JP7264456B2 - 養殖魚の集魚装置、それを用いた養殖魚の集魚方法および薬浴処理方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2では、生け簀の内周に薬浴用カーテンを吊り下げてその内側領域を薬浴槽とする方法が提案されている。
これら特許文献1および2の方法では、生け簀内の海水量が多量であるため、魚病治療に有効な薬剤濃度とするために必要な薬剤量が多量になってしまう問題があった。また、これらの方法では、生け簀の底部から外部の海水中に薬剤成分が漏れ出て薬剤濃度が低下しやすいため、それを補うために薬剤濃度を高めに設定する場合もあった。
前記シート槽部は、所定の中空立体形状の低通水性シート部を有し、
前記枠部が角形の生け簀内の水面付近に設置されて前記シート槽部が水中に浸漬した状態において、前記生け簀内に区画された前記シート槽部内に集魚可能である養殖魚の集魚装置が提供される。
前記生け簀内の前記集魚装置における前記枠部の下端を、前記生け簀の前記一の内側面と対向する他の内側面の方へ前記生け簀の底面に沿って移動させる工程と、
前記生け簀内の水面付近まで前記枠部を上昇させ、それによって前記シート槽部内に前記生け簀内の養殖魚を集める工程とを含む養殖魚の集魚方法が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、前記集魚方法における前記生け簀内の養殖魚を集める工程の後、前記シート槽部内の水中に魚病治療用の薬剤を添加する工程を行う養殖魚の薬浴処理方法が提供される。
また、本発明の養殖魚の集魚方法によれば、集魚による養殖魚の衰弱を抑制することができることに加えて、集魚装置の生け簀内へセットから集魚までの工程は、少ない人員により集魚装置を取り扱うことができるため、養殖を営む漁業者に対して作業人員および労力の面での負担を軽減することができる。
また、本発明の薬浴処理方法によれば、生け簀内を集魚装置のシート槽部にて区画した小区画域に魚病治療用の薬剤を添加することができるため、薬剤の使用量を低減することができる。
なお、本発明の集魚装置および集魚方法は、養殖魚の薬浴処理以外に、例えば、養殖魚を小区画域に集めて出荷作業を効率よく行う場合や、赤潮発生及びタンカーからの重油流出等の外的トラブル等で一時的に養殖魚を避難させる場合に用いられてもよい。
図1は本発明の養殖魚の集魚装置の第1実施形態を示す斜視図である。また、図2~図4は第1実施形態の集魚装置を用いた集魚方法を説明する第1~第3の図である。
図1~図4に示すように、この集魚装置1は、平面視略正方形(角形)の生け簀70内の養殖魚を集魚する際に用いられるものであり、四角形の枠部10と、枠部10の内側に張られた網部20と、網部20に設けられた逆円錐形のシート槽部30とを備える。なお、本実施形態では、シート槽部30が、集魚装置1の使用状態において逆円錐形の中空立体形状を有する場合を例示するが、シート槽部30の中空立体形状は逆円錐形に限定されず、例えば、逆円錐台形、円柱形、半円形、逆角錐形、逆角錐台形、角柱形等であってもよい。
主枠部11は、集魚装置1が生け簀70内に設置された状態(図4参照)において、生け簀70の枠体71の内周部の三辺に沿って配置されるコ字形の部分であり、主枠部11の伸長状態における一辺の最大長さL1は枠体71の内周部の一辺の長さと概ね等しく設定されている。なお、主枠部11のコーナー部は、生け簀70内の隅部との間にできるだけ隙間ができないように丸みを小さく抑えることが好ましい。
延長枠部12の伸長状態における対向する二辺のそれぞれの最大長さL2と、主枠部11の前記最大長さL1との和は、側方から視た生け簀70の対角線長L3(図3参照)よりも長く設定されている。
また、集魚装置1が生け簀70内に設置された状態(図4参照)のときに主枠部11が水平を保ちやすいように、延長枠部12はその対向する二辺の主枠部11との連設部分に、上方へ向かって折り曲げられた折り曲げ部12aをそれぞれ有している。
締結部材41としては、例えば、可撓性のテープ、ロープ等を用いることができる。
拡張状態の枠部10の内側に複数の締結部材41を介して網部20が張設されることにより、大径パイプ10a内から小径パイプ10bが抜け出ないようになっている。
また、網部20の外周端部には複数の沈子50がロープを介して取り付けられている。これにより、集魚装置1を生け簀70内にセットする際(図2参照)、集魚装置1が水中に沈みやすくなる。なお、図1では、網部20の外周縁における主枠部11に対応する部分にのみ複数個の沈子50を設けた場合を例示したが、網部20の外周縁における延長枠部12に対応する部分にも沈子50を設けてもよく、沈子50の数は特に限定されるものではない。また、集魚装置1を生け簀70の内側面72aに沿って沈める際の主枠部11の一辺11a側(延長枠部12とは反対側の一辺、図1、図2参照)にのみ複数個の沈子50を設けてもよい。
シート槽部30が逆円錐形、逆円錐台形半、円柱形、逆角錐形、逆角錐台形、半球形等である場合の網部20の開口部21のサイズ(直径)は、集魚効率を高める観点から、できる限り大きく設定することが好ましい。なお、シート槽部30が角柱形である場合の網部20の開口部は、シート槽部30内の容積をある程度小さくするために円形の開口部21よりも小さいサイズの正方形とされる。網部20の面積と開口部21の面積との比率としては、例えば、1:0.1~99程度とすることができる。
低通水性シート部31の上端の円形の開口端縁は、網部20の円形の開口部21の周縁に、例えば、縫製、接着、溶着等によって接合されている。
これらのロープ42および連結具43は、集魚装置1を用いた養殖魚Fの薬浴処理作業を効率よく行う上で便利である。なお、これらのロープ42および連結具43は作業者が用意したものを集魚作業前に集魚装置1に取り付けてもよい。
以下、この集魚装置1を用いた養殖魚Fの集魚方法および薬浴処理方法について説明する。
この工程においては、例えば、枠部10を拡張した集魚装置1(実線)を、生け簀70における一の内側面72aと対向する他の内側面72b側(作業船80側)の枠体71の一辺上に載せる。このとき、延長枠部12の折り曲げ部12aが枠体71よりも上方へ位置するように集魚装置1を裏返した状態とし、この状態で主枠部11を生け簀70内に落とし込む。これにより、主枠部11の延長枠部12と反対側の一辺11aが、生け簀70における枠体71の延長枠部12を載せた前記一辺とは反対の他の一辺側に配置される。
なお、予め、集魚装置1には前記一対のロープ42および連結具43(図1参照)が取り付けられると共に、作業船80に設置された巻き上げ機81のロープ82の先端のフックが連結具43に連結されている。
なお、図2で説明した集魚装置1の生け簀70内へのセット作業は、枠体71上で2人の作業者が集魚装置1を移動させる作業を行ってもよく、それにより作業効率が高められる。
この工程では、作業船80の巻き上げ機81にてロープ82を巻き上げることにより、集魚装置1の枠部10の下端(一辺11a)が生け簀70の底面72cに沿って他の内側面72bの方へ引っ張られる。
また、この工程(図3参照)においては、集魚装置1の延長枠部12の端部側が生け簀70の枠体71に凭れかかった(引っ掛かった)状態となるため、集魚装置1全体が生け簀70内に落ち込むことがない。
この工程では、作業船80の巻き上げ機81にてロープ82をさらに巻き上げていくことにより、集魚装置1の枠部10の前記一端11aが生け簀70の他の内側面72bに沿って上昇し、それに伴って延長枠部12が生け簀70の枠体71を摺動しながら上昇する。そして、延長枠部12の折り曲げ部12aが枠体71まで移動したところで巻き上げ機81を停止することにより、主枠部11全体が水面A付近に設置される。
この工程までが、集魚装置1を用いた養殖魚Fの集魚方法であり、引き続き養殖魚Fの薬浴処理が行われる。
この工程では、養殖魚Fの種類および目的とする治療等に応じた薬剤が選択され、シート槽部30内の海水量に応じて適切な薬剤濃度となる量の薬剤がシート槽部30内の水中に添加される。なお、添加方法としては、散布装置を用いた薬剤散布が一般的であるが、特に限定されるものではない。
この薬浴処理の間、養殖魚Fは逆円錐形のシート槽部30の内周面に沿って回遊することができるため、養殖魚F同士の衝突による傷付き、シート槽部30の内周面への養殖魚Fの衝突による傷付き等による養殖魚Fの衰弱を抑えることができる。
集魚装置1の撤去方法としては、例えば、図4で示した拡張状態の集魚装置1の枠部10の延長枠部12を主枠部11側へ押して、枠部10の拡張時の長さ(図1中の最大長さL1+L2)を生け簀70内に収まる長さまで短縮し、集魚装置1の延長枠部12側を生け簀70内に落とし込んで底面72c側へ沈める。このとき、枠部10の一辺11a側はロープ82に連結されているため水面A付近に維持される。
図2では生け簀70内の作業船80の反対側に集魚装置1を立てた状態にセットした後、主枠部11を水面A付近まで上昇させる集魚方法を説明したが、生け簀70内の作業船80側に集魚装置1を立てた状態にセットした後、主枠部11を水面A付近まで上昇させるようにしてもよい。
この場合、生け簀70の作業船とは反対側の枠体71上に滑車を取り付けた支柱を予め設置し、枠体71上の作業者が集魚装置1の連結具43に予め一端を締結しておいたロープを滑車に掛け、ロープを引っ張ることにより図3と図4で説明したように枠部10の主枠部11が引っ張られて水面A付近まで上昇して集魚することができる。この際、作業者または作業船80にてロープを引けばよい。なお、この場合の集魚装置1の生け簀70からの撤去方法としては、例えば、生け簀70の枠体71上に載っている延長枠部12に作業船80のロープ82を繋ぎ、巻き上げ機81にてロープ82を巻き上げて集魚装置1を生け簀70の外側へ引っ張り出すことによって行うことができる。
第1実施形態の集魚装置1は、図4中の二点鎖線で示すように、シート槽部30の底部(通水部32の頂部)にロープを介して錘33を取り付けてもよい。
これにより、シート槽部30が水中で逆円錐形を保ちやすくなる。また、シート槽部30から通水部32が省略された場合、シート槽部30の底部に錘33を設けることによって、集魚装置1を生け簀70内に設置する際、シート槽部30の底部側が錘33によって沈むため、シート槽部30内の空気がシート槽部30の開口部から外部へ抜けやすくなる。
図5は本発明の養殖魚の集魚装置の第2実施形態を示す斜視図である。また、図6~図8は第2実施形態の集魚装置を用いた集魚方法を説明する第1~第3の図である。なお、図5~図8において、図1~図4中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第2実施形態の集魚装置101は、第1実施形態の集魚装置1(図1参照)における延長枠部12が省略されたこと以外は、概ね第1実施形態と同様に構成されている。
以下、第2実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
この枠部110の拡張状態における一辺の最大長さL1は、生け簀70の枠体71の内周部の一辺の長さと概ね等しく設定されている。
この網部120にも円形の開口部121が設けられており、開口部121の周縁に逆円錐形のシート槽部30の円形の開口部周縁が取り付けられている。
さらに、この集魚装置101は、枠部110の対角にそれぞれの両端が締結された2本のロープ44を別の連結具45に通してもよく、ロープ44および連結具45は作業者が用意したものを集魚作業前時に集魚装置101に取り付けてもよい。
以下、この集魚装置101を用いた養殖魚Fの集魚方法および薬浴処理方法について説明する。
この工程においては、例えば、枠部110を拡張し、裏返した状態の二点鎖線で示す集魚装置101を、生け簀70内の水面A上に載せる。このとき、枠部110のパイプ材内に海水が流入するが、短時間(例えば2~3分以内)に枠体110が完全に水中に沈むことはない。
なお、予め、集魚装置1には、前記一対のロープ42および連結具43(図5参照)が取り付けられると共に、一対のロープ44および連結具45が取り付けられ、作業船80に設置された巻き上げ機81のロープ82の先端のフックが連結具43に連結されると共に、作業船80に設置されたクレーン83のワイヤ84の先端のフックが連結具45に連結されている。
なお、図6で説明した集魚装置101の生け簀70内へのセット作業は、枠体71上で2人の作業者が集魚装置1を移動させる作業を行ってもよく、それにより作業効率が高められる。
この工程では、作業船80の巻き上げ機81にてロープ82を巻き上げることにより、集魚装置1の枠部110の下端(一辺110a)が生け簀70の底面72cに沿って他の内側面72bの方へ引っ張られる。なおこの間に、クレーン83のアームを生け簀70の中央上方位置まで伸長させてもよい。
この工程では、作業船80のクレーン83にてワイヤ84を巻き上げていくことにより、集魚装置101の枠部110が略水平状態を保ちながら生け簀網72の内側面に沿って上昇する。これにより、養殖魚Fは集魚装置101のシート槽部30内に移動していく。なおこの間に、ロープ81が邪魔とならないよう巻き上げ機81でロープ81を巻き上げてもよい。
そして、枠部110全体が水面A付近まで移動したところでクレーン83および巻き上げ機81によるワイヤ84およびロープ81の巻き上げを停止する。
なお、図6~図8に示すように、集魚工程においては、作業船80の巻き上げ機81のロープ82が生け簀70の枠体71および作業船80の縁部に擦れて痛まないように、それらの摺接部分に例えばゴムシート85を敷いてもよく、この点に関しては第1実施形態においても同様である。
集魚装置1の撤去方法としては、例えば、図8で示した拡張状態の集魚装置101の一対のロープ44の各一端を枠部110から外して連結具45と各ロープ44との連結を解除し、集魚装置1の枠部110の一辺110aとは反対の他辺110b側を生け簀70内の底面72c側へ沈める。このとき、枠部110の一端110a側はロープ82にて連結されているため水面A付近に維持される。これにより、集魚装置1は生け簀70の他の内側面72bに沿った吊り下げ状態となり、シート槽部30は萎み、養殖魚Fが生け簀70内へ移動する。その後、クレーン83のアームを短縮し、ロープ82を介して作業船80で集魚装置101を引っ張って生け簀70内から取り出す。
第2実施形態の集魚装置101は、図8中の二点鎖線で示すように、シート槽部30の底部(通水部32の頂部)にロープを介して錘33を取り付けてもよい。
これにより、シート槽部30が水中で逆円錐形を保ちやすくなる。また、シート槽部30から通水部32が省略された場合、シート槽部30の底部に錘33を設けることによって、集魚装置1を生け簀70内に設置する際、シート槽部30の底部側が錘33によって沈むため、シート槽部30内の空気がシート槽部30の開口部から外部へ抜けやすくなる。
1.第1および第2実施形態では、集魚装置のシート槽部が逆円錐形の場合を例示したが、シート槽部の中空形状は特に限定されるものではなく、例えば、逆円錐台形、円柱形、逆角錐形、逆角錐台形、角柱形、半球形等でもよい。例えば、養殖魚がヒラメの場合は、底が平坦な逆円錐台形、逆角錐台形、円柱形、角柱形等のシート槽部を採用してもよい。
また、底が平坦な逆円錐台形、逆角錐台形、円柱形、角柱形等の場合は、シート槽部の平坦な底部分の一部または全体を網にて形成してもよい。
2.第1および第2実施形態では、網部を有する集魚装置を例示したが、集魚装置は網部を有さないものであってもよい。この場合、枠部にシート槽部が直接取り付けられる。
3.第1および第2実施形態では、集魚装置の枠部が伸縮可能に構成された場合を例示したが、枠部は伸縮しないタイプでもよい。あるいは、枠部の複数箇所にヒンジ部を設け、運搬や保管等の際に集魚装置全体をコンパクトに折り畳むことができるようにしてもよい。
4.第1および第2実施形態において、網部を枠部に取り付ける締結部材は、網部を枠部から取り外せるものであってもよい。これにより、保管時や運搬時に集魚装置を分解してコンパクト化することができて便利となる。
また、通水部はシート槽部の底部または側部に設けられた可撓性チューブであってもよい。この場合、シート槽部の底部または側部に設けた孔に可撓性チューブを接続する。なお、シート槽部の底部には沈子を追加的に設けてもよい。この構成によっても、網状の通水部と同様の作用効果を得ることができる。
それに加え、可撓性チューブの先端を海面上に露出させておき、可撓性チューブ内に空気または海水を送り込むことが可能となる。空気を可撓性チューブ内に送り込む状況としては、例えば、出荷時や薬浴中、赤潮発生や重油漏洩からの一時避難時において、海水中の溶存酸素が低下するというような状況が想定される。また、海水を可撓性チューブ内に送り込む状況としては、例えば、出荷時、赤潮発生や重油漏洩からの一時避難時において、海水中の溶存酸素が低下するというような状況や、薬浴時に薬剤を過剰量添加してしまったというような状況が想定される。
この構成によれば、集魚装置の枠部の一辺である下端を生け簀の底面に沿って移動させる際、生け簀の底面の撓み形状に枠部の下端が追従することができるため、枠部の下端と生け簀の底面との間に隙間が形成されにくくなり、養殖魚が隙間をすり抜けて逃げることを抑制できると共に、集魚装置としての利便性が高まる。なお、枠部の一辺11a(または110a)の対向する辺も可撓性部材にて構成してもよく、それによりより利便性が高まる。
このように、集魚装置の枠部は、四角形に限定されるものではない。
本発明の養殖魚の集魚装置は、枠部と、前記枠部の内側領域に設けられたシート槽部とを備え、
前記シート槽部は、所定の中空立体形状の低通水性シート部を有し、
前記枠部が角形の生け簀内の水面付近に設置されて前記シート槽部が水中に浸漬した状態において、前記生け簀内に区画された前記シート槽部内に集魚可能である。
この構成によれば、薬浴処理時の養殖魚の衰弱を抑制することができることに加えて、養殖魚の薬浴処理作業を行う漁業者(特に、小規模漁業者)に対してコストおよび労力の負担軽減を図ることができる。
前記網部は、その一部が切り取られて形成された開口部を有し、
前記シート槽部は、前記網部の前記開口部の周縁に取り付けられているものであってもよい。
この構成によれば、比較的大きな生け簀(例えば、縦8m×横8m×深さ8m程度)に対応可能な集魚装置を得ることができる。なお、比較的大きな生け簀よりもサイズが小さな生け簀に対応する場合には、網部を省略し、枠部にシート槽部を直接設けた集魚装置を用いてもよい。
この構成によれば、パイプ材を短くすることによって集魚装置全体を小さくすることができるため、集魚装置の保管および運搬に好都合となる。
前記シート槽部が、逆円錐形、逆円錐台形、円柱形または逆角錐形の中空形状を有するものであってもよい。
この構成によれば、養殖魚がシート槽部の内周面に沿って泳ぐことができるため、養殖魚同士の衝突や養殖魚のシート槽部の内面への衝突を低減することができ養殖魚の衰弱をより抑制することができる。
この構成によれば、集魚装置の生け簀内へのセット時にシート槽部内に溜まった空気を通水部から外部へ容易に抜くことができる、生け簀内の底部からの集魚装置の引き上げが容易となる、生け簀内から集魚装置を撤去する際にシート槽部内に溜まった水を通水部から抜き、集魚装置を軽くして引き上げることができる等の利点が得られる。
この構成によれば、生け簀内での集魚時にシート槽部の底部を生け簀底部側へ迅速かつ容易に配置させることができる。
この構成によれば、枠部の延長枠部が生け簀の枠体の一辺に載せた状態で集魚装置を生け簀内にセットした後、枠部の延長枠部とは反対側の他の一辺のみをロープ等を用いて引き上げることにより集魚可能となるため、集魚装置の引き上げ作業が容易となる。
この構成によれば、生け簀内に設置した集魚装置の主枠部全体を水面付近に略水平状態で設置しやすくなるため、シート槽部全体を水中に浸漬して所定の中空形状に拡張させた状態に保持しやすくなると共に、枠部にかかる荷重を抑えることができる。
前記生け簀内の前記集魚装置における前記枠部の下端を、前記生け簀の前記一の内側面と対向する他の内側面の方へ前記生け簀の底面に沿って移動させる工程と、
前記生け簀内の水面付近まで前記枠部を上昇させ、それによって前記シート槽部内に前記生け簀内の魚を集める工程とを含む。
この集魚方法によれば、生け簀内を集魚装置のシート槽部によって区画した小区画域内に養殖魚を集める作業を少人数で行うことができ、漁業者に対して人手と手間と労力を軽減することができる。
この薬浴処理方法によれば、生け簀内を集魚装置のシート槽部にて区画した小区画域に魚病治療用の薬剤を添加することができるため、薬剤の使用量を低減することができる。また、本発明の集魚装置を用いることにより、薬浴処理後、養殖魚にストレスを与えることなく簡単かつ速やかに集魚装置のみを生け簀内から撤去することができる。
10、110 枠部
11 主枠部
11a、110a 下端(一辺)
12 延長枠部
20、120 網部
21、121 開口部
30 シート槽部
31 低通水性シート部
32 網
33 錘
70 生け簀
72a、72b 内側面
72c 底面
A 水面
D 薬剤
F 養殖魚
Claims (10)
- 枠部と、前記枠部の内側領域に設けられたシート槽部とを備え、
前記シート槽部は、所定の中空立体形状の低通水性シート部を有し、
前記枠部が角形の生け簀内の水面付近に設置されて前記シート槽部が水中に浸漬した状態において、前記シート槽部は前記枠部の開口よりも小さい開口を枠部近傍に有し、前記生け簀内に区画された前記前記シート槽部内に集魚可能であることを特徴とする養殖魚の集魚装置。 - 前記枠部の内側に張られた網部をさらに有し、
前記網部は、その一部が切り取られて形成された開口部を有し、
前記シート槽部は、前記網部の前記開口部の周縁に取り付けられている請求項1に記載の集魚装置。 - 前記枠部が、伸縮可能なパイプ材にて四角形に構成されている請求項1または2に記載の集魚装置。
- 前記網部の前記開口部が円形または多角形であり、
前記シート槽部が、逆円錐形、逆円錐台形、円柱形または逆角錐形の中空形状を有する請求項2に記載の集魚装置。 - 前記シート槽部は、通水部を底部または側部に有している請求項1~4のいずれか1つに記載の集魚装置。
- 前記シート槽部の底部に設けられた錘をさらに備えた請求項1~5のいずれか1つに記載の集魚装置。
- 前記枠部が、前記生け簀内の水面付近に設置される主枠部と、前記主枠部に連設されて前記生け簀の枠体の一辺に載り上げ可能な延長枠部とを有する請求項1~6のいずれか1つに記載の集魚装置。
- 前記延長枠部は、前記延長枠部が前記生け簀の前記枠体の前記一辺に載り上げたときに前記主枠部を前記生け簀内の水面と略平行な状態に支持可能とする折り曲げ部を、前記主枠部との連設部分に有する請求項7に記載の集魚装置。
- 請求項1~8のいずれか1つに記載の集魚装置の枠部を、角形の生け簀の一の内側面のみに沿わせた状態に設置する工程と、
前記生け簀内の前記集魚装置における前記枠部の下端を、前記生け簀の前記一の内側面と対向する他の内側面の方へ前記生け簀の底面に沿って移動させる工程と、
前記生け簀内の水面付近まで前記枠部を上昇させ、それによって前記シート槽部内に前記生け簀内の養殖魚を集める工程とを含む養殖魚の集魚方法。 - 請求項1~8のいずれか1つに記載の集魚装置の枠部を、角形の生け簀の一の内側面のみに沿わせた状態に設置する工程と、
前記生け簀内の前記集魚装置における前記枠部の下端を、前記生け簀の前記一の内側面と対向する他の内側面の方へ前記生け簀の底面に沿って移動させる工程と、
前記生け簀内の水面付近まで前記枠部を上昇させ、それによって前記シート槽部内に前記生け簀内の養殖魚を集める工程と、
前記シート槽部内の水中に魚病治療用の薬剤を添加する工程とを含む養殖魚の薬浴処理方法。
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