JPH0553579B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、金属製の広巾板材をスリツトして形
成した帯板状の切断縁部をバニシする装置に関す
るものである。

〔従来の技術〕

近年、機械、電気、電子関係の分野において使
用される、例えばリレー接点、リードフレーム、
コネクタ等の各種部品はコイル材から製造するこ
とが増加している。

素材たるコイル材は、金属製の広巾の圧延板材
Ａを、第７図に示すスリツタＢにより、必要な巾
寸法を有する長尺の帯状板Ｃを切断することによ
り製作されている。

スリツタＢは、複数個の円板状のカツタａ，ｂ
を上下交互に配設し、上下カツタａ，ｂ間に広巾
板材Ａを送り込み、複数枚の帯状板Ｃを切断形成
するものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記するスリツタにより広巾板材を切断して帯
状板を製作した場合、帯状板の切断縁部（長さ方
向両側）にはばり（かえり）が生じ、また上下カ
ツタの加圧力により帯状板には曲げ、湾曲等の変
形応力が与えられる。

第８図は従来のスリツタにより、鎖線に示す広
巾板材Ａをスリツトした際の帯状板Ｃの変形を模
式的に示したもので、δは上下方向の変形（ひら
き）、θは縁部のねじれ、ΔB（Bo−Ｂ）は巾寸法
の変化（巾縮み）を示しており、これらが小さい
程残留応力が小さいことになる。

即ち、変形応力を有する帯状のコイル材を用い
て、精度が要求される前記各種部品を製作した場
合には、形状精度や寸法精度の低下をもたらす結
果となる。

そこで、カツタの径を大きくしたり、上下カツ
タの重なり（オーバーラツプ）をできるだけ小さ
くしまた上下カツタ間の隙間（クリアランス）を
小さくする等して、切断後の帯状コイル材の変形
を極力小さくする努力がなされているが、小さく
できるゆがみに限界がある。更に、カツタ径を大
きくすると、オーバーラツプやクリアランスのふ
れが大きくなる構造上の問題点があり、充分な解
決策とはいえないものであつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上記する上来のスリツタによる広巾板
材のスリツト技術の問題点に鑑み、各種部品の好
ましくない変形要因となる残留応力を積極的に小
さくするバニシ装置を提供することを目的とする
ものである。

このような目的を達成するために本発明は、ス
リツタで所定の横巾寸法を有するよう切断された
長尺な帯状板６を走行方向に挟持して支持し、帯
状板６の板巾よりも狭い巾間隔に形成した上下一
対の支持ローラ１ａ，１ｂと、支持ローラ１ｂの
両側に配設してローラ１ｂの回転軸４に固定し
た、ローラ１ｂより大径の左右一対のバニシロー
ラ２からなり、上下ローラ１ａ，１ｂの挟持面に
対向する高さ位置にあるバニシローラ２の側面に
は、周方向に先細り傾斜状とした押圧面５を形成
してある。

〔実施例〕

以下、図面に従つて、本発明の一実施例を詳細
に説明する。

第１図、第２図は本発明に係るバニシ装置を示
し、本装置は、上下に配設した一対の金属製支持
ローラ１ａ，１ｂと、左右に配設した一対の金属
製バニシローラ２とからなつている。

支持ローラ１ａ，１ｂのうち上側のローラ１ａ
は回転軸３に固定し、また、下側のローラ１ｂは
回転軸４に固定してあり、上下の両ローラ１ａ，
１ｂは、図示しない公知のスリツタで広巾板材を
所定の横巾寸法を有するよう切断して形成した、
後記する長尺な帯状板の走行方向に面して周面を
相対向させている。また、両ローラ１ａ，１ｂ
は、その周面間に帯状板を挟持し、帯状板の走行
方向にそつて回転し、帯状板を支持可能となつて
いる。

一対のバニシローラ２は、下側ローラ１ｂの両
側に配設して回転軸４に固定してある。このバニ
シローラ２は、ローラ１ｂよりも大きい外径を有
しており、上下のローラ１ａ，１ｂで形成される
帯状板の挟持面に対向する高さ位置において両バ
ニシローラ２の側面には、中央から周方向へかけ
て先細り傾斜状の押圧面５を形成しておく。

この傾斜面５は、図示のように、各ローラ２の
両側面に形成してもよいが、ローラ１ａ，１ｂの
挟持面に対向する内側の側面にのみ対象に形成し
た場合でもよい。

上記構成のバニシ装置は、前記の如く、広巾板
材をスツリトして形成した帯状板６の進行方向前
方に設置してあり、第１図に示す如く、ローラ１
ａ，１ｂの周面横巾間隔は帯状板６の横巾寸法よ
りも小さくなつている。従つて、上下の支持ロー
ラ１ａ，１ｂ間に供給され、両ローラ１ａ，１ｂ
の挟持面間に挟持されて走行する時、帯状板６の
長さ方向両側縁部７はローラ１，１ｂの外側に突
出するようになる。

このように帯状板６の両側縁部７は、ローラ１
ａ，１ｂより外側に位置するので、スリツタで帯
状板６の両側切断縁部７に形成されたばりは、第
３図に詳細を示すように、ローラ１ｂの両側に位
置するバニシローラ２傾斜押圧面５に押し付けら
れるので、ばり８側からだれ９側にバニシ処理が
なされる。

バニシの強さは、帯状体６の高さ位置と、傾斜
状押圧面５に対する押し込み位置関係で調節可能
である。

第４図、第５図および第６図は、帯状板６の
「ひらき」、「ねじれ」、「巾縮み」等のバニシ結果
を示すものであり、これらの図表によつて「ひら
き」、「ねじれ」、「巾縮み」等が大巾に減少してい
ることが分かる。

〔発明の効果〕

以上、説明した本発明によれば、広巾板材をス
リツトして形成された帯状板６は、進行方向にお
いて上下のローラ１ａ，１ｂ間に挟持されつつ走
行し、ローラ１ａ，１ｂより両側に突出する帯状
板６の両縁部７はバニシローラ２の傾斜押圧面５
に圧接されるので、両縁部７のばり８はだれ９側
に連続してバニシ処理が可能となる。

従つて、スリツトして帯状板６の両側に下方向
に加えられた変形応力を低減することになり、帯
状板６の上下方向の変形（ひらき）や縁部のねじ
れ等を小さくすることができる。

また、バニシ装置は、帯状板６の進行方向前方
に設置してあるので、帯状板６はスリツタからバ
ニシ装置に案内されて真つ直ぐに走行し、長さ方
向のそりやゆがみ等も小さくできるものである。

更に、本発明装置では、帯状板６に対する押圧
面５の位置関係の調節が可能であるから、帯状板
５の板厚を考慮する必要がなく、きわめて薄い板
材にも適用できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の正面図、第２図は同側面
図、第３図はバニシ状態を示す要部の拡大断面
図、第４図はひらきに及ぼすバニシ結果を示す
図、第５図はねじれに及ぼすバニシ結果を示す
図、第６図は巾縮みに及ぼすバニシ結果を示す
図、第７図は従来のスリツタの正面図、第８図は
帯状板の変形を示す斜視図である。 １ａ，１ｂは支持ローラ、２はバニシローラ、
３，４は回転軸、５は押圧面、６は帯状板、７は
切断縁部、８はばり、９はだれである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ スリツタで所定の横巾寸法を有するよう切断
   された長尺な帯状板６を走行方向に挟持して支持
   し、帯状板６の板巾よりも狭い巾間隔に形成した
   上下一対の支持ローラ１ａ，１ｂと、支持ローラ
   １ｂの両側に配設してローラ１ｂの回転軸４に固
   定した、ローラ１ｂより大径の左右一対のバニシ
   ローラ２からなり、上下ローラ１ａ，１ｂの挟持
   面に対向する高さ位置にあるバニシローラ２の側
   面には、周方向に先細り傾斜状とした押圧面５を
   形成して成ることを特徴とする板材のバニシ装
   置。