JPS6230464Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、リンギングチヨーク型DC−DCコン
バータの発振の開始・停止を外部から制御できる
ようにした回路に関するものである。

リンギングチヨーク型DC−DCコンバータは、
ブロツキング発振を利用した自励式スイツチング
レギユレータであり、部品点数が少なく出力容量
の小さい電源によく利用されている。これは、第
１図に示すように、トランスＴの帰還巻線Nbの
誘起電圧を利用して発振用トランジスタＱ１をオ
ン・オフさせて直流を交流に変換し、コレクタ巻
線Ncと出力巻線Noとで電圧変換し、その出力を
ダイオードＤと平滑コンデンサＣ１とで整流平滑
化するものである。出力電圧を安定化するには、
例えば発振用トランジスタＱ１と並列に制御用ト
ランジスタＱ２を設け、該制御用トランジスタＱ
２のベースと出力端との間にツエナーダイオード
ZDを挿入した制御回路が組込まれる。この制御
回路は、出力電圧が高くなつたとき、ツエナーダ
イオードZDを通つて制御用トランジスタＱ２に
ベース電流が流れ、発振用トランジスタＱ１への
ベース電流を制御用トランジスタＱ２へ分流させ
ることによつて出力の定電圧化を図るものであ
る。

さて、このようなリンギングチヨークコンバー
タにおいて、発振・停止を外部から制御したい場
合には、発振用トランジスタＱ１のベース−エミ
ツタ間にオン・オフ制御用トランジスタＱ３を設
け、そのベースにオン・オフ制御信号を供給する
構成が考えられる。このようにすると、オン／オ
フ端子のレベルがロウのとき発振用トランジスタ
Ｑ１はオンしているのでコンバータはその発振が
停止した状態にあり、前記レベルがハイになると
発振用トランジスタＱ１はオフしコンバータの発
振を開始させることができる（第２図参照）。ま
た、オン・オフ制御用トランジスタＱ３を第１図
に示す位置に挿入せざるを得ないのは、発振用ト
ランジスタＱ１のベースバイアス回路に入れたの
では発振を停止させることができないからであ
る。このことは、リンギングチヨークコンバータ
において、一旦発振をはじめたならばベースバイ
アス抵抗Ｒを外しても発振が継続することからも
窺知できる。

前記のようなオン・オフ制御回路は次のような
欠点がある。まず第一に、レベル制御であるた
め、オン時はハイ、オフ時はロウのレベルに信号
を維持していなければならないこと、第二にオフ
時のリーク電流が大きいことである。このリーク
電流は、オフ時にベースバイアス抵抗Ｒとオン・
オフ制御用トランジスタＱ３を通つて電源から電
流が流れ、数ｍＡの値となる。特にこのリーク電
流が大きいことは、機器の保存時、非動作時の電
池寿命が短くなることを意味し、カメラ等小型機
器の性能上、重大な問題となる。

本考案は、上記のような従来技術の欠点を解消
し、リンギングチヨークコンバータの発振の開
始・停止を外部からのトリガパルスで制御でき、
しかも発振停止時のリーク電流を極力小さく（数
μＡ以下）に抑えうるようなオン・オフ制御回路
を提供することにある。

以下、図面に基づき本考案について説明する。
第３図は本考案の一実施例を示す回路図である。
リンギングチヨークコンバータ本体および定電圧
化のための制御回路は従前のものと略同様である
から、対応する部分には同一符号を付し、それら
についての説明は省略する。

本考案に係るオン・オフ制御回路は、発振用ト
ランジスタＱ１のベースバイアス回路に接続され
たサイリスタ（ここでは逆阻止形３極サイリス
タ）Ｓと、該サイリスタＳのカソードと前記発振
用トランジスタＱ１のエミツタ間に接続したコン
デンサＣ２と、前記サイリスタＳのアノードと定
電圧化のための制御用トランジスタＱ２のベース
間に接続したオフ用トランジスタＱ４とを備えて
いる。前記のように、サイリスタＳを発振用トラ
ンジスタＱ１のベースバイアス回路に挿入する関
係上、ベースバイアス抵抗は２個に分割され（Ｒ
１とＲ２で示す）、サイリスタＳのアノード側と
カソード側に組込まれる。なお、これらのバイア
ス抵抗Ｒ１，Ｒ２は、単なる発振用トランジスタ
のバイアス抵抗としてのみならず、新たに付設さ
れた素子のためのバイアス抵抗あるいは電流制限
用抵抗としても機能する。上記回路では、サイリ
スタＳのゲートがオン信号端子となり、オフ用ト
ランジスタＱ４のベースがオフ信号端子となり、
トリガパルスによつて制御することができる。

本実施例に示す回路は次のように動作する。ま
ず、このDC−DCコンバータをオンさせるには、
サイリスタＳのゲートのオン信号端子に第４図に
示すような正方向のトリガパルスを印加すればよ
い。このトリガパルスの印加によつてサイリスタ
Ｓがオンし、コンデンサＣ２が充電されるととも
に発振用トランジスタＱ１のベースに電流が流れ
リンギングチヨークコンバータの発振が開始す
る。オン信号端子へのトリガパルスの供給が終つ
てもサイリスタＳは導通状態を維持しつづけるの
で、リンギングチヨークコンバータの発振は継続
する。

次に、リンギングチヨークコンバータをオフさ
せるには、オフ用トランジスタＱ４のベースのオ
フ信号端子に負極性のトリガパルスを印加すれば
よい。このトリガパルスの印加によつてオフ用ト
ランジスタＱ４をオンし、サイリスタＳを導通さ
せている保持電流がオフ用トランジスタＱ４の方
へバイパスされるためサイリスタＳはオフし、発
振用トランジスタＱ１のバイアス電流は零とな
る。前述のように、リンギングチヨークコンバー
タの場合、一度発振が始まるとバイアス電流が零
になつても正帰還の自励発振のためＩ１というパ
ルス電流が流れつづけ、発振は継続する。オフ用
トランジスタＱ４がオンして制御用トランジスタ
Ｑ２のベースに電流が流れても前記Ｉ１はパルス
状電流であるため制御用トランジスタＱ２のコレ
クタ電流が不連続になつて、前記Ｉ１をＱ２側に
完全にバイパスさせることができず、発振を完全
に停止させることができない。しかし、本考案で
はコンデンサＣ２が付設されているから、オフ信
号期間中、サイリスタＳがオフするとコンデンサ
Ｃ２に充電されていた電荷は抵抗Ｒ２を通つて放
電し、連続電流が制御用トランジスタＱ２のコレ
クタに供給されるため、該制御用トランジスタＱ
２は完全にオンし、パルス電流Ｉ１も引込んで、
発振用トランジスタＱ１の発振を完全に停止させ
ることができる。

なお、実測結果によれば、オン信号及びオフ信
号のトリガパルスの幅は1ms程度で充分作動する
ことが確認された。

また、本回路において、コンバータオフ時のリ
ーク電流は、サイリスタＳのアノード−カソード
間のリーク電流とトランジスタＱ１のコレクタ−
エミツタ間のリーク電流、トランジスタＱ４のコ
レクタ−エミツタ間のリーク電流の和になるが、
この値はせいぜい数nAであるため問題になるオ
ーダーではない。

以上本考案の一実施例について詳述したが、多
少の変更を施すことによつて他の自励式スイツチ
ングレギユレータにも応用可能である。

本考案は前記のように構成されているため、リ
ンギングチヨーク型DC−DCコンバータを外部か
らトリガパルスで制御でき、しかも発振停止時の
リーク電流を非常に小さくできる点ですぐれた効
果があり、特に電池駆動型の各種機器の場合、保
存時あるいは非動作時の電流消費を抑え、電池寿
命を長くすることができるため実用的効果は極め
て大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術を示す回路図、第２図はその
動作タンミングを示す説明図、第３図は本考案の
一実施例を示す回路図、第４図はその動作タンミ
ングを示す説明図である。 Ｑ１……発振用トランジスタ、Ｑ２……制御用
トランジスタ、Ｑ４……オフ用トランジスタ、Ｓ
……サイリスタ、Ｃ２……コンデンサ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 発振用トランジスタのベース−エミツタ間に出
   力電圧を定電圧化するための制御用トランジスタ
   を備えたリンギングチヨーク型DC−DCコンバー
   タのオン・オフ制御回路において、発振用トラン
   ジスタのベースバイアス回路に挿入されたサイリ
   スタと、該サイリスタのカソードと発振用トラン
   ジスタのエミツタ間に接続されたコンデンサと、
   前記サイリスタのアノードと前記制御用トランジ
   スタのベース間に接続したオフ用トランジスタと
   を備え、前記サイリスタのゲートをオン信号端子
   とし、オフ用トランジスタのベースをオフ信号端
   子としてパルス信号で制御可能としたリンギング
   チヨークコンバータのオン・オフ制御回路。