JPH0564663A - 多孔質中空糸膜および人工肺 - Google Patents

多孔質中空糸膜および人工肺

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JPH0564663A
JPH0564663A JP3206509A JP20650991A JPH0564663A JP H0564663 A JPH0564663 A JP H0564663A JP 3206509 A JP3206509 A JP 3206509A JP 20650991 A JP20650991 A JP 20650991A JP H0564663 A JPH0564663 A JP H0564663A
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JP
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hollow fiber
fiber membrane
polypropylene
membrane
liquid
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JP3206509A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Hagiwara
和彦 萩原
Ken Takebe
建 建部
Tomonori Muramoto
智則 村本
Hitoshi Kito
均 鬼頭
Kanako Innami
奏子 印南
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の中空糸膜1は、横断面形状が実質的
に円形または楕円形の多孔質ポリプロピレン中空糸膜で
あり、内径Dが150〜300μm 、肉厚Tが10〜1
50μm である。また、内表面2の開口率が10%未
満、空孔率が1〜35%、酸素ガスフラックスが10〜
1000ml/min・m2・mmHg(室温) 、透水率が0.01〜
1.0ml/min・m2・mmHg(室温) である。 【効果】 高いガス交換能を維持しつつ、長時間使用し
た場合でも血漿の漏出がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に人工肺に用いられ
る多孔質中空糸膜およびこれを用いた人工肺に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、心臓手術や呼吸不全の際の呼吸
補助(ECMO)において、患者の血液を体外に導き、
これに酸素を添加しかつ炭酸ガスを除去するために、体
外循環回路内に中空糸膜人工肺が配置されている。この
ような人工肺において使用される中空糸膜としては、緻
密膜と多孔質膜の2種類がある。
【0003】緻密膜は、透過する気体の分子が膜に溶解
し、拡散することによってガスの移動が行なわれるもの
であり、この代表的なものにシリコーンゴムがある。し
かしながら、緻密膜は、ガス透過性の点から現在使用可
能のものとしては、シリコーンゴムのみしか知られてお
らず、また、このシリコーンゴム膜は、強度的に膜厚1
00μm 以下にすることはできない。このため、ガス透
過性に限界があり、特に炭酸ガスの透過性が悪い。ま
た、前記シリコーンゴムは高価で、しかも加工性が悪い
という欠点もあった。
【0004】一方、多孔質膜は、膜の有する微細孔が透
過すべき気体分子に比べて著しく大きいため、気体は体
積流として細孔を通過する。例えば、マイクロポーラス
ポリプロピレン膜等の多孔質膜を使用した人工肺が種々
提案されている。
【0005】特公昭56−52123号には、ポリプロ
ピレンを中空糸製造用ノズルを用いて、紡糸温度210
〜270℃、ドラフト比180〜600で溶解紡糸し、
ついで155℃以下で第1段熱処理を行なったのち、1
10℃未満で30〜200%延伸し、しかるのちに第1
段熱処理温度以上155℃以下で第2段熱処理すること
により多孔質ポリプロピレン中空糸を製造することが開
示されている。
【0006】しかしながら、このようにして得られる多
孔質中空糸は、ポリプロピレン中空糸を延伸することに
より物理的に細孔を形成するので、該細孔は膜厚方向に
ほぼ水平な直線状細孔であり、かつ延伸度に応じて中空
糸の軸線方向に亀裂を生じて生成する細孔であるから断
面がスリット状である。また、細孔はほぼ直線的に連続
貫通し、かつ空孔率が高い。このため、この多孔質中空
糸は水蒸気の透過性が高く、また長時間血液を体外循環
させて使用すると、血液中の成分により細孔が親水化さ
れて、血漿が漏出するという欠点があった。
【0007】また、血漿漏出が起こらない多孔質膜とし
て、例えば、ポリオレフィン、該ポリオレフィンの溶融
下で該ポリオレフィンに均一に分散し得、かつ使用する
抽出液に対して易溶性である有機充填剤および結晶核形
成剤を混練し、このようにして得られる混練物を溶融状
態で環状紡糸孔から吐出させ同時に内部中央部に不活性
ガスを導入し、該中空状物を前記ポリオレフィンを溶解
しない冷却固化液と接触させて冷却固化し、ついで冷却
固化した中空状物を前記ポリオレフィンを溶解しない抽
出液と接触させて前記有機充填剤を抽出除去することに
より製造される多孔質ポリオレフィン中空糸膜が提案さ
れている(特願昭59−210466号)。
【0008】しかしながら、該中空糸膜の1つであり、
冷却固化液として好ましいとされる用いられる有機充填
剤を溶解し得る冷却固化液を使用して得られたポリプロ
ピレン中空糸膜は、孔が小さく孔路も複雑であるため血
漿漏出は起こらないが、単位面積当りの孔密度が小さい
ので、人工肺用膜として用いるには、ガス交換能が不充
分となるおそれがあり、さらに、前記有機充填剤を溶解
し得る冷却固化液中にポリオレフィンの低分子成分が混
ざり、冷却浴管内壁に付着し、中空糸の形状が経時的に
変化してしまうというおそれがあった。
【0009】さらに、これらの点を改善するために、ポ
リプロピレン、該ポリプロピレンの溶融下でポリプロピ
レンに均一に分散し得、かつ使用する抽出液に対して易
溶性である有機充填剤、および結晶核形成剤を混練し、
このようにして得られる混練物を溶融状態で環状紡糸孔
から中空状に吐出させ、該中空状物を前記有機充填剤な
いしその類似化合物よりなる液体と接触させて冷却固化
し、ついで冷却固化した中空状物をポリプロピレンを溶
融しない抽出液と接触させて前記有機充填剤を抽出除去
することにより、多孔質ポリプロピレン中空糸膜を製造
する方法(特開昭62−106770号)や、ポリプロ
ピレン、該ポリプロピレンの溶融下でポリプロピレンに
均一に分散し得、かつ使用する抽出液に対して易溶性で
ある有機充填剤、および結晶核形成剤を混練し、このよ
うにして得られる混練物を溶融状態で環状紡糸孔から中
空状に吐出させ、該中空状物を前記有機充填剤とは相溶
せずかつ比熱容量が0.3〜0.7cal/g である冷却固
化液と接触させて冷却固化し、ついで冷却固化した中空
状物を、ポリプロピレンを溶しない抽出液と接触させて
前記有機充填剤を抽出除去することにより多孔質ポリプ
ロピレン中空糸膜を製造する方法(特開昭64−790
8号)が開示されている。
【0010】これらの製造方法により得られる多孔質中
空糸膜の特性は、内径が150〜300μm 、肉厚が1
0〜150μm 、内面開口率が10〜30%、空孔率が
10〜60%、酸素ガスフラックスが100〜2000
ml/min・m2・mmHgとなる。
【0011】しかしながら、このような多孔質中空糸膜
は、内表面開口率が高く、また、膜内部の空孔の曲路率
が小さいため、透水率が高く、よって、人工肺として長
時間使用した際に血漿の漏出を防止するという効果が不
十分であり、満足できる耐久性を得るには至っていな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
ガス交換能を保持しつつ、耐久性に優れる多孔質中空糸
膜および人工肺を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(3)の本発明により達成される。
【0014】(1) 横断面形状が実質的に円形または
楕円形の多孔質ポリプロピレン中空糸膜であって、内径
が150〜300μm 、肉厚が10〜150μm 、内表
面開口率が10%未満、空孔率が1〜35%、 酸素ガス
フラックスが10〜1000ml/min・m2・mmHg(室温)、
透水率が0.01〜1.0ml/min・m2・mmHg(室温)であ
ることを特徴とする多孔質中空糸膜。
【0015】(2) 多孔質中空糸膜の内表面において
は、固相は粒子状ポリプロピレンが一部露出しつつ密に
融和結合して形成された連続相を呈し、また、多孔質中
空糸膜の内部および外表面においては、固相は粒子状ポ
リプロピレンが繊維軸方向に連なってできたポリプロピ
レン塊が多数集まって形成され、これらの固相間の間隙
は、3次元ネットワーク状に連通して連通孔を形成して
なる上記(1)に記載の多孔質中空糸膜。
【0016】(3) ガス交換膜として、上記(1)ま
たは(2)に記載の多孔質中空糸膜を備えることを特徴
とする人工肺。
【0017】
【発明の構成】以下、本発明の多孔質中空糸膜および人
工肺を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】図1は、本発明の多孔質中空糸膜1の横断
面を模式的に示す拡大横断面図である。本発明の多孔質
中空糸膜(以下、単に中空糸膜ともいう)1は、横断面
形状が図示のごとき実質的に円形か、または楕円形の多
孔質ポリプロピレン中空糸膜である。
【0019】中空糸膜1の内径Dは150〜300μm
であり、好ましくは180〜250μm である。Dが1
50μm 未満では、血液を中空糸膜の内側に流すタイプ
の人工肺を作製した場合、かん流時に人工肺の圧力損失
が高くなり、血液損傷が高くなる。また、逆に酸素含有
ガスを中空糸膜の内側に流すタイプの人工肺の場合、大
流量時に内圧が高くなり、気泡が血液側に発生したり、
結露水が中空糸内を閉塞する可能性がある。また、Dが
300μm を超えると、血液を中空糸膜内に流すタイプ
の人工肺の場合、ガス交換性能が著しく低下する。
【0020】中空糸膜1の肉厚Tは10〜150μm で
あり、好ましくは20〜100μm、より好ましくは4
0〜60μm である。Tが10μm 未満では膜の強度が
低下したり、中空糸膜のピンホール発生率が高くなり、
また、150μm を超えるとガス交換能が低下する。
【0021】なお、本発明における中空糸膜の横断面形
状は、図示のごとき円形に限らず、楕円形であってもよ
い。この場合には、内径の平均および肉厚の平均が前記
値となればよい。
【0022】このようなポリプロピレン製中空糸膜の微
細構造は、中空糸膜の製造条件によって変わるが、既し
て後述するように、冷却固化液として、有機充填剤とは
相溶せずかつ比熱容量が0.3〜0.7cal/g である溶
液を使用することにより、次のような構造を有する。
【0023】すなわち、中空糸膜1の内表面2側におい
ては、固相は粒子状ポリプロピレンが一部露出しつつ密
に融和結合、つまり溶融した後、冷却固化して形成され
た連続相を呈する。
【0024】また、膜内部3においては、固相は多数の
粒子状ポリプロピレンによって形成され、この粒子状ポ
リプロピレンは、円周方向においては方向性をもたず無
秩序に集まっているが、繊維軸方向においては連なって
ポリプロピレン塊を形成しており、このポリプロピレン
塊は、糸状ポリプロピレンによって相互に結ばれてい
る。従って、膜内部3においては、固相は粒子状ポリプ
ロピレンが繊維軸方向に連なってできたポリプロピレン
塊が多数集まって形成されているものと思われる。
【0025】さらに、中空糸膜1の外表面4において
も、膜内部3と同様に固相は粒子状ポリプロピレンが繊
維軸方向に連なってできたポリプロピレン塊が多数集ま
って形成されている。
【0026】これらの固相間の間隙は、中空糸膜1の内
表面2および外表面4を含む肉厚部において、内表面2
より外表面4に至る経路が長く、かつ孔同士が直線的で
なく複雑に網目状につながった3次元ネットワーク状の
連通孔を形成している。
【0027】このように、本発明の多孔質中空糸膜にお
いては、その内表面2が、粒子状ポリプロピレンの一部
が露出しつつ密に融和結合された連続相とそれ以外の空
孔部分からなり、滑らかな表面性状を有するために、人
工肺において用いられ、中空糸膜1の内腔に血液を流し
たときでも、血球成分に損傷を与えることはなく、また
圧力損失も高くならない。一方、外表面4も、粒子状ポ
リプロピレンが整然と繊維軸方向に並んでできたポリプ
ロピレン塊が多数集まって形成された固相とそれ以外の
空孔部分とからなり、滑らかな表面性状を有するため
に、人工肺において用いられ、中空糸膜1の外側に血液
を流したときでも、血球成分に損傷を与えることはな
く、また圧力損失も高くならない。
【0028】さらに、人工肺用中空糸膜として用いられ
た際に、ガスの通路となる空孔部分は、複雑に網目状に
つながった3次元ネットワーク状の連通孔であり、かつ
後述する特性を有するため、血液を中空糸膜の内側ある
いは外側のいずれかに体外循環させても、血漿成分はこ
のように複雑に入り組んだ長い経路を容易に通過するこ
とができず、例えば、30時間以上の体外血液循環を行
っても、血漿の漏出およびガス交換能の低下はほとんど
認められない。
【0029】本発明の多孔質中空糸膜1の特性は、次の
通りである。内表面2における開口率(内表面開口率)
は、10%未満であり、好ましくは0.1〜8.0%で
ある。内表面開口率が10%以上であると、過剰な開孔
となるため、血漿の漏出のおそれが生じる。
【0030】中空糸膜全体にわたる空孔率は、1〜35
%であり、好ましくは10〜25%である。空孔率が1
%未満であるとガス交換能が不十分となり、また35%
を超えると血漿の漏出のおそれが生じる。
【0031】中空糸膜の酸素ガスフラックスは、10〜
1000ml/min・m2・mmHg(室温)であり、好ましくは、
50〜500ml/min・m2・mmHg(室温)である。10ml/m
in・m 2・mmHg(室温)未満では、ガス交換膜としての使用
には適さず、また1000ml/min・m2・mmHg(室温)を超
えると、血漿の漏出のおそれが生じるからである。
【0032】中空糸膜の透水率は0.01〜1.0ml/m
in・m2・mmHg(室温)であり、好ましくは0.05〜0.
5ml/min・m2・mmHg(室温)である。透水率が0.01ml
/min・m2・mmHg(室温)未満では、ガス交換能が不十分と
なり、また1.0ml/min・m2・mmHg(室温)を超えると血
漿の漏出のおそれが生じる。
【0033】なお、この透水率は、膜内部3の連通孔の
曲路率(屈曲の度合)とも関連するものと考えられ、透
水率が高いということは、曲路率が低く、すなわち、膜
内部3の連通孔がより直線的であることを示す。
【0034】本発明の多孔質中空糸膜を構成する粒子状
ポリプロピレンおよびこれらの微粒子間の間隙である連
通孔の大きさ、分布度は、中空糸膜の製造条件および原
料組成によっても好ましい状態に制御することができる
が、粒子状ポリプロピレンの平均粒径が0.1〜2.0
μm 、特に、0.2〜1.5μmであるのが好ましく、
また、内表面2の平均空孔径が0.1〜1.0μm 、特
に、0.3〜0.6μm であるのが好ましい。
【0035】このような中空糸膜1は、例えば以下のよ
うにして製造される。図2に示すように、ポリプロピレ
ンと有機充填剤と結晶核形成剤との配合物11を、ホッ
パー12から混練機、例えば単軸押出機13に供給し、
該配合物11を溶融混練して押出した後、紡糸装置14
に送り、口金装置15の環状紡糸孔(図示せず)からガ
ス状雰囲気、例えば空気中に吐出させ、出てきた中空状
物16を冷却固化液17を収納した冷却槽18に導入
し、該冷却固化液17と接触させて冷却固化させる。
【0036】この場合、中空状物16と冷却固化液17
との接触は、例えば冷却槽18の底部に貫通して下方に
向って設けられた冷却固化液流通管19内に冷却固化液
17を流下させ、その流れに沿って中空状物16を並流
接触させることが好ましい。
【0037】流下した冷却固化液17は、固化槽20で
受けて貯蔵し、その中に中空状物16を導入し、変向棒
21によって方向を変え、冷却固化液17と充分接触さ
せて固化させる。固化槽20内に蓄積してくる冷却固化
液17は、循環ライン23より排出し、循環ポンプ24
により冷却槽18へ戻す。
【0038】次に、固化された中空状物16は、前記有
機充填剤を溶解しかつポリプロピレンを溶解しない抽出
液25をシャワー状に噴出するシャワーコンベア式抽出
機27へ導かれる。この抽出機27において中空状物1
6は、ベルトコンベア26上を搬送される間に抽出液2
5と充分に接触し、残留する有機充填剤が抽出除去され
る。
【0039】ドライブロール22によって抽出機27か
ら導き出された中空状物16は、必要に応じてさらに再
抽出がなされ、その後、ヒータ28および搬送用のロー
ル29を内蔵する熱処理装置30により、乾燥または熱
処理が施される。
【0040】熱処理装置30を経た中空状物16(中空
糸膜1)は、巻取装置31のボビン32に巻き取られ、
保持される。
【0041】本発明において、原料として使用されるポ
リプロピレンとしては、プロピレンホモポリマーに限ら
ず、プロピレンを主成分とする他のモノマーとのブロッ
クポリマーなどがあるが、そのメルトインデックス
(M.I.)が5〜70のものが好ましく、特にM.
I.が10〜40のものが好ましい。また、前記ポリプ
ロピレンのうちプロピレンホモポリマーが特に好まし
く、そのなかでも結晶性の高いものが最も好ましい。
【0042】有機充填剤としては、前記ポリプロピレン
の溶融下で該ポリプロピレンに均一に分散できかつ後述
するように抽出液に対して易溶性のものであることが必
要である。このような充填剤としては、流動パラフィン
(数平均分子量100〜2,000)、α−オレフィン
オリゴマー[例えば、エチレンオリゴマー(数平均分子
量100〜2000)、プロピレンオリゴマー(数平均
分子量100〜2000)、エチレン・プロピレンオリ
ゴマー(数平均分子量100〜2000)等]、パラフ
ィンワックス(数平均分子量200〜2500)、各種
炭化水素等があり、好ましくは流動パラフィンである。
【0043】なお、ポリプロピレンと前記有機充填剤と
の配合割合は、上述した中空糸膜の特性が得られるよう
に適宜調整される。有機充填剤の配合量が多い(例え
ば、ポリプロピレン100重量部に対し、有機充填剤を
120重量部以上)と、上述した中空糸膜の特性を得難
くなる。
【0044】このような原料配合は、例えば二軸型押出
機等の押出機を用いて所定の組成の混合物を溶融混練
し、押出したのち、ペレット化することという前混練方
法により原料を調製(設計)する。
【0045】原料中に配合される結晶核形成剤として
は、融点が150℃以上、(好ましくは200〜250
℃)でかつゲル化点が使用するポリオレフィンの結晶開
始温度以上の有機耐熱性物質である。このような結晶核
形成剤を配合する理由は、ポリプロピレン粒子を縮小
し、これによって粒子間の空隙、すなわち連通孔を狭
く、かつ孔密度を高くすることにある。具体的には、例
えば、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、
1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソル
ビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリ
デン)ソルビトール、ビス(4−t−ブチルフェニル)
リン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、アジピン酸、
タルク、カオリン等が結晶核形成剤として挙げられる。
【0046】結晶核形成剤としては、ベンジリデンソル
ビトール、特に1・3,2・4−ビス(p−エチルベン
ジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−
メチルベンジリデン)ソルビトールが血液中への溶出が
少なく好ましい。
【0047】ポリプロピレンと前記結晶核形成剤との配
合割合は、ポリプロピレン100重量部に対して結晶核
形成剤が0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜1.0
重量部である。
【0048】このようにして調製された原料配合物をさ
らに単軸押出機等の押出機を用いて、例えば160〜2
50℃、好ましくは180〜220℃の温度で溶融して
混練し、必要に応じ定量性の高いギアポンプを用いて、
紡糸装置の環状孔からガス雰囲気中に吐出させて、中空
状物を形成させる。なお、前記環状孔の内部中央部に
は、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン、空気等の不
活性ガスを自吸させてもよいし、必要であればこれらの
不活性ガスを強制的に導入してもよい。
【0049】続いて、環状孔から吐出させた中空状物1
6を落下させ、次いで、冷却槽18内の冷却固化液17
と接触させる。中空状物16の落下距離は5〜1000
mmが好ましく、特に10〜500mmが好ましい。すなわ
ち、落下距離が5mm未満の場合には、脈動を生じて冷却
固化液17に中空状物16が侵入する際に潰れることが
あるからである。
【0050】この冷却槽18内で中空状物16は未だ十
分に固化しておらず、しかも、中央部は気体であるため
に外力により変形し易いので、図2に示すように、例え
ば冷却槽18の底部に貫通して下方に向って設けられた
冷却固化液流通管19内に冷却固化液17を流下させ、
その流れに沿って中空状物16を並流接触させることに
より、中空状物を強制的に移動させ、かつ外力(流体圧
等)による中空状の変形は防止できる。このときの冷却
固化液の流速は自然流下で充分である。また、このとき
の冷却温度は10〜90℃、好ましくは20〜75℃で
ある。すなわち、10℃未満では、冷却固化速度が速す
ぎて、膜内部3の大部分が緻密層となるためにガス交換
能が低くなってしまい、一方90℃を超えると中空状物
16の冷却固化が十分でなく、冷却槽18内で中空状物
16が切れてしまうおそれがあるためである。
【0051】本発明においては、冷却固化液として、使
用された有機充填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3
〜0.7cal/g 、より好ましくは0.3〜0.6cal/g
の液体を用いるのが好ましい。このような冷却固化液の
具体例としては、20℃における動粘度が2〜50cSt
、より好ましくは8〜40cSt のジメチルシリコーン
オイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコ
ーンオイル類、および平均分子量が100〜400、よ
り好ましくは180〜330のポリエチレングリコール
類等が挙げられる。このように冷却固化液として、使用
された有機充填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3〜
0.7cal/g の液体を用いるのが好ましい理由は、次の
通りである。
【0052】すなわち、冷却固化液として前記有機充填
剤を溶解し得る液体、例えば有機充填剤として流動パラ
フィンを用いた場合に、ハロゲン化炭化水素類を用いる
と、冷却固化液中でポリプロピレンと前記有機充填剤と
の相分離が進行している間に、有機充填剤が溶解抽出さ
れてしまい、中空状物の内側から外側へ有機充填剤が移
行し、中空状物が完全に冷却固化されたときには、中空
状物の内表面近傍の有機充填剤の割合が低くなり、有機
充填剤をさらに完全に溶解抽出した後の内表面2におけ
る開孔率が必要以上に低くなってしまい、膜のガス交換
能が低下してしまうということが推測される。
【0053】さらに、この例では、該中空状物中のポリ
プロピレンの低分子量成分までが抽出され、図2に示す
冷却固化液流通管19の内壁に堆積付着し、該冷却固化
液流通管19の内径を小さくしてしまい、中空状物の形
状が変化してしまうという欠点が生じる虞れがある。
【0054】また、冷却固化液として有機充填剤と同一
のものあるいはその類似化合物、例えば有機充填剤とし
て流動パラフィンを用いた場合に、該流動パラフィンと
数平均分子量の近似する流動パラフィンを用いると、中
空状物の有機充填剤(流動パラフィン)が中空状物中で
大きく移行することなく所定の孔密度をもたせることが
できかつ比熱も大きすぎないので、適切な冷却速度でポ
リプロピレンの結晶化を促し安定した形状が得られる
が、その冷却過程において、有機充填剤あるいは冷却固
化液が、まだ完全に冷却固化していない中空糸の最外表
面に局在し、最外表面のポリプロピレン組成分率が低く
なり、このため、中空糸外表面4の孔が大きく、かつ固
相は粒子状ポリプロピレンがネットワーク状に広がった
凹凸の激しい表面性状となってしまう。
【0055】さらに、冷却固化液として、有機充填剤に
対して相溶しない、不活性な液体であっても比熱容量の
大きいもの、例えば有機充填剤として流動パラフィンを
用いた場合に、比熱容量が約1.0cal/g と大きな水を
用いると、冷却効果が高いためにポリプロピレンが急冷
され、外表面4は特に結晶化度の低い状態となるおそれ
がある。このため、ポリプロピレンの微粒子が形成され
ず、外表面4の孔が小さく、ガス交換能の低い中空糸膜
となってしまうおそれがある。
【0056】逆に、比熱容量の小さいものでは、充分な
冷却効果が得られず中空糸物を糸として得ることができ
なくなるおそれがある。
【0057】これに対して、冷却固化液として、有機充
填剤とは相溶せず、かつ比熱容量が0.3〜0.7cal/
g である溶液を用いれば、中空糸膜1の外表面4に有機
充填剤が局在することもなく、ポリプロピレンの冷却速
度も適当であり、外表面4においても適度なポリプロピ
レン組成分率を有したまま結晶化が促進されるので、外
表面4は中空糸膜内部3と同様にポリプロピレンの微粒
子が繊維軸方向に連なってできたポリプロピレン塊が多
数集まって形成され、平滑な表面性状を呈することにな
るためである。
【0058】固化槽20で冷却固化された中空状物16
は、変向棒21を介して抽出機27等へ送られ、有機充
填剤を溶解抽出する。有機充填剤を溶解抽出する方法と
しては、ベルトコンベア26上の中空状物16に抽出液
25のシャワーを降らせるシャワー方式に限定されるも
のではなく、抽出槽方式、一度巻き取った中空状物16
を別のカセに巻き戻す際に、抽出液にカセを浸す巻き戻
し方式など、中空状物が抽出液と接触することができれ
ばいずれの方法であってもよく、また、これらの方法を
二つ以上組合せることも可能である。
【0059】抽出液25としては、中空糸膜を構成する
ポリプロピレンを溶解せず、かつ有機充填剤を溶解抽出
できるものであればいずれも使用できる。抽出液25の
具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プ
ロパノール類、ブタノール類、ペンタノール類、ヘキサ
ノール類、オクタノール類、ラウリルアルコール等アル
コール類、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリ
フルオロエタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ
フルオロメタン、1,1,2,2−テトラクロロ−1,
2−ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が挙
げられ、これらのうち、有機充填剤に対する抽出能力の
点から、ハロゲン化炭化水素類が好ましく、特に人体に
対する安全性の点から塩化弗化炭化水素類が好ましい。
【0060】このようにして得られる中空糸膜は、熱処
理装置30等により、必要に応じ熱処理が施される。熱
処理は、空気、窒素、炭素ガス等の雰囲気中で50〜1
60℃、好ましくは70〜120℃の温度で5秒〜12
0分間、好ましくは10秒〜60分間行なわれる。この
熱処理により中空糸膜の構造安定化がなされ、寸法安定
性が高くなる。また、この場合、熱処理前または熱処理
時に延伸を行なってもよい。
【0061】このようにして得られる中空糸膜は、中空
糸膜型人工肺に使用すると最適である。
【0062】従来の延伸法によって得られた中空糸膜の
ガス透過能は、人工肺として使用するには必要以上に高
かった。すなわち、中空糸膜の内側に血液を循環する場
合、酸素添加能は血液側の境膜抵抗が大きく、中空糸膜
の抵抗は律速になっておらず、一方、炭酸ガス除去能は
中空糸膜抵抗に依存するが、その透過能は過剰であり、
また、中空糸膜の外側に血液を循環する場合、ガス交換
能も中空糸膜の抵抗に依存するが、その透過能は過剰で
あった。
【0063】しかるに、本発明の中空糸膜は、膜単体で
のガス透過能は、従来の延伸法のものよりも低いが、人
工肺に組み込んで使用するには充分な性能が得られ、し
かも、抽出法であるために、ピンホールによる血液漏出
も起こらず、従ってガス交換能の低下を防ぐことができ
る。
【0064】さらに、冷却固化液として用いられた有機
充填剤ないしその類似化合物よりなる液体を使用して得
られた中空糸膜は、ポリプロピレンがネットワーク状に
連なり、非常に凹凸の激しい表面をもつため、人工肺と
して組立てる際に糸同士がくっつき合って固着してしま
い、組立作業が煩雑であり、また、接着剤が糸の回りに
入り込まずポッティング不良となるおそれがあった。
【0065】しかしながら、上記のような製造方法によ
り得られた中空糸膜は、外表面4が中空糸膜の内部と同
様に粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連なってでき
たポリプロピレン塊が多数集まって形成され平滑な性状
を有することから、このような人工肺組立時における問
題は解消され、かつ上述したように、中空糸膜の外表面
4あるいは内表面2のいずれに血液を流しても、血球成
分に損傷を与えることなく、また圧力損失も低いもので
ある。
【0066】図3は、本発明の中空糸膜型人工肺の構成
例を示す一部断面側面図である。同図に示すように、中
空糸膜型人工肺51は、ハウジング56を有し、このハ
ウジング56は筒状本体57の両端部に環状の雄ネジ付
き取付カバー58,59が設けられている。
【0067】ハウジング56内には、全体に広がって多
数(例えば10000〜70000本)の上記本発明の
中空糸膜1がハウジング56の長手方向に沿って並列的
に相互に離間配置されている。そして、この中空糸膜1
の両端部は、取付カバー58,59内において、それぞ
れの開口が閉塞されない状態で隔壁60,61により液
密に支持されている。
【0068】また、各隔壁60,61は、中空糸膜1の
外周面と上記ハウジング56の内面とともに第1の物質
移動流体室である血液室62を構成し、これを閉塞し、
かつ中空糸膜1の内部に形成される第2の物質移動流体
用空間である酸素含有ガス流通用空間(図示しない)と
血液室62を隔離するものである。
【0069】一方の取付カバー58には、第1の物質移
動流体である血液を供給する導入口63が設けられてお
り、他方の取付カバー59には、血液を排出する導出口
64が設けられている。
【0070】ハウジング56の筒状本体57の内面に
は、軸方向の中央に位置して突出する絞り用拘束部65
を設けることが好ましい。すなわち、拘束部65は上記
筒状本体57の内面に筒状本体と一体的に形成されてお
り、筒状本体57内に挿通される多数の中空糸膜1から
なる中空糸束66の外周をその中心方向へ締め付けるよ
うになっている。こうして、上記中空糸束66は、図3
で示すように、軸方向の中央において絞り込まれ、絞り
部67を形成する。従って、中空糸膜1の充填率は、軸
方向に沿う各部において異なり、中央部分において最も
高くなっている。
【0071】なお、好ましい各部の充填率は次の通りで
ある。まず、中央の絞り部67における充填率は約60
〜80%、その他筒状本体57内では充填率は約30〜
60%であり、中空糸束66の両端部、すなわち隔壁6
0,61の外面付近における充填率は約20〜50%で
ある。
【0072】次に、隔壁60,61の形成について述べ
る。前述したように、隔壁60,61は、中空糸膜1の
内部と外部を隔離するという機能を果たすものである。
通常、この隔壁60,61は、極性の高い高分子ポッテ
ィング材、例えばポリウレタン、シリコーン、エポキシ
樹脂等をハウジング56の両端内壁面に遠心注入法によ
り流し込み、硬化させることにより形成される。
【0073】さらに詳述すれば、まず、ハウジング56
の長さより長い多数の中空糸膜1を用意し、この両開口
端を粘度の高い樹脂によって目止めをした後、ハウジン
グ56の筒状本体57内に並べて位置せしめる。この
後、取付けカバー58,59の径以上の大きさの型カバ
ーで、中空糸膜1の各両端を完全に覆い、ハウジング5
6の中心軸を中心にそのハウジング56を回転させなが
ら両端部側から高分子ポッティング材を注入する。流し
終って樹脂が硬化すれば、上記型カバーを外して樹脂の
外側面部を鋭利な刃物で切断し、中空糸膜1の両開口端
を表面に露出させる。かくして隔壁60,61は形成さ
れることになる。
【0074】隔壁60,61の外面は、環状凸部を有す
る流路形成部材68,69でそれぞれ覆われている。こ
の流路形成部材68,69は、それぞれ液分配部材7
0,71およびネジリング72,73よりなり、この液
分配部材70,71の周縁部付近に設けられた環状凸部
である突条74,75の端面を前記隔壁60,61にそ
れぞれ当接させ、ネジリング72,73を取付カバー5
8,59にそれぞれ螺合することにより固定され、これ
により第2の物質移動流体である酸素含有ガスの流入室
76および流出室77がそれぞれ形成される。
【0075】これらの流路形成部材68,69の頂部に
は、それぞれ第2の物質移動流体である酸素含有ガス導
入口78および導出口79が形成されている。
【0076】隔壁60,61と、流路形成部材68,6
9とにより形成される隔壁60,61の周縁部の空隙部
には、該空隙部に連通する少なくとも2個の孔82,8
3の一方より充填材84,85を充填することにより、
隔壁60,61と接触するようにシールされる。あるい
はまた、Oリング(図示せず)を介してシールされる。
【0077】なお、図示の中空糸膜型人工肺51は、第
1の物質移動流体として血液を、また第2の物質移動流
体として空気等の酸素含有ガスを適用するもの、すなわ
ち中空糸膜1の内側に酸素含有ガスを吹送し、中空糸膜
1の外側に血液を循環させてガス交換を行なうタイプの
ものであるが、本発明に係る中空糸膜型人工肺は、中空
糸膜1の内側に血液を循環させ、中空糸膜の外側に酸素
含有ガスを吹送してガス交換を行なうタイプのものでも
よく、この場合、図示の人工肺と同様な構成において第
1の物質移動流体として酸素含有ガスを、また第2の物
質移動流体として血液を適用すればよい。
【0078】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0079】(実施例1〜3、比較例1〜3)メルトイ
ンデックス(M.I.)が23のプロピレンホモポリマ
ー100重量部に対し、下記表1に示す割合の流動パラ
フィン(数平均分子量324)および結晶核形成剤とし
てのジベンジリデンソルビトール0.5重量部を仕込
み、二軸型押出機(池貝鉄工社製、PCM−30−2
5)により溶融混練し、押出した後ペレット化した。
【0080】このペレットを図2に示すような単軸型押
出機(笠松製作所社製、WO−30)を用いて180〜
225℃で溶融し、芯径4mm、内径6mm、外径7mm、ラ
ンド長15mmの環状紡糸孔15より、吐出量2.66g/
min で空気中に吐出させ、中空状物16を落下させた。
なお、落下距離は25〜50mmであった。
【0081】続いて、中空状物16を冷却槽18内に入
れられた冷却固化液17であるポリエチレングリコール
(Mn=200)と接触させた後、冷却固化液流通管1
9内を自然流下する冷却固化液17と並流接触させて冷
却した。なお、このときの冷却固化液の温度は30℃で
あった。
【0082】次に、中空状物16を固化槽20内の冷却
固化液内に導入し、変向棒21により変更させてドライ
ブロール22へ導き、さらに、シャワーコンベア方式の
抽出機27において、抽出液25であるフレオン113
(1,1,2−トリクロロ,1,2,2−トリフルオロ
エタン)により流動パラフィンを完全に抽出、除去し
た。
【0083】その後、熱処理装置30により、100〜
110℃で20秒間熱処理を施し、巻取装置31のボビ
ン32に巻き取った。
【0084】ボビン32に巻き取られた中空糸は、巻戻
し装置によってカセに巻き戻され、約30cmのバンドル
状の中空糸束を得た。
【0085】このようにして得られた中空糸膜につい
て、寸法(内径/膜厚)、空孔率、酸素ガスフラック
ス、透水率、平均孔径、内表面開孔率および内表面平均
孔径を測定した。その結果を表1に示す。
【0086】なお、比較例3は、延伸法により製造され
た市販の人工肺用ポリプロピレン中空糸膜(三菱レーヨ
ン社製、KPF−190M)である。
【0087】
【表1】
【0088】なお、各特性の測定方法は、次の通りであ
る。
【0089】内径/肉厚 得られた中空糸膜を任意に10本抜きとり、鋭利なカミ
ソリで0.5mm程度の長さに輪切りにする。万能投影機
(ニコンプロファイルプロジェクター V−12)でそ
の断面を映し出し、計測器(ニコンデジタルカウンター
CM−6S)でその外径d1 、内径d2 を測定し、膜
厚tをt=(d1 −d2 )/2により算出し、10本の
平均値とした。
【0090】空孔率(%)、平均孔径(μm ) 得られた中空糸膜を約2g とり、鋭利なカミソリで5mm
以下の長さに輪切りにする。得られた試料を水銀ポロシ
メーター(カルロエルバ社製、65A型)にて1000
kg/cm2まで圧力をかけ、全空孔量(単位重さ当りの中空
糸膜の空孔体積)より空孔率および平均孔径を得る。
【0091】酸素ガスフラックス 得られた中空糸膜で、有効長9.5cm、膜面積0.8m2
のモジュールを作製し、一方の血液導入ポートから80
0ml/min の酸素を中空糸内に流し、反対側の導出ポー
ト端を閉じた後、定常状態になったときの導入ポートに
おける圧力を測定し算出した。
【0092】透水率 酸素ガスフラックスで用いたモジュールを100%、9
0%、70%、50%のエタノール水溶液にこの順に2
時間ずつ浸漬し、その後、蒸留水中に2時間以上浸漬し
て親水化した。ミニモジュールを乾かさない状態で、中
空糸膜内部に加圧タンクで0.45kg/cm2の圧力で水を
圧入し、中空糸膜を透過してガスポートから出てくる水
の量をメスシリンダーで測った。
【0093】内表面開孔率(%)、内表面平均孔径(μ
m ) 走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−840)にて
各試料の内表面のSEM写真を1万倍で撮影し、この写
真を画像解析装置(東芝社製、TOSPIXO)にCC
Dカメラにて取り込み、撮影表面全体の面積に対する孔
部分の面積の割合を内表面開孔率、各孔の面積から計算
される円相当径の平均値を内表面平均孔径とした。
【0094】<実験1>実施例1〜3、比較例1〜3の
各中空糸膜を用いて、図3に示す構造の中空糸膜型人工
肺を作製した。各人工肺において用いた中空糸の本数
は、それぞれ13500本であり、それらの有効膜面積
は、0.8m2であった。
【0095】これらの人工肺について、AAMIの基準
により、ガス交換性能を測定した。すなわち、人工肺の
中空糸内部に牛血(標準静脈血)を流量800ml/minで
流し、一方、中空糸外部へ純酵素を流量800ml/minで
流した。
【0096】この状態で、人工肺の血液導入口(図3中
78)および導出口(図3中79)における牛血中の酸
素ガス分圧および炭酸ガス分圧を血中ガス測定装置(ラ
ジオメーター社製、ABL−30型)により測定し、こ
れより酸素ガス移動量および炭酸ガス移動量を求めた。
その結果を下記表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】<実験2>細菌の繁殖を抑制するためのゲ
ンタミンを投与した5U/mlヘパリン加牛血漿を調製し
た。
【0099】前記実験1と同様の人工肺を用意し、各人
工肺の中空糸内部に前記牛血漿(37℃)を流量400
ml/minで流し、人工肺の血液導出口(図3中79)側の
圧力をスクリュークランプで300mmHgに調節しつつ、
循環した。一方、人工肺の中空糸外部へは、純酸素を流
量400ml/minで流した。なお、牛血漿は、24時間毎
に新鮮なものに交換した。
【0100】人工肺のガス導出口(図3中64)をコー
ルドトラップに接続し、所定時間経過毎にトラップされ
た液(漏出血漿+結露水)を採取し、タンパク質検出試
験紙にてタンパク質の有無を確認し、液体流出速度を求
めた。その結果を下記表3に示す。
【0101】
【表3】
【0102】表2および表3より明らかなように、実施
例1〜3による本発明の中空糸膜および人工肺は、ガス
交換能が高く、かつ長時間使用しても血漿の漏れがほと
んどなく、耐久性に優れていることがわかる。
【0103】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の多孔質中空
糸膜および人工肺によれば、高いガス交換能を維持しつ
つ、長時間使用した場合でも血漿の漏出がなく、耐久性
に優れている。特に、体外血液循環を100〜150時
間程度連続して行なっても血漿の漏出がほとんどない。
【0104】また、中空糸膜の内側、外側のいずれにも
血液を流すことができ、いずれの場合でも、血球等に損
傷を与えることはなく、しかも圧力損失も高まらない。
【0105】さらに、中空糸膜相互の固着や接着剤によ
るポッティング不良等の人工肺組立てに際しての問題も
生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多孔質中空糸膜の横断面を模式的に示
す拡大横断面図である。
【図2】本発明の多孔質中空糸膜を製造するための装置
を模式的に示す断面側面図である。
【図3】本発明の人工肺の構成例を示す一部断面側面図
である。
【符号の説明】
1 多孔質中空糸膜 2 内表面 3 膜内部 4 外表面 D 内径 T 肉厚 11 配合物 12 ホッパー 13 単軸押出機 14 紡糸装置 15 口金装置 16 中空状物 17 冷却固化液 18 冷却槽 19 冷却固化液流通管 20 固化槽 21 変向棒 22 ドライブロール 23 循環ライン 24 循環ポンプ 25 抽出液 26 ベルトコンベア 27 抽出機 28 ヒータ 29 ロール 30 熱処理装置 31 巻取装置 32 ボビン 51 中空糸膜型人工肺 56 ハウジング 57 筒状本体 58、59 取付カバー 60、61 隔壁 62 血液室 63 導入口 64 導出口 65 絞り用拘束部 66 中空糸束 67 絞り部 68、69 流路形成部材 70、71 液分配部材 72、73 ネジリング 74、75 突条 76 流入室 77 流出室 78 導入口 79 導出口 82、83 孔 84、85 充填剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鬼頭 均 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 印南 奏子 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横断面形状が実質的に円形または楕円形
    の多孔質ポリプロピレン中空糸膜であって、 内径が150〜300μm 、肉厚が10〜150μm 、
    内表面開口率が10%未満、空孔率が1〜35%、 酸素
    ガスフラックスが10〜1000ml/min・m2・mmHg(室
    温)、透水率が0.01〜1.0ml/min・m2・mmHg(室
    温)であることを特徴とする多孔質中空糸膜。
  2. 【請求項2】 多孔質中空糸膜の内表面においては、固
    相は粒子状ポリプロピレンが一部露出しつつ密に融和結
    合して形成された連続相を呈し、 また、多孔質中空糸膜の内部および外表面においては、
    固相は粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連なってで
    きたポリプロピレン塊が多数集まって形成され、 これらの固相間の間隙は、3次元ネットワーク状に連通
    して連通孔を形成してなる請求項1に記載の多孔質中空
    糸膜。
  3. 【請求項3】 ガス交換膜として、請求項1または2に
    記載の多孔質中空糸膜を備えることを特徴とする人工
    肺。
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Cited By (2)

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CN114733371A (zh) * 2021-01-07 2022-07-12 杭州费尔新材料有限公司 一种氧合膜网及氧合组件
CN114733371B (zh) * 2021-01-07 2023-08-01 杭州费尔新材料有限公司 一种氧合膜网及氧合组件

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