JPH0542207A - 多孔質中空糸膜、人工肺および体外循環回路 - Google Patents
多孔質中空糸膜、人工肺および体外循環回路Info
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- JPH0542207A JPH0542207A JP3228333A JP22833391A JPH0542207A JP H0542207 A JPH0542207 A JP H0542207A JP 3228333 A JP3228333 A JP 3228333A JP 22833391 A JP22833391 A JP 22833391A JP H0542207 A JPH0542207 A JP H0542207A
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Abstract
に円形または楕円形の多孔質ポリプロピレン中空糸膜で
あって、空孔率が1〜40%、空孔の平均半径が100
〜600A 、空孔内に水を充填した際の透水率が0.0
1〜1.0ml/min・m2・mmHg(室温)である疎水性多孔質
中空糸膜基材の血液接触面(内表面2または外表面4)
およびこれに続く空孔内の一部が親水化されたものであ
り、これにより、前記血液接触面に生理食塩水を接触さ
せた際のバブルポイントを30mmHg以上としたものであ
る。 【効果】 高いガス交換能を維持しつつ、長時間使用し
た場合でも血漿の漏出がなく、かつ血液流路側に負圧が
生じた場合でも気泡の混入がない。
Description
る多孔質中空糸膜およびこれを用いた人工肺ならびにこ
の人工肺を備える体外循環回路に関する。
補助(ECMO)において、患者の血液を体外に導き、
これに酸素を添加しかつ炭酸ガスを除去するために、体
外循環回路内に中空糸膜人工肺が配置されている。この
ような人工肺において使用される中空糸膜としては、緻
密膜と多孔質膜の2種類がある。
し、拡散することによってガスの移動が行なわれるもの
であり、この代表的なものにシリコーンゴムがある。し
かしながら、緻密膜は、ガス透過性の点から現在使用可
能のものとしては、シリコーンゴムのみしか知られてお
らず、また、このシリコーンゴム膜は、強度的に膜厚1
00μm 以下にすることはできない。このため、ガス透
過性に限界があり、特に炭酸ガスの透過性が悪く、Extr
acorporeal CO2 Removal(ECCO2 R)のような
炭酸ガスの除去に重点が置かれる療法では、単独で使用
することはできなかった。また、前記シリコーンゴムは
高価で、しかも加工性が悪いという欠点もあった。
過すべき気体分子に比べて著しく大きいため、気体は体
積流として細孔を通過する。例えば、マイクロポーラス
ポリプロピレン膜等の多孔質膜を使用した人工肺が種々
提案されている。
ピレンを中空糸製造用ノズルを用いて、紡糸温度210
〜270℃、ドラフト比180〜600で溶解紡糸し、
ついで155℃以下で第1段熱処理を行なったのち、1
10℃未満で30〜200%延伸し、しかるのちに第1
段熱処理温度以上155℃以下で第2段熱処理すること
により多孔質ポリプロピレン中空糸を製造することが開
示されている。
孔質中空糸は、ポリプロピレン中空糸を延伸することに
より物理的に細孔を形成するので、該細孔は膜厚方向に
ほぼ水平な直線状細孔であり、かつ延伸度に応じて中空
糸の軸線方向に亀裂を生じて生成する細孔であるから断
面がスリット状である。また、細孔はほぼ直線的に連続
貫通し、かつ空孔率が高い。このため、この多孔質中空
糸は水蒸気の透過性が高く、また長時間血液を体外循環
させて使用すると、細孔が血液中の成分により親水化さ
れて、血漿が漏出するという欠点があった。
て、例えば、ポリオレフィン、該ポリオレフィンの溶融
下で該ポリオレフィンに均一に分散し得、かつ使用する
抽出液に対して易溶性である有機充填剤および結晶核形
成剤を混練し、このようにして得られる混練物を溶融状
態で環状紡糸孔から吐出させ同時に内部中央部に不活性
ガスを導入し、該中空状物を前記ポリオレフィンを溶解
しない冷却固化液と接触させて冷却固化し、ついで冷却
固化した中空状物を前記ポリオレフィンを溶解しない抽
出液と接触させて前記有機充填剤を抽出除去することに
より製造される多孔質ポリオレフィン中空糸膜が提案さ
れている(特願昭59−210466号)。
冷却固化液として好ましいとされる用いられる有機充填
剤を溶解し得る冷却固化液を使用して得られたポリプロ
ピレン中空糸膜は、孔が小さく孔路も複雑であるため血
漿漏出は起こらないが、単位面積当りの孔密度が小さい
ので、人工肺用膜として用いるには、ガス交換能が不充
分となるおそれがあり、さらに、前記有機充填剤を溶解
し得る冷却固化液中にポリオレフィンの低分子成分が混
ざり、冷却浴管内壁に付着し、中空糸の形状が経時的に
変化してしまうというおそれがあった。
リプロピレン、該ポリプロピレンの溶融下でポリプロピ
レンに均一に分散し得、かつ使用する抽出液に対して易
溶性である有機充填剤、および結晶核形成剤を混練し、
このようにして得られる混練物を溶融状態で環状紡糸孔
から中空状に吐出させ、該中空状物を前記有機充填剤な
いしその類似化合物よりなる液体と接触させて冷却固化
し、ついで冷却固化した中空状物をポリプロピレンを溶
融しない抽出液と接触させて前記有機充填剤を抽出除去
することにより、多孔質ポリプロピレン中空糸膜を製造
する方法(特開昭62−106770号)や、ポリプロ
ピレン、該ポリプロピレンの溶融下でポリプロピレンに
均一に分散し得、かつ使用する抽出液に対して易溶性で
ある有機充填剤、および結晶核形成剤を混練し、このよ
うにして得られる混練物を溶融状態で環状紡糸孔から中
空状に吐出させ、該中空状物を前記有機充填剤とは相溶
せずかつ比熱容量が0.3〜0.7cal/g である冷却固
化液と接触させて冷却固化し、ついで冷却固化した中空
状物を、ポリプロピレンを溶しない抽出液と接触させて
前記有機充填剤を抽出除去することにより多孔質ポリプ
ロピレン中空糸膜を製造する方法(特開昭64−790
8号)が開示されている。
空糸膜の特性は、内径が150〜300μm 、肉厚が1
0〜150μm 、内面開口率が10〜30%、空孔率が
10〜60%、酸素ガスフラックスが100〜2000
ml/min・m2・mmHgとされている。
は、内表面開口率が高く、また、膜内部の空孔の曲路率
が小さいため、透水率が高く、よって、人工肺として長
時間使用した際に血漿の漏出を防止するという効果が不
十分であり、満足できる耐久性を得るには至っていな
い。
な疎水性の多孔質膜では、これを用いた人工肺をプライ
ミングする際に、プライミング液中に混入した気泡の除
去(泡抜け)が容易であるという利点があるが、逆に、
血液流路内に負圧が発生した場合、多孔質膜の空孔内が
疎水性であるために、気泡が空孔を通過して血液流路内
に混入するおそれがある。上記製造方法により製造され
た多孔質中空糸膜は、いずれもこのような欠点を有して
おり、このような多孔質中空糸膜を用いた人工肺を体外
循環回路に配置する場合、血液流路内に負圧が生じない
位置、すなわち、送血ポンプの下流側に配置しなければ
ならなかった。この場合、血液接触多孔質膜面に高い圧
力がかかるため、血漿漏出が促進されるおそれがあっ
た。
ガス交換能を保持しつつ、耐久性に優れ、かつ血液流路
側に負圧が生じた場合でも気泡の混入がない多孔質中空
糸膜、人工肺および該人工肺の耐久性を向上させる体外
循環回路を提供することにある。
(1)〜(3)の本発明により達成される。
円形の多孔質ポリプロピレン中空糸膜であって、空孔率
が1〜40%、空孔の平均半径が100〜600A 、空
孔内に水を充填した際の透水率が0.01〜1.0ml/m
in・m2・mmHg(室温)の疎水性多孔質中空糸膜を基材と
し、この基材の血液接触面およびこれに続く空孔内の一
部が親水化されており、これにより、前記血液接触面に
生理食塩水を接触させた際のバブルポイントが30mmHg
以上となるようにしたことを特徴とする多孔質中空糸
膜。
載の多孔質中空糸膜を備えることを特徴とする人工肺。
用のポンプとを少なくとも備え、前記人工肺の血液側流
路と前記ポンプとが連通するよう接続された体外循環回
路であって、前記人工肺は、前記ポンプより上流側に配
置されていることを特徴とする体外循環回路。
および体外循環回路を図面を参照しつつ詳細に説明す
る。
面を模式的に示す拡大横断面図である。本発明の多孔質
中空糸膜(以下、単に中空糸膜ともいう)1は、横断面
形状が図示のごとき実質的に円形か、または楕円形の多
孔質ポリプロピレン中空糸膜である。
であり、好ましくは180〜250μm である。Dが1
50μm 未満では、血液を中空糸膜の内側に流すタイプ
の人工肺を作製した場合、かん流時に人工肺の圧力損失
が高くなり、血液損傷が高くなる。また、逆に酸素含有
ガスを中空糸膜の内側に流すタイプの人工肺の場合、大
流量時に内圧が高くなり、気泡が血液側に発生したり、
結露水が中空糸内を閉塞する可能性がある。また、Dが
300μm を超えると、血液を中空糸膜内に流すタイプ
の人工肺の場合、ガス交換性能が著しく低下する。
あり、好ましくは20〜100μm、より好ましくは4
0〜60μm である。Tが10μm 未満では膜の強度が
低下したり、中空糸膜のピンホール発生率が高くなり、
また、150μm を超えるとガス交換能が低下する。
状は、図示のごとき円形に限らず、楕円形であってもよ
い。この場合には、内径の平均および肉厚の平均が前記
値となればよい。
材)の微細構造は、中空糸膜の製造条件によって変わる
が、既して後述するように、冷却固化液として、有機充
填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3〜0.7cal/g
である溶液を使用することにより、次のような構造を有
する。
ては、固相は粒子状ポリプロピレンが一部露出しつつ密
に融和結合、つまり溶融した後、冷却固化して形成され
た連続相を呈する。
粒子状ポリプロピレンによって形成され、この粒子状ポ
リプロピレンは、円周方向においては方向性をもたず無
秩序に集まっているが、繊維軸方向においては連なって
ポリプロピレン塊を形成しており、このポリプロピレン
塊は、糸状ポリプロピレンによって相互に結ばれてい
る。従って、膜内部3においては、固相は粒子状ポリプ
ロピレンが繊維軸方向に連なってできたポリプロピレン
塊が多数集まって形成されているものと思われる。
も、膜内部3と同様に固相は粒子状ポリプロピレンが繊
維軸方向に連なってできたポリプロピレン塊が多数集ま
って形成されている。
表面2および外表面4を含む肉厚部において、内表面2
より外表面4に至る経路が長く、かつ孔同士が直線的で
なく複雑に網目状につながった3次元ネットワーク状の
連通孔を形成している。
いては、その内表面2が、粒子状ポリプロピレンの一部
が露出しつつ密に融和結合された連続相とそれ以外の空
孔部分からなり、滑らかな表面性状を有するために、人
工肺において用いられ、中空糸膜1の内腔に血液を流し
たときでも、血球成分に損傷を与えることはなく、また
圧力損失も高くならない。一方、外表面4も、粒子状ポ
リプロピレンが整然と繊維軸方向に並んでできたポリプ
ロピレン塊が多数集まって形成された固相とそれ以外の
空孔部分とからなり、滑らかな表面性状を有するため
に、人工肺において用いられ、中空糸膜1の外側に血液
を流したときでも、血球成分に損傷を与えることはな
く、また圧力損失も高くならない。
た際に、ガスの通路となる空孔部分は、複雑に網目状に
つながった3次元ネットワーク状の連通孔であり、かつ
後述する特性を有するため、血液を中空糸膜の内側ある
いは外側のいずれかに体外循環させても、血漿成分はこ
のように複雑に入り組んだ長い経路を容易に通過するこ
とができず、例えば、30時間以上の体外血液循環を行
っても、血漿の漏出およびガス交換能の低下はほとんど
認められない。
は、次の通りである。中空糸膜基材の空孔の平均半径
は、100〜600A であり、好ましくは100〜40
0A である。空孔の平均半径が100A 未満であるとガ
ス交換能が不十分となり、また600A を超えると血漿
の漏出のおそれや血液接触面側の圧力が低下した際に気
泡の混入のおそれが生じる。
40%であり、好ましくは10〜35%である。空孔率
が1%未満であるとガス交換能が不十分となり、また4
0%を超えると血漿の漏出のおそれや血液接触面側の圧
力が低下した際に気泡の混入のおそれが生じる。
した状態での)は0.01〜1.0ml/min・m2・mmHg(室
温)であり、好ましくは0.05〜0.8ml/min・m2・mm
Hg(室温)である。透水率が0.01ml/min・m2・mmHg
(室温)未満では、ガス交換能が不十分となり、また
1.0ml/min・m2・mmHg(室温)を超えると血漿の漏出の
おそれや血液接触面側の圧力が低下した際に気泡の混入
のおそれが生じる。
曲路率(屈曲の度合)と関連するものと考えられ、透水
率が高いということは、曲路率が低く、すなわち、膜内
部3の連通孔がより直線的であることを示す。
表面4のいずれか一方)に生理食塩水を接触させた際の
バブルポイントは30mmHg以上であり、好ましくは40
mmHg以上である。バブルポイントが30mmHg未満である
と、血液流路側が負圧となった際に、空孔を介して血液
流路内に気泡が混入するおそれがある。
面開口率)は、好ましくは0.1〜10.0%未満であ
り、より好ましくは1.0〜8.0%である。内表面開
口率が0.1%未満では、ガス交換能が不十分となり、
内表面開口率が10%を超えると、血漿の漏出のおそれ
が生じる。
1000ml/min・m2・mmHg(室温)であり、好ましくは、
50〜500ml/min・m2・mmHg(室温)である。10ml/m
in・m2・mmHg(室温)未満では、ガス交換膜としての使用
には適さず、また1000ml/min・m2・mmHg(室温)を超
えると、血漿の漏出のおそれや血液接触面側の圧力が低
下した際に気泡の混入のおそれが生じる。
ポリプロピレンおよびこれらの微粒子間の間隙である連
通孔(空孔)の大きさ、分布度は、中空糸膜の製造条件
および原料組成によっても好ましい状態に制御すること
ができるが、粒子状ポリプロピレンの平均粒径が0.1
〜2.0μm 、特に、0.2〜1.5μm であるのが好
ましく、また、内表面2の平均孔径は、0.02〜1.
0μm 、特に0.1〜0.3μm であるのが好ましい。
ロピレン製であるため疎水性であるが、本発明では、こ
の基材の血液接触面は親水化されており、さらにこの血
液接触面に続く空孔内の一部も親水化されている。ここ
で、本発明の中空糸膜1は、後述するように、内表面2
側、外表面4側のいずれにも血液を流すことができる
が、以下、内表面2側を血液流路とする場合、すなわ
ち、内表面2が血液接触面である場合について代表的に
説明する。
おいて、親水化されている範囲は、内表面2の全面と、
空孔内であって、内表面2から肉厚方向に所定の距離
(平均)Sの部分である。ただし、Sは図2における凹
凸のある内表面の凸部の先端からの距離である。ここ
で、前記中空糸膜1の肉厚Tと距離Sとの関係は、0.
001T≦S≦0.1Tであるのが好ましく、より好ま
しくは、0.001T≦S≦0.02Tである。距離S
が0.001T未満であると、空孔内の親水化の程度が
不足し、血液流路に陰圧が生じたとき気泡の混入のおそ
れが生じ、また0.1Tを超えると、中空糸膜の他の条
件によっては、血漿の漏出のおそれが生じる。
タンパク質、リン脂質、ポリエチレングリコール、ヒド
ロキシエチルメタアクリレート(HEMA)のような親
水性物質を固定化する方法により行なわれるのが好まし
く、特に、抗血栓性の点で、ヘパリンの固定化により行
なうのが好ましい。なお、ヘパリンの固定化の方法につ
いては、後に詳述する。
孔率、空孔半径、透水率、酸素ガスフラックス、内表面
開口率等は、ほとんど変化しない。
うにして製造される。図3に示すように、ポリプロピレ
ンと有機充填剤と結晶核形成剤との配合物11を、ホッ
パー12から混練機、例えば単軸押出機13に供給し、
該配合物11を溶融混練して押出した後、紡糸装置14
に送り、口金装置15の環状紡糸孔(図示せず)からガ
ス状雰囲気、例えば空気中に吐出させ、出てきた中空状
物16を冷却固化液17を収納した冷却槽18に導入
し、該冷却固化液17と接触させて冷却固化させる。
との接触は、例えば冷却槽18の底部に貫通して下方に
向って設けられた冷却固化液流通管19内に冷却固化液
17を流下させ、その流れに沿って中空状物16を並流
接触させることが好ましい。
受けて貯蔵し、その中に中空状物16を導入し、変向棒
21によって方向を変え、冷却固化液17と充分接触さ
せて固化させる。固化槽20内に蓄積してくる冷却固化
液17は、循環ライン23より排出し、循環ポンプ24
により冷却槽18へ戻す。
機充填剤を溶解しかつポリプロピレンを溶解しない抽出
液25をシャワー状に噴出するシャワーコンベア式抽出
機27へ導かれる。この抽出機27において中空状物1
6は、ベルトコンベア26上を搬送される間に抽出液2
5と充分に接触し、残留する有機充填剤が抽出除去され
る。
ら導き出された中空状物16は、必要に応じてさらに再
抽出がなされ、その後、ヒータ28および搬送用のロー
ル29を内蔵する熱処理装置30により、乾燥または熱
処理が施される。
糸膜1の基材)は、巻取装置31のボビン32に巻き取
られ、保持される。
ては、その血液接触面およびこれに続く空孔内の一部に
親水化処理が施される。この親水化処理がヘパリンの固
定化による場合、まず、前処理として、親水化処理する
部分にオゾンを接触させる。このオゾン処理は、ヘパリ
ンの固定をし易くし、結合力を高めるためである。
し、このカプラーを介してヘパリンを固定する。
1を後述する人工肺に組み込んだ後に行なってもよい。
リプロピレンとしては、プロピレンホモポリマーに限ら
ず、プロピレンを主成分とする他のモノマーとのブロッ
クポリマーなどがあるが、そのメルトインデックス
(M.I.)が5〜70のものが好ましく、特にM.
I.が10〜40のものが好ましい。また、前記ポリプ
ロピレンのうちプロピレンホモポリマーが特に好まし
く、そのなかでも結晶性の高いものが最も好ましい。
の溶融下で該ポリプロピレンに均一に分散できかつ後述
するように抽出液に対して易溶性のものであることが必
要である。このような充填剤としては、流動パラフィン
(数平均分子量100〜2,000)、α−オレフィン
オリゴマー[例えば、エチレンオリゴマー(数平均分子
量100〜2000)、プロピレンオリゴマー(数平均
分子量100〜2000)、エチレン・プロピレンオリ
ゴマー(数平均分子量100〜2000)等]、パラフ
ィンワックス(数平均分子量200〜2500)、各種
炭化水素等があり、好ましくは流動パラフィンである。
の配合割合は、上述した中空糸膜の特性が得られるよう
に適宜調整される。有機充填剤の配合量が多い(例え
ば、ポリプロピレン100重量部に対し、有機充填剤を
120重量部以上)と、上述した中空糸膜の特性を得難
くなる。
機等の押出機を用いて所定の組成の混合物を溶融混練
し、押出したのち、ペレット化することという前混練方
法により原料を調製(設計)する。
は、融点が150℃以上、(好ましくは200〜250
℃)でかつゲル化点が使用するポリオレフィンの結晶開
始温度以上の有機耐熱性物質である。このような結晶核
形成剤を配合する理由は、ポリプロピレン粒子を縮小
し、これによって粒子間の空隙、すなわち連通孔を狭
く、かつ孔密度を高くすることにある。具体的には、例
えば、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、
1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソル
ビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリ
デン)ソルビトール、ビス(4−t−ブチルフェニル)
リン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、アジピン酸、
タルク、カオリン等が結晶核形成剤として挙げられる。
ビトール、特に1・3,2・4−ビス(p−エチルベン
ジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−
メチルベンジリデン)ソルビトールが血液中への溶出が
少なく好ましい。
合割合は、ポリプロピレン100重量部に対して結晶核
形成剤が0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜1.0
重量部である。
らに単軸押出機等の押出機を用いて、例えば160〜2
50℃、好ましくは180〜220℃の温度で溶融して
混練し、必要に応じ定量性の高いギアポンプを用いて、
紡糸装置の環状孔からガス雰囲気中に吐出させて、中空
状物を形成させる。なお、前記環状孔の内部中央部に
は、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン、空気等の不
活性ガスを自吸させてもよいし、必要であればこれらの
不活性ガスを強制的に導入してもよい。
6を落下させ、次いで、冷却槽18内の冷却固化液17
と接触させる。中空状物16の落下距離は5〜1000
mmが好ましく、特に10〜500mmが好ましい。すなわ
ち、落下距離が5mm未満の場合には、脈動を生じて冷却
固化液17に中空状物16が侵入する際に潰れることが
あるからである。
分に固化しておらず、しかも、中央部は気体であるため
に外力により変形し易いので、図2に示すように、例え
ば冷却槽18の底部に貫通して下方に向って設けられた
冷却固化液流通管19内に冷却固化液17を流下させ、
その流れに沿って中空状物16を並流接触させることに
より、中空状物を強制的に移動させ、かつ外力(流体圧
等)による中空状の変形は防止できる。このときの冷却
固化液の流速は自然流下で充分である。また、このとき
の冷却温度は10〜90℃、好ましくは20〜75℃で
ある。すなわち、10℃未満では、冷却固化速度が速す
ぎて、膜内部3の大部分が緻密層となるためにガス交換
能が低くなってしまい、一方90℃を超えると中空状物
16の冷却固化が十分でなく、冷却槽18内で中空状物
16が切れてしまうおそれがあるためである。
用された有機充填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3
〜0.7cal/g 、より好ましくは0.3〜0.6cal/g
の液体を用いるのが好ましい。このような冷却固化液の
具体例としては、20℃における動粘度が2〜50cSt
、より好ましくは8〜40cSt のジメチルシリコーン
オイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコ
ーンオイル類、および平均分子量が100〜400、よ
り好ましくは180〜330のポリエチレングリコール
類等が挙げられる。このように冷却固化液として、使用
された有機充填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3〜
0.7cal/g の液体を用いるのが好ましい理由は、次の
通りである。
剤を溶解し得る液体、例えば有機充填剤として流動パラ
フィンを用いた場合に、ハロゲン化炭化水素類を用いる
と、冷却固化液中でポリプロピレンと前記有機充填剤と
の相分離が進行している間に、有機充填剤が溶解抽出さ
れてしまい、中空状物の内側から外側へ有機充填剤が移
行し、中空状物が完全に冷却固化されたときには、中空
状物の内表面近傍の有機充填剤の割合が低くなり、有機
充填剤をさらに完全に溶解抽出した後の内表面2におけ
る開孔率が必要以上に低くなってしまい、膜のガス交換
能が低下してしまうということが推測される。
プロピレンの低分子量成分までが抽出され、図2に示す
冷却固化液流通管19の内壁に堆積付着し、該冷却固化
液流通管19の内径を小さくしてしまい、中空状物の形
状が変化してしまうという欠点が生じる虞れがある。
のものあるいはその類似化合物、例えば有機充填剤とし
て流動パラフィンを用いた場合に、該流動パラフィンと
数平均分子量の近似する流動パラフィンを用いると、中
空状物の有機充填剤(流動パラフィン)が中空状物中で
大きく移行することなく所定の孔密度をもたせることが
できかつ比熱も大きすぎないので、適切な冷却速度でポ
リプロピレンの結晶化を促し安定した形状が得られる
が、その冷却過程において、有機充填剤あるいは冷却固
化液が、まだ完全に冷却固化していない中空糸の最外表
面に局在し、最外表面のポリプロピレン組成分率が低く
なり、このため、中空糸外表面4の孔が大きく、かつ固
相は粒子状ポリプロピレンがネットワーク状に広がった
凹凸の激しい表面性状となってしまう。
対して相溶しない、不活性な液体であっても比熱容量の
大きいもの、例えば有機充填剤として流動パラフィンを
用いた場合に、比熱容量が約1.0cal/g と大きな水を
用いると、冷却効果が高いためにポリプロピレンが急冷
され、外表面4は特に結晶化度の低い状態となるおそれ
がある。このため、ポリプロピレンの微粒子が形成され
ず、外表面4の孔が小さく、ガス交換能の低い中空糸膜
となってしまうおそれがある。
冷却効果が得られず中空糸物を糸として得ることができ
なくなるおそれがある。
填剤とは相溶せず、かつ比熱容量が0.3〜0.7cal/
g である溶液を用いれば、中空糸膜1の外表面4に有機
充填剤が局在することもなく、ポリプロピレンの冷却速
度も適当であり、外表面4においても適度なポリプロピ
レン組成分率を有したまま結晶化が促進されるので、外
表面4は中空糸膜内部3と同様にポリプロピレンの微粒
子が繊維軸方向に連なってできたポリプロピレン塊が多
数集まって形成され、平滑な表面性状を呈することにな
るためである。
は、変向棒21を介して抽出機27等へ送られ、有機充
填剤を溶解抽出する。有機充填剤を溶解抽出する方法と
しては、ベルトコンベア26上の中空状物16に抽出液
25のシャワーを降らせるシャワー方式に限定されるも
のではなく、抽出槽方式、一度巻き取った中空状物16
を別のカセに巻き戻す際に、抽出液にカセを浸す巻き戻
し方式など、中空状物が抽出液と接触することができれ
ばいずれの方法であってもよく、また、これらの方法を
二つ以上組合せることも可能である。
ポリプロピレンを溶解せず、かつ有機充填剤を溶解抽出
できるものであればいずれも使用できる。抽出液25の
具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プ
ロパノール類、ブタノール類、ペンタノール類、ヘキサ
ノール類、オクタノール類、ラウリルアルコール等アル
コール類、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリ
フルオロエタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ
フルオロメタン、1,1,2,2−テトラクロロ−1,
2−ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が挙
げられ、これらのうち、有機充填剤に対する抽出能力の
点から、ハロゲン化炭化水素類が好ましく、特に人体に
対する安全性の点から塩化弗化炭化水素類が好ましい。
熱処理装置30等により、必要に応じ熱処理が施され
る。熱処理は、空気、窒素、炭素ガス等の雰囲気中で5
0〜160℃、好ましくは70〜120℃の温度で5秒
〜120分間、好ましくは10秒〜60分間行なわれ
る。この熱処理により中空糸膜の構造安定化がなされ、
寸法安定性が高くなる。また、この場合、熱処理前また
は熱処理時に延伸を行なってもよい。
ン処理の方法としては、処理する中空糸膜材質によって
異なるが、例えば、中空糸膜1の外表面4側を水に浸漬
した状態で、オゾンを含む空気を中空糸膜1の内表面2
側に、例えばオゾン濃度5〜80g/m3、流量0.1〜5
リットル/min 、温度0〜50℃、0.5〜20分の条件
で、オゾンを含む気体を吹き込み、その後乾燥する方法
が挙げられる。
に、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコ
ールジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジア
ミンのようなカプラーを導入、固定する。この方法とし
ては、例えば、pHを7〜12に調整した前記カプラーを
含む溶液を中空糸膜1の内表面2側に充填し、例えば、
25〜60℃、30分〜48時間反応させる。
む溶液を排出し、洗浄した後、ヘパリンを導入、固定す
る。この方法としては、例えば、部分的にアミノ基を導
入したヘパリンの水溶液を中空糸膜1の内表面2側に充
填し、例えば、25〜70℃、10〜300分間反応さ
せる。その後、ヘパリン水溶液を排出し、中空糸膜1の
内表面2側に、例えばグルタルアルデヒドを15〜50
℃、30分〜24時間充填して、ヘパリンを固定する。
範囲を親水化することができるのは、中空糸膜基材の各
特性が前記範囲であること、特に、透水率が0.01〜
1.0ml/min・m2・mmHg(室温)であることによる。すな
わち、透水率が小さ過ぎると、空孔の曲路率が大きくな
り、空孔内の親水化がされないかまたは不十分となり、
逆に、透水率が大き過ぎると、空孔の曲路率が小さく空
孔が直線的になるため、空孔内の全部が親水化されてし
まうか、または直線的な空孔の一部親水化によって、血
漿の漏出が生じ易くなる。このことは、空孔率、空孔半
径等についても同様である。
空糸膜型人工肺に使用すると最適である。
ガス透過能は、人工肺として使用するには必要以上に高
かった。すなわち、中空糸膜の内側に血液を循環する場
合、酸素添加能は血液側の境膜抵抗が大きく、中空糸膜
の抵抗は律速になっておらず、一方、炭酸ガス除去能は
中空糸膜抵抗に依存するが、その透過能は過剰であり、
また、中空糸膜の外側に血液を循環する場合、ガス交換
能も中空糸膜の抵抗に依存するが、その透過能は過剰で
あった。
のガス透過能は、従来の延伸法のものよりも低いが、人
工肺に組み込んで使用するには充分な性能が得られ、し
かも、抽出法であるために、ピンホールによる血液漏出
も起こらず、従ってガス交換能の低下を防ぐことができ
る。
充填剤ないしその類似化合物よりなる液体を使用して得
られた中空糸膜は、ポリプロピレンがネットワーク状に
連なり、非常に凹凸の激しい表面をもつため、人工肺と
して組立てる際に糸同士がくっつき合って固着してしま
い、組立作業が煩雑であり、また、接着剤が糸の回りに
入り込まずポッティング不良となるおそれがあった。
り得られた中空糸膜は、外表面4が中空糸膜の内部と同
様に粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連なってでき
たポリプロピレン塊が多数集まって形成され平滑な性状
を有することから、このような人工肺組立時における問
題は解消され、かつ上述したように、中空糸膜の外表面
4あるいは内表面2のいずれに血液を流しても、血球成
分に損傷を与えることなく、また圧力損失も低いもので
ある。
の一部が親水化されているため、プライミングをした際
に、その親水化された部分、特に、空孔内の一部に液体
が充填された状態となる。これにより、内表面2側の圧
力が外表面4側の圧力に比べ相対的に低くなった場合で
も、空孔内の液体が内表面2側に押し流され、さらに
は、気体が空孔内を通って内表面2側に流入することは
なく、また、空孔内には、外表面4側に親水化されてい
ない疎水性の部分が存在するため、内表面2側の圧力が
外表面4側の圧力に比べ相対的に高くなった場合でも、
空孔内の液体が外表面4側に流出することはない。この
ことは、血液接触面である内表面2側に緻密層が形成さ
れたのと同様の効果をもたらす。
態であっても、その液体は、ガス透過性に優れているた
め、内表面2側に実際に緻密層を形成したのに比べ、ガ
ス交換能がはるかに優れた中空糸膜が得られる。
例を示す一部断面側面図である。同図に示すように、中
空糸膜型人工肺51は、ハウジング56を有し、このハ
ウジング56は筒状本体57の両端部に環状の雄ネジ付
き取付カバー58,59が設けられている。
数(例えば10000〜70000本)の上記本発明の
中空糸膜1がハウジング56の長手方向に沿って並列的
に相互に離間配置されている。そして、この中空糸膜1
の両端部は、取付カバー58,59内において、それぞ
れの開口が閉塞されない状態で隔壁60,61により液
密に支持されている。
外周面と上記ハウジング56の内面とともに第1の物質
移動流体室である酸素含有ガスのガス室62を構成し、
これを閉塞し、かつ中空糸膜1の内部に形成される第2
の物質移動流体用空間である血液側流路とガス室62を
隔離するものである。
動流体である酸素含有ガスを供給する導入口63が設け
られており、他方の取付カバー59には、酸素含有ガス
を排出する導出口64が設けられている。
は、軸方向の中央に位置して突出する絞り用拘束部65
を設けることが好ましい。すなわち、拘束部65は上記
筒状本体57の内面に筒状本体と一体的に形成されてお
り、筒状本体57内に挿通される多数の中空糸膜1から
なる中空糸束66の外周をその中心方向へ締め付けるよ
うになっている。こうして、上記中空糸束66は、図4
で示すように、軸方向の中央において絞り込まれ、絞り
部67を形成する。従って、中空糸膜1の充填率は、軸
方向に沿う各部において異なり、中央部分において最も
高くなっている。
ある。まず、中央の絞り部67における充填率は約60
〜80%、その他筒状本体57内では充填率は約30〜
60%であり、中空糸束66の両端部、すなわち隔壁6
0,61の外面付近における充填率は約20〜50%で
ある。
されないが、好ましくは0.1〜8.0m2程度、より好
ましくは0.8〜5.0m2程度とするのがよい。
る。前述したように、隔壁60,61は、中空糸膜1の
内部と外部を隔離するという機能を果たすものである。
通常、この隔壁60,61は、極性の高い高分子ポッテ
ィング材、例えばポリウレタン、シリコーン、エポキシ
樹脂等をハウジング56の両端内壁面に遠心注入法によ
り流し込み、硬化させることにより形成される。
の長さより長い多数の中空糸膜1を用意し、この両開口
端を粘度の高い樹脂によって目止めをした後、ハウジン
グ56の筒状本体57内に並べて位置せしめる。この
後、取付けカバー58,59の径以上の大きさの型カバ
ーで、中空糸膜1の各両端を完全に覆い、ハウジング5
6の中心軸を中心にそのハウジング56を回転させなが
ら両端部側から高分子ポッティング材を注入する。流し
終って樹脂が硬化すれば、上記型カバーを外して樹脂の
外側面部を鋭利な刃物で切断し、中空糸膜1の両開口端
を表面に露出させる。かくして隔壁60,61は形成さ
れることになる。
る流路形成部材68,69でそれぞれ覆われている。こ
の流路形成部材68,69は、それぞれ液分配部材7
0,71およびネジリング72,73よりなり、この液
分配部材70,71の周縁部付近に設けられた環状凸部
として突条74,75の端面を前記隔壁60,61にそ
れぞれ当接させ、ネジリング72,73を取付カバー5
8,59にそれぞれ螺合することにより固定され、これ
により第2の物質移動流体である血液の流入室76およ
び流出室77がそれぞれ形成される。
は、それぞれ血液の導入口78および導出口79が形成
されている。
9とにより形成される隔壁60,61の周縁部の空隙部
には、該空隙部に連通する少なくとも2個の孔82,8
3の一方より充填材84,85を充填することにより、
隔壁60,61と接触するようにシールされる。あるい
はまた、Oリング(図示せず)を介してシールされる。
1の物質移動流体として空気等の酸素含有ガスを、また
第2の物質移動流体として血液を適用するもの、すなわ
ち、中空糸膜1の内表面2側に血液を循環し、中空糸膜
1の外表面4側に酸素含有ガスを吹送してガス交換を行
なうタイプのものであるが、本発明に係る中空糸膜型人
工肺は、中空糸膜1の外表面4側に血液を循環させ、中
空糸膜の内表面2側に酸素含有ガスを吹送してガス交換
を行なうタイプのものでもよく、この場合、図示の人工
肺と同様な構成において、第1の物質移動流体として血
液を、また第2の物質移動流体として酸素含有ガスを適
用すればよい。
の体外循環回路に適用することもできるが、以下に説明
する本発明の体外循環回路を構成するとさらに人工肺の
耐久性が向上し好ましい。
模式的に示す回路構成図である。同図に示すように、体
外循環回路90は、貯血槽91と、上記本発明の中空糸
膜型人工肺51と、送血用のポンプ92とを有し、患者
98の脱血部(血管)と貯血槽91の流入側、貯血槽9
1の流出側と人工肺51の導入口78、人工肺51の導
出口79とポンプ92の吸入側、ポンプ92の吐出側と
患者98の送血部(血管)とを、それぞれ、チューブ9
3、94、95および96で接続したものである。ま
た、チューブ96の途中には、クレンメ(オクルーダ
ー)97が設置されている。
30〜120cm程度低い位置に設置され、この落差によ
り患者98の脱血部から血液が貯血槽91内に導入され
るようになっている。なお、図示の回路においては、貯
血槽91は、熱交換器を内蔵するものであるのが好まし
い。
プ、遠心ポンプ、タービンポンプ等が使用可能である。
なお、ポンプ92として遠心ポンプを用いた場合には、
貯血槽91を省略し、患者97の脱血部と人工肺51の
導入口78とをチューブで直接接続することもできる。
は、図示のごとく、人工肺51がポンプ92の上流側に
配置されている。従来の中空糸膜を用いた人工肺では、
このような配置にすると、ポンプ92の吸引により中空
糸膜内部に負圧が生じたとき、ガス室62側から気体が
中空糸膜の空孔を通って中空糸膜内部に侵入し、血液中
に気泡が混入するおそれがあったため、人工肺は必ずポ
ンプ92の下流側(吐出側)に設置しなければならなか
ったが、本発明では、人工肺51の中空糸膜1は、前述
したように、中空糸膜1の血液接触面である内表面2側
に負圧が生じても、血液中への気泡の混入は生じないた
め、このような配置とすることが可能となる。
流側に配置することができるということは、例えば、分
離体外循環等が可能となる等、体外循環回路の設計にお
いて、許容範囲が大幅に広がるのみならず、血液が中空
糸膜に対し加圧しないため、長時間循環時の血漿漏出の
危険性がさらに低減できる。
回路内に実際の循環と同様の圧を付加するためのもので
ある。
患者の条件や症例にもよるが、通常、100〜6000
ml/min程度とされ、本発明の体外循環回路90では、こ
のような血液循環量において、人工肺51での血漿の漏
出や血液中への気泡の混入を生じることなく、充分な酸
素加、脱炭酸ガス能が得られる。
1がポンプ92の上流側に配置されているものであれば
いかなるものでもよく、その他の構成については特に限
定されない。
イパス、V−Aバイパス、A−Vバイパスのいずれにも
適用することができるが、その中でも特に、V−Vバイ
パス、V−Aバイパスが好ましい。
る。
モポリマー100重量部に対し、下記表1に示す割合の
流動パラフィン(数平均分子量324)および結晶核形
成剤としてのジベンジリデンソルビトール0.5重量部
を仕込み、二軸型押出機(池貝鉄工社製、PCM−30
−25)により溶融混練し、押出した後ペレット化し
た。
出機(笠松製作所社製、WO−30)を用いて180〜
225℃で溶融し、芯径4mm、内径6mm、外径7mm、ラ
ンド長15mmの環状紡糸孔15より、吐出量2.66g/
min で空気中に吐出させ、中空状物16を落下させた。
なお、落下距離は25〜50mmであった。
れられた冷却固化液17であるポリエチレングリコール
(Mn=200)と接触させた後、冷却固化液流通管1
9内を自然流下する冷却固化液17と並流接触させて冷
却した。なお、このときの冷却固化液の温度は30℃で
あった。
固化液内に導入し、変向棒21により変更させてドライ
ブロール22へ導き、さらに、シャワーコンベア方式の
抽出機27において、抽出液25であるフレオン113
(1,1,2−トリクロロ,1,2,2−トリフルオロ
エタン)により流動パラフィンを完全に抽出、除去し
た。
110℃で20秒間熱処理を施し、巻取装置31のボビ
ン32に巻き取った。
は、巻戻し装置によってカセに巻き戻され、約30cmの
バンドル状の中空糸束を得た。これらを、それぞれサン
プルNo. 1A、2A、3Aとした。
肺用ポリプロピレン中空糸膜(三菱レーヨン社製、KP
F−190M)を、サンプルNo. 4Aとした。
糸膜基材の内表面側に親水化処理を施した。まず、中空
糸膜基材の外表面側(酸素含有ガス側)を5℃の冷水に
浸漬して中空糸膜基材全体を冷却した後、オゾン発生機
(日本オゾン社製、O−1−2)を用いて、100V 、
オゾン濃度25g/m3、800ml(O2)/min、の条件で5
℃、10分間、基材の内表面側にオゾンを含む気体を吹
き込んだ。
に、pH10.0に調整したポリエチレンイミン水溶液
(バスフ社製、ポリミンSN)を基材の内表面側に充填
し、45℃、24時間反応させた。
し、水洗した後、部分的にアミノ基を導入したヘパリン
をpH4.0、50mMのコハク酸緩衝液に溶解して得られ
た0.2%ヘパリン水溶液を基材の内表面側に充填し、
45℃、4時間反応させた。
pH4.0、5mMのコハク酸緩衝液に溶解して得られた1
%グルタルアルデヒドを基材の内表面側に充填し、37
℃、24時間反応させ、ヘパリンを固定した。このよう
にして得られた中空糸膜を、それぞれサンプルNo. 1
B、2B、3B、4Bとした。
は、機材の内表面と空孔内の内表面に続く部位がヘパリ
ンにより親水化されていた。
ついて、寸法(内径/膜厚)、空孔率、平均空孔半径、
酸素ガスフラックス、透水率、内表面開孔率を測定し
た。その結果を表1に示す。
る。
ソリで0.5mm程度の長さに輪切りにする。万能投影機
(ニコンプロファイルプロジェクター V−12)でそ
の断面を映し出し、計測器(ニコンデジタルカウンター
CM−6S)でその外径d1 、内径d2 を測定し、膜
厚tをt=(d1 −d2 )/2により算出し、10本の
平均値とした。
以下の長さに輪切りにする。得られた試料を水銀ポロシ
メーター(カルロエルバ社製、65A型)にて1000
kg/cm2まで圧力をかけ、全空孔量(単位重さ当りの中空
糸膜の細孔体積)より空孔率および平均空孔半径を得
る。
のモジュールを作製し、一方の血液導入ポートから80
0ml/min の酸素を中空糸内に流し、反対側の導出ポー
ト端を閉じた後、定常状態になったときの導入ポートに
おける圧力を測定し算出した。
0%、70%、50%のエタノール水溶液にこの順に2
時間ずつ浸漬し、その後、蒸留水中に2時間以上浸漬し
て親水化した。モジュールを乾かさない状態で、中空糸
膜内部に加圧タンクで0.45kg/cm2の圧力で水を圧入
し、中空糸膜を透過してガスポートから出てくる水の量
をメスシリンダーで測った。
各試料の内表面のSEM写真を1万倍で撮影し、この写
真を画像解析装置(東芝社製、TOSPIXO)にCC
Dカメラにて取り込み、撮影表面全体の面積に対する孔
部分の面積の割合を内表面開孔率とした。
1B〜4Bの各中空糸膜を用いて、図3に示す構造の中
空糸膜型人工肺を作製した。各人工肺において用いた中
空糸の本数は、それぞれ13、500本であり、それら
の有効膜面積は、0.8m2であった。これらの人工肺に
ついて、バブルポイントを測定した。
液側流路(中空糸膜の内表面側)に、プライミング液と
して生理食塩水を充填し、中空糸膜の上端にかかる静水
圧が0mmHgの状態で、酸素含有ガスの導入口63から空
気を吹き込んでガス室62側を加圧し、流出室77に気
泡が発生したときの空気の圧力を測定し、これをバブル
ポイントとした。その結果を表2に示す。
いるサンプルNo. 1B〜4Bは、親水化処理がなされて
いないサンプルNo. 1A〜4Aに比べ、バブルポイント
が著しく増大し、よって、中空糸膜の内表面側に負圧が
生じても、血液中に気泡の混入が生じないことが確認さ
れた。なお、サンプルNo. 4Bは、バブルポイントは高
いが、プライミングより数分後、中空糸膜の外表面側に
生理食塩水が漏出したため、人工肺として使用するに
は、実用性に欠けるものであった。
ついて、AAMIの基準により、ガス交換性能を測定し
た。すなわち、人工肺の中空糸内部に牛血(標準静脈
血)を流量800ml/minで流し、一方、中空糸外部へ純
酵素を流量800ml/minで流した。
び導出口79における牛血中の酸素ガス分圧および炭酸
ガス分圧を血中ガス測定装置(ラジオメーター社製、A
BL−30型)により測定し、これより酸素ガス移動量
および炭酸ガス移動量を求めた。その結果を下記表3に
示す。
び3Bによる本発明の人工肺は、いずれも高いガス交換
能を有している。
用いた図5に示す体外循環回路において、ポンプ92を
チューブ94の途中(人工肺51の上流)に設置した回
路を構成した。この回路中、貯血槽は、熱交換器を内蔵
する容量300mlの密閉型ものを用い、ポンプは、ロー
ラーポンプを用いた。また、患者98に代り、生体にみ
たてた血液槽を用いた。
環を行なって、人工肺からの血漿の漏出の度合いを調べ
た。
投与した5U/mlのヘパリン加牛血漿(37℃)を、前記
体外循環回路の血液流路に流量400ml/minで流し、人
工肺の血液導出口79側の圧力をクレンメ97にて30
0mmHgに調節しつつ、循環した。一方、人工肺のガス室
(中空糸外部)62へは、5%CO2 入り標準空気を流
量400ml/minで流した。なお、牛血漿は、24時間毎
に新鮮なものに交換した。
プに接続し、所定時間経過毎にトラップされた液(漏出
血漿+結露水)を採取し、タンパク質検出試験紙にてタ
ンパク質の有無を確認し、液体流出速度を求めた。その
結果を下記表4に示す。
Bおよび3Bの中空糸膜を備える人工肺は、長時間使用
しても血漿の漏れがほとんどなく、耐久性に優れている
ことがわかる。
Bによる人工肺を用い、図5に示す体外循環回路を構成
した。なお、患者(血液槽)98と貯血槽91との落差
は90cmとした。
の血漿の漏出の度合いを調べた。その結果を下記表5に
示す。
Bの中空糸膜を用いた人工肺においても、実験3の結果
(表4)に比較し、血漿漏出開始時間およびその量に著
しい改善効果がみられた。このことから、本発明の中空
糸膜サンプルNo. 2B、3Bを用いた人工肺においても
血漿漏出防止効果のさらなる向上があることが推定され
る。
遠心ポンプを用いた以外は前記実験4と同様の体外循環
回路を作製した。この回路は、簡便なECMOを想定し
た回路であり、患者(血液槽)98と貯血槽91との落
差は10cmとした。
クレンメ97にて250〜300mmHgに調節した以外は
実験3と同様にして、生理食塩水によるプライミング操
作および循環を行ない、さらに、この循環をほとんど停
止することなく牛血漿に置換しながら循環を続けた。プ
ライミング時および血漿に置換後の循環時において、そ
れぞれ、人工肺の流出室77における気泡発生の有無を
肉眼で観察した。その結果を下記表6に示す。
Bおよび3Bの中空糸膜を備える人工肺は、ポンプ92
より上流側に設置したにもかかわらず、いずれの循環時
においても気泡の混入は全くないことがわかる。
糸膜、人工肺および体外循環回路によれば、高いガス交
換能を維持しつつ、長時間使用した場合でも血漿の漏出
がなく、耐久性に優れている。特に、体外血液循環を1
20〜160時間程度またはそれ以上連続して行なって
も血漿の漏出がほとんどない。
下した場合でも、酸素含有ガス側から空孔を経て血液中
に気泡が混入することはない。
血液を流すことができ、いずれの場合でも、血球等に損
傷を与えることはなく、しかも圧力損失も高まらない。
るポッティング不良等の人工肺組立てに際しての問題も
生じない。
す拡大横断面図である。
図である。
を模式的に示す断面側面図である。
である。
回路構成図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 横断面形状が実質的に円形または楕円形
の多孔質ポリプロピレン中空糸膜であって、 空孔率が1〜40%、空孔の平均半径が100〜600
A 、空孔内に水を充填した際の透水率が0.01〜1.
0ml/min・m2・mmHg(室温)の疎水性多孔質中空糸膜を基
材とし、 この基材の血液接触面およびこれに続く空孔内の一部が
親水化されており、これにより、前記血液接触面に生理
食塩水を接触させた際のバブルポイントが30mmHg以上
となるようにしたことを特徴とする多孔質中空糸膜。 - 【請求項2】 ガス交換膜として、請求項1に記載の多
孔質中空糸膜を備えることを特徴とする人工肺。 - 【請求項3】 請求項2に記載の人工肺と、送血用のポ
ンプとを少なくとも備え、前記人工肺の血液側流路と前
記ポンプとが連通するよう接続された体外循環回路であ
って、 前記人工肺は、前記ポンプより上流側に配置されている
ことを特徴とする体外循環回路。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP22833391A JP3152691B2 (ja) | 1991-08-13 | 1991-08-13 | 多孔質中空糸膜、人工肺および体外循環回路 |
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---|---|---|---|
JP22833391A JP3152691B2 (ja) | 1991-08-13 | 1991-08-13 | 多孔質中空糸膜、人工肺および体外循環回路 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0542207A true JPH0542207A (ja) | 1993-02-23 |
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ID=16874817
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JP (1) | JP3152691B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
JP2009521981A (ja) * | 2005-12-29 | 2009-06-11 | リクショスピタレット−ラディウムホスピタレット エイチエフ | 体外循環対象患者の動脈血酸素分圧(PaO2)値評価の方法と器具 |
KR20180137483A (ko) | 2016-04-27 | 2018-12-27 | 도레이 카부시키가이샤 | 다공질 섬유, 흡착 재료 및 정화 칼럼 |
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1991
- 1991-08-13 JP JP22833391A patent/JP3152691B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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