JPH0643675Y2 - 電気炉の溶融スラグ顕熱の回収装置 - Google Patents

電気炉の溶融スラグ顕熱の回収装置

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JPH0643675Y2
JPH0643675Y2 JP12242289U JP12242289U JPH0643675Y2 JP H0643675 Y2 JPH0643675 Y2 JP H0643675Y2 JP 12242289 U JP12242289 U JP 12242289U JP 12242289 U JP12242289 U JP 12242289U JP H0643675 Y2 JPH0643675 Y2 JP H0643675Y2
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furnace
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健一 新福
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は電気炉の溶融スラグ顕熱の回収装置に係り、詳
しくは、アーク電気炉での精錬後に排出される溶融スラ
グの顕熱を回収し、その熱ガスを電気炉内へ導入して省
エネルギー化を図ることができるようにしたスラグ顕熱
の回収装置に関するものである。
〔従来の技術〕
過去40年間のアーク電気炉の省エネルギーや生産性向上
の歴史をふりかえると、UHP,酸素ガス吹込み,助燃バー
ナ,炭材吹込みによる泡立ちスラグの形成,スクラップ
予熱,偏心炉底出鋼−取鍋精錬炉,直流電気炉などの技
術が開発され、それぞれ実用化されて電力原単位の大幅
な低減が実現され、生産性も著しく向上するようになっ
た。
アーク電気炉におけるエネルギーバランスの現状をみる
と、入熱側では、電力54〜65%程度、酸化熱30%前後、
電極酸化約4%などであり、出熱側では、溶鋼顕熱55%
前後、スラグ顕熱約10%、冷却水10%前後、電力ロス5
%程度、排ガス熱20%程度である。そして、スクラップ
予熱(SPHという)を適用すれば、排ガスエネルギーの2
0〜40%程度をスクラップの予熱のために回収すること
ができる。
上記のように、排ガスエネルギーは出熱全体の約20%と
大きいが、これは、高温ガスとしての顕熱とCOガスなど
の可燃性ガスの化学エネルギーの合計である。一方、電
気炉にあっては、一般的に炉内への大気の侵入が多いた
めに、排ガス中には窒素ガスも多量に含まれている。
他方、高炉おける高炉スラグに着目すると、その発生量
は極めて多い。そのエネルギー回収手段として、密閉室
内で溶融スラグの落下流に空気ジェットを吹き付けスラ
グ液滴として飛翔させ、飛翔中のスラグを凝固させて粒
状スラグとして取り出す一方、スラグの顕熱を熱風とし
て回収する方式が知られている。しかし、この方式を電
気炉スラグに適用するには、電気炉設備に比べて大規模
な設備となり、その利用は適切でない。
一方、電気炉スラグの顕熱は約10%を占めるにもかかわ
らず、これを回収して利用しようとする試みはほとんど
みられず、僅かながら、特開昭60-20664号公報や特開昭
60-20665号公報に記載された高熱物体の保有熱回収装置
がある程度である。
〔考案が解決しようとする課題〕
上記した特開昭60-20665号公報に記載の高熱物体の保有
熱回収装置では、密閉放熱室内に溶融カルシウムカーバ
イドを投入し、密閉室内の機械的運搬装置によってカー
バイドを固化して小塊化させ、高温物体の表面積を増大
させて空気を加熱し、その加熱空気をブロアで吸引する
ようにしている。これにおいては、高温化する密閉室内
の機械的運搬装置の故障が懸念され、明記されていない
が、溶融カーバイドを連続的もしくは半連続的に投入
し、それを運搬して半連続的に排出する方式とされる。
したがって、これを電気炉に適用すると、溶融スラグの
バッチ式出滓操業では、溶融スラグ鍋を保持する間の熱
ロスが多くなり、加えて、回収された顕熱の二次エネル
ギー転換効率を高く維持することが困難になると推測さ
れる。
なお、これまでの本考案者らの知見によれば、電気炉内
へスクラップを装入して速やかに溶解させるには、COガ
スやH2ガスなどを高い二次燃焼率で燃焼させ、炉内雰囲
気を高温にすることが望ましい。そのため、周知ではあ
るが、オイル,LNGなどを酸素ガスで燃焼させる助燃バー
ナや、酸素ガスによるスクラップのカッティングが有効
であり、さらには、電気炉内へ侵入する空気が酸素源と
して重要であることも判明した。すなわち、電気炉の炭
素・酸素バランスを調査すると、電気炉内に吹き込まれ
た酸素ガスのみでは、酸素源として不足していることが
確認される。
とくに、溶落後の鋼浴を急速に昇温させるために重要な
炭材吹込みによる泡立ちスラグの形成のためには、スラ
グ中の酸化鉄濃度を高くして、酸化鉄と炭素の反応によ
るCOガスボイリイグを起こさせることが必須となる。こ
のためには、鉄を酸化させてスラグ中の酸化鉄濃度を高
くしておくことが前提となる。酸素源としてはPSA(Pre
ssure Swing Absorption)もしくは深冷分離式酸素製造
装置で製造された酸素ガスをさらに大量に使用すること
が望ましいが、一般的に、このような純酸素ガスは高価
であり、コストアップとなる問題がある。
そこで、純酸素ガスに代えて、予熱空気を利用すること
が考えられ、本考案者らは溶融スラグの顕熱で予熱空気
を生成させる各種の方式を比較検討した結果、溶融スラ
グの移し替えなどのハンドリングや予熱空気の炉内への
導入などのために、主として重力などの自然力を利用で
きることに着目し、構造の簡単化が図られる本考案を案
出するに至った。
本考案は上述の諸点に鑑みなされたもので、その目的
は、電気炉スラグ顕熱の一部を回収する構造が簡素化さ
れて故障が少ない設備とすることができること、その回
収された熱エネルギーを直接電気炉に導入させるように
して、電力原単位の低減と生産性の向上を図ることがで
きる電気炉の溶融スラグ顕熱の回収装置を提供すること
である。
〔課題を解決するための手段〕
本考案は、炉体から排出された溶融スラグの熱を回収す
る装置に適用される。その特徴とするところは、第1図
を参照して、アーク電気炉1の排滓口4〔第2図参照〕
の下方に、溶融スラグ3を受ける複数のスラグバケット
5,5からなるバケット列5Sが設けられ、それらのスラグ
バケット5,5がチェーン6で傾斜あるいは垂直に変位自
在に取り付けられる。溶融スラグ3を受けたスラグバケ
ット5,5の運搬方向M側には、チェーン6の移動方向に
沿った密閉式の余熱回収筒7が設置され、その余熱回収
筒7は、バケット列5Sを挟んで定置された第一構成体7A
と、それに密着・離反する第二構成体7Bとよりなる。そ
して、余熱回収筒7の上部位置側7aにはアーク電気炉1
へ熱ガスを供給するための加熱空気導出ダクト8が設け
られると共に、その下部位置側7bには空気供給部9が開
口され、放熱済みの凝固スラグ3Aを受けるスラグ鍋10
が、余熱回収筒7のスラグバケット5,5の運搬方向Mの
下流側に設置されている。
〔作用〕 直立姿勢にあるアーク電気炉1内に、スクラップや副原
料などが投入され、電極の通電により電気炉1内の高温
化が図られる。炉内温度が1600〜1700℃に保持される間
にスクラップが溶解され、溶融スラグ3が溶鋼上に浮遊
する。溶鋼を取り出すに先立ち炉体が傾動され、排滓口
4から溶融スラグ3が取り出されて、スラグバケット5,
5へ移される。
チェーン6,6で変位自在に取り付けられた複数のスラグ
バケット5,5が移動し、順次受滓される。その間、溶融
スラグ3を受けたスラグバケット5の運搬方向M側に形
成されたバケット列5Sを挟むように設置された余熱回収
筒7では、定置された第一構成体7Aから第二構成体7Bが
離反されているので、受滓したスラグバケット5が第一
構成体7Aの方へ移される。全部のスラグバケット5,5が
第一構成体7Aに対面する位置へ到達すると、第二構成体
7Bが第一構成体7Aに密着される。
約1600℃以上の高温の溶融スラグ3は、密閉式の余熱回
収筒7内で放熱する一方、余熱回収筒7の下部位置側7b
に開口された空気供給部9から空気が供給される。供給
空気は加熱されて膨張すると共に、500〜600℃の熱ガス
となる。その熱ガスは、余熱回収筒7内の傾斜壁や垂直
壁に沿って、その煙突効果で上昇し、上部位置側7aに設
けられた加熱空気導出ダクト8へ導出される。その熱ガ
スが電気炉1に導入され、従来に比べて電気炉1内の高
温化が促進して、スクラップ溶解が迅速に進められ、生
産性の向上が図られると共に電力原単位が低減される。
炉体1内のスクラップ溶解が完了すると、第二構成体7B
を第一構成体7Aから離反させると共に、スラグバケット
5,5をさらに下流へ送る。スラグバケット5,5内の放熱済
みの凝固スラグ3Aは、スラグ鍋10に受けられた後処理さ
れる。
要するに、常温の周囲空気を電気炉内の各部の隙間から
その中へ自然に流入させる代わりに、溶融スラグによっ
て得られた予熱空気を、加熱空気導出ダクト8を介し
て、煙突効果などを利用しながら積極的に電気炉内へ送
り込むことができ、省エネルギー化を実現できる点に特
徴がある。
〔考案の効果〕
本考案によれば、溶融スラグの顕熱の一部を予熱空気と
して回収し、それをアーク電気炉内に導入させることが
でき、従来の電気炉における炉内雰囲気温度をより高温
化することができる。その結果、炉内に装入されたスク
ラップの溶解が促進されて生産性の向上が図られると共
に、電力原単位を著しく低減することができる。加え
て、装置構造が簡単化されているので、設備費用の軽減
が図られると共に、故障の発生を少なくすることができ
る。
〔実施例〕
以下に、図面を参照しながら、本考案の電気炉の溶融ス
ラグ顕熱の回収装置を、その実施例に基いて詳細に説明
する。
第1図に示すように、スラグ顕熱回収装置2は、溶融ス
ラグ3を受け取る複数のスラグバケット5,5と、それら
のスラグバケット5,5が装着されているチェーン6,6とを
備える。そして、第一構成体7Aと第二構成体7Bとよりな
る密閉式の余熱回収筒7が設置され、その上部位置側7a
に設けられる加熱空気導出ダクト8と、その下部位置側
7bに設けられる空気供給部9と、凝固スラグ3Aを受ける
スラグ鍋10とを有する。加えて、電気炉1の排滓口4
〔第2図参照〕の下方に位置し、さらに、スラグバケッ
ト5,5の上方に位置するスラグ漏斗11も備えられてい
る。
本顕熱回収装置2が適用されるアーク電気炉1は、第2
図に示すように、電力の供給で発生するアークにより、
スクラップ〔図示せず〕を溶融するものであり、その炉
底1Aの左右側には、出鋼口1Bと排滓口4とが設けられ
る。そして、溶鋼1Cに浮かぶ溶融スラグ3は、炉体1を
左に傾けて排滓口4から排出され、残余の溶融スラグ3
と溶鋼1Cとは、右に傾けて出鋼口1Bから取り出されるよ
うになっている。
前述のように、電気炉では一般に各所から大気の侵入量
が多く、それが酸素源とされて有効であるが、本例で
は、後述するように、余熱回収筒7で加熱された空気を
酸素源の一部に充てるので、大気の侵入を抑えることが
望まれる。そこで、電極1Dと各挿入口1aとのクリアラン
スを極力小さくしたり、出鋼口1Bのゲート1Eを閉鎖した
り、また、図示しない酸素ガスや炭材吹込み用ランスが
挿入される排滓口4を可能な限り閉止したり、炉蓋1Fと
炉体1とのシールの強化が行われる。
炉体1の上部に設けられた排ガスダクト1Gには吸引ファ
ンや電気炉排ガス処理設備の集塵機が接続されおり、投
入されたスクラップの溶解が完了するまでの操業中は、
炉内圧が若干負圧となるようにされる。なお、溶融スラ
グ3の上方の側壁には、回収された熱ガスを供給する導
入口1Hが設けられる。
第1図に示すように、顕熱回収装置2を構成する複数の
スラグバケット5A〜5Lからなるバケット列5Sがあり、そ
のうち溶融スラグ3が最後に投入されるスラグバケット
5Aが上方側に位置し、最初に投入されるスラグバケット
5Lが下方側となる傾斜配列とされている。第3図に示す
ように、スラグバケット5には一体化された左右の軸部
5b,5bがあり、二連よりなる傾斜した各チェーン6,6の四
本のリンクプレート6a,6a,6b,6bのうち、二枚のリンク
プレート6a,6aに固着されている。すなわち、軸部5bが
リンクプレート6a,6aの端部孔に嵌入・固定される一
方、リンクプレート6a,6aの内側で対面するリンクプレ
ート6b,6bの端部孔に、摺動自在に嵌着されている。こ
れらのリンクプレート6a,6aに固定されたスラグバケッ
ト5A〜5Lは、第1図に示した傾斜するチェーン6,6によ
る運搬方向Mへ移送されるときも、上部5cが水平な姿勢
を維持して開口するようになっている。
上記の各リンクプレートを備えたローラチェーンコンベ
ア12は、対面する各二枚よりなる一対のスプロケット13
A,13Aと、電動機や減速機などで駆動されるスプロケッ
ト13B,13Bと、それらに噛み合う二連のチェーン6,6と、
第3図に示した各軸部5b,5bに回転可能に取り付けられ
たローラ14,14と、それらローラ14,14を乗載・保持する
二本のレール板15,15とからなる。各チェーン6に組み
込まれたローラ14はスプロケット13B,13Bの回転で第1
図の矢印X方向へ移動するとき、対面する一対のリンク
プレート6a,6aの姿勢によってスラグバケット5の姿勢
が決まる。したがって、リンクプレート6a,6aがスプロ
ケット13B,13Bの個所で曲進するとき、破線で示すスラ
グバケット5のように、横転姿勢となるようになってい
る。なお、スラグバケット5A〜5Lをコンベア12で循環さ
せてもよいが、最後のスラグバケット5Aが逆転姿勢とな
ったとき、全部のスラグバケット5,5の移動を停止し
て、逆方向へ送り帰すようにしてもよい。
アーク電気炉1〔第2図参照〕が建屋の二階に設置され
る場合、スラグ漏斗11が、その排滓口4の下方の中二階
のフロア〔図示せず〕に設置される。そのスラグ漏斗11
は、排滓口4から落下するの溶融スラグ3の受皿であ
り、さらに、中二階のフロアの下方に近接する第1図に
示した例えばスラグバケット5Bの位置にあるスラグバケ
ット5へ溶融スラグ3を供給するようになっている。そ
して、後続のスラグバケット5,5に順次溶融スラグ3を
供給することができる。なお、スラグ漏斗11は、1チャ
ージの出鋼量が70トンのアーク電気炉の場合、約7トン
の溶融スラグ3を入れることができる容積とされる。
ちなみに、スラグバケット5は、1600℃程度の高温の溶
融スラグ3を搬送するとき、熱変形を少なくすると共に
耐久性を備えるように、厚み50mm〜100mmの鋳鉄製容器
とされる。スラグバケット5,5が順次受滓して放熱後、
逆転されて凝固スラグ3Aを取り出すまでの間、溶融スラ
グ3の平均温度が低いほど熱回収率が高い。したがっ
て、熱回収率を高くするために、スラグバケット5内の
溶融スラグ3の比表面積をできるだけ大きくするような
バケット寸法が選定され、スラグバケット5の上部5cの
開口の左右方向の長さは、例えば1.5m、移動方向の長さ
は1mとされ、深さはやや浅く0.4m程度とされる。そし
て、スラグバケット5の内部空間は、凝固スラグ3Aを落
下させやすくするため、底部が狭くされた逆角錐体に形
成される。スラグバケット5の内面には、凝固スラグ3A
の剥離をよくするために、黒鉛系や石灰乳系や粘土系な
どの塗料が塗布される。通常、凝固スラグ3Aは、厚み0.
2mの板状体として取り出される。なお、スプロケット13
Bのほぼ直下となるフロア上には、スラグ鍋10が設置さ
れ、上述の大きさの凝固スラグ3Aを収容できる容量を備
える。
第1図に示す受滓中のスラグバケット5Bの運搬方向M側
には、傾斜した姿勢の密閉式の余熱回収筒7が設けられ
る。その余熱回収筒7の第一構成体7Aに密着・離反する
第二構成体7Bには、その底面に固定されて左右方向へ延
びる二本の支持軸16,16と、それらの端部に取り付けら
れた四つの流体圧アクチュエータ17とを備える。
第一構成体7Aは、バケット列5Sの傾斜に沿い、かつ、そ
のやや上部位置に定置される。すなわち、建屋から延び
る支持部材〔図示せず〕によって建屋内に固定され、ロ
ーラチェーンコンベア12のチェーン6に平行な姿勢とさ
れている。蓋体として機能する第一構成体7Aは、断面が
コ字状に形成され、前端面7cから後端面7dにわたって、
スラグバケット5,5の収容空間としての窪み部7eを備え
る〔第4図参照〕。一方、第二構成体7Bは箱体であり、
その内部に空間7fを形成すると共に、その前端面7gに上
下へ延びる突出部18が形成され、後端面7hには図示しな
いアクチュエータで空気供給部9を開閉するダンパー7j
が設けられている。そして、流体圧アクチュエータ17の
伸長で上昇して、第二構成体7Bが第一構成体7Aに密着さ
れるとき、前部の突出部18が窪み部7eに係合され、後部
のダンパー7jを閉止すると、窪み部7eと空間7fとで、十
二個のバケット5A〜5Lを収容する密閉空間19が形成され
るようになっている。
第4図に実線で示す余熱回収筒7の密閉空間19内に、全
数のスラグバケット5A〜5Lが収容されるとき、スラグバ
ケット5の両方の軸部5b,5b〔第3図参照〕より外方の
ローラ14,14やチェーンプレート6a,6a,6b,6bが、余熱回
収筒7の外部に位置させることができる。そのため、一
点鎖線で示す第二構成体7Bの両側部の上面には、複数
〔図示は七個〕の溝部20が形成される。実線で示すよう
に、第二構成体7Bが第一構成体7Aに密着されている場合
に軸部5b,5bが嵌着され、密閉空間19のかなりの気密が
確保されると共に、チェーン6,ローラ14やレール板15の
スラグ顕熱から受ける熱影響を少なくするようになって
いる。
第1図に示す余熱回収筒7の上部位置側7aすなわち定置
された第一構成体7Aの上部外面には、ダンパー〔図示せ
ず〕を内蔵して、上方へ延びる加熱空気導出ダクト8が
装着される。これは、第4図に示す余熱回収筒7の密閉
空間19内で、溶融スラグ3で加熱された熱ガスをアーク
電気炉1〔第2図参照〕へ供給するための通路である。
その上部側には、図示しないフレキシブルダクトが介装
され、その上端部は、第2図に示す炉体1に形成された
側壁の下部に開口する導入口1Hに接続されている。アー
ク電気炉1の稼働中には、炉体1が傾動されることはな
いが、排滓時の傾動でフレキシブルダクトが変形して、
加熱空気導出ダクト8に対して炉体傾動の影響が及ばな
いように配慮されている。
ちなみに、余熱回収筒7や加熱空気導出ダクト8は鋼板
製とされるが、それらの内面には、耐スポーリング性と
断熱性を備えた多孔質耐火物、もしくはセラミックファ
イバークロスが内張りされ、断熱性の優れた構成とされ
ている。その結果、余熱回収筒7や加熱空気導出ダクト
8の表面から、大気中に放散される熱エネルギーが大幅
に抑制される。
余熱回収筒7の下部位置側7bにおける空気供給部9に
は、上記したダンパー7jがあり、密閉空間19内の空気が
かなり加熱された段階でそれを開くと、煙突効果で加熱
空気導出ダクト8へ上昇する熱ガスの後に大気が流入し
て、それが溶融スラグ3からの輻射熱や、溶融スラグ3
や高温となったスラグバケット5,5の表面で加熱され、5
00〜600℃の熱ガスとなる。上述したように、炉内圧が
若干負圧となっているので、熱ガスが円滑に電気炉1へ
導入される。
このような構成の溶融スラグ顕熱の回収装置2によれ
ば、次のようにして、排滓口4から排出される溶融スラ
グ3の顕熱を能率よく回収して電気炉1内へ供給するこ
とができる。
アーク電気炉1におけるスクラップ溶解が完了すると、
溶鋼1Cの出鋼に先立ち第2図のように炉体1が傾動さ
れ、溶鋼1Cの上面に浮遊する約7トンの溶融スラグ3が
排滓口4から導出され、スラグ漏斗11に向けて落下され
る。
そのとき、ローラチェーンコンベア12の作動で、第1図
に示す破線のスラグバケット5Lがスラグ漏斗11の直下に
配置され、スラグバケット5K〜5Aは、スプロケット13A
の外周やローラチェーンコンベア12の下側に配列され
る。スラグバケット5Lに落下・貯留される溶融スラグ3
の深さが0.2m程度になると、コンベア12が運搬方向Mへ
寸動され、次のスラグバケット5Kが受滓し、最後のスラ
グバケット5Aの受滓が終わると、溶融スラグ3を収容す
る全部のスラグバケット5A〜5Lが第一構成体7Aの下方で
停止される。流体圧アクチュエータ17,17が伸長されて
第二構成体7Bが上昇し、突出部18が第一構成体7Aの前端
面7cにおける窪み部7eに係合されて、第二構成体7Bは第
一構成体7Aに密着され、全数のスラグバケット5,5が余
熱回収筒7の密閉空間19内に格納される。
なお、電気炉におけるスクラップ溶解は約45分であり、
その後の出鋼,炉体1の姿勢復帰とスクラップ装入に5
分を要する。加熱空気導出ダクト8のダンパーが閉止さ
れて、炉体1への熱ガスの供給が停止され、約5分後に
電気炉1が再稼働すると、ダンパーが開かれる。そのと
き、余熱回収筒7の空気は予熱・昇温されて熱膨張して
低密度化していること、炉の稼働に伴う排ガス処理系統
の吸引ファンによって炉内が若干負圧とされているこ
と、加熱空気導出ダクト8を通じて得られる煙突作用
で、500〜600℃の熱ガスは能率よく電気炉1内へ導入さ
れる。余熱回収塔7の下部位置側7bの空気供給部9のダ
ンパー7jが開かれると、自然と大気が流入して、加熱さ
れた熱ガスとなって連続的に導出される。
このようにして、稼働中の電気炉1に対する熱ガスの供
給が続けられ、溶融スラグ3の顕熱の一部が有効に回収
されて炉内雰囲気の加熱に利用される。炉体1内でスク
ラップを溶解する間、1〜3回のスクラップ装入が行わ
れ、最終のスクラップ装入が終わって溶解が終了に近づ
くとき、加熱空気導出ダクト8のダンパーが閉止されて
熱ガスの供給が停止され、炉内を密閉状態とする。その
ときには、スラグバケット5内の溶融スラグ3は、放熱
して凝固している。
流体圧アクチュエータ17,17を作動し、第二構成体7Bを
下降させて第一構成体7Aから離反させ、全数のスラグバ
ケット5,5が移動できるようにする。そして、ローラチ
ェーンコンベア12を作動させてスラグバケット5,5を矢
印M方向へさらに移動させ、スラグバケット5Lがスプロ
ケット13Bの外周に近づいた時点で、その軸部5bに装着
されたローラ14がレール板15から外れ、スプロケット13
Bに噛み合わされて、矢印X方向へ回転される。すなわ
ち、スラグバケット5Lは、軸部5bに嵌入されたチェーン
プレート6a,6aの姿勢の変化に伴って、逆転姿勢とさ
れ、平板状の凝固スラグ3Aが落下して、スラグ鍋10に収
容される。順次、このような凝固スラグ3Aの取出しが自
動的になされ、最終のスラグバケット5Aからの取出しが
終わると、空となったスラグバケット5Lは、スプロケッ
ト13Aを経てスラグ漏斗11の直下へ移動される。
上記の説明でわかるように、常温の外気を電気炉の各所
の隙間から内部へ自然に流入させる代わりに、溶融スラ
グによって得られた予熱空気を、煙突効果などを利用し
て電気炉内へ送り込むことができ、省エネルギー化を図
ることができる。
ところで、二基のアーク電気炉に一基の顕熱回収装置を
設けた電炉炉設備で、溶融スラグの顕熱を回収すること
もできる。すなわち、スラグ顕熱の回収が、一方の電気
炉から排出された溶融スラグで行われ、その回収顕熱を
他方の電気炉へ導入するようにすればよい。
以下に、一基の顕熱回収装置と一基のアーク電気炉の組
合せ設備の場合に、50MVAの70トン電気炉に適用した例
を説明する。
本考案を適用しない実績の場合、スクラップ配合は、ヘ
ビースクラップ72%,鋼ダライ10%,銑鉄8%およびそ
の他とし、合計85トンのスクラップをスクラップ予熱装
置で予熱して、それらを三回に分けて炉内へ装入した。
そして、十回の出鋼における平均した原単位は、主電力
340.2KWh/t,助燃バーナ用LNG1.9Nm3/t,酸素25.1Nm3/t,
炭材7kg/tであり、一方、タップ間通電は57分で生産性
は85.3t/hであった。
本考案を適用した実績の場合、スクラップ配合比率は上
記とほぼ同様とし、十回の出鋼において排出した溶融ス
ラグは平均8.3トンであり、それを十二個のスラグバケ
ットで受滓した。バケット寸法は、上面位置で左右幅1.
5m、前後幅1mとされ、受け取り深さは0.2mである。受滓
開始から凝固スラグをスラグ鍋へ落とすまでに要した時
間は約45分で、ほぼ同時間でスクラップ溶解が終わって
いる。十回の出鋼の平均した原単位は、主電力329.8KWh
/t,助燃バーナ用LNG2.0Nm3/t,酸素24.8Nm3/t,炭材7kg/t
であり、タップ間通電は55.4分,生産性は87.1t/hであ
った。すなわち、本考案を適用することによって、主電
力原単位が10.4KWh/t減少する一方、生産性が約2%向
上した。
以上の説明から分かるように、本考案を適用すると、溶
融スラグの顕熱の一部を予熱空気として回収して、その
熱ガスを炉内に導入することができ、適用しない場合に
比べて、炉内の雰囲気温度がより高温化されてスクラッ
プの溶解が促進され、生産性の向上が図られると共に電
力原単位を低減することができる。
上述した顕熱回収装置2では、スラグバケット5,5が傾
斜方向に変位自在に取り付けられているが、第5図に示
す余熱回収塔21のように、十二個のスラグバケット5A〜
5Lを垂直方向に変位自在に取り付けてもよい。この場
合、垂直方向へ延びる第二構成体21Bが、垂直姿勢で定
置された第一構成体21Aから離反あるいは密着するとき
に水平方向に変位するようになっている。すなわち、第
二構成体21Bの下部に四個〔図示は二個〕の車輪22が取
り付けられ、レール23上を流体圧アクチュエータ17,17
の伸縮で水平移動させることができる。
また、チェーン6のリンクプレート6a,6a〔第7図参
照〕が、スラグバケット5の軸部5b,5bに摺動自在に嵌
入される。スラグバケット5,5は重心が軸部5bの下方と
なるように形成されているので、スラグバケット5,5が
垂直移動したりスプロケット13Aの外周に沿って移動す
るとき、自重で上部5cが水平に維持される。
一方、凝固スラグ3Aをスラグ鍋10へ取り出す必要がある
ため、第6図に示す案内定置部材24が設置される。これ
は、二枚で構成されるスプロケット13B〔第7図参照〕
の中央位置で、スプロケット13Bの軸13aの上部あたりか
ら下方へ延びた姿勢で設置される。その案内定置部材24
の案内面24aは軸13aの軸芯を中心とした円弧面に形成さ
れ、その案内面24aは、スプロケット13Bの外周に沿って
移動中のスラグバケット5の上端外面5dを当接・摺動さ
せながら案内し、スラグバケット5の姿勢を順次変更さ
せることができる。一方、スラグバケット5の上端外面
5dが案内面24aから外れると、スラグバケット5は復元
するように回動される。なお、上端外面5dは摩耗しやす
いので、耐摩耗鋼板などを貼着しておけばよい。
このような垂直形式の余熱回収塔21のバケットエレベー
タ式の機構によっても、第1図の場合と同様に、スラグ
顕熱の回収と凝固スラグ3Aの排出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の溶融スラグ顕熱の回収装置の構成斜視
図、第2図は溶融スラグ顕熱の回収装置が適用されるア
ーク電気炉の一例の断面図、第3図はスラグバケットの
斜視図、第4図は余熱回収筒の作動説明図、第5図はス
ラグバケットが垂直に変位する余熱回収塔の概略構成
図、第6図はスラグバケットの逆転機構の説明図、第7
図は第6図のVII-VII線矢視図である。 1……アーク電気炉(炉体)、2……顕熱回収装置、3
……溶融スラグ、3A……凝固スラグ、4……排滓口、5,
5A〜5L……スラグバケット、5S……バケット列、6……
チェーン、7,21……余熱回収筒、7A,21A……第一構成
体、7B,21B……第二構成体、7a……上部位置側、7b……
下部位置側、8……加熱空気導出ダクト、9……空気供
給部、10……スラグ鍋、M……運搬方向。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉体から排出された溶融スラグの熱を回収
    する装置において、 アーク電気炉の排滓口の下方に、溶融スラグを受ける複
    数のスラグバケットからなるバケット列が設けられ、 それらのスラグバケットがチェーンで傾斜あるいは垂直
    に変位自在に取り付けられ、 溶融スラグを受けたスラグバケットの運搬方向側には、
    チェーンの移動方向に沿った密閉式の余熱回収筒が設置
    され、 上記余熱回収筒は、前記バケット列を挟んで定置された
    第一構成体と、それに密着・離反する第二構成体とより
    なり、 上記余熱回収筒の上部位置側には、アーク電気炉へ熱ガ
    スを供給するための加熱空気導出ダクトが設けられると
    共に、その下部位置側には空気供給部が開口され、 放熱済みの凝固スラグを受けるスラグ鍋が、前記余熱回
    収筒のスラグバケットの運搬方向の下流側に設置されて
    いることを特徴とする電気炉の溶融スラグ顕熱の回収装
    置。
JP12242289U 1989-10-18 1989-10-18 電気炉の溶融スラグ顕熱の回収装置 Expired - Lifetime JPH0643675Y2 (ja)

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