JPH0554920B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の分野］ 本発明は、輝尽性蛍光体を利用する放射線画像
情報記録再生方法に使用される放射線像変換パネ
ルおよびその移動方法に関するものである。

［従来技術の説明］ 従来より、放射線像を画像として得る方法とし
て、銀塩感光材料からなる乳剤層を有する放射線
写真フイルムと増感紙（増感スクリーン）との組
合わせを用いる、いわゆる放射線写真法が利用さ
れている。

近年、上記の放射線写真法にかわる方法の一つ
として、たとえば特開昭55−12145号公報等に記
載されているような輝尽性蛍光体を利用する放射
線画像情報記録再生方法（以下、放射線像変換方
法と呼ぶ）が開発され、注目されている。この方
法は被写体を透過した放射線、あるいは被検体か
ら発せられた放射線を輝尽性蛍光体に吸収させ、
そののちにこの蛍光体を可視光線、赤外線などの
電磁波（励起光）で励起することにより、蛍光体
中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光（輝
尽蛍光）として放出させ、この蛍光を光電的に読
み取つて電気信号を得、この電気信号に基づき被
写体或いは被検体の放射線像を可視像もしくは数
値、記号等により表示された情報として再生する
ものである。

上記の放射線像変換方法によれば、従来の放射
線写真法を利用した場合に比較して、はるかに少
ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得る
ことができるという利点がある。従つて、この放
射線像変換方法は、特に医療診断を目的とするＸ
線撮影などの直接医療用放射線撮影において利用
価値が非常に高い。

放射線像変換パネルはそれ自体に最終的に画像
情報を記録させるものではなく、前述のように別
に用意された最終的な記録媒体に画像等を与える
ために一時的に画像情報を担持するものである。

放射線像変換方法の実施に際して、輝尽性蛍光
体は一般に該輝尽性蛍光体と結合剤とからなる蛍
光体層を支持体上に積層した構成からなる放射線
像変換パネル（蓄積性蛍光体シートとも呼ばれ、
通常は、長方形、正方形などの形状のシートであ
り、その一辺の長さは約20〜50cm）の形態にて用
いられる。また通常、蛍光体層の表面には蛍光体
層の物理的劣化および化学的変質を防止する目的
で透明な合成樹脂からなる保護膜が付設されてい
る。

上記の輝尽性蛍光体を用いた放射線像変換パネ
ルを使用して放射線像変換方法を実施するに際し
ては、通常、放射線像変換パネルへの放射線像の
記録（放射線撮影）、該パネルからの放射線像の
光電的読取、さらに読取後該パネルに残存する放
射線像の消去などの各種の処理操作機能を有する
ユニツトを組合せた装置が用いられる。そして、
このような装置が近年では病院、診療所などの各
種の診療施設で多く利用されるようになつてきて
いる。

一方、上記の放射線像変換方法の実用が一般化
するに従つて、その装置系をコンパクトにするた
めの試みも各種なされている。

［発明の目的］ 本発明は、放射線像変換方法を実施するに際し
て用いられる装置系のコンパクト化を可能にする
放射線像変換パネルの移動方法と組合せて使用す
るに適した放射線像変換パネルを提供することに
ある。

また本発明は、放射線像変換方法を実施するに
際して用いられる装置系のコンパクト化を可能に
する放射線像変換パネルの移動方法をも提供する
ことを目的とする。

［発明の要旨］ 本発明は、支持体と、この支持体上に輝尽性蛍
光体が結合剤に分散されてなる蛍光体層を有する
放射線像変換パネルにおいて、該パネルの移動方
向を基準にした前端部および／または後端部に、
支持体よりも柔軟な材料からなる屈曲可能な延長
部が付設されていることを特徴とする放射線像変
換パネルにある。

また本発明は、上記の放射線像変換パネルの延
長部を少なくとも一対のロールによつて挟持し、
該ロールを回転させることにより該パネルを移動
させることを特徴とする放射線像変換パネルの移
動方法にもある。

［発明の効果］ 本発明の放射線像変換パネルは、通常の放射線
像変換パネルに、パネルの移動の際に移動手段と
係合する手段が新たに付設された構成を有するた
め、パネルの蛍光体層の略全面が放射線像の記録
に有効に利用できる。

また、本発明の放射線像変換パネルは、放射線
像変換装置内に設けられたパネル移動手段と係合
して移動するため、その移動が、たとえば一対の
ロールのみを利用することにより可能となる。従
つて、従来の放射線像変換装置において用いられ
ている搬送ベルトなどの複雑な搬送手段を特に用
いることなく容易に放射線像変換パネルを移動さ
せることができる。

さらに、本発明の放射線像変換パネルの延長部
は、支持体に比べて更に柔軟な材料からなり、容
易に屈曲するものであるため、その延長部がロー
ルなどのパネル移動手段との係合状態にない時に
は、延長部は折り曲げるなどの自由な変形が可能
となる。従つて、そのパネルの収容に必要な空間
を、パネルの片面の表面積に比較して小さくする
ことができ、この結果、装置系のコンパクト化が
容易に実現する。

さらに、本発明の放射線像変換パネルの柔軟性
延長部は、パネルが搬送系あるいはパネル収容具
の壁などに衝突した時には緩衝部として機能する
ため、そのような衝突に対するパネルの抵抗性が
向上する。

また、上記の柔軟な延長部を備えた放射線像変
換パネルと一対のロールを組合せたシステムを利
用することによつて放射線像変換パネルの簡易な
移動が実現する。

［発明の詳細な記述］ 放射線像変換パネルは、既に公知の一般的な構
成である支持体、輝尽性蛍光体が結合剤に分散さ
れてなる蛍光体層および保護膜がこの順に積層さ
れてなる基本構成を有するものである。画像情報
を担持する蛍光体層が設けられている領域（ある
いは画像形成部ともいう）は、該パネルのほぼ全
面をなすように構成されており、パネル自体の特
性、搬送特性あるいは耐久性等の点から通常、パ
ネルはある程度の機械的強度と剛性が具備されて
いる。

本発明の放射線像変換パネルは、支持体材料に
比べて更に柔軟な材料からなる屈曲可能な延長部
が該パネルの搬送方向を基準にして、前端部およ
び／または後端部に設けられてなるものである。

以下に本発明を添付図面を参照しながら詳しく
説明する。

本発明の放射線像変換パネルの好ましい態様を
添付図面の第１図、第１−Ａ図および第１−Ｂ図
に示す。このうち第１図は、本発明に従う放射線
像変換パネルの一例の平面図であり、第１−Ａ図
はそのＩ−Ｉ線断面図である。そして第１−Ｂ図
は、第１−Ａ図にてＸで示した円で囲まれた部分
の拡大図である。

第１図、第１−Ａ図および第１−Ｂ図には、本
発明に従う放射線像変換パネル１０が、支持体１
１、輝尽性蛍光体と結合剤とを含む蛍光体層１２
および保護膜１３をこの順に積層してなる構成
に、さらに延長部１４ａ，１４ｂを有する構成で
示されている。

延長部１４ａ，１４ｂは放射線像変換パネルの
移動方向（矢印の方向）を基準にして、画像形成
部１５を挟んで両側に延長した形態で備えられて
いる。

延長部は、たとえばニツプロールなどの搬送手
段によつて挟持され、該ロールの回転によつて移
動する際に、ロールに係合する部位として機能す
る。

上記延長部は、一般に用いられている柔軟で屈
曲可能な樹脂材料の中から適宜に選択して用いる
ことができ、通常はシート状に成形されて用いら
れる。

このような樹脂材料の例としてはポリアミド、
ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルなど
のプラスチツク、ウレタンゴム、シリコンゴム、
プチルゴム、クロロプレンゴムなどの合成ゴムあ
るいは天然ゴムなどを挙げることができる。

延長部の厚さは、搬送性、あるいは強度などの
点から放射線像変換パネルの厚さと等しいか、あ
るいは僅かに薄い程度であることが好ましい。ま
た延長部は屈曲が可能である必要があるため、そ
の弾性係数は４×10²Kg／mm以下であることが好
ましい。

また、上記延長部の長さは、放射線像変換パネ
ルの移送方向に沿つた蛍光体層の長さの0.1倍以
上であることが好ましく、さらに0.2倍以上ある
ことが特に好ましい。このように延長部を比較的
長くすることにより、パネルをある方向に引き込
む、あるいは引き出すなどの移動操作（搬送のた
めの操作）を円滑に、かつ容易に行なうことがで
きる。また、第１図に見られるように延長部はパ
ネルの移動方向を基準にして、前端部と後端部の
双方に設けることが好ましいが、前端部または後
端部に、すなわちいずれか一方の端部にのみ設け
てもよい。

上記の延長部は、パネルの移動方向を基準にし
て、前端部および／または後端部に、上記条件に
適合するように成形された柔軟性材料を接着剤を
介して設ける方法、あるいは予め支持体に上記柔
軟性材料を接合しておき、後に蛍光体層など設け
る方法などを挙げることができる。

次に、本発明の放射線像変換パネルを利用する
パネル移動方法（あるいは搬送方法）が備えられ
た放射線像変換装置の例を、添付の第２図を参照
しながら説明する。

第２図は構造物の壁体２０に埋め込まれた形で
設置された放射線像記録読取装置２１を示す。こ
の放射線像記録読取装置は、記録部２２と読取部
２３とから構成される。この記録部２２は不使用
時には読取部２３の内部に収容され、使用時にの
み、第２図に示されているような状態に引き出し
て用いることができる。

記録部２２の上方にはＸ線発生装置２４が設け
られている。このＸ線発生装置２４も不使用時に
は壁体２０の内部に収容され、使用時にのみ、第
２図に示されているような状態に引き出して用い
ることができる。

記録部２２の内部には、本発明に従う柔軟な材
料からなる屈曲可能な延長部２５ａ，２５ｂを有
する放射線像変換パネル２６が、そのパネル平面
に沿つて前後方向（図面の平面に沿つた方向）に
移動可能に配置されている。なお、放射線像変換
パネル２６は、支持体が下側になるように配置し
てもよく、あるい支持体が上側になるように配置
してもよい。

放射線像変換パネル２６の右側の延長部２５ｂ
は、記録部２２と読取部２３との境界部位に備え
られた一対のニツプロール２７に挟持されてい
る。この場合、ニツプロールは少なくとも一対設
けておき、パネルを引き込む、あるいは引き出す
などの移動操作を円滑に行なうことができればよ
く、たとえば記録部２２の前端部位あるいは読取
部２３の前端部位付近などに設けておくこともで
きる。すなわち、ロールは少なくとも一対備えら
れておればよく、必要に応じて複数のロールを近
接して、あるいは適当な位置に離して設けること
もできる。

上記の状態にて、記録部２２の上に被検体（図
示なし）を位置させ、Ｘ線発生装置２４からＸ線
を被検体に照射させることによりＸ線撮影が行な
われる。このＸ線撮影により、放射線像変換パネ
ル２６に被検体の放射線像が形成される。

次に、ニツプロール２７が回転駆動して、放射
線像変換パネル２６を右側方向に移動させて、そ
の蛍光体層部全体を読取部２３の内部に収容する
（第２図において点線で示された状態）。

この放射線像変換パネル２６の右側方向への移
動と同時に、読取部２３の内部に収容設置されて
いる放射線像読取機構が作動して、放射線像変換
パネル２６に記録されている被検体の放射線像を
読み取る操作が実施される。この放射線像読取機
構は、レーザ発生装置２８、ビームエクスパンダ
ーとレンズからなる装置２９、fθレンズ３０およ
びガルバノメータミラー３１を含む励起光照射系
およびフオトマルチプライヤ３２（例えば、本出
願人による特願昭60−156255号明細書に記載され
ている長尺のフオトマルチプライヤ）を含む輝尽
発光検出系とからなつている。すなわち、放射線
像変換パネル２６を右側方向に移動させながら、
これらの励起光照射系および輝尽発光検出系を利
用して放射線像の読み取りを行なう。

上記の放射線像の読取り操作の終了時付近にな
ると放射線像変換パネル２６の右側端部は読取部
２３の内壁に衝突するようになる。しかし、本発
明の放射線像変換パネルの右側端部には屈曲可能
な柔軟性材料からなる延長部２５ｂが備えられて
おり、その延長部２５ｂが読取部２３の内壁に接
触すると同時に屈曲し、通常は下側に折れ曲がつ
ていくため、衝突による衝撃が発生せず、また延
長部２５ｂを収容するために本来は必要であつた
空間が不要となる。

次に、放射線像変換パネル２６は再度左側に移
動され、第２図に実線で示したような位置に戻つ
たのち、同様な一連の操作が繰返される。

なお、第２図において具体的に示した本発明の
放射線像変換パネルの移動方法の実施が利用され
ている装置は例示にすぎず、他の各種の態様の装
置に本発明の放射線像変換パネルの移動方法が利
用できることは勿論である。すなわち、たとえば
記録部と読取部の構成やパネル移動手段などは本
発明の特徴的構成要件に矛盾しない限り、他の構
成や手段で置き換えることができる。また、消去
装置などの他の機能装置を付設してもよい。

なお、上記延長部を除いた放射線像変換パネル
の構成自体は既に公知である。以下にその構成に
ついて簡単に記載する。

支持体の例としては、セルロースアセテート、
ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチツク
物質のフイルム、アルミニウム箔などの金属シー
ト、通常の紙、バライタ紙、レジンコート紙など
を挙げることができる。なお支持体の蛍光体層が
設けられる側の表面には、接着性付与層、光反射
層、光吸収層などの他の機能層が設けられている
場合もある。

蛍光体層は、基本的に輝尽性蛍光体の粒子を結
合剤中に分散させてなる層である。このような目
的に用いられる輝尽性蛍光体は既に多数知られて
おり、本発明においてもそのような輝尽性蛍光体
から任意に選択して用いることができる。

公知の輝尽性蛍光体の例としては、二価ユーロ
ピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍
光体（M〓FX：Eu²⁺；ただし、M〓はMg，Caお
よびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種
のアルカリ土類金属であり、ＸはＣ，Brおよ
びＩからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲンである）；ユーロピウムおよびサマリウム
賦活硫化ストロンチウム蛍光体（SrS：Eu，Sm）
ユーロピウムおよびサマリウム賦活オキシ硫化ラ
ンタン蛍光体（La₂O₂Ｓ：Eu，Sm）；ユーロピウ
ム賦活酸化アルミニウムバリウム蛍光体
（BaO・Ａ₂O₃：Eu）；ユーロピウム賦活アルカ
リ土類金属ケイ酸塩蛍光体（M²⁺Ｏ・SiO₂：
Eu；ただし、M²⁺はMg，CaおよびBaからなる
群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金
属である）；セリウム賦活希土類オキシハロゲン
化物蛍光体（LnOX：Ce；ただし、LnはLa，Ｙ，
GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも
一種の希土類元素であり、ＸはＣ，Brおよび
Ｉからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンである）；二価ユーロピウム賦活アルカリ土
類金属ハロゲン化物系蛍光体［M〓XX′：Eu²⁺；
ただし、M〓はアルカリ土類であり、Ｘおよび
X′はそれぞれ弗素以外のハロゲンである］を挙
げることができる。ただし、本発明の放射線像変
換パネルに用いられる輝尽性蛍光体は上記のもの
に限られるものではなく、輝尽性を示す蛍光体で
あれば特に制限なく用いることができる。

蛍光体層の表面には、次いで蛍光体層を物理的
および化学的に保護するための透明な保護膜が設
けられる。透明保護膜に用いられる材料の例とし
ては、酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
を挙げることができる。透明保護膜の膜厚は、通
常約0.1乃至20μmである。

なお、放射線像変換パネルは、特開昭55−
163500号公報、特開昭57−96300号公報などに記
載されているように、着色剤によつて着色されて
いてもよく、また特開昭55−146447号公報に記載
されているようにその蛍光体層中に白色粉体が分
散されていてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に従う放射線像変換パネルの
一例の平面図であり、第１−Ａ図はその−線
断面図である。第１−Ｂ図は、第１−Ａ図にてＸ
で示した円で囲まれた部分の拡大図である。第２
図は、本発明の放射線像変換パネルの移動方法が
利用されている放射線像記録読取装置の構成の例
を示す図である。 １０……放射線像変換パネル、１１……支持
体、１２……蛍光体層、１３……保護膜、１４
ａ，１４ｂ……延長部、１５……画像形成部、２
０……壁体、２１……放射線像記録読取装置、２
２……記録部、２３……読取部、２４……Ｘ線発
生装置、２５ａ，２５ｂ……延長部、２６……放
射線像変換パネル、２７……一対のニツプロー
ル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 支持体と、この支持体上に輝尽性蛍光体が結
   合剤に分散されてなる蛍光体層を有する放射線像
   変換パネルにおいて、該パネルの移動方向を基準
   にした前端部および／または後端分に、支持体よ
   りも柔軟な材料からなる屈曲可能な延長部が付設
   されていることを特徴とする放射線像変換パネ
   ル。 ２ 延長部の弾性係数が４×10²Kg／mm以下であ
   る特許請求の範囲第１項記載の放射線像変換パネ
   ル。 ３ 延長部を含む放射線像変換パネル全体の厚み
   が均一である特許請求の範囲第１項もしくは第２
   項記載の放射線像変換パネル。 ４ 延長部の長さが、放射線像変換パネルの移送
   方向に沿つた蛍光体層の長さの0.1倍以上ある特
   許請求の範囲第１項もしくは第２項記載の放射線
   像変換パネル。 ５ 延長部が、自己支持性のない合成樹脂シート
   からなる特許請求の範囲第１項もしくは第２項記
   載の放射線像変換パネル。 ６ 支持体と、この支持体上に輝尽性蛍光体が結
   合剤に分散されてなる蛍光体層を有する放射線像
   変換パネルにおいて、該パネルの移動方向を基準
   にした前端部および／または後端部に、支持体よ
   りも柔軟な材料からなる屈曲可能な延長部が付設
   されている放射線像変換パネルの該延長部を少な
   くとも一対のロールによつて挟持し、該ロールを
   回転させることにより該パネルを移動させること
   を特徴とする放射線像変換パネルの移動方法。