち内幅dがd1〜d2の範囲(最小値がd1で、最大値がd2)にあり、各被加工壁部12、12間の外幅DがD1〜D2の範囲(最小値がD1で、最大値がD2)にある。
【0030】
本実施例で用いる打ち抜き加工装置は、図1〜図3に示すように、ダイス20と、押さえ型30と、一対のパンチ40、40とを備えている。
【0031】
ダイス20は、図1にその断面図を示すように、一端(図1の上端)が開口する中空部20aが設けられた略直方体形状をなしている。このダイス20は、配設工程、加工工程及び仕上げ工程において、被加工材10の各被加工壁部12、12の対向内面を押さえ込む側面をそれぞれもつ一対の側壁21、21と、被加工材10の基壁部11の内面を押さえ込む底面をもつ底壁22と、基壁部11と各被加工壁部12、12との各境界部14、14を押さえ込む一対の肩部23、23とを有してる。そして、ダイス20の相対向する一対の側壁21、21には、上記中空部20aに貫通する一対の円形ダイス孔20b、20bがそれぞれ相対向する位置に設けられている。また、ダイス20の底壁22と各側壁21、21とがそれぞれ交差する一対の肩部23、23には、図1の紙面の奥行き方向に延びる一条の縦横突起24、24がそれぞれ設けられている。
【0032】
ここに、各縦横突起24、24は、ダイス20の各側壁21、21表面から横方向(図1の左右方向)に所定量(本実施例では、0.25mm)突出するとともに、ダイス20の底壁22表面から縦方向(図1の下方向)に所定量(本実施例では、0.3mm)突出している。これにより、両縦横突起24、24を除いた部分のダイス20の幅L1は、被加工材10の各被加工壁部12、12間の内幅dの最小値d1よりも若干小さく設定され(L1<d1)、かつ、両縦横突起24、24を含むダイス20の幅L2は、被加工材10の各被加工壁部12、12間の内幅dの最大値d2よりも若干大きく設定されている(L2>d2)。このため、各被加工壁部12、12間の内幅dが最大値d2となる寸法バラツキをもつ被加工材10に対してダイス20を配設した場合であっても、ダイス20の各縦横突起24、24は各被加工壁部12、12の対向内面にそれぞれ圧接される。
【0033】
なお、各被加工壁部12、12の内幅dが最大値d2となる寸法バラツキをもつ被加工材10に対してダイス20及び押さえ型30を配設したときに、各被加工壁部12、12とダイス20の側壁21、21との間に形成される隙間が最大となり、したがって加工工程で各被加工壁部12、12と基壁部11との各境界部14、14が打ち抜き荷重で曲がって各被加工壁部12、12がダイス20側に傾く変形量が最大となるが、このように最大に変形する場合であってもその変形が弾性変形域の範囲内に納まるように、上記縦横突起24の横方向への突出量が設定されている。
【0034】
押さえ型30は、図3に示すように、左右一対の分割押さえ型31、31からなる。各分割押さえ型31、31は、配設工程、加工工程及び仕上げ工程において、被加工材10の各被加工壁部12、12の外面を押さえ込む横押さえ面31a、31aと、被加工材10の基壁部11の外面を押さえ込む縦押さえ面31b、31bと、被加工材10の各被加工壁部12、12と基壁部11との各境界部14、14の外面を押さえ込む斜め押さえ面31c、31cとをそれぞれ有している。また、各分割押さえ型31、31は、各パンチ40、40が挿通可能な挿通孔31d、31dをそれぞれ有している。なお、各挿通孔31d、31dは、押さえ型30内の所定位置に被加工材10及びダイス20が配設された状態で、ダイス20の各ダイス孔20b、20bとそれぞれ同軸状となる位置に設けられている。
【0035】
ここに、各分割押さえ型31、31を型閉めした状態(図3参照)で、各横押さえ面31a、31a間の間隔Mは、被加工材10の各被加工壁部12、12間の外幅Dの最小値D1よりも若干小さく設定されている。
【0036】
各パンチ40、40は、図示しない油圧シリンダ等の駆動手段により、各分割押さえ型31、31の挿通孔31d、31d内で往復動可能とされている。
【0037】
上記構成を有する打ち抜き加工装置を用いて、打ち抜き加工する方法を以下説明する。
【0038】
(配設工程)
まず、図2に示すように、被加工材10の基壁部11の内面側にダイス20の底壁22の底面を配設するとともに、被加工材10の各被加工壁部12、12の対向内面側にダイス20の各側壁21の側面をそれぞれ配設した。
【0039】
このとき、本実施例では上述したように、両縦横突起24、24を含むダイス20の幅L2が、被加工材10の各被加工壁部12、12間の内幅dの最大値d2よりも若干大きく設定されている。このため、ダイス20は被加工材10の各被加工壁部12、12間に圧入により配設され、ダイス20の各縦横突起24、24は被加工材10の各被加工壁部12、12にそれぞれ圧接されている。その結果、被加工材10の各被加工壁部12、12と基壁部11との各境界部14、14が塑性変形により曲がり、各被加工壁部12、12がダイス20の各側壁21、21から離れる方向に傾いている。
【0040】
なお、ダイス20の各肩部23、23に設けられた各縦横突起24、24は、被加工材10の基壁部11と各被加工壁部12、12との各境界部14、14の内面にそれぞれ圧接されている。また、各境界部14、14の内面側には引張の曲げ応力が残留し、各境界部14、14の外面側には圧縮の曲げ応力が残留している。
【0041】
そして、型開きされた状態の押さえ型30内にダイス20及び被加工材10を配置した後、各分割押さえ型31、31を型閉めすることにより、図3に示すように、被加工材10の基壁部11、各被加工壁部12、12及び各境界部14、14の外面に押さえ型30を配設した。なお、ダイス20の上側には図示しない上押さえ型が配設されており、ダイス20の底壁22が被加工材10の基壁部11の内面に圧接されるとともに、この基壁部11の外面が押さえ型30の各縦押さえ面31b、31bに圧接されている。また、被加工材10の各被加工壁部12、12の外面は、押さえ型30の各横押さえ面31a、31aにより押さえ込まれて、各該横押さえ面31a、31aに圧接されている。
【0042】
このとき、本実施例では、ダイス20の各肩部23、23には底壁22の底面から縦方向に所定量突出する縦横突起24、24が設けられるとともに、押さえ型30には被加工材10の各被加工壁部12、12と基壁部11との各境界部14、14の外面を押さえ込む斜め押さえ面31c、31cが設けられている。このため、被加工材10の各境界部14、14の外面が各斜め押さえ面31c、31cにより押さえ込まれることにより、各境界部14、14の内側が当接する各縦横突起24、24を支点として各被加工壁部12、12がダイス20の各側壁21、21の側面に近づく方向に各該境界部14、14が塑性変形する。その結果、各境界部14、14の外面側に残留していた圧縮の曲げ応力を引張の曲げ応力に変えることができ、各境界部14、14の内面側及び外面側の双方に引張の曲げ応力を作用させることができる。これにより、各境界部14、14に存在していた曲げ応力を緩和又は解消することができ、加工工程後における各境界部14、14の曲がりのバラツキを抑えることができる。
【0043】
また、各被加工壁部12、12とダイス20の各側壁21、21の側面との間に所定の隙間を形成することができる。なお、被加工材10の寸法バラツキにより、被加工材10の各境界部14、14と押さえ型30の各斜め押さえ面31c、31cとの間に仮に隙間が存在していたとしても、ダイス20の底面から突出する各縦横突起24、24により、各該境界部14、14を各上記斜め押さえ面31c、31cの型面に沿って倣わせることができる。これにより、加工工程後に境界部14、14付近に発生する曲がりのバラツキを抑えることができ、打ち抜き加工による変形を効果的に抑えることが可能となる。
【0044】
(加工工程)
次に、図4に示すように、図示しない駆動手段により各パンチ40、40を作動させ、各分割押さえ型31、31側からダイス20側へ向かって、被加工材10の各被加工壁部12、12を各パンチ40、40で打ち抜き加工した。
【0045】
このとき、各パンチ40、40の打ち抜き荷重により、各被加工壁部12、12と基壁部11との各境界部14、14における弾性変形を伴って各被加工壁部12、12がダイス20の各側壁21、21側へ上記隙間分だけ倒れ込む。この隙間は、各縦横突起24、24の横方向への突出量と略同等とされている。このため、本実施例では、加工工程時に打ち抜き荷重により各被加工壁部12、12がダイス20側へ倒れ込む変形量を上記隙間で規制、調整して常にほぼ一定のものとすることができる。したがって、パンチ40、40による打ち抜き精度を常にほぼ一定のものとすることが可能となる。
【0046】
なお、後述する仕上げ工程を実施することなく、このまま脱型した場合は、加工工程における各境界部14、14の弾性変形量が上記隙間で規制されたほぼ一定のものとされていることから、各境界部14、14における弾性復元量もほぼ一定とすることができ、加工工程後の境界部14、14における曲がりのバラツキを抑えて打ち抜き加工による変形を抑えることが可能となる。
【0047】
(仕上げ工程)
本実施例では、上記加工工程の後に、被加工材10を型閉めされた押さえ型30内に配設したままの状態で、ダイス20を被加工材10から引く抜くことにより仕上げ工程を実施した。
【0048】
すなわち、図5に示すように、被加工材10の基壁部11、各被加工壁部12、12及び各境界部14、14の外面を押さえ型30で押さえた状態で、ダイス20の各縦横突起24、24を各被加工壁部12、12に圧接させながら被加工材10からダイス20を引く抜いた。
【0049】
これにより、被加工材10自身の形状バラツキにより、各被加工壁部12、12が配設工程前から反っていたりしたとしても、この仕上げ工程における各縦横突起24、24のしごき加工により矯正することができる。また、仮に加工工程で各境界部14、14が塑性変形して、加工工程が終了した時点で各被加工壁部12、12がダイス20側に倒れ込んでいたとしても、かかる変形も各縦横突起14、14のしごき加工により矯正することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る打ち抜き加工方法及びその装置によれば、横突起が当接又は圧接された被加工材の被加工壁部を押さえ型で押さえて、ダイスの側面と被加工壁部との間に横突起の突出量と略同等の所定の隙間を形成することにより、加工工程時に打ち抜き荷重により被加工壁部がダイス側へ倒れ込む変形量を上記隙間で規制、調整して常にほぼ一定のものとすることができることから、被加工材に寸法バラツキがあっても、打ち抜き加工後の変形や打ち抜き精度の低下を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係り、ダイスの断面図である。
【図2】本発明の実施例に係り、被加工材にダイスを配設した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例に係り、被加工材にダイス及び押さえ型を配設した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例に係り、被加工材の被加工壁部をパンチで打ち抜いた状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例に係り、仕上げ工程を実施する様子を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例で打ち抜き加工を施した被加工材を示し、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【符号の説明】
10…被加工材 11…基壁部
12…被加工壁部 14…境界部
20…ダイス 21…側壁
22…底壁 23…肩部
24…縦横突起 30…押さえ型
40…パンチ
Claims (4)
- 基壁部と、該基壁部から一体に突出又は屈曲する被加工壁部とを有する被加工材に対して、押さえ型、ダイス及びパンチを用いて打ち抜き加工する打ち抜き加工方法であって、
上記基壁部の一面側及び上記被加工壁部の一面側に上記ダイスの底面及び側面をそれぞれ配設するとともに、該基壁部の他面側及び該被加工壁部の他面側に押さえ型を配設する配設工程と、
上記被加工壁部に対して、上記押さえ型側から上記ダイス側へ向かって上記パンチを打ち抜くことにより、該被加工壁部を打ち抜き加工する加工工程とを備え、
上記基壁部と上記被加工壁部との境界部に当接する上記ダイスの肩部には該ダイスの側面から所定量突出する横突起が設けられ、上記配設工程で該横突起が当接又は圧接された該被加工壁部を上記押さえ型で押さえることにより該ダイスの側面と該被加工壁部との間に所定の隙間を形成するとともに、上記加工工程で打ち抜き荷重により該被加工壁部が該ダイス側へ倒れ込む変形量を該隙間で規制、調整することことを特徴とする打ち抜き加工方法。 - 前記ダイスの肩部には該ダイスの底面から所定量突出する縦突起が設けられ、前記配設工程で前記基壁部と前記被加工壁部との境界部が該縦突起及び前記横突起により前記押さえ型に押圧されることを特徴とする請求項1記載の打ち抜き加工方法。
- 前記加工工程の後に、前記基壁部と前記加工壁部との境界部及び該被加工壁部を前記押さえ型で押さた状態で、前記横突起を該被加工壁部に圧接させながら前記被加工部材から前記ダイスを引く抜く仕上げ工程を実施することを特徴とする請求項1又は2記載の打ち抜き加工方法。
- 基壁部と、該基壁部から一体に突出又は屈曲する被加工壁部とを有する被加工材の該被加工壁部を打ち抜き加工する打ち抜き加工装置であって、
上記基壁部の一面側に底面が配設されるとともに上記被加工壁部の一面側に側面が配設されるダイスと、
上記基壁部の他面側及び上記被加工壁部の他面側に配設される押さえ型と、
上記押さえ型側から上記ダイス側へ向かって上記被加工壁部を打ち抜くパンチとを備え、
上記基壁部と上記被加工壁部との境界部に当接する上記ダイスの肩部には、該ダイスの側面から所定量突出する横突起、及び該ダイスの底面から所定量突出する縦突起のうちの少なくとも横突起が設けられていることを特徴とする打ち抜き加工装置。
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