JPH0543943A - 方向性珪素鋼板の鏡面化方法 - Google Patents
方向性珪素鋼板の鏡面化方法Info
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- JPH0543943A JPH0543943A JP20443291A JP20443291A JPH0543943A JP H0543943 A JPH0543943 A JP H0543943A JP 20443291 A JP20443291 A JP 20443291A JP 20443291 A JP20443291 A JP 20443291A JP H0543943 A JPH0543943 A JP H0543943A
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- grain
- annealing
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- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 方向性電磁鋼板の精密鏡面化方法。
【構成】 方向性電磁鋼板の仕上焼鈍を完了した材料
を、酸洗し、フォルステライト被膜を除去する。これに
珪素より酸素親和性の強い金属粉末の入ったアルミナを
主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、１０００〜１２００
℃、水素中で１時間以上保持する。 【効果】 珪素より酸素親和性の強い金属粉末が板間に
あるため、鋼板中の珪素は全く酸化されずに、良好なサ
ーマルエッチングによる鏡面が得られる。これにより磁
壁のピンニングが減少し、極めて低い鉄損材料となる。
を、酸洗し、フォルステライト被膜を除去する。これに
珪素より酸素親和性の強い金属粉末の入ったアルミナを
主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、１０００〜１２００
℃、水素中で１時間以上保持する。 【効果】 珪素より酸素親和性の強い金属粉末が板間に
あるため、鋼板中の珪素は全く酸化されずに、良好なサ
ーマルエッチングによる鏡面が得られる。これにより磁
壁のピンニングが減少し、極めて低い鉄損材料となる。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄損が極めて低い方向
性珪素鋼板（以下方向性電磁鋼板と称す）に関するもの
である。方向性電磁鋼板の鉄損は、同一素材であっても
鋼板界面の凹凸の度合いによって変わり、平滑表面が最
も鉄損が低く、鏡面が最善とされている。本発明はその
鏡面化方法に関し、優れた方法を提供しようとするもの
である。この方法によって鏡面化された電磁鋼板は、磁
区細分化、張力コーティング等の処理を行い、鉄損特性
の改善を図ることができる。
性珪素鋼板（以下方向性電磁鋼板と称す）に関するもの
である。方向性電磁鋼板の鉄損は、同一素材であっても
鋼板界面の凹凸の度合いによって変わり、平滑表面が最
も鉄損が低く、鏡面が最善とされている。本発明はその
鏡面化方法に関し、優れた方法を提供しようとするもの
である。この方法によって鏡面化された電磁鋼板は、磁
区細分化、張力コーティング等の処理を行い、鉄損特性
の改善を図ることができる。
【０００２】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、電気機器の磁気鉄心
として多用され、エネルギーロスを少なくすべく、改善
が繰り返されてきた。方向性電磁鋼板の鉄損を低減する
手段として、仕上焼鈍後の材料表面にレーザービームを
照射し、局部歪を与え、それによって磁区を細分化して
鉄損を低下させる方法が、例えば特開昭５８−２６４０
５号公報に開示されている。また局部歪は、通常行われ
る加工後の応力除去焼鈍（歪取焼鈍）によって除去され
るので、磁区細分化効果が消失する。この改善策、すな
わち応力除去焼鈍しても磁区細分化効果が消失しない手
段が、例えば特開昭６２−８６１７号公報に開示されて
いる。さらに鉄損値の低減を図かるためには、鋼板表面
近傍の磁区の動きを阻害する地鉄表面の凹凸を取り除く
こと（平滑化）が重要である。平滑化の最も高いレベル
が鏡面化である。仕上焼鈍後の材料表面を平滑化（鏡面
化）する方法としては、特開昭６４−８３６２０号公報
に開示されている化学研磨、電解研磨等がある。
として多用され、エネルギーロスを少なくすべく、改善
が繰り返されてきた。方向性電磁鋼板の鉄損を低減する
手段として、仕上焼鈍後の材料表面にレーザービームを
照射し、局部歪を与え、それによって磁区を細分化して
鉄損を低下させる方法が、例えば特開昭５８−２６４０
５号公報に開示されている。また局部歪は、通常行われ
る加工後の応力除去焼鈍（歪取焼鈍）によって除去され
るので、磁区細分化効果が消失する。この改善策、すな
わち応力除去焼鈍しても磁区細分化効果が消失しない手
段が、例えば特開昭６２−８６１７号公報に開示されて
いる。さらに鉄損値の低減を図かるためには、鋼板表面
近傍の磁区の動きを阻害する地鉄表面の凹凸を取り除く
こと（平滑化）が重要である。平滑化の最も高いレベル
が鏡面化である。仕上焼鈍後の材料表面を平滑化（鏡面
化）する方法としては、特開昭６４−８３６２０号公報
に開示されている化学研磨、電解研磨等がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】従来、鋼板表面を鏡面
化（平滑化）する方法としては、前記化学研磨、電解研
磨の他にブラシ研磨、サンドペーパー研磨、研削等の化
学的あるいは物理的方法がある。しかしながら、これら
の方法は、小試片、少量の試料を作るには適するが、工
業的に多量生産される金属ストリップ等の表面鏡面化
（平滑化）のためには諸々の困難を伴う。最も平滑化で
きるとされる化学的方法、すなわち化学研磨において
は、薬剤濃度管理や排水処理等の環境問題があり、一
方、物理的方法においては、工業的に大きな面積を持つ
表面を同一基準で平滑化（鏡面化）することは極めて困
難であるという問題点がある。
化（平滑化）する方法としては、前記化学研磨、電解研
磨の他にブラシ研磨、サンドペーパー研磨、研削等の化
学的あるいは物理的方法がある。しかしながら、これら
の方法は、小試片、少量の試料を作るには適するが、工
業的に多量生産される金属ストリップ等の表面鏡面化
（平滑化）のためには諸々の困難を伴う。最も平滑化で
きるとされる化学的方法、すなわち化学研磨において
は、薬剤濃度管理や排水処理等の環境問題があり、一
方、物理的方法においては、工業的に大きな面積を持つ
表面を同一基準で平滑化（鏡面化）することは極めて困
難であるという問題点がある。
【０００４】本発明は、これらの問題点を排除して、工
業的生産規模で方向性電磁鋼板の表面を鏡面化（平滑
化）する方法を提供することを目的とする。
業的生産規模で方向性電磁鋼板の表面を鏡面化（平滑
化）する方法を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、仕上焼鈍工程を経た方向性珪素鋼板を酸洗してフ
ォルステライト被膜を除去し、珪素より酸素親和性の強
い金属粉末を含む焼鈍分離剤を塗布して、水素を含む雰
囲気中で、１０００〜１２５０℃、１時間以上の焼鈍を
行うことを特徴とする方向性珪素鋼板の鏡面化方法にあ
る。
ろは、仕上焼鈍工程を経た方向性珪素鋼板を酸洗してフ
ォルステライト被膜を除去し、珪素より酸素親和性の強
い金属粉末を含む焼鈍分離剤を塗布して、水素を含む雰
囲気中で、１０００〜１２５０℃、１時間以上の焼鈍を
行うことを特徴とする方向性珪素鋼板の鏡面化方法にあ
る。
【０００６】本発明の実施にあたり、珪素より酸素親和
性の強い金属粉末として、アルミニウム（Ａｌ）、チタ
ン（Ｔｉ）及びバナジウム（Ｖ）の金属粉末を単独ある
いは２種以上混合して用いることができ、焼鈍分離剤の
主成分としては、Ａｌ2Ｏ3（アルミナ）が最善で、その
他ＭｇＯ以外のアルカリ土金属の酸化物を用いることが
できる。また、焼鈍分離剤の塗布を静電塗布とすること
で鏡面化は、より一層高度化する。
性の強い金属粉末として、アルミニウム（Ａｌ）、チタ
ン（Ｔｉ）及びバナジウム（Ｖ）の金属粉末を単独ある
いは２種以上混合して用いることができ、焼鈍分離剤の
主成分としては、Ａｌ2Ｏ3（アルミナ）が最善で、その
他ＭｇＯ以外のアルカリ土金属の酸化物を用いることが
できる。また、焼鈍分離剤の塗布を静電塗布とすること
で鏡面化は、より一層高度化する。
【０００７】以下、本発明について詳細に説明する。従
来の鋼板表面を鏡面化（平滑化）する方法には、前記化
学研磨、電解研磨の他にブラシ研磨、サンドペーパー研
磨、研削等の物理的方法があるが、これらの方法は、工
業的に多量生産される金属ストリップ等の表面鏡面化
（平滑化）には、諸々の困難を伴い実用的でないので、
本発明者らはさらに工業的実用性に富む方法について検
討した結果、方向性電磁鋼板を酸洗して表面被膜を除去
し、これに金属が高温で焼き付かないような分離手段、
例えば耐熱セラミック板の挟み込みやスペーサーの介在
等による鋼板の接触防止手段等を施して、水素を含む焼
鈍雰囲気中で１０００℃以上で保持することにより鏡面
を得ることができた。
来の鋼板表面を鏡面化（平滑化）する方法には、前記化
学研磨、電解研磨の他にブラシ研磨、サンドペーパー研
磨、研削等の物理的方法があるが、これらの方法は、工
業的に多量生産される金属ストリップ等の表面鏡面化
（平滑化）には、諸々の困難を伴い実用的でないので、
本発明者らはさらに工業的実用性に富む方法について検
討した結果、方向性電磁鋼板を酸洗して表面被膜を除去
し、これに金属が高温で焼き付かないような分離手段、
例えば耐熱セラミック板の挟み込みやスペーサーの介在
等による鋼板の接触防止手段等を施して、水素を含む焼
鈍雰囲気中で１０００℃以上で保持することにより鏡面
を得ることができた。
【０００８】さらに、本発明者らは、周知の方向性電磁
鋼板の製造工程の一つである仕上焼鈍工程と同様な方法
で鏡面化が図れないかと考えて、方向性電磁鋼板を酸洗
して表面被膜を除去し、これにＡｌ2Ｏ3（アルミナ）、
ＢａＯ等の焼鈍分離剤を塗布して方向性電磁鋼板の製造
工程の一つである仕上焼鈍工程に入れたところ、鏡面化
された方向性電磁鋼板が得られた。
鋼板の製造工程の一つである仕上焼鈍工程と同様な方法
で鏡面化が図れないかと考えて、方向性電磁鋼板を酸洗
して表面被膜を除去し、これにＡｌ2Ｏ3（アルミナ）、
ＢａＯ等の焼鈍分離剤を塗布して方向性電磁鋼板の製造
工程の一つである仕上焼鈍工程に入れたところ、鏡面化
された方向性電磁鋼板が得られた。
【０００９】この方法について、さらに詳しく検討した
結果、水素を主体とする焼鈍雰囲気の露点により表面
（鏡面）が変化することを見出した。すなわち焼鈍雰囲
気の露点が高くなると鏡面が曇ってくることである。こ
れは、方向性電磁鋼板中の珪素が水分と反応して鋼板表
面にＳｉＯ2 を生成してこれが焼鈍分離剤と反応するた
めと考えられた。これは焼鈍雰囲気だけでなく、焼鈍分
離剤に含まれる水分、例えば水和物量にも影響されるこ
とによる。そこで、焼鈍分離剤に水分を除去する物質を
混合すれば、常に安定して最良の鏡面が得られるものと
考えた。しかしながら、水分と反応して水分を除去する
効果を奏するならば如何なる物質であれ本発明の目的に
合致するというものではない。ここには珪素より酸素親
和性の強い物質という条件がある。これは一時的に水分
を捉えても高温で電磁鋼板中の珪素の動きが大きくなっ
てくると、水分（あるいは、酸素）は、珪素の酸化の酸
素源となってしまうからである。当然ながら、方向性電
磁鋼板の製造工程の一つである仕上焼鈍工程と同様な工
程で焼鈍分離剤として用いるので、粉末でなければなら
ない。このような目的に適う粉末として、Ａｌ、Ｖ、Ｔ
ｉ等の金属粉末が選択される。さらに本発明の主旨とす
るところの酸素源を絶つという観点から鋼板表面に焼鈍
分離剤を塗布する方法として、静電塗布は極めて有効で
ある。
結果、水素を主体とする焼鈍雰囲気の露点により表面
（鏡面）が変化することを見出した。すなわち焼鈍雰囲
気の露点が高くなると鏡面が曇ってくることである。こ
れは、方向性電磁鋼板中の珪素が水分と反応して鋼板表
面にＳｉＯ2 を生成してこれが焼鈍分離剤と反応するた
めと考えられた。これは焼鈍雰囲気だけでなく、焼鈍分
離剤に含まれる水分、例えば水和物量にも影響されるこ
とによる。そこで、焼鈍分離剤に水分を除去する物質を
混合すれば、常に安定して最良の鏡面が得られるものと
考えた。しかしながら、水分と反応して水分を除去する
効果を奏するならば如何なる物質であれ本発明の目的に
合致するというものではない。ここには珪素より酸素親
和性の強い物質という条件がある。これは一時的に水分
を捉えても高温で電磁鋼板中の珪素の動きが大きくなっ
てくると、水分（あるいは、酸素）は、珪素の酸化の酸
素源となってしまうからである。当然ながら、方向性電
磁鋼板の製造工程の一つである仕上焼鈍工程と同様な工
程で焼鈍分離剤として用いるので、粉末でなければなら
ない。このような目的に適う粉末として、Ａｌ、Ｖ、Ｔ
ｉ等の金属粉末が選択される。さらに本発明の主旨とす
るところの酸素源を絶つという観点から鋼板表面に焼鈍
分離剤を塗布する方法として、静電塗布は極めて有効で
ある。
【００１０】以下、実施条件について述べる。周知のよ
うに方向性電磁鋼板の仕上焼鈍工程で電磁鋼板表面にで
きる被膜はフォルステライトを主体としたものである。
これを除去する方法としては、機械研磨、例えばブラシ
研磨、サンドペーパー研磨、研削等があり、単なる被膜
除去の目的には有効であるが、工業上種々の困難を伴
い、あまり実用的でない。本発明者等は、酸洗による方
法が極めて有効であることに気付いた。これは、熱延鋼
帯あるいは鋼板等の連続酸洗ラインが既に実用化されて
いるからである。また、酸洗液（酸洗溶液）としては、
塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が有効であるが、セラミック
スは容易に鉱酸に溶解しないので、これらの酸にフッ酸
を混合すると極めて効率的、すなわち高速でフォルステ
ライト層を除去することができる。
うに方向性電磁鋼板の仕上焼鈍工程で電磁鋼板表面にで
きる被膜はフォルステライトを主体としたものである。
これを除去する方法としては、機械研磨、例えばブラシ
研磨、サンドペーパー研磨、研削等があり、単なる被膜
除去の目的には有効であるが、工業上種々の困難を伴
い、あまり実用的でない。本発明者等は、酸洗による方
法が極めて有効であることに気付いた。これは、熱延鋼
帯あるいは鋼板等の連続酸洗ラインが既に実用化されて
いるからである。また、酸洗液（酸洗溶液）としては、
塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が有効であるが、セラミック
スは容易に鉱酸に溶解しないので、これらの酸にフッ酸
を混合すると極めて効率的、すなわち高速でフォルステ
ライト層を除去することができる。
【００１１】焼鈍分離剤の主成分は鋼板界面に残存する
かあるいは焼鈍中に生じるＳｉＯ2 と反応してフォルス
テライトを生成しない物質が望ましく、Ａｌ2Ｏ3（アル
ミナ）、ＭｇＯ以外のアルカリ土金属の酸化物、すなわ
ちＳｒＯ、ＢａＯ、ＣａＯ等の粉末が有効である。水分
を焼鈍炉内に持ち込まないという点でアルミナは特に優
れている。これらは前記するように水分を極力少ない状
態で塗布されなければならない。また通常用いられる反
応を遅くする手段、すなわち粉末の粒度を大きくするこ
とは極めて効果的である。このような主成分に珪素より
酸素親和性の強い金属粉末を数％混合して焼鈍分離剤と
して用いる。親和性の強い金属粉末としては、アルミニ
ウム（Ａｌ）、チタン（Ｔｉ）及びバナジウム（Ｖ）の
金属粉末を単独あるいは２種以上混合して用いることが
できる。添加量は０．０１重量％から１０．０重量％が
好ましい。
かあるいは焼鈍中に生じるＳｉＯ2 と反応してフォルス
テライトを生成しない物質が望ましく、Ａｌ2Ｏ3（アル
ミナ）、ＭｇＯ以外のアルカリ土金属の酸化物、すなわ
ちＳｒＯ、ＢａＯ、ＣａＯ等の粉末が有効である。水分
を焼鈍炉内に持ち込まないという点でアルミナは特に優
れている。これらは前記するように水分を極力少ない状
態で塗布されなければならない。また通常用いられる反
応を遅くする手段、すなわち粉末の粒度を大きくするこ
とは極めて効果的である。このような主成分に珪素より
酸素親和性の強い金属粉末を数％混合して焼鈍分離剤と
して用いる。親和性の強い金属粉末としては、アルミニ
ウム（Ａｌ）、チタン（Ｔｉ）及びバナジウム（Ｖ）の
金属粉末を単独あるいは２種以上混合して用いることが
できる。添加量は０．０１重量％から１０．０重量％が
好ましい。
【００１２】鏡面化するための焼鈍は、１０００℃以上
１２５０℃以下の温度で１時間以上保定すればよく、特
定な熱サイクルを必要としない。また焼鈍雰囲気は１０
０％水素が望ましいが、窒素、アルゴン等のガスを混合
しても何等差し障りはない。ただし、鏡面化のために
は、水素が５％以上含まれることが望ましい。また前記
するように雰囲気中の水分は少なければ少ないほど効果
的である。
１２５０℃以下の温度で１時間以上保定すればよく、特
定な熱サイクルを必要としない。また焼鈍雰囲気は１０
０％水素が望ましいが、窒素、アルゴン等のガスを混合
しても何等差し障りはない。ただし、鏡面化のために
は、水素が５％以上含まれることが望ましい。また前記
するように雰囲気中の水分は少なければ少ないほど効果
的である。
【００１３】以下、本発明の実施態様を述べる。Ｓｉ：
２．０〜４．８重量％、酸可溶性Ａｌ：０．００８〜
０．０５重量％、Ｎ≦０．０１０重量％、残部Ｆｅ及び
不可避的不純物からなる溶鋼を、通常の工程で、もしく
は連続鋳造して熱延鋼板あるいは、熱延鋼帯とする。こ
の熱延鋼板あるいは熱延鋼帯は７５０〜１２００℃の温
度域で、３０秒〜３０分間、磁束密度向上のための焼鈍
が施される。続いて、これらの熱延鋼板あるいは熱延鋼
帯は冷間圧延される。冷間圧延は、特公昭４０−１５６
４４号公報に開示されているように最終冷間圧延率８０
％以上とする。冷間圧延後の材料は、通常鋼中の炭素を
除去するために湿水雰囲気中で、７５０〜９００℃の温
度域で一次再結晶焼鈍される。さらに通常のマグネシア
を主成分とする焼鈍分離剤が塗布されて二次再結晶のた
めの仕上焼鈍が施される。焼鈍後の方向性電磁鋼板表面
には、通常グラス被膜と呼ばれるフォルステライト被膜
が生成している。これは、通常の酸洗、すなわち硫酸、
硝酸、塩酸等の単独酸洗液では酸洗しにくく、これらの
酸にフッ酸が加えられる。一般的には硫酸−フッ酸溶液
で酸洗される。酸洗後、酸素親和性の強い金属（Ａｌ
等）粉末を数％混合した焼鈍分離剤が塗布される。この
塗布は一般に静電塗布で行われる。焼鈍分離剤が塗布さ
れた材料は、水素の入った焼鈍雰囲気中で、１０００〜
１２５０℃に数時間保持される。得られた材料の磁束密
度は酸洗時と同じで、表面は鏡面である。その後、レー
ザービーム照射等の磁区細分化処理が行われ、さらに張
力コーティングが施される。
２．０〜４．８重量％、酸可溶性Ａｌ：０．００８〜
０．０５重量％、Ｎ≦０．０１０重量％、残部Ｆｅ及び
不可避的不純物からなる溶鋼を、通常の工程で、もしく
は連続鋳造して熱延鋼板あるいは、熱延鋼帯とする。こ
の熱延鋼板あるいは熱延鋼帯は７５０〜１２００℃の温
度域で、３０秒〜３０分間、磁束密度向上のための焼鈍
が施される。続いて、これらの熱延鋼板あるいは熱延鋼
帯は冷間圧延される。冷間圧延は、特公昭４０−１５６
４４号公報に開示されているように最終冷間圧延率８０
％以上とする。冷間圧延後の材料は、通常鋼中の炭素を
除去するために湿水雰囲気中で、７５０〜９００℃の温
度域で一次再結晶焼鈍される。さらに通常のマグネシア
を主成分とする焼鈍分離剤が塗布されて二次再結晶のた
めの仕上焼鈍が施される。焼鈍後の方向性電磁鋼板表面
には、通常グラス被膜と呼ばれるフォルステライト被膜
が生成している。これは、通常の酸洗、すなわち硫酸、
硝酸、塩酸等の単独酸洗液では酸洗しにくく、これらの
酸にフッ酸が加えられる。一般的には硫酸−フッ酸溶液
で酸洗される。酸洗後、酸素親和性の強い金属（Ａｌ
等）粉末を数％混合した焼鈍分離剤が塗布される。この
塗布は一般に静電塗布で行われる。焼鈍分離剤が塗布さ
れた材料は、水素の入った焼鈍雰囲気中で、１０００〜
１２５０℃に数時間保持される。得られた材料の磁束密
度は酸洗時と同じで、表面は鏡面である。その後、レー
ザービーム照射等の磁区細分化処理が行われ、さらに張
力コーティングが施される。
【００１４】なお、本発明の鏡面化方法を適用できる方
向性電磁鋼板は、上記成分を有するものだけでなく、方
向性電磁鋼板であればどのような成分でも適用できるも
のであり、適用範囲を限定しない。
向性電磁鋼板は、上記成分を有するものだけでなく、方
向性電磁鋼板であればどのような成分でも適用できるも
のであり、適用範囲を限定しない。
【００１５】
実施例１ Ｓｉ：３．２重量％、酸可溶性Ａｌ：０．０２７重量
％、Ｎ：０．００８重量％、Ｍｎ：０．１３重量％、
Ｓ：０．００７重量％、Ｃ：０．０５重量％、残部Ｆｅ
及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を１１００℃
で２分間焼鈍した後、冷間圧延し、０．２３ｍｍ厚とし
た。これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿水雰囲気
とした焼鈍炉で８３０℃で２分間焼鈍し、一次再結晶さ
せた。次にマグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
して仕上焼鈍した。その後、０．５％フッ酸−５％硫酸
混合溶液で酸洗した。この材料に、Ａｌ2Ｏ3：１００
％からなる焼鈍分離剤、Ａｌ2Ｏ3：９９．９５重量％
及び金属Ａｌ粉末：０．０５％からなる焼鈍分離剤を静
電塗布し、１２００℃、１００％Ｈ2雰囲気で、１０時
間保持した。得られた鏡面化した方向性電磁鋼板にレー
ザービームを照射し、リン酸−クロム酸系の張力コーテ
ィング処理を行った。得られた製品の特性は表１の通り
である。
％、Ｎ：０．００８重量％、Ｍｎ：０．１３重量％、
Ｓ：０．００７重量％、Ｃ：０．０５重量％、残部Ｆｅ
及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を１１００℃
で２分間焼鈍した後、冷間圧延し、０．２３ｍｍ厚とし
た。これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿水雰囲気
とした焼鈍炉で８３０℃で２分間焼鈍し、一次再結晶さ
せた。次にマグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
して仕上焼鈍した。その後、０．５％フッ酸−５％硫酸
混合溶液で酸洗した。この材料に、Ａｌ2Ｏ3：１００
％からなる焼鈍分離剤、Ａｌ2Ｏ3：９９．９５重量％
及び金属Ａｌ粉末：０．０５％からなる焼鈍分離剤を静
電塗布し、１２００℃、１００％Ｈ2雰囲気で、１０時
間保持した。得られた鏡面化した方向性電磁鋼板にレー
ザービームを照射し、リン酸−クロム酸系の張力コーテ
ィング処理を行った。得られた製品の特性は表１の通り
である。
【００１６】
【表１】
【００１７】実施例２ Ｓｉ：３．２重量％、酸可溶性Ａｌ：０．０２４重量
％、Ｎ：０．００８重量％、Ｍｎ：０．１３重量％、
Ｓ：０．００７重量％、Ｃ：０．０５重量％、残部Ｆｅ
及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を１１００℃
で２分間焼鈍した後、冷間圧延し、０．２３ｍｍ厚とし
た。これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿水雰囲気
とした焼鈍炉で８３０℃で２分間焼鈍し、一次再結晶さ
せた。次にマグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
して仕上焼鈍した。その後、０．５％フッ酸−５％硫酸
混合溶液で酸洗した。この材料に、Ａｌ2Ｏ3：１００
％からなる焼鈍分離剤、Ａｌ2Ｏ3：９９．９重量％及
び金属Ａｌ粉末：０．１％からなる焼鈍分離剤を静電塗
布し、１１００℃、１００％Ｈ2雰囲気で、２０時間保
持した。得られた鏡面化した方向性電磁鋼板にレーザー
ビームを照射し、リン酸−クロム酸系の張力コーティン
グ処理を行った。得られた製品の特性は表２の通りであ
る。
％、Ｎ：０．００８重量％、Ｍｎ：０．１３重量％、
Ｓ：０．００７重量％、Ｃ：０．０５重量％、残部Ｆｅ
及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を１１００℃
で２分間焼鈍した後、冷間圧延し、０．２３ｍｍ厚とし
た。これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿水雰囲気
とした焼鈍炉で８３０℃で２分間焼鈍し、一次再結晶さ
せた。次にマグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
して仕上焼鈍した。その後、０．５％フッ酸−５％硫酸
混合溶液で酸洗した。この材料に、Ａｌ2Ｏ3：１００
％からなる焼鈍分離剤、Ａｌ2Ｏ3：９９．９重量％及
び金属Ａｌ粉末：０．１％からなる焼鈍分離剤を静電塗
布し、１１００℃、１００％Ｈ2雰囲気で、２０時間保
持した。得られた鏡面化した方向性電磁鋼板にレーザー
ビームを照射し、リン酸−クロム酸系の張力コーティン
グ処理を行った。得られた製品の特性は表２の通りであ
る。
【００１８】
【表２】
【００１９】
【発明の効果】本発明により、磁気特性を阻害する要因
である鋼板表面の凹凸の小さい（鏡面である）方向性電
磁鋼板が容易に得られ、レーザービーム照射処理等の磁
区細分化、張力コーティング処理により極めて低鉄損の
磁気材料が提供される。この方向性電磁鋼板の製造に当
たっては、鋼板の鏡面化処理が通常の仕上焼鈍炉中で行
われるため極めて容易であり、工業上の価値は絶大であ
る。
である鋼板表面の凹凸の小さい（鏡面である）方向性電
磁鋼板が容易に得られ、レーザービーム照射処理等の磁
区細分化、張力コーティング処理により極めて低鉄損の
磁気材料が提供される。この方向性電磁鋼板の製造に当
たっては、鋼板の鏡面化処理が通常の仕上焼鈍炉中で行
われるため極めて容易であり、工業上の価値は絶大であ
る。
Claims (5)
- 【請求項１】 仕上焼鈍工程を経た方向性珪素鋼板を酸
洗してフォルステライト被膜を除去し、珪素より酸素親
和性の強い金属粉末を含む焼鈍分離剤を塗布して、水素
を含む雰囲気中で、１０００〜１２５０℃、１時間以上
の焼鈍を行うことを特徴とする方向性珪素鋼板の鏡面化
方法。 - 【請求項２】 珪素より酸素親和性の強い金属粉末とし
て、アルミニウム（Ａｌ）、チタン（Ｔｉ）及びバナジ
ウム（Ｖ）の金属粉末を単独あるいは２種以上混合して
用いることを特徴とする請求項１記載の方向性珪素鋼板
の鏡面化方法。 - 【請求項３】 焼鈍分離剤としてＡｌ2Ｏ3（アルミナ）
を主成分とすることを特徴とする請求項１記載の方向性
珪素鋼板の鏡面化方法。 - 【請求項４】 焼鈍分離剤としてＭｇＯ以外のアルカリ
土金属の酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項
１記載の方向性珪素鋼板の鏡面化方法。 - 【請求項５】 焼鈍分離剤の塗布を静電塗布とすること
を特徴とする請求項１記載の方向性珪素鋼板の鏡面化方
法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20443291A JPH0543943A (ja) | 1991-08-14 | 1991-08-14 | 方向性珪素鋼板の鏡面化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20443291A JPH0543943A (ja) | 1991-08-14 | 1991-08-14 | 方向性珪素鋼板の鏡面化方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0543943A true JPH0543943A (ja) | 1993-02-23 |
Family
ID=16490444
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP20443291A Withdrawn JPH0543943A (ja) | 1991-08-14 | 1991-08-14 | 方向性珪素鋼板の鏡面化方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0543943A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US20220098693A1 (en) * | 2019-01-16 | 2022-03-31 | Nippon Steel Corporation | Method for producing grain oriented electrical steel sheet |
-
1991
- 1991-08-14 JP JP20443291A patent/JPH0543943A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US20220098693A1 (en) * | 2019-01-16 | 2022-03-31 | Nippon Steel Corporation | Method for producing grain oriented electrical steel sheet |
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Legal Events
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|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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