JPH0544670A - ロータリ圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インジェクション流路の注入口をシリンダー
中心付近に配置するにもかかわらず注入口から冷媒液の
みを注入することでロータリ圧縮機の高効率化を図る。 【構成】 クランクピンの上下に取り付けられた上部ハ
ブ及び下部ハブが上記クランクシャフトを軸承する上部
軸受及び下部軸受に摺接されるとともに、ロータリ圧縮
機構に形成された圧縮室内に冷媒液を注入するための注
入口が上記上部軸受又は下部軸受に設けられてなるロー
タリ圧縮機において、上記上部ハブ５１又は下部ハブ５
２に、上記上部軸受８又は下部軸受９と当接して、もし
くはこの上部軸受８，下部軸受９とわずかのすきまδを
隔てて上記クランクピン５の外周まで延長された被覆部
材５６を設けるとともに、この被覆部材５６に対応する
位置に上記注入口３２を設けたこと。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はロータリ圧縮機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のロータリ圧縮機では、図４縦断面
図及び図５Ｖ−Ｖ断面図に示すように、密閉ケーシング
１の内部にはモーター２と、このモーター２によって駆
動されるロータリ圧縮機構３が収容され、このロータリ
圧縮機構３の下部はケーシング１内底部に貯留されてい
る潤滑油１７中に浸漬されている。モーター２のステー
ター２ａはケーシング１に固定され、ローター２ｂはク
ランクシャフト４の上部に固定されている。ロータリ圧
縮機構３はクランクシャフト４と、そのクランクピン５
に嵌合されたローリングピストン６と、ケーシング１に
固定されたシリンダーブロック７と、このシリンダーブ
ロック７の上端開口を閉塞する上部軸受８と、シリンダ
ーブロック７の下端開口を閉塞する下部軸受９と、シリ
ンダーブロック７に穿設されたスロット２４内に出没自
在に嵌挿されたブレード１０と、このブレード１０の背
後に配設されてこれを押推する押えばね１１等からな
る。シリンダーブロック７と上部軸受け８と下部軸受け
９とによって形成されるシリンダー室１２内にローリン
グピストン６を収容し、このローリングピストン６の外
周面もブレード１０の先端を当接することによってこの
ブレード１０の片側に吸入室１３が、他側に圧縮室１４
がそれぞれ仕切られている。クランクシャフト４は上部
軸受８及び下部軸受９によってそれぞれ軸承されてい
る。クランクピン５の上下には各々上部ハブ５１と下部
ハブ５２が取り付けられており、上部ハブ５１の上面は
上部軸受８に摺動自在に当接し、下部ハブ５２の下面は
下部軸受９に摺動自在に当接してクランクシャフト４に
作用するスラスト荷重を支持している。クランクピン５
とローリングピストン６と上部軸受８及び上部ハブ５
１、又はクランクピン５とローリングピストン６と下部
軸受９及び下部ハブ５２とによって囲まれた空所５３に
はそれぞれ上部ハブ５１，下部ハブ５２に穿設された給
油孔５４を経て油ポンプ１８から潤滑油が供給され、こ
の潤滑油は上部ハブ５１と上部軸受８との摺動面、下部
ハブ５２と下部軸受９との摺動面にそれぞれ供給される
ようになっている。下部軸受９にはインジェクション流
路３１が穿設されており、注入口３２から圧縮室１４内
に冷媒液が注入されるようになっている。クランクシャ
フト４がモーター２によって回転駆動されると、クラン
クピン５に嵌合されたローリングピストン６はシリンダ
ー室１２内で矢印方向に偏心回転運動し、これに伴って
吸入室１３内に吸入管２０からガスが吸入され、圧縮室
１４内のガスが圧縮される。圧縮されたガスは上部軸受
８に穿設された吐出ポートを通り、図示しない吐出弁を
押し上げて上部軸受８とこの上面を被覆するカバー２６
によって形成された吐出マフラー室２７内に入ってその
脈動成分が除去される。次いで、カバー２６に穿設され
た図示しない孔を経てモーター２の下方に形成された第
１の膨張室２８に入って膨張することによりその脈動成
分がさらに除去される。次いで、ステーター２ａとロー
ター２ｂとの間のエアギャップ及びステーター２ａとケ
ーシング１との間に形成されたガス通路２９を経てモー
ター２の上方に形成された第２の膨張室１５内に入って
膨張することによりその脈動成分がさらに除去され、し
かる後、吐出管１６を経て外部に吐出される。また、ロ
ーリングピストン６が偏心回転運動する過程で、注入口
３２を閉塞したり、開放することによりインジェクショ
ン流路３１より冷媒液が圧縮室１４内に間欠的に注入さ
れ、この冷媒液の蒸発に伴う冷却作用によって圧縮ガス
が冷却される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のロータリ圧
縮機においては、冷媒液を圧縮室１４内に間欠的に注入
することによって圧縮ガスを冷却しているが、圧縮効率
の低下を極力抑えたり圧縮ガスのインジェクション流路
３１への逆流を防止する等の観点から、圧縮室１４内が
ガスの圧縮を開始する時点で注入口３２が開き、かつ圧
縮室１４内が高圧状態に達する前に注入口３２が閉じる
ことが必要であり、このためには注入口３２をシリンダ
ー室１２の中心近くに位置せしめることが好ましい。し
かし、ローリングピストン６の偏心回転運動の過程で、
シリンダー室１２の中心付近にある下部ハブ５２の外周
とローリングピストン６の内周との間に形成され、潤滑
油が貯留されている空所５３に注入口３２が臨むと、圧
力の高い空所５３から潤滑油が注入口３２を経てインジ
ェクション流路３１へと流れ込むため、その後に注入口
３２が圧縮室１４内に開口したときには潤滑油が注入さ
れて、冷媒液による圧縮ガスの冷却作用が行われないと
いう問題がある。

【０００４】本発明はこのような事情に鑑みて提案され
たもので、インジェクション流路の注入口をシリンダー
中心付近に配置するにもかかわらず、注入口から冷媒液
のみを注入することで効率のよいロータリ圧縮機を提供
することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そのために本発明はケー
シングに内蔵されたロータリ圧縮機構のローリングピス
トンにクランクピンを介してクランクシャフトの回転運
動が伝達され、このクランクピンの上下に取り付けられ
た上部ハブ及び下部ハブが上記クランクシャフトを軸承
する上部軸受及び下部軸受に摺接されるとともに、上記
ロータリ圧縮機構に形成された圧縮室内に冷媒液を注入
するための注入口が上記上部軸受又は下部軸受に設けら
れてなるロータリ圧縮機において、上記上部ハブ又は下
部ハブに、上記上部軸受又は下部軸受と当接して、もし
くはこの上部軸受又は下部軸受とわずかのすきまを隔て
て上記クランクピンの外周まで延長された被覆部材を設
けるとともに、この被覆部材に対する位置に上記注入口
を設けたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】このような構成によれば、ローリングピストン
の偏心回転運動の過程で、上部ハブ又は下部ハブの外周
とローリングピストンの内周との間に形成された空所に
注入口が対向している間は、注入口は被覆部材によって
閉鎖され又は遮蔽されて空所に貯留されている潤滑油と
遮断される。

【０００７】

【実施例】本発明の一実施例を図面について説明する
と、図１はその全体縦断面図、図２は図１のＩＩ−ＩＩ
線に沿った断面図、図３は図１の変形例を示す部分縦断
面図である。上図において、図４〜図５と同一の符号は
それぞれ同図と同一の部材を示し、まず図１〜図２にお
いて、下部ハブ５２には下部軸受９と当接してクランク
ピン５の外周まで延長された被覆部材５６が設けられて
おり、この被覆部材５６に対応する位置に注入口３２が
設けられている。これによって、ローリングピストン６
の偏心回転運動の過程で注入口３２が下部ハブ５２の外
周とローリングピストン６の内周との間の空所５３に対
向している間は、注入口３２は被覆部材５６によって閉
鎖されるので空所５３に貯留されている潤滑油が注入口
３２を経てインジェクション流路３１内に流入するのを
防止することができる。従って、注入口３２をシリンダ
ー室１２の中心付近に配置しても被覆部材５６によって
空所５３内の潤滑油と遮断されるので、注入口３２から
は冷媒液のみが圧縮室１４内に注入され効率的に圧縮ガ
スが冷却される。

【０００８】ここで、下部ハブ５２には図３に示すよう
な変形例を採用することもできる。すなわち、同図にお
いて下部ハブ５２ａには下部軸受９に対してわずかのす
きまδ（例えば０．５ミリメートル以下）を隔ててクラ
ンクピン５の外周まで延長された被覆部材が設けられて
おり、この被覆部材５７の対応する位置に注入口３２が
設けられている。これによって、ローリングピストン６
の偏心回転運動の過程で注入口３２が空所５３に対向し
ている間は、注入口３２は被覆部材５７によって遮蔽さ
れてわずかのすきまδを介して空所５３と連通されるに
すぎないので、空所５３内の潤滑油が注入口３２を経て
インジェクション流路３１内に流入するのを防止でき、
ないしは潤滑油の流入量を小さく抑えることができる。
従って、注入口３２をシリンダー室１２の中心付近に配
置しても被覆部材５７によって空所５３内の潤滑油と遮
断されるので、注入口３２からは殆ど冷媒液のみが圧縮
室１４内に注入され効率的に圧縮ガスが冷却される。こ
こに、被覆部材５７は下部軸受９に対してすきまを有し
ていることから、ローリングピストン６の偏心回転運動
下、周速度の大きい被覆部材５７との摺接によて生ずる
下部軸受９の面荒れ等を回避することができる。なお、
上記実施例及びその変形例ともに注入口３２が下部軸受
９に設けられた場合について示されているが、注入口３
２を上部軸受８に設けることもでき、この場合には上部
ハブ５１に上部軸受８と当接し、あるいが上部軸受８に
対して０．５ミリメートル以下のすきまを隔ててクラン
クピン５の外周まで延長した被覆部材を設ける。また、
工作物にあっては角や辺の面取りを施すのが通常である
が、注入口３２を空所５３内の潤滑油からより完全に遮
断するために、ローリングピストン６の内周側は面取り
を施さないようにすることもできる。

【０００９】

【発明の効果】このような構造によればローリングピス
トンの偏心回転運動の過程で、上部ハブ又は下部ハブの
外周とローリングピストンの内周との間に形成された空
所に注入口が対向している間は、注入口は被覆部材によ
って閉鎖され又は遮蔽されて空所に貯留されている潤滑
油と遮断されるので、注入口をシリンダー室の中心付近
に配置しても注入口からは殆ど冷媒液のみが注入される
ので、効率のよい圧縮機を提供することができる。

【００１０】要するに本発明によれば、ケーシングに内
蔵されたロータリ圧縮機構のローリングピストンにクラ
ンクピンを介してクランクシャフトの回転運動が伝達さ
れ、このクランクピンの上下に取り付けられた上部ハブ
及び下部ハブが上記クランクシャフトを軸承する上部軸
受及び下部軸受に摺接されるとともに、上記ロータリ圧
縮機構に形成された圧縮室内に冷媒液を注入するための
注入口が上記上部軸受又は下部軸受に設けられてなるロ
ータリ圧縮機において、上記上部ハブ又は下部ハブに、
上記上部軸受又は下部軸受と当接して、もしくはこの上
部軸受又は下部軸受とわずかのすきまを隔てて上記クラ
ンクピンの外周まで延長された被覆部材を設けるととも
に、この被覆部材に対する位置に上記注入口を設けたこ
とにより、インジェクション流路の注入口をシリンダー
中心付近に配置するにもかかわらず、注入口から冷媒液
のみを注入することで効率のよいロータリ圧縮機を得る
から、本発明は産業上極めて有益なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す全体縦断面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線に沿った断面図である。

【図３】図１の変形例を示す部分縦断面図である。

【図４】従来のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。

【図５】図４のＶ−Ｖに沿った断面図である。

【符号の説明】

１ ケーシング ３ ロータリ圧縮機構 ４ クランクシャフト ５ クランクピン ６ ローリングピストン ８ 上部軸受 ９ 下部軸受 １４ 圧縮室 １８ 油ポンプ ２６ カバー ２７ 吐出マフラー室 ３１ インジェクション流路 ３２ 注入口 ５１ 上部ハブ ５２，５２ａ 下部ハブ ５３ 空所 ５４ 給油孔 ５６，５７ 被覆部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングに内蔵されたロータリ圧縮機
   構のローリングピストンにクランクピンを介してクラン
   クシャフトの回転運動が伝達され、このクランクピンの
   上下に取り付けられた上部ハブ及び下部ハブが上記クラ
   ンクシャフトを軸承する上部軸受及び下部軸受に摺接さ
   れるとともに、上記ロータリ圧縮機構に形成された圧縮
   室内に冷媒液を注入するための注入口が上記上部軸受又
   は下部軸受に設けられてなるロータリ圧縮機において、
   上記上部ハブ又は下部ハブに、上記上部軸受又は下部軸
   受と当接して、もしくはこの上部軸受又は下部軸受とわ
   ずかのすきまを隔てて上記クランクピンの外周まで延長
   された被覆部材を設けるとともに、この被覆部材に対す
   る位置に上記注入口を設けたことを特徴とするロータリ
   圧縮機。