JPH0551622U - 射出成形用金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】表面に凹凸を有する成形品であっても、成形時
にフローマークが形成されない射出成形用金型を提供す
る。 【構成】閉合によりキャビティを形成するキャビティ型
およびコア型の内壁面が平滑なセラミック膜で被覆され
ている構成とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、射出成形用金型に関する。

【０００２】

【従来の技術】

射出成形は、射出成形用金型のキャビティ型とコア型とを閉合して内部に形成 したキャビティ（空洞）内に加熱可塑化した成形材料（プラスチック）を高圧で 注入することによって複雑な形状の製品も美しく正確に製造することができる。 しかも、一度金型を作れば、一定の形状の成形品を短時間で多量に生産するこ とができると言う利点があり、あらゆる分野の樹脂成形品の製造に用いられてい る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、従来の射出成形用金型では、たとえば、リブを有する成形品、肉厚 に変化のある成形品等の表面に凹凸がある成形品を製造しようとすると、凸部（ 型面では凹部）周辺で樹脂の流動性が悪くなり、凸部周辺にフローマークが発生 する傾向がある。

【０００４】 しかし、このようなフローマークが発生すると、製品としての機能には問題が なくても、見栄えの点で少し問題があり、商品価値を下げる原因となっている。 特に、難燃剤が添加されているスチロール樹脂などを成形材料として用いた場合 などは、難燃剤が型面に付着して残るため、長期間連続して金型を使用している と、フローマークが顕著になってくると言う問題がある。

【０００５】 本考案は、このような事情に鑑みて、表面に凹凸を有する成形品であっても、 成形時にフローマークが形成されない射出成形用金型を提供することを目的とし ている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案にかかる射出成形用金型は、このような目的を達成するために、閉合に よりキャビティを形成するキャビティ型およびコア型の内壁面が平滑なセラミッ ク膜で被覆されている構成とした。 上記構成において、セラミック膜を形成するセラミックとしては、特に限定さ れないが、例えば、窒化チタン，炭化チタン等が挙げられる。

【０００７】 セラミック膜の形成は、通常スパッタリング等の気相法で行われ、セラミック 膜の膜厚は、２〜３μｍ程度が好ましい。

【０００８】

【作用】

上記構成によれば、セラミック膜によりキャビティ内壁面が平滑で潤滑性よく なっており、型内に成形材料を注入していくと、成形材料は、キャビティ内壁面 に凹凸があっても滞ることなく流動してキャビティ内に密に充満することになる 。

【０００９】

【実施例】

以下に、本考案を、その実施例をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。 図１は、本考案にかかる射出成形用金型のキャビティ内に成形材料としての樹 脂が充満した状態を一部断面で見てあらわしている。 図にみるように、この射出成形用金型１は、公知の金属材料で形成されたキャ ビティ型２およびコア型３の型内壁面が２μｍの厚みの窒化チタン製セラミック 膜４で被覆されている。

【００１０】 そして、図にみるように、このキャビティ型２およびコア型３を閉合して形成 されたキャビティ５内に成形材料として難燃剤入りのスチレン樹脂６を公知の方 法で射出充填して、図２にみるようなたくさんのリブ７を有する成形品８を成形 したところ、図３にみるように、成形品８のリブ７が設けられた面８１は、勿論 のこと、全面にわたってフローマークが全く発生しなかった。

【００１１】 また、長期間使用してキャビティ型２およびコア型３の内壁面を点検したとこ ろ、内壁面に付着物などが全くなかった。 一方、セラミック膜で被覆していない従来の金型で図２と同様の形状の成形品 ９１を成形したところ、図４にみるように、リブ９２の周囲にフローマーク９３ が発生した。しかも、長期間使用していくと、このフローマーク９３の度合いが 大きくなり、キャビティ型２およびコア型３の内壁面を点検したところ、内壁面 に難燃剤のかすなどの付着物が認められた。

【００１２】 なお、本考案にかかる射出成形用金型は、上記の実施例のように成形品表面に リブなどの凹凸を有する成形品のみの製造に用いるだけではなく、勿論、表面に 凹凸のない平らな成形品の製造にも用いることができる。

【００１３】

【考案の効果】

本考案にかかる射出成形用金型は、以上のように、セラミック膜によりキャビ ティ内壁面が平滑で潤滑性よくなっており、型内に成形材料を注入していくと、 成形材料は、キャビティ内壁面に凹凸があっても滞ることなく流動してキャビテ ィ内に密に充満することになる。

【００１４】 したがって、凹凸部を有する成形品であってもフローマークを発生させること なく、見栄えよく成形することができ、製品の商品価値を上げることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる射出成形用金型の一実施例であ
って，そのキャビティ内へ樹脂を充填した状態を横から
見てあらわす部分断面図である。

【図２】上記金型で得られた成形品の斜視図である。

【図３】そのリブが設けられた面の正面図である。

【図４】比較例として従来の金型で製造した図２と同様
の形状の成形品のリブが設けられた面の正面図である。

【符号の説明】

１ 射出成形用金型 ２ キャビティ型 ３ コア型 ４ セラミック膜 ５ キャビティ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】閉合によりキャビティを形成するキャビテ
   ィ型およびコア型の内壁面が平滑なセラミック膜で被覆
   されていることを特徴とする射出成形用金型。