JPH0558311B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明はフアクシミリの感熱転写記録装置に関
するものである。

〔発明の技術的背景〕

従来フアクシミリ受信装置では、両信号を受信
し記録する手段として主に静電記録方式と感熱記
録方式が採用されている。これらのうち静電記録
方法は高速、高解像度記録が可能であるという優
れた特長があるが、現像、定着プロセスが不可欠
であるため装置が複雑、高価になり、また記録紙
が高くランニングコストが比較的嵩む欠点があ
る。一方、感熱記録方式は熱による一次発色によ
り画像を得るので、現像・定着プロセスが不要と
なり、装置を比較的簡単に構成できるという利点
を有するが、記録紙が特殊紙で保存性、耐改ざん
性に難がある。

そこで、最近記録媒体として安価な普通紙を使
用し得るようにした感熱転写記録方式のフアクシ
ミリへの適用が検討されている。第５図は、この
ような感熱転写記録方式の原理を示したものであ
る。感熱転写記録方式は紙、樹脂などのベースフ
イルム１ｂに着色材を含む熱溶融性の固体状イン
ク層１ａを設けた記録のマスタ材であるインクリ
ボン１と、普通紙である記録紙２とを、インク層
１ａが記録紙２に接触するように密着して重ね合
わせ、かつインクリボン１のベースフイルム１ｂ
が感熱ヘツド３の発熱素子３ａに接触するよう
に、プラテンローラ４により加圧しつつ矢印の方
向に走行させる。そして、記録すべき画像信号に
応じて選択的にパルス電流５を流すと、発熱素子
で熱エネルギが発生し、それがインクリボン１の
ベースフイルム１ｂを介して、その上の固体イン
ク層１ａを溶融し、粘着性を帯びさせる。溶融し
たインクは、プラテンローラ４に加えられた圧力
により記録紙２に転写され永久像となる。

この記録方式では、普通紙を使用し、かつ現像
定着プロセスを必要としないので、ランニングコ
ストを比較的安価にすることができ、装置を単
純、小形に構成し、低価格で製作できるという利
点がある。更に、インクには着色材として耐候性
の良いものが使用でき、かつ普通紙上の必要な部
分にのみインクが転写されるので記録紙および記
録画像の保存性、耐改ざん性は、前述した感熱記
録に比べて著しく改善される。

〔背景技術の問題点〕

しかしながら、この感熱転写記録方式をフアク
シミリに適用して受信記録を行うには、必要な
種々の要件が未だ十分に満足されていない。

例えば、従来感熱転写記録方式をフアクシミリ
に適用した例では、予め所定の長さ例えばA4ま
たはB4に調整された単葉記録紙にインクリボン
を一対一に対応して重ね合わせ、それらを一体に
貼着させたものを使用しているため、単葉記録紙
より短い長さの送信原稿を受信記録する場合、記
録紙ばかりでなく、インクリボンにも全く記録に
関与しない余白部分が生じ、処理プロセス的にも
コスト的にも無駄である。

さらに、記録後排出された記録紙からインクリ
ボンを引き剥す作業が必要となり、受信記録画の
取扱い等、その操作性が煩雑である。

これらの課題を解決するために従来では、感熱
ヘツドとプラテンローラとの間に、それぞれ独立
してロール状に巻回されたインクリボンおよび記
録紙を重ね合わせて供給し、これらインクリボン
および記録紙を互いに圧接させた状態で前記感熱
ヘツドを選択的に駆動することにより、前記記録
紙にインクリボンの転写像による記録を行い、さ
らに前記記録紙と前記インクリボンとを記録後に
離隔させ、記録された部分の記録紙を送信原稿に
対応したサイズに切断するようにしたフアクシミ
リの感熱転写記録装置が提供されている。

しかしながら、上述したフアクシミリの感熱転
写記録装置では、記録紙を切断する位置と記録位
置とを同一位置に設けることができないため、記
録終了後に記録紙をその記録終端位置が記録紙切
断位置に到達するまで搬送しなければならず、今
度はこの搬送距離だけ記録紙およびインクリボン
が無駄となる問題が生じる。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、上記問題点に鑑みて、インク
リボンおよび記録紙両者の無駄を可及的になくす
ことのできるフアクシミリの感熱転写記録装置を
提供することにある。

〔発明の概要〕

本発明では、記録が終了すると、独立してロー
ル状に巻回された記録紙とインクリボンとが互い
に離隔され、その後記録された部分の記録紙が送
信原稿に対応したサイズに切断される。

記録紙が切断されると、プラテンローラが逆転
され、未記録部分の記録紙切断端部が記録位置ま
で戻される。その際、プラテンローラの逆転が動
力伝達手段を介してインクリボンの供給側ロール
に伝達されるため、記録に関与しなかつたインク
リボンが記録紙と同一速度で前記供給側ロールに
巻き戻され、前記記憶位置で記録紙に重ね合わさ
れた状態で待機する。

〔発明の実施例〕

以下、本発明を適用した一つの実施例を図面を
参照して詳細に説明する。

第１図は、同実施例におけるフアクシミリ受信
装置の構成を示す断面図である。同図において、
１０は、巻芯１１に連続して巻装された幅Ｗ（例
えば、257mm）、長さＬ（例えば、100m）なる普通
紙の記録紙で、記録紙ホルダ１２に回転可能に支
持されている。この記録紙ホルダ１２は、例えば
第２図のように固定スプール１３と可動スプール
１４とから構成され、可動スプール１４は引張コ
イルばね１５により付勢されて、記録紙の幅方向
に移動可能になつており、任意の幅の記録紙の巻
芯部分を固定スプール１３および可動スプール１
４で挾持することによつて支持することができ
る。

また、第１図において符号１５はインクリボン
供給ロール１６とインクリボン巻取ロール１７と
を収納したカセツト装置である。インクリボン供
給ロール１６およびインクリボン巻取ロール１７
は例えば円筒形に形成されており、それぞれの両
端に配設した側板１５ａ，１５ｂによつて保持さ
れている。そしてカセツト装置１５は、第３図に
示した機構によつてフアクシミリ受信装置の側板
１８，１９間に保持されている。

フアクシミリ受信装置の側板１８，１９には、
各２個の軸２０，２１，２２，２３が植設されて
おり、それらの軸にはリール２４，２５，２６，
２７が遊嵌されている。これらのリールのうち、
側板１８側のリール２４，２５は、その端部に１
個以上の突起２４ａ，２５ａを備えており、該突
起２４ａ，２５ａをインクリボン供給ロール１６
およびインクリボン巻取ロール１７の端面に形成
した溝１６ａ，１７ａに嵌合させ、それによつて
インクリボン供給ロール１６およびインクリボン
巻取ロール１７をリール２４，２５に係止する。
また、リール２４，２５と側板１８との間の軸２
０，２１には、継手部材２８，２９が遊嵌されて
いる。この継手部材２８，２９は一端に円板２８
ａ，２９ａを備え、該円板にフリクシヨンプレー
ト２８ｂ，２９ｂを貼設している。さらに、この
継手部材２８，２９の外周面にはワンウエイクラ
ツチ３０，３１が配装され、該ワンウエイクラツ
チを介してスプロケツト３２，３３が配設されて
いる。そして、この継手部材２８，２９は、該継
手部材と側板１８との間に配装されたスプリング
３４，３５によつて、第３図における右方へ付勢
され、フリクシヨンプレート２８ｂ，２９ｂを介
してリール２４，２５をインクリボン供給ロール
１６およびインクリボン巻取ロール１７に圧接さ
れている。一方、リール２６，２７は、該リール
と側板１９との間に配装されたスプリング３６，
３７によつて、第３図における左方へ付勢され、
リール２４，２５の端面がインクリボン供給ロー
ル１６およびインクリボン巻取ロール１７の端面
に圧接されている。

インクリボン供給ロール１６とインクリボン巻
取ロール１７は、記録の際インクリボン３８と記
録紙１０が完全に同期して給送されるようにする
ため、第４図のような駆動機構によつて回転駆動
される。第４図において、符号３９は多数のリン
クとブツシユおよびピンから成るローラチエーン
であり、このローラチエーン３９はインクリボン
供給ロール１６とインクリボン巻取ロール１７の
スプロケツト３２，３３に巻掛けられている。そ
して、これらのスプロケツト３２，３３は、後述
するプラテンローラと同軸に固定されたスプロケ
ツト４０によりローラチエーン３９を介して回転
駆動される。なお、スプロケツト４０の歯数Z₁と
スプロケツト３２，３３の歯数Z₂との間には、プ
ラテンローラの径をd₁、インクリボン供給（巻
取）ロール１６，１７の巻芯の外径をd₂としたと
き、Z₁／Z₂d₂／d₁なる関係がある。これは見掛
上インクリボン３８の巻取りおよび巻戻し速度を
プラテンローラによる給送速度より常に大きく設
定し、実際は第３図の連結機構に含まれるフリク
シヨンプレート２８ｂ，２９ｂにより滑りを生ぜ
しめ、インクリボン３８に常に張力が作用した状
態で巻取りおよび巻戻しを行うようにしている。

このようなインクリボン供給ロール１６、イン
クリボン巻取ロール１７およびインクリボン３８
を備えたカセツト装置１５は、第１図に示したよ
うに、インクリボン３８が感熱ヘツド４１とプラ
テンローラ４２との間に介在され、かつ側板１
８，１９間に差渡したガイドバー４３，４４に接
するようにして位置される。なお、その際、イン
クリボン３８は、後述するガイドバー４５にも接
する。

感熱ヘツド４１は所定の密度（例えば、８本／
mm）で微小発熱抵抗体を記録幅（例えば、B4サ
イズ相当256mm）に相当する数（例えば、2048個）
一列に並べ、これに記録すべき画像情報に従つて
パルス通電することにより、当接するインクリボ
ン３８を微小局部的に昇温させ、その固体インク
層を溶融し記録紙１０に可視像を形成させる機能
を有する。

プラテンローラ４２は、中心に金属の軸を有す
るゴム製のローラで、インクリボン３８と記録紙
１０を介して感熱ヘツド４１の発熱抵抗体の真上
に位置し、図示しない加圧手段により感熱ヘツド
４１を図の上方向に付勢することによつてインク
リボン３８と記録紙１０を所定の圧力で挾持して
最適な記録を行うと共に、図示しない回転駆動源
と動力伝達手段例えば、ステツピングモータと歯
車もしくはタイミングベルトによる伝達減速機構
によつて回転し、インクリボン３８と記録紙１０
を重ね合わせたまま記録速度に応じて送給する機
能を有する。

また、第１図において、符号４６はオートカツ
タで、固定刃４６ａと可動刃４６ｂとから成る。
そして、可動刃４６ｂには図示しない例えばモー
タまたはロータリソレノイドなどの回転駆動源が
継げてあり、その付勢により記録紙を送信原稿の
サイズに合わせて切断する機能と持つ。そして、
このオートカツタ４６とプラテンローラ４２との
間には、ガイドプレート４７ａ，４７ｂが配設さ
れている。

さらに、第１図において、符号４８ａ，４９ａ
および４８ｂ，４９ｂはそれぞれフイードローラ
とピンチローラで、画像の記録が終了した記録紙
１０を挾持し、図示しない回転駆動源および動力
伝達手段、例えばステツピングモータとタイミン
グベルトを用いた減速機構でフイードローラ４８
ａ，４９ａを回転付勢することによつて記録紙１
０を受信紙トレイ５０に排出すべく給送する機能
を有する。

これらフイードローラ４９ａおよびピンチロー
ラ４９ｂとオートカツタ４６との間にはガイドプ
レート５１ａ，５１ｂが配設されている。なお、
上記した受信紙トレイ５０は、画像が記録され、
送信原稿に対応して切断し、排出された記録紙を
一時貯留する部分で、複数枚の受信紙が重積する
こともある。

そして、これまで述べた装置の構成要素のうち
プラテンローラ４２、オートカツタ４６、ガイド
プレート４７ａ，４７ｂ，５１ａ，５１ｂ、ガイ
ドバー４５とフイードローラ４８ａ，４９ａ、ピ
ンチローラ４８ｂ，４９ｂおよび図示しながつた
プラテンローラとフイードローラそれぞれの回転
駆動源、伝達装置は、第１図に示すフレーム５２
に取付けられている。このフレーム５２は、支軸
５３を介してフアクシミリ受信装置の側板１８，
１９に回転可能に支持されており、前述したイン
クリボンをカセツト装置と共に装填あるいは交
換、同様に記録紙の装填、交換更には記録紙ジヤ
ムなどの障害の際に、前記支軸５３を支点にして
上方に転回し、それらの動作、取扱いが容易な構
造になつている。

次に、以上のように構成した実施例のフアクシ
ミリ受信装置の作用、動作について説明する。

先ず、回路を通じて受信されたフアクシミリ信
号は、復調、復号化および増幅などの電気的処理
をなされて画信号に変換され、第１図における感
熱ヘツド４１に供給される。そして、第５図につ
いて詳述した感熱転写記録方式の原理に従つて、
インクリボン３８の固体インク層が記録パターン
に応じて溶融され、プラテンローラ４２によつて
加圧密着する記録紙１０に転写し、記録が行われ
る。記録紙１０とインクリボン３８は密着して、
ずれが生じないようにプラテンローラ４２によつ
て走査線に対応して送給され、記録が順次行われ
る。記録が終つて密着したままの記録紙１０とイ
ンクリボン３８は、ガイドバー４４に至つてイン
クリボン３８が急転回するので、記録紙１０はそ
の剛性によつて直進しようとし、インクリボン３
８から離隔する。離隔した記録紙１０は、ガイド
プレート４７ａ，４７ｂ、オートカツタ４６そし
てガイドプレート５１ａ，５１ｂを経て、更には
プラテンローラ４２の回転に同期するフイードロ
ーラ４８ａ，４９ａとピンチローラ４８ｂ，４９
ｂの回転によつて送給される。送信原稿のサイズ
に対応して１頁の記録が完了すると、プラテンロ
ーラ４２およびフイードローラ４８ａ，４９ａと
ピンチローラ４８ｂ，４９ｂが高速で回転し、記
録紙１０の１頁の記録終端位置がオートカツタ４
６の固定刃４６ａと可動刃４６ｂの噛合点即ち切
断位置に到達するまで記録紙１０とインクリボン
３８を送給する。そして前述したようにモータ、
ロータリソレノイドなどの回転駆動源によりオー
トカツタ４６の可動刃４６ｂを付勢し、記録紙１
０を送信原稿とほぼ等しい長さに切断する。切断
された記録紙１０は、フイードローラ４８ａ，４
９ａと、ピンチローラ４８ｂ，４９ｂとの協同作
用により送られ、装置外に排出されて受信紙トレ
イ５０に貯留される。なお、インクリボン３８は
上述記録中および記録後の高速送りの期間中第４
図について述べた駆動機構、第３図について述べ
たインクリボン巻取ロールの連結機構の説明のよ
うに常に張力が作用、たるみが生じないような状
態で巻取られる。

一方、切断された記録紙の送給が開始されると
同時に、第１図のプラテンローラ４２をその駆動
源ステツピングモータの励磁相順序を反転して逆
回転させる。更にプラテンローラ４２の軸に取付
けたスプロケツト４０を間接的な駆動源とする第
４図のインクリボンの駆動機構を介し、第３図の
ワンウエイクラツチ３０の作用によりインクリボ
ン供給ロール１６に動力が伝達されてそれを逆回
転させる。これらによつて未記録部分の記録紙１
０とインクリボン３８は等しい速度で後退を始
め、一旦離隔した部分もガイドロツド４４で再び
重ね合わされ密着する。そして記録紙１０の先端
が感熱ヘツド４１の微小発熱抵抗体の列数mm先に
達したところで図示しないステツピングモータの
回転を停止し、記録紙１０とインクリボン３８を
停止させて次のフアクシミリ受信、記録に備え
る。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明に係るフアクシミ
リの感熱転写記録装置によれば、記録紙の切断後
にプラテンローラが逆転され、未記録部分の記録
紙切断端部が記録位置まで戻されるとともに、こ
のプラテンローラの逆転が動力伝達手段を介して
インクリボンの供給側ロールに伝達され、記録に
関与しなかつたインクリボンが記録紙と同一速度
で前記供給側ローラに巻き戻されるため、記録紙
とインクリボンとを同期移動させる等の複雑な制
御回路を必要とすることなく、記録位置と記録紙
切断位置とが離隔することに起因する記録紙およ
びインクリボンの無駄を可及的に防止することが
できる。

なお、記録紙とインクリボンとは、記録位置ま
で戻される際に、プラテンローラおよび感熱ヘツ
ドによつて再び密接されるので、記録紙とインク
リボンを記録動作に先だって特に重ね合わせる必
要がなく、またそのための機構も必要としない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るフアクシミリの感熱転写
記録装置を示した概念図、第２図はその装置の記
録紙ホルダを示した平面図、第３図はその装置の
インクリボン保持構造を示した縦断面図、第４図
はその装置のインクリボン駆動機構を示した正面
図、第５図は一般的な感熱転写記録方式を示した
概念図である。 １０……ロール状記録紙、１６……インクリボ
ン供給ロール、１７……インクリボン巻取ロー
ル、３２，３３，３９，４０……動力伝達手段、
３８……インクリボン、４１……感熱ヘツド、４
２……プラテンロール、４３，４４，４５……ガ
イドバー、４６……オートカツタ、５０……受信
紙トレイ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 感熱ヘツドとプラテンローラとの間に、それ
   ぞれ独立してロール状に巻回されたインクリボン
   および記録紙を重ね合わせて供給し、これらイン
   クリボンおよび記録紙を互いに圧接させた状態で
   前記感熱ヘツドを選択的に駆動することにより、
   前記記録紙にインクリボンの転写像による記録を
   行い、さらに前記記録紙と前記インクリボンとを
   記録後に離隔させ、記録された部分の記録紙を送
   信原稿に対応したサイズに切断するようにしたフ
   アクシミリの感熱転写記録装置において、 記録紙切断後において前記プラテンローラを逆
   転させ、未記録部分の記録紙切断端部を記録位置
   まで戻す手段と、 前記プラテンローラおよび前記インクリボンの
   供給側ロールを互いに連係し、前記プラテンロー
   ラが逆転された場合に、前記インクリボンを前記
   記録紙と同一速度で移動させる動力手段と を備えたことを特徴とするフアクシミリの感熱転
   写記録装置。