JPH0545111Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は起動回路を具備した自励発振式のスイ
ツチング電源回路に関するものである。

「従来の技術」 従来、インバータ回路部１を有するこの種のス
イツチング電源回路の起動回路２は第３図に示す
ように抵抗３、コンデンサ４、トリガーダイオー
ド５によつて構成されており、入力端子１９，２
０間に、第２図ａのt₁時に直流電源電圧Viが印加
されると、起動回路２の抵抗３を通してコンデン
サ４に充電され、この充電電圧Vc₁が第２図ｂに
示すように徐々に上昇する。この充電電圧Vc₁が
t₂時にトリガーダイオード５のブレーク電圧Vb
に達すると、このトリガーダイオード５がオンし
てコンデンサ４の充電電圧Vc₁が放電し、この放
電電流がインバータ回路部１の主開閉器であるト
ランジスタ６のベース電流となり、このトランジ
スタ６がオンし、トランス７の１次巻線８に電圧
が発生する。さらに、トランス７の３次巻線９を
介して正帰還された電流がコンデンサ１０と抵抗
１１を介してトランジスタ６のベースに流れ続
け、いわゆる自励式発振回路として継続する。こ
の発振の継続している間はコンデンサ４とトラン
ジスタ６のコレクタ間に接続されたダイオード１
２により、コンデンサ４は常に放電状態となり、
起動電流は流れない。したがつて、このダイオー
ド１２が起動停止回路として機能している。な
お、１３は２次巻線、１４は整流用ダイオード、
１５は平滑用コンデンサ、１６，１７は出力端子
である。

「考案が解決しようとする課題」 以上のような回路構成において、入力電圧Vi
が第２図ａのt₃時に、一時的低下したり、または
負荷の急激な変動があつたりすると、発振が一時
的に停止することがある。すると、入力電源電圧
Viの再印加により起動回路２のコンデンサ４が
抵抗３を介して再び充電を開始して再発振の動作
を開始する。ところが、このコンデンサ４は発振
状態の間、起動停止回路であるダイオード１２に
よつて完全に放電していたため、0Vからの充電
となり、この充電電圧Vc₁がトリガーダイオード
５からのブレーク電圧Vbに達するまでの時間T₁
が５〜10msecもかかり、再発振が大巾に遅れ、
したがつて出力電圧の立上りも遅れ、２次側１３
に接続された負荷にとつては大きな障害となつて
いた。入力電圧Viが脈流であるときには特に重
大な問題を残していた。

本考案は入力電圧が低下したり、負荷が急激に
変化したり、さらに入力電圧が脈流であつたりし
ても発振停止帰還を可及的に短かくして即座に再
起動するような回路を得ることを目的とするもの
である。

「課題を解決するための手段」 本考案は入力電源端子に、インバータ回路部の
トランスと主開閉器を結合し、この主開閉器に抵
抗、コンデンサおよびトリガーダイオードからな
る起動回路を結合するとともに、この起動回路の
コンデンサと主開閉器との間に起動停止用ダイオ
ードを結合してなるものにおいて、前記起動停止
用ダイオードと直列に、前記トリガーダイオード
のブレーク電圧よりやや低電圧の電源を結合して
なるものである。

「作用」 起動停止用ダイオードと直列に挿入された電源
としてツエナーダイオードかまたは直流電池を用
いる。すると、入力電源の低下等で発振が中断し
ても、起動回路のコンデンサは、常にトリガーダ
イオードのブレーク電圧よりやや低電圧に充電さ
れているので、入力電圧が立上ると即座に主開閉
器が発振を継続して、発振停止期間は極く短時間
だけとなる。

「実施例」 以下本考案の一実施例を第１図に基づき説明す
る。

本考案の回路は、第３図における従来回路にお
いて、起動停止用ダイオード１２と直列に、直流
電源としてのツエナーダイオード１８を挿入して
なるものである。このツエナーダイオード１８
は、そのツエナー電圧がトリガーダイオード５の
ブレーク電圧Vbよりやや低い電圧Vzを有するも
のが使用されている。

このような構成において、入力電源電圧Viが
最初に印加されたt₁時から継続発振開始に至るt₂
時までの動作は、第２図ｃに示すように従来回路
と同様である。しかし、発振開始されたt₂時に起
動回路のコンデンサ４が0Vまで放電することな
く、ツエナーダイオード１８のツエナー電圧Vz
に相当する電圧が残る。この状態で、t₃時に例え
ば入力電圧Viが一時的に低下しても、起動回路
２のコンデンサ４は入力電圧Viが立上ると、t₄時
に即座にトリガーダイオード５のブレーク電圧
Vbまで充電され、発振停止期間T₂は極めて短
く、インバータ回路部１は再び継続発振を開始す
る。

前記実施例では起動停止回路に、ツエナーダイ
オード１８を挿入したが、これに限られるもので
はなく、電圧Vzの電池であつてもよい。

前記実施例ではフライバツク方式自励インバー
タスイツチング電源回路の場合について説明した
が、これに限られるものではなく、起動回路を必
要とするあらゆるインバータ回路に適用できる。

「考案の効果」 本考案は上述のように構成したので、入力電源
電圧が一時的に低下したり、急激な負荷変動があ
つたり、入力電源電圧が脈流であつたりしても、
インバータの発振停止期間を極めて短くできる。
具体的には、従来は５〜10msecの停止期間であ
つたものが、精々1msecとすることができ、負荷
への悪影響を最小限とすることができる。回路構
成上もツエナーダイオードを１個挿入するだけで
あつてコストも従来とほとんど変ることろがな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるスイツチング電源回路の
一実施例を示す電気回路図、第２図は出力波形
図、第３図は従来回路図である。 １……インバータ回路部、２……起動回路、３
……抵抗、４……コンデンサ、５……トリガーダ
イオード、６……主開閉器（トランジスタ）、７
……トランス、８……１次巻線、９……３次巻
線、１０……コンデンサ、１１……抵抗、１２…
…起動停止用ダイオード、１３……２次巻線、１
４……ダイオード、１５……コンデンサ、１６，
１７……出力端子、１８……電源（ツエナーダイ
オード）、１９，２０……入力電源端子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 入力電源端子に、インバータ回路部のトラン
   スと主開閉器を結合し、この主開閉器に抵抗、
   コンデンサおよびトリガーダイオードからなる
   起動回路を結合するとともに、この起動回路の
   コンデンサと主開閉器との間に起動停止用ダイ
   オードを結合してなるものにおいて、前記起動
   停止用ダイオードと直列に前記トリガーダイオ
   ードのブレーク電圧よりやや低電圧の電源を結
   合してなることを特徴とするスイツチング電源
   回路。 (2) 起動停止用ダイオードと直列に挿入した電源
   は、トリガーダイオードのブレーク電圧よりや
   や低いツエナー電圧を有するツエナーダイオー
   ドからなる請求項(1)記載のスイツチング電源回
   路。