JPH0474046B2 - - Google Patents

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JPH0474046B2
JPH0474046B2 JP62329846A JP32984687A JPH0474046B2 JP H0474046 B2 JPH0474046 B2 JP H0474046B2 JP 62329846 A JP62329846 A JP 62329846A JP 32984687 A JP32984687 A JP 32984687A JP H0474046 B2 JPH0474046 B2 JP H0474046B2
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fiber membrane
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porous
porous hollow
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は、多孔質中空糸膜、その製造法および
その中空糸膜を用いた人工肺に関するものであ
る。詳しく述べると本発明は、高ガス交換能を有
する多孔質中空糸膜、その製造方法およびその中
空糸膜を用いた人工肺に関するものである。さら
に詳しく述べると、中空糸膜の内側あるいは外側
に血液を流すいずれのタイプの人工肺に用いられ
ても、血球成分の損傷、圧力損傷の増加等を起こ
すことなく、また長期間使用に際して血漿漏出が
なくかつ高いガス交換能を示す多孔質中空糸膜、
その製造方法およびその中空糸膜を用いた人工肺
に関するものである。 (従来の技術) 一般に心臓手術等において、患者の血液を体外
に導き、これに酸素を添加しかつ炭酸ガスを除去
するために、体外循環回路内に中空糸膜人工肺が
用いられている。このような人工肺において使用
される中空糸膜としては、均質膜と多孔質膜の2
種類がある。均質膜は透過する気体の分子が膜に
溶解し、拡散することによつてガスの移動が行な
われる。この代表的なものにシリコーンゴムがあ
り、例えば、メラ・シロツクス(泉工医工業)と
して製品化されている。しかしながら、均質膜
は、ガス透過性の点から現在使用可能なものとし
てはシリコーンゴムのみしか知られておらず、ま
た該シリコーンゴム膜は強度的に膜厚100μm以下
にすることはできない。このためガス透過に限界
があり、特に炭酸ガスの透過が悪い。また、前記
シリコーンゴムは高価で、しかも加工性が悪いと
いう欠点があつた。 一方、多孔質膜は、該膜の有する微細孔が透過
すべき気体分子に比べて著しく大きいため、気体
は体積流として細孔を通過する。例えばマイクロ
ポーラスポリプロピレン膜等の多孔質膜を使用し
た人工肺が種々提案されている。例えばポリプロ
ピレンを中空糸製造用ノズルを用いて、紡糸温度
210〜270℃、ドラフト比180〜600で溶解紡糸し、
ついで155℃以下で第1段熱処理を行なつたのち、
110℃未満で30〜200%延伸し、しかるのちに第1
段熱処理温度以上155℃以下で第2段熱処理する
ことにより多孔質ポリプロピレン中空糸を製造す
ることが提案されている(特公昭56−52,123
号)。しかしながら、このようにして得られる多
孔質中空糸はポリプロピレン中空糸を延伸するこ
とにより物理的に細孔を形成するので、該細孔は
膜厚方向にほぼ水平な直線状細孔であり、かつ延
伸度に応じて中空糸の軸線方向に亀裂を生じて生
成する細孔であるから断面がスリツト状である。
又細孔はほぼ直線的に連続貫通し、かつ空孔率が
高い。このため、該多孔質中空糸は水蒸気の透過
性が高く、また長期間血液を体外循環させて使用
すると、血漿が漏出するという欠点があつた。 また、血漿漏出が起こらない多孔質膜として、
例えば、ポリオレフイン、該ポリオレフインの溶
融下で該ポリオレフインに均一に分散し得かつ使
用する抽出液に対して易溶性である有機充填剤お
よび結晶核形成剤を混練し、このようにして得ら
れる混練物を溶融状態で環状紡糸孔から吐出させ
同時に内部中央部に不活性ガスを導入し、該中空
状物を前記ポリオレフインを溶解しない冷却固化
液と接触させて冷却固化し、ついで冷却固化した
中空状物を前記ポリオレフインを溶解しない抽出
液と接触させて前記有機充填剤を抽出条去するこ
とにより製造される多孔質ポリオレフイン中空糸
膜が提案されている(特願昭59−210,466号)。
しかしながら該中空糸膜の1つであり、冷却固化
液として好ましいとされる用いられる有機充填剤
を溶解し得る冷却固化液を使用して得られたポリ
プロピレン中空糸膜は、孔が小さく孔路も複雑で
あるため血漿漏出は起こらないが、単位面積当り
の孔密度が小さいので、人工肺用膜として用いる
には、ガス交換能が不充分となる虞れがあり、さ
らに前記有機充填剤を溶解し得る冷却固化液中に
ポリオレフインの低分子成分が混ざり、冷却浴管
内壁に付着し、中空糸の形状が経時的に変化して
しまうという虞れがあつた。 さらにこれらの点を改善するために、ポリプロ
ピレン、該ポリプロピレンの溶融下でポリプロピ
レンに均一に分散し得、かつ使用する抽出液に対
して易溶性である有機充填剤、および結晶核形成
剤を混練し、このようにして得られる混練物を溶
融状態で環状紡糸孔から中空状に吐出させ、該中
空状物を前記有機充填剤ないしその類似化合物よ
りなる液体と接触させて冷却固化し、ついで冷却
固化した中空状物をポリプロピレンを溶融しない
抽出液と接触させて前記有機充填剤を抽出除去す
ることにより製造される多孔質ポリオレフイン中
空糸膜が提案されている(特願昭61−155,194
号)。この方法により得られる中空糸膜は、今ま
で述べた欠点を克服したものであるが、その冷却
過程において、有機充填剤あるいは冷却固化液
が、まだ完全に冷却固化していない中空糸の最外
表面に局在し、最外表面のポリプロピレンの組成
分率が低くなり、結果として中空糸外表面の孔が
大きく、かつポリプロピレンがネツトワーク状に
連なり、非常に凹凸の激しい状態として形成され
る。このような中空糸は、中空糸の内側へ血液を
流し、中空糸の外側に酸素含有ガスを吹送して、
血液に酸素添加および炭酸ガス除去を行なうタイ
プの人工肺に用いる場合には何ら問題とならない
が、逆に中空糸の外側に血液を流し、中空糸の内
側に酸素含有ガスを吹送するタイプの人工肺に用
いられた場場合には、上記のごとき外表面の性状
により血球成分への損傷、圧力損失の増加といつ
た欠点が生じてくる。また、このような中空糸膜
は、人工肺のタイプにかかわらず、人工肺を組立
てる場合に、中空糸同志の固着が発生し、作業性
が良好なものとならず、かつポツテイング不良が
発生するという欠点があつた。 (発明が解決しようとする問題点) 従つて、本発明は、改良された多孔質中空糸
膜、その製造方法およびその中空糸膜を用いた人
工肺を提供することを目的とする。本発明はま
た、高いガス交換能を有する多孔質中空糸膜、そ
の製造方法およびその中空糸膜を用いた人工肺を
提供することを目的とする。本発明はさらにいず
れのタイプの人工肺に用いられた場合においても
血球成分を損傷せずまた圧力損失を高めることも
なく、長期間の使用に際して血漿漏出がなくかつ
高いガス交換能を有し、人工肺用として好適なポ
リプロピレン製多孔質中空糸膜、その製造方法お
よびその中空糸膜を用いた人工肺を提供すること
を目的とする。本発明はさらにまた、滑らかな外
表面性状を有し、人工肺組立工程における中空糸
同志の固着のない多孔質中空糸膜、その製造方法
およびその中空糸膜を用いた人工肺を提供するこ
とを目的とする。 (問題点を解決するための手段) これらの諸目的は、多孔質ポリプロピレン中空
糸膜であつて、その内表面においては固相は粒子
状ポリプロピレンが一部露出しつつ密に融和結合
して形成された連続相を呈し、また膜内部および
外表面においては固相は粒子状ポリプロピレンが
繊維軸方向に連なつてできたポリプロピレン塊が
多数集まつて形成され、これらの固相間の間隙
は、3次元ネツトワーク状に連通して連通孔を形
成してなる多孔質中空糸膜によつて達成される。 本発明はまた多孔質中空糸膜の軸方向における
複屈折率が0.001〜0.0.01である多孔質中空糸膜を
示すものである。本発明はまた空孔率が10〜60
%、内表面の開孔率が10〜30%、酸素ガスフラツ
クスが100〜1500/min・m2・atmである多孔
質中空糸膜を示すものである。本発明はさらに内
径が150〜300μm、肉厚が10〜150μmである多孔
質中空糸膜を示すものである。本発明はまた、粒
子状ポリプロピレンの平均粒径が0.1〜2.0μmで、
内表面の平均空孔径が0.1〜1.0μmである多孔質中
空糸膜を示すものである。本発明はまた、人工肺
用として用いた場合に、30時間以内での血漿の漏
出およびガス交換能の低下が実質的にないもので
ある多孔質中空糸膜を示すものである。本発明は
さらに、人工肺用として用いた場合に、血球成分
に対する損傷の少ないものである多孔質中空糸膜
を示すものである。 上記諸目的はまた、ポリプロピレン、該ポリプ
ロピレン溶融下でポリプロピレンに均一に分散し
得、かつ使用する抽出液に対して易溶性である有
機充填剤、および結晶核形成剤を混練し、このよ
うにして得られる混練物を溶融状態で環状紡糸孔
から中空状に吐出させ、該中空状物を前記有機充
填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3〜0.7cal/g
である冷却固化液と接触させて冷却固化し、つい
で冷却固化した中空状物を、ポリプロピレンを溶
解しない抽出液と接触させて前記有機充填剤を抽
出除去することを特徴とする多孔質中空糸膜の製
造方法により達成される。 本発明はまた、冷却固化液として、シリコーン
オイルまたはポリエチレングリコールを用いるも
のである多孔質中空糸膜の製造方法を示すもので
ある。本発明はさらに、ポリシメチルシロキサン
が、20℃で2〜50cStの粘度を有するものである
多孔質中空糸膜の製造方法を示すものである。本
発明はさらに、ポリエチレングリコールが、平均
分子量100〜400のものである多孔質中空糸膜の製
造方法を示すものである。本発明はまた、有機充
填剤として流動パラフインを用いるものである多
孔質中空糸膜の製造方法を示すものである。本発
明はさらに、ポリプロピレン100重量部に対する
有機充填剤の配合量が35〜170重量部である多孔
質中空糸膜の製造方法を示すものである。本発明
はまた、結晶核形成剤は融点が150℃以上でかつ
ゲル化点が使用するポリプロピレンの結晶開始温
度以上の有機耐熱性物質である多孔質中空糸膜の
製造方法を示すものである。本発明はさらにポリ
プロピレン100重量部に対する結晶核形成剤の配
合量が0.1〜5重量部である多孔質中空糸膜の製
造方法を示すものである。 上記諸目的はさらにまた、中空糸膜をガス交換
膜として備えてなる人工肺において、該ガス交換
膜は多孔質ポリプロピレン中空糸膜であつて、そ
の内表面においては、固相は粒子状ポリプロピレ
ンが一部露出しつつ密に融和結合して形成された
連続相を呈し、また膜内部および外表面において
は固相は粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連
なつてできたポリプロピレン塊が多数集まつて形
成され、これらの固相間の間隙は、3次元ネツト
ワーク状に連通して連通孔を形成してなるもので
あることを特徴とする人工肺によつて達成され
る。 本発明はまた多孔質中空糸膜の軸方向における
複屈折率が0.001〜0.01である人工肺を示すもの
である。本発明はまた中空糸膜の空孔率が10〜60
%、内表面の開孔率が10〜30%、酸素ガスフラツ
クスが100〜1500/min・m2・atmである人工
肺を示すものである。本発明はさらに中空糸膜の
内径が150〜300μm、肉厚が10〜100μmのもので
ある人工肺を示すものである、本発明はまた、中
空糸膜の内側に血液を循環し、中空糸膜の外側に
酸素含有ガスを吹送するものである人工肺を示す
ものである。本発明はまた、中空糸膜の外側に血
液を循環し、中空糸膜の内側に酸素含有ガスを吹
送するものである人工肺を示すものである。本発
明はさらに、血液を体外循環させたとき、30時間
以内での血漿の漏出およびガス交換能の低下が実
質的にないものである人工肺を示すものである。
本発明はまた、血液を体外循環させたとき、血球
成分に対する損傷の少ないものである人工肺を示
すものである。本発明はさらに、中空糸膜の粒子
状ポリプロピレンの平均粒径が0.1〜2.0μm内表面
の平均空孔径が0.1〜1.0μmである人工肺を示すも
のである。 以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説
明する。 本発明による多孔質中空糸膜は、内径が150〜
300μm、好ましくは180〜250μm、肉厚が10〜
150μm、好ましくは20〜100μm、さらに好ましく
は40〜50μmであるほぼ円形のポリプロピレン製
中空糸膜である。このポリプロピレン製中空糸膜
の微細構造は、中空糸膜の製造条件によつて変わ
るが、既して後述するように冷却固化液として、
有機充填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3〜
0.7cal/gである溶液を使用することにより、第
1図〜第6図に示す走査電子顕微鏡写真に見られ
るような構造を有する。すなわち、その内表面側
においては、固相は粒子状ポリプロピレンが一部
露出しつつ密に融和結合、つまり溶融した後、冷
却固化して形成された連続相を呈する。(第2図
および第6図参照)。また膜内部においては固相
は多数の粒子状ポリプロピレンによつて形成さ
れ、この粒子状ポリプロピレンは円周方向におい
ては方向性をもたず無秩序に集まつている(第3
図参照)が繊維軸方向においては連なつてポリプ
ロピレン塊を形成しており、このポリプロピレン
塊は、糸状ポリプロピレンによつて相互に結ばれ
ている(第4図参照)。従つて膜内部においては、
固相は粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連な
つてきたポリプロピレン塊が多数集まつて形成さ
れているものと思われる。さらに外表面において
も、膜内部と同様に固相は粒子状ポリプロピレン
が繊維軸方向に連なつてできたポリプロピレン塊
が多数集まつて形成されている(第1図参照)。
しかして、これらの固相間の間隙は、該中空糸の
内表面および外表面を含む肉厚部において、内表
面より外表面に至る経路が長く、かつ孔同志が直
線的でなく複雑に網目状につながつた3次元ネツ
トワーク状の連通孔を形成している。なお、この
ような連通孔の孔路の複雑さは、本発明の多孔質
中空糸膜の軸線方向の複屈折率が0.001〜0.01と
極めて低く、ポリプロピレン結晶の配向性が小さ
いことからも、支持されるものである。 このように本発明の多孔質中空糸膜において
は、その内表面が粒子状ポリプロピレンの一部が
露出しつつ密に融和結合された連続相とそれ以外
の空孔部分からなり滑らかな表面性状を有するた
めに、人工肺において用いられ、中空糸の内部に
血液を流しても血球成分に損傷を与えることはな
くまた圧力損失も高くならない。一方、その外表
面も粒子状ポリプロピレンが整然と繊維軸方向に
並んできたポリプロピレン塊が多数集まつて形成
された固相とそれ以外の空孔部分からなり滑らか
な表面性状を有するために、人工肺において用い
られ中空糸の外側に血液を流しても血球成分に損
傷を与えることはなくまた圧力損失も高くならな
い。さらに、人工肺用中空糸膜として用いられた
際にガスの通路となる空孔部分は、複雑に網目状
につながつた3次元ネツトワーク状の連通孔であ
るために、血液を中空糸膜の内側あるいは外側の
いずれかに体外循環させても血漿成分はこのよう
に複雑に入り組んだ長い経路を通過することがで
きず、例えば30時間の体外循環時間では血漿漏出
は発生しないし、またガス交換能の低下も実質的
に認められない。 本発明の多孔質中空糸膜においてはさらに、空
孔率が10〜60%、さらに好ましくは30〜55%であ
り、内表面における開孔率が10〜30%、さらに好
ましくは12〜20%であり、また酸素ガスフラツク
スが100〜1500/min・m2・atm、さらに好ま
しくは300〜1000/min・m2・atmであること
が人工肺用中空糸膜として用いるために望まし
い。すなわち、空孔率が10%未満であるとガス交
換能が不十分となる虞れがあり、一方空孔率が60
%を越えると血漿の漏出の虞れが生じ、また開孔
率が10%未満であると中空糸膜の空孔部分の連通
孔の形成が不十分となるためにガス交換能が不十
分となる虞れがあり、一方、開孔率が30%を越え
ると連通孔が単純となり血漿の漏出の虞れが生
じ、さらに、酸素ガスフラツクスが100/
min・m2・atmより小さいと、ガス交換膜として
の性能が不足するおそれがあり、1500/min・
m2・atmより大きいと、血漿漏出が発生するおそ
れがあるためである。また本発明の多孔質中空糸
膜を構成する粒子状ポリプロピレンおよびこれら
の微粒子間の間隙である連通孔の大きさ、分布度
は、中空糸膜の製造条件および原料組成によつて
も好ましい状態に制御することができるが、粒子
状ポリプロピレンの平均粒径が0.1〜2.0μm、より
好ましくは0.2〜1.5であり、また内表面の平均空
孔径が0.1〜1.0μm、より好ましくは0.3〜0.6μmで
あることが望ましい。 このような中空糸膜は、例えば以下のようにし
て製造されるものである。すなわち、第20図に
示すように、ポリプロピレンと有機充填剤と結晶
核形成剤との配合物11を、ホツパー12から混
練機、例えば単軸押出機13に供給して該配合物
を溶融混練して押出したのち、紡糸装置14に送
り、口金装置15の環状紡糸孔(図示せず)から
ガス状雰囲気、例えば空気中に吐出させ、出てき
た中空状物16を冷却固化液17を収納した冷却
槽18に導入し、該冷却固化液17と接触させる
ことにより冷却固化させる。この場合、前記中空
状物16と冷却固化液17との接触は第20図に
示すように、例えば前記冷却槽18の底部に貫通
して下方に向つて設けられた冷却固化液流通管1
9内に前記冷却固化液17を流下させ、その流れ
に沿つて前記中空状物16を並流接触させること
が望ましい。流下した冷却固化液17は、固化槽
20で受けて貯蔵し、その中に前記中空状物16
を導入し、変向棒21によつて変向させて該冷却
固化液17と充分接触させて固化させる。蓄積し
てくる冷却固化液16は、循環ライン23より排
出させ、循環ポンプ24により前記冷却槽18へ
循環する。次に固化された中空状物16は、前記
有機充填剤を溶解しかつポリプロピレンを溶解し
ない抽出液25をシヤワー状に落らせるシヤワ
ー・コンベア式抽出機27へ導かれる。この抽出
機27において中空状物16は、ベルトコンベア
26上を搬送される間に抽出液と充分に接触され
て残留する有機充填剤を抽出除去される。ドライ
ブロール22によつて抽出機27から導き出され
た前記中空状物は、必要に応じてさらに再抽出、
乾燥熱処理等の工程を経て捲き取られる。 本発明で原料として使用されるポリプロピレン
としては、プロピレンホモポリマーに限らず、プ
ロピレンを主成分とする他のモノマーとのブロツ
クポリマー等があるが、そのメルトインデツクス
(M.I.)が5〜70のものが好ましく、特にM.I.が
10〜40のものが好ましい。また前記ポリプロピレ
ンのうちプロピレンホモポリマーが特に好まし
く、中でも結晶性の高いものが最も好ましい。 有機充填剤としては、前記ポリプロピレンの溶
融下で該ポリプロピレンに均一に分散できかつ後
述するように抽出液に対して易溶性のものである
ことが必要である。このような充填剤としては、
流動パラフイン(数平均分子量100〜2000)、α−
オレフインオリゴマー[例えばエチレンオリゴマ
ー(数平均分子量100〜2000)、プロピレンオリゴ
マー(数平均分子量100〜2000)、エチレン‐プロ
ピレンオリゴマー(数平均分子量100〜2000)
等]、パラフインワツクス(数平均分子量200〜
2500)、各種炭化水素等があり、好ましくは流動
パラフインである。 ポリプロピレンと前記有機充填剤との配合割合
は、ポリプロピレン100重量部に対して有機充填
剤が35〜170重量部、好ましくは80〜150重量部で
ある。すなわち有機充填剤が35重量部未満では、
得られる中空糸膜の一部がポリプロピレンの連続
相で構成されてしまい十分なガス透過能を示すこ
とができなくなり、一方、170重量部を越えると
粘度が低くなりすぎて中空状への成形加工性が低
下するからである。このような原料配合は、例え
ば二軸型押出機等の押出機を用いて所定の組成の
混合物を溶融混練し、押出したのち、ペレツト化
するという前混練方法により原料を調製(設計)
する。 本発明において原料中に配合される結晶核形成
剤としては、融点が150℃以上、(好ましくは200
〜250℃)でかつゲル化点が使用するポリオレフ
インの結晶開始温度以上の有機耐熱性物質であ
る。このような結晶核形成剤を配合する理由は、
ポリプロピレン粒子を縮小し、これによつて粒子
間の空隙、すなわち連通孔を狭く、かつ孔密度を
高くすることにある。一例をあげると、例えば、
1・3,2・4‐ジベンジリデンソルビトール、
1・3,2・4‐ビス(p−メチルベンジリデ
ン)ソルビトール、1・3,2・4ビス(p‐エ
チルベンジリデン)ソルビトール、ビス(4‐
t‐ブチルフエニル)リン酸ナトリウム、安息香
酸ナトリウム、アジピン酸、タルク、カオリン等
が結晶核形成剤としてあげられる。 結晶核形成剤としては、ベンジリデンソルビト
ール、特に1・3,2・4‐ビス(p−エチルベ
ンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4ビス
(p−メチルベンジリデン)ソルビトールが血液
中への溶出が少なく好ましい。 ポリプロピレンと前記結晶核形成剤との配合割
合は、ポリプロピレン100重量部に対して結晶核
形成剤が0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜1.0重量
部である。 このようにして調製された原料配合物をさらに
単軸押出機等の押出機を用いて、例えば160〜250
℃、好ましくは180〜220℃の温度で溶融して混練
し、必要ならば定量性の高いギアポンプを用い
て、紡糸装置の環状孔からガス雰囲気中に吐出さ
せて、中空状物を形成させる。なお前記環状孔の
内部中央部には、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、ア
ルゴン、空気等の不活性ガスを自吸させてもよい
し、必要であればこれらの不活性ガスを強制的に
導入してもよい。続いて環状孔から吐出させた中
空状物を落下させ、ついで冷却槽内の冷却固化液
と接触させる。中空状物の落下距離は5〜1000mm
が好ましく、特に10〜500mmが好ましい。すなわ
ち落下距離が5mm未満の場合には、脈動を生じて
冷却固化液に前記中空状物が侵入する際に潰れる
ことがあるからである。この冷却槽内で前記中空
状物は未だ十分に固化しておらず、しかも中央部
は気体であるために外力により変形しやすいの
で、第20図に示すように、例えば冷却槽18の
底部に貫通して下方に向つて設けられた冷却固化
液流通管19内に前記固化液17を流下させ、そ
の流に沿つて前記中空状物を並流接触させること
により前記中空状物を強制的に移動させ、かつ外
力(流体圧等)による中空状物の変形は防止でき
る。このときの冷却固化液の流速は自然流下で充
分である。またこのときの冷却温度は10〜90℃、
好ましくは20〜75℃である。すなわち、10℃未満
では、冷却固化速度が速すぎて、肉厚部の大部分
が緻密層となるためにガス交換能が低くなつてし
まい、一方90℃を越えると中空状物の冷却固化が
十分でなく、冷却固化層内で中空状物が切れてし
まう虞れがあるためである。 しかして、本発明においては、冷却固化液とし
て、使用された有機充填剤とは相溶せずかつ比熱
容量が0.3〜0.7cal/g、より好ましくは0.3〜
0.6cal/gの液体を用いる。このような冷却固化
液としては具体的には、例えば20℃における動粘
度が2〜50cSt、より好ましくは8〜40cStのジメ
チルシリコーンオイル、メチルフエニルシリコー
ンオイルなどのシリコーンオイル類、および平均
分子量が100〜400、より好ましくは180〜330のポ
リエチレングリコール類等が挙げられる。このよ
うに冷却固化液として、使用された有機充填剤と
は相溶せずかつ比熱容量が0.3〜0.7cal/gの液体
を用いるのは以下の理由による。 すなわち、冷却固化液として前記有機充填剤を
溶解し得る液体、例えば有機充填剤として流動パ
ラフインを用いた際に、ハロゲン化炭化水素類を
用いると、冷却固化液中でポリプロピレンと前記
有機充填剤との相分離が進行している間に、前記
有機充填剤が溶解抽出されてしまい、中空状物の
内側から外側へ有機充填剤が移行し、該中空状物
が完全に冷却固化されたときには、該中空状物の
内表面近傍の前記有機充填剤の割合が低くなり、
前記有機充填剤をさらに完全に溶解抽出した後の
内表面における開孔率が低くなつてしまい、膜の
ガス交換能が低下してしまうということが推測さ
れる。さらにこの例では、該中空状物中のポリプ
ロピレンの低分子量成分までが抽出され、第20
図に示す冷却固化液流通管19の内壁に堆積付着
し、該冷却固化液流通管19の内径を小さくして
しまい、該中空状物の形状が変化してしまうとい
う欠点が生じる虞れがある。また冷却固化液とし
前記有機充填剤と同一のものあるいはその類似化
合物、例えば有機充填剤として流動パラフインを
用いた際に、該流動パラフインと数平均分子量の
近似する流動パラフインを用いると、中空状物の
有機充填剤(流動パラフイン)が中空状物中で大
きく移行することなく所定の孔密度をもたせるこ
とができかつ比熱も大きすぎないので適切な冷却
速度でポリプロピレンの結晶化を促し安定した形
状が得られるが、その冷却過程において、有機充
填剤あるいは冷却固化液が、また完全に冷却固化
していない中空糸の最外表面に局在し、最外表面
のポリプロピレン組成分率が低くなり、このため
中空糸外表面の孔が大きく、かつ固相は粒子状ポ
リプロピレンがネツトワーク状に広がつた凹凸の
激しい表面性状となつてしまう。さらに冷却固化
液として、有機充填剤に対して相溶しない、不活
性な液体であつても比熱容量の大きいもの、例え
ば有機充填剤として、流動パラフインを用いた際
に、比熱容量が約1.0cal/gと大きな水を用いる
と、冷却効果が高いためにポリプロピレンが急冷
され、外表面は特に結晶化度の低い状態となる虞
れがある。このポリプロピレンの微粒子が形成さ
れず、外表面の孔の小さいガス交換能の小さい中
空糸膜がつくられてしまう虞れがある。逆に比熱
容量の小さいものでは充分な冷却効果が得られず
中空状物を糸として得ることができなくなる虞れ
がある。 これに対して、冷却固化液として、前記有機充
填剤とは相溶せず、かつ比熱容量が0.3〜0.7cal/
gである溶液を用いれば、中空糸の外表面に有機
充填剤が局在することもなく、ポリプロピレンの
冷却速度も適当であり、外表面においても適度な
ポリプロピレン組成分率を有したまま結晶化が促
進されるので、外表面は中空糸膜内部と同様にポ
リプロピレンの微粒子が繊維軸方向に連なつてで
きたポリプロピレン塊が多数集まつて形成され、
平滑な表面性状を呈することになるためである。 冷却固化槽で冷却固化された中空状物は、変向
棒を介して抽出機等へ送られ、有機充填剤を溶解
抽出する。前記有機充填剤を溶解抽出する方法と
しては、第20図に示すようなベルトコンベア上
の中空状物に抽出液のシヤワーを降らせるシヤワ
ー方式に限定されるものではなく、抽出槽方式、
一度捲き取つた中空状物を別のカセに捲き戻す際
に、抽出液にカセを浸す戻し方式等、中空状物が
抽出液と接触することができればいずれの方法で
あつてもよく、またこれらの方法を二つ以上組合
せることも可能である。 抽出液としては、中空糸膜を構成するポリプロ
ピレンを溶解せず、かつ有機充填剤を溶解抽出で
きるものであればいずれも使用できる。一例を挙
げると、例えばメタノール、エタノール、プロパ
ノール類、ブタノール類、ペンタノール類、ヘキ
サノール類、オクタノール類、ラウリルアルコー
ル等アルコール類、1,1,2‐トリクロロ‐
1,2,2‐トリフルオロエタン、トリクロロフ
ルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、1,
1,2,2‐テトラクロロ‐1,2‐ジフルオロ
エタン等のハロゲン化炭化水素類等があり、これ
らのうち有機充填剤に対する抽出能力の点からハ
ロゲン化炭化水素類が好ましく、特に人体に対す
る安全性の点から塩化弗化炭化水素類が好まし
い。 このようにして得られる中空糸膜は、さらに必
要により熱処理が施される。熱処理は、空気、窒
素、炭酸ガス等のガス状雰囲気中で50〜160℃、
好ましくは70〜120℃の温度で5秒〜120分間、好
ましくは10秒〜60分間行なわれる。この熱処理に
より中空糸膜の構造安定化がなされ、寸法安定性
が高くなる。また、この場合、熱処理前または熱
処理時に延伸を行なつてもよい。 このようにして得られる中空糸膜は、中空糸膜
型人工肺に使用すると最適である。 従来の延伸法によつて得られた中空糸膜のガス
透過能は人工肺として使用するには必要以上に高
かつた。すなわち中空糸の内側に血液を循環する
場合、酸素添加能は血液側の境膜抵抗が大きく、
中空糸膜の抵抗は律速になつておらず、一方炭酸
ガス除去能は中空糸膜抵抗に依存するがその透過
能は過剰であり、また中空糸の外側に血液を循環
する場合、ガス交換能も中空糸膜の抵抗に依存す
るがその透過能は過剰であつた。 しかるに、本発明の中空糸膜は膜単体でのガス
透過能は、従来の延伸法のものよりも低いが、人
工肺に組込んで使用する分には充分な性能が得ら
れ、しかも抽出法であるためにピンホールによる
血液漏出も起こらず、従つてガス交換能の低下を
防ぐことができる。 さらに、冷却固化液として用いられた有機充填
剤ないしその類似化合物よりなる液体を使用して
得られた中空糸膜は、前記したように、ポリプロ
ピレンがネツトワーク状に連なり、非常に凹凸の
激しい表面をもつため、人工肺として組立てる際
に糸同志がくつつき合つて固着してしまい、組立
作業を煩雑なものとしてしまい、また接着剤が糸
の回りに入り込まずポツテイング不良となる虞れ
があつた。 しかしながら、本発明の製造方法により得られ
た中空糸膜は、外表面が中空糸の内部と同様に粒
状子ポリプロピレンが繊維軸方向に連なつてでき
たポリプロピレン塊が多数集まつて形成され平滑
な性状を有することからこのような人工肺組立時
における問題は生起せず、かつ上記したように、
中空糸膜の外表面あるいは内表面のいずれに血液
を流しても血球成分に損傷を与えることなくまた
圧力損失も低いものである。 第21図は本発明の中空糸膜型人工肺の一実施
態様である中空糸膜型人工肺の組立状態を示すも
のである。すなわち、該中空糸膜型人工肺51
は、ハウジング56を具備してなり、このハウジ
ング56は筒状本体57の両端部に環状の雄ネジ
付き取付カバー58,59が設けられ、ハウジン
グ56内には、全体に広がつて多数の、例えば
5000〜70000本の上記したように得られた中空糸
膜1がハウジング56の長手方向に沿つて並列的
に相互に離間配置されている。そして、この中空
糸膜1の両端部は、取付カバー58,59内にお
いてそれぞれの開口が閉塞されない状態で隔壁6
0,61により液密に支持されている。また、上
記各隔壁60,61は、中空糸膜1外周面と上記
ハウジング56の内面とともに第1の物質移動流
体室である血液室62を構成し、これを閉塞し、
かつ上記中空糸膜1の内部に形成される第2の物
質移動流体用空間である酸素含有ガス流通用空間
(図示しない)と血液室62を隔離するものであ
る。 一方の取付カバー58には、第1の物質移動流
体である血液を供給する導入口63が設けられて
いる。他方の取付カバー59には血液を排出する
導出口64が設けられている。 上記ハウジング56の筒体本体57の内面に
は、軸方向の中央に位置して突出する絞り用拘束
部65を設けることが好ましい。すなわち、拘束
部65は上記筒状本体57の内面に筒状本体と一
体に形成されていて、筒状本体57内に挿通され
る多数の中空糸膜1からなる中空糸束66の外周
を締め付けるようになつている。こうして、上記
中空糸束66は、第21図で示すように軸方向の
中央において絞り込まれ、絞り部67を形成して
いる。したがつて、中空糸膜1の充填率は、軸方
向に沿う各部において異なり、中央部分において
最も高くなつている。なお、後述する理由により
望ましい各部の充填率は次の通りである。まず、
第22図に示すように中央の絞り部67における
充填率Aは、約60〜80%、その他筒状本体57内
では充填率Bは約30〜60%であり、中空糸束66
の両端、つまり隔壁60,61の外面における充
填率Cは、約20〜50%である。 次に、上記隔壁60,61の形成について述べ
る。前述したように隔壁60,61は、中空糸膜
1の内部と外部を隔離するという重要な機能を果
たすものである。通常、この隔壁60,61は、
極性の高い高分子ポツテイング材、たとえばポリ
ウレタン、シリコーン、エポキシ樹脂等をハウジ
ング56の両端内壁面に遠心注入法を利用して流
し込み、硬化させることにより作られる。さらに
詳述すれば、まず、ハウジング56の長さより長
い多数の中空糸膜1を用意し、この両開口端を粘
度の高い樹脂によつて目止めをした後、ハウジン
グ56の筒状本体57内に並べて位置せしめる。
この後、取付けカバー58,59の径以上の大き
さの型カバーで、中空糸膜1の各両端を完全に覆
つて、ハウジング56の中心軸を中心にそのハウ
ジング56を回転させながら両端部側から高分子
ポツテイング材を流入する。流し終つて樹脂が硬
化すれば、上記型カバーを外して樹脂の外側面部
を鋭利な刃物で切断して中空糸膜1の両開口端を
表面に露出させる。かくして隔壁60,61は形
成されることになる。 上記隔壁60,61の外面は、環状凸部を有す
る流路形成部材68,69でそれぞれ覆われてい
る。この流路形成部材68,69はそれぞれ液分
配部材70,71およびネジリング72,73よ
りなり、この液分配部材70,71の周縁部付近
に設けられた環状凸部として突条74,75の端
面を前記隔壁60,61にそれぞれ当接させ、ネ
ジリング72,73を取付けカバー58,59に
それぞれ螺合することにより固定することにより
第2の物質移動流体である酸素含有ガスの流入室
76および流出室77がそれぞれ形成されてい
る。この流路形成部材68,69にはそれぞれ第
2の物質移動流体である酸素含有ガス導入口78
および導出口79が形成されている。 この隔壁60,61と、流路形成部材68,6
9とにより形成される隔壁60,61の周縁部の
空隙部には、該空隙部に連通する少なくとも2個
の孔82,83の一方より充填材84,85を充
填することにより前記隔壁60,61と接触する
ようにシールされる。あるいはまた、Oリング
(図示せず)を介してシールされる。 なお、本実施例の中空糸膜型人工肺は、第1の
物質移動流体として血液を、また第2の物質移動
流体として空気等の酸素含有ガスを適用するも
の、すなわち中空糸膜の内側に酸素含有ガスを吹
送し、中空糸膜の外側に血液を循環させてガス交
換を行なうタイプのものであるが、本発明に係る
中空糸膜型人工肺は、中空糸膜の内側に血液を循
環させ、中空糸膜の外側に酸素含有ガスを吹送し
てガス交換を行なうタイプのものでよく、この場
合、本実施例と同様な構成において第1の物質移
動流体として酸素含有ガスを、また第2の物質移
動流体として血液を適用すればよい。 (実施例) 次に本発明を実施例によりさらに詳削に説明す
る。 実施例1〜2、比較例1〜3 メルトインデツクス(M.I.)が23のプロピレン
ホモポリマー100重量部に対し、第1表に示した
割合の流動パラフイン(数平均分子量324)およ
び結晶核形成剤としてのジベンジリデンソルビト
ール0.5重量部を仕込み、二軸型押出機(池貝鉄
工株式会社,PCM−30−25)により溶融混練し、
押出したのちペレツト化した。このペレツトを第
20図に示すような装置、すなわち単軸型押出機
(笠松製作所,WO−30)を用いて第1表に示す
温度で溶融し、芯径4mm、内径6mm、外径7mm、
ランド長15mmの環状紡糸孔15より、第1表に示
す吐出量で空気中に吐出させ、中空状物16を落
下させた。落下距離は第1表に示す長さである。
続いて中空状物16を冷却槽18内の第1表に示
す冷却固化液17と接触させたのち、冷却固化液
流通管19内を自然流下する冷却固化液17と並
流接触させて冷却した。なおこのときの冷却固化
液の温度は第1表に示すとおりであつた。ついで
前記中空状物16を固化槽20内の冷却固化液内
に導入したのち変向棒21により変向させて第1
表に示す捲速のドライブロール22へ導き、連続
してシヤワー・コンベア方式の抽出機27におい
て、フレオン113(1,1,2‐トリクロロ‐
1,2,2‐トリフルオロエタン)により前記流
動パラフインを完全に抽出し、ドライブロール2
2を経て第1表に示す温度・時間条件下で熱処理
装置30を通り、捲取器31にてボビン32に捲
取つた。ボビン32に捲取られた中空糸は、捲戻
し装置によつてかせに捲戻され、約30cmのバンド
ル状の中空糸束を得た。このようにして得られた
中空糸膜について形状(肉厚)、空孔率、内面開
孔率、ガスフラツクス、酸素ガス添加能、炭酸ガ
ス排除能、血漿漏出および血漿透過速度を計測し
た。得られた結果を第2〜3表に示す。 また得られた中空糸膜の微細構造を調べるた
め、走査型電子顕微鏡(JEOL製、JSM−840)
を用いて中空糸膜の各部位の観察を行なつた。す
なわち第1図は実施例1の中空糸膜の外表面(×
10000)、第2図は実施例1の中空糸膜の内表面
(×10000)、第3図は実施例1の中空糸膜の横断
面(×10000)、第4図は実施例1の縦断面(×
10000)、第5図は実施例2の中空糸膜の外表面
(×10000)、第6図は実施例2の中空糸膜の内表
面(×10000)、第7図は比較例1の中空糸膜の外
表面(×10000)、第8図は比較例1の中空糸膜の
内表面(×10000)、第9図は比較例1の中空糸膜
の横断面(×10000)、第10図は比較例1の中空
糸膜の縦断面(×10000)、第11図は比較例2の
中空糸膜の外表面(×10000)、第12図は比較例
2の中空糸膜の内表面(×10000)、第13図は比
較例2の中空糸膜の横断面(×3000)、第14図
は比較例3の中空糸膜の外表面(×3000)、第1
5図は比較例3の横断面(×3000)のそれぞれ電
子顕微鏡写真である。なお各図において、中空糸
膜の繊維軸方向が、右横に示されている。 また実施例1および比較例1の中空糸膜に関
し、結晶配向の指標となる複屈折率を測定した。
結果を第4表に示す。 さらに実施例1および比較例1の中空糸膜に関
し、血液が中空糸膜の外側を流れる方式のモジユ
ールを組立て、血液の溶血および血液の圧力損失
について測定した。結果を第5表に示す。 比較例 4 比較のために延伸法により製造された市販の人
工肺用ポリプロピレン中空糸膜について、実施例
1〜2および比較例1〜3と同様に形状(内径/
肉厚)、空孔率、内面開孔率、ガスフラツクス、
酸素ガス添加能、炭酸ガス排除能、血漿漏出およ
び血漿透過速度について測定した。結果を第2〜
3表に示す。なおこの中空糸膜の微細構造を走査
型電子顕微鏡(JEOL製、JSM−840)を用いて
観察した。すなわち第16図はこの中空糸膜の外
表面(×10000)、第17図は内表面(×10000)、
第18図はこの中空糸膜の横断面(×10000)、第
19図はこの中空糸膜の縦断面(×10000)のそ
れぞれ電子顕微鏡写真である。なお各図におい
て、中空糸膜の繊維軸方向が、右横に示されてい
る。 さらに実施例1および比較例1と同様に、結晶
配向の指標となる複屈折率を測定した。結果を第
4表に示す。また血液が中空糸膜の外側を流れる
方式のモジユールを組立て、血液の溶血および血
液の圧力損失について測定した。結果を第5表に
示す。
【表】 エタン
比較例3 200 80 水
35 30 7.6 170 70〜8
0/15
【表】
【表】
反応凝陽性
【表】
間後大量発生
【表】
【表】 第2表〜第4表に示される結果から明らかなよ
うに、本発明に係る実施例1〜2の中空糸膜は、
比較例1のものと同様に、人工肺用中空糸膜とし
て適度な膜性能を示し、かつその外表面が滑らか
な性状を有することから、中空糸膜の外側に血液
を循環させても第5表に示すように、比較例1の
もののように溶血や圧力損失を高く起すことがな
い。さらに実施例1〜2および比較例1〜2にお
いて、ボビンに巻き取られた中空糸を観察する
と、比較例1および2では同時に紡糸された糸同
志がくつつき合つて固着している場合があるのに
対し、実施例1および2ではそのような状態は全
く観察されなかつた。また比較例2では冷却浴管
内にポリプロピレンの低分子成分が付着し、時間
経過とともに冷却浴管内に堆積してゆき管径が細
くなつてしまつたが、実施例1および2において
はそのようなことは全くなかつた。 次に実施例1〜2および比較例1〜3で用いら
れた冷却固化液の有機充填剤(流動パラフイン)
との相溶性、比熱容量および得られた中空糸膜の
外表面の状態を第6表にまとめてみた。
【表】 第6表に示すように、有機充填剤である流動パ
ラフインと相溶性のある冷却固化液を用いると、
外表面のポリプロピレン固相はネツトワーク状に
連なりこの結果表面の凹凸の激しいものとなる。
また水の場合はパラフインと相溶しないが比熱容
量が大きすぎ、ポリプロピレンが急冷されポリプ
ロピレンのスキン層が形成されてしまう。さらに
比熱がフレオン113のように小さいとポリプロ
ピレンが除冷されすぎて結晶化が進みすぎ巨大な
ポリプロピレン塊が生成してしまう。この点実施
例1〜2のように流動パラフインとは相溶せずか
つ比熱が0.3〜0.7cal/gの範囲にある液体を用い
た場合には、中空糸外表面はなめらかでかつ十分
な空孔を有するものとなる。 なお本明細書中における各用語の定義および測
定方法はつぎのとおりである。 形状(内径/肉厚) 得られた中空糸を任意に10本抜きとり、鋭利な
カミソリで0.5mm程度の長さに輪切りにする。万
能投影機(ニコンプロフアイルプロジエクターV
−12)でその断面を映し出し、計測器(ニコンデ
ジタルカウンターCM−6S)でその外径d1、内径
d2を測定し、肉厚tをt=(d1−d2)/2により
算出し、10本の平均値とした。 空孔率(%) 得られた中空糸を約2gとり、鋭利なカミソリ
で5mm以下の長さに輪切りにする。得られた試料
を水銀ポロシメーター(カルロエルバ社65A型)
にて1000Kg/cm2まで圧力をかけ、全細孔量(単位
重さ当りの中空糸の細孔体積)より空孔率を得
る。 内表面開孔率(%) 得られた中空糸の内表面を走査型電子顕微鏡
(JEOL製,JSM−840)を用いて走査型電子顕微
鏡写真(3000倍)を撮影し、四つ切りの印画紙に
引伸し(印画紙上の倍率約7500倍)、繊維軸方向
およびこれと直行方向に任意に4本ずつ直線を引
き、その直線上にかかる孔の長さの和の、直線全
長に対する割合を内表面開孔率とした。 酸素ガスフラツクス 得られた中空糸で、有効長14cm、膜面積0.025
m2のミニ・モジユールを作製し、片方の端を閉じ
た後、酸素で中空糸内部に1気圧の圧力をかけ、
定常状態になつたときの酸素ガスの流量を流量計
(草野理化学器機製作所製,フロートメーター)
により読みとつた値とした。 酸素ガス添加能、炭酸ガス排除能 得られた中空糸で、有効長130mm、膜面積1.6m2
の人工肺モジユールを作製し、中空糸内部にウシ
血液(標準静脈血)をシングルパス(Single
Path)で1.6/minの流量で流し、中空糸外部
へ純酸素を1.6/minの流量で流し、人工肺入
口および出口のウシ血液のPH、炭酸ガス分圧
(PCO2)、酸素ガス分圧(PO2)を血液ガス測定装
置(Radiometer社製、BGA3型)により測定し、
人工肺入口と出口との分圧差を算出した。 なお人工肺モジユール使用の詳細は第7表に示し
た。また標準動脈血の性状は第8表に示した。
【表】 * 充填率とは第22図に示す各部に
おける筒状本体の内側の断面積に
対する中空糸膜の占める断面積(中
空部を含む)をいう。
第8表 血液 新鮮ペパリン加牛血 ヘマトクリツト値
35%(生理食塩水により調整) ヘモグロビン濃度 12±1g/dl 過剰塩基
0±2mEq/(重炭酸ソーダにより調整) 酸素飽和度 65±5% 炭酸ガス分圧 45±5mmHg 温度 37±2℃ 血漿漏出 酸素ガス添加能、炭酸ガス排除能で用いたもの
と同様の人工肺モジユールを作製し、雑犬(体重
約20Kg)を用いた頚静、頚動脈カニユレイシヨン
(cannulation)による部分V−Aバイパス回路に
前記人工肺モジユールを組込み、30時間体外循環
を行ない、中空糸内部から漏出する血漿の量を測
定した。また漏出が確認されなくとも、中空糸外
部の水蒸気による液滴のタンパク質反応を調べ、
微量の血漿漏れも確認した。 血漿透過速度 ガスフラツクス測定に用いたものと同様のミニ
モジユールを作製し、100、80、50、0%のエタ
ノール水溶液に順番に2時間ずつ浸漬して親水化
し、牛血を遠心処理して得られた血漿をこのミニ
モジユールに膜間圧力(TMP)0.225Kg/cm2とな
るように調整して循環させ、膜を透過してきた血
漿量をメスシリンダーで測定した。 複屈折率(Δn)(レターデーシヨン法) 得られた中空糸膜から任意に10本を取出し、中
央部を3cm切取る。さらにこのようにして得られ
た細片の一方の端部を斜めにカツトして試料とす
る。 このようにして作製した中空糸膜試料をスライ
ドグラス上に置き、浸漬液(流動パラフイン)で
試料を浸し、これを偏光顕微鏡の回転ステージ上
に置く。単色光源またはフイルターでこれれを代
用し、コンペンセーターを除きクロスニコル下で
試料をステージ上で回転し、最も明るくなる位置
に固定する(最も暗くなる位置からいずれかへ
45゜回転させる。)。ここでコンペンセーターを挿
入し、アナライザーを回転し、最暗黒になる角度
(θ)を測定し、次式よりレターデーシヨン(R)
を求め、さらに下式より中空糸膜の複屈折率を測
定し、10個の平均値をデータ値とした。 レターデーシヨンR=θ/180λ λ:使用波長 複屈折率Δn=R/d d:試料厚さ(空孔率で補正を行なつたもの) 測定条件: 偏光顕微鏡 ニコンOPTIPHTO−POL 光源波長 546nm コンペンセーター
セナルモン型コンペンセーター なお、完全配向のポリプロピレンの複屈折率
Δnは0.035(文献値)である。 溶血・圧力損失 得られた中空糸膜を用いて、第9表に示す仕様
により血液が中空糸膜の外側を循環する方式の人
工肺モジユールを作製し、新鮮ヘパリン加牛血を
6時間循環し、血中の遊離ヘモグロビン量を
TMB法で測定し、人工肺を含まない回路のみの
場合の値との差をとつて溶血状態を調べた。また
この際に人工肺前後の圧力損失も測定した。 第9表 中空糸膜 48160本 有効長 80mm 全長 135mm 中心部(A部)充填率 48% (発明の効果) 以上述べたように、本発明は、多孔質ポリプロ
ピレン中空糸膜であつて、その内表面においては
固相は粒子状ポリプロピレンが一部露出しつつ密
に融和結合して形成された連続相を呈し、また膜
内部および外表面においては固相は粒子状ポリプ
ロピレンが繊維軸方向に連なつてできたポリプロ
ピレン塊が多数集まつて形成され、これらの固相
間の間隙は、3次元ネツトワーク状に連通して連
通孔を形成してなることを特徴とする多孔質中空
糸膜であるから、人工肺用として用いられた場合
に長期間使用に際しても血漿漏出がないにもかか
わらず、高いガス交換能を有し、また中空糸膜の
内側および外側のいずれに血液を循環させるタイ
プの人工肺に用いられても血球成分に損傷を与え
ることがなくまた圧力損失を高めることもない。
さらにその外表面が滑らかな性状を有することか
ら、中空糸膜相互の固着あるいは接着剤によるポ
ツテイング不良などの人工肺組立時における問題
も生起せず、極めて優れた多孔質中空糸膜であ
る。これらの特徴は、多孔質中空糸膜の軸方向に
おける複屈折率が0.001〜0.01であり、また空孔
率が10〜60%、内表面の開口率が10〜30%、酸素
ガスフラツクスが100〜1500/min・m2・atm
であり、内径が150〜300μm、肉厚が10〜150μm
であり、さらに粒子状ポリプロピレンの平均粒径
が0.1〜2.0μmで、内表面の平均空孔径が0.1〜
1.0μmであるとより優れたものとなる。 また、本発明は、ポリプロピレン、該ポリプロ
ピレン溶融下でポリプロピレンに均一に分散し
得、かつ使用する抽出液に対して易溶性である有
機充填剤、および結晶核形成剤を混練し、このよ
うにして得られる混練物を溶融状態で環状紡糸孔
から中空状に吐出させ、該中空状物を前記有機充
填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3〜0.7cal/g
である冷却固化液と接触させて冷却固化し、つい
で冷却固化した中空状物を、ポリプロピレンを溶
融しない抽出液と接触させて前記有機充填剤を抽
出除去することを特徴とする多孔質中空糸膜の製
造方法であるから、溶融下で均一に分散した紡糸
原液を冷却固化させる過程において、外表面部に
有機充填剤を局在させることなく適当な冷却速度
で原液のポリプロピレンと有機充填剤を相分離さ
せるために、適度に結晶化して生成した粒子状ポ
リプロピレン間隙に多くの微小孔を形成させるこ
とができかつ外表面においても中空糸の肉厚部と
同様に粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に並ん
だ固相を有し平滑な表面性状を呈するものとする
ことができ、安定して均一な上記のごとき優れた
性能を有する中空糸膜を製造することができる。
また本発明の製造方法において、冷却固化液とし
て、シリコーンオイルまたはポリエチレングリコ
ール、より好ましくは2〜50cStの粘度を有する
シリコーンオイルまたは平均分子量100〜400のポ
リエチレングリコールを用い、有機充填剤として
流動パラフインを用い、その配合量がポリプロピ
レン100重量部に対し35〜170重量部であり、さら
に結晶核形成剤として融点が150℃以上でかつゲ
ル化点がポリプロピレンの結晶開始温度以上の有
機耐熱性物質を用い、その配合量がポリプロピレ
ン100重量部に対して0.1〜5重量部である場合に
は、より優れた性能を有する多孔質中空糸膜が得
られるものとなる。 さらにまた本発明は、中空糸膜をガス交換膜と
して備える人工肺において、該ガス交換膜は、多
孔質ポリプロピレン中空糸膜であつて、その内表
面においては、固相は粒子状ポリプロピレンが一
部露出しつつ密に融和結合して形成された連続相
を呈し、また膜内部および外表面においては固相
は粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連なつて
できたポリプロピレン塊が多数集まつて形成さ
れ、これらの固相間の間隙は、3次元ネツトワー
ク状に連通して連通孔を形成してなることを特徴
とする人工肺であるから、中空糸膜の内側に血液
を循環し中空糸膜の外側に酸素含有ガスを吹送す
るあるいは中空糸膜の外側に血液を循環し中空糸
膜の内側に酸素含有ガスを吹送するいずれのタイ
プの人工肺においても、長時間の体外循環に際し
ても酸素添加能、炭酸ガス排出能が劣ることな
く、血液ないしは血漿の漏出も生起せず、さらに
血球成分に損傷を与えたり高い圧力損失を示すこ
ともなく極めて優れた人工肺であるといえる。本
発明の人工肺は代表的に30時間の体外循環におい
て血漿の漏出およびガス交換能の低下を生じない
ものである。加えて用いられる中空糸膜の軸方向
における複屈折率が0.001〜0.01であり、中空糸
膜の空孔率が10〜60%、内表面の開孔率が10〜30
%、酸素ガスフラツクスが100〜500/min・
m2・atmであり、内径が150〜300μm、肉厚が10
〜100μmであり、さらに粒子状ポリプロピレンの
平均粒径が0.1〜2.0μmであり、また内表面の平均
空孔径が0.1〜1.0μmであると得られる人工肺の性
能はより一段と向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図は本発明の多孔質中空糸膜の組
織を示す電子顕微鏡写真、第7図〜第19図は従
来の多孔質中空糸膜の組織を示す電子顕微鏡写
真、第20図は本発明による多孔質中空糸膜の製
造方法に使用される装置の概略断面図、第21図
は本発明による中空糸膜型人工肺の一実施態様を
示す判断面図であり、また第22図は同実施態様
における中空糸膜充填率に関する各部位を示す断
面図である。 10…ギアポンプ、11…原料配合物、12…
ホツパー、13…単軸押出機、14…紡糸装置、
15…環状紡糸孔、16…中空状物、17…冷却
固化液、18…冷却槽、19…冷却固化液流通
管、20…固化槽、21…変向棒、22…ドライ
ブロール、23…循環ライン、24…循環ポン
プ、25…抽出液、26…ベルトコンベア、27
…シヤワー・コンベア式抽出機、28…ヒータ
ー、29…ロール、30…熱処理装置、31…巻
取器、32…ボビン、51…中空糸膜型人工肺、
56…ハウジング、57…筒状本体、60,61
…隔室、62…第1の物質移動流体室、63,6
4…第1の物質移動流体導入出口、66…中空糸
束、78,79…第2の物質移動流体導入出口。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 多孔質ポリプロピレン中空糸膜であつて、そ
    の内表面においては固相は粒子状ポリプロピレン
    が一部露出しつつ密に融和結合して形成された連
    続相を呈し、また膜内部および外表面においては
    固相は粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連な
    つてできたポリプロピレン塊が多数集まつて形成
    され、これらの固相間の間隙は、3次元ネツトロ
    ーク状に連通して連通孔を形成してなることを特
    徴とする多孔質中空糸膜。 2 多孔質中空糸膜の軸方向における複屈折率が
    0.001〜0.01である特許請求の範囲第1項に記載
    の多孔質中空糸膜。 3 空孔率が10〜60%、内表面の開孔率が10〜30
    %、酸素ガスフラツクスが100〜1000/min・
    m2・atmである特許請求の範囲第1項または第2
    項に記載の多孔質中空糸膜。 4 内径が150〜300μm、肉厚が10〜150μmであ
    る特許請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記
    載の多孔質中空糸膜。 5 粒子状ポリプロピレンの平均粒径が0.1〜
    2.0μmで、内表面の平均空孔径が0.1〜1.0μmであ
    る特許請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記
    載の多孔質中空糸膜。 6 人工肺用として用いた場合に、30時間以内で
    の血漿の漏出およびガス交換能の低下が実質的に
    ないものである特許請求の範囲第1項〜第5項の
    いずれかに記載の多孔質中空糸膜。 7 人工肺用として用いた場合に、血球成分に対
    する損傷の少ないものである特許請求の範囲第1
    項〜第6項のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。 8 ポリプロピレン、該ポリプロピレン溶融下で
    ポリプロピレンに均一に分散し得、かつ使用する
    抽出液に対して易溶性である有機充填剤、および
    結晶核形成剤を混練し、このようにして得られる
    混練物を溶融状態で環状紡糸孔から中空状に吐出
    させ、該中空状物を前記有機充填剤とは相溶せず
    かつ比熱容量が0.3〜0.7cal/gである冷却固化液
    と接触させて冷却固化し、ついで冷却固化した中
    空状物を、ポリプロピレンを溶解しない抽出液と
    接触させて前記有機充填剤を抽出除去することを
    特徴とする多孔質中空糸膜の製造方法。 9 冷却固化液として、シリコーンオイルまたは
    ポリエチレングリコールを用いるものである特許
    請求の範囲第8項に記載の多孔質中空糸膜の製造
    方法。 10 シリコーンオイルが、20℃で2〜50cStの
    粘度を有するものである特許請求の範囲第9項に
    記載の多孔質中空糸膜の製造方法。 11 ポリエチレングリコールが、平均分子量
    100〜400のものである特許請求の範囲第9項に記
    載の多孔質中空糸膜の製造方法。 12 有機充填剤として流動パラフインを用いる
    ものである特許請求の範囲第8項〜第11項のい
    ずれかに記載の多孔質中空糸膜の製造方法。 13 ポリプロピレン100重量部に対する有機充
    填剤の配合量が35〜150重量部である特許請求の
    範囲第8項〜第12項のいずれかに記載の多孔質
    中空糸膜の製造方法。 14 結晶核形成剤は融点が150℃以上でかつゲ
    ル化点が使用するポリプロピレンの結晶開始温度
    以上の有機耐熱性物質である特許請求の範囲第8
    項〜第13項のいずれかに記載の多孔質中空糸膜
    の製造方法。 15 ポリプロピレン100重量部に対する結晶核
    形成剤の配合量が0.1〜5重量部である特許請求
    の範囲第8項〜第14項のいずれかに記載の多孔
    質中空糸膜の製造方法。 16 中空糸膜をガス交換膜として備えてなる人
    工肺において、該ガス交換膜は、多孔質ポリプロ
    ピレン中空糸膜であつて、その内表面において
    は、固相は粒子状ポリプロピレンが一部露出しつ
    つ密に融和結合して形成された連続相を呈し、ま
    た膜内部および外表面においては固相は粒子状ポ
    リプロピレンが繊維軸方向に連なつてできたポリ
    プロピレン塊が多数集まつて形成され、これらの
    固相問の間隙は、3次元ネツトワーク状に連通し
    て連通孔を形成してなることを特徴とする人工
    肺。 17 多孔質中空糸膜の軸方向における複屈折率
    が0.001〜0.01である特許請求の範囲第16項に
    記載の人工肺。 18 中空糸膜の空孔率が10〜60%、内表面の開
    孔率が10〜30%、酸素ガスフラツクスが100〜
    1500/min・m2・atmである特許請求の範囲第
    16項または第17項に記載の人工肺。 19 中空糸膜の内径が150〜300μm、肉厚が10
    〜100μmである特許請求の範囲第16項〜第18
    項のいずれかに記載人工肺。 20 中空糸膜の内側に血液を循環し、中空糸膜
    の外側に酸素含有ガスを吹送するものである特許
    請求の範囲第16項〜第19項のいずれかに記載
    の人工肺。 21 中空糸膜の外側に血液を循環し、中空糸膜
    の内側に酸素含有ガスを吹送するものである特許
    請求の範囲第16項〜第19項のいずれかに記載
    の人工肺。 22 血液を体外循環させたとき、30時間以内で
    の血漿の漏出およびガス交換能の低下が実質的に
    ないものである特許請求の範囲第16項〜第21
    項のいずれかに記載の人工肺。 23 血液を体外循環させたとき、血球成分に対
    する損傷の少ないものである特許請求の範囲第1
    6項〜第22項のいずれかに記載の人工肺。 24 中空糸膜の粒子状ポリプロピレンの平均粒
    径が0.1〜2.0μm、内表面の平均空孔径が0.1〜
    1.0μmである特許請求の範囲第16項〜第23項
    のいずれかに記載の人工肺。
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