JP2946969B2 - アクティブサスペンションの駆動方法 - Google Patents

アクティブサスペンションの駆動方法

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JP2946969B2
JP2946969B2 JP28835192A JP28835192A JP2946969B2 JP 2946969 B2 JP2946969 B2 JP 2946969B2 JP 28835192 A JP28835192 A JP 28835192A JP 28835192 A JP28835192 A JP 28835192A JP 2946969 B2 JP2946969 B2 JP 2946969B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクティブサスペンシ
ョンの駆動方法に関し、特に、変位センサ出力に基づい
て発生させた制御情報に基づいて、ばね上上下運動の抑
制のためのアクティブ制御を適正に行え、装置コストを
低減可能とするアクティブサスペンションの駆動方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のサスペンションにおいて、空
(スカイ)にフックでダンパを固定して車体と路面間の
振動伝達系を減らして車体の上下速度に比例した力を発
生させるスカイフックダンパ理論によるアクティブ制振
法を、電子制御により実現することが知られている。こ
の電子制御アクティブサスペンションシステムは、典型
的には、油圧源と油圧制御系とを含む油圧システムと、
これを駆動制御するためのコントローラとを備えてい
る。油圧源は、作動油を蓄えるためのリザーバタンク
と、作動油供給のためのオイルポンプと、油圧の脈動を
除去するためのポンプアキュムレータとからなる。油圧
制御系は、各種バルブを一体化したマルチバルブユニッ
トと、該ユニットから供給される油圧を蓄えるためのメ
インアキュムレータと、車体の上下速度を打ち消す力を
発生するためのアクチュエータと、コントローラ出力に
応動してアクチュエータに供給される作動油圧を制御す
るための圧力制御ユニットとで構成されている。
【0003】そして、スカイフックダンパ理論に基づく
アクティブ制御は、例えば、上記電子制御アクティブサ
スペンションシステムによるバウンス制御として実現さ
れている。このバウンス制御を行うべく、例えば、路面
からの上下入力により車体が上下にバウンスしたときに
発生する上下加速度を検出するためのセンサが3個また
は4個設けられる。そして、上下加速度センサの各々で
検出した上下加速度を積分することにより車体の上下方
向の絶対速度を求め、この絶対速度に応じて各アクチュ
エータによる発生力を制御することにより路面からの入
力を打ち消すようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、スカイ
フックダンパによるアクティブ制御を実現するため、従
来は、車体の上下加速度を検出するためのセンサを3個
または4個用いている。上下加速度センサが高価であ
り、また一般に、センサ配設数が増大するとセンサの装
着,センサ出力の温度特性補正及びセンサの故障に対処
するためのフェイルセイフシステムの構築などに、より
多くの配慮を要するので、3個又は4個の上下加速度セ
ンサを用いる従来のアクティブサスペンションはコスト
高である。その一方で、この種のアクティブ制御が適用
される自動車等には、通常、車高制御或は車体姿勢制御
に用いる車高センサ或はストロークセンサなどの変位セ
ンサが装備されている。しかしながら、アクティブ制御
の実行による車体と車輪との上下相対変位量の減少につ
れて変位センサの検出感度が低下するので、変位センサ
出力に従って適正なアクティブ制御を行うことには困難
がある。
【0005】そこで、本発明は、変位センサ出力に基づ
いて発生させた制御情報に基づいて、ばね上上下運動の
抑制のためのアクティブ制御を適正に行え、装置コスト
を低減可能とするアクティブサスペンションの駆動方法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、アクチュエータに対する作動媒体の給排を制御して
ばね上上下運動を抑制するアクティブサスペンションの
駆動方法において、本発明は、給排制御によるばね上上
下運動の減衰特性に適合した作動媒体給排量を表す複数
の制御パターンを予め設定し、ばね上とばね下との相対
変位量を検出するための変位センサからの出力を、位相
調整手段及び前記変位センサ出力に応じて相対変位速度
を演算するための相対変位速度演算手段の一方を介して
他方に入力することにより、制御情報を発生させ、前記
制御情報が表す相対変位速度に応じて選択した一つの制
御パターンに従って前記アクチュエータに関する給排制
御を行うことを特徴とする。
【0007】
【作用】ばね上とばね下との相対変位量を表す変位セン
サ出力に基づいて制御情報が発生され、次いで、予め設
定しておいた複数の制御パターンの中から制御情報に対
応する一つが選択される。そして、斯く選択した制御パ
ターンに従ってアクチュエータに関する給排制御が行わ
れ、これにより、給排制御によるばね上上下運動の減衰
特性に適合した量の作動媒体がアクチュエータに対して
給排される。給排制御開始後の相対変位量の減少によっ
て変位センサの検出感度が低下しても、制御パターンに
従って給排制御が継続して適正に行われ、これにより、
ばね上上下運動が抑制される。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例による駆動方法が適
用されるた空圧アクティブサスペンションシステムを説
明する。サスペンションシステムは、これが搭載される
4輪自動車の車高制御及び車体姿勢制御に加えて、車体
(ばね上)の上下振動に伴って搭乗者が感じるフワフワ
感を抑制するための、スカイフックダンパ理論に基づく
乗り心地制御を行うことを主に企図している。このた
め、サスペンションシステムは、自動車の4つの車輪の
夫々に設けたサスペンションユニットと、4つのサスペ
ンションユニットの空気ばね室への空気の供給及び排出
のための空気回路とを備え、空気回路に設けた各種バル
ブを開閉作動させて4つの空気ばね室への空気の給排を
制御して、夫々の空気ばね室の内圧を種々に変化可能に
している。又、サスペンションシステムは、乗り心地制
御のための制御情報を発生するための装置を備え、予め
設定した複数の制御パターンの中から制御情報に従って
選択した一つの制御パターンに従って給排気制御を適正
に行うようになっている。
【0009】詳しくは、図1に示すように、サスペンシ
ョンシステムは、プロセッサ,メモリ,入出力回路など
を有するコントロールユニット36を備えている。コン
トロールユニット36は、サスペンションシステムの制
御部として機能すると共に、自動車の各種作動部を駆動
制御する機能をも備え、メモリに内蔵の制御プログラム
に従って各種制御を平行して実行するようになってい
る。
【0010】又、サスペンションシステムは、自動車の
左前輪側,右前輪側,左後輪側および右後輪側に夫々設
けたサスペンションユニットFS1,FS2,RS1及
びRS2を備えている。4つのサスペンションユニット
は互いに同一構成で、以下の説明において、符号Sを付
して互いに区別せずに示し、又、符号FS1〜RS2を
付して区別して示す。
【0011】各サスペンションユニットSは、車体と車
輪との間に配され減衰力可変のショックアブソーバ1を
備えている。ショックアブソーバ1は、車輪側に取り付
けたシリンダと、その内部に摺動自在に嵌装されたピス
トンを有すると共に上端において車体側に装着されたピ
ストンロッド2とを含み、ピストンロッド2内に配設さ
れたコントロールロッド5を介してアクチュエータ6に
より弁5aを駆動して減衰力を調整するようになってい
る。
【0012】サスペンションユニットSは、ショックア
ブソーバ1と一体に設けた空気ばね室3を更に備えてい
る。空気ばね室3は、ショックアブソーバ1の上部にお
いてピストンロッド2と同軸に配され、その一部がベロ
ーズ4により形成されている。空気ばね室3は、ピスト
ンロッド2内に設けた通路2aを介して空気回路に連通
し、これにより空気ばね室3への空気の給排を行えるよ
うになっている。
【0013】サスペンションシステムの空気回路は、サ
スペンションユニットSに圧縮空気を供給するための高
圧リザーブタンク15aと、サスペンションユニットS
から排出された空気を受け入れるための低圧リザーブタ
ンク15bとを備えている。高圧リザーブタンク15a
に関連して、空気回路には、エアクリーナ12から取入
れた大気を圧縮するためのコンプレッサ11と、シリカ
ゲルなどの乾燥材が充填されたドライヤ13と、チェッ
クバルブ14とが設けられ、圧縮,乾燥された空気が高
圧リザーブタンク15aに蓄えられるようになってい
る。
【0014】空気回路は、吸入側及び吐出側が低圧及び
高圧リザーブタンク15b,15aに夫々接続されたリ
ターンポンプ16と、ポンプ電力の供給及び供給遮断の
ためのリターンポンプリレー17と、低圧リザーブタン
ク15bの内圧を検出するための低圧圧力スイッチ18
とを更に備え、低圧リザーブタンク15bの内圧を第1
所定圧力(例えば平方cmあたり0.6kg)以下に保
持するようにしている。即ち、低圧リザーブタンク15
bの内圧が第1所定圧力以上になると圧力スイッチ18
がオン作動し、このスイッチ作動に応動するコントロー
ルユニット36から送出される制御信号に応じてリター
ンポンプリレー17がオン作動してリターンポンプ16
が駆動する。又、圧力スイッチ18がオフ作動すると、
ポンプ16が駆動停止する。
【0015】又、高圧リザーブタンク15aの内圧を検
出するための高圧圧力スイッチ44と、コンプレッサ1
1への電力供給のためのコンプレッサリレー43とが設
けられ、高圧リザーブタンク15aの内圧を第2所定圧
力(例えば平方cm当り9.5kg)以上に保持するよ
うにしている。即ち、高圧リザーブタンク15aの内圧
が第2所定圧力以下であるときに圧力スイッチ44がオ
ン作動し、このスイッチ作動に応動するコントロールユ
ニット36から送出される制御信号に応じてコンプレッ
サリレー43がオン作動してコンプレッサ11が駆動さ
れる一方、圧力スイッチ44がオフ作動するとコンプレ
ッサ11が駆動停止する。但し、リターンポンプ16の
駆動中は、コンプレッサ11の駆動が禁止される。
【0016】空気回路の給気側管路は、高圧リザーブタ
ンク15aから給気流量制御バルブ19に延びている。
バルブ19は、オン作動時にオリフィス(図示略)を介
して少量の空気を流通させる一方、オフ作動時にオリフ
ィスおよび大径の通路(図示略)を介して多量の空気を
流通させるようになっている。給気側管路は、バルブ1
9の下流において2つに分岐している。バルブ19の下
流から前輪側サスペンションユニットFS1及びFS2
に至る一方の分岐管路には、フロント用給気ソレノイド
バルブ20及びチェックバルブ21が設けられ、チェッ
クバルブ21の下流において更に2つの副管路に分岐し
ている。一方の分岐副管路は、3ポート切換弁からなる
フロント左用ソレノイドバルブ22を介して左前輪サス
ペンションユニットFS1まで延び、又、他方の分岐副
管路は、バルブ22と同様のフロント右用ソレノイドバ
ルブ23を介して右前輪サスペンションユニットFS2
まで延びている。バルブ20は、オン作動時に空気の流
通を許容する一方で、オフ作動時に空気の流通を禁止
し、又、バルブ22,23は、オフ作動時に上述の給気
経路を連通させると共に後述の排気経路を遮断する一
方、オン作動時に給気経路を遮断しかつ排気経路を連通
させるようになっている。
【0017】同様に、バルブ19の下流から後輪側サス
ペンションユニットRS1及びRS2に至る他方の分岐
管路には、バルブ20と同様のリア用給気ソレノイドバ
ルブ24とチェックバルブ25とが設けられ、チェック
バルブ25の下流において更に2つの副管路に分岐して
いる。一方の分岐副管路はバルブ22,23と同様のリ
ア左用ソレノイドバルブ26を介して左後輪サスペンシ
ョンユニットRS1まで延び、他方の分岐副管路はバル
ブ26と同様のリア右用ソレノイドバルブ27を介して
右後輪サスペンションユニットRS2まで延びている。
【0018】空気回路の排気側管路は、サスペンション
ユニットFS1〜RS2からソレノイドバルブ22,2
3,26及び27まで夫々延び給気側管路と共通の副分
岐管路を含み、前輪側サスペンションユニットFS1,
FS2に対応する一対の副分岐管路は、ソレノイドバル
ブ22,23の下流において合流し、3ポート切換弁か
らなる排気方向切換バルブ28を介して低圧リザーブタ
ンク15bに接続されている。同様に、後輪側サスペン
ションユニットRS1,RS2に対応する一対の副分岐
管路は、ソレノイド26,27の下流において合流し、
バルブ28と同様の排気方向切換バルブ32を介して低
圧リザーブタンク15bに接続されている。
【0019】バルブ28,32の第1出口ポートは上述
のようにタンク15bに連通し、又、第2出口ポート
は、チェックバルブ29,33と、バルブ28,32の
第1出口ポートとタンク15bとを接続する管路よりも
小径の管路Lとを介して、ドライヤ13に接続されてい
る。バルブ28,32は、オン作動時に入口ポートと第
1出口ポートとが連通し、オフ作動時に入口ポートと第
2出口ポートとが連通するようになっている。そして、
ドライヤ13とエアクリーナ12間には、両要素12,
13と協働して空気回路の排気側の一部をなす排気ソレ
ノイド31とチェックバルブ46とが設けられ、空気を
エアクリーナ12を介して排出可能になっている。
【0020】更に、サスペンションシステムは、コント
ロールユニット36に接続される各種センサを有してい
る。即ち、自動車の前部右側サスペンションのロアアー
ム35と車体との間には前部車高を検出するためのセン
サ34Fが装着され、又、後部左側サスペンションのラ
テラルロッド37と車体との間には後部車高を検出する
ためのセンサ34Rが装着されている。好ましくは、自
動車の前部左側及び後部右側には、センサ34F及び3
4Rと同様の、図示しない車高センサが夫々配設されて
いる(以下、符号34を付して車高センサを互いに区別
せずに示す)。スピードメータには車速センサ38が内
蔵され、又、車体の適所には車体に作用する横方向加速
度および前後方向加速度を夫々検出するための横加速度
センサ52及び前後加速度センサ53が設けられてい
る。参照符号40は、ステアリングホイール41の回転
速度すなわち操舵角速度を検出するための操舵センサを
示し、42はアクセルペダルの踏み込み角を検出するた
めのアクセル開度センサを示す。
【0021】次に、サスペンションシステムの制御情報
発生装置を説明する。制御情報発生装置は、好ましくは
4つの車輪の夫々に対応し互いに同一構成の4つの速度
情報発生部を含み(図2に一つの速度情報発生部を符号
60を付して示す)、各々の速度情報発生部60は、乗
り心地制御のための、ばね上とばね下との上下相対速度
情報ZVを発生するようになっている。そして、速度情
報ZVが所定レベル以上でかつその周波数が所定周波数
領域に入るという所定条件が満たされていることがコン
トロールユニット36のプロセッサにより判別されたと
き、速度情報ZVが給排気制御情報として使用される。
即ち、本実施例の制御情報装置は、4つの速度情報発生
部60と上記判別機能を奏するプロセッサとからなる。
【0022】詳しくは、各々の速度情報発生部60は、
これに対応する車輪側でのばね上とばね下との相対変位
を検出するための変位センサ(ストロークセンサ)61
を有し、本実施例では、通常は車高制御に用いられる車
高センサ34を変位センサ61として使用している。速
度情報発生部60は、給排気制御上不要なセンサ出力成
分を、例えば車両が路面突起を乗り越えたときに発生す
るセンサ出力に含まれる高周波成分を除去するためのロ
ーパスフィルタ回路62と、該フィルタ回路出力を微分
するための微分回路63と、反転増幅回路からなり位相
調整によるゲイン低下を補償するためのゲイン調整回路
64とを更に含んでいる。そして、変位センサ61の出
力側はフィルタ回路62の入力側に接続され、フィルタ
回路62の出力側は微分回路63を介してゲイン調整回
路64に接続され、又、ゲイン調整回路64は、コント
ロールユニット36に接続されている。
【0023】フィルタ回路62は、ローパスフィルタ機
能に加えて、センサ出力の位相遅れ調整あるいは位相進
み調整を行う機能を備え、微分回路63と協働して、ば
ね上上下加速度の位相に相当する位相を有しばね上とば
ね下との相対速度を表す速度情報ZVを生成するように
なっている。換言すれば、フィルタ回路62を構成する
抵抗器の抵抗値およびコンデンサの容量は、フィルタ回
路62が斯かる位相調整機能を奏し得るように選択され
ている。一般には、広い周波数領域においてローパスフ
ィルタ機能と位相調整機能とを併有するフィルタ回路を
実現可能なように回路定数を選択することは困難であ
る。その一方で、本実施例の乗り心地制御が対象とする
ばね上上下振動周波数領域(ばね上共振周波数領域)に
おいては、両機能を備えたフィルタ回路62を実現可能
とするフィルタ回路定数の選択は可能である。
【0024】なお、位相遅れ調整を行うようにフィルタ
回路62を構成した場合には、速度情報ZVがばね上振
動と同一周期中ではなくて、次のばね上振動周期に発生
する。しかし、車体重量及びサスペンションのばね定数
により定まり実質上一定であるばね上共振周波数領域に
対応する振動検出対象領域では、ばね上振動周波数は時
間軸上で略一定であって時間経過に伴う変化を生じない
ので、変位センサ出力を位相遅れ調整して得た速度情報
ZVを乗り心地制御に用いても支障は生じない。
【0025】上述のように、速度情報ZVは、ばね上上
下加速度の位相に相当する位相を有している。これは、
乗り心地制御を図1に示す空圧アクティブサスペンショ
ンシステムによって実行する上で有用である。即ち、一
般に、空圧アクティブサスペンションは、安価な制御バ
ルブを使用できて装置コストを低減できると云う利点を
有する一方で、圧縮性を有する空気を作動媒体として用
いることから油圧アクティブサスペンションに比べて作
動応答性が乏しいと云う欠点がある。つまり、速度情報
ZVに応じてコントロールユニット36から送出される
制御信号に応動する各種バルブを介してアクチュエータ
(サスペンションユニットSの空気ばね室3)に対する
空気の給排が行われて、路面からの上下振動入力を打ち
消し可能とする力が実際に発生するまでに時間を要し、
力を好適なタイミングで発生することは一般には困難で
ある。一方、本実施例の速度情報ZVは、ばね上上下加
速度の位相に相当する位相を有し、即ち、ばね上上下速
度よりも位相が進んでいる。斯かる速度情報ZVによれ
ば、アクチュエータに対する給排気制御を早いタイミン
グで実行可能で、空圧システムの作動遅れを解消可能と
なる。
【0026】制御情報発生装置の微分回路63に関連し
て更に説明すれば、サスペンションユニットSにおける
フリクション等の影響で、車高センサ34の出力が、サ
スペンションストローク方向(より一般的には、ばね上
とばね下との相対変位の方向)に対する依存性を有する
ことがある。すなわち、センサ出力が、ストローク方向
によって異なる値をとることがある。従って、変位セン
サ61としての車高センサ34の出力、すなわちストロ
ーク情報を乗り心地制御のための制御情報として直接用
いると、不具合を来すおそれがある。その一方で、本実
施例では、変位センサ61としての車高センサ34の出
力を微分回路63において微分して速度情報を得てお
り、この速度情報は、サスペンションストローク変化
(より一般的には、ばね上とばね下との相対変位の変
化)を忠実に反映すると共にストローク方向に対する依
存性がないと云う点で制御情報としての適格性に富む。
【0027】以下、上記構成のアクティブサスペンショ
ンシステムの作動を説明する。上述のように、サスペン
ションシステムは、車高制御,車体姿勢制御およびスカ
イフックダンパによる乗り心地制御を行うようになって
いる。車高制御において、コントロールユニット36の
プロセッサは、車高センサ34F,34Rの出力に基づ
いて適正車高であるか否かを判別する。車高が適正車高
よりも低いとき、プロセッサの制御下で、フロント及び
リア給気ソレノイドバルブ20,24がオン作動して高
圧リザーブタンク15aからの圧縮空気がサスペンショ
ンユニットSの空気ばね室3に供給される。そして、適
正車高になると、バルブ20,24がオフ作動して空気
供給が停止される。一方、車高が適正車高よりも高いと
きは、ソレノイドバルブ22,23,26及び27なら
びに排気方向切換バルブ28,32がオン作動して、空
気ばね室3内の圧縮空気が低圧リザーブタンク15bへ
排出され、適正車高になると空気排出が停止される。な
お、車両が旋回状態にあるときなどには車高調整は禁止
される。
【0028】車体姿勢制御のうちロール制御において、
ステアリングホイール41が右に操舵されて車体が左へ
ロールしようとすると、コントロールユニット36は給
気ソレノイドバルブ20,24を設定時間にわたってオ
ン作動させると共に右輪側ソレノイドバルブ23,27
をオンさせ、更に、設定時間経過後に排気方向切換バル
ブ32をオンさせる。この結果、左側のサスペンション
ユニットFS1,RS1の空気ばね室3に高圧リザーブ
タンク15aから圧縮空気が設定量だけ供給され、又、
右側のサスペンションユニットFS2,RS2の空気ば
ね室3から低圧リザーブタンク15bに圧縮空気が設定
量だけ排出される。これにより、車体の左へのロールが
抑制される。その後、操舵センサ40の出力に基づいて
ステアリングホイール41が中立位置に戻されたことを
判別し、或は、横加速度センサ52の出力に基づいて横
方向加速度が減少したことを判別すると、コントロール
ユニット36のプロセッサは旋回走行から直進走行に移
行したと判別する。この判別直後、プロセッサは、ソレ
ノイドバルブ23,27をオフさせると共に排気方向切
換バルブ32をオフさせ、これにより、左右サスペンシ
ョンユニットの空気ばね室3の内圧が同一圧力になる。
【0029】ステアリングホイール41が左に操舵され
た場合、上述の場合に類似の手順で右側のサスペンショ
ンユニットFS2,RS2の空気ばね室3に圧縮空気が
供給され、又、左側のサスペンションユニットFS1,
RS1の空気ばね室3から圧縮空気が排出されて、車体
の右ロールが抑制される。アンチノーズダイブ制御で
は、ブレーキ作動などに起因して前後加速度センサ53
の出力に基づいて負の加速度が設定値以上になると、プ
ロセッサの制御下で、給気ソレノイドバルブ20が設定
時間にわたってオン作動すると共に後輪側のソレノイド
バルブ26,27がオン作動し、更に、設定時間経過後
に排気方向切換バルブ32がオンする。この結果、高圧
リザーブタンク15aから前輪側のサスペンションユニ
ットFS1,FS2に設定量の圧縮空気が供給され、
又、後輪側のサスペンションユニットRS1,RS2か
ら低圧リザーブタンク15bに設定量の圧縮空気が排出
され、これにより車体のノーズダイブが抑制される。そ
の後、負の加速度が減少すると、給気ソレノイドバルブ
22,23が設定時間にわたってオンすると共に後輪側
のソレノイドバルブ26,27がオフし、前輪側サスペ
ンションユニットFS1,FS2から圧縮空気が排出さ
れると共に後輪側サスペンションユニットRS1,RS
2に圧縮空気が供給されて、4つの空気ばね室3の内圧
が制御開始前の値に復帰する。
【0030】車両の発進加速時などにおける車体の前部
の浮き上がりを防止するためのアンチスクワット制御に
おいて、アクセル開度センサ43などの出力に基づいて
急加速状態を検出すると、コントロールユニット36の
プロセッサは、給気ソレノイドバルブ24を設定時間に
わたってオンさせると共に前輪側ソレノイドバルブ2
2,23をオンさせ、更に、設定時間経過後に排気方向
切換バルブ32をオンさせる。これにより、前輪側サス
ペンションユニットFS1,FS2から圧縮空気が排出
されると共に後輪側サスペンションユニットRS1,R
S2へ圧縮空気が供給される。急加速状態が解消される
と、給気ソレノイドバルブ20及び後輪側ソレノイドバ
ルブ26,27をオンさせかつ前輪側ソレノイドバルブ
22,23をオフさせ、4つの空気ばね室3の内圧を制
御開始前の状態に復帰させる。
【0031】以下、上述の空圧アクティブサスペンショ
ンシステムにおけるスカイフックダンパによる乗り心地
制御を説明する。ドライバが自動車のイグニッションキ
ー(図示略)をオン操作すると、コントロールユニット
36のプロセッサは、上述の車高制御及び車体姿勢制御
ならびに従来公知のエンジン制御を含む各種制御と平行
して周期的に実行される図3及び図4に示す乗り心地制
御を開始する。乗り心地制御において、好ましくは、制
御情報発生装置の4つの速度情報発生部からの速度情報
ZVが所定条件を満たすときに該速度情報ZVを制御情報
として用いて、4つのサスペンションユニットSの空気
ばね室3の内圧が別個独立に制御される。このため、図
3及び図4に示す制御手順が各サスペンションユニット
S毎に実行される。以下、説明の簡略化のため、一つの
サスペンションユニットについての制御手順を説明す
る。
【0032】乗り心地制御の各々の制御サイクルにおい
て、プロセッサは、先ず、プロセッサに内蔵のレジスタ
に記憶したフラグFの値が乗り心地制御における給排気
制御の実行中を表す「1」であるか否かを判別する(ス
テップS1)。フラグFの値が「1」でなければ、プロ
セッサは車速センサ38の出力を読み込み、車速Vが、
ドライバにフワフワ感を与え易い車速領域の下限を示す
所定車速V0たとえば70km/h以上であるか否かを
判別する(ステップS2)。車速Vが所定車速V0を下
回っておりフワフワ感が生じにくい車速領域にあると判
別すると、プロセッサは、実質的な制御を行うことなく
今回サイクルの乗り心地制御を終了する。
【0033】一方、車速Vが所定車速V0以上であると
ステップS2で判別すると、プロセッサは、乗り心地制
御以外の、給排気制御を伴うアクティブ制御(以下、ア
クティブ制御という)たとえば上述の車体姿勢制御が実
行されているか否かを判別する(ステップS3)。アク
ティブ制御が実行されていれば、実質的な制御を行うこ
となく今回サイクルでの乗り心地制御を終了する。即
ち、乗り心地制御よりも優先してアクティブ制御を行
う。
【0034】アクティブ制御の実行中ではないとステッ
プS3で判別すると、プロセッサは、速度情報発生部6
0の出力ZVを読み込み、ばね上とばね下との上下相対
速度の絶対値|ZV|が、フワフワ感の発生を示す所定
レベルZV0たとえば0.05m/s以上であるか否かを
判別する(ステップS4)。そして、上下相対速度の絶
対値|ZV|が所定レベルZV0以上であれば、上下相対
速度ZVの振動周波数fnを算出する(ステップS
5)。このため例えば、プロセッサは、図示しないタイ
マを用いて、速度情報発生部60の出力ZVが正又は負
のしきい値ZV(+)又はZV(-)を横切った時点から負又は
正のしきい値を横切る時点までの経過時間TINT(+)又は
TINT(-)を計時し、この計時時間の逆数の2分の1に等
しい値(1/(2TINT(+))又は1/(2TINT(-)))
を振動周波数fnとして算出する(図5参照)。
【0035】次に、プロセッサは、斯く算出した振動周
波数fnが、ばね上(車体)の共振周波数を含む所定周
波数領域の下限値fnL(例えば0.8Hz)以上でか
つ上限値fnH(例えば1.2Hz)以下であるか否か
を判別することにより、算出周波数fnが所定周波数領
域内に入っているか否かを判別する(ステップS6)。
制御情報ZVによって表されるばね上とばね下との相対
速度の振動周波数fnが車体の共振周波数近傍になく、
フワフワ感が生じにくいと判別すると、プロセッサは、
実質的な制御を行うことなく今回サイクルでの乗り心地
制御を終了する。
【0036】一方、上下相対速度ZVが所定レベル以上
であるとステップS4で判別しかつ相対速度ZVの周波
数fnが車体共振周波数近傍にあるとステップS6で判
別すると、プロセッサは、速度情報ZVを制御情報とし
て用いるべきと判別し、制御情報としての速度情報ZV
を監視してその最大値ZVmaxを検出する(ステップS
7)。次に、コントロールユニット36のメモリに格納
した給排気時間マップを参照して、プロセッサは、制御
情報ZVの最大値ZVmaxと給排気制御の実行回数Nとに
対応した給排気制御時間Tconを決定する(ステップS
8)。
【0037】給排気時間マップは図6に示すように設定
されている。即ち、給排気時間マップは、ステップS7
で検出した最大値ZVmaxの絶対値|ZVmax|の大きさに
より例えば3つに区分した第1,第2及び第3速度領域
に夫々対応しかつ給排気制御実行回数N対給排気時間T
con曲線で夫々表される3つの制御パターンP1,P2及
びP3を含んでいる。第1速度領域は絶対値|ZVmax|
が上記所定レベルZV0例えば0.05m/s以上でかつ
第1所定値ZV1例えば0.07m/s未満である領域で
あり、第2速度領域は絶対値が第1所定値ZV1以上でか
つ第2所定値ZV2例えば0.1m/s未満である領域で
あり、又、第3速度領域は絶対値が第2所定値ZV2以上
である領域である。そして、各々の制御パターンには、
4つの給排気制御時間Tcon1ないしTcon4がこの順序で
徐々に小さい値をとるように設定され、各該制御パター
ンに従って、給気制御と排気制御とを交互に2回づつ、
合計4回の給排気制御を行うようにしている。一般的に
云えば、制御パターンは、給排気制御によるばね上上下
運動の減衰特性に適合した適正な給排気量を表し、換言
すれば、給排気制御開始後の時間経過に応じた適正な給
排気量を表している。
【0038】ステップS8で給排気時間Tconを決定し
た後、プロセッサは、アクティブ制御が実行されている
か否かを再度判別し(ステップS9)、アクティブ制御
の実行中でなければ、フラグFが、乗り心地制御におけ
る給排気制御の実行中を表す値「1」であるか否かを更
に判別する(ステップS10)。ここでは給排気制御が
未だ実行されておらずフラグFの値は「1」でないの
で、フラグFを値「1」にセットし(ステップS1
1)、次いで、後で詳述する給排気制御を4つのサスペ
ンションユニットSについて別個独立に実行する(ステ
ップS12)。
【0039】今回サイクルでの給排気制御を終了する
と、制御実行回数Nを「1」だけインクリメントし(ス
テップS13)、インクリメント後の制御実行回数Nが
「4」以上であるか否かを判別する(ステップS1
4)。ここでは、給排気制御を開始したばかりなので、
一般にはステップS14での判別結果は否定になり、従
って、フラグFを給排気制御の終了を表す値「0」に変
更することなく今回サイクルでの乗り心地制御を終了す
る。
【0040】従って、次のサイクルのステップS1では
フラグFが値「1」であると判別されるので、ステップ
S1からステップS8に移行してステップS8以降の手
順を再度実行する。なお、ステップS10でフラグFの
値が「1」であると判別されるので、ステップS11を
経由することなくステップS10からステップS12の
給排気制御に直ちに移行する。その後の或るサイクルの
ステップS14で制御実行回数Nが「4」以上になり、
合計4回の給排気制御が終了したと判別すると、プロセ
ッサは、フラグFを給排気制御の終了を表す値「0」に
リセットすると共に制御実行回数Nを値「0」にリセッ
トして(ステップS15)、図3及び図4の乗り心地制
御を終了する。
【0041】以下、ステップS12の給排気制御を詳細
に説明する。一つのサスペンションユニットSに関連し
て云えば、給排気制御において、プロセッサは、速度情
報発生部60の出力ZVによって表されるばね上とばね
下との上下相対速度ZVが下向き(−)であると判別し
た場合には、ステップS8で決定した設定時間Tconに
わたって給気制御を行う(図5を参照)。この場合、プ
ロセッサは、給気ソレノイドバルブ20,24の対応す
る一つをオン作動させ、これにより、設定量の圧縮空気
が高圧リザーブタンク15aから対応する一つのサスペ
ンションユニットSの空気ばね室3に供給される。この
様にして空気ばね室3に圧縮空気が供給されると、空気
ばね室内圧が増大し、これにより、内圧増大分に対応す
る大きさでかつ下向きのばね上速度を打ち消す方向に作
用する力が発生する。なお、図5には、フィルタ回路6
2において位相進み補償が行われた場合での給気制御実
行タイミングを示す。又、上記一つのサスペンションユ
ニットSに関する給気制御時にその他の一つ以上のサス
ペンションユニットSについても給気制御が行われてい
れば、バルブ24がオン作動される場合があり、又、そ
の他の一つ以上のサスペンションユニットSについて排
気制御が行われていれば、ソレノイドバルブ22,2
3,26及び27ならびに排気方向切換バルブ28,3
2の対応するものがオン作動される。
【0042】一方、上下相対速度ZVが上向きであると
判別されると、上記一つのサスペンションユニットSに
関して、設定時間Tconにわたって排気制御が行われる
(図5)。即ち、ソレノイドバルブ22,23,26及
び27ならびに排気方向切換バルブ28,32の対応す
るものがオン作動し、これにより、空気ばね室3内の圧
縮空気が設定量だけ低圧リザーブタンク15bへ排出さ
れて、空気ばね室内圧が減少し、内圧減少分に対応する
大きさでかつ上向きのばね上速度を打ち消す方向に作用
する力が発生する。
【0043】上記給排気制御に関して図5を参照して更
に説明すれば、ばね上上下相対速度の最大値ZVmaxによ
り半周期後の給・排気時間が決定される。即ち、値ZVm
axが正であれば半周期後の給気時間が決定され、一方、
値ZVmaxが負であれば半周期後の排気時間が決定され
る。換言すれば、ばね上上下相対速度の最大値ZVmaxの
符号が負であれば当該最大値ZVmaxの発生時点からばね
上上下相対速度変化周期の略半分に相当する時間が経過
した時点で給気制御が開始され、最大値ZVmaxの符号が
正であれば当該最大値ZVmaxの発生時点から略半周期が
経過した時点で排気制御が開始される。
【0044】以上のようにして、路面からの振動入力が
ある毎に、給気制御及び排気制御が交互に例えば2回づ
つ、合計例えば4回の給排気制御が通常は実行され、ば
ね上上下振動が徐々に抑制される。そして、各々の給排
気制御において、給排気制御が行われる結果として徐々
に減衰するばね上上下振動に適合した量の空気が、サス
ペンションユニットSの空気ばね室3に供給され、或
は、空気ばね室3から排出される。この結果、給排気制
御の実行に伴うばね上とばね下との相対変位量が減少し
て変位センサ61の検出感度が低下しても、制御パター
ンに従って給排気制御が継続してかつ強制的に行われ
る。即ち、給排気制御開始時点からの時間経過に応じた
適正量の空気の供給又は排出が周期的に行われる。高速
道路走行などにあっては、路面からの振動入力が連続す
ることは少ないので、上述のように、振動入力時に選択
した制御パターンに従って振動入力時とそれ以降の給排
気制御量を予め決定して給排気制御を行っても、通常
は、殆どのばね上上下振動を抑制可能となる。
【0045】図7に示すように、上記一連のステップS
1ないしS11での信号処理,この信号処理の結果に応
じた空気回路のバルブの作動ならびにバルブ作動による
上記の力の発生には時間を要する。換言すれば、空圧サ
スペンションシステムには作動遅れがある。特に、作動
媒体が圧縮性のある空気であることから、油圧システム
に比べて空圧システムではバルブ作動が完了してから力
が実際に発生するまでに相当に長い時間を要する。そし
て、従来の油圧アクティブサスペンションシステムの場
合と同様にばね上速度に応じて力を発生させるとする
と、力発生におけるばね上速度に対する位相遅れは典型
的には約90度になり(図7及び図8)、力の発生タイ
ミングが不適正になる。
【0046】本実施例では、上述のように、従来システ
ムにおけるばね上速度に代えて、ばね上速度よりも90
度進んでいるばね上加速度の位相に相当する位相を有し
ばね上とばね下との相対上下速度を表す速度情報ZVに
基づいて給排気制御の要否を判別しかつ給排気時間を決
定している。即ち、給排気制御の要否判別を含む信号処
理が完了してから実際に力が発生するまでに時間を要す
る空圧システムにおいて、本実施例によれば、空圧シス
テムの作動遅れに相当する分だけ早いタイミングで給排
気制御が開始される。結果として、空圧システムの作動
遅れが実質的に解消され、ばね上速度を抑制するための
力が所要タイミングで発生する。
【0047】本発明は上記実施例に限定されず、種々の
変形が可能である。例えば、実施例では、ばね上上下速
度を抑制する空圧アクティブサスペンションについて説
明したが、本発明は、アクチュエータの給排制御を行う
ことによりばね上上下運動(上下移動位置,上下速度,
上下加速度)を抑制する、油圧サスペンションを含む各
種サスペンションに適用可能である。なお、作動応答性
の良い油圧サスペンションに本発明を適用した場合、制
御情報発生部60を変形しても良く、例えば微分回路6
3を除去可能である。
【0048】又、上記実施例では車高センサ34を変位
センサ61として用いたが、車高センサ34とは別に設
けたストロークセンサ等を使用可能である。更に、本実
施例の乗り心地制御では、各輪毎に設けた速度情報発生
部からの速度情報に基づいて各輪のアクチュエータ(サ
スペンションユニットSの空気ばね室3)に対する給排
制御を行うようにしたが、前輪側及び後輪側に一つづつ
配設した2つの変位センサに対応する2つの速度情報発
生部を設け、前輪側及び後輪側の各々における2つのア
クチュエータの給排制御を両アクチュエータに共通の一
つの速度情報発生部からの速度情報に従って統合的に行
うようにしても良い。この場合、センサ配設コストが更
に低減できる。
【0049】又、上記実施例では、振動入力がある毎に
合計4回の給排制御を行うようにしたが、給排制御回数
はこれに限定されず、例えば、合計2回の給排制御を行
っても良い。
【0050】
【発明の効果】上述のように、アクチュエータに対する
作動媒体の給排を制御してばね上上下運動を抑制するア
クティブサスペンションの駆動方法において、本発明
は、給排制御によるばね上上下運動の減衰特性に適合し
た作動媒体給排量を表す複数の制御パターンを予め設定
し、ばね上とばね下との相対変位量を検出するための変
位センサからの出力を、位相調整手段及び前記変位セン
サ出力に応じて相対変位速度を演算するための相対変位
速度演算手段の一方を介して他方に入力することによ
り、制御情報を発生させ、前記制御情報が表す相対変位
速度に応じて選択した一つの制御パターンに従って前記
アクチュエータに関する給排制御を行うようにしたの
で、変位センサ出力に基づいて発生させた制御情報に基
づいて、ばね上上下運動の抑制のためのアクティブ制御
を適正に行える。専用の又は特別なセンサが不要なの
で、装置コストを低減可能であり、又、アクティブ制御
システム全体の信頼性を向上できる。
【0051】また、変位センサからの出力を位相調整手
段及び相対変位速度演算手段の一方を介して他方に入力
することにより得た制御情報は、ばね上上下加速度の位
相に相当する位相を有しばね上とばね下との相対変位速
度に対応するものであり、ばね上とばね下との相対変位
の変化を忠実に表す一方で、相対変位方向に対する依存
がなく、給排制御を適正化できる。更に、圧縮性作動
媒体を使用し作動応答性に乏しいサスペンションにおい
ても、適正な給排制御を行える。制御情報(上下相対速
度)の周波数がばね上共振周波数領域に入るときに給排
制御を行う場合には、検出対象の振動の周波数領域を狭
くできるので、位相調整機能及びフィルタ機能の双方を
備えたフィルタ回路(位相調整手段)を実現し易くな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による制御情報発生装置が搭
載される空圧サスペンションシステムの要部を示す図で
ある。
【図2】本発明の一実施例の制御情報発生装置を示す概
略回路図である。
【図3】図1のコントロールユニットにより実行される
サスペンション駆動方法としての乗り心地制御の手順の
一部を示すフローチャートである。
【図4】乗り心地制御の手順の残部を示すフローチャー
トである。
【図5】乗り心地制御における、制御情報(上下相対速
度)ZVの振動周波数の算出方法、ならびに給排気制御
の実行タイミングを示すグラフである。
【図6】乗り心地制御に用いる給排気時間マップを例示
するグラフである。
【図7】空圧サスペンションシステムの作動遅れを示す
グラフである。
【図8】空圧サスペンションシステムの作動遅れを補償
可能な、ばね上加速度の位相に相当する位相を有する制
御情報ZVに基づく力の発生タイミングを示す図であ
る。
【符号の説明】
3 空気ばね室 15a 高圧リザーブタンク 15b 低圧リザーブタンク 20 給気ソレノイドバルブ 22,23,26,27 ソレノイドバルブ 28,32 排気方向切換バルブ 34F,34R 車高センサ 36 コントロールユニット 60 速度情報発生部 61 変位センサ 62 ローパスフィルタ回路(位相調整手段) 63 微分回路(相対変位速度演算手段) 64 ゲイン調整回路 FS1,FS2,RS1,RS2 サスペンションユニ
ット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早瀬 憲児 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 谷 正紀 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−80107(JP,A) 特開 平2−231212(JP,A) 特開 平3−276808(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60G 17/00 - 17/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクチュエータに対する作動媒体の給排
    を制御してばね上上下運動を抑制するアクティブサスペ
    ンションの駆動方法において、給排制御によるばね上上
    下運動の減衰特性に適合した作動媒体給排量を表す複数
    の制御パターンを予め設定し、ばね上とばね下との相対
    変位量を検出するための変位センサからの出力を、位相
    調整手段及び前記変位センサ出力に応じて相対変位速度
    を演算するための相対変位速度演算手段の一方を介して
    他方に入力することにより、制御情報を発生させ、前記
    制御情報が表す相対変位速度に応じて選択した一つの制
    御パターンに従って前記アクチュエータに関する給排制
    御を行うことを特徴とするアクティブサスペンションの
    駆動方法。
  2. 【請求項2】 前記制御情報が表す制御開始時の相対変
    位速度の最大値に基づいて前記複数の制御パターンの一
    つを選択することを特徴とする請求項1のアクティブサ
    スペンションの駆動方法。
  3. 【請求項3】 前記制御情報が表す相対変位速度の周波
    数が、前記ばね上の共振周波数を含む所定周波数領域に
    入っているときに、前記給排制御を行うことを特徴とす
    る請求項のアクティブサスペンションの駆動方法。
  4. 【請求項4】 圧縮性流体を前記作動媒体として用いる
    アクティブサスペンションに適用されることを特徴とす
    る請求項1、2又はのアクティブサスペンションの駆
    動方法。
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