JPH0550306A - 切削工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 超硬合金製などからなるシャンクの先端に鋼
などからなるヘッドを設けた構造の工具において、製作
を容易にするとともに、シャンクとヘッドの位相合わせ
を確実にすることを目的とする。 【構成】 シャンクとヘッドとのいずれか一方に凸部
を、他方に凹部を設けるとともに、これら凸部および凹
部の接合面を、シャンクの軸線方向に径が漸次変化する
テーパとし、あるいは、凹部を貫通して内側に突出する
ねじを設けることにより、両者の相対的な回転を規制す
るようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は切削工具にかかり、特
に、ヘッドとシャンクとの間をテーパ面を介して接続す
るようにした工具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図１６および図１７は切削工具の一従来
例を示すものである。この切削工具は、工作機械のチャ
ックなどに取り付けられるシャンク１と、このシャンク
１の先端に固着されたヘッド２とから構成され、このヘ
ッド２の先端には、スローアウエイチップ３がねじ４に
よって固定されている。そして、前記シャンク１はたわ
みやびびりを防止すべく剛性の高い超硬合金により形成
され、一方、前記ヘッド２は、加工性を考慮して鋼など
の材料により形成されている。また前記シャンク１とヘ
ッド２の間は、ろう付け部５を介して互いに接合されて
いる。

【０００３】また、図１８は他の従来例を示すもので、
この切削工具は、シャンク１１の先端に設けられたおね
じ１２をヘッド１３のめねじ（図示略）にねじ込むこと
により固定されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記一従来例の工具に
は、下記の問題があった。

【０００５】シャンク１とヘッド２とがろう付けされ
ているから、例えば、用途変更や、ヘッド部分が損傷し
た場合などに新たなヘッドに取り替えようとしても、そ
の取り替えが容易でない。

【０００６】シャンク１とヘッド２とは、周方向に正
確に位置決めして組み合わせなければならないが、この
位置決めを正確におこなうための配慮が何等なされてい
ないため、ろう付けに際しては、これらの位置決め、お
よび、この位置決め状態を維持するための治具が必要と
される。

【０００７】また、他の従来例の工具にあっては、上記
の問題を解決することができるものの、シャンク１１
とヘッド１２の固定がねじを介して行われているので、
ねじの公差により、両者を締め付けた状態における周方
向への相対位置が変化することとなるため（具体的に
は、シャンク１１をねじ込んだ際に、面取り部１４とス
ローアウエイチップ３との周方向への位置が特定されな
い）、旋削工具には適用することができず、転削工具に
しか適用することができないという問題がある。また、
びびりの防止などを目的としてシャンク１１を超硬合金
により形成した場合、シャンク１１へねじを形成する加
工が容易ではない。さらに、加工を容易にするため、ね
じ部分を鋼などによって別部材として構成して、超硬合
金製のシャンク１１へろう付けすることが考えられる
が、この場合、部品点数の増加や、加工工数の増加とい
った製造技術上の問題が生じる。

【０００８】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、ヘッドの交換が可能で、かつヘッドとシャンクとの
位置決め性の良い切削工具を得ることを目的とするもの
である。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本願の請求項１記載の発明は、刃物が取り付けられ
るヘッドと、工作機械に取り付けられるシャンクとから
構成された切削工具において、これらヘッドとシャンク
とのいずれか一方には、シャンクの軸線と平行な方向へ
突出する凸部が設けられ、いずれか他方には、前記凸部
に嵌合する凹部が設けられ、これらの凹凸部の外周に
は、前記軸線方向に漸次外径が変化するテーパ面がそれ
ぞれ設けられたものである。

【００１０】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明において、前記凸部と凹部との間には、両者の相対的
な回転を規制する規制手段が設けられたものである。

【００１１】請求項３記載の発明は、請求項１記載の発
明において、前記シャンクは凸部を有し、かつ、超硬合
金により形成されたものである。

【００１２】

【作用】請求項１の切削工具にあっては、ヘッドとシャ
ンクとがテーパ面を介して接続されているから、これら
の間に十分な固定力を作用させることができる。テーパ
面を介した嵌合は、円周方向への任意の位置で行うこと
ができる。

【００１３】請求項２の切削工具にあっては、規制手段
により、ヘッドとシャンクとの相対的な回転が規制され
る。

【００１４】請求項３の切削工具にあっては、凸部を有
する側の部材が超硬合金により形成されているので、工
具全体の内、剛性の高い部分が占める割合が高くなる。

【００１５】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。なお、図中従来例と共通の部分には同一符号を付
し、説明を簡略化する。

【００１６】図１ないし図５は本発明の第１実施例を示
すものである。

【００１７】シャンク１の先端には、凸部２０が設けら
れ、また、ヘッド２の基端部には凹部２１が設けられて
いる。これら凸部２０の外周および凹部２１の内周は先
端側へ向かって徐々に小径となる円錐状のテーパ面とな
っている。

【００１８】前記ヘッド２には、前記シャンク１の軸線
に対してαなる角度をもってねじ２２がねじ込まれてお
り、このねじ２２の先端はテーパ面の内側から突出する
ようになっている。また前記シャンク１のテーパ部の外
周は、一部が面取りされることにより、平面部２３が形
成されている。この平面部２３は、図６に示すように、
シャンク１の軸線に対して、β（β＝α−９０゜）なる
角度で傾斜している。また、前記平面部２３は、前記シ
ャンク１の円周方向へ向かって、面取り部１４と同一の
方向に設定されている。

【００１９】そして、シャンク１にヘッド２を取り付け
た状態では、前記ねじ２２の先端面２４が前記平面部２
３とほぼ平行に向い合った状態となり、この状態では、
図２に示すように、スローアウエイチップ３の面が、前
記シャンク１の面取り部１４に対して特定の角度θ（実
施例の場合θ＝９０゜）に位置決めされるようになって
いる。すなわち、前記ねじ２２が締め付けられることに
より、スローアウエイチップ３がシャンク１に対して所
定の角度で位置決めされ、シャンク１の回転方向に沿っ
てスローアウエイチップ３が特定の位相に設定される。

【００２０】なお符号２５は、シャンク１の先端の凸部
２０の最も大径の部分とほぼ同径かあるいは僅かに小径
に形成されたぬすみ部であり、このぬすみ部２５の存在
により、前記テーパ面の接触が他の部分の接触によって
妨げられることのないように配慮されている。

【００２１】以上のように構成された切削工具は、以下
のような手順で一体に組み立てられる。

【００２２】ねじ２２を凹部２１の内面から突出しな
い位置まで引き込ませておく。

【００２３】シャンク１とヘッド２とを円周方向にほ
ぼ位置合わせし、図４に矢印で示すように、凹部２１へ
凸部２０を挿入する。

【００２４】凸部２０と凹部２１とのテーパ面が互い
に僅かに接触する程度（これらの相対回転が妨げられな
い程度）にまで挿入する。

【００２５】ねじ２２をねじ込んで凹部２１内へ徐々
に突出させると、ねじ２２の先端面２４が平面部２３に
密着し、これに伴って、シャンク１とヘッド２とが周方
向へ位置決めされ、スローアウエイチップ３がシャンク
１の面取り部１４に対して９０°をなす位置に位置決め
されるとともに、ヘッド２がシャンク１に固定される。

【００２６】実施例の場合、凸部２５の根本の部分にぬ
すみ部２５が形成されているので、ヘッド２とシャンク
１との間に間隔が確保される。また、実施例では、ねじ
２２の角度αが９０°以上に設定されているので、先端
面２４と平面部２３との接触によって、シャンク１とヘ
ッド２との周方向への位置決めのみならず、ヘッド２の
抜けをも防止することができる。

【００２７】図６は第２実施例を示すもので、この実施
例では、前記ねじ２２の角度αが９０°に設定されてい
る。この角度に設定した場合、ねじ２２は、周方向への
位置決め作用のみを行う。

【００２８】図７は第３実施例を示すものである。この
実施例の工具は、治具ボーラバイトのような、機能上ス
ローアウエイチップ３をシャンク１に対して特定の位相
に位置決めする必要のない工具に適用されるもので、前
記ねじ２２および平面部２３が省略されている。この第
３実施例にあっては、凸部２０と凹部２１とのテーパ面
が互いに接触することによる嵌合力により、ヘッド２が
シャンク１に固定されるようになっている。

【００２９】さらに、図８ないし図１０は本発明の第４
実施例を示すものである。

【００３０】この実施例は、前記第１実施例、あるいは
第２実施例で使用されていたねじを用いることなくヘッ
ドをシャンクに固定する場合の構造を示すものである。
シャンク１の凸部２０の先端には位置決め突起３０が設
けられており、この位置決め突起３０の上下の面３０
ａ，３０ｂは、面取り部１４と平行な平面状に形成され
ている。またヘッド２の凹部２１の端部には、前記位置
決め突起３０が挿入される位置決め穴３１が設けられて
おり、この位置決め穴３１は、前記位置決め突起３０に
対してヘッド２を特定の角度（実施例ではスローアウェ
イチップ３が面取り部１４と平行になる角度）となる位
置に設けられている。また位置決め穴３１の高さ（上下
の平面３１ａ，３１ｂの間の距離）ｔ’は、前記平面３
０ａ，３０ｂ間の距離ｔに対して僅かに大きく設定さ
れ、両側の部分は半円状に形成されている。さらに、穴
３１の深さは、前記突起３０の突出量よりも十分に大き
くされている。すなわち、突起３０と穴３１とは、回転
方向への移動を規制し、それ以外の方向、特に軸線方向
への移動を規制することのないよう配慮されている。

【００３１】この第４実施例では、前記ヘッド２にシャ
ンク１を挿入すると、穴３１に突起３０が挿入されるこ
とによってスローアウエイチップが所定の位相に設定さ
れ、その後、凸部２０と凹部２１とのテーパ面の嵌合に
よって両者が固定される。

【００３２】図１１ないし図１３は本発明の第５実施例
を示すものである。この実施例は、前記第２実施例のも
のにおいて、シャンク１の凸部２０に溝部３２を設け、
この溝部３２にねじ２２’を挿入するようにしたもので
ある。このねじ２２’の先端には、ねじ部より小径に形
成された突出部３３が形成され、さらに、この突出部３
３の先端が前記第１実施例などのと同様に平面状の先端
面２４となっている。また前記溝部３２の底面３２ａ
は、シャンク１の面取り部１４とほぼ平行な平面状をな
している。したがって、ねじ２２を挿入すると、ねじ２
２の移動が溝部３２の内側の側面３２ａに当接すること
により制限されるため、ヘッド２のシャンク１に対する
回転が規制され、その結果位相が一定に決められる。な
お突出部３３の外径ｈは、シャンクの溝３２の幅ｈ’に
対して僅かに小さく設定されている。

【００３３】この第５実施例においても、シャンク１を
ヘッド２へ挿入してねじ２２’を締め込むことにより両
者が所定の位相に設定された状態で固定される。

【００３４】また、上記実施例では、シャンク１の凸部
２０の基端部にぬすみ部２５を設けるようにしたが、こ
れに代えて、図１４の第６実施例に示すように、シャン
ク１の凸部２０の長さをヘッド２の凹部２１の長さより
十分に大きくして、テーパ面の接触を確実にするように
してもよい。

【００３５】さらに、図１５に示す本発明の第７実施例
のように、本願発明をボールエンドミルとしても用いる
こともでき、この場合、前記各実施例と共通のシャンク
１を利用して、ヘッド３４、および、このヘッド３４に
取り付けられるスローアウエイチップのみを変更すれば
よい。

【００３６】なお、上記実施例ではシャンクに対するヘ
ッドの固定（抜け止め）をテーパ面相互の接触により、
あるいは、ねじの締め付け力により、さらには機械的な
係合により確保するようにしたが、これら各方式は、工
具の切削条件（要求される切削力）に応じて適宜選択す
ればよい。

【００３７】また、上記各実施例では、シャンク側に凸
部を設け、ヘッド側に凹部を設けたが、これとは逆に、
シャンク側に凹部をヘッド側に凸部を設けるようにして
もよい。

【００３８】

【発明の効果】以上の説明で明かなように、本願の請求
項１記載の発明は、刃物が取り付けられるヘッドと、工
作機械に取り付けられるシャンクとから構成された切削
工具において、これらヘッドとシャンクとのいずれか一
方には、シャンクの軸線と平行な方向へ突出する凸部が
設けられ、いずれか他方には、前記凸部に嵌合する凹部
が設けられ、これらの凹凸部の外周には、前記軸線方向
に漸次外径が変化するテーパ面がそれぞれ設けられたも
のであるから、シャンクとヘッドとが着脱可能に結合さ
れ、したがって、破損、用途変更などに対応して容易に
ヘッドを交換することができる。また、比較的単純な形
状のシャンク部分を比較的複雑な形状のヘッド部分と別
体にしたから、シャンク部分が超硬合金のような硬質材
料で形成されている場合にも、放電加工などの特殊な加
工を必要とせずに（たとえば粉末成形とわずかな研削加
工のみで）容易に製作することができる。

【００３９】また、請求項２記載の発明は、前記凸部と
凹部との間にヘッドとシャンクとの相対的な回転を規制
する規制手段を設けたものであるから、両者を特定の位
相で位置決めすることができ、したがって、ボーリング
バー、バイトなどのような、シャンクと刃先との位相袷
合わせが必要な工具にも適用することができる。

【００４０】さらに、請求項３記載の発明は、シャンク
側に凸部を設けるともに、ヘッド側に凹部を設けた構造
としたから、シャンク側を超鋼合金により形成した場
合、工具全体で剛性の高い部材が占める割合が高くな
り、全体として、工具の剛性を高くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の平面図である。

【図２】図１の工具の左側面図である。

【図３】図１の工具の右側面図である。

【図４】図１の工具のヘッドとシャンクとを分解した状
態の正面図である。。

【図５】図４に示す部分を組み立てた状態における縦断
面図である。

【図６】本発明の第２実施例における、ヘッドとシャン
クとの組立状態の縦断面図である。

【図７】本発明の第３実施例における、ヘッドとシャン
クとの組立状態を示す縦断面図である。

【図８】本発明の第４実施例の要部の縦断面図である。

【図９】図８に示すヘッドの矢印イ方向の矢視図であ
る。

【図１０】図８に示すシャンクの矢印ロ方向の矢視図で
ある。

【図１１】本発明の第５実施例の要部の縦断面図であ
る。

【図１２】図１１に示すヘッドの矢印ハ方向の矢視図で
ある。

【図１３】図１１に示すヘッドの矢印ニ方向の矢視図で
ある。

【図１４】本発明の第６実施例の要部の平面図である。

【図１５】本発明の第７実施例の要部の平面図である。

【図１６】切削工具の一従来例の平面図である。

【図１７】図１６の工具の左側面図である。

【図１８】切削工具の他の従来例のシャンクおよびヘッ
ドの分解状態の平面図である。

【符号の説明】

１ シャンク ２ ヘッド ３ スローアウエイチップ ２０ 凸部 ２１ 凹部 ２２ ねじ ２３ 平面部 ２４ 先端面 ２５ ぬすみ部 ３０ 位置決め突起 ３１ 位置決め穴 ３２ 溝部 ３３ 突出部 ３４ ヘッド

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 刃物が取り付けられるヘッドと、工作機
   械に支持されるシャンクとから構成された切削工具にお
   いて、これらヘッドとシャンクとのいずれか一方には、
   シャンクの軸線と平行な方向へ突出する凸部が設けら
   れ、いずれか他方には、前記凸部に嵌合する凹部が設け
   られ、これらの凹凸部の外周には、前記軸線方向に漸次
   外径が変化するテーパ面がそれぞれ設けられたことを特
   徴とする切削工具。
2. 【請求項２】 前記凸部と凹部との間には、両者の相対
   的な回転を規制する規制手段が設けられたことを特徴と
   する請求項１記載の切削工具。
3. 【請求項３】 前記シャンクは凸部を有し、かつ、超硬
   合金により形成されてなることを特徴とする請求項１記
   載の切削工具。