JP4724546B2 - スクラップの予熱処理装置及び予熱処理方法 - Google Patents
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Description
また、非特許文献1の第337頁などに記載されている各種台車式トンネル炉は、炭素部材やセラミックスや電子部品の焼成に利用されているものであり、処理時間が数時間〜数日と長いことや、被加熱材の寸法が小さく積載能力が少ないなど、積載作業における時間制約や荷重制約が問題にならないものであった。
特許文献4には大単重のスラブを加熱するトンネル炉に類似したプッシャー炉が開示されているが、スクラップを加熱できるような台車も台板も用いる構造にはなっていない。
このように、重量のあるスクラップを連続して大量に予熱する技術は従来知られていなかった。
しかしながら、台車式トンネル炉の台車上にスクラップを近接して整然に積載し、高い伝熱効率で連続的に予熱するための技術は、従来知られていない。
第1のスクラップの予熱処理装置の発明は、プレス成形された鉄系スクラップ、または、プレス成形された鉄系スクラップと重量屑からなるスクラップの予熱処理装置であって、台車式トンネル炉と、該トンネル炉内に搬入される台車と、トンネル炉から搬出された台車をトンネル炉に回送する回送線と、該回送線上に沿って設けられたスクラップの積載ゾーンとを有し、前記スクラップを待機位置から台車の移送方向に対して直角方向に、押し出し距離を段階的に調節して押し出して台車上に積載するための積載用プッシャーを、前記積載ゾーンに台車の移送方向に沿って複数設けたことを特徴とする。
第3のスクラップの予熱処理装置の発明は、前記第1または第2の発明において、前記積載用プッシャーを加熱炉内の搬送方向と逆行する回送線の位置に設け、回送線から本線に台車を移動する経路が横行経路となっており、積荷の積載方向と水平直角をなす方向に動作して積荷を整頓させるための整頓用プッシャーが、前記横行経路内に設けられていることを特徴とする。
第5のスクラップの予熱処理装置の発明は、前記第1ないし第4の発明において、トンネル炉に連続して、スクラップの排出部とスクラップシュートへの待機部を設け、前記排出部に予熱処理が完了したスクラップを前記待機部に排出するための排出用プッシャーが設けられ、前記排出部および前記待機部がトンネル炉と連結された断熱部材で覆われていることを特徴する。
第6のスクラップの予熱処理装置の発明は、前記第5の発明において、排ガスを炉外に排気する煙道が、前記排出部の天井または側壁または炉床部に設置されたことを特徴とする。
第9のスクラップの予熱処理方法の発明は、前記第7または第8の発明において、前記積載用プッシャーとは別に設けた整頓用プッシャーで台車に搭載された前記スクラップを積載方向と水平直角をなす方向に押圧して、前記スクラップを整頓することを特徴とする。
第11のスクラップの予熱処理方法の発明は、前記第7ないし第10の発明において、前記スクラップを、還元雰囲気中で、炉内温度600℃〜1200℃の温度範囲で予熱処理することを特徴とする。
第13のスクラップの予熱処理方法の発明は、前記第7ないし第12の発明において、台車式トンネル炉の煙道から炉外に排気されたガスを900℃以上で2秒以上滞留させた後に急冷することを特徴とする。
その結果、一個あたりの重量が数100kgになる主にプレス成形されたスクラップを、一時間あたり500〜1000個予熱することができ、300トン規模の転炉における溶銑比率を5〜10%程度低減することができる。
図1は、本発明の装置の概略を示す平面図である。
1は、台車式トンネル炉であり、2は、主に矩形にプレス成形された鉄系スクラップ13が載置される台車である。3は、軌条を用いた台車の回送線で、トンネル炉本体と並行して搬送方向がトンネル炉本体と逆行する回送線3−1と、それと炉本体の搬出側を結ぶ横行経路3−2と同じく搬入側を結ぶ横行経路3−3とで構成されている。
図2では、積載用プッシャー14が3台設置されている例を示している。各積載用プッシャー14−1〜14−3は、例えばラック&ピニオン機構などの駆動機構17によって駆動され、かつ、押し出し距離を段階的に調節できるように構成されている。プレス成形されたスクラップ13はコンベア12によって積載用プッシャー14の前の待機位置に搬送される。スクラップ13は、前記積載用プッシャーごとに分けて決められた待機位置に、コンベア12によってあらかじめ搬送されている。
以上の操作によって、台車上にスクラップを安定積載して予熱中の荷崩れや排出時のトラブルを回避することができる。
台車2の表面は耐火物で構成されており、スクラップをそのまま積載することも可能である。しかし、積載用プッシャーによる押し込み中に荷の並びが乱れるのを防止するため、台車とプレス成形されたスクラップとの間の摩擦を小さくできるスキッドレール19を、図4に示されるように台車表面に取り付けることが望ましい。その場合、スキッドレール19は、矩形にプレスされたスクラップの幅の半分よりも短い間隔で設けることが望ましい。矩形にプレスされた鉄系スクラップの幅が奥行より短く、スキッドレール間隔の倍より短い場合はスクラップの向きを90°回して積載する。それによりスクラップ13は少なくとも2本のスキッドレール上に載ることになり、スクラップを安定して移送することができる。スキッドレールはスクラップと台車表面の耐火物とが擦れない程度の高さがあればよく、10mm〜30mm程度が望ましい。これよりも低いとスクラップと耐火物が引っかかり押し込み中にスクラップの並びが乱れたりする可能性がある。
排出ゾーン7には、トンネル炉の燃焼帯に隣接するスクラップ排出部23と、スクラップ排出部に連続してスクラップシュート待機部24が設けられている。
スクラップ排出部23及びスクラップシュート待機部24は、排出ゾーン7でのスクラップの温度低下を防止するため、トンネル炉と連結された断熱部材で覆われている。
使用済み自動車屑、廃家電屑、市中老廃屑、加工屑、製鉄所内発生屑(たとえばトリム屑など)などの鉄系のスクラップをプレス機によって矩形形状にプレス成形し、プレス成形された矩形のスクラップを、台車に積載してトンネル炉で600℃以上1200℃以下、より望ましくは760℃以上1100℃以下に予熱する。760℃未満では転炉精錬における溶銑比率の低減効果が小さくなり、1100℃超ではスクラップの酸化が顕著になり予熱による溶銑比率低減効果が得られなくなる。
スラブ加熱のような従来からあるトンネル炉では、炉内でガスを燃焼させて加熱する。本発明で同様な加熱形態である場合、燃焼炎からの被加熱体であるスクラップへの伝熱は輻射である。スクラップを疎に積載すると台車上面を直接加熱することになり、ここに照射された熱は台車下面へ抜熱されて無駄となる。したがって、できるだけ台車上面が照射されないようにできるだけに密にかつ重ならないように積載することが望ましい。
スクラップシュート9にさらにスクラップ13を排出する場合は、横行経路3−3からさらに本線に台車2を移動し、台車前進用プッシャー6で必要な台車数分だけ前進し、上記と同様にスクラップシュート9に排出する。
また図ではトンネル炉前に一台分の台車スペースを設けて一度に二台の台車を前進させているが、これに限られるものではない。
[本発明例]
(1)使用するスクラップ
使用済み自動車屑、所内発生屑、市中老廃屑を、600×600×320mmのサイズにプレスした。プレスされたスクラップの重量はほぼ230kgであった。
台車は、サイズが4m×7mで、積載面側に200mm間隔で高さ20mmのスキッドレールが設置されているものを用いた。
この台車上に、奥行6個×幅10個(合計60個)となるように、積載用プッシャー3台で奥行方向に2列(奥行2個×幅10個)ずつ、320mmの辺が高さ方向になるように積載した。スクラップは、回転してせり上がることなどなく積載したので、積載した高さはほぼ320mmとなった。
スクラップは、積載時に積載用プッシャーにより、また、搬入側横行経路部で整頓用プッシャーにより、それぞれ押し付け用壁に押し付けられることに両方向とも密に整頓された。
トンネル炉は、炉内台車数16台分の有効炉長に加えて排出ゾーン台車2台分、搬入側台車1台分の本線長さを有し、排出ゾーンのシュート長は15mで、一度に2台分のスクラップを排出できるものとした。
排ガス煙道は排出ゾーン上に設け、その後燃焼塔(燃料と燃焼空気を供給して排ガス温度900℃維持)、冷却塔(水スプレーにて250℃まで急冷)を経て、バグフィルターにてダスト回収し、誘引ファンで昇圧して煙突から大気放散するようにした。
340T/ch転炉を2基用い、この2基の転炉で1時間あたり3チャージ実施した。1チャージに投入するスクラップ個数は、溶銑比率を86%から81%に低下させるのに必要なスクラップ個数が720個程度であることから、台車4台分の240個(55.2トン)とした。
以上の条件で、トンネル炉を1100℃、炉内O2濃度1%に燃焼制御し、スクラップを80分予熱した結果、スクラップは1個の矩形全体で平均温度760℃まで予熱された。この予熱された台車4台分のスクラップ240個を、一度にスクラップシュートを経て転炉に装入した。
予熱完了から転炉装入までの間にスクラップの温度は多少低下したが、計画通り1時間に720個のスクラップを投入でき、溶銑比率を5%低下させることができた。
これに対し、上記実施例において、台車へのスクラップの積載を本発明のように多段階としなかった場合(比較例)、及び上記従来技術の場合は以下の結果となった。
積載用プッシャー1機で、一度に6列(奥行6個×幅10個)押したところ、スクラップの移動が不安定になり、図9に示すように回転したり重なったりし、スクラップ間に隙間が生じた。そのため、6列分積載することができず、4列分しか積載できず、積載された高さもスクラップが重なった部分や回転してせり上がった部分で600mm以上の高さになった部分ができた。
積載量が2/3になったこと、予熱が不十分であったことから、5%の溶銑比率低下の目標に対し、2%の低下しか効果が得られなかった。
特許文献2において開示された技術で廃車プレス屑を一度に5トン予熱し、ガス化完了時に溶解炉に供給した。これを溶解量120トンになるまで24回繰り返した。
廃車プレス屑は伝熱抵抗が大きく、内部がガス化完了温度(約300℃)になるのに概ね10分を要した。そのため120トン分のプレスを予熱処理するのに4時間を要し、時間あたりの処理量は30トンとなった。本発明による予熱処理量と比べると18%以下であるうえ、本発明に比べて予熱温度も低いため、溶銑比率の低下代は1%未満となった。
2 台車
3 台車の回送線
3−1 トンネル炉本体と並行する回送線
3−2 炉本体の出口側と回送線3−1とを結ぶ横行経路
3−3 回送線3−1と炉本体の入口側とを結ぶ横行経路
4 搬入ゾーン
5 待機スペース
6 前進用プッシャー
7 排出ゾーン
8 排出用プッシャー
9 スクラップシュート
10 待機スペース
11 積載ゾーン
12 スクラップ搬入用コンベア
13 プレス成形されたスクラップ
14 積載用プッシャー
15 整頓用プッシャー
16 押し付け用壁
17 プッシャーの駆動機構
18 押し付け用壁
19 台車上のスキッドレール
20 落下防止用のガイド
21 落下防止用のガイド
22 つば部
23 スクラップ排出部
24 スクラップシュート待機部
25 トンネル炉の燃焼帯
26 仕切り壁
27 傾斜ガイド板
28 スクラップシュートの軌条
29 煙道
Claims (13)
- プレス成形された鉄系スクラップ、または、プレス成形された鉄系スクラップと重量屑からなるスクラップの予熱処理装置であって、
台車式トンネル炉と、該トンネル炉内に搬入される台車と、トンネル炉から搬出された台車をトンネル炉に回送する回送線と、該回送線に沿って設けられたスクラップの積載ゾーンとを有し、前記スクラップを待機位置から台車の移送方向に対して直角方向に、押し出し距離を段階的に調節して押し出して台車上に積載するための積載用プッシャーを、前記積載ゾーンに台車の移送方向に沿って複数設けたことを特徴とするスクラップの予熱処理装置。 - 前記積載ゾーンには、前記スクラップを前記積載用プッシャーごとに決められた待機位置に搬送するコンベアが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクラップの予熱処理装置。
- 前記積載用プッシャーを加熱炉内の搬送方向と逆行する回送線の位置に設け、回送線からトンネル炉の本線に台車を移動する経路が横行経路となっており、積荷の積載方向と直角をなす方向に動作して積荷を整頓させるための整頓用プッシャーが、前記横行経路内に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のスクラップの予熱処理装置。
- 前記台車のスクラップ積載面に、前記スクラップの幅の半分よりも狭い間隔で、積載用プッシャーの押し出し方向に沿ってスキッドレールを敷設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスクラップの予熱処理装置。
- 前記トンネル炉に連続して、スクラップの排出部とスクラップシュートの待機部を設け、前記排出部に、予熱処理が完了したスクラップを前記待機部にあるスクラップシュートに排出するための排出用プッシャーが設けられ、前記排出部および前記待機部がトンネル炉と連結された断熱部材で覆われていることを特徴する請求項1〜4のいずれかに記載のスクラップの予熱処理装置。
- 前記トンネル炉の排ガスを炉外に排気する煙道が、前記排出部の天井または側壁または炉床部に設置されていることを特徴とする請求項5記載のスクラップの予熱処理装置。
- 台車式トンネル炉を用いてプレス成形された鉄系スクラップ、または、プレス成形された鉄系スクラップ及び重量屑からなるスクラップを予熱処理する予熱処理方法であって、
台車式トンネル炉の回送線のスクラップ積載ゾーンに、複数台の積載用プッシャーを台車の移送方向に沿って設け、該積載用プッシャーの押し出し方向を台車の移送方向に対して直角方向とし、該積載用プッシャーの押し出し距離を段階的に調節して、押し出し方向の奥側より手前側に向け、複数回に分けて順次前記スクラップを台車に積載し、台車に積載した前記スクラップを台車式トンネル炉内で予熱処理することを特徴とするスクラップの予熱処理方法。 - 前記スクラップが、矩形にプレス成形された鉄系スクラップと重量屑である場合は、それぞれを分類して台車に積載することを特徴とする請求項7記載のスクラップの予熱処理方法。
- 前記積載用プッシャーとは別に設けた整頓用プッシャーで台車に搭載された前記スクラップを積載方向と水平直角をなす方向に押圧して、前記スクラップを整頓することを特徴とする請求項7または8に記載のスクラップの予熱処理方法。
- 前記台車に積載する前記スクラップの高さが、100mm以上1000mm以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のスクラップの予熱処理方法。
- 前記スクラップを、還元雰囲気中で、炉内温度600℃〜1300℃の温度範囲で予熱処理することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のスクラップの予熱処理方法。
- 排出用プッシャーで台車から予熱後のスクラップを排出することを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のスクラップの予熱処理方法。
- 前記台車式トンネル炉の煙道から炉外に排気されたガスを900℃以上で2秒以上滞留させた後に急冷することを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載のスクラップの予熱処理方法。
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