JP2843817B2 - 仕切り網装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、養殖海域や海洋牧場の
中間育成海域で使用する養魚用や定置網漁用の仕切り網
装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、養魚用仕切り網装置は、竹竿や鋼
管等の支柱を所定間隔に水底の地中に打ち込んで水底に
立設した支柱装置に、仕切り網を固縛して水域を区別
し、中に中間育成魚等を放ち、養魚用等の仕切り網装置
としていた。図５は支柱に打設鋼管を用いた場合の従来
例の仕切り網装置の部分正面図である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような装置は、湾
内の比較的静かな海域に設置されるが、網や支柱に作用
する波力はすべて竹竿や鋼管に、特に地中に打ち込んだ
基部に集中し破損する。また、砕波が発生する水深の浅
い海域などでは、しばしば竹竿や鋼管、網に破損を生
じ、仕切り網内の養魚が散逸するという欠点があった。

【０００４】本発明は、上記欠点を解消するため、支柱
を水中に直立するように浮力を持たせ、基部を可撓自在
として破損を防ぐようにしたものである。

【０００５】

【課題を解決する手段】この目的を達成するため、本発
明は、支柱を、下端に係留環を有する中空柱体と、係留
環を沈錘に連結して引き込み係留する短い係留具と、沈
錘とで構成し、中空柱体をその浮力により水中に直立し
上部を水上に突出するようにし、該支柱を所定間隔で配
置した支柱装置と、該支柱装置に固縛した水上から水底
にわたる仕切り網とで構成した養魚用等の仕切り網装置
である。

【０００６】支柱装置と仕切り網との固縛は、中空柱体
側部に網固縛用アイを取り付ければよいが、中空柱体側
部に網固縛用棒を取り付けるようにするとよい。

【０００７】また、中空柱体を、水面付近より上部また
は下部を、あるいは水面付近より上部および下部を中間
部より細く成形するようにするのが好ましい。

【０００８】

【作用】以上のように構成したため、中空柱体は柱体の
径を適宜選択することにより充分な浮力が得られ、浮力
により仕切り網を固着した状態で水中に直立し、仕切り
網装置として充分に機能する。また、風波がある場合で
も、傾く程復原力が大きくなり、柱体頭部および仕切り
網の上縁が水没するようなことはない。また中空柱体は
係留具による係留のため、仕切り網装置は波に追従して
傾くことができ、支柱装置および仕切り網が破損する恐
れはない。

【０００９】支柱の中空柱体は、従来の打設鋼管と比較
し、強度的に軽減でき、安価な設備となる。また支柱
は、中空柱体を係留具で沈錘に係留したまま移設が可能
で、養魚尾数の変更や、海底汚染のためなどによる設定
海域の変更が容易である。また本装置は万一漁船等が衝
突しても傾いて衝撃を柔らげるので、破損する恐れもな
く、漁船も損傷をまぬがれる。

【００１０】また中空柱体の側面に網固縛用棒を取り付
ければ、網固縛ピッチを任意にでき、網の取付取外しは
容易となる。

【００１１】さらに、中空柱体を、柱体の水面付近より
上部、特に水面直下より上部または下部を中間の径より
細く成形すれば、風波や水流の抵抗を少なくできる。さ
らに、柱体の上部、下部共、中間部より細く中間部を太
く成形すれば、浮力を有効に配置した使用材料の少ない
復原力が大きい中空柱体となる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付の図面に基づい
て説明する。

【００１３】図１は本発明の１実施例を示す養魚用等の
仕切り網装置の部分正面図で、１は支柱で、鋼管、ゴム
被覆鋼管、合成樹脂製パイプあるいはゴムホース等の水
密中空柱体２の下端の係留環３を、例えばシャックル、
環、シャックルを連結した短い係留具４、あるいはユニ
バーサルジョイント等の短い係留具で、沈錘５に連結し
て構成されている。支柱１は、養魚池を囲むように所定
間隔で配置され、支柱の中空柱体間に上下数条のロープ
６を渡し、間隔を保つように中空柱体に固定され、支柱
装置を構成している。この支柱装置の中空柱体の側面に
設けたアイ７に仕切り網８が固縛されている。９は仕切
り網の下縁に設けた鎖等の重りで、仕切り網８の下縁が
水底に着地するようになっている。図２は図１のＡ−Ａ
視図である。

【００１４】図３は中空柱体２のロープ６および仕切り
網８固縛用アイ７のかわりに、固縛用棒１０を取り付け
た側面図を示す。

【００１５】図４は中空柱体２の上部および下部を細
く、中間部を太くして直立復原力を増し、柱体材料を減
じ、側面積を減じ、水流や波の抵抗も減じるようにした
ものを示す。

【００１６】

【発明の効果】請求項１記載の養魚用等の仕切り網装置
を用いれば、支柱や仕切り網の破損はなく、風波があっ
ても仕切り網上部が水没せず、養魚の散逸が防止でき、
支柱に掛かる応力が軽減できるので軽構造ですみ、設
置、移設等取扱いが容易で、漁船が衝突しても傾いて船
も網装置も損傷なく、定置網漁等にも使用できる多用途
の仕切り網装置を提供するものである。

【００１７】請求項２記載の仕切り網装置を用いれば、
網の固縛間隔を任意にでき、網の種類にも対応でき、網
の取付、取替等取扱いが容易となる。

【００１８】請求項３記載の仕切り網装置を用いれば、
支柱の直立復原力が増加し、風波や水流の抵抗も減り、
さらに直立性のよい、経済的な装置となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例を示す部分正面図。

【図２】図１のＡ−Ａ視図。

【図３】中空柱体の網取付棒を取り付けた実施例を示し
た図。

【図４】中空柱体の別の実施例を示した図である。

【図５】支柱に打設鋼管等を用いた従来例の仕切り網装
置の部分正面図。

【符合の説明】１ 支柱 ２ 中空柱体 ３ 係留環 ４ 係留具 ５ 沈錘 ８ 仕切り網 １０ 固縛用棒

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下端に係留環を有する中空柱体と、係
   留環を沈錘に連結して引き込み係留する短い係留具と、
   沈錘とよりなり、中空柱体をその浮力により水中に直立
   して上部を水上に突出するようにした支柱を、所定間隔
   で配置した支柱装置と、該支柱装置に固縛した水上から
   水底にわたる仕切り網とよりなることを特徴とする仕切
   り網装置。
2. 【請求項２】 支柱の中空柱体側部に網固縛用棒を取
   り付けたことを特徴とする請求項１記載の仕切り網装
   置。
3. 【請求項３】 支柱の中空柱体を、水面付近より上部
   または下部を、あるいは水面付近より上部および下部を
   中間部より細く成形したことを特徴とする請求項１また
   は２記載の仕切り網装置。