JPH0556776A - ホスフアチジル基転移活性の高められた微生物の培養方法 - Google Patents

ホスフアチジル基転移活性の高められた微生物の培養方法

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JPH0556776A
JPH0556776A JP3246847A JP24684791A JPH0556776A JP H0556776 A JPH0556776 A JP H0556776A JP 3246847 A JP3246847 A JP 3246847A JP 24684791 A JP24684791 A JP 24684791A JP H0556776 A JPH0556776 A JP H0556776A
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phospholipid
microorganism
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cells
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JP3246847A
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Inventor
Atsushi Nakajima
淳 中島
Toshimitsu Nakajima
敏光 中嶋
Hideki Fukuda
秀樹 福田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リン脂質を培地に添加することを特徴とする
高いホスファチジル基転移活性を有する微生物の培養方
法。 【効果】 転移活性の高いリン脂質分解酵素を菌体内に
著量含有させることができ、所望のリン脂質を高収率で
得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリン脂質の製造におい
て、生体触媒として使用される微生物の製造方法に関
し、更に詳しくは、高いホスファチジル基転移活性を有
する微生物の培養方法に関する。
【0002】リン脂質は、その界面活性剤や生理作用を
生かして、単に乳化剤に用い得るのみならずリポソーム
の基材として、薬剤運搬体、人工血液、人工細胞等への
応用が近年注目されており、また、それ自体生理活性、
薬理活性を持つものとして、医学、薬学、工学的分野の
様々の用途が考えられている。このような多様な要求に
対応するために、各々の用途に応じた構造を有するリン
脂質を効率良く製造する方法を開発することは、産業上
非常に意義あることである。
【0003】
【従来の技術】従来、このようなリン脂質を製造する方
法としては、キャベツ由来、膵臓由来、あるいは微生物
由来の種々の精製リン脂質分解酵素を直接あるいは固定
化等を行なって反応させる方法が提案されている(特開
昭63−42691、同63−44893、特開平1−
153090、同2−35093、同2−4959
3)。
【0004】しかし乍ら、このような菌体外酵素を使用
する場合、酵素の製造プロセス(分離、精製プロセス)
に要するコストが高く、リン脂質製造プロセスの工業化
に際して、どうしても酵素コストが割高になってしま
い、経済的に大きな課題となっている。更に、酵素をセ
ライト等の担体に固定化する方法は反応物質が担体上の
酵素まで拡散しにくく、特に担体の細孔内に吸着された
酵素は反応には実質的に関与せず、有効に働く酵素が減
少する等の問題があり、企業化を企てる上で大きな障害
となっている。また、ゲル化剤等による包括固定化法は
固定化の操作が複雑で、しかも拡散律速による反応速度
の低下等の不都合な点が多く、改善が望まれている。
【0005】本発明者らは、これらの酵素法による欠点
を補い、工業的に有利なリン脂質の製造方法として、リ
ン脂質に作用する酵素を菌体内に有する微生物の乾燥菌
体を直接酵素触媒として利用する方法を提案した(特開
平2−2381)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本来、リン脂質分解酵
素のひとつであるホスホリパーゼDは、リン脂質のホス
ファチジル基と塩基との間のエステル結合を加水分解し
て、ホスファチジル酸及び塩基を遊離させる酵素である
が、その起源によってはグリセロール、エタノール等の
アルコール性水酸基を有する化合物の共存下で、リン脂
質の塩基交換反応を触媒することが知られている。しか
し乍ら、一般的にはホスホリパーゼDの特性のひとつ、
即ち塩基交換反応速度と加水分解反応速度の比はその酵
素の由来の微生物種に大きく共存していると考えられて
いる[「バイオキミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ
(Biochimica et Biophysica Acta)」960,334,1988]。
従って、工業的には目的とする反応に応じた酵素を生産
する微生物の選択が重要な課題となっていた。
【0007】本発明者らは上述の点に関して鋭意検討を
重ねた結果、微生物により生産されるホスホリパーゼD
の特性が培養条件、特に培地組成により変化することを
見いだした。即ち、本発明は、リン脂質分解酵素を生産
する微生物を培養する際に、基質関連物質を培地に添加
することにより、転移活性の高められた酵素(ホスホリ
パーゼD)を菌体内に多く保持した菌体を生産する方法
を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、リン脂
質分解酵素を菌体内に保持した微生物を製造するにあた
り、培地中に基質関連物質を加えることにより、生産さ
れる酵素の転移活性を高めることを特徴とする微生物の
培養方法を内容とするものである。本発明で用いられる
基質関連物質とは、目的とされるリン脂質分解酵素、例
えばホスホリパーゼDの基質となり得るものであり、即
ちリン脂質そのものである。本発明において用いられる
基質関連物質としてのリン脂質としては、天然から抽出
したもの、又は抽出後精製したもの、或いは合成したも
のの如何を問わず使用できる。また、市販のもの、或い
は公知の方法で調整したものを使用してもよい。代表的
なものとしては、大豆レシチン、脱脂大豆レシチン、卵
黄レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエ
タノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジ
ルグリセロール、リゾレシチン、ホスファチジン酸等が
挙げられる。
【0009】本発明に用いられる微生物としては、リン
脂質分解酵素を生成するものであればいかなる微生物も
利用することができるが、代表的なものとして、リゾプ
ス(Rhizopus) 属、アスペルギルス(Aspergillus)属、
ムコール(Mucor)属、シュードモナス(Pseudomonas)
属、キャンディダ(Candida)属、ペニシリウム(Penici
llium)属、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、
ストレプトマイセス(Streptomyces) 属、ストレプトバ
ーチシリウム(Streptoverticillium)属、ミクロモノス
ポラ(Micromonospora) 属、ノカルディア(Nocardia)
属、ノカルディオプシス(Nocardiopsis) 属、アクチノ
マヂューラ(Actinomadura) 属、等に属する微生物を挙
げることができる。より具体的には、リゾプス・ジャパ
ニカス(Rhizopus japonicus, IFO 4758) 、リゾプス・
デレマー(Rhizopus delemar, IFO4697) 、アスペルギ
ルス・ニガー(Aspergillus niger,IFO 4066)、シュー
ドモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescen
s, IFO 3081)、ムコール・ミーハイ(Mucor miehei, AT
CC 16457) 、キャンディダ・ルゴサ(Candida rugosa,
ATCC 10571) 、ペニシリウム・サイクロピウム(Penici
llium cyclopium, IFO5847)、クロモバクテリウム・ビ
スコサム(Chromobacterium viscosum, ATCC 6918)、ス
トレプトマイセス・メディオシディカス(Streptomyces
mediocidicus,IFO 13202) 、ストレプトマイセス・プ
ルニカラー(Streptomyces prunicolor,IFO 13075)、
ストレプトマイセス・アンチバイオティカス(Streptom
yces antibioticus, IFO 13271)、ストレプバーチシリ
ウム・ハチジョーエンセ(Streptoverticillium hachij
oense, IFO 12782)、ストレプトバーチシリウム・シン
ナモネウム(Streptoverticillium cinnamoneum subsp.
cinnamoneum, IFO 12852)、ミクロモノスポラ・チャル
セア(Micromonospora chalcea, ATCC 12452) 、ノカル
ディア・メディテラーネイ(Nocardia mediterranei, I
FO 13142) 、ノカルディオプシス・ダソンビレイ(Noca
rdiopsis dassonvillei, IFO 13908) 、アクチノマジュ
ーラ・リバノチカ(Actinomadura libanotica, IFO 140
95) 等が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合
わせて用いられ、これらの他にも公知の微生物が適用さ
れる。
【0010】上記微生物を生体触媒として効率的に利用
するには、微生物内にリン脂質分解酵素を多量に含有
し、且つ転移活性を高めることの可能な培養方法、及び
活性をできるだけ低下させない乾燥条件が重要となる。
【0011】本発明において培養に用いる培地成分とし
ては、先に挙げた転移活性を高めるために加えられる基
質関連物質以外は、微生物の培養に通常用いられるもの
が広く使用され得る。炭素源としては同化可能な炭素化
合物、例えばブドウ糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、澱粉、
デキストリン、糖蜜、グリセリン、炭化水素類、有機
酸、脂肪酸、油脂、アルコール類等が単独又は2種以上
の組み合わせで使用される。
【0012】窒素源としては利用可能な窒素化合物であ
ればよく、例えば、コーンスチープリカー、大豆粉、小
麦グルテン、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、麦芽エ
キス、カゼイン加水分解物、尿素、カザミノ酸、硝酸態
窒素、アンモニウム態窒素等が単独又は2種以上の組み
合わせで使用される。その他、リン酸塩、マグネシウ
ム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、食塩
等の塩類が必要に応じて単独又は2種以上の組み合わせ
で使用される。
【0013】本発明を詳細に説明すると、上記微生物を
上記培地成分を用いて培養する際に、基質関連物質であ
るリン脂質を培地100重量部に対し通常0.1〜50
重量部、好ましくは0.5〜20重量部添加し培養を行
なう。そうすることにより微生物の生産するリン脂質分
解酵素活性が高められ、特に転移活性の高い酵素を菌体
内に多く有した菌体を得ることが可能となる。この際リ
ン脂質は炭素源としても菌体により利用可能であるた
め、特に他の炭素源を添加する必要はないが、本発明の
効果を更に増幅するには、菌体によって資化され易い炭
素源との組み合わせで用いるのが望ましい。その際の添
加方法は特に限定されるものではなく、最初から培地に
加えておく、培養途中で添加する、また培養全般を通じ
て添加するなどの方法が使用する微生物の特性に応じて
適宜選択される。
【0014】培養温度は、菌体が生育しリン脂質分解酵
素を生産可能な範囲内で適宜採用し得るが、通常15−
40℃が好ましい。培養時間は菌体内リン脂質分解酵素
活性が最大となる時点で培養を終了すればよく、通常は
1−7日程度である。
【0015】また、本発明においては、多孔質体からな
る微生物保持体と共に培養を行い、該保持体に微生物を
付着・増殖させ、得られた菌体を使用することができ
る。このような方法においては、保持体内に微生物が効
果的に固定化され、固定化された菌体のリン脂質分解酵
素の活性及び安定性は、固定化しないものに比べて上昇
する効果が認められる。このような微生物保持体に固定
化された微生物を用いれば、連続生産や繰り返し回分生
産などの反応システムの構築が容易であり、生産性を大
幅に向上させることができ、工業的に極めて好都合であ
る。
【0016】上記微生物保持体としては、微生物の持つ
粘着力、吸着力により微生物の吸着増殖を可能ならしめ
る任意の材料が適用できる。例えば、高分子多孔質材料
としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系;ブタジエン又はイソプレン等のジエン系;ポ
リ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、アクリルアミド
又はポリスチレン等のビニル系重合体;ポリエーテル、
ポリエステル、ポリカーボネート又はポリアミド等の縮
合系;ポリウレタン、シリコン及びフッ素系樹脂等の材
料、また無機材料としては、セラミックス、ガラス、活
性炭、及び多孔質金属や金属加工材料;有機材料として
はセルロース、あるいはセルロースに化学処理を施した
メチルセルロース、エチルセルロース、ハイドロプロピ
ルセルロース等が適用できる。いずれの材料においても
該保持体に微生物を良好に固定化させるため、空隙率が
60−99%、孔の径が2−2000μmの範囲にある
多孔質材料や、空隙率が60−99%である金属加工材
料等を使用するのが好ましい。
【0017】このような種々の保持体は、微生物の種類
及び培養条件等によって適宜選択でき、形状について
は、例えば球状、ブロック状あるいはシート状等に加工
して使用することができる。寸法については、微生物の
種類、培養条件、反応器の種類等によって適宜決定され
るが、球状であれば直径が概ね1−100mm、ブロック
状のものであれば一辺が概ね1−100mmのものが使用
される。また、微生物を上記保持体への固定化は、通常
公知の回分、半回分、連続培養法等を用いて容易に達成
される。
【0018】上記の如く培養により得られた菌体から水
分を除去する方法としては、原則的には酵素が失活しな
い温度で乾燥すればよいが、乾燥速度からは40−60
℃が好ましい。ここで単に水分を蒸発させる方法では細
胞組織の収縮が起こり非常に堅くなり、組織内の脂質分
解酵素と外界との接触が断たれ活性を発現することが困
難となる。従って、菌体を乾燥させるには細胞組織の収
縮を伴わない方法を採用するのが好ましい。このため、
水溶性溶媒、例えばアセトン又はメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等の低級アルコール類中に菌体を
浸して組織内を溶媒に置換した後、溶媒を蒸発させる方
法により、細胞組織の収縮を抑えて乾燥菌体を得ること
ができる。この場合、乾燥方法としては真空乾燥、凍結
乾燥、低温乾燥等の公知の乾燥法が使用できる。更に、
菌体を溶媒に浸す前に5重量%以下のグルタルアルデヒ
ド水溶液に浸して細胞組織を固定化することにより、細
胞組織の収縮を効果的により抑えることができる。この
ような方法にて得られた菌体の水分は、通常1−20重
量%の水分含量に調製される。
【0019】叙上の如く調整された乾燥菌体は、リン脂
質のホスファチジル基と塩基との間のエステル結合を加
水分解すると同時に、ホスファチジル基とアルコール性
水酸基を有する化合物より新たなエステルを生成するホ
スファチジル基転移反応に供することが可能である。即
ち、乾燥菌体を、原料リン脂質と受容体との混合物中に
懸濁させ反応させることにより塩基組成の異なった改質
されたリン脂質を得るものである。
【0020】本発明において用いられるホスファチジル
基転移反応の原料リン脂質としては、ホスホリパーゼD
の基質となり得るものであれば、天然から抽出したも
の、又は抽出後精製したもの、あるいは合成したものの
如何を問わず使用できる。また、市販のもの、あるいは
公知の方法で調製したものを使用してもよい。例えば、
大豆レシチン、脱脂大豆レシチン、卵黄レシチン、ホス
ファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、
ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、
リゾレシチン、ホスファチジン酸等、又はそれらの混合
物等が挙げられる。本発明の効果を最大に発揮するため
には、原料リン脂質として精製したもの、ないしは組成
の単純なものを用いた方が純粋な反応生成物が得られる
面で都合が良い。また、原料コストと入手の容易さ及び
酵素に対する反応性の面から、特にホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル
セリンが工業的に効果が高く好ましい。
【0021】本発明における受容体としては、コリン、
エタノールアミン、セリン、N−メチルエタノールアミ
ン、N,N−ジメチルエタノールアミン等の含窒素アル
コール類や、グリセロール、グルコース、フラクトース
等のポリオール、単糖類等を挙げることができる。反応
は、原料リン脂質を溶解又は懸濁する有機溶媒の存在下
で行うことが好ましく、微生物酵素を失活させることの
少ない溶媒系であればいずれも使用できる。例えば、石
油エーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、クロロホルム、ジクロロ
メタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、n−ヘキサン、
イソオクタン、酢酸エチル、ジオキサン、ベンゼン等の
溶媒、又はこれらの混合溶媒系等が挙げられる。ただ
し、前述のごとくアルコール類は目的反応の基質となる
ため、基質として添加する以外に用いることはあまり好
ましくない。
【0022】反応温度は用いる菌体内酵素の至適温度付
近が好ましく、通常20−60℃の範囲である。ただ
し、用いる溶媒が低沸点のものである場合等は、この限
りではない。反応時間については回分法の場合は概ね
0.5−40時間、半回分法や連続法においても、この
反応条件に見合った反応時間を設定することにより、目
的とする反応を行わせることができる。また反応様式と
しては、容器に入れた溶媒中に微生物菌体を分散、懸濁
し接触反応させればよく、回転攪拌や超音波による攪拌
方法、カラム等に充填する方法、気泡塔型反応器等によ
って流動させる方法等のあらゆる形式の反応様式が適用
できる。
【0023】
【発明の効果】叙上の如く、培地組成をコントロールす
ることにより、菌体の生産するリン脂質分解酵素の転移
活性を高めることに成功したのは本発明が最初である。
本発明によれば、例えば近年、ドラッグデリバリーシス
テムにおけるリポソームの基材として工業的生産が望ま
れている高純度のリン脂質を、ホスファチジル基転移反
応で生産するのに適した転移活性の高いリン脂質分解酵
素を菌体内に著量含有させることが可能となり、所望の
リン脂質を高収率で得ることができる。更に、多孔質の
微生物保持体に固定化された乾燥菌体を使用すれば、菌
体内のリン脂質分解酵素をより効果的に利用することが
可能となる。しかも、連続あるいは繰り返し回分反応方
法が適用できるので生産性が著しく向上する。
【0024】
【実施例】次に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はもとよりかかる実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0025】尚、リン脂質の分析は高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)にて行った。固定相には、シリカゲル
にアミノプロピル基を化学結合させたカラムを、また移
動相溶媒としてはアセトニトリル:メタノール:10mM
リン酸二水素アンモニウム612:289:100の混
合溶媒系をそれぞれ用い、205nmにおける吸収を測定
することにより定量を行った。
【0026】実施例1 ストレプトバーチシリウム・シナモネウム IFO 12852
を、グルコース 1%(重量%、以下同じ)、肉エキス
0.75%、ポリペプトン 0.75%、NaCl0.3
%、MgSO4 0.1%を含む培地(pH7.2)に大豆レシ
チン(和光純薬製)1%を加え、温度30℃、5日間振
盪培養した。得られた菌体を2回水洗し、次いでアセト
ンに浸漬した後濾過し、次いで常温にて真空乾燥した。
【0027】密栓した試験管に、ホスファチジルコリン
(旭化成製)10mg、ジエチルエーテル4ml、1Mモノ
エタノールアミン−リン酸二水素ナトリウム−塩酸バッ
ファー(pH6.0)2ml、乾燥菌体をPL−D加水分解
活性で0.5Unitとなるように加え、30℃にて5時間
反応させた。反応液組成の経時変化を図1に示した。比
較のため、微生物を培養する際に、培地に大豆レシチン
を加えない以外は全く同様に行なった結果を図2に示し
た。
【0028】分析の結果、5時間反応後の反応液組成
は、大豆レシチンを加えた場合はホスファチジルコリン
6%、ホスファチジルエタノールアミン79%、ホスフ
ァチジン酸15%であったが、大豆レシチンを加えなか
った場合、ホスファチジルコリン9%、ホスファチジル
エタノールアミン8%、ホスファチジン酸83%であっ
た。微生物を培養する際に基質関連物質であるレシチン
を添加することにより、微生物の生産するリン脂質分解
酵素のホスファチジル基転移活性を高めることができ
た。
【0029】実施例2 実施例1で使用した微生物の代わりに、ストレプトマイ
セス・メディオシディカス IFO 13202、ミクロモノスポ
ラ・チャルセア ATCC 12452 、ノカルディア・メディテ
ラーネイ IFO 13142、ノカルディオプシス・ダソンビレ
イ IFO 13908、アクチノマジューラ・リバノチカ IFO 1
4095) 、リゾプス・デレマー IFO4697、アスペルギルス
・ニガー IFO 4066 、シュードモナス・フルオレッセン
ス IFO3081 、ムコール・ミーハイ ATCC 16457 、キャ
ンディダ・ルゴサ ATCC 10571、ペニシリウム・サイク
ロピウム IFO 5847 、クロモバクテリウム・ビスコサム
ATCC 6918を使用した以外は、実施例1と全く同様に行
った。表1に各微生物をレシチンを含む培地、レシチン
を含まない培地でそれぞれ培養し、得られた乾燥菌体を
用いて実施例1と同様にPCからPEの塩基交換反応を
行なった場合の5時間後の反応液組成の分析結果を示し
た。
【0030】
【表1】
【0031】実施例3 塩基交換反応の際の受容体として、エタノールアミンの
代わりにセリンを40mg加え、バッファーに0.1Mト
リス塩酸バッファー(pH6.0)を用いた以外は実施例
1と全く同様に行なった。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】 PC:ホスファチジルコリン PS:ホスファチジルセリン PA:ホスファチジン酸
【0033】実施例4 塩基交換反応の際の受容体として、セリンの代わりにグ
リセロールを50mg加えた以外は実施例3と全く同様に
行なった。結果を表3に示す。
【0034】
【表3】 PC:ホスファチジルコリン PG:ホスファチジルグリセロール PA:ホスファチジン酸
【0035】実施例5 微生物を培養する際に、実施例1で使用した培地におい
て大豆レシチンの代わりに卵黄レシチンを加える以外は
実施例1と全く同様に行なった。結果を表4に示した。
【0036】
【表4】 PC:ホスファチジルコリン PE:ホスファチジルエタノールアミン PA:ホスファチジン酸
【0037】実施例6 微生物を培養する際に、実施例1で使用した培地におい
て大豆レシチンの代わりにリゾレシチンを加える以外は
実施例1と全く同様に行なった。結果を表5に示した。
【0038】
【表5】 PC:ホスファチジルコリン PE:ホスファチジルエタノールアミン PA:ホスファチジン酸
【0039】実施例7 ストレプトバーチシリウム・シナモネウム IFO 12852
を、実施例1と同様の培地に、一辺6mmのブロック状の
ポリウレタンフォームからなる微生物保持体(ブリジス
トン社製、エバーライトHR−50)を150個/10
0ml培地となるように加えて培養し、微生物保持体に菌
体を固定化させた。固定化された菌体は実施例1と同様
に乾燥させた乾燥菌体を調整した。微生物保持体中の乾
燥菌体量は概ね4mg/個であった。尚、微生物保持体中
の乾燥菌体量は公知の方法〔「ジャーナル・オブ・ファ
ーメンテーション・テクノロジー(J. Ferment. Techno
l.)」, vol. 66,441 (1988)〕で測定した。
【0040】容量100mlのサンプル管に固定化菌体5
0個を添加し、ホスファチジルコリン(旭化成製)80
mg、ジエチルエーテル40ml、1Mモノエタノールアミ
ン−リン酸二水素ナトリウム−塩酸バッファー(pH6.
0)20mlを加え30℃にて10時間反応させた。反応
終了後、反応液を全て抜き出し、再び新しい反応溶液を
添加し、同様の反応を繰り返した。このような繰り返し
反応を3回行なった。それぞれの反応で得られた反応液
を分析した結果を表6に示す。
【0041】
【表6】 PE:ホスファチジルエタノールアミン PC:ホスファチジルコリン PA:ホスファチジン酸
【0042】表6から、微生物保持体に固定化された乾
燥菌体の酵素活性は安定で、繰り返し使用が可能である
ことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、レシチンを存在させた場合
の反応液組成の経時変化を示すグラフである。
【図2】実施例1において、比較のために、レシチンを
存在させなかった場合の反応組成の経時変化を示すグラ
フである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン脂質を培地に添加することを特徴と
    する高いホスファチジル基転移活性を有する微生物の培
    養方法。
  2. 【請求項2】 微生物を培養する際に、多孔質の微生物
    保持体を共存させ、微生物の固定化を行なう請求項1記
    載の培養方法。
  3. 【請求項3】 微生物が、リゾプス属、アルペルギルス
    属、シュードモナス属、ムコール属、キャンディダ属、
    ペニシリウム属、クロモバクテリウム属、ストレプトマ
    イセス属、ストレプトバーチシリウム属、ミクロモノス
    ポラ属、ノカルディア属、ノカルディオプシス属及びア
    クチノマヂューラ属から選択される少なくとも1種であ
    る請求項1又は2記載の培養方法。
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