JPH0550177U - ディスクロータ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホイールハブの軸線に対して、摺動面ディス
クの倒れが生ぜず、ジャダー，シミー等を発生すること
の無いディスクロータ装置を提供することを目的として
いる。 【構成】 摺動面ディスク４の取付端面部に穿設されて
いるハブボルト嵌入孔の開口周縁と、ホイールハブのフ
ランジ部の取付面に穿設されているハブボルト固定孔の
開口周縁とのいずれか一方の開口周縁にザグリ溝を周設
しておき、摺動面ディスクとホイールハブとを一体に固
定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両のブレーキ装置に用いられるディスクロータ装置の改良に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

従来のブレーキ装置に用いられるディスクロータは、相対峙するアウタとイン ナとの両摺動面ディスクが放射方向に設けられた多数のリブで一体に結合されて いるいわゆるベンチレーテッドタイプディスクロータであっても、またアウタと インナとの両摺動面ディスクが一枚板で形成されているいわゆるソリッドタイプ ディスクロータであっても、いずれも、図４に示される構造でホイールハブに固 定されている。

【０００３】 すなわち、図４に示す例では、アウタとインナとの両摺動面ディスクＡ，Ｂよ りなる摺動面ディスクＣの内周端Ｄから突設されている車両への取付用筒状部Ｅ の取付端面部Ｆが、ホイールハブＧのフランジ部Ｈの取付面Ｉに密接させられ、 フランジ部Ｈの円周方向複数箇所に固定されているハブボルトＪとナットＫとに より、ロードホイールＬと共に固定されている。

【０００４】 前述のハブボルトＪは、図５に示されるごとく、ホイールハブＧのフランジ部 Ｈに、円周方向均等間隔を存して４個あるいは５個穿設されているハブボルト固 定孔Ｍ内にプレス加工で圧入され、セレーション加工部Ｎでフランジ部Ｈに強固 に食い込み、結合され、該フランジ部Ｈの取付面Ｉ側へネジ部０が突出させられ ている。

【０００５】 ハブボルトＪがハブボルト固定孔Ｍ内へプレス加工で圧入され、セレーション 加工部Ｎがハブボルト固定孔Ｍの内周面に食い込む結果、取付面Ｉにおけるハブ ボルトＪの基部周縁には、歪によって高さ０．０２ｍｍ〜０．０３ｍｍ程度のバ リ状の盛肉部Ｐが形成され、完全な除去は不可能となっている。

【０００６】 前述の盛肉部Ｐの形状，大きさ等は、４箇所あるいは５箇所の各ハブボルト固 定孔ごとに異なって現出する。

【０００７】 図５に示されるごとき盛肉部Ｐが存するホイールハブＧのフランジ部Ｈに、摺 動面ディスクＣをハブボルトＪで固定すると、アウタ摺動面ディスクＡの摺動面 Ｑおよびインナ摺動面ディスクＢの摺動面Ｒに、外周縁で、垂直面に対し、約０ ．０５ｍｍ程度の倒れが生じ、しかもその倒れの方向は、ホイールハブＧの個々 の製作精度によって種々変化し、一定性が無い。

【０００８】 摺動面Ｑ，Ｒに前述のごとき倒れが存するとディスクパッドを取り付けた後の 車両制動時に、ジャダーやシミーが発生し、車両の運転性能，居住性を著しく損 ねる。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、摺動面ディスクがホイールハブにハブボルトで固定されているにも 拘らず、摺動面ディスクの摺動面に倒れが生ぜず、従って、ジャダー，シミー等 を発生させることがなく、良好なブレーキ性能を維持できるディスクロータ装置 を提供することを課題としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

前述の課題を解決するため、本考案は、摺動面ディスクの内周端から突設され ている車両への取付用筒状部の取付端面部に複数のハブボルト嵌入孔が穿設され 、該嵌入孔に、ホイールハブのフランジ部のハブボルト固定孔に固定されている ハブボルトが嵌入されて前記取付端面部と前記フランジ部の取付面とが密接，固 定されているディスクロータ装置おいて、前記取付用筒状部の取付端面部のハブ ボルト嵌入孔の開口周縁と、前記ホイールハブのフランジ部の取付面のハブボル ト固定孔の開口周縁とのいずれか一方にザグリ溝が周設されているという構成を 採用している。

【００１１】

【作用】

本考案によると、取付用円筒状部の取付端面部のハブボルト嵌入孔の開口周縁 か、ホイールハブのフランジ部の取付面のハブボルト固定孔の開口周縁かのいず れか一方に、ザグリ溝が周設されているので、ホイールハブのフランジ部のハブ ボルト固定孔に、プレス加工でハブボルトを圧入することにより、ホイールハブ のフランジ部の取付面におけるハブボルトの基部周縁に、歪によってバリ状の盛 肉部が形成されても、この盛肉部は、前記ザグリ溝内に納まり、取付用筒状部の 取付端面部とホイールハブのフランジ部の取付面との密接を阻害することはなく 、摺動面ディスクの摺動面は倒れを生ぜず、設計通りの正しい姿勢に維持され、 所期のブレーキ性能を発揮する。

【００１２】

【実施例】

図１および図２は第１の実施例を示しており、アウタ摺動面ディスク１とイン ナ摺動面ディスク２とが、半径方向へ放射状に設けられた複数のリブ３によって 結合されて摺動面ディスク４を形成しているベンチレーテッドタイプディスクロ ータに適用した例である。

【００１３】 摺動面ディスク４の内周端５からは車両への取付用筒状部６が突設され、その 取付端面部７には円周方向均等配置で、通常４個または５個のハブボルト嵌入孔 ８が穿設されている。

【００１４】 図示例では４個のハブボルト嵌入孔８が形成されており、各ハブボルト嵌入孔 ８の、取付端面部７における開口周縁には、ザグリ溝９が周設されており、ザグ リ溝９の径および深さは、ディスクロータ装置の性能や大きさによって適宜選定 されるが、深さは通常約０．５ｍｍ程度とされる。

【００１５】 摺動面ディスク４が固定されるホイールハブ１０のフランジ部１１には、前記 摺動面ディスク４のハブボルト嵌入孔８に対応してハブボルト固定孔１２が穿設 されている。

【００１６】 前記フランジ部１１は、取付面１３において、摺動面ディスク４の取付端面７ に密接させられ、従来品と同じく、ハブボルト固定孔１２にプレス加工で圧入さ れたハブボルト１４とナット１５とによりホイールハブ１０と摺動面ディスク４ とが固定されている。

【００１７】 図１中符号１６はロードホイールであり、他の諸構造の図示は省略してある。

【００１８】 図１および図２に示す実施例では、ホイールハブ１０の取付面１３におけるハ ブボルト１４の基部周縁に形成されるバリ状の盛肉部は、摺動面ディスク４の取 付端面部７における前記ハブボルト嵌入孔８の開口周縁に形成されているザグリ 溝９内に位置し、取付端面部７に当接することがないので、ホイールハブ１０に 摺動面ディスク４を固定した後において摺動面ディスクに倒れを生ずることはな い。

【００１９】 図３は、アウタ摺動面１７とインナ摺動面１８とが１枚の摺動面ディスク１９ の両面に形成されているソリッドタイプディスクロータに本考案を適用した第２ の実施例を示している。

【００２０】 図３に示す実施例では、ホイールハブ２０のフランジ部２１に穿設されている ハブボルト固定孔２２の取付面２３側の開口周縁にザグリ溝２４が周設されてい る。

【００２１】 この実施例では、ハブボルト固定孔２２へハブボルトを圧入することにより、 取付面２３側に生ずるバリ状の盛肉部は、ザグリ溝２４内に生ずるので、摺動面 ディスク１９の取付端面部２５に取付面２３が密接，固定されたとき、該盛肉部 が取付端面部２５に当接することが無い。

【００２２】

【考案の効果】

本考案によると、摺動面ディスク側の取付端面部のハブボルト嵌入孔の開口周 縁か、ホイールハブ側の取付面のハブボルト固定孔の開口周縁のいずれか一方に ザグリ溝が周設されているので、ホイールハブのフランジ部のハブボルト固定孔 へハブボルトを圧入することにより、ハブボルトの基部周縁に歪によって発生し たバリ状の盛肉部は、前記ザグリ溝内に位置し、前記フランジ部の取付面に密接 する摺動面ディスクの取付端面部と当接，干渉することがなく、摺動面ディスク とホイールハブとは正確な姿勢で結合され、摺動面ディスクの倒れ等を全く発生 させない効果を奏する。

【００２３】 この結果、ディスクロータ装置として所期のブレーキ性能が発揮され、ジャダ ー，シミー等の発生を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例の半截縦断面図である。

【図２】図１に示す摺動面ディスクの左側面図である。

【図３】第２の実施例の縦断面図である。

【図４】従来例の半截縦断面図である。

【図５】従来品におけるハブボルト固定部分のみを示す
縦断面図である。

【符号の説明】

４，１９ 摺動面ディスク ５ 内周端 ６ 取付用筒状部 ７，２５ 取付端面部 ８ ハブボルト嵌入孔 ９，２４ ザグリ溝 １０，２０ ホイールハブ １１，２１ フランジ部 １２，２２ ハブボルト固定孔 １３，２３ 取付面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 摺動面ディスクの内周端から突設されて
   いる車両への取付用筒状部の取付端面部に複数のハブボ
   ルト嵌入孔が穿設され、該嵌入孔に、ホイールハブのフ
   ランジ部のハブボルト固定孔に固定されているハブボル
   トが嵌入されて前記取付端面部と前記フランジ部の取付
   面とが密接，固定されているディスクロータ装置おい
   て、前記取付用筒状部の取付端面部のハブボルト嵌入孔
   の開口周縁と、前記ホイールハブのフランジ部の取付面
   のハブボルト固定孔の開口周縁とのいずれか一方にザグ
   リ溝が周設されているディスクロータ装置。