JPH04356192A - リン脂質の製造方法 - Google Patents

リン脂質の製造方法

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JPH04356192A
JPH04356192A JP19483091A JP19483091A JPH04356192A JP H04356192 A JPH04356192 A JP H04356192A JP 19483091 A JP19483091 A JP 19483091A JP 19483091 A JP19483091 A JP 19483091A JP H04356192 A JPH04356192 A JP H04356192A
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phospholipid
enzyme
reaction
phospholipids
raw material
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JP19483091A
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Hirotoshi Miyoshi
浩稔 三好
Toshimitsu Nakajima
敏光 中嶋
Hideki Fukuda
秀樹 福田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリン脂質の製造方法に関
し、更に詳しくは、リン脂質の脂肪酸構造の変換又は分
解活性を有する酵素とリン脂質の極性部位に作用する酵
素、或いは、共にリン脂質の極性部位に作用するが作用
部位が異なる酵素(以下、複数の酵素あるいは複数の脂
質分解酵素という)を併せもつ微生物乾燥菌体により原
料リン脂質と脂肪酸構造、塩基構造等が変換もしくは加
水分解されたリン脂質を製造する方法に関する。
【0002】リン脂質は、単に乳化剤や界面活性剤に用
い得るのみならずリポソームの基材として薬剤運搬体、
人工血液、人工細胞、あるいは免疫診断等への応用が近
年注目されており、また、それ自体生理活性・薬理活性
を持つものとして、医学・薬学・工学分野等において様
々な用途が考えられている。このような多様な要求に対
応するために、種々の用途に応じた構造を有するリン脂
質を効率良く製造する方法を開発することは、産業上非
常に意義あることである。
【0003】
【従来の技術】従来、このようなリン脂質を製造する方
法としては、膵臓由来あるいは微生物由来の精製リパー
ゼや、キャベツ由来、膵臓由来、あるいは微生物由来の
種々の精製ホスホリパーゼ酵素を直接あるいは固定化等
を行って反応させる方法が提案されている(特開昭63
−36790、同63−36792、同63−4269
1、同63−44893、同63−91087、特開平
1−153090、同2−35093、同2−4959
3)。
【0004】しかし乍ら、このような菌体外酵素を使用
する場合、酵素精製プロセスに要するコストが高く、リ
ン脂質製造プロセスの工業化に際して、どうしても酵素
コストが割高になってしまい、経済的に大きな課題とな
っている。更に、酵素をセライト等の担体に固定化する
方法は反応物質が担体上の酵素まで拡散しにくく、特に
担体の細孔内に吸着された酵素は反応には実質的に関与
せず、有効に働く酵素が減少する等の問題があり、企業
化を企てる上で大きな障害となっている。また、ゲル化
剤等による包括固定化法は固定化の操作が複雑で、しか
も拡散律速による反応速度の低下等の不都合な点が多く
、改善が望まれている。
【0005】そこで本発明者らは、リン脂質に作用する
酵素を有する数多くの乾燥菌体を直接反応に供すること
によりリン脂質の変換反応をおこない、反応に及ぼす効
果を検討した。その結果、ホスホリパーゼDを有する乾
燥菌体が塩基交換能を有することを見出し、これに基づ
いた塩基交換によるリン脂質の製造法を提案した(特開
平2−2381)。更に、乾燥菌体について検討を加え
た結果、複数の反応が並行して、或いは逐次で起こって
いることを見出した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、複数の脂質
分解酵素を有する乾燥菌体を直接反応に供することによ
り、酵素を用いる方法の欠点を改善し、従来同時に行う
ことの難しかった複数反応を可能にし、しかも高収率で
目的物が得られるリン脂質の交換反応又は加水分解反応
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、リン脂
質の脂肪酸構造の変換又は分解活性を有する酵素とリン
脂質の極性部位に作用する酵素、あるいは共にリン脂質
の極性部位に作用するが作用部位が異なる酵素とを併せ
もつ微生物乾燥菌体を、原料リン脂質又は原料リン脂質
と受容体に作用させることを特徴とする改質されたリン
脂質の製造方法を内容とするものである。
【0008】本発明において用いられる原料リン脂質と
しては、脂質分解酵素の基質となり得るものであれば、
天然から抽出したもの、又は抽出後精製したもの、ある
いは合成したものの如何を問わず使用できる。また、市
販のもの、あるいは公知の方法で調製したものを使用し
てもよい。例えば、脱脂大豆レシチン、卵黄レシチン、
リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジル
エタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチ
ジルグリセロール等、又はそれらの混合物等が挙げられ
る。本発明の効果を最大に発揮するためには、原料リン
脂質として精製したもの、ないしは組成の単純なものを
用いた方が純粋な反応生成物が得られる面で都合が良い
。また、原料コストと入手の容易さ及び酵素に対する反
応性の面から、特にホスファチジルコリン、ホスファチ
ジルエタノールアミンまたはホスファチジルセリンが工
業的に好ましい。
【0009】本発明の交換反応における受容体は、目的
によって任意に選択でき、ミリスチン酸、パルミチン酸
、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸
、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、アラキ
ドン酸等の脂肪酸類や、それらと炭素数1−6の直鎖飽
和一価アルコールのエステル化合物である脂肪酸低級ア
ルコールエステル類、メタノール、エタノール、プロパ
ノール等の低級アルコールやオクチルアルコール、ドデ
シルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシ
ルアルコール、オクタデシルアルコール、オレイルアル
コール等の高級アルコールを含むアルコール類、コリン
、セリン、エタノールアミン、N−メチルエタノールア
ミン、N,N−ジメチルエタノールアミン等の含窒素ア
ルコール類やアミン類、グリセロール、グルコース、フ
ラクトース等のポリオール、単糖類を挙げることができ
、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0010】反応は、原料リン脂質を溶解又は懸濁する
有機溶媒の存在下で行うことが好ましく、微生物酵素を
失活させることの少ない溶媒系であればいずれも使用で
きる。例えば、石油エーテル、ジエチルエーテル、メチ
ルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、クロロホ
ルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、
n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、イソオ
クタン、酢酸エチル、ジオキサン、ベンゼン等の溶媒、
又はこれらの混合溶媒系、又はこれらにアセトン、アセ
トニトリル等の極性溶媒を混合した混合溶媒系が挙げら
れる。ただし、前述のごとくアルコール類は目的反応の
基質となるため、基質として添加する以外に用いること
はあまり好ましくない。
【0011】本発明に使用される微生物乾燥菌体は、複
数の脂質分解酵素を有しておればよい。脂肪酸構造の変
換又は分解活性を有する酵素としては、リパーゼ、ホス
ホリパーゼA(ホスホリパーゼA1 及び/又はホスホ
リパーゼA2 をいう)、ホスホリパーゼB(リゾホス
ホリパーゼをいう)が挙げられ、これらは単独又は2種
以上組み合わせて用いられる。リン脂質の極性部位に作
用する酵素としては、ホスホリパーゼC、ホスホリパー
ゼDが挙げられ、これらは単独又は組み合わせて用いら
れる。
【0012】本発明において用いられる微生物としては
、複数の脂質分解酵素を生成するものであれば全て用い
ることができるが、代表的なものとしてリゾプス(Rh
izopus) 属、アスペルギルス(Aspergi
llus)属、シュードモナス(Pseudomona
s)属、ムコール(Mucor)属、キャンディダ(C
andida)属、ペニシリウム(Penicilli
um)属、クロモバクテリウム(Chromobact
erium)属、ストレプトマイセス(Strepto
myces) 属、ストレプトバーチシリウム(Str
eptoverticillium)属、ミクロモノス
ポラ(Micromonospora) 属、ノカルデ
ィア(Nocardia) 属、ノカルディオプシス(
Nocardiopsis) 属、アクチノマヂューラ
(Actinomadura) 属等に属する微生物を
挙げることができる。より具体的には、リゾプス・ジャ
パニカス(Rhizopus japonicus, 
IFO 4758) 、リゾプス・デレマー(Rhiz
opus delemar, IFO 4697) 、
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus n
iger, IFO4066)、シュードモナス・フル
オレッセンス(Pseudomonas fluore
scens, IFO 3081)、ムコール・ミーハ
イ(Mucor miehei, ATCC 1645
7) 、キャンディダ・ルゴサ(Candida ru
gosa, ATCC 10571) 、ペニシリウム
・サイクロピウム(Penicillium cycl
opium,IFO 5847)、クロモバクテリウム
・ビスコサム(Chromobacterium vi
scosum, ATCC 6918)、ストレプトマ
イセス・メディオシディカス(Streptomyce
s mediocidicus, IFO 13202
) 、ストレプトバーチシリウム・シンナモネウム(S
treptoverticillium cinnam
oneum subsp. cinnamoneum,
 IFO 12852)、ストレプトバーチシリウム・
ハチジョーエンセ(Streptoverticill
ium hachijoense, IFO 1278
2) 、ミクロモノスポラ・チャルセア(Microm
onospora chalcea, ATCC 12
452) 、ノカルディア・メディテラーネイ(Noc
ardia mediterranei, IFO 1
3142) 、ノカルディオプシス・ダソンビレイ(N
ocardiopsis dassonvillei,
 IFO 13908) 、アクチノマジューラ・リバ
ノチカ(Actinomadura libanoti
ca, IFO 14095) 等が挙げられ、これら
は単独又は2種以上組み合わせて用いられ、更にこれら
の他にも公知の微生物が適用される。
【0013】上記微生物を反応の触媒として効率良く作
用させるには、微生物内に脂質分解酵素を多量に含有さ
せる培養方法、及び菌体内脂質分解酵素を受容体と接触
し易く、しかも活性をできるだけ低下させない乾燥条件
が重要となる。
【0014】培養に用いる培地としては、微生物の培養
に通常用いられるものが広く使用され得る。炭素源とし
ては同化可能な炭素化合物、例えばブドウ糖、ショ糖、
乳糖、麦芽糖、でんぷん、デキストリン、糖蜜、グリセ
リン等や炭化水素類が単独又は2種以上組み合わせて使
用される。窒素源としては利用可能な窒素化合物であれ
ばよく、特にコーンスチープリカー、大豆粉、小麦グル
テン、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、麦芽エキス、
カゼイン加水分解物等の有機化合物が好ましく、これら
は単独又は2種以上組み合わせて用いられる。その他、
リン酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、
マンガン、亜鉛等の塩類が必要に応じて単独又は2種以
上組み合わせて使用される。
【0015】培養温度は、菌が発育し脂質分解酵素を生
産する範囲内で適宜採用し得るが、通常15−40℃が
好適である。培養時間は条件によって異なり、菌体内脂
質分解酵素活性が最大となる時点で培養を終了すればよ
く、通常は1−6日程度である。
【0016】また、本発明においては、多孔質体からな
る微生物保持体と共に培養を行い、該保持体に微生物を
付着・増殖させ、得られた菌体を使用することができる
。このような方法においては、保持体の材料表層付近に
生物膜状菌体が形成され、これにより、本発明者らの検
討結果によれば、固定化された菌体内の脂質分解酵素活
性及び安定性は、固定化しないものに比べて上昇する。 しかも、このような微生物保持体に固定化された微生物
を用いれば、連続生産や繰り返し回分生産などの反応シ
ステムの構築が容易であり、生産性を大幅に向上させる
ことができ、工業的に極めて好都合である。
【0017】上記微生物保持体としては、微生物の持つ
粘着力、吸着力により微生物の吸着増殖を可能ならしめ
る任意の材料が適用できる。例えば、高分子多孔質材料
としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオ
レフィン系;ブタジエンまたはイソプレンなどのジエン
系;ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル
アミドまたはポリスチレンなどのビニル系重合体;ポリ
エーテル、ポリエステル、ポリカーボネートまたはポリ
アミド等の縮合系;ポリウレタン、シリコン及びフッ素
系樹脂などの材料、また無機材料としては、セラミック
ス、ガラス、活性炭、及び多孔質金属や金属加工材料;
有機材料としてはセルロース、あるいはセルロースに化
学処理を施したメチルセルロース、エチルセルロース、
ハイドロプロピルセルロース等が適用できる。いずれの
材料においても該保持体に微生物を良好に固定化させる
ため、空隙率が60−99%、孔の径が2−2000μ
mの範囲にある多孔質材料や、空隙率が60−99%で
ある金属加工材料等を使用するのが好ましい。
【0018】このような種々の保持体は、微生物の種類
及び培養条件等によって適宜選択でき、形状については
、例えば球状、ブロック状あるいはシート状等に加工し
て使用することができる。寸法については、微生物の種
類、培養条件、反応器の種類等によって適宜決定される
が、球状であれば直径が概ね1−100mm、ブロック
状のものであれば一辺が概ね1−100mmのものが使
用される。また、微生物を上記保持体に固定化させるに
は、通常公知の回分、半回分、連続培養法等を用いて容
易に達成される。
【0019】上記の如く得られた菌体から水分を除去す
る方法としては、原則的には酵素が失活しない温度で乾
燥すればよいが、乾燥速度からは40−60℃が好まし
い。ここで単に水分を蒸発させる方法では細胞組織の収
縮が起こり非常に堅くなり、組織内の脂質分解酵素と外
界との接触が断たれ活性を発現することが困難となる。 従って、菌体を乾燥させるには細胞組織の収縮を伴わな
い方法を採用するのが好ましい。このため、水溶性溶媒
、例えばアセトン又はメタノール、エタノール、イソプ
ロパノール等の低級アルコール類中に菌体を浸して組織
内を溶媒に置換した後、溶媒を蒸発させる方法により、
細胞組織の収縮を抑えて乾燥菌体を得ることができる。 この場合、乾燥方法としては真空乾燥、凍結乾燥、低温
乾燥等の公知の乾燥法が使用できる。更に、菌体を溶媒
に浸す前に5重量%以下のグルタールアルデヒド水溶液
に浸して細胞組織を固定化することにより、細胞組織の
収縮を効果的により抑えることができる。このような方
法にて得られた菌体の水分は、通常1−20重量%の水
分含量に調製される。
【0020】このようにして調製された乾燥菌体を反応
物質、即ち原料リン脂質と受容体の混合物中に懸濁させ
反応させるが、交換反応の場合は反応混合物中の水分濃
度を低濃度にするのが好ましく、水分量は好ましくは5
重量%以下、より好ましくは1重量%以下に制御される
。反応温度は用いる菌体内酵素の至適温度付近が好まし
く、通常20−60℃の範囲である。ただし、用いる溶
媒が低沸点のものである場合等は、この限りではない。
【0021】反応時間については回分法の場合は概ね0
.5−40時間、半回分法や連続法においても、この反
応条件に見合った反応時間を設定することにより、目的
とする反応を行わせることができる。また反応様式とし
ては、容器に入れた溶媒中に微生物菌体を分散、懸濁し
接触反応させればよく、回転攪拌や超音波による攪拌方
法、カラム等に充填する方法、気泡塔型反応器等によっ
て流動させる方法等のあらゆる形式の反応様式が適用で
きる。
【0022】
【発明の効果】叙上の如く、乾燥菌体の調製法及び条件
によって、乾燥菌体をリン脂質の脂肪酸や塩基等の交換
反応、もしくは加水分解反応の2種以上の反応を同時に
行うことができ、このような菌体内の複数の脂質分解酵
素によってリン脂質の交換反応や加水分解反応を同時に
成功させたのは本発明が最初である。本発明は、培養さ
れた微生物の菌体内酵素を効率良く利用するものであり
、従って従来法の課題である酵素の抽出や精製工程を省
略し、直接リン脂質の製造反応に応用するものである。 従って、本発明によれば、反応に使用する酵素のコスト
が大幅に低減でき、高収率で所望のリン脂質を得ること
ができる。また複数の反応を同時に行うことができるた
め、設備コストや反応に要する時間も低減できる。 更に、多孔質の微生物保持体に固定化された乾燥菌体を
使用すれば、菌体内の脂質分解酵素がより効果的に安定
化され、しかも連続あるいは繰り返し回分反応方法が適
用できるので生産性が著しく向上する。
【0023】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 尚、実施例1〜8においてはリン脂質の組成分析、純度
検定は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて行
った。固定相には、シリカゲルにアミノプロピル基を化
学結合させたカラムを、また移動相溶媒としてはアセト
ニトリル:メタノール:10mMリン酸二水素アンモニ
ウム612:289:100の混合溶媒系をそれぞれ用
い、205nmにおける吸収を測定することにより定量
を行った。また、実施例9においては、逆相HPLCに
よってリン脂質のアシル基の構造の決定、定量及び分取
をおこなった後、分取したサンプルをシリカカラムを用
いる方法によって分属分析を行った。
【0024】実施例1 ストレプトマイセス・メディオシディカス IFO 1
3202を、グルコース  1%(重量%、以下同じ)
肉エキス  0.75%、ペプトン  0.75%、N
aCl  0.3%、MgSO4 0.1%を含む培地
(pH7.0)で、温度30℃、約2日間振盪培養した
。得られた菌体を2回水洗し、ついでアセトンに浸漬し
た後濾過し、次いで常温にて真空乾燥した。かくして得
られた乾燥菌体の水分含量は約4%であった。密栓した
試験管に、ホスファチジルコリン(旭化成製)20mg
、ヘキサン5ml、0.1Mトリス−塩酸バッファー(
pH8.0)5ml、乾燥菌体50mgを加え37℃に
て10時間加水分解反応させた。反応終了後、反応液を
HPLCにて分析し、各リン脂質量を決定した。分析の
結果、リゾホスファチジルコリン51%、リゾホスファ
チジン酸28%、ホスファチジン酸15%、ホスファチ
ジルコリン5%であった。この結果から、リン脂質のア
シル基と塩基の加水分解反応が同時に起こっていること
がわかる。
【0025】実施例2 実施例1で使用した微生物の代わりに、ストレプトバー
チシリウム・シンナモネウム IFO 12852、ス
トレプトバーチシリウム・ハチジョーエンセ IFO 
12782、ミクロモノスポラ・チャルセア ATCC
 12452 、ノカルディア・メディテラーネイIF
O 13142、ノカルディオプシス・ダソンビレイ 
IFO 13908、アクチノマジューラ・リバノチカ
 IFO 14095を使用した以外は、実施例1と全
く同様に行った。それぞれの反応の分析の結果を表1に
示す。
【0026】
【表1】 LPC:リゾホスファチジルコリン LPA:リゾホスファチジン酸 PC:ホスファチジルコリン PA:ホスファチジン酸
【0027】実施例3 実施例1で使用した微生物の代わりに、ストレプトバー
チシリウム・ハチジョーエンセ IFO 12782を
使用した以外は、実施例1と全く同様に行った。分析の
結果、リゾホスファチジルコリン13%、リゾホスファ
チジン酸8%、ホスファチジルコリン23%、ホスファ
チジン酸34%、ジパルミチン22%であった。
【0028】実施例4 実施例1で使用した微生物の代わりに、リゾプス・デレ
マー IFO 4697 、アスペルギルス・ニガー 
IFO 4066 、シュードモナス・フルオレッセン
ス IFO 3081、ムコール・ミーハイ ATCC
 16457 、キャンディダ・ルゴサ ATCC 1
0571 、ペニシリウム・サイクロピウム IFO 
5847 、クロモバクテリウム・ビスコサム ATC
C6918を使用し、リゾプス・デレマーでは培地をオ
レイン酸  2.0%、肉エキス1.5%、ペプトン 
 0.75%、NaCl  0.3%、MgSO4 0
.1%を含む培地(pH5.6)、その他の微生物では
培地をオリーブオイル  2.0%、肉エキス  0.
75%、ペプトン  0.75%、NaCl  0.3
%、MgSO4 0.1%を含む培地(pH6.5)と
した以外は、実施例1と全く同様に行った。それぞれの
反応の分析の結果を表2に示す。
【0029】
【表2】 LPC:リゾホスファチジルコリン LPA:リゾホスファチジン酸 PC:ホスファチジルコリン PA:ホスファチジン酸
【0030】実施例5 ストレプトマイセス・メディオシディカス IFO 1
3202を使用して、実施例1と全く同様の方法により
乾燥菌体を得た。密栓した試験管にホスファチジルコリ
ン(和光純薬製)20mg、モノエタノールアミン40
mg、ジエチルエーテル6ml、1Mモノエタノールア
ミン−リン酸二水素ナトリウム−塩酸バッファー(pH
6.0)4ml、乾燥菌体50mgを加え30℃にて1
0時間反応させた。反応後、反応液を分析した結果ホス
ファチジルエタノールアミン41%、リゾホスファチジ
ルエタノールアミン23%、リゾホスファチジルコリン
27%、ホスファチジン酸5%、リゾホスファチジン酸
1%、ホスファチジルコリン3%であった。
【0031】実施例6 エタノールアミンの代わりにセリンを40mg加え、バ
ッファーとして0.1Mトリス−塩酸バッファー(pH
6.0)を用いること以外の反応条件、操作条件は実施
例5と全く同様に行った。分析の結果、ホスファチジル
セリン35%、リゾホスファチジルセリン18%、リゾ
ホスファチジルコリン34%、ホスファチジン酸7%、
リゾホスファチジン酸2%、ホスファチジルコリン4%
であった。
【0032】実施例7 ストレプトマイセス・メディオシディカス IFO 1
3202を使用して、実施例1と全く同様の方法により
乾燥菌体を得た。密栓した試験管にリゾホスファチジル
コリン(太陽化学製)20mg、ヘキサン6ml、1M
モノエタノールアミン−リン酸二水素ナトリウム−塩酸
バッファー(pH6.0)4ml、乾燥菌体50mgを
加え37℃にて10時間反応させた。反応後、反応液を
分析した結果グリセロホスホリルエタノールアミン13
%、グリセロホスホリルコリン16%、リゾホスファチ
ジルエタノールアミン42%、リゾホスファチジルコリ
ン18%であった。
【0033】実施例8 ストレプトマイセス・メディオシディカス IFO 1
3202を実施例1と同様の培地に、一辺6mmのブロ
ック状のポリウレタンフォームからなる微生物保持体(
ブリジストン社製、エバーライトHR−50 )を15
0個/100ml培地となるように加えて培養し、微生
物保持体に菌体を固定化させた。固定化された菌体は実
施例1と同様に乾燥させ乾燥菌体を調製した。微生物保
持体中の乾燥菌体量は概ね4mg/個であった。なお、
微生物保持体中の乾燥菌体量は公知の方法〔J. Fe
rment.Technol., vol66, 44
1 (1988) 〕で測定した。容量100mlのサ
ンプル管に乾燥菌体が固定化された微生物保持体50個
を添加し、ホスファチジルコリン100mg、ジエチル
エーテル35ml、1Mモノエタノールアミン−リン酸
二水素ナトリウム−塩酸バッファー(pH6.0)15
mlを加え30℃にて20時間反応させた。反応終了後
、反応液を全て抜き出し、再び新しい反応溶液を添加し
、同様の反応を繰り返した。このような繰り返し反応を
3回行った。それぞれの反応で得られた反応液を分析し
た結果を表3に示す。
【0034】
【表3】 PE:ホスファチジルエタノールアミンLPE:リゾホ
スファチジルエタノールアミンLPC:リゾホスファチ
ジルコリン PC:ホスファチジルコリン
【0035】表3から、微生物保持体に固定化された乾
燥菌体の酵素活性は安定で、繰り返し使用が可能である
ことがわかる。
【0036】実施例9 実施例8で使用した微生物の代わりにリゾプス・デレマ
ー IFO 4697を使用し、実施例4と同様の培地
を使用して、実施例8と同様の方法により乾燥菌体を得
た。微生物保持体中の乾燥菌体量は概ね5mg/個であ
った。容量100mlのサンプル管に乾燥菌体が固定化
された微生物保持体50個を添加し、ホスファチジルコ
リン100mg、オレイン酸200mg、酢酸エチル3
5ml、0.1Mトリス−塩酸バッファー(pH8.0
)15mlを加え37℃にて10時間反応させた。反応
終了後、反応液を全て抜き出し、再び新しい反応溶液を
添加し、同様の反応を繰り返した。このような繰り返し
反応を3回行った。それぞれの反応で得られた反応液を
分析した結果を表4に示す。
【0037】
【表4】 PC(O):オレイン酸を含むホスファチジルコリンL
PC:リゾホスファチジルコリン LPA:リゾホスファチジン酸 PA:ホスファチジン酸 PC:ホスファチジルコリン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  リン脂質の脂肪酸構造の変換又は分解
    活性を有する酵素とリン脂質の極性部位に作用する酵素
    とを併せもつ微生物乾燥菌体を、原料リン脂質又は原料
    リン脂質と受容体に作用させることを特徴とする改質さ
    れたリン脂質の製造方法。
  2. 【請求項2】  脂肪酸構造の変換又は分解活性を有す
    る酵素が、リパーゼ、ホスホリパーゼA及びホスホリパ
    ーゼBから選択される少なくとも1種であり、リン脂質
    の極性部位に作用する酵素がホスホリパーゼC及びホス
    ホリパーゼDから選択される少なくとも1種である請求
    項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】  多孔質の微生物保持体に微生物が固定
    化された乾燥菌体を用いる請求項1又は2のいずれかの
    項記載の製造方法。
  4. 【請求項4】  微生物が、リゾプス属、アルペルギル
    ス属、シュードモナス属、ムコール属、キャンディダ属
    、ペニシリウム属、クロモバクテリウム属、ストレプト
    マイセス属、ストレプトバーチシリウム属、ミクロモノ
    スポラ属、ノカルディア属、ノカルディオプシス属及び
    アクチノマヂューラ属から選択される少なくとも1種で
    ある請求項1乃至3のいずれかの項記載の製造方法。
  5. 【請求項5】  乾燥菌体が、菌体を水溶性溶媒に浸し
    て該菌体組成内を溶媒置換した後、該溶媒を蒸発させて
    得られたものである請求項1乃至4のいずれかの項記載
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1997005219A1 (de) * 1995-07-26 1997-02-13 Röhm Gmbh Enzymatisches verfahren zur entschleimung von pflanzlichen ölen mit aspergillus-phospholipase

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997005219A1 (de) * 1995-07-26 1997-02-13 Röhm Gmbh Enzymatisches verfahren zur entschleimung von pflanzlichen ölen mit aspergillus-phospholipase
US6001640A (en) * 1995-07-26 1999-12-14 Roehm Gmbh Vegetable oil enzymatic degumming process by means of aspergillus phospholipase

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