JPH0551062U - 洋上敷設いけすのフロート足場用スタンション - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 魚介類養殖のための外洋いけすの側網が、潮
流により押流されようとするときのまとわりつき、引っ
掛かりにより生じる破損を軽減し得る、そのいけす側網
の水中支持に役立つ、フロート足場用スタンションを提
案すること。 【構成】 フロート足場を取囲む弾性変形可能な巻付き
バンドの取付け片によって、フロート足場上にスタンシ
ョンを排列取付けし、この巻付きバンドをスタンション
に補強板で強固に合体したこと。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

魚介類の人工栽培、すなわち養殖育成のための飼育、成育ないしは肥育をはじ めとして、採取後の短期又は長期にわたる保存にも用いられるいけすの大型化、 大規模化の傾向は、環境問題その他の影響を回避するためにいけすの外洋設置が 余儀なくされることからも、殊のほか著しい。

【０００２】 いけすの大型化、大規模化を実現するには、頑丈ないけす構造が必要とされる のはもとより、その保守管理の安全な遂行を可能ならしめることも肝要である。

【０００３】 このような使途に供される洋上敷設いけすに用いられるフロート足場上での作 業や歩行の安全に役立てる手摺支柱としての機能を兼ね備える、フロート足場用 スタンションの改良をここに提案する。

【０００４】

【従来の技術】

実開昭58−26857 号公報にてさきに開示したように、いけす施設のフロート足 場は、通常ゴム又はゴム状弾性材料の太径（外径でほぼ数10cm程度）ホースの連 結体の内部空洞に空気を充てんして水面上に、円形、方形ないしは多辺形をなす いけすの洋上敷設水域を限界する浮揚姿勢にて設置し、要所に必要ないかりなど を用いて係留した上でこのフロート足場にはいけすの内部を外洋から仕切る、い けす側網を水中に懸架するほか、水面上にて上記洋上敷設水域を囲ういけす垣網 さらにフロート足場上における人の安全な作業や歩行を助ける手摺ロープなどの 支持を司るスタンションを、数ｍおきに間隔をおいて配設することは既知である 。

【０００５】 上記従来のスタンションは、フロート足場への取付けのため、フロート足場の ほぼ半周ずつにわたる一対の弓形部片を各下端でヒンジ連結し、各上端にはボル ト・ナット締結を行うＬ形端よりなるクランプ部を設けて一方の弓形部片にはス タンションのベンド状をなす基端で固着し、さらにクランプ部とスタンションと をつなぐ補強板を設け、強化が図られている。

【０００６】 ところが、このヒンジ連結部はフロート足場の下側にて水中に突出し、またク ランプ部におけるボルトの締結余端がフロート足場の上方でスタンションに向け て延伸し、これらの突出部には、潮流の影響を受けていけす側網が押し流される ときに、しばしばまとわりついたり引っ掛かったり、さらには強い風浪にまき上 げられてボルトのねじ脚に網目が挟まるような不利があり、またその状態で波浪 や強風による強い力が加わって、破損を来す心配があり、加えていけす垣網が強 風によってスタンションとこすれ合い、損耗を生じ易いことも欠点に数えられる 。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

上記したように、潮流や、波浪によっていけす側網が押し流されたりまき上げ られたりするようなときにも、そのまとわりつきや、ひっかかりに起因する網破 損のうれいをなくすように、フロート足場への装着に工夫を凝らしたほか、いけ す垣網との接触機会を減じたスタンションを提案することがこの考案の目的であ る。

【０００８】 またさらにはクランプ部分の構造をより頑丈にする手段をも提案しようとする ものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

この考案はゴム又はゴム状弾性体の太径ホースの連結体からなり内部空洞に気 体を充てんすることによる水面浮揚姿勢にていけすの洋上敷設水域を限界するフ ロート足場上で、その延伸の方向に沿って間隔をおく排列下にフロート足場に取 付けて、水面上のいけす垣網と手摺ロープ及び水中に懸架するいけす側網の支持 に供する、フロート足場用スタンションにして、上端で限界水域の内方に向かっ て反曲した不銹性材料の管状体を主体とし、フロート足場の胴周を取囲んで互い に向い合うＬ形端にそれぞれボルトの挿通孔をあけた不銹性材料帯片の巻き付き バンドよりなる取付け片を、フロート足場の上半部内方で上記管状体の基端にダ ブリングプレートを介し固着するとともに、管状体とこれにより近いＬ形端との 間で上記ボルトの挿通孔を挟んでそれぞれ斜めに連結する一対の補強板を固着し て成り、両Ｌ形端間のボルト締結によりフロート足場上で堅固な装着を可能にし たことを特徴とする、洋上敷設いけすのフロート足場用スタンションであり、こ こに取付け片が、巻き付きバンドの両端に固着した端部材よりなるＬ形端を有す るものとすることが実施上、好適である。

【００１０】 図１ａ，ｂにてこの考案のスタンションを用いたフロート足場による洋上いけ すの要部構成と網の組立要領とを図示し、図２ａ，ｂにはスタンションの側面及 び半面を図解し、図３にてスタンションの他の例を側面で示した。 図中１はいけす、２はその洋上敷水域を外洋３に対して区画するフロート足場 であり、４はスタンションである。 フロート足場２はゴム又はゴム状弾性材料の太径ホース（図の例ではほぼ42cm φ）の連結体よりなるものとし、内部空洞中に例えば空気を通常は５kgf/cm² 程 度の高圧封入によって、高い剛性を保持させた状態で水面上に浮揚姿勢をとって 、いけす１の全周を取囲む（図においてその一部のみを示した）。

【００１１】 スタンション４は、フロート足場２の延伸の方向に沿う１〜３ｍ程度の間隔を おいて配設し、その反曲した上端にていけす垣網ｆを水面下に没するまで吊りか け支持するかぎフック５また同じく上端の曲がり鼻に手摺ロープｇを挿通して保 持するアイフック６を有する。

【００１２】 スタンション４はこの考案において不銹性材料たとえばステンレス鋼管のよう な管状体よりなるものとして、次のようにしてフロート足場２に取付ける。 すなわちフロート足場２の胴周を取囲んで互いに向い合うＬ形端７，８にそれ ぞれボルト９の挿通孔10をあけた不銹材料たとえばステンレス鋼の帯片11の巻き 付きバンドよりなる取付け片12をフロート足場２の上半部内方にて管状体の基の 基端にダブリングプレート13を介して例えば溶接により固着するとともに、管状 体とこれにより近いＬ形端８との間でボルト９の挿入孔10を挟んでそれぞれ斜め に連結する補強板14をやはり溶接の如きによって固着する。 またＬ形端７にも一対のリブ15による補強を施すことが好ましい。

【００１３】 管状体の基端に近いスタンション４の付け根にボタンロープと呼ばれる脱着容 易な吊り索16により、斜交網目を有する縁網ｈを介していけす側網ｓを水中深く 懸垂支持する。ｂは底網である。縁網ｈはその上縁を水面とほぼ平行に保つため 、浮子列の沿わせロープｒにより、はっぴやくと呼ばれる多数の吊手節ｋを介し て浮揚支持し、吊手節ｋはその上下にわたり交互に、図示を省略した張りロープ を通してかがり合わせ、脱着を容易にする。 縁網ｈの下縁には、いけす垣網ｆの裾縁を十分なたるみを付して綴じ合わせる 。 補強板14とスタンション４との間をつなぐステー17を溶接により固着して吊り 索16の妄動を制限するを可とする。 図３の例ではＬ形端７，８が薄片11の巻き付きバンドの両端にそれぞれ溶接に より固着した、ステンレス鋼による別製の端部材よりなる点でのみ異なるが他の 構成は全く同じである。

【００１４】

【作用】

この考案に従うスタンション４はこれと一体化した巻き付きバンドの弾性変形 の下に端部材７，８との間隔を単に拡げるだけで足場フロート２のまわりで容易 に抱き合わせ得て、ボルト９を締めつける手軽な操作にて足場フロート２の要所 に据付けることができ、このスタンション４の主体としての管状体はいけす垣網 ｆを管状体から十分に離して吊掛けするので、スタンション４にいけす垣網ｆが 接触する機会が減じ、それによる損耗が少く、またフロート足場２の水面下に何 らの突出もなくさらにフロート足場２の上方のクランプ部もボルトのねじ脚が補 強板14によってしゃ蔽されるので、潮流や風波の影響でいけす側網が波浪にもま れてはね上ったとしてもも引かかりを生じるうれいがない。

【００１５】

【実施例】

SUS 304 （外径48.6mm、管壁厚み3.6mm)鋼管を用い水面上高さ１m でいけす内 方への反曲長さ200mm としたスタンション４の基端に、厚み３mm×幅90mm×長さ 90mmのSUS 304 のダブリングプレートを介して厚み３mm×幅100mm 長さ約1.395m m のSUS 帯鋼の巻き付きバンドよりなりその両端にＬ形端７，８を形成した取付 け片12を溶接により固着し、この取付け片12のＬ形端８と、スタンション４との 間にまたがる厚み３mm×幅120mm のSUS 台形板よりなる補強板14で強化して、図 ２に示すスタンション４をつくり、胴径422mm のフロート足場２に取付けて、試 用したところ、いけす側網ｓが潮流に流されてもまた波浪による部分的な跳ね上 りを生じても、フロート足場２にまとわりついたり、引掛ったりするうれいはな くまた風波が強いときでもいけす垣網ｆがスタンション４と強くこすれ合うこと はなかった。

【００１６】 ここに巻き付きバンドには、厚さ２〜４mmのステンレス薄鋼帯が適合するが、 より好ましくはその両端には、より厚肉とするを可とする別体の端部材を巻き付 きバンドと重ね又は突き合わせ溶接により一体化するようにして、一層頑丈なス タンションの据付けが行えた。

【００１７】

【考案の効果】

足場フロートに対するスタンションの取付け片が、引っ掛かりの原因となるヒ ンジ部のような突出のない、巻付きバンドよりなるものとし、しかもＬ形端をス タンションと一対補強板で結合しボルトの締結余端をしゃ蔽したのでいけす側網 のまとわりつきや引っ掛かりによる損傷を伴うことなく、またスタンションの主 体としての管状体がいけすの内方に反曲した上端にていけす垣網を吊りかけ支持 したのでスタンションとのこすれ合いによる損耗を生じることなくして、安全な いけす上の歩行、作業が容易に遂行できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ａはいけす要部外観図である。ｂは網の組立要
領図である。

【図２】ａはスタンションの側面図である。ｂは平面図
である。

【図３】スタンションの別例の側面図である。

【符号の説明】

１ いけす ２ フロート足場 ３ 外洋 ４ スタンション ７ Ｌ形端 ８ Ｌ形端 ９ ボルト 10 挿通孔 11 帯材 12 取付け片 13 ダブリングプレート 14 補強板

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゴム又はゴム状弾性体の太径ホースの連
   結体からなり内部空洞に気体を充てんすることによる水
   面浮揚姿勢にていけすの洋上敷設水域を限界するフロー
   ト足場上で、その延伸の方向に沿って間隔をおく排列下
   にフロート足場に取付けて、水面上のいけす垣網と手摺
   ロープ及び水中に懸架するいけす側網の支持に供する、
   フロート足場用スタンションにして、 上端で限界水域の内方に向かって反曲した不銹性材料の
   管状体を主体とし、フロート足場の胴周を取囲んで互い
   に向い合うＬ形端にそれぞれボルトの挿通孔をあけた、
   不銹性材料帯片の巻き付きバンドよりなる取付け片を、
   フロート足場の上半部内方で上記管状体の基端にダブリ
   ングプレートを介し固着するとともに、管状体とこれに
   より近いＬ形端との間で上記ボルトの挿通孔を挟んでそ
   れぞれ斜めに連結する一対の補強板を固着して成り、両
   Ｌ形端間のボルト締結によりフロート足場上で堅固な装
   着を可能にしたことを特徴とする、洋上敷設いけすのフ
   ロート足場用スタンション。
2. 【請求項２】 取付け片が、巻き付きバンドの両端に固
   着した端部材によりなるＬ形端を有するものである請求
   項１に記載した、スタンション。