JP2796811B2

JP2796811B2 - スクロール式流体機械

Info

Publication number: JP2796811B2
Application number: JP63264699A
Authority: JP
Inventors: 巖大谷; 博三橋; 雅史河相; 茂町田
Original assignee: トキコ株式会社
Priority date: 1988-10-20
Filing date: 1988-10-20
Publication date: 1998-09-10
Anticipated expiration: 2013-09-10
Also published as: JPH02112690A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、例えば圧縮機や真空ポンプ等に適用される
スクロール式流体機械に関する。

〔従来の技術〕一般に、スクロール式圧縮機は、ケーシングと、該ケ
ーシング内に配設され鏡板にうず巻状のラップ部が立設
された固定スクロールと、該固定スクロールのラップ部
に対し偏心して旋回可能に設けられ、鏡板にうず巻状の
ラップ部が立設された旋回スクロールと、該固定スクロ
ールと旋回スクロールとの間に形成された圧縮室と、該
圧縮室に連通され圧縮媒体の給排を行なうための吸込口
および吐出口とを備えたものがある。

そして、旋回スクロールを固定スクロールに対して旋
回させることにより、吸込口から吸込んだ圧縮媒体を圧
縮室を縮小することで圧縮した後、吐出口から吐出する
構成となっている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、給油式スクロール圧縮機にあっては、
冷却、潤滑およびシール作用のいずれにとっても好適で
あり高性能なスクロール圧縮機が得られる反面、潤滑油
が各軸受部のみならず圧縮室内にも入り込んで吐出口か
ら圧縮媒体と潤滑油との混合体が排出される。このた
め、油分離器、オイルクーラ、圧力制御弁、温度調節弁
等の機器が別途必要となり、しかも潤滑油中にドレンが
混入して油の劣化を早めるという課題がある。

一方、無給油式スクロール圧縮機にあっては、円滑な
回転を得るために軸受部にグリース潤滑型軸受を使用
し、各スクロールの摺動部にはテフロン等の自己潤滑性
材料を使用する必要があるが、高温時にはグリースの放
散やテフロン等の熱変形等を伴うため、高価かつ低寿命
で、また低排出圧のものにしか適用し得ないという課題
がある。

本発明は、上記従来技術による課題に着目してなされ
たもので、円滑油により圧縮熱を冷却し、軸受部の潤滑
を行なうことができ、かつ通常の軸受が使用できる構成
でありながら、作動室内に潤滑油が混入するのを防止
し、清浄な圧縮気体、清浄な真空状態を得ることができ
るようにしたスクロール式流体機械を提供することを目
的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するために、本発明は、ケーシング
と、該ケーシング内に固定され、前面側にうず巻状のラ
ップ部を有する固定スクロールと、該固定スクロールの
前面と対面するように前記ケーシング内に配設され、前
面側に該固定スクロールのラップ部と重なり合って旋回
する間に複数の作動室を形成する旋回スクロールと、該
旋回スクロールを旋回させるために、該旋回スクロール
の背面側に位置して前記ケーシングに回転自在に支持さ
れた駆動軸とからなるスクロール式流体機械に適用され
る。

そして、本発明が採用する構成の特徴は、前記旋回ス
クロールの背面側に位置して前記ケーシング内に形成さ
れ、少なくとも底部側に潤滑油が貯留されるクランク室
と、前記固定スクロールと旋回スクロールとの間に形成
される複数の作動室を該クランク室に対してシールする
シール体と、前記クランク室内に位置して前記駆動軸に
設けられ、該駆動軸の回転を安定させるバランスウェイ
トと、該バランスウェイトの回転に伴って前記クランク
室内から潤滑油を汲み上げ、この汲み上げた潤滑油を前
記固定スクロールの背面側に向けて供給する潤滑油供給
系とを備え、該潤滑油供給系は、前記バランスウエイト
に形成され前記バランスウエイトの回転方向に開口して
前記クランク室内の潤滑油を汲み上げる油掻きと、該油
掻き内を前記固定スクロールの背面側に連通させる油路
とにより構成したことにある。

〔作用〕

このように構成することにより、ケーシング内に形成
されたクランク室と作動室との間をシール体によってシ
ールできるので、クランク室内に貯留した潤滑油が作動
室内に浸入するのを防止でき、無給油式のスクロール流
体機械と同様に清浄な圧縮空気または清浄な真空状態を
得ることができる。また、クランク室内に貯留した潤滑
油により旋回スクロールを背面側から冷却できると共
に、この潤滑油をバランスウェイトに設けた油掻き、該
油掻き内を固定スクロールの背面側に連通させる油路か
らなる潤滑油供給系により固定スクロールの背面側へと
供給でき、固定スクロールも背面側から冷却することが
でき、これによって給油式のスクロール流体機械と同様
に、各部位の潤滑，冷却を行うことができる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基ずいて詳細に説明す
る。

第１図および第２図は、この発明の一実施例に係るス
クロール式流体機械として、スクロール圧縮機に適用し
た場合を示している。

同図において、１は全体として密閉構造となっている
ケーシングで、該ケーシング１は前端が閉塞した筒状の
ケーシング本体２と、該ケーシング本体２内に挿着さ
れ、その後端を閉塞する蓋体３とから構成されている。

また、ケーシング本体２は円筒部2Aと蓋体2Bとから構
成されている。そして、蓋部2Bの下部には後述の圧縮室
14に空気等の圧縮媒体を供給するために後述の吸込管15
が挿入される吸込管挿入口４が形成され、中央には圧縮
媒体を吐出するための吐出口５が形成されている。

一方、蓋体３は円盤状の蓋体本体3Aと、該蓋体本体3A
の外周部からケーシング本体２内に延びるように一体形
成され、ケーシング本体２の円筒部2Aより小径の第１の
円筒部3Bと、蓋体本体3Aの中央部に一体形成され、第１
の円筒部3Bより小径の第２の円筒部3Cと、蓋体本体3Aの
内周部に設けられ第２の円筒部3Cよりさらに小径の第３
の円筒部3Dと、蓋体本体3Aの外周部に形成されたフラン
ジ部3Eとからなり、前記第３の円筒部3Dの内周側は軸取
付穴６となっている。そして前記フランジ部3EはＯリン
グ等のシール部材７を介してケーシング本体２と蓋体３
とを液密とし、ケーシング１を密閉している。

８はケーシング本体２内に固定された固定スクロール
を示し、該固定スクロール８は円盤状の鏡板8Aと、該固
定スクロール８の前面側である鏡板8Aの蓋体３側に立設
されたうず巻き状のラップ部8Bと、固定スクロール８の
背面側である鏡板8Aの中央部に立設され、ケーシング２
の蓋部2Bに固着された円筒状のボス部8Cと、ラップ部8B
外周部に位置して鏡板8Aに立設された円筒部8Dよりなっ
ている。９は冷却室で、該冷却室９はボス部8Cがケーシ
ング本体２の蓋部2Bに固着された状態で、固定スクロー
ル８の鏡板8A背面側と蓋部2Bとの間に画成される。ま
た、円筒部8Dの外周面にＯリング等のシール部材10を介
して蓋体３の第１の円筒部3B内周面が挿入されている
Ｋ。この挿入により、ケーシング本体２の円筒部2Aと蓋
体３の第１の円筒部3Bとの間に潤滑油供給通路11が形成
される。12はフランジ部10よりも外側に位置して固定ス
クロール８の鏡板8A外周部に形成された潤滑油流通口
で、該潤滑油流通口12は前記潤滑油供給通路11と冷却室
９とを連通させている。

13はケーシング１内に位置して固定スクロール８の前
面側と対面するように配設された旋回スクロールで、該
旋回スクロール13は固定スクロール８の軸心O₁−O₁と偏
心量δをもって偏心した軸心O₂−O₂を中心として後述の
駆動軸24に回転自在に支持されている。ここで、該旋回
スクロール13は円盤状の鏡板13Aと、該旋回スクロール1
3の前面側である鏡板13Aの固定スクロール８側に立設さ
れたうず巻き状のラップ部13Bと、旋回スクロール13の
背面側である鏡板13Aの蓋体３側中央部に立設された円
筒状のボス部13Cとよりなっている。そして、前記固定
スクロール８のラップ部8B先端と旋回スクロール13のラ
ップ部13B先端は、それぞれ他方の鏡板8A,13Aに対して
数μｍの隙間を有している。また、各ラップ部8B,13B間
も数μｍの隙間を有している。

14,14,…は作動室としての圧縮室で、該各圧縮室14は
前記固定スクロールのラップ部8Bと旋回スクロール13の
ラップ部13Bとの間に形成されている。そして、圧縮室1
4は固定スクロール８と旋回スクロール13との相対旋回
によりラップ部8B,13B部間で漸次縮小される。

15は前記吸込管挿入口４に挿通され、空気や冷媒等の
圧縮媒体を吸込むための吸込管で、該吸込管15の一端は
Ｏリング等のシール部材16を介して外部に突出し、他端
は外周側の圧縮室14に連通している。また、17は圧縮室
14で圧縮された空気等を吐出口５より吐出させるための
吐出孔で、該吐出孔17は固定スクロール８の鏡板8A中央
に開口している。

次に、前述の圧縮室14内を油密、気密にシールするた
め後述のベロフラム19等からなるシール体の構成につい
て述べる。

まず、18は金属製の筒体で、該筒体18は蓋体３の第１
の円筒部3B内周面に圧入した基部18Aと、該基部18Aより
蓋体本体3A側に突出する自由端部18Bとからなってい
る。

19は例えば可撓性、弾性を有する部材、例えばゴム
材、樹脂材からなる可撓性隔壁としてのベロフラムであ
り、該ベロフラム19はその一端が筒体18の自由端部18B
に金属製の押えリング20により固着され、他端が旋回ス
クロール13の外周部に金属製の押えリング21により固着
されている。従って、ベロフラム19は固定スクロール８
と蓋体３とにより画成される空間を圧縮室14側と旋回ス
クロール13の背面側のクランク室22とに密閉区画してい
る。ベロフラム19は、旋回スクロール13が旋回すると、
この旋回運動に追従して第１図中で自由端部18Bを支点
として距離２δ分上下方向に移動する。

また、23は蓋体３の第１の円筒部3Bと筒体18との間に
設けられたＯリング等のシール部材であり、該シール部
材23は圧縮室14側と旋回スクロール88の背面側のクラン
ク室22とを液密としている。

次に、24は旋回スクロール13を旋回させるための駆動
軸を示し、該駆動軸24はクランク室22内に挿入され、途
中が蓋体３の軸取付穴６に軸受け25を介して回転自在に
支持されている。そして、該駆動軸24の一端はケーシン
グ１外に突出してモータ（図示しない）に連結され、他
端は旋回スクロール８のボス部13C内に位置してクラン
ク24Aとなっている。該クランク24Aと旋回スクロール13
のボス部13Cとの間には旋回軸受26が設けられ、旋回ス
クロール13は該軸受26を介してクランク24Aに旋回自在
となっている。駆動軸24の軸心O₃−O₃は固定スクロール
８の軸心O₁−O₁と同一になっており、クランク24Aおよ
び旋回スクロール13の軸心O₂−O₂は固定スクロール８の
軸心O₁−O₁に対し偏心量δをもって偏心している。そし
て、蓋体３の第３の円筒部3Dと駆動軸24との間にシール
部材27が設けられ、該シール部材27はケーシング本体２
と蓋体３とを気密に液閉している。

28はクランク室22内である旋回スクロール13の背面側
に設けられた自転防止機構としてのオルダム継手で、該
オルダム継手28は旋回スクロール13の背面側と蓋体３の
第２の円筒部3Cとに形成されたキー溝に嵌入され、旋回
スクロール13を旋回させる際、該旋回スクロール13を駆
動軸24の軸心O₃−O₃を中心として半径δをもって公転す
るように案内するためのものである。

また、29は固定スクロール８と旋回スクロール13との
間に設けられた自転防止機構としての補助クランク機構
であり、該補助クランク機構29は前記オルダム継手28と
同様に駆動軸24を回転して旋回スクロール13を旋回させ
る際、該旋回スクロール13を駆動軸24の軸心O₃−O₃を中
心として半径δをもって公転するように案内するための
ものである。そして、該補助クランク機構29は、前記ク
ランク24Aの偏心量δと同一の偏心量δを有するクラン
ク軸29Aと、該クランク軸29Aの一端および他端に設けら
れ、グリースが封入された軸受29B,29Cとよりなってい
る。

なお、旋回スクロール13の鏡板13A背面側は摺動面13D
となり、該摺動面13Dは蓋体３の第２の円筒部3C端面に
形成されたすべり軸受30に当接している。従って、該す
べり軸受30により旋回スクロール13の旋回がスラスト方
向に対し安定してなされ、かつ旋回スクロール13の背面
方向への移動を規制している。

さらに、ケーシング１内の必要な部位を冷却し、潤滑
するための構成について述べる。

即ち、旋回スクロール13の背面側に位置するクランク
室22と固定スクロール８の背面側に位置する冷却室９と
は、その底部側に潤滑油31が貯留されると共に、両者は
底部側で互いに連通している。そして、潤滑油31は潤滑
油供給系Ａによりクランク室22側から冷却室９内へと循
環して供給されるものである。

32はクランク室22内に位置して駆動軸24に設けられた
バランスウェイトで、該バランスウェイト32は駆動軸24
と一体に回転し、旋回スクロール13の旋回運動に対して
駆動軸24の回転を安定させる構成となっている。また、
バランスウェイト32には潤滑油供給系Ａの一部を構成す
る後述の油掻き33及び通油孔34等が設けられ、油掻き33
はバランスウェイト32の回転に伴ってクランク室22内か
ら潤滑油31を汲み上げると共に、汲み上げた潤滑油31を
通油孔34を介して後述の潤滑油室35側へと供給する構成
となっている。

ここで、潤滑油供給系Ａは、第２図に示すようにバラ
ンスウエイト32の回転方向に開口し、傾斜部33Aを通じ
てクランク室22内の潤滑油31を汲み上げる油掻き33と、
該油掻き33で汲み上げた潤滑油31を第１図に示す如く固
定スクロール８の背面側に向けて流通させるため、油掻
き33の傾斜部33Aに連通する通油孔34と、バランスウエ
イト32の背面側と蓋体３の円筒部3Dとの間にシール部材
27を介して形成され、油掻き33内に通油孔34を通じて連
通した潤滑油室35と、該潤滑油室35と前記潤滑油供給通
路11とを連通すべく、蓋体３の第１の円筒部3Bと第３の
円筒部3Dとの間に第２円筒部3Cを貫通して設けられた潤
滑油供給管36とからなっている。なお、37は蓋体の第３
の円筒部3Dとバランスウェイト32との間に設けられたシ
ール部材であり、該シール部材37は潤滑油室35の潤滑油
31がクランク室22に流下するのを抑えている。

前記油掻き33はクランク室22の潤滑油31をクランク室
22内に掻き上げるとともに、駆動軸24の回転に伴ない潤
滑油31を傾斜部33Aから汲み上げた後、通油孔34、潤滑
油室35、潤滑油供給管36、潤滑油供給通路11、潤滑油流
通口12からなる油路を順に介して冷却室９に送り込むよ
うになっている。

図中、38はケーシング本体２の蓋体2Bの外部に複数突
設された冷却フィン、39は蓋体本体3Aの外部に複数突設
された冷却フィンであって、冷却フィン38,39は潤滑油3
1の熱を放熱させて自然冷却させる。

本実施例はこのように構成されるが、次に作用を説明
する。

まず、モータを駆動すると駆動軸24が軸心O₃−O₃を中
心として回転し、旋回スクロール13が軸心O₂−O₂をもっ
て旋回する。吸込管15からは圧縮媒体として空気等が順
次供給され、該空気等は圧縮室14内に入り込む。旋回ス
クロール13は固定スクロール８に対し相対的に旋回して
おり、圧縮室14は漸次収縮されて空気等が圧縮された
後、該圧縮空気はケーシング１の吐出口５から外部に吐
出される。

この際、駆動軸24の回転に伴ない、油掻き33がクラン
ク室22底部の潤滑油31をクランク室22内に掻き上げ、潤
滑油31を旋回軸受26、シール部材27およびオルダム継手
28にはねかけて回転を円滑に保持するとともに、クラン
ク室22内各部を冷却し、特に圧縮時に発生する圧縮熱に
よる影響を抑えることができる。

ケーシング１の蓋体３の駆動軸24との間にはシール部
材27が設けられているため、潤滑油31が外部に流出しな
い。また、圧縮室14とクランク室22との間はベロフラム
19により密閉に画成され、しかも筒体18と蓋体３との間
にはシール部材23が介在されているため、潤滑油31が圧
縮室14内に混入することはない。従って、圧縮空気中に
混入された潤滑油31を除去するための油分離器等の機器
が別途必要とならず、しかも潤滑油31中にドレンが混入
して油の劣化を早めるというような事態も防止しうる。

ここで、駆動軸24が回転すると、潤滑油31の一部は油
掻き33の傾斜部33Aより汲み上げられ、通油孔34、潤滑
油室35、潤滑油供給管36、潤滑油供給通路11、潤滑油流
通口12からなる油路を順次介して冷却室９内に供給され
る。この結果、潤滑油31により固定スクロール８の背面
側を冷却して前記と同様、特に圧縮時に発生する圧縮熱
による影響を抑えることができる。

クランク室22に掻き上げられた潤滑油31と冷却室９に
供給された潤滑油31とは、クランク室22および冷却室９
の底部にそれぞれ流れ落ちる。その後、底部に流れ落ち
た潤滑油31は再び油掻き33によりクランク室22および冷
却室９に供給される。

前述のように、固定スクロール８および旋回スクロー
ル13の背面側はそれぞれ潤滑油31により冷却されるた
め、これら各スクロール8,13の熱変形が小さく安定した
運転性能が得られる。

旋回スクロール13が旋回すると、ベロフラム19は筒体
18の自由端部18Bを支点とし第１図中で距離２δをもっ
て旋回するように上下方向に移動し、当該ベロフラム19
は旋回スクロール13の旋回運動に追従して変形し、圧縮
室14とクランク室22との密閉状態を保持する。この際、
ベロフラム19は一端が筒体18の自由端部18Bに固定さ
れ、他端が旋回スクロール13の鏡板13A外周部に固定さ
れており、旋回スクロール13は自転しないため、ベロフ
ラム19自体が自転するのを防止することができる。

従って、圧縮室14とクランク室22とを密閉画成するた
めに、例えばＯリング等のシール部材を使用する場合に
比べ、滑りながらシールするものではなく固定されたシ
ールであり、確実に圧縮室14とクランク室22との間を密
閉することができ、圧縮室14に潤滑油31が混入するのを
防止することができる。また、Ｏリングを使用した場合
は、該Ｏリングが摺動により摩耗しやすいが、ベロフラ
ム19による場合はこのような摩耗がなく、交換の手間等
を軽減することができる。

また、ケーシング１にはシール部材7,16,27が設けら
れているため、潤滑油31が外部に漏出するのを抑えるこ
とができる。また、圧縮室14とクランク室22、冷却室９
との間にはそれぞれシール部材23,10が設けられている
ため、冷却室９およびクランク室22内の潤滑油31が圧縮
室14内に混入するのを抑えることができる。

さらに、圧縮時には圧縮室14内の圧縮空気により、旋
回スクロール13が固定スクロール８より開離しようとす
るが、この開離力をすべり軸受30により規制することが
できる。この際、クランク室22に潤滑油31が掻き上げら
れると、該すべり軸受30を潤滑し、旋回スクロール13の
旋回を円滑にさせる。しかも、該すべり軸受30は、圧縮
機起動時の撹乱等による旋回スクロール13のスラスト荷
重の変動をおさえることができる。

次に、他の実施例を第３図に基づいて説明する。な
お、前述の実施例と同様な構成要素には同符合を附して
説明を省略する。

この実施例では、スクロール式流体機械としてスクロ
ールを、真空ポンプに適用した場合を示している。

図中、41は固定スクロール８と旋回スクロール13との
間に形成された作動室としての負圧室であり、該負圧室
41には吸込管15の一端が連結され、該吸込管15の他端は
真空にすべき被真空容器（図示せず）に連結されてい
る。

そして、モータを駆動させて旋回スクロール13を固定
スクロール８に対し相対旋回させると、被真空容器の空
気が吸込管15を介して負圧室41に吸込まれ、ケーシング
１の吐出口５から吐出され、被真空容器が真空になる。

42は固定スクロール８に取り付けられたばね受43と旋
回スクロール13側の補助クランク機構29との間に設けら
れた圧縮スプリングであり、該圧縮スプリング42は旋回
スクロール13を固定スクロール８より開離させる方向に
付勢している。

これにより、被真空容器内が真空状態となり、負圧室
41に負圧が発生した際、旋回スクロール13が固定スクロ
ール８側に引き付けられ、各ラップ部13B,8Bの端面が他
方の鏡板8A,13Aに接触してかじり現象が発生するのを抑
えることができる。

本実施例はこのように構成されるが、本実施例におい
ても、クランク室22と冷却室９とに潤滑油31を供給する
ことができ、各部の冷却、潤滑およびシールを行なうこ
とができる。しかも、負圧室41内に潤滑油31が混入する
ことがなく、潤滑油31を除去するための油分離器等の機
器が別途必要とならず、しかも潤滑油31中にドレンが混
入して油の劣化を早めるということもない。

なお、本発明は、上記実施例のものに限定されず、筒
体18を設けずにベロフラム19のみを蓋体３の第１の円筒
部3Bと旋回スクロール13との間に設けても同様な効果を
得ることができる。

また、油掻き33は駆動軸24にバランスウェイト32を兼
ねて設けたが、該油掻き33に別途設けてもよく、冷却室
９側への潤滑油供給はオイルポンプ等の他の動力源によ
り行なってもよく、一方油掻きによる単なるはね上げで
潤滑油供給通路11に潤滑油31を供給してもよい。

さらに、クランク室22側のオルダム継手28と、圧縮室
14側または負圧室40側の補助クランク機構29とは、いず
れか一方のみを設ける構成としても、同様の効果が得ら
れる。

［発明の効果］以上説明したように、本発明によれば、固定スクロー
ルと旋回スクロールとの間に形成される複数の作動室
を、ケーシング内のクランク室に対してシール体により
シールし、バランスウェイトにはクランク室から潤滑油
を汲み上げるためにバランスウエイトの回転方向に開口
する油掻きを設けると共に、該油掻き内を固定スクロー
ルの背面側に連通させる油路を設け、これらの油掻きと
油路を含む潤滑油供給系により汲み上げられた潤滑油を
固定スクロールの背面側に向けて供給する構成としたか
ら、クランク室内に貯留した潤滑油が作動室内に浸入す
るのを防止でき、油分離器等の機器を別途設ける必要が
なく、清浄な圧縮気体または清浄な真空状態を得ること
ができる。

そして、潤滑油供給系の油掻きをバランスウエイトの
回転方向に開口させているので、クランク室内の潤滑油
を油掻きにより効率的に汲み上げることができ、油掻き
内に汲み上げた潤滑油を油路を通じて固定スクロールの
背面側へと供給できると共に、この潤滑油によって固定
スクロールの背面側を確実に冷却することができる。ま
た、スクロールの運転中にあっては、バランスウェイト
の回転によりクランク室内の潤滑油を掻き上げることが
でき、この潤滑油を旋回スクロールの背面側に供給して
旋回スクロールを冷却できる。

従って、本発明によれば、潤滑油を旋回スクロールと
固定スクロールとの背面側に供給して圧縮熱等を冷却で
き、軸受部等も潤滑油により冷却することができると共
に、シール体により固定スクロールと旋回スクロールと
の間の作動室内に潤滑油が混入するのを防止でき、清浄
な圧縮気体、清浄な真空状態を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係るスクロール圧縮機の縦
断面図、第２図は第１図のII−II矢示方向断面図、第３
図は他の実施例に係るスクロール真空ポンプの要部縦断
面図である。１……ケーシング、８……固定スクロール、13……旋回
スクロール、14……圧縮室（作動室）、19……ベロフラ
ム（可撓性隔壁）、24……駆動軸、Ａ……潤滑油供給
系。

フロントページの続き (56)参考文献特開昭61−294186（ＪＰ，Ａ) 特開昭62−191690（ＪＰ，Ａ) 特開昭59−192884（ＪＰ，Ａ) 実開昭62−54294（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F04C 18/02 311 F04C 29/02 311

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】ケーシングと、該ケーシング内に固定さ
れ、前面側にうず巻状のラップ部を有する固定スクロー
ルと、該固定スクロールの前面と対面するように前記ケ
ーシング内に配設され、前面側に該固定スクロールのラ
ップ部と重なり合って旋回する間に複数の作動室を形成
する旋回スクロールと、該旋回スクロールを旋回させる
ために、該旋回スクロールの背面側に位置して前記ケー
シングに回転自在に支持された駆動軸とからなるスクロ
ール式流体機械において、前記旋回スクロールの背面側に位置して前記ケーシング
内に形成され、少なくとも底部側に潤滑油が貯留される
クランク室と、前記固定スクロールと旋回スクロールと
の間に形成される複数の作動室を該クランク室に対して
シールするシール体と、前記クランク室内に位置して前
記駆動軸に設けられ、該駆動軸の回転を安定させるバラ
ンスウェイトと、該バランスウェイトの回転に伴って前
記クランク室内から潤滑油を汲み上げ、この汲み上げた
潤滑油を前記固定スクロールの背面側に向けて供給する
潤滑油供給系とを備え、該潤滑油供給系は、前記バランスウエイトに形成され前
記バランスウエイトの回転方向に開口して前記クランク
室内の潤滑油を汲み上げる油掻きと、該油掻き内を前記
固定スクロールの背面側に連通させる油路とにより構成
したことを特徴とするスクロール式流体機械。