JPH0547951Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、点火対象物への点火に都合の良い必
要な長さに点火部を突出させたガス点火器、特に
ケース全体が合成樹脂で形成され、筒体を金属と
した棒状ガス点火器に関する。

（従来の技術） 従来から棒状ガス点火器としては、実開昭61−
84372号公報に開示されているように、燃料ガス
が貯蔵されたガスタンク部と、該ガスタンク部の
ガスの開閉を制御し、且つ、圧電機構を作動させ
る操作部と、一端がガスタンク部に接続され他端
にノズルが取着されたガスパイプ及び、一端が圧
電機構の一つの電極に結線され他端が金属の筒体
に結線されたプラスリード線を収納した点火機構
部とから構成された棒状ガス点火器が知られてい
る。

また、実開昭58−58261号公報に開示されてい
るように、棒状ガス点火器の火口筒先端に多数の
小孔が穿設され回動可能な風防筒を配設した構成
の棒状ガス点火器が知られている。

（考案が解決しようとする問題） 実開昭61−84372号公報の棒状ガス点火器は、
ガス漏れを防止して着実に点火できるという利点
があるが、ガスパイプとリード線を同一筒内に配
設する必要があるため、位置決めと組み付けが困
難になるという問題点が有る。また、実開昭58−
58261号公報の棒状ガス点火器は、風防筒が有る
ことにより風によつて火が消えないという利点が
有るが、風防筒内部で燃焼している火口の炎によ
り風防筒が加熱され、その熱が火口筒に伝達して
火口筒を熱くしてしまう。従つて、火口筒は金属
しか使用することができず材料選択の上で制限さ
れるという問題点があつた。更に、複数の通気孔
を通じ外部の空気が着火ノズルに直接当たり、空
気中の異物質や塵埃が着火ノズルに付着して着火
し難くなるという問題点があつた。

本考案は、上記従来の欠点に鑑み、ガスパイプ
とリード線とを分割して位置決めと組み付けを容
易にすると共に、放電用電極としての火口の筒体
のみを金属としケース全体を合成樹脂で成形し、
着火ノズルに異物質や塵埃を付着し難らくした棒
状ガス点火器を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案は、燃料ガス
が収容されたガスタンク部と、 前記ガスタンク部に設けられた噴出弁と、 前記噴出弁を開閉する機構に当接し、電圧を励
起する圧電機構と、 前記噴出弁に一端が接続され、他端が着火ノズ
ルに接続された導電性中空導管と、 前記圧電機構に一端が接続され、他端がケース
先端部から露出するプラスリード線と、 前記プラスリード線に接続され、前記着火ノズ
ルを覆い、前記ケース先端部に装着される金属製
の筒体と、 前記筒体と前記着火ノズルとの間に介在し、前
記ケース先端部に装着される保護筒と、 前記ガスタンク部とケース環状部とを合成樹脂
で形成したケース全体と、 を備え、前記中空導管は二股分岐路が形成された
前記ケース環状部の一方の分岐路に、また、前記
プラスリード線はケース環状部の他方の分岐路に
夫々配設されると共に、前記筒体に穿設した通気
孔と前記保護筒に穿設した通気用切欠きとの位置
を異ならしめて、通気を迂回させるようにした。

（作用） 圧電機構が押圧されると、ケース環状部の一方
の分岐路に配設されたプラスリード線を通じて電
圧は筒体に伝達する。噴出弁から噴出された燃料
ガスは他方の分岐路に配設された中空導管を通つ
て着火ノズルに達し、前記筒体の火花で筒体の火
口を点火する。ガスが火口で燃焼する際、空気は
筒体に穿設した通気孔から入り保護筒の周囲を迂
回して通気用切欠きから再び入り、着火ノズルの
ガスと混合する。また、火口で燃焼するので筒体
自体は加熱されない。

（実施励） 第１図乃至第５図に示す本考案の棒状ガス点火
器は、燃料となる液化ガスを取容するガスタンク
部１と、該ガスタンク部１から送出されるガスに
着火し先端に火炎を発生させる点火機構部２とか
ら構成される。

ガスタンク部１は合成樹脂で形成された有底筒
状のタンクケース部４と、その内部に嵌合され、
同じく合成樹脂で形成された有底筒状のタンク本
体７とからなる。タンクケース部４は、底部の中
央に注入孔４ａが穿設され、開放端の一部に後述
する噴出弁９の吐出量調節用調整リング９ａの先
端を外部に突出させるための窓となる切欠き４ｂ
が周方向に沿つて設けてある。タンク本体７はそ
の内部に燃料ガスが収容され、底部に前記注入孔
４ａに対応して底板７ａの中央に注入弁８が取着
され、開放端にタンク上蓋１１が嵌着している。

注入弁８は、底板７ａの中央に摺動自在に嵌入
された注入弁桿８ａと、該注入弁桿８ａの中間外
周に嵌合し、注入弁桿８ａの段部８ｂが当接する
弁座８ｃと、該弁座８ｃの外周に嵌合するコント
ロールリング８ｄと、注入弁桿８ａの後端外周に
嵌合する注入弁蓋８ｅとを有し、圧縮ばね８ｆで
注入弁桿８ａが後方に付勢されている。液化ガス
を注入する際に、注入弁桿８ａを内方へ押圧変位
させ、注入弁桿８ａ画成した縦向き注入孔８ｇ、
横孔８ｈ及び注入弁桿８ａの先端外周を通つて補
給孔７ｂからタンク本体７内へ液化ガスを補給す
るようになつている。

タンク上蓋１１は、先向きの小凹部１１ａ及び
大凹部１１ｂが形成してあり、小凹部１１ａに噴
出弁９の後部が、また大凹部１１ｂに圧電機構１
０の後部がブラケツト１１ｃを介してそれぞれ嵌
着されている。

噴出弁９では、圧縮ばね９ｂで後方に付勢され
ているノズル９ｃが後述の操作レバー１９によつ
て先方へ変位せしめられると、弁ゴム９ｄが弁座
から離れ、この部分が開口する。タンク本体７内
に充填されている液化ガスは、芯９ｆによつて上
方へ吸い上げられ、釘状固定子９ｇの開示しない
溝を通つて穴明きフイルター９ｈに入る。この穴
明きフイルター９ｈに貯溜された液化ガスは、ノ
ズル底９ｉの釘状固定子９ｇとの嵌合部内周、ノ
ズル９ｃの外周とノズル底９ｉの内周との間隙を
経てノズル９ｃの横向き孔９ｊを通り、ノズル９
ｃ内に入つてその先端から噴出する。

点火機構部２は、合成樹脂製のケース環状部５
と、該ケース環状部５と一体の合成樹脂製のケー
ス先端部６と該ケース先端部６を被覆する金属製
の筒体１４とで構成される。前記のタンクケース
部４とケース環状部５及びケース先端部６とでケ
ース全体３を構成する。ここで、ケース環状部５
とケース先端部６は、縦割りの二分割体となつて
おり、各種部品を配設し終えた時点で合体し、タ
ンクケース部４に嵌入する。

ケース環状部５は、楕円形を形成した外周と、
内部に同心に楕円形に画成した空間とを有し、一
方の環状内部に噴出弁９の先端と着火ノズル１２
とを連絡する中空導管１３、他方の環状内部に圧
電機構１０と先端の筒体１４とを電気的に接続さ
せるプラス端子１５及びプラスリード線１６が
夫々収納されるように二股分岐路が形成されてい
る（第１図参照）。環状の空間内部には、圧電機
構１０の頭部の外周に嵌合する操作キヤツプ１７
が摺動自在に突出している。

操作キヤツプ１７は、圧電機構１０に内蔵され
た図示しない圧縮ばねによつて空間方向に向けて
付勢され、押圧すると、圧電機構１０のプラス端
子押し１０ａが変位してプラス端子１５に接触
し、また、ストツパー１８を操作することによつ
てロツクされ、操作を止めることができるように
なつている。

操作レバー１９は、噴出弁９と圧電機構１０と
の間に設けたレバー軸１９ａに回動自在に軸支さ
れ一端が噴出弁９のノズル９ｃの首部外周に嵌合
し、他軸の傾斜面１９ｂが圧電機構１０に突設し
たレバー押し１０ｂに対向して配設され、操作キ
ヤツプ１７を押圧して矢印Ａで示す方向へ変位さ
せてガスを噴出させる。

中空導管１３は、一端がノズル９ｃの外周に嵌
合する弾性材料からなるシールドパツキン２０及
び導電性材料からなる中空ジヨイント２１を介し
てノズル９ｃの先端に接続され、他端が着火ノズ
ル１２の後端外周に嵌合して接続されている。ま
た、プラスリード線１６は、一端がプラス端子１
５の先端に接続され、他端がケース先端部６に画
成した窓６ａを貫通して筒体１４に接続されてい
る。

着火ノズル１２は長穴状断面を有する良導電性
金属からなり、その先端にノズルチツプ１２ａが
嵌着され、ノズル１２及びノズルチツプ１２ａは
保護筒２２によつて囲続されている。

保護筒２２は、第４図及び第５図に示すように
円形断面の合成樹脂製耐熱材料からなり、一端側
に軸線方向に沿つて所定長さに複数の通気用切欠
き２２ａが画成され、該切欠き２２ａの間の残片
は通気阻害片２２ｂを形成する。他端側の２個所
にケース先端部に設けた図示しない突起と嵌合す
る切欠き２２ｃが設けてあり、ケース先端部６に
段部６ｂをなして形成した細径部６ｃの外周に嵌
合させて装着してある。

ケース先端部６に被覆される筒体１４は、第２
図及び第３図に示すように金属で形成され、火口
側の先端近傍に軸線方向に４個の長穴状通気孔１
４ａが周方向に間隙を置いて穿設されるととも
に、該通気孔１４ａの周方向の中間に放電部分と
なる尖端部１４ｂが内側に指向して突出した状態
に形成している。火口の先端面の中央に着火ノズ
ル１２の先端に対応する丸穴１４ｃと、同心に画
成した円弧状スリツト１４ｄが形成されている。
１４ｅは板状材料から筒体に成形した際に生じる
合わせ目である。

次に本考案に係る棒状ガス点火器の作用につい
て詳細に説明する。

ガスタンク部１を手で握り、指先で操作キヤツ
プ１７を押圧すると、それに伴つて圧電機構１０
のレバー押し１０ｂ及びプラス端子押し１０ａが
変位する。即ち、レバー押し１０ｂが操作レバー
１９の傾斜面１９ｂを押圧すると同時にプラス端
子押し１０ａがプラス端子１５へ接触する。これ
により、噴射弁９のノズル９ｃが操作レバー１９
よつて先方へ変位し、当該ノズル９ｃから噴出し
たガスは、中空ジヨイント２１及び中空導管１３
を経て、着火ノズル１２の先端のノズルチツプ１
２ａの内部及び当該ノズルチツプ１２ａの外周に
形成した細溝を通つて噴出する。一方、同時に圧
電機構１０によつて発生した電圧は、一方は導電
性の中空導管１３から着火ノズル１２及びノズル
チツプ１２ａに達し、他方はプラス端子１５及び
プラスリード線１６を通じてケース先端部６の窓
６ａから金属製である筒体１４に伝達し、更に尖
端部１４ｂに達してノズルチツプ１２ａとの間に
火花を発生させ、この火花により着火ノズル１２
に着火がなされ筒体１４の火口から火炎が発生す
る。筒体１４の通気孔１４ａ及び保護筒２２の通
気用切欠き２２ａを通じて通気がなされると共
に、当該保護筒２２の通気阻害片２２ｂによつて
通気が阻害される為、着火ノズル１２は長期間に
亘つて、異物質や塵埃が付着することなく使用で
きる。タンク本体７内の液化ガスがなくなつたと
きには図示しない液化ガスボンベから注入弁８を
通じて液化ガスを補強すればよい。

なお本考案に係る点火器は、花火以外にたば
こ、ガス器具用その他汎用点火器としても当然使
用できるものである。

（考案の効果） 以上のように本考案の棒状ガス点火器は、二股
分岐路を形成したケース環状部の夫々の分岐路に
中空導管とプラスリード線とを分割して配設した
ので、位置決めと組み付けが容易にできる。ま
た、火口を金属製の筒体に形成したので、熱の伝
達が少なくケース全体を合成樹脂で成形すること
ができる。更に、保護筒の通気用切欠きと筒体の
通気孔との位置を異ならせて通気を迂回させたの
で、着火ノズルに異物質や塵埃が付着し難く着火
が確実に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る棒状ガス点火器
全体を示す縦断面図、第２図は筒体を示す側面
図、第３図は第２図のＸ−Ｘ断面図、第４図は保
護筒を示す側面図、第５図は第４図のＹ−Ｙ断面
図である。 １……ガスタンク部、２……点火機構部、３…
…ケース全体、４……タンクケース、５……ケー
ス環状部、６……ケース先端部、６ａ……窓、７
……タンク本体、８……注入弁、９……噴出弁、
１０……圧電機構、１０ａ……プラス端子押し、
１０ｂ……レバー押し、１１……タンク上蓋、１
２……着火ノズル、１２ａ……ノズルチツプ、１
３……中空導管、１４……筒体、１４ａ……通気
孔、１５……プラス端子、１６……プラスリード
線、１７……操作キヤツプ、１９……操作レバ
ー、２２……保護筒、２２ａ……通気用切欠き。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 燃料ガスが収容されたガスタンク部と、 前記ガスタンク部に設けられた噴出弁と、 前記噴出弁を開閉する機構に当接し、電圧を励
   起する圧電機構と、 前記噴出弁に一端が接続され、他端が着火ノズ
   ルに接続された導電性中空導管と、 前記圧電機構に一端が接続され、他端がケース
   先端部から露出するプラスリード線と、 前記プラスリード線に接続され、前記着火ノズ
   ルを覆い、前記ケース先端部に装着される金属製
   の筒体と、 前記筒体と前記着火ノズルとの間に介在し、前
   記ケース先端部に装着される保護筒と、 前記ガスタンク部とケース環状部とを合成樹脂
   で形成したケース全体と、 を備え、前記中空導管は二股分岐路が形成された
   前記ケース環状部の一方の分岐路に、また、前記
   プラスリード線はケース環状部の他方の分岐路に
   夫々配設されると共に、前記筒体に穿設した通気
   孔と前記保護筒に穿設した通気用切欠きとの位置
   を異ならしめて、通気を迂回させたことを特徴と
   する棒状ガス点火器。