JPH0116349B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は固定スクロール部材のうず巻部と可動
スクロール部材のうず巻部とを偏心してかみ合
せ、可動スクロール部材のうず巻部を公転させて
両うず巻部間に形成される密閉空間を中心方向へ
移動させながら容積を減縮して中心部から圧縮流
体を吐出させるようにした容積式流体圧縮装置、
いわゆるスクロール型圧縮装置に関するものであ
る。

一般に、この容積式流体圧縮装置は第７図に示
すようにハウジング１のリヤ側に吸込室Ａ及び吐
出室Ｃが設けられ、フロント側端面を貫通した回
転軸６の内端に対し偏心軸８が連結され、この偏
心軸８にはラジアルベアリング１０を介して可動
スクロール部材９が回転可能に支承され、さらに
ハウジング１の内周面には可動スクロール部材の
自転防止を行なう固定リング１１が嵌合されてい
る。そして、固定リング１１の右側に形成された
作動室Ｂから冷媒ガスを同リング１１に設けた通
路１１ｃ及びハウジング１に形成した通路１ｂに
より回転軸６支持用のラジアルベアリング２１、
シヤフトシール機構７及びバランスウエイト１４
のスラストベアリング２２等へ供給してそれらの
冷却、潤滑を行ない、さらに回転軸６及び偏心軸
８に斜状に形成した通路２２３から前記ラジアル
ベアリング１０へ冷媒ガスを遠心力を利用して供
給し同ベアリング１０の冷却、潤滑作用を行なう
ようになつている。

ところが、上記従来の潤滑機構は、偏心軸８の
偏心量があまり大きくないので、十分な遠心力が
得られず、特に低速時にはそれが著しくなつて潤
滑、冷却効果が低減するという欠陥があつた。
又、回転軸６、バランスウエイト１４あるいはベ
アリング１０，２１等は固定リング１１によつて
ハウジング１のフロント側に区画形成される空間
に一括して収容されているので、新しい冷媒ガス
が進入しにくく、冷却、潤滑作用が低いという欠
陥があつた。

本発明の目的はハウジングのフロント側すなわ
ち固定リングにより区画形成された作動室と反対
側に吸込室を設けるとともに、可動スクロール部
材料の基板に対し同部材支持用のベアリング後端
から前基板の同外周付近に至る導通孔を設け、同
導通孔は基板のうず巻部側端面において、可動ス
クロール部材のうず巻部外端と固定スクロール部
材のうず巻部外周面の間隙によつて形成される被
圧縮流体の取込口及び／又は固定スクロール部材
のうず巻部外端と可動スクロール部材のうず巻部
外周面との間隙によつて形成される取込口付近に
開孔され、前記回転軸支持用のラジアルベアリン
グの間隙と連通するように、前記バランスウエイ
トをボス部内端面に対して間隙を形成するように
配置したことにより、回転軸、可動スクロール部
材支持用のベアリング、回転軸支持用のベアリン
グ及び回転軸とボス部内周面に介装した前記シー
ル機構を確実にしかも効率よく冷却循環できる容
積式流体圧縮装置を提供することにある。

以下、本発明を具体化した一実施例を第１図〜
第６図について説明すると、センタハウジング１
の左端部にはフロントハウジング２が一体的に設
けられ、右端面にはリヤハウジング３が図示しな
い複数本の締付ボルトにより固定されている。

フロントハウジング２の中央部には円筒状のボ
ス部４が一体に形成され、その中心孔４ａには左
右一対のラジアルボールベアリング５により回転
軸６が支承され、外端部において駆動源により接
続される。又、回転軸６とボス部４の間にはシヤ
ツトシール機構７が介装されており、このシール
機構７を収納するシール室Ｓの上部と連通するよ
うに前記ボス部４の基端上部には冷媒ガスの導入
孔４ｂが設けられている。

前記回転軸６の内端部には偏心軸８が連結され
ており、この偏心軸８上には可動スクロール部材
９を構成する円形状をなす基板９ａの背面中心部
に一体的に形成したボス部９ｂがラジアルニード
ルベアリング１０を介して回転可能に支承されて
いる。前記可動スクロール部材９の前面には第６
図に示すようにうず巻部９ｃが一体的に形成され
ている。

一方、センタハウジング１の内周面には環状の
係止段部１ａが形成され、この段部に対し可動ス
クロール部材９の自転防止を行なう固定リング１
１の外周縁がキー１２により回動不能に係合され
ている。この固定リング１１により前記センタハ
ウジング１内部は２つの室すなわちボス部４側の
吸込室Ａと可動スクロール部材９側の作動室Ｂと
に区画形成されており、吸込室Ａにはフロントハ
ウジング２の外周上部に貫設した吸入口２ａによ
り外部回路から冷媒ガスが導入される。さらに、
固定リング１１の外側部には第５図に示すように
吸入通路１１ｂが６箇所に設けられ、吸込室Ａか
ら作動室Ｂへ冷媒ガスが導入される。

前記可動スクロール部材９の基板９ａ背面には
第１，３図に示すように中心を通る上下方向に自
転防止用のガイド溝９ｄが刻設され、前記固定リ
ング１１の前面には第３図に示すように中心を通
る左右方向に自転防止用のガイド溝１１ａが刻設
されている。そして、前記一方のガイド溝９ｄに
は第４図に示すように円滑状をなす自転防止リン
グ１３の右側面上下２箇所に一体的に形成した突
起１３ａが上下方向の摺動可能に係合され、他方
のガイド溝１１ａには前記自転防止リング１３の
左側面左右２箇所に一体的に形成した突起１３ｂ
が第３図に示すように左右方向のスライド可能に
係合されている。

従つて、前記回転軸６により偏心軸８が一定の
円軌跡を描きながら第３図において反時計回り方
向へ例えば90度回転させると、一体的に形成され
た自転防止リング１３の２つの突起１３ｂが固定
リング１１のガイド溝１１ａに規制されているの
で、第５図に示すように自転防止リング１３はガ
イド溝１１ａに沿つて左方へ真直ぐに平行移動さ
れ、このため基板９ａのガイド溝９ｄとも上下同
じ方向に保持され、可動スクロール部材９の自転
は防止される。

前記回転軸６の内端部には、可動スクロール部
材９の公転運動を円滑に行なうためのバランスウ
エイト１４が固着されており、このバランスウエ
イト１４と前記ラジアルボールベアリング５なら
びにボス部４の端面との間には冷媒ガスが通る間
隙Ｇが設けられている。

従つて、回転軸６が回転されて圧縮動作が行な
われると、フロントハウジング２の吸入口２ａか
ら吸込室Ａに流入した冷媒ガスの主流は固定リン
グ１１の吸入通路１１ｂを経て、作動室Ｂへ直接
導入されるが、一部は導入孔４ｂを通つてシール
室Ｓに導かれ、シヤフトシール機構７及びラジア
ルベアリング８を冷却、潤滑した後、同ベアリン
グ５の間隙を通つてバランスウエイト１４とベア
リング５ならびにボス部４端面との間隙Ｇに入
り、ここでバランスウエイト１４の回転による遠
心力によつて外方へ強制的に移送されて吸込室Ａ
に戻り、さらに固定リング１１の吸入通路１１ｂ
から作動室Ｂへ吸入される。

前記センタハウジング１とリヤハウジング３の
端面には、固定スクロール部材１５を構成する円
形状の基板１５ａの外周縁が挾着固定されてい
る。この基板１５ａの前面には第６図に示すよう
にうず巻部１５ｂが前記可動スクロール部材のう
ず巻部９ｃと常時２箇所以上で局部的に接触する
ように一体的に固着されている。又、前記基板１
５ａのほぼ中心部にはリヤハウジング３と同基板
１５ａによつて形成される吐出室Ｃへ圧縮された
冷媒ガスを吐出し得る吐出通路１５ｃが透設され
ている。

従つて、前記偏心軸８により可動スクロール部
材９のうず巻部９ｃが固定スクロール部材１５の
うず巻部１５ｂに局部的に接触しながら第６図反
時計回り方向へ公転されると、両うず巻部９ｃ，
１５ｂの接触部がうず巻部１５ｂの内周面上を中
心へ向つて移動し、このため２つの接触部によつ
て形成される密閉空間（第６図点を施した部分）
が徐々に取り込んだ冷媒ガスを圧縮しながら中心
部へ移動され、吐出通路１５ｃから吐出室Ｃへ吐
出され、さらにリヤハウジング３の上部に設けた
吐出口３ａから外部回路へ圧送される。

次に、本発明の要旨であるラジアルベアリング
１０の潤滑構造を第１，３図について説明する
と、前記可動スクンロール部材９の基板９ａには
基板９ａのうず巻部９ｃ側端面に開孔するととも
に前記ラジアルベアリング１０の後端に連通する
導通孔９ｅが180度離れて２箇所に設けられてい
る。そして、その開孔位置は第６図に示すように
固定スクロール部材１５のうず巻部１５ｂの外端
と可動スクロール部材９のうず巻部９ｃ外周面と
の間隙によつて形成される吸入口１６及びうず巻
部９ｃの外端とうず巻部１９ｂの外周面との間隙
によつて形成される取込口１７付近にそれぞれ設
定されている。

従つて、可動スクロール部材９の公転運動によ
り圧縮動作が行なわれ、作動室Ｂの圧力が吸込室
Ａの圧力よりも低くなると、冷媒ガスは吸込室Ａ
から吸入通路１１ｂを通つて第１図Ｔ矢印方向へ
向う主流とは別に、第１図Ｐ，Ｑ，Ｒ矢印で示す
ように可動スクロール部材９のボス部９ｂとバラ
ンスウエイト１４の間隙、ベアリング１０の間隙
及び導通孔９ｅを通つて作動室Ｂへ吸引される。
特にベアリング１０の潤滑のための流路となる導
通孔９ｅの開孔は取込口１６，１７付近に設けら
れて可動スクロール部材１５の半径方向の外側に
位置することになるので、ベアリング１０へ入る
ガスの入口と距離が長くなり、この開孔部分は最
も圧力が低くなる。従つて、ベアリング１０へ入
るガスの入口と開孔間の圧力差が大きくなるた
め、及び流速の早い取込口１６，１７の冷媒ガス
を利用して霧吹き作用が高められるため、ベアリ
ング１０の冷却、潤滑作用が一層効率良く行なう
ことができ、ベアリング１０は強制的に冷却、循
環される。

さて、本発明においては、センタハウジング１
内に配設した固定リング１１によつてフロントハ
ウジング２側に形成される空間を吸込室Ａとし、
ボス部４にシール室Ｓと連通する導入孔４ｂを設
け、さらに回転軸６の内端部に固着したバランス
ウエイト１４と前記ベアリング５ならびにボス部
４端面との間に一定の間隙Ｇを設けたので、バラ
ンスウエイト１４の回転による遠心力によつて、
吸込室Ａ→導入孔４ｂ→シール室→ベアリング５
の間隙→間隙Ｇ→吸込室Ａの経路で冷媒ガスを強
制的に循環させることができ、この結果シヤフト
シール機構７及びベアリング５を確実に冷却、潤
滑することができる。

又、本発明実施例では吸込室Ａ及びボス部４の
上部に吸入口２ａ、導入孔４ｂを互に対応して設
け、固定リング１１の下側にも吸入通路１１ｂを
設けたので、冷媒ガスの一部はボス部４を横ぎつ
て下方へ吸引される作用を受け、このため低速運
転時バランスウエイト１４の遠心力が小さいとき
にも前述した経路に冷媒ガスの流れが生じ、シヤ
フトシール機構７及びベアリング５を確実に冷
却、潤滑することができる。

特に、本発明実施例においては、可動スクロー
ル部材９の基板９ａに対し、ベアリング１０の後
端に連通する導通孔９ｅを設けて同孔９ｅを取込
口１６，１７付近へ開孔したので、ベアリング１
０へ入るガスの入口と開孔間の圧力差及び流速の
早い取込口１６，１７の冷媒ガスによる霧吹き作
用によりベアリング１０及び導通孔９ｅに冷媒ガ
スの流れを強制的に生じさせてベアリング１０を
効率的に冷却、潤滑することができる。

なお、本発明は次のような実施例で具体化する
ことも可能である。

(1) 固定リング１１に設けた吸入通路１１ｂを省
略して、同リング１１自体の穴１１ｄ（第７図
参照）を吸入通路にするとともに、固定リング
１１と基板９ａの間に冷媒ガスが通過する空間
を設けることもできる。

(2) 導通孔９ｅを１つ又は３つ以上設けること。

以上詳述したように、本発明は可動スクロール
部材の公転運動により、圧縮動作が行なわれると
可動スクロールベアリングの間隙及び導通孔を通
つて作動室へ吸引され、このため、可動スクロー
ル部材支持用のベアリングを強制的に冷却、潤滑
することができる。特に、可動スクロール部材支
持用のベアリングの潤滑のための流路となる導通
孔の開孔は取込口付近に設けられて可動スクロー
ル部材の半径方向の外側に位置することになるの
で、可動スクロール部材支持用のベアリングへ入
るガスの入口と距離が長くなり、この開孔部分は
最も圧力が低くなる。従つて、可動スクロール部
材支持用のベアリングへ入るガスの入口と開孔間
の圧力差が大きくなるため、及び流速の早い取込
口の冷媒ガスを利用して霧吹き作用が高められる
ため、可動スクロール部材支持用のベアリングの
冷却、潤滑作用が一層効率良く行なうことがで
き、同ベアリングは強制的に冷却、循環される。

また、回転軸を支持するボス部には回転軸支持
用のラジアルベアリング及びシール機構に連通す
る被圧縮流体の導入孔を設け、回転軸支持用のラ
ジアルベアリングの間隙と連通するように、バラ
ンスウエイトをボス部内端面に対して間隙を形成
するように配置したことにより、回転軸が回転さ
れて圧縮動作が行なわれると、被圧縮流体の主流
は固定リングの吸入通路を経て、作動室へ直接導
入され、一部は導入孔を通つてシヤフトシール機
構及び回転軸支持用のラジアルベアリングの間隙
を通つてバランスウエイトと回転軸支持用のラジ
アルベアリングならびにボス部端面との間隙に入
り、ここでバランスウエイトの回転による遠心力
によつて強制的に移送されることができ、それに
よつて吸込室へ被圧縮流体を戻し、さらに固定リ
ングの吸入通路から作動室へと吸入することがで
き、回転軸、回転軸支持用のラジアルベアリング
及び回転軸とボス部内周面に介装した前記シール
機構を確実に冷却、潤滑することができる効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す中央部縦断面
図、第２図は第１図のＸ−Ｘ線断面図、第３図は
第１図のＹ−Ｙ線断面図、第４図は自転防止リン
グの斜視図、第５図は第３図の位相を90度進めた
状態を示す断面図、第６図は第１図のＺ−Ｚ線断
面図、第７図は従来例を示す中央部縦断面図であ
る。 センタハウジング１、フロントハウジング２、
吸入口２ａ、回転軸６、偏心軸８、可動スクロー
ル部材９、基板９ａ、導通孔９ｅ、ラジアルベア
リング５，１０、固定リング１１、吸入通路１１
ｂ、固定スクロール部材１５、取込口１６，１
７、吸込室Ａ、作動室Ｂ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ハウジングのフロント側端面に一体的に設け
   たボス部に対し回転軸を積極回転可能にラジアル
   ベアリングを介して貫通支承し、この回転軸の内
   端に固着された偏心軸に対し可動スクロール部材
   を相対回転可能に支承し、同回転軸とボス部内周
   面にはシヤフトシール機構を介装し、前記回転軸
   の内端部には可動スクロール部材の公転運動を円
   滑化するためのバランスウエイトを固定し、前記
   ハウジングの内周面には前記可動スクロール部材
   の自転防止用固定リングを嵌合し、さらにハウジ
   ングのリヤ側には固定スクロール部材を設置して
   そのうず巻部と可動スクロール部材のうず巻部を
   少なくとも２箇所以上で部分接触した状態で重ね
   合せ、前記可動スクロール部材を一定の円軌跡上
   を公転させて両うず巻部間に形成された密閉空間
   を中心に向つて移動させながら容積の減縮を生じ
   させて一方向性連続圧縮作用を行なわせるように
   した容積式流体圧縮装置において、前記固定リン
   グによつてハウジングのフロント側に区画形成さ
   れた空間を吸込室とし、この吸込室と対応するハ
   ウジングに非圧縮流体を導入する吸入口を設け、
   前記固定リングには前記吸込室から前記可動スク
   ロール部材側の作動室へ被圧縮流体を導入する吸
   入通路を設け、さらに前記可動スクロール部材の
   基板には同スクロール部材を支承するラジアルベ
   アリングの後端に連通し、かつ前記基板の外周付
   近に開孔する導通孔を設けて、同導通孔及び可動
   スクロール部材支持用のラジアルベアリングの間
   隙により前記吸込室と作動室と連通し、前記ボス
   部には前記ラジアルベアリング及びシール機構に
   連通する被圧縮流体の導入孔を設け、前記回転軸
   支持用のラジアルベアリングの間隙と連通するよ
   うに、前記バランスウエイトをボス部内端面に対
   して間隙を形成するように配置し、可動スクロー
   ル部材の基板に設けた前記導通孔は、同基板のう
   ず巻部側端面において、可動スクロール部材のう
   ず巻部外端と固定スクロール部材のうず巻部外周
   面の間隙によつて形成される被圧縮流体の取込口
   及び／又は固定スクロール部材のうず巻部外端と
   可動スクロール部材のうず巻部外周面との間隙に
   よつて形成される取込口付近に開孔されているこ
   とを特徴とする容積式流体圧縮装置。 ２ ハウジングに設けた吸入口は同ハウジングの
   上部に設けられ、ボス部に設けた導入孔も前記吸
   入口と対応して同ボス部の上部に位置し、固定リ
   ングに設けた吸入通路は同リングの下部に設けら
   れている特許請求の範囲第１項記載の容積式流体
   圧縮装置。