JPH0543164A - エレベータガイドレールの据付精度測定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エレベータガイドレールの変位要因および振
動発生要因を容易に把握できるようにする。 【構成】 ガイドレール変位検出器５ａ，５ｂ，５ｃ，
かご変位検出器７ａ，７ｂおよびガイドレール支持部材
または継ぎ足し部の位置検出器８の検出信号を演算装置
１０に入力し、記憶装置１３ａによってガイドレールの
位置および据付精度を演算した後、記憶装置１３ｂによ
って走行速度に反比例するように測定位置を演算した結
果を記録装置１１等に出力する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エレベータのガイドレ
ールに対する据付精度を測定する据付精度測定装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】エレベータの乗り心地の良し悪しは、そ
のガイドレールの据付精度に左右されると言っても過言
ではない。これまでのガイドレール据付精度の確認は、
据付作業時において、その基準線となる昇降路に垂下さ
せたピアノ線によりガイドレールを固定するブラケット
毎で寸法の確認を行なう作業に過ぎず、昇降行程全域に
亘りガイドレールを連続的に芯出し確認することは行な
われていなかった。そこで、ガイドレールの連続的な芯
出し確認作業が出来る装置の開発を、作業員または検査
員から要望され、これに対処するため、かごに取り付け
られたかご変位検出器によって、昇降路内に設けられて
いる基準線を検出することによりかごの変位を検出し、
このかご変位信号によって、かごに取り付けられてガイ
ドレールの変位率を検出するレール精度検出器の出力信
号を補正し、ガイドレールに案内されてかごが変位して
も、正確な据付誤差の測定が行なえる装置が、実開昭６
４−２９３７２号公報で提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述した実開昭６４−
２９３７２号公報におけるエレベータガイドレールの据
付精度測定装置にあっては、かごの変位分の補正を行な
うようにしたためガイドレールの全域に亘り、その変位
傾向を正確かつ容易に把握できるが、記録紙に記録され
た結果からは、変位が発生していると思われる部位を把
握することおよび通常運転時の走行速度の下で測定され
た振動データとの対比ができない不都合がある。そのた
め、変位発生部位の修正に当たっては、この記録紙と実
際の据付図面とを対比させその部位を確認する作業があ
り、また、かごの振動発生時点と振動を発生させた部位
との相対位置関係を照合する作業も行なう必要があるの
で、作業員にとって煩わしさがある。

【０００４】そこで、本発明は上記した実情に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、ガイドレ
ールの変位要因および振動発生要因を容易に把握するこ
とができるようにしたエレベータガイドレールの据付精
度測定装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明は間隔をおいて配置された複数個の支持部材
を介して昇降路壁に固定され、複数本継ぎ足して所定の
長さとしたエレベータガイドレールの据付精度測定装置
であって、ガイドレールに案内されて走行するかごにお
けるガイドレールに対向する箇所に取り付けられ、取り
付け箇所とガイドレールとの距離を測定するガイドレー
ル変位検出器と、かごに取り付けられて昇降路内に設け
られている基準線の位置を検出することによりかごの変
位を検出するかご変位検出器と、前記ガイドレール変位
検出器の出力信号に基づいて補正処理を実行すると共
に、この補正処理結果に基づき据付精度データを求める
演算装置と、この演算装置から出力される各種信号を記
録する記録装置とからなるエレベータガイドレールの据
付精度測定装置において、前記ガイドレールの支持部材
の位置および継ぎ足し位置の少なくとも一方を検出する
位置検出器を備え、予め記憶されているかごの走行速度
に基づいてこの位置検出器の出力信号を前記演算装置に
入力し、予め記憶されているかごの走行速度とにより前
記据付精度データに対比した変位部位の位置信号の出力
間隔をかごの走行速度に反比例するように演算処理し、
この位置信号を前記記録した据付精度データに併記した
構成にしてある。

【０００６】

【作用】本発明におけるエレベータガイドレールの据付
精度測定装置は、かごに取り付けられたかご変位検出器
によって、昇降路内に設けられた基準線を検出すること
でかごの変位距離を検出し、このかご変位距離信号でか
ごに取り付けられてガイドレールの変位等を検出するレ
ール変位検出器の出力信号を補正し、また、ガイドレー
ルの支持部材および継ぎ足し位置を位置検出器で検出
し、この位置信号をかごの走行速度に反比例するように
演算処理して据付精度データに併記することにより、ガ
イドレールに案内されてかごが変位しても、常に正確な
据付誤差の測定、その位置の確認ができ、ガイドレール
変位要因および振動発生要因の把握が確実かつ容易に行
なえる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の一実施例によるエレベータガ
イドレールの据付精度測定装置を図面により説明する。
昇降路に立設される一対のガイドレール１ａ，１ｂに案
内されて昇降路を走行可能なかご２には、垂直方向であ
るＺ軸方向にガイドレール１ａ，１ｂに沿って転動する
ガイドローラ３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄ，３ｅ，３ｆがあ
り、それぞれ加圧ばね４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ，４ｅ，
４ｆによりガイドレヘル１ａ，１ｂに押圧力が付与され
ている。ガイドレール精度検出器は、ガイドレール１ａ
のＹ軸方向の変位寸法を検出する変位検出器５ａ，５ｃ
と、Ｘ軸方向を検出する変位検出器５ｂとで構成されて
おり、それぞれ取付装置９ａ，９ｂ，９ｃによってかご
２に固定されている。また、ガイドレール１ａの支持部
材および継ぎ足し位置を検出する位置検出器８も、取付
装置９ｄによってかご２に固定されている。昇降路の頂
部から垂下された基準線６には例えばピアノ線が用いら
れており、基準線６に対するかご２のＸ軸方向の変位は
かご変位検出器７ａによって検出し、またかご２のＹ軸
方向に対する変位は、かご変位検出器７ａの出力信号
と、かご変位検出器７ａに対して予め交差角θをもって
取り付けられたかご変位検出器７ｂの出力信号を、詳細
を後述する演算によって算出している。これらかご変位
検出器７ａ，７ｂは取付装置９ｅによってかご２に固定
されている。こうした変位検出器５ａ，５ｂ，５ｃや、
かご変位検出器７ａ，７ｂおよび位置検出器８の出力信
号は演算装置１０に入力される。演算装置１０では、か
ご変位検出器７ａ，７ｂの出力信号によりかご２の変位
を算出し、この値によって変位検出器５ａ，５ｂ，５ｃ
の出力信号によるガイドレール１ａの変位を補正してガ
イドレール１ａの据付精度を算出すると共に、位置検出
器８の出力信号からガイドレール１ａの据付誤差の発生
位置を算出しており、ここでは演算装置１０としてマイ
クロコンピュータを用いている。演算装置１０の出力信
号は記録装置１１、例えばペン形オシロに出力され、こ
の記録装置１１はガイドレール１ａの据付誤差と、その
誤差の発生した位置をそれぞれの信号のレベルに対応し
たグラフを、帯状の記録紙上に記録することによって出
力する。

【０００８】図２は基準線６とかご変位検出器７ａ，７
ｂの取付関係を示すもので、同図に示すように、エレベ
ータ昇降路内に基準線６を垂下させる場合、昇降路内機
器やかご２に接触させないために基準線６は昇降路壁面
３３の間近に垂下させており、またかご変位検出器７ａ
と７ｂも昇降路壁面３３に接触しないように配置され、
かご変位検出器７ａはＸ軸方向に対する変位を検出する
のでＹ軸と平行に接地され、かご変位検出器７ｂは変位
検出器７ａに対して任意の交差角θをもって取り付けら
れている。このとき、かご２のＸ軸とＹ軸の変位量Ｓ
ｘ，Ｓｙはかご変位検出器７ａ，７ｂの出力信号をそれ
ぞれＳａ，Ｓｂとした場合、次の式（１）および式
（２）で求められる。ただし０＜θ＜９０゜である。

【０００９】 Ｓｘ＝Ｓａ （１） Ｓｙ＝（Ｓａ−Ｓｂ÷ｃｏｓθ）÷ｔａｎθ （２） 図３は本発明によるエレベータガイドレールの据付精度
測定装置のシステム構成図である。演算装置１０は、マ
イクロプロセッサを使用した中央処理装置１２と、後述
する各装置とがデータ信号や制御信号等の信号伝送のた
めのバスライン２５を介して接続されている。すなわ
ち、演算装置１０を制御する制御プログラムおよび入力
データを演算する演算処理プログラムを格納するＲＯＭ
を使用している記憶装置１３ａ，ＲＯＭで演算処理され
た入力データを予め記憶されているエレベータの走行速
度に反比例するように測定位置等を演算処理するプログ
ラムを格納するＲＯＭを使用している記憶装置１３ｂ，
演算結果を格納するＲＡＭを使用している記憶装置１
４，ガイドレール据付精度測定後改めて演算処理を行な
ったり記録装置１１に出力させるため、一旦入力データ
や演算結果等を記憶させるフロッピーディスク等を使用
している記憶装置１５の制御装置１６，プリンタ１７の
制御装置１８，変位検出器５ａ〜５ｃのアナログ信号を
デジタル信号に変換するＡ／Ｄ変換器１９ａ，１９ｂ，
１９ｃを制御するデジタル信号入力制御装置２２ａ，２
２ｂ，２２ｃ，かご変位検出器７ａ，７ｂのアナログ出
力信号をデジタル信号に変換するＡ／Ｄ変換器２０ａ，
２０ｂを制御するデジタル信号入力制御装置２３ａ、２
３ｂ、位置検出器８のアナログ出力信号をデジタル信号
に変換するＡ／Ｄ変換器２１を制御するデジタル信号入
力制御装置２４，ガイドレール１ａ，１ｂのＸ軸方向の
変位を記録装置１１へ出力するアナログ信号へとデジタ
ル信号を変換するＤ／Ａ変換器２７を制御する出力制御
装置２６，ガイドレール１ａ，１ｂのＹ軸方向の変位を
記録装置１１へ出力するＤ／Ａ変換器２９を制御する出
力制御装置２８，ガイドレール１ａ，１ｂの位置を記録
装置１１へ出力するＤ／Ａ変換器３１を制御する出力制
御装置３０とが、バスライン２５を介して接続されてい
る。

【００１０】記憶装置１３ｂは、記憶装置１３ａで演算
されたガイドレール１ａ，１ｂのＸ軸，Ｙ軸方向の変位
およびガイドレール１ａ，１ｂの位置を入力データと
し、予め記憶されている昇降路垂直方向の位置における
エレベータの走行速度から、現在の測定位置がかご２の
走行時にどの位置になるか走行速度に反比例するように
演算する。ここで、ガイドレールの個々の長さは一定で
あるから、走行速度が速いほど単位時間当りの移動距離
が大きいため、図４の記録紙３２上では、データ間隔が
密になり、ガイドレールの位置記録３６の間隔がせまく
なる。

【００１１】次に、エレベータガイドレールの据付精度
測定装置の動作を説明する。まず、周知のかご運転装置
によってかご２の床が最下階の乗場床に一致するまでか
ご２を降下させ、記録装置１１を動作状態にセットした
後に、かご運転装置によりかご２を低速で上昇させる。
すると、ガイドローラ３ａ〜３ｃは加圧ばね４ａ〜４ｃ
によりガイドレール１ａに転動可能に押圧していること
から、かご２はガイドローラ３ａ〜３ｃに案内されて移
動することになる。従って、かご２の昇降方向のＺ軸に
対するガイドレール１ａのＸ軸、Ｙ軸の変位は、基準線
６からのかご２の変位として表われる。そして、Ｙ軸の
変位検出器５ａ，５ｃ，Ｘ軸の変位検出器５ｂとかご変
位検出器７ａ，７ｂ、更に、ガイドレール１ａの位置検
出器８の出力信号は、演算装置１０に入力され、かご２
がガイドレール１ａに応じて変位することによって生ず
るＸ軸、Ｙ軸それぞれの検出誤差の補正処理と、ガイド
レール１ａに対して位置検出信号の等間隔なる演算処理
を行う。つまり、変位検出器５ａ〜５ｃの出力信号をガ
イドレール１ａのＸ軸、Ｙ軸の変位に演算処理し、ま
た、かご変位検出器７ａ，７ｂの出力信号をかご２つの
Ｘ軸、Ｙ軸の変位に演算処理し、ガイドレール１ａの変
位のかご２の変位で補正したＸ軸、Ｙ軸の値と、ガイド
レール１ａの位置信号をエレベータの走行速度に反比例
するように演算して記録装置１１に入力し、測定結果は
記録用紙３２にグラフ状に記録される。従って記録装置
１１における記録用紙３２には、基準線６を基準とする
ガイドレールのＸ軸、Ｙ軸に関する据付精度曲線３４，
３５およびガイドレールの位置信号３６が描かれること
になる。

【００１２】なお上記実施例においては、記録装置１１
に記録するような場合について説明したが、測定データ
を一旦フロッピディスク１５に記憶し、事務所等で改め
て記録装置１１に記録したり、プリンタ１７に印字しデ
ータ解析するようにすれば、現場測定作業の短縮と精密
なデータ解析が行える。

【００１３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、かご枠に
取り付けられたかご変位検出器を用いて、昇降路内に設
けられた基準線によってかごの変位を検出し、このかご
変位距離信号でかごに取付けられてガイドレールの変位
等を検出するレール精度検出器の出力信号を補正し、ま
た、ガイドレールの支持部材および継ぎ足し位置を位置
検出器で検出することにより、ガイドレールに案内され
てかごが変位しても、常に正確な据付誤差の測定と位置
の確認ができ、ガイドレール変位要因および振動発生要
因の把握が確実に行える効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるエレベータガイドレー
ルの据付精度測定装置の要部を示した斜視図である。

【図２】図１の要部である基準線と変位検出器の取付関
係を示す平面図である。

【図３】本発明の一実施例によるエレベータガイドレー
ルの据付精度測定装置のシステム構成図である。

【図４】測定記録を示す据付精度データ図である。

【符号の説明】

１ａ ガイドレール １ｂ ガイドレール ２ かご ５ａ 変位検出器 ５ｂ 変位検出器 ５ｃ 変位検出器 ６ 基準線 ７ａ かご変位検出器 ７ｂ かご変位検出器 ８ 位置検出器 １０ 演算装置 １１ 記録装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 間隔をおいて配置された複数個の支持部
   材を介して昇降路壁に固定され、複数本継ぎ足して所定
   の長さとしたエレベータガイドレールの据付精度測定装
   置であって、ガイドレールに案内されて走行するかごに
   おけるガイドレールに対向する箇所に取り付けられ、取
   り付け箇所とガイドレールとの距離を測定するガイドレ
   ール変位検出器と、かごに取り付けられ、昇降路内に設
   けられている基準線の位置を検出することによりかごの
   変位を検出するかご変位検出器と、前記ガイドレール変
   位検出器の出力信号を前記かご変位検出器の出力信号に
   基づいて補正処理を実行すると共に、この補正処理結果
   に基づき据付精度データを求める演算装置と、この演算
   装置から出力される各種信号を記録する記録装置とから
   成るエレベータガイドレールの据付精度測定装置におい
   て、前記ガイドレールの支持部材の位置および継ぎ足し
   位置の少なくとも一方を検出する位置検出器を備え、予
   め記憶されているかごの走行速度に基づいて、この位置
   検出器の出力信号を前記演算装置に入力し、この出力信
   号と予め記憶されているかごの走行速度とにより、前記
   据付精度データに対比した変位部位の位置信号の出力間
   隔をかごの走行速度に反比例するように演算処理し、こ
   の位置信号と前記記録した据付精度データに併記したこ
   とを特徴としたエレベータガイドレールの据付精度測定
   装置。