JPH0550819A - 車両のサスペンシヨン装置 - Google Patents

車両のサスペンシヨン装置

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JPH0550819A
JPH0550819A JP20955591A JP20955591A JPH0550819A JP H0550819 A JPH0550819 A JP H0550819A JP 20955591 A JP20955591 A JP 20955591A JP 20955591 A JP20955591 A JP 20955591A JP H0550819 A JPH0550819 A JP H0550819A
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turning
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Yasuma Nishiyama
安磨 西山
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一也 織田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】舵角要素によるロ―ル制御の特徴と、実横加速
度によるロ―ル制御の特長とを効果的に利用して、旋回
初期の回頭性の向上を図るとともに、ハンドル切戻し完
了時の揺れ戻しを確実に防止することを可能とする。 【構成】車両のばね上とばね下との間の流体シリンダの
流体室に流体を給排してサペンション特性を変更調整す
るサスペンション装置において、車速センサ24および
舵角センサ25からの両信号に基づいて演算した仮想横
加速度演算手段31からの仮想横加速度Dygと、横加
速度センサ26からの実際の実横加速度Ygとに基づい
て、旋回初期に仮想横加速度Dygによるロ―ル制御ゲ
インKdを実横加速度Ygによるロ―ル制御ゲインKg
よりも大きく補正する一方、切戻し時期に仮想横加速度
Dygのロ―ル制御ゲインKdを実横加速度Ygのロ―
ル制御ゲインKgよりも小さく補正する補正手段32を
備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両における車体(ば
ね上)と各車輪(ばね下)との間に架設された流体シリ
ンダの流体室に流体を給排してサスペンション特性を制
御するようにしたサスペンション装置に関し、特に、旋
回時における制御の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両のサスペンション装置とし
て、例えば特開昭63−130418号公報に開示され
るように、車体と各車輪との間にそれぞれ流体シリンダ
を配設し、該各流体シリンダの流体室に流体通路を介し
てポンプなどの圧力源を連通させるとともに、その各流
体通路の途中にシリンダ流体室に対する流体の給排を制
御する制御バルブをそれぞれ配設し、これらの制御バル
ブの制御により各シリンダの流体室に対し流体を給排し
てサスペンション特性を変更することにより、車体姿勢
の安定化と乗り心地向上とを両立できるようにした,い
わゆるアクティブ・コントロール・サスペンション装置
(ACS装置)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の如き
ACS装置において、各車輪に対応する制御バルブを作
動制御する場合、通常、各流体シリンダの内圧を検出す
る圧力センサと、各流体シリンダのシリンダストローク
量を検出するストロークセンサと、車体に作用する前後
方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車体に作
用する横方向の加速度を検出する横加速度センサと、各
車輪のばね下部に作用する上下方向の加速度を検出する
4つのばね下加速度センサとを備え、これらのセンサに
より検出された車両走行時などに車体に作用する荷重に
基づいて流体シリンダへの流体の給排を制御することが
行われる。
【0004】ところが、このような作動制御によれば、
旋回時にドライバーがハンドル操作によって旋回Rに対
する目標舵角を与えた際に車体に作用する横加速度の値
は小さい上、その横加速度値がフィードバック系の横加
速度センサ、圧力センサ及びストロークセンサなどの実
横加速度による信号によって検出されるため、ドライバ
ーがハンドル操作した旋回初期の姿勢制御(ロール制
御)に遅れが生じて回頭性が悪化することになる。
【0005】そこで、車速センサ及び舵角センサなどの
フィードフォワード系の舵角要素による信号に基づい
て、旋回時にドライバーがハンドル操作によって旋回R
に対する目標舵角を与えた際に車速に応じた仮想横加速
度値が演算されるようにし、この仮想横加速度値により
旋回時の姿勢制御を行って、ドライバーがハンドル操作
した旋回初期の姿勢制御の遅れを防止して、旋回初期の
回頭性を高めるようにすることが考えられる。
【0006】しかしながら、上記の如き舵角要素による
仮想横加速度値により旋回時の姿勢制御を行うもので
は、旋回終了時つまりハンドル切戻し時に旋回時の姿勢
制御が終了するため、ハンドル切戻し時に未だ車体に作
用している横加速度によって車体に揺れ戻しが発生する
ことになる。
【0007】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、舵角要素による姿勢制御
の特徴と、実横加速度による姿勢制御の特長とを効果的
に利用して、旋回初期の回頭性の向上を図るとともに、
ハンドル切戻し時の揺れ戻しを確実に防止しようとする
ものである。
【0008】また、旋回時のフロント側とリヤ側との間
において生じる,実横加速度の位相遅れに基づいて、ハ
ンドル切戻し時の揺れ戻しをより確実に防止することも
目的とする。
【0009】また、連続する旋回時などに走行安定性を
高め得る姿勢制御に拘束されるようにして、走行安定性
を高めつつ、姿勢制御の変更に伴う振動発生を防止する
ことも目的とする。
【0010】さらに、ハンドル切戻し完了後の走行安定
性の向上を図ることも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明が講じた解決手段は、車両のば
ね上とばね下との間に架設された伸縮可能な流体シリン
ダを配設し、該流体シリンダの流体室に対し流体を給排
してサペンション特性を変更調整するようにしたサスペ
ンション装置を前提とする。そして、車速を検出する車
速センサからの車速信号および舵角を検出する舵角セン
サからの信号に基づいて車体に作用する仮想横加速度値
を演算する仮想横加速度演算手段と、車体に作用する実
際の実横加速度値を検出する横加速度検出手段と、上記
仮想横加速度演算手段からの車体に作用する仮想横加速
度値、および横加速度検出手段からの実横加速度値に基
づいて、旋回時における姿勢制御を所定のゲインで行う
制御手段と、旋回初期に仮想横加速度値による制御手段
の姿勢制御のゲインを実横加速度値による制御手段の姿
勢制御のゲインよりも大きく補正する一方、切戻し時期
に仮想横加速度値による制御手段の姿勢制御のゲインを
実横加速度値による制御手段の姿勢制御のゲインよりも
小さく補正する補正手段とを備える構成としたものであ
る。
【0012】また、請求項2に係る発明が講じた解決手
段は、上記請求項1記載の発明に従属するものであっ
て、補正手段を、切戻し時期に仮想横加速度値による制
御手段の姿勢制御のゲインを実横加速度値による制御手
段の姿勢制御のゲインよりも小さく補正しているとき
に、後輪側の姿勢制御のゲインを前輪側の姿勢制御のゲ
インよりも大きく補正している。
【0013】また、請求項3に係る発明が講じた解決手
段は、上記請求項1記載の発明に従属するものであっ
て、補正手段を、操舵方向が反転する連続旋回時に仮想
横加速度値による制御手段の姿勢制御のゲインを実横加
速度値による制御手段の姿勢制御のゲインよりも小さい
まま保持するよう補正している。
【0014】また、請求項4に係る発明が講じた解決手
段は、上記請求項1記載の発明に従属するものであっ
て、補正手段を、切戻し完了後に制御手段の姿勢制御の
ゲインを初期値に戻す構成にしている。
【0015】
【作用】上記の構成により、請求項1に係る発明では、
車速センサ及び舵角センサからの両信号に基づいて演算
した仮想横加速度演算手段からの仮想横加速度値、およ
び横加速度検出手段からの実横加速度値に基づいて行う
旋回時の制御手段による姿勢制御の所定のゲインは、旋
回初期に、仮想横加速度値による姿勢制御のゲインが実
横加速度値による姿勢制御のゲインよりも大きくなるよ
うに補正手段で補正されているので、旋回初期には、車
速センサ及び舵角センサなどのフィードフォワード系の
舵角要素による信号に基づいて演算した仮想横加速度値
による姿勢制御のゲインでもって制御手段による姿勢制
御が行われ、旋回時にドライバーがハンドル操作によっ
て旋回Rに対する目標舵角を与えた旋回初期の姿勢制御
の遅れが防止されて、旋回初期の回頭性が高められる。
【0016】一方、旋回終了時つまりハンドル切戻し時
期の制御手段による姿勢制御の所定のゲインは、仮想横
加速度値による姿勢制御のゲインが実横加速度値による
姿勢制御のゲインよりも小さくなるように補正手段で補
正されているので、ハンドル切戻し時期に旋回時の姿勢
制御を終了させることなく、ハンドル切戻し時期に未だ
車体に作用している実横加速度を検出して制御手段によ
る姿勢制御を継続させて、ハンドル切戻し時期に車体に
発生する揺れ戻しが確実に防止される。
【0017】また、請求項2に係る発明では、旋回時の
制御手段による姿勢制御の所定のゲインは、切戻し時期
に実横加速度値による制御手段の姿勢制御のゲインを仮
想横加速度値による制御手段の姿勢制御のゲインよりも
小さく補正しているときに、後輪側の姿勢制御のゲイン
が前輪側の姿勢制御のゲインよりも大きくなるように補
正手段により補正されているので、旋回時のフロント側
とリヤ側との間において実横加速度の位相遅れ、つまり
フロント側の実横加速度がなくなってもリヤ側に未だ残
る実横加速度により発生するハンドル切戻し時期の車体
のリヤ側における揺れ戻しがより確実に防止される。
【0018】また、請求項3に係る発明では、旋回時の
制御手段による姿勢制御の所定のゲインは、操舵方向が
反転する連続旋回時に仮想横加速度値による姿勢制御の
ゲインを実横加速度値による姿勢制御のゲインよりも小
さいまま保持するように補正手段により補正されている
ので、2つ目の旋回時以降の旋回初期の回頭性を高めつ
つハンドル切戻し時期の揺れ戻しを確実に防止する姿勢
制御に拘束されることになり、連続する旋回時などに走
行安定性が高められるとともに、姿勢制御の変更に伴う
振動発生が防止される。
【0019】さらに、請求項4に係る発明では、旋回時
の制御手段による姿勢制御の所定のゲインは、切戻し完
了後に姿勢制御のゲインを初期値に戻すように補正手段
により補正されているので、ハンドル切戻し完了後、つ
まり旋回を終了した直線時の走行安定性が高められる。
【0020】
【発明の効果】以上の如く、請求項1の発明における車
両のサスペンション装置によれば、補正手段により、旋
回時の制御手段による姿勢制御の所定のゲインを、旋回
初期に仮想横加速度演算手段からの仮想横加速度値によ
る姿勢制御のゲインを実横加速度値による姿勢制御のゲ
インよりも大きくするよう補正する一方、ハンドル切戻
し時期に仮想横加速度値による姿勢制御のゲインを実横
加速度値による姿勢制御のゲインよりも小さくするよう
に補正したので、旋回初期におけるドライバーのハンド
ル操作による姿勢制御の遅れを防止して回頭性を向上さ
せることができるとともに、ハンドル切戻し時期に未だ
車体に作用している実横加速度に対する姿勢制御を継続
させて揺れ戻しを確実に防止することができる。
【0021】また、請求項2の発明における車両のサス
ペンション装置によれば、補正手段により、旋回時の制
御手段による姿勢制御の所定のゲインを、切戻し時期に
実横加速度値による制御手段の姿勢制御のゲインを仮想
横加速度値による制御手段の姿勢制御のゲインよりも小
さく補正しているときに後輪側の姿勢制御のゲインを前
輪側の姿勢制御のゲインよりも大きくするように補正し
たので、フロント側の実横加速度がなくなってもリヤ側
に未だ残る実横加速度に対するリヤ側の揺れ戻しをより
確実に防止することができる。
【0022】また、請求項3の発明における車両のサス
ペンション装置によれば、補正手段により、旋回時の制
御手段による姿勢制御の所定のゲインを、操舵方向が反
転する連続旋回時に仮想横加速度値による姿勢制御のゲ
インを実横加速度値による姿勢制御のゲインよりも小さ
いまま保持するように補正したので、2つ目の旋回時以
降の旋回初期の回頭性の向上を図りつつ、ハンドル切戻
し時期の揺れ戻しを確実に防止して、連続する旋回時な
どの走行安定性の向上を図るとともに、姿勢制御の変更
に伴う振動発生を効果的に防止することができる。
【0023】さらに、請求項4の発明における車両のサ
スペンション装置によれば、補正手段により、旋回時の
制御手段による姿勢制御の所定のゲインを、切戻し完了
後に初期値に戻すように補正したので、旋回を終了した
直線時での走行安定性を高めることができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0025】図1は本発明の一実施例に係るサスペンシ
ョン装置の全体構成を概略的に示す。図中、1は車両の
ばね上部分を構成する車体、2Fは前輪、2Rは後輪で
あって、これらの各車輪2F,2Rは車軸などの車輪支
持部材(図示せず)に支持されており、この各車輪2
F,2Rおよび車輪支持部材によりばね下部分が構成さ
れている。
【0026】上記車体1つまりばね上部分と、各車輪2
F,2Rを含むばね下部分との間には、伸縮可能な油圧
シリンダ3が架設されている。この各シリンダ3は、図
2に示すように、上記車輪支持部材(車輪2F,2R)
に連結固定されたシリンダボディ3aと、該シリンダボ
ディ3a内に往復動可能に嵌装され、シリンダボディ3
a内部を上側及び下側油圧室4,5に区画形成するピス
トン3bとを備えている。このピストン3bには上方に
延びるピストンロッド3cが一体結合され、該ピストン
ロッド3cの上端は、シリンダ3(上側油圧室4及び下
側油圧室5)の内圧を検出するための圧力センサ21
(圧力検出手段)を介して車体1に連結固定されてい
る。
【0027】また、上記各シリンダ3の上側及び下側油
圧室4,5はそれぞれオイル通路6,7を介して、図外
の車載エンジンにより駆動されるオイルポンプ8及びリ
ザーブタンク9に連通されている。上記オイル通路6,
7の途中には、シリンダ3の油圧室4,5に対するオイ
ル(流体)の給排を制御する,車輪2F,2Rと同数
(4つ)の制御バルブ10,…が配設されている。この
各制御バルブ10は3つの切換位置を有する比例制御弁
からなり、その切換位置を制御(PID制御)すること
で各シリンダ3の油圧室4,5に対するオイルの給排を
制御するものである。
【0028】上記各制御バルブ10は各車輪2F,2R
に対応して設けたCPU内蔵のコントローラ22によっ
て作動制御されるようになされている。上記コントロー
ラ22には、上記圧力センサ21の検出信号と、車輪2
F,2Rに対応するばね上およびばね下間のストローク
量x(シリンダ3の伸縮ストローク)を検出するストロ
ークセンサ23の検出信号とが入力されている。また、
上記コントローラ22には、フィードフォワード系の信
号、つまり車速センサ24から出力される車速の信号
と、舵角センサ25から出力されるハンドルの舵角信号
およびその速度信号と、横加速度検出手段としての横加
速度センサ26から出力される実際の実横加速度信号と
が入力されている。上記ストロークセンサ23は、車体
1に固定されたセンサ本体23aと、該本体23a内に
摺動可能に嵌挿された可動部23bとを有する。上記可
動部23bは対応するシリンダ3のボディ3aにロッド
23cを介して連結されており、シリンダ3の伸縮動作
に伴って変化する可動部23bの変位によりシリンダ3
の伸縮ストロークを検出する。そして、本実施例では、
上記ストロークセンサ23により、各車輪2F,2Rの
ばね下部の変位量が検出されている。
【0029】ここで、図3に示す各シリンダ3の油圧室
4,5に対するオイルの給排に関するコントローラ22
の制御を図4のフローチャートに沿って説明するが、先
ず、スタートしてステップSAでイニシャライズした
後、ステップSBにおいて、ストロークセンサ23から
の信号を計測するとともに、車両走行時などに車体1に
作用する全ての荷重を圧力センサ21により実圧力Pと
して計測する。
【0030】そして、ステップSCにおいて、圧力セン
サ21で計測した実圧力Pを基に基本ストロークxr
を、 xr=x0+(P0−P)/KB {x0:初期ストローク} {P0:初期圧力} {KB:ばね定数}により算出する。
【0031】次いで、ステップSDにおいて、車速セン
サ24からの車速信号および舵角センサ25からの舵角
信号に基づいて、車体1に作用する仮想横加速度Dyg
を算出し、ステップSEで車体に作用する実際の実横加
速度Ygを横加速度センサ26により計測する。
【0032】さらに、ステップSFにおいて、上記ステ
ップSDの仮想横加速度DygおよびステップSEの実
横加速度Ygを基に、車両走行中における舵角要素つま
り旋回時における舵角量およびその速度により生じるロ
ール角に応じた実横加速度Ygのロール制御ゲインKg
及び仮想横加速度Dygのロール制御ゲインKdをそれ
ぞれ設定する。その後、ステップSGにおいて、上記ス
テップSFのロール制御ゲインKg,Kdを基に車両走
行中の車体挙動時における補正ストロークx2を、 x2=−(P0−P)/KB+Kg×Yg+Kd×Dyg により算出する。
【0033】しかる後、ステップSHにおいて、上記ス
テップSCにより算出した基本ストロークxrと、上記
ステップSGにより算出した補正ストロークx2とから
目標ストロークx1を、 x1=xr+x2 により算出し、ステップSIでこの目標ストロークx1
に収束させるようPID制御した後、ステップSAに戻
ることを繰り返す。
【0034】よって、本実施例では、上記フローにおけ
るステップSDにより、車速センサ24からの車速信号
および舵角センサ25からの舵角信号に基づいて車体1
に作用する仮想横加速度Dygを算出(演算)する仮想
横加速度演算手段31が構成されている。また、上記ス
テップSFにより、旋回時における舵角量およびその速
度により生じるロール角に応じて設定した実横加速度Y
gのロール制御ゲインKg及び仮想横加速度Dygのロ
ール制御ゲインKdに基づいてコントローラ22により
行われる,旋回時の姿勢制御のゲインによりばね定数K
Bを変更する制御に加えて、旋回時における舵角量およ
びその速度により生じるロール角に応じた実横加速度Y
gのロール制御ゲインKg及び仮想横加速度Dygのロ
ール制御ゲインKdをそれぞれ補正する補正手段32が
構成されている。
【0035】次に、上記フローのステップSFにおける
車両走行中の旋回時の舵角量θHおよびその速度dθH
/dtにより生じるロール角に応じたロール制御ゲイン
Kg,Kdの補正について、図5に示すサブルーチンを
参照しながら説明すると、先ず、図5のステップSF1
において、フラグFがF=1であるか否かを判定する。
本実施例においては、操舵方向が左右に反転する連続旋
回時にフラグFがF=1に設定されるようになってお
り、したがって、旋回開始時はフラグFがF=0である
から、この判定結果はNOとなる。次いで、ステップS
F2において、旋回時の舵角速度dθH/dtの絶対値
|dθH/dt|がある程度急激な舵角速度dθH0/
dtよりも大きいか否かを判定し、その結果、YESの
ときは、ステップSF3において、ロール角に応じた,
実横加速度Ygのロール制御ゲインKgを1.7に、仮
想横加速度Dygのロール制御ゲインKdを0.3にそ
れぞれ設定する一方、NOのときは、ステップSF1に
戻ることを繰り返す。
【0036】次いで、ステップSF4において、舵角速
度dθH/dtの負号が反転したか否かを判定し、YE
Sのときは、旋回終了時期で切戻しが完了していると判
断して、ステップSF5に進む。そして、このステップ
SF5において、ロール角に応じた,前輪2F側のロー
ル制御ゲインKgF(実横加速度Yg)を0.4に、後
輪2R側のロール制御ゲインKgRを0.3に、前輪2
F側のロール制御ゲインKdF(仮想横加速度Dyg)
を1.6に、後輪2R側のロール制御ゲインKdRを
1.7にそれぞれ設定する一方、NOのときは、ステッ
プSF1に戻ることを繰り返す。
【0037】その後、ステップSF6において、旋回時
の舵角量θH及び舵角速度dθH/dtが共にほぼ0で
あるか否かを判定し、YESのときは、ハンドルが直進
位置に戻されて舵角速度dθH/dtもでていないハン
ドル切り戻し完了後の状態であると判断して、ステップ
SF7に進む。そして、このステップSF7において、
所定時間経過してからロール制御ゲインKg(KgF,
KgR)を1に、ロール制御ゲインKd(KdF,Kd
R)を1にそれぞれ設定つまり初期値に戻す一方、NO
のときは、ステップSF1に戻ることを繰り返す。この
場合、ロール制御ゲインKg,Kdを初期値に戻すハン
ドル切り戻し完了後からの所定時間は車速によって変更
される。
【0038】一方、上記ステップSF1の判定が、フラ
グFがF=1であるYESのときは、ステップSF8に
おいて、旋回時の舵角量θH及び舵角速度dθH/dt
が共にほぼ0であるか否かを判定し、YESのときは、
ステップSF9でフラグFをF=0にリセットした後、
ステップSF10において、同様に所定時間経過してか
らロール制御ゲインKg,Kdをそれぞれ1に設定(初
期値)する一方、NOのときはステップSF1に戻るこ
とを繰り返す。
【0039】次に、上記フローのステップSF1におけ
るフラグFの設定について、図6に示すサブルーチンを
参照しながら説明すると、先ず、図6のステップSFF
1において、旋回時の舵角速度dθH/dtの絶対値|
dθH/dt|がある程度急激な舵角速度dθH0/d
tよりも大きいか否かを判定し、その結果、YESのと
きは、ステップSFF2でタイマをスタートする。次い
で、ステップSFF3において、舵角速度dθH/dt
の負号の反転回数つまりハンドルの直進位置を左右旋回
に応じて何度通過したかをステップSFF4でタイムア
ップするまで積算する。そして、ステップSFF5にお
いて、この所定時間内における舵角速度dθH/dtの
負号の反転回数(ハンドル直進位置の通過回数)が大と
なる連続旋回時であるか否かを判定し、YESのとき
は、連続旋回時であると判断して、ステップSFF6で
フラグFをF=1に設定する一方、NOのときは、連続
旋回時でないと判断して、上記ステップSFF1の判定
がNOであるときと同様に、ステップSFF7でフラグ
FをF=0に設定する。
【0040】したがって、上記実施例では、車速センサ
24からの車速信号および舵角センサ25からの舵角信
号に基づいて算出した,仮想横加速度演算手段31から
の車体1に作用する仮想横加速度Dyg、および横加速
度センサ26により計測した車体に作用する実際の実横
加速度Ygに基づいて行う旋回時のコントロ―ラ22に
よるロ―ル制御ゲインKd,Kgは、操舵方向が左右に
反転する連続旋回時でない最初の旋回時において旋回時
の舵角速度dθH/dtの絶対値|dθH/dt|があ
る程度急激な舵角速度dθH0/dtよりも大きい旋回
初期に、仮想横加速度Dygによるロ―ル制御ゲインK
dが実横加速度Ygによるロ―ル制御ゲインKgよりも
大きくなるように補正手段32で補正、つまり仮想横加
速度Dygのロ―ル制御ゲインKdが1.7に、実横加
速度Ygのロ―ル制御ゲインKgが0.3にそれぞれ設
定されている。これにより、旋回初期には、車速センサ
24及び舵角センサ25などのフィードフォワード系の
舵角要素による信号に基づいて演算した仮想横加速度D
ygによるロ―ル制御ゲインKdでもってロ―ル制御が
行われ、旋回時にドライバーがハンドル操作によって旋
回Rに対する目標舵角を与えた旋回初期の姿勢制御の遅
れを防止して、旋回初期の回頭性の向上を図ることがで
きる。
【0041】一方、舵角速度dθH/dtの負号が反転
つまり旋回終了時期で切戻しが完了しているハンドル切
戻し時期における,コントロ―ラ22によるロ―ル制御
ゲインKd,Kgは、仮想横加速度Dygによるロ―ル
制御ゲインKdが実横加速度Ygによるロ―ル制御ゲイ
ンKgよりも小さくかつ後輪側のロ―ル制御ゲインKg
Rが前輪側のロ―ル制御ゲインKgFよりも大きくなる
ように補正手段32で補正、つまり前輪2F側のロール
制御ゲインKdF(仮想横加速度Dyg)が0.4に、
後輪2R側のロール制御ゲインKdRが0.3に、前輪
2F側のロール制御ゲインKgF(仮想横加速度Yg)
が1.6に、後輪2R側のロール制御ゲインKgRが
1.7にそれぞれ設定されている。これにより、ハンド
ル切戻し完了時期に旋回時のロ―ル制御を終了させるこ
となく、ハンドル切戻し時期に未だ車体に作用している
実横加速度Ygを検出してコントロ―ラ22によるロ―
ル制御を継続させつつ、旋回時のフロント側とリヤ側と
の間において実横加速度Ygの位相遅れ、つまりフロン
ト側の実横加速度Ygがなくなってもリヤ側に未だ残る
実横加速度Ygにより発生するハンドル切戻し時期の車
体のリヤ側の揺れ戻しを確実に防止することができる。
【0042】また、旋回時のコントロ―ラ22によるロ
―ル制御ゲインKd,Kgは、所定時間内における舵角
速度dθH/dtの負号の反転回数が大となる連続旋回
時であるときに、仮想横加速度Dygによるロ―ル制御
ゲインKdを実横加速度Ygによるロ―ル制御ゲインK
gよりも小さいまま保持するように補正手段32により
補正されているので、2つ目の旋回時以降の旋回初期の
回頭性の向上を図りつつ、ハンドル切戻し時期の揺れ戻
しを確実に防止する実横加速度Ygのロ―ル制御ゲイン
Kgに拘束されることになり、連続する旋回時などの走
行安定性の向上を図ることができるとともに、姿勢制御
の変更に伴う振動発生を効果的に防止することができ
る。
【0043】さらに、旋回時のコントロ―ラ22による
ロ―ル制御ゲインKd,Kgは、旋回時の舵角量θH及
び舵角速度dθH/dtが共にほぼ0である切戻し完了
後に姿勢制御のゲインを初期値に戻すように補正手段に
より補正、つまりそれぞれ1に設定(初期値)されるの
で、ハンドル切戻し完了後、つまり旋回を終了した直線
時の走行安定性を高めることができる。
【0044】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、その他種々の変形例を包含するものである。
例えば、上記実施例では、仮想横加速度演算手段31か
らの車体1に作用する仮想横加速度Dyg、および横加
速度センサ26からの実横加速度Ygに基づいて行う旋
回時のコントロ―ラ22によるロ―ル制御ゲインKd,
Kgを、操舵方向が左右に反転する連続旋回時でない最
初の旋回時において旋回時の舵角速度dθH/dtの絶
対値|dθH/dt|がある程度急激な舵角速度dθH
0/dtよりも大きい旋回初期に、仮想横加速度Dyg
によるロ―ル制御ゲインKdを実横加速度Ygによるロ
―ル制御ゲインKgよりも大きくなるように補正手段3
2で補正したが、連続旋回時であるその途中の旋回時に
舵角速度の絶対値がある程度急激な舵角速度よりも大き
い旋回初期に、仮想横加速度によるロ―ル制御ゲインが
実横加速度によるロ―ル制御ゲインよりも大きくなるよ
うに補正手段で補正されるようにしても良い。
【0045】また、上記実施例では、ハンドル切戻し時
期のコントロ―ラ22によるロ―ル制御ゲインKd,K
gを、仮想横加速度Dygによるロ―ル制御ゲインKd
が実横加速度Ygによるロ―ル制御ゲインKgよりも小
さくかつ後輪側のロ―ル制御ゲインKgRが前輪側のロ
―ル制御ゲインKgFよりも大きくなるように補正手段
32で補正したが、仮想横加速度によるロ―ル制御ゲイ
ンが実横加速度によるロ―ル制御ゲインよりも単に小さ
くなるように補正手段で補正されるようにしてもよい。
【0046】さらに、上記実施例では、旋回時の舵角量
θH及び舵角速度dθH/dtが共にほぼ0であるとき
に所定時間経過してからロール制御ゲインKg,Kdを
それぞれ1に設定するようにしたが、舵角速度が所定値
以下でかつ実横加速度が所定値以下のときに所定時間経
過してからロール制御ゲインがそれぞれ1に設定される
ようにしても良い。この場合、所定時間及び所定舵角速
度は、車速によって変更されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】サスペンション装置の全体構成を示す説明図で
ある。
【図2】制御系の構成を示すシステム図である。
【図3】制御系の構成をブロックで示す構成図である。
【図4】コントローラでの信号処理手順を示すフローチ
ャートである。
【図5】旋回時におけるロール制御ゲインの補正を示す
サブルーチンである。
【図6】フラグの設定を示すサブルーチンである。
【符号の説明】
1 車体 2F,2R 車輪 3 液圧シリンダ(流体シリンダ) 4,5 油圧室(流体室) 21 圧力センサ(圧力検出手段) 22 コントローラ(制御手段) 24 車速センサ 25 舵角センサ 26 横加速度センサ(横加速度検出手段) 31 仮想横加速度演算手段 32 補正手段 Yg 実横加速度 Dyg 仮想横加速度 Kd,Kg ロ―ル制御ゲイン(姿勢制御のゲイン)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のばね上とばね下との間に架設され
    た伸縮可能な流体シリンダを配設し、該流体シリンダの
    流体室に対し流体を給排してサペンション特性を変更調
    整するようにしたサスペンション装置において、 車速を検出する車速センサからの車速信号および舵角を
    検出する舵角センサからの信号に基づいて車体に作用す
    る仮想横加速度値を演算する仮想横加速度演算手段と、 車体に作用する実際の実横加速度値を検出する横加速度
    検出手段と、 上記仮想横加速度演算手段からの車体に作用する仮想横
    加速度値、および横加速度検出手段からの実横加速度値
    に基づいて、旋回時における姿勢制御を所定のゲインで
    行う制御手段と、 旋回初期に仮想横加速度値による制御手段の姿勢制御の
    ゲインを実横加速度値による制御手段の姿勢制御のゲイ
    ンよりも大きく補正する一方、切戻し時期に仮想横加速
    度値による制御手段の姿勢制御のゲインを実横加速度値
    による制御手段の姿勢制御のゲインよりも小さく補正す
    る補正手段とを備えたことを特徴とする車両のサスペン
    ション装置。
  2. 【請求項2】 補正手段は、切戻し時期に仮想横加速度
    値による制御手段の姿勢制御のゲインを実横加速度値に
    よる制御手段の姿勢制御のゲインよりも小さく補正して
    いるときに、後輪側の姿勢制御のゲインを前輪側の姿勢
    制御のゲインよりも大きく補正する請求項1記載の車両
    のサスペンション装置。
  3. 【請求項3】 補正手段は、操舵方向が反転する連続旋
    回時に仮想横加速度値による制御手段の姿勢制御のゲイ
    ンを実横加速度値による制御手段の姿勢制御のゲインよ
    りも小さいまま保持するよう補正する請求項1記載の車
    両のサスペンション装置。
  4. 【請求項4】 補正手段は、切戻し完了後に制御手段の
    姿勢制御のゲインを初期値に戻すものである請求項1記
    載の車両のサスペンション装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1661740A1 (en) 2004-11-30 2006-05-31 Aisin Seiki Kabushiki Kaisha Suspension system for vehicle
JP2011176907A (ja) * 2010-02-23 2011-09-08 Sanyo Denki Co Ltd モータの制御方法及び装置
WO2012111576A1 (ja) * 2011-02-17 2012-08-23 トヨタ自動車株式会社 車両状態量推定装置

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