JPH0555196B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は大型構造物の側壁面、特に大波パネル
が施こされている壁面の塗装前に清掃を行うため
のケレン装置に用いるケレンキヤリツジに関する
ものである。

［従来の技術］ 工場の建物外壁面の如き高所に達し且つ広い面
積を有する壁面の塗装を行う塗装機としては従来
より種々のものが提案されている。

従来の塗装機の例を示すと、たとえば、特開昭
53−1240号公報に記載されているように、建物の
屋上に走行自在に載置した台車上に巻上機を搭載
し、ケレン用ブラシや塗料吹付装置を備えた自動
塗装機を屋上の巻上機にて昇降させ、且つ台車に
て左右動させて、壁面の塗装作業を行うようにし
たもの、あるいは、建物の壁面に沿いクレーン等
にてリーダを立て、このリーダにゴンドラを昇降
できるように沿わせ、ゴンドラにはケレン用のブ
ラシや塗料吹付装置を備えた自動塗装機を搭載さ
せ、リーダの下端部に設置した巻上機からワイヤ
をリーダの頂上を経由してゴンドラに掛けた構成
のもの、等がある。

しかし、上記いずれの方式も高所作業に適し、
手作業による方式に比して品質の管理の容易化、
塗装工事の高能率化が達成できるが、次のような
問題があつた。

先ず、特開昭53−1240号公報に記載されたもの
では、自動塗装機を屋上に設けた巻上機で吊り下
げているだけであるため、特別に自動塗装機の昇
降をガイドするものがなく、垂直面に対しては常
に重心の関係で建物外壁面に押し付けられている
構造であり、建物外壁面から離れる方向へ自動塗
装機を自動的にシフトさせることができない。更
に、巻上機を搭載した台車を建物の屋上に載置し
て移動させる構成上、壁面の頂部に台車を載置で
きるようになつている建物でなければ実施でき
ず、勾配を持つ屋根付きの建物の壁面には使用で
きない。又、リーダにゴンドラを沿わせる方式で
は自動塗装機のケレン用ブラシを垂直壁面に押し
付けて反力をもたせるためにリーダは不可欠のも
のとなつている。

そこで、最近、勾配のある屋根を有する建物の
垂直壁面をリーダの如き支柱を用いることなくケ
レンキヤリツジの壁面への押付力、作業時の反力
が得られ、壁面に沿い昇降できるようにしたもの
が考えられている。すなわち、断面がＣ形の溝を
有する金属壁面に対し壁面の形状に合わせてブラ
シ部を直角に向けるように取り付けたケレン用ブ
ラシを搭載したケレンキヤリツジの両側部に、マ
グネツトキヤタピラを取り付け、マグネツトキヤ
タピラを建物の壁面に吸着させ、高所作業車の頂
部にワイヤロープを介してケレンキヤリツジを支
持させ、壁面を効率よくケレン作業できるように
したものが考えられ出願されている。

［発明が解決しようとする問題点］ ところが、本発明が対象にしようとする大波パ
ネルによつて建物の壁面が構成されている場合に
は、大波パネルを取り付けるための取付ボルトが
表面に多数突出しており、走行部をキヤタピラ方
式としたケレンキヤリツジを大波パネル表面のケ
レン装置に適用した場合には、キヤタピラが取付
ボルトと干渉し合つてキヤタピラが壁面より浮き
上がるか、あるいは取付ボルトが折れ曲がる等の
おそれが考えられ、これに伴ないケレン作業の不
充分なところが生じるという問題が考えられる。

本発明は、大波パネルで構成された建物壁面を
塗装前に清掃するケレン装置のケレンキヤリツジ
として、パネル表面に突出する取付ボルトと干渉
するときは全体が浮き上がつたり取付ボルトを損
傷させることなく上記取付ボルト位置を通過で
き、且つ大きな吸着力が得られるようにしたもの
を提供しようとするものである。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は、上記目的を達成するために、大波パ
ネルによつて構成される壁面に沿つて上下動させ
られるケレンキヤリツジ本体に、上記大波パネル
による壁面に接触させられるようにケレンブラシ
を搭載すると共に、上記ケレンキヤリツジ本体の
左右両側部に、該ケレンキヤリツジ本体の上下方
向ほぼ全長にわたるフレームを大波パネルによる
壁面に近接、離反する方向に変位可能に取り付
け、該フレーム上に、先端にマグネツトローラを
回転自在に有するスライドフレームを圧縮スプリ
ングを介して伸縮自在に連結した支持フレーム
を、上下方向に回動自在に且つ常時水平状態に復
元できるようにして多数並列に更に多段に配設し
てなる構成とする。

［作用］ マグネツトローラを先端に取り付けたスライド
フレームと支持フレームとは圧縮スプリングによ
り互いに離れる方向に作用を受けており、マグネ
ツトローラは大波パネルによる壁面に押し付けら
れて該大波パネルによる壁面に確実に吸着でき
る。ケレン作業中、大波パネルによる壁面に突出
している取付ボルトに適宜のマグネツトローラが
干渉すると、ケレンキヤリツジ本体の移動に伴な
い支持フレームが進行方向の後方に回動して逃げ
るため、マグネツトローラが容易に取付ボルトを
乗り越えて前進することができる。この間は他の
複数のマグネツトローラが大波パネルによる壁面
に吸着しているので、ケレンキヤリツジ本体が大
波パネルによる壁面から浮き上がつたりすること
なく大波パネルによる壁面に沿わされる。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第１図乃至第６図は本発明のケレンキヤリツジ
の実施例を示すもので、上面に取り付けたシーブ
２，３にウインチ４からのワイヤロープ５をかけ
て支持されるようにしてあるケレンキヤリツジ本
体１の表面にほぼ全域にわたつて取り付けたフー
ド６内の上下両位置に、先端を揃えてほぼドラム
状に構成した大波パネル用のケレンブラシ７をそ
れぞれ横長にして平行に配し、各ケレンブラシ７
の軸８の両端をケレンキヤリツジ本体１に回転自
在に支持させ、且つケレンキヤリツジ本体１上に
設置したモータ９を上記軸８にスプロケツト１
０，１１，１２、無端のチエン１３とからなる動
力伝達機構介して連結し、更に、上記フード６の
中央部分に集合部１４を開口させ、該集合部１４
とブロワ１５とをフレキシブルな管１６で接続
し、ケレン作業で出て来た剥離物をブロワ１５で
吸引するようにしてあるケレンキヤリツジの場合
について示している。

本発明の特徴とするところは、上記のようなケ
レンキヤリツジに多数のマグネツトローラを大波
パネス１７によつて構成される壁面１７ａに突出
する取付ボルト１８に当ると無理なく逃げ得るよ
うに有している点にある。すなわち、ケレンキヤ
リツジ本体１のほぼ中央部の左右両側面に張出部
１９と２０を水平に張り出し、該両張出部１９と
２０の大波パネル１７側に各々スライドアーム２
１とスライド用シリンダ２２にてフレーム２３を
移動自在に取り付ける。上記フレーム２３は、ケ
レンキヤリツジ本体１の上下方向の長さとほぼ同
じ長さを有し、該フレーム２３の大波パネル１７
側の面には、第４図及び第５図に拡大して示す如
く、フレーム２３の長手方向と平行に複数のブラ
ケツト２４を配し、該ブラケツト２４に長手方向
に一定間隔で遊嵌状態に挿入した水平のピン２５
をフレーム２３上に支持させ、これによりフレー
ム２３上に各ブラケツト２４を支持させた構成と
し、且つ各ブラケツト２４の少なくとも上端部
に、ねじボルト２６を貫通させ、該ねじボルト２
６に螺合させたナツト２７を各ブラケツト２４を
挾むように位置させて、ナツト２７を適宜ずらす
ことによりブラケツト２４の位置が左右方向へ変
えられ、各ブラケツト24間の間隔が必要に応じて
変えられるようにする。上記各ブラケツト２４間
で且つピン２５と干渉しない上下方向の各段の位
置に、複数個のマグネツトローラの支持フレーム
２８を第４図及び第５図の如く各段共同じ一定間
隔で並列に配置し、水平方向に延びるピン２９に
てブラケツト２４に支持させ、各支持フレーム２
８がピン２９を支点として上下方向に回動できる
ようにする。上記各支持フレーム２８には、スラ
イドフレーム３０を抜け出ないように先端側より
スライド自在に挿入し、該スライドフレーム３０
と支持フレーム２８との間に介在させた圧縮スプ
リング３１の弾力により常時はスライドフレーム
３０が押し出される方向に力を受けているように
して、該スライドフレーム３０の先端にはマグネ
ツトローラ３２を回転自在に取り付ける。又、上
記支持フレーム２８の末端部と上下に位置する各
ピン２５との間には引張スプリング３３を介装
し、支持フレーム２８は末端部が上下側のスプリ
ング３３により引張られていることにより水平状
態が保持されるようにしてあると共に、大波パネ
ル１７を止めるための取付ボルト１８にマグネツ
トローラ３２が干渉したときはケレンキヤリツジ
本体１の移動する力で引張スプリング３３に抗し
て支持フレーム２８が第６図で二点鎖線の如くピ
ン２９を支点として回動できるようにする。

第７図は本発明のケレンキヤリツジＩを用いて
作業する実施の一例を示すもので、高所作業車３
４の頂部に備えたバケツト３５にウインチ４を搭
載し、該ウインチ４にワイヤロープ５を介してケ
レンキヤリツジＩを昇降自在に吊下支持し、壁面
のケレン作業を行わせるようにしたものである。

なお、３６はケレンキヤリツジを大波パネル１
７による壁面１７ａから離脱させるためのキヤリ
ツジ本体１に設置したエアシリンダからなる離脱
装置である。

大波パネル１７によつて構成される壁面１７ａ
を塗装前にケレン作業するに際しては、本発明の
ケレンキヤリツジＩを所定の位置にセツトし、次
に、大波パネル１７に接近させて多数のマグネツ
トローラ３２を大波パネル１７による壁面１７ａ
に吸着させる。この際、大波パネル用のケレンブ
ラシ７が第３図に示す如く大波パネル１７による
壁面１７ａの山部及び谷部に接触するよう張出部
１９，２０とフレーム２３との間のスライド用シ
リンダ２２を作動させてケレンキヤリツジ本体１
と大波パネル１７による壁面１７ａとのスペース
を調節するようにする。又、各マグネツトローラ
３２は、スライドフレーム３０が支持フレーム２
８に対して圧縮スプリング３１の弾力により外方
へ押されているので、大波パネル１７への吸着力
は大となつている。

上記の状態でケレン作業を開始するときは、本
ケレンキヤリツジＩを垂直方向に移動させる。こ
の際、建物の壁面１７ａが大波パネル１７の表面
で構成されている場合は大波パネル１７を止める
ための取付ボルト１８が表面に随所にわたり突出
しているため、マグネツトローラ３２が第６図の
如く当ることがある。しかし、各マグネツトロー
ラ３２はフレーム２３に対して支持フレーム２８
とともに上下方向に回動できるように支持されて
いるので、ケレンキヤリツジＩの移動に伴ない取
付ボルト１８に当つたマグネツトローラ３２は、
引張スプリング３３に抗して支持フレーム２８が
ピン２９を中心に回動して逃げることにより取付
ボルト１８を容易に乗り越えることができる。こ
の間他の多数のマグネツトローラ３２は大波パネ
ル１７に吸着しているので、ケレンキヤリツジＩ
が大波パネル１７から浮き上がつたりすることは
ない。

ケレン作業は、大波パネル１７によつて形成さ
れる壁面１７ａの上から下へ、下から上へと行わ
れるが、上昇中に適宜のマグネツトローラ３２が
取付ボルト１８に下から当つたときでも同様に当
該マグネツトローラ３２は取付ボルト１８を乗り
越えることができる。

各マグネツトローラ３２を支持している支持フ
レーム２８は前記のように引張スプリング３３に
より常時は水平状態にあるようにしてあるため、
取付ボルト１８にマグネツトローラ３２が当つて
回動しても取付ボルト１８位置を過ぎると水平状
態に復元でき、直に大波パネル１７に吸着でき
る。

なお、ケレンブラシ７は図示以外の構成のもの
でもよく、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲
内で種々変更を加え得ることは勿論である。

［発明の効果］ 以上述べた如く、本発明のケレンキヤリツジに
よれば、ケレンキヤリツジ本体の左右両側部にフ
レームを変位可能に取り付け、該フレームの壁面
大波パネル側の面に、常時は水平状態に保たれて
いるように多数の支持フレームを左右方向に並べ
ると共に上下方向に多段に配設し、該各支持フレ
ームに、先端にマグネツトローラを取り付けたス
ライドフレームを圧縮スプリングを介在させて連
結し、大波パネルを止めている取付ボルトにマグ
ネツトローラが当れば、支持フレームが倒れるこ
とによつて取付ボルトを乗り越えることができる
ようにしてあるので、大波パネルで構成される壁
面において多数の取付ボルトが表面に突出してい
るところのケレン作業のために適用しても、取付
ボルトに当つたマグネツトローラのみが容易に該
取付ボルトを乗り越えることができて、ケレンキ
ヤリツジ自体が取付ボルトのために動けなくなつ
たり、浮き上がつたり、あるいは取付ボルトを折
り曲げたりすることがなく、この間他の多数のマ
グネツトローラが大波パネルに吸着しているの
で、多くの取付ボルトが突出している大波パネル
のケレン作業に非常に有効であり、又、多数のマ
グネツトローラを支持しているフレームはケレン
キヤリツジ本体に対して位置が変えられるように
してあるので、ケレンキヤリツジと大波パネルと
の間隔を任意に調整できると共にケレンブラシの
押付力を調節することもできる、という優れた効
果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のケレンキヤリツジの一実施例
を示す一部切断側面図、第２図は第１図に示すケ
レンキヤリツジの正面図、第３図は平面図、第４
図はマグネツトローラを支持するフレームを壁面
側からみた図、第５図は第４図のフレームの側面
図、第６図は第５図の部の拡大詳細図、第７図
は作業時の状態を示す概略図である。 Ｉ……ケレンキヤリツジ、１……ケレンキヤリ
ツジ本体、７……ケレンブラシ、１７……大波パ
ネル、１７ａ……壁面、１８……取付ボルト、１
９，２０……張出部、２２……スライド用シリン
ダ、２３……フレーム、２５……ピン、２８……
支持フレーム、２９……ピン、３０……スライド
フレーム、３１……圧縮スプリング、３２……マ
グネツトローラ、３３……引張スプリング。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 大波パネル１７によつて構成される壁面１７
   ａに沿つて上下動させられるケレンキヤリツジ本
   体１に、上記大波パネル１７による壁面１７ａに
   接触させられるようにケレンブラシ７を搭載し、
   且つ上記ケレンキヤリツジ本体１の左右両側部
   に、該ケレンキヤリツジ本体１の上下方向ほぼ全
   長にわたるフレーム２３を大波パネル１７による
   壁面１７ａに近接、離反する方向に変位可能に取
   り付け、該フレーム２３上に、先端にマグネツト
   ローラ３２を回転自在に有するスライドフレーム
   ３０を圧縮スプリング３１を介して伸縮自在に連
   結した支持フレーム２８を、上下方向に回動自在
   に且つ常時水平状態に復元できるようにして多数
   並列に更に多段に配設してなることを特徴とする
   大型構造物の壁面ケレン用ケレンキヤリツジ。