JPH0552207U - バーチカルエンジンのオイルパン構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バーチカルエンジンはクランクケース６の下
方を閉鎖するクランクケースカバーの部分をオイルパン
として兼用するのであるが、クランクケースカバーの内
側に補強リブＲが多数立設されており、該補強リブＲの
部分によりオイル溜まりの容量が大きく削減されるとい
う不具合があったのである。本考案はオイル溜まりの容
量を大きくし、作業機が傾斜した場合においても、バー
チカルエンジンの潤滑油の給油を可能とする傾斜性能を
向上したものである。 【構成】 クランク軸を垂直に配置したバーチカルエン
ジンにおいて、クランクシャフト１を軸受支持するクラ
ンクケース６とクランクケースカバー５の中で、クラン
クケースカバー５を下側としてオイルカバーと兼用し、
該クランクケースカバー５のクランクシャフト１の下方
軸受部３２の周囲に鋳抜きにより構成した下面に貫通す
る連通孔を穿設し、該クランクシャフト１の下面に付設
するクランクケースカバー蓋体２により連通オイル溜り
Ａを構成したのである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、作業機に対して、クランクシャフトを垂直に配置した状態で搭載す るバーチカルエンジンのオイルパン構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、バーチカルエンジンのオイルパン構造に関する技術は公知とされて いるのである。例えば実開平１−６３７０９号公報や、実公昭５４−３２５２号 公報や、実開平２−１１２９０９号公報や、実開昭６３−１６４５１０号公報や 、実開昭６２−４３１１１号公報や、実公平２−２８８８号公報や、実公平２− ３４４３６号公報に記載の技術の如くである。また図１３に示す従来技術の如く 、クランクケースカバー５に穿設した潤滑油ポンプ２２のオイル吸引口３３は、 該クランクシャフト１の下方軸受部３２から離れた位置に構成されていたのであ る。また従来はクランクケースカバー５の内側が兼用するオイルパンの容量を増 加する為に、側部にオイル溜まり凹部を構成していたが、この様なオイル溜まり 凹部は逆の方向に傾斜した場合に、オイルフィルタ２１の部分が空気中に露出し て、エア吸い込みを発生し、バーチカルエンジンの傾斜性能を低下させるという 不具合があったのである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来技術においては、クランクケース６の下方を閉鎖するクランクケース カバーの部分をオイルパンとして兼用するのであるが、該クランクケースカバー はクランクシャフトの下方軸受部を構成する部分であるので、十分な強度が必要 であり、クランクケースカバー蓋体の内側に補強リブＲが多数立設されており、 該補強リブＲの部分によりオイル溜まりの容量が大きく削減されるという不具合 があったのである。本考案は以上の従来技術の不具合を解消し、オイル溜まりの 容量を大きくし、作業機が傾斜した場合においても、バーチカルエンジンの潤滑 油の給油を可能とする傾斜性能を向上したものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の解決すべき課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する手段を説 明する。即ち、クランク軸を垂直に配置したバーチカルエンジンにおいて、クラ ンクシャフト１を軸受支持するクランクケース６とクランクケースカバー５の中 で、クランクケースカバー５を下側としてオイルカバーと兼用し、該クランクケ ースカバー５のクランクシャフト１の下方軸受部３２の周囲に鋳抜きにより構成 した下面に貫通する連通孔を穿設し、該クランクシャフト１の下面に付設するク ランクケースカバー蓋体２により連通オイル溜りＡを構成したものである。また 、クランクケースカバー蓋体２が、バーチカルエンジンを作業機に装着するエン ジン取付体と兼用するものである。また、クランクケースカバー５に、カム軸１ ７とバランサー軸１８の下方軸受部３０・３１を設け、該下方軸受部３０・３１ の下部を下方に向けて連通オイル溜りＣ・Ｄとし、クランクケースカバー蓋体２ により前記連通オイル溜りＡと連通オイル溜りＣ・Ｄを連通したものである。ま た、連通オイル溜りＡにおいて、オイル吸引口３３を下方軸受部３２の直近に開 口したのである。

【０００５】

【作用】

次に本考案の作用を説明する。クランクケースカバー５とクランクケース６に より構成した密閉空間内が潤滑油の飛散空間に構成されている。そして下方に位 置するクランクケースカバー５の部分がオイルパンを兼用するのである。そして 該クランクケースカバー５は内部に補強リブを多数設けているので、内部の補強 リブＲは、溜まった潤滑油の傾斜時の移動を阻止してしまい、作業機が傾斜した 場合に、オイル吸引口３３への潤滑油の移動を邪魔して、傾斜性能を落とすので ある。本考案は該クランクケースカバー５の内側で、クランクシャフト１を支持 する下方軸受部３２の周囲に複数の連通孔ａを貫通穿設し、該連通孔ａの下側に 、クランクケースカバー蓋体２を当てて閉鎖した連通オイル溜りＡを構成したの で、該連通孔ａから連通オイル溜りＡの部分の容量だけ、オイル溜まりを増加す ることが出来たのである。また該下方軸受部３２の近傍にオイル吸引口３３を開 口することにより、常時下方軸受部３２の周囲には潤滑油が滞留することとなり 、オイル吸引口３３が空気を吸引することが無くなり、バーチカルエンジンの傾 斜性能を向上することができるのである。

【０００６】

【実施例】

次に実施例を説明する。図１は本考案のバーチカルエンジンの下面図、図２は 同じく本考案のバーチカルエンジンの側面断面図、図３はクランクケースカバー 蓋体をエンジン取付体に兼用した実施例の下面図、図４は図３の実施例の側面断 面図、図５はカム軸１７とバランサー軸１８の下方に連通オイル溜りＣ・Ｄを構 成した実施例の側面断面図、図６は同じく図５の実施例の下面図、図７はクラン クシャフト１の下方軸受部３２の直近にオイル吸引口３３を配置した実施例のク ランクケースカバー５の上面図、図８は図７のクランクケースカバー５の下面図 、図９は同じく図７の実施例のクランクケースカバー５の連通オイル溜りＡ・Ｂ ・Ｃの部分の断面図、図１０はオイルフィルタ２１部分に於けるクランクケース カバー５の断面図、図１１は連通孔ａとオイル吸引口３３の部分に於けるクラン クケースカバー５の断面図、図１２は潤滑油ポンプ２２の部分の断面図、図１３ は従来のオイル吸引口３３の位置を示すバーチカルエンジンの下面図、図１４は 従来のバーチカルエンジンのオイルパン構造を示す側面断面図である。

【０００７】 図１・図２においてバーチカルエンジンの全体構成を説明する。クランクケー ス６とクランクケースカバー５を締結し、側面にシリンダヘッド７を装着固定す ることにより、密閉状態に構成している。そしてクランクケース６のシリンダヘ ッド７に近い部分がシリンダ６ａに構成され、内部でピストンが水平に摺動する 。該ピストンの摺動によりクランクロッドを介してクランクシャフト１が回転さ れる。該クランクシャフト１がクランクケース６の側に突出された部分にフライ ホィール兼冷却ファン１０が固設されている。該フライホィール兼冷却ファン１ ０を収納するファンケース１３の外側に、スターティング装置１１とスターティ ングハンドル１４が配置されている。シリンダヘッド７の上下位置にはエアクリ ーナ１２とマフラー１５が配置されている。本実施例においてはディーゼルエン ジンをバーチカルタイプとした構成が開示されており、カム軸１７により駆動さ れる燃料噴射ポンプ１６とがクランクケース６に支持されており、またシリンダ ヘッド７には燃料噴射弁２７が嵌挿されている。

【０００８】 またクランクシャフト１のクランクケースカバー５の側の位置には、カム軸１ ７を駆動する駆動ギア１９が配置されている。クランクシャフト１は、クランク ケース６の上方を軸受支持され、下方をクランクケースカバー５に設けた下方軸 受部３２により軸受支持されている。本考案は該下方軸受部３２の下方に連通オ イル溜りＡを設け、該連通オイル溜りＡとクランクケースカバー５の内部を連通 孔ａにより連通したものである。そして該連通オイル溜りＡの部分を閉鎖するの は、クランクケースカバー５の下面に付設するクランクケースカバー蓋体２であ る。

【０００９】 図７・図８・図９・図１０において、クランクケースカバー５の具体的な構成 を説明する。図７に示す如く、クランクケースカバー５の内面には、下方軸受部 ３２の部分の強度を補強する為に、多数の補強リブＲが、下方軸受部３２から放 射状に立設されている。故に個々の補強リブＲの間は独立したオイル溜め空間を 構成しており、バーチカルエンジンを傾斜した場合には、該補強リブＲと補強リ ブＲの間の潤滑油が他の方向に移動しにくくなり、傾斜性能を低下させるのであ る。本考案においては、この不具合を解消する為に、各補強リブＲにより区画さ れた空間毎に連通孔ａを設けて、下方軸受部３２の部分の下方周囲に設けた連通 オイル溜りＡと、クランクケースカバー５の内面のオイル溜まりＢとを連通した のである。

【００１０】 しかし、該連通孔ａが穿設された為に、オイル溜まりＢの潤滑油が連通オイル 溜りＡに流れだして、該連通オイル溜りＡから洩れてしまうので、該連通オイル 溜りＡを閉鎖する為にクランクケースカバー蓋体２を設けているのである。該ク ランクケースカバー蓋体２は、図１と図２に示す如く、クランクケースカバー５ の下面から、シール部材を挟持してボルト３６により固定されており、連通オイ ル溜りＡを閉鎖している。また図１と図７に示す如く、下方軸受部３２の周囲に 配置した連通孔ａは、角度等分位置ではなくて、カム軸１７やバランサー軸１８ の下方軸受部３０・３１の部分を回避して１１孔が配置されている。それぞれの 連通孔ａは、各補強リブＲにより区画された空間毎に穿設されているのである。

【００１１】 また図１１に示す如く、クランクケースカバー蓋体２により閉鎖した連通オイ ル溜りＡの内部に、クランクケースカバー５の厚み部分から開口したオイル吸引 口３３が穿設されている。該オイル吸引口３３は下方軸受部３２の直近位置に配 置されている。該オイル吸引口３３から油路３７と３８と３９を経て、オイルフ ィルタ２１のオイルフィルタ室２５へ潤滑油が吸引される。そして該オイルフィ ルタ２１を通過した後の潤滑油が、油路４０と４１を経て、潤滑油ポンプ２２の 櫃に吸引される。該潤滑油ポンプ２２は、図１２に示す如く、ポンプ室をポンプ 室蓋２６で被覆し、トロコイドポンプのインナーローターを固定したポンプ軸２ ４をポンプ駆動ギア２３にて駆動している。該ポンプ駆動ギア２３はカム軸１７ のカム軸駆動ギア２０と噛合している。またクランクシャフト１に設けられた駆 動ギア１９にカム軸駆動ギア２０が噛合している。

【００１２】 次に図３と図４の実施例について説明する。該クランクケースカバー蓋体３は ボルト３６により二重円の上で固定されている。該クランクケースカバー蓋体３ を特別に図５に示す如く厚く構成し、該クランクケースカバー蓋体３の部分を作 業機のフレームに固定するエンジン取付体と兼用しているのである。これにより 、クランクケースカバー蓋体３がエンジン取付体を兼用するので、脱着が簡単に 行えるのである。

【００１３】 次に図５と図６に示す実施例を説明する。本実施例では、連通オイル溜りＡを より大きくする為に、カム軸１７とバランサー軸１８の下方の空間をも連通オイ ル溜りＡとしたものである。即ちバランサー軸１８の下方軸受部３０の部分の下 方に連通オイル溜りＤを構成し、該バランサー軸１８の軸受部分と連通している 。またカム軸１７の下方の空間に連通オイル溜りＣを設け、該連通オイル溜りＣ と連通オイル溜りＤとを連通オイル溜りＡと一体連通しているのである。故に、 他の実施例の連通オイル溜りＡのみの場合に比較して、連通オイル溜りＤ・Ｃが 容量を増加することが出来るのである。このように連通オイル溜りＡ・Ｃ・Ｄを 閉鎖する為にクランクケースカバー蓋体４を大きな形状に構成している。該カム 軸１７の下方軸受部３１及びバランサー軸１８の下方軸受部３０の下方に連通孔 ｎを設けて、裏側の連通オイル溜りＣ・Ｄに連通しているのである。バランサー 軸１８はクランクシャフト１に設けた駆動ギア５０と、バランサー軸１８の被駆 動ギア５１が噛合して回転が伝達されている。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、 請求項１の如く構成したので、クランクケースカバー５の内面には複数の補強リ ブＲが設けられている為に、該補強リブＲにより潤滑油の傾斜時の移動が阻止さ れて、オイル吸引口に吸引出来ない無駄な容量となっていたのであるが、本考案 の如く連通孔ａを設けて、クランクケースカバー５の下側に設けた連通オイル溜 りＡと連通することにより、該補強リブＲの間の空間に位置する潤滑油を、オイ ル吸引口３３に吸引可能とすることが出来たのである。これによりバーチカルエ ンジンの傾斜性能を向上させることが出来たのである。

【００１５】 請求項２の如く構成したので、クランクケースカバー蓋体３をそのままエンジ ン取付体に兼用することが可能となり、別にエンジン取付体を設ける必要が無く なったのである。

【００１６】 請求項３の如く構成したので、カム軸１７とバランサー軸１８の下方軸受部３ ０・３１の部分の下側に、連通オイル溜りＣ・Ｄを設けて、前述の連通オイル溜 りＡと連通したことにより、該部分に出来る無駄な空間をオイルパンとして使用 することが可能となり、有効に無駄な空間を使用することが出来たのである。

【００１７】 請求項４の如く構成したので、オイル吸引口３３を機関中心で、クランクケー スカバー５の裏側の連通オイル溜りＡに向けて開口しているので、最も下方の連 通オイル溜りＡの内部に溜まった潤滑油が、更にバーチカルエンジンが前後左右 に傾斜した場合にも、最低でもクランクシャフト１の周囲の連通オイル溜りＡの 部分に溜まるので、必ずクランクケースカバー蓋体３からはオイルを吸引するこ とが出来て、潤滑油ポンプ２２にエア噛み状態を発生することがより少なくなっ たのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のバーチカルエンジンの下面図。

【図２】同じく本考案のバーチカルエンジンの側面断面
図。

【図３】クランクケースカバー蓋体をエンジン取付体に
兼用した実施例の下面図。

【図４】図３の実施例の側面断面図。

【図５】カム軸１７とバランサー軸１８の下方に連通オ
イル溜りＣ・Ｄを構成した実施例の側面断面図。

【図６】同じく図５の実施例の下面図。

【図７】クランクシャフト１の下方軸受部３２の直近に
オイル吸引口３３を配置した実施例のクランクケースカ
バー５の上面図。

【図８】図７のクランクケースカバー５の下面図。

【図９】同じく図７の実施例のクランクケースカバー５
の連通オイル溜りＡ・Ｂ・Ｃの部分の断面図。

【図１０】オイルフィルタ２１部分に於けるクランクケ
ースカバー５の断面図。

【図１１】連通孔ａとオイル吸引口３３の部分に於ける
クランクケースカバー５の断面図。

【図１２】潤滑油ポンプ２２の部分の断面図。

【図１３】従来のオイル吸引口３３の位置を示すバーチ
カルエンジンの下面図。

【図１４】従来のバーチカルエンジンのオイルパン構造
を示す側面断面図である。

【符号の説明】

Ａ，Ｃ，Ｄ 連通オイル溜り Ｂ オイル溜まり ａ，ｂ 連通孔 １ クランクシャフト ２，３，４ クランクケースカバー蓋体 ５ クランクケースカバー ６ クランクケース ７ シリンダヘッド １０ フライホィール兼冷却ファン １７ カム軸 １８ バランサー軸 ２２ 潤滑油ポンプ ３０，３１，３２ 下方軸受部 ３３ オイル吸引口

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランク軸を垂直に配置したバーチカル
   エンジンにおいて、クランクシャフト１を軸受支持する
   クランクケース６とクランクケースカバー５のうち、ク
   ランクケースカバー５を下側としてオイルカバーと兼用
   し、該クランクケースカバー５のクランクシャフト１の
   下方軸受部３２の周囲に鋳抜きにより構成した下面に貫
   通する連通孔を穿設し、該クランクシャフト１の下面に
   付設するクランクケースカバー蓋体２により連通オイル
   溜りＡを構成したことを特徴とするバーチカルエンジン
   のオイルパン構造。
2. 【請求項２】 請求項１記載のクランクケースカバー蓋
   体２が、バーチカルエンジンを作業機に装着するエンジ
   ン取付体と兼用することを特徴とするバーチカルエンジ
   ンのオイルパン構造。
3. 【請求項３】 請求項１記載のクランクケースカバー５
   に、カム軸１７とバランサー軸１８の下方軸受部３０・
   ３１を設け、該下方軸受部３０・３１の下部を下方に向
   けて連通オイル溜りＣ・Ｄとし、クランクケースカバー
   蓋体２により前記連通オイル溜りＡと連通オイル溜りＣ
   ・Ｄを連通したことを特徴とするバーチカルエンジンの
   オイルパン構造。
4. 【請求項４】 請求項１記載の連通オイル溜りＡにおい
   て、オイル吸引口３３を下方軸受部３２の直近に開口し
   たことを特徴とするバーチカルエンジンのオイルパン構
   造。