JPH0512970B2 - - Google Patents

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JPH0512970B2
JPH0512970B2 JP5384388A JP5384388A JPH0512970B2 JP H0512970 B2 JPH0512970 B2 JP H0512970B2 JP 5384388 A JP5384388 A JP 5384388A JP 5384388 A JP5384388 A JP 5384388A JP H0512970 B2 JPH0512970 B2 JP H0512970B2
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JP
Japan
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hollow fiber
fiber membrane
polypropylene
crimp
porous
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Ken Takebe
Manabu Yamazaki
Tomonori Muramoto
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
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Publication of JPH01228506A publication Critical patent/JPH01228506A/ja
Publication of JPH0512970B2 publication Critical patent/JPH0512970B2/ja
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Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D69/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D69/08Hollow fibre membranes
    • B01D69/084Undulated fibres

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • External Artificial Organs (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は、多孔質中空糸膜、その製造方法およ
びその中空糸膜を用いた人工肺に関するものであ
る。詳しく述べると本発明は、高ガス交換能を有
するとともに、破断強度に優れかつガス交換に際
して高い有効膜面積をもたらす多孔質中空糸膜、
その製造方法およびその中空糸膜を用いた人工肺
に関するものである。さらに詳しく述べると、中
空糸膜の内側あるいは外側に血液を流すいずれの
タイプの人工肺に用いられても、血球成分の損
傷、圧力損失の増加等を起こすことなく、また中
空糸膜の破断による有効膜面積の減少の生じる虞
れも少なく、さらに高い気液接触効率を示し、長
期間使用に際して血漿漏出がなくかつ高いガス交
換能を示す多孔質中空糸膜、その製造方法および
その中空糸膜を用いた人工肺に関するものであ
る。 (従来の技術) 一般に心臓手術等において、患者の血液を体外
に導き、これに酸素を添加しかつ炭酸ガスを除去
するために、体外循環回路内に中空糸膜人工肺が
用いられている。このような人工肺において使用
される中空糸膜としては、均質膜と多孔質膜の2
種類がある。均質膜は透過する気体の分子が膜に
溶解し、拡散することによつてガスの移動が行な
われる。この代表的なものにシリコーンゴムがあ
り、例えば、メラ・シロツクス(泉工医工業)と
して製品化されている。しかしながら、均質膜
は、ガス透過性の点から現在使用可能のものとし
てはシリコーンゴムのみしか知られておらず、ま
た該シリコーンゴム膜は強度的に膜厚を薄くする
ことはできない。このためガス透過に限界があ
り、特に炭酸ガスの透過が悪い。また、前記シリ
コーンゴムは高価で、しかも加工性が悪いという
欠点があつた。 一方、多孔質膜は、該膜の有する微細孔が透過
すべき気体分子に比べて著しく大きいため、気体
は体積流として細孔を通過する。例えばマイクロ
ポーラスポリプロピレン膜等の多孔質膜を使用し
た人工肺が種々提案されている。例えばポリプロ
ピレンを中空糸製造用ノズルを用いて、紡糸温度
210〜270℃、ドラフト比180〜600で溶解紡糸し、
ついで155℃以下で第1段熱処理を行なつたのち、
110℃未満で30〜200%延伸し、しかるのちに第1
段熱処理温度以上155℃以下で第2段熱処理する
ことにより多孔質ポリプロピレン中空糸を製造す
ることが提案されている(特公昭56−52123号)。
しかしながら、このようにして得られる多孔質中
空糸はポリプロピレン中空糸を延伸することによ
り物理的に細孔を形成するので、該細孔は膜厚方
向にほぼ水平な直線状細孔であり、かつ延伸度に
応じて中空糸の軸線方向に亀裂を生じて生成する
細孔であるから断面がスリツト状である。又細孔
はほぼ直線的に連続貫通し、かつ空孔率が高い。
このため、該多孔質中空糸は水蒸気の透過性が高
く、また長期間血液を体外循環させて使用する
と、血漿が漏出するという欠欠点があつた。 また、血漿漏出が起こらない多孔質膜として、
例えば、ポリオレフイン、該ポリオレフインの溶
融下で該ポリオレフインに均一に分散し得かつ使
用する抽出液に対して易溶性である有機充填剤お
よび結晶核形成剤を混練し、このようにして得ら
れる混練物を溶融状態で環状紡糸孔から吐出させ
同時に内部中央部に不活性ガスを導入し、該中空
状物を前記ポリオレフインを溶解しない冷却固化
液と接触させて冷却固化し、ついで冷却固化した
中空状物を前記ポリオレフインを溶解しない抽出
液と接触させて前記有機充填剤を抽出除去するこ
とにより製造される多孔質ポリオレフイン中空糸
膜が提案されている(特願昭59−210466号)。し
かしながら該中空糸膜の1つであり、冷却固化液
として好ましいとされる用いられる有機充填剤を
溶解し得る冷却固化液を使用して得られたポリオ
レフイン中空糸膜は、孔が小さく孔路も複雑であ
るため血漿漏出は起こらないが、単位面積当りの
孔密度が小さいので、人工肺用膜として用いるに
は、ガス交換能が不充分となる虞れがあり、さら
に前記有機充填剤を溶解し得る冷却固化液中にポ
リオレフインの低分子成分が混ざり、冷却浴管内
壁に付着し、中空糸の形状が経時的に変化してし
まうという虞れがあつた。 さらにこれらの点を改善するために、ポリプロ
ピレン、該ポリプロピレンの溶融下でポリプロピ
レンに均一に分散し得、かつ使用する抽出液に対
して易溶性である有機充填剤、および結晶核形成
剤を混練し、このようにして得られる混練物を溶
融状態で環状紡糸孔から中空状に吐出させ、該中
空状物を前記有機充填剤ないしその類似化合物よ
りなる液体と接触させて冷却固化し、ついで冷却
固化した中空状物をポリプロピレンを溶融しない
抽出液と接触させて前記有機充填剤を抽出除去す
ることにより製造される多孔質ポリプロピレン中
空糸膜が提案されている(特願昭61−155159号)。
この方法により得られる中空糸膜は、今まで述べ
た欠点を克服したものであるが、その冷却過程に
おいて、有機充填剤あるいは冷却固化液が、まだ
完全に冷却固化していない中空糸の最外表面に局
在し、最外表面のポリプロピレンの組成分率が低
くなり、結果として中空糸外表面の孔が大きく、
かつポリプロピレンがネツトワーク状に連なり、
非常に凹凸の激しい状態として形成される。この
ような中空糸は、中空糸の内側へ血液を流し、中
空糸の外側に酸素含有ガスを吹送して、血液に酸
素添加および炭酸ガス除去を行なうタイプの人工
肺に用いる場合には何ら問題とならないが、逆に
中空糸の外側に血液を流し、中空糸の内側に酸素
含有ガスを吹送するタイプの人工肺に用いられた
場合には、上記のごとき外表面の性状により血球
成分への損傷、圧力損失の増加といつた欠点が生
じてくる。また、このような中空糸膜は、人工肺
のタイプにかかわらず、人工肺を組立てる場合
に、中空糸同志の固着が発生し、作業性が良好な
ものとならず、かつポツテイング不良が発生する
という欠点があつた。加えてこのようにして得ら
れる中空糸膜は、強度的な面において比較的良好
なものであるが、実用上その強度は十分なもので
あるとは言えずさらに改良の余地の残るものであ
つた。さらに、このようにして得られる多孔質中
空糸膜を用いた人工肺において、中空糸膜の外側
に血液を循環させ、中空糸膜の内側に酸素含有ガ
スを吹送する場合、中空糸膜が疎水性であるため
に中空糸と中空糸との間〓が狭くかつ前後にわた
つてほぼ一定幅のものであると、この間〓に空気
ないしは酸素含有ガスが溜まり易くなるものであ
つた。このように中空糸と中空糸との間〓に空気
ないしは酸素含有ガスが溜まり、いわゆるエアー
トラツプされた状態が生じると、血液の流通が悪
くなり、またこの捕捉された空気ないし酸素含有
ガスの塊によつて血液の中空糸膜を介しての酸素
含有ガスへの接触が阻害され有効膜面積が低下し
てしまうために、人工肺のガス交換能が低下して
しまうという問題が生じるものであつた。 (発明が解決しようとする問題点) 従つて、本発明は、改良された多孔質中空糸
膜、その製造方法およびその中空糸膜を用いた人
工肺を提供することを目的とする。本発明はま
た、高いガス交換能を有するとともに破断強度に
優れかつ高い気液接触効率をもたらす多孔質中空
糸膜、その製造方法およびその中空糸膜を用いた
人工肺を提供することを目的とする。本発明はさ
らにいずれのタイプの人工肺に用いられた場合に
おいても血球成分を損傷せずまた圧力損失を高め
ることもなく、長期間の使用に際して血漿漏出が
なく、かつ多孔質膜の破断による有効膜面積の低
下の生じる虞れも少なく、さらにエアートラツプ
によるガス交換能の低下もなく、高いガス交換能
を有し人工肺用として好適なポリプロピレン製多
孔質中空糸膜、その製造方法およびその中空糸膜
を用いた人工肺を提供することを目的とする。本
発明はさらにまた、滑らかな外表面性状を有し、
人工肺組立工程における中空糸同志の固着のない
多孔質中空糸膜、その製造方法およびその中空糸
膜を用いた人工肺を提供することを目的とする。 (問題点を解決するための手段) これらの諸目的は、多孔質ポリプロピレン中空
糸膜であつて、その内表面においては固相は粒子
状ポリプロピレンが一部露出しつつ密に融和結合
して形成された連続相を呈し、また膜内部および
外表面においては固相は粒子状ポリプロピレンが
繊維軸方向に連なつてできたポリプロピレン塊が
多数集まつて形成され、これらの固相間の間〓
は、3次元ネツトワーク状に連通して連通孔を形
成してなり、かつ軸方向の破断強度が80g/糸以
であり、また外径の35〜120%の平均捲縮振幅お
よび0.01〜0.1の最大捲縮振幅/最大捲縮振幅時
捲縮半周期比を有し、捲縮率が1.0〜3.0%である
ことを特徴とする多孔質中空糸膜によつて達成さ
れる。 本発明はまた多孔質中空糸膜の繊維軸方向にお
ける複屈折率が0.001〜0.01である多孔質中空糸
膜を示すものである。本発明はまた空孔率が10〜
60%、内表面の開孔率が10〜30%、酸素ガスフラ
ツクスが100〜1500/min・m2・atmである多
孔質中空糸膜を示すものである。本発明はさらに
内径が150〜300μm、肉厚が10〜150μmである多
孔質中空糸膜を示すものである。本発明はまた、
粒子状ポリプロピレンの平均粒径が0.1〜2.0μm
で、内表面の平均空孔径が0.1〜1.0μmである多
孔質中空糸膜を示すものである。本発明はまた、
人工肺用として用いた場合に、30時間以内での血
漿の漏出およびガス交換能の低下が実質的にない
ものである多孔質中空糸膜を示すものである。本
発明はさらに、人工肺用として用いた場合に、血
球成分に対する損傷の少ないものである多孔質中
空糸膜を示すものである。本発明はまた、軸方向
の破断強度が85g/糸以上であり、また外径の50
〜100%の平均捲縮振幅および0.02〜0.05の最大
捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比を有し、
捲縮率が2.0〜3.0%である多孔質中空糸膜を示す
ものである。 上記諸目的はまた、ポリプロピレン、該ポリプ
ロピレン溶融下でポリプロピレンに均一に分散し
得、かつ使用する抽出液に対して易溶性である有
機充填剤、および結晶核形成剤を混練し、このよ
うにして得られる混練物を溶融状態で環状紡糸孔
から中空状に吐出させ、該中空状物を前記有機充
填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3〜0.7cal/g
である冷却固化液と接触させて冷却固化し、つい
で冷却固化した中空状物を、ポリプロピレンを溶
解しない抽出液と接触させて前記有機充填剤を抽
出除去し、このようにして得られた中空糸膜に1
〜30%の延伸を加えた後熱処理を行ない、さらに
加熱捲縮し、外径の35〜120%の平均捲縮振幅お
よび0.01〜0.1の最大捲縮振幅/最大捲縮振幅時
捲縮半周期比を有する捲縮率1.0〜3.0%のものと
することを特徴とすることを特徴とする多孔質中
空糸膜の製造方法により達成される。 本発明はまた、冷却固化として、シリコーンオ
イルまたはポリエチレングリコールを用いるもの
である多孔質中空糸膜の製造方法を示すものであ
る。本発明はさらに、ポリジメチルシロキサン
が、20℃で2〜50cStの粘度を有するものである
多孔質中空糸膜の製造方法を示すものである。本
発明はさらに、ポリエチレングリコールが、平均
分子量100〜400のものである多孔質中空糸膜の製
造方法を示すものである。本発明はまた5〜30%
の延伸を加えるものである多孔質中空糸膜の製造
方法を示すものである。本発明はさらに10〜25%
の延伸を加えるものである多孔質中空糸膜の製造
方法を示すものである。本発明はさらにまた熱処
理が70〜130℃で5秒〜120分間行なわれるもので
ある多孔質中空糸膜の製造方法を示すものであ
る。本発明はまた、捲縮が、得られた中空糸膜を
ボビンにクロス捲きに捲き取り熱固定を行なうこ
とによりなされるものである多孔質中空糸膜の製
造方法を示すものである。本発明はさらに熱固定
が50〜100℃で2〜48時間行なわれるものである
多孔質中空糸膜の製造方法を示すものである。本
発明はまた、有機充填剤として流動パラフインを
用いるものである多孔質中空糸膜の製造方法を示
すものである。本発明はさらに、ポリプロピレン
100重量部に対する有機充填剤の配合量が35〜170
重量部である多孔質中空糸膜の製造方法を示すも
のである。本発明はまた、結晶核形成剤は融点が
150℃以上でかつゲル化点が使用するポリプロピ
レンの結晶開始温度以上の有機耐熱性物質である
多孔質中空糸膜の製造方法を示すものである。本
発明はさらにポリプロピレン100重量部に対する
結晶核形成剤の配合量が0.1〜5重量部である多
孔質中空糸膜の製造方法を示すものである。 上記諸目的はさらにまた、中空糸膜をガス交換
膜として備えてなる人工肺において、該ガス交換
膜は多孔質ポリプロピレン中空糸膜であつて、そ
の内表面においては、固相は粒子状ポリプロピレ
ンが一部露出しつつ密に融和結合して形成された
連続相を呈し、また膜内部および外表面において
は固相は粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連
なつてできたポリプロピレン塊が多数集まつて形
成され、これらの固相間の間〓は、3次元ネツト
ワーク状に連通して連通孔を形成してなり、かつ
軸方向の破断強度が80g/糸以上であり、また外
径の35〜120%の平均捲縮振幅および0.01〜0.1の
最大捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比を有
し、捲縮率が1.0〜3.0%であることを特徴とする
人工肺によつて達成される。 本発明はまた多孔質中空糸膜の繊維軸方向にお
ける複屈折率が0.001〜0.01である人工肺を示す
ものである。本発明はまた中空糸膜の空孔率が10
〜60%、内表面の開孔率が10〜30%、酸素ガスフ
ラツクスが100〜1500/min・m2・atmである
人工肺を示すものである。本発明はさらに中空糸
膜の内径が150〜300μm、肉厚が10〜150μmのも
のである人工肺を示すものである。本発明はま
た、中空糸膜の内側に血液を循環し、中空糸膜の
外側に酸素含有ガスを吹送するものである人工肺
を示すものである。本発明はまた、中空糸膜の外
側に血液を循環し、中空糸膜の内側に酸素含有ガ
スを吹送するものである人工肺を示すものであ
る。本発明はさらに、血液を体外循環させたと
き、30時間以内での血漿の漏出およびガス交換能
の低下が実質的にないものである人工肺を示すも
のである。本発明はまた、血液を体外循環させた
とき、血球成分に対する損傷の少ないものである
人工肺を示すものである。本発明はさらに、中空
糸膜の粒子状ポリプロピレンの平均粒径が0.1〜
2.0μm、内表面の平均空孔径が0.1〜1.0μmである
人工肺を示すものである。本発明はさらにまた、
中空糸膜の軸方向の破断強度が85g/糸以上であ
り、また外径の50〜100%の平均捲縮振幅および
0.02〜0.05の最大捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮
半周期比を有し、捲縮率が2.0〜3.0%である人工
肺を示すものである。 以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説
明する。 本発明による多孔質中空糸膜は、内径が150〜
300μm、好ましくは180〜250μm、肉厚が10〜
150μm、好ましくは20〜100μm、さらに好まし
くは40〜50μmであるほぼ円形のポリプロピレン
製中空糸膜である。このポリプロピレン製中空糸
膜の微細構造は、中空糸膜の製造条件によつて変
わるが、既して後述するように冷却固化として、
有機充填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3〜
0.7cal/gである溶液を使用することにより、以
下に述べるような構造を有するものとなる。すな
わち、その内表面側においては、固相は粒子状ポ
リプロピレンが一部露出しつつ密に融和結合、つ
まり溶融した後、冷却固化して形成された連続相
を呈する。また膜内部においては固相は多数の粒
子状ポリプロピレンによつて形成され、この粒子
状ポリプロピレンは円周方向においては方向性を
もたず無秩序に集まつているが繊維方向において
は連なつてポリプロピレン塊を形成しており、こ
のポリプロピレン塊は、糸状ポリプロピレンによ
つて相互に結ばれている。従つて膜内部において
は、固相は粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に
連なつてできたポリプロピレン塊が多数集まつて
形成されているものと思われる。さらに外表面に
おいても、膜内部と同様に固相は粒子状ポリプロ
ピレンが繊維軸方向に連なつてできたポリプロピ
レン塊が多数集まつて形成されている。しかし
て、これらの固相間の間〓は、該中空糸の内表面
および外表面を含む肉厚部において、内表面より
外表面に至る経路が長く、かつ孔同志が直線的で
なく複雑に網目状につながつた3次元ネツトワー
ク状の連通孔を形成している。なお、このような
連通孔の孔路の複雑さは、本発明の多孔質中空糸
膜の軸線方向の複屈折率が0.001〜0.01と極めて
低く、ポリプロピレン結晶の配向性が小さいこと
からも、支持されるものである。 このように本発明の多孔質中空糸膜において
は、その内表面が粒子状ポリプロピレンの一部が
露出しつつ密に融和結合された連続相とそれ以外
の空孔部分からなり滑らかな表面性状を有するた
めに、人工肺において用いられ、中空糸の内部に
血液を流しても血球成分に損傷を与えることはな
くまた圧力損失も高くならない。一方、その外表
面も粒子状ポリプロピレンが整然と繊維軸方向に
並んでできたポリプロピレン塊が多数集まつて形
成された固相とそれ以外の空孔部分からなり滑ら
かな表面性状を有するために、人工肺において用
いられ中空糸の外側に血液を流しても血球成分に
損傷を与えることはなくまた圧力損失も高くなら
ない。さらに、人工肺用中空糸膜として用いられ
た際にガスの通路となる空孔部分は、複雑に網目
状につながつた3次元ネツトワーク状の連通孔で
あるために、血液を中空糸膜の内側あるいは外側
のいずれかに体外循環させても血漿成分はこのよ
うに複雑に入り組んだ長い経路を通過することが
できず、例えば30時間の体外循環時間では血漿漏
出は発生しないし、またガス交換能の低下も実質
的に認められない。 加えて、本発明の多孔質中空糸膜は、以下に詳
述するように抽出法により多孔性を付与した後に
所定の割合で延伸を加えて熱処理を施されたもの
であるために、上記のごとき膜構造特性を変化さ
せることなしに破断強度が改善され、軸方向の破
断強度が80g/糸以上、さらに好ましくは85g/
糸以上となるものである。このように本発明の多
孔質中空糸膜はその破断強度が、80g/糸以上と
極めて優れたものであるために、実際にモジユー
ルに組付けた場合に中空糸の破断が生じる虞れは
少なく、モジユールの良品率の向上が図れるもの
となる。 さらに本発明の多孔質中空糸膜は、以下に詳述
するように加熱捲縮処理を施されることにより上
記のごとき膜構造特性を変化させることなく、外
径の35〜120%、好ましくは50〜100%の平均捲縮
振幅および0.01〜0.1、好ましくは0.02〜0.05の最
大捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比を有
し、捲縮率が1.0〜3.0%、好ましくは2.0〜3.0%
である捲縮がかけられている。 このように上記ごとき所定の割合で捲縮を付与
すると、例えば該多孔質中空糸膜を用いて人工肺
を作成し、この人工肺において中空糸膜の外側に
血液を循環させ、一方、中空糸膜の内側に酸素含
有ガスを吹送した場合、中空糸膜が疎水性ではあ
るが、上上記のごとき捲縮により中空糸と中空糸
との間〓が比較的大きくかつ前後にわたつて所定
限度内で変化がつけられたものとなされるため
に、この間〓に空気ないし酸素含有ガスが溜まる
ことはほとんど生じず、良好な血液の流通がもた
らされかつ血液と酸素含有ガスとの中空糸膜の全
面を介しての均一な接触がなされるために、より
一層良好なガス交換能が得られるものとなる。 本発明の多孔質中空糸膜において平均捲縮振幅
を外径の35〜120%とするのは、平均捲縮振幅が
外径の35%未満であると該多孔質中空糸膜を人工
肺中に組入れた際に中空糸と中空糸の間〓を十分
に大きなものとすることができず該間〓に空気な
いしは酸素含有ガスが溜まり易くなる虞れがあ
り、一方、平均捲縮振幅が外径の120%を越える
ものであると該多孔質中空糸膜を人工肺に組入れ
た際に中空糸と中空糸の間〓の大きさを所定の範
囲内に保持することが困難となるために、いづれ
も好ましくないためである。また最大捲縮振幅/
最大捲縮振幅時捲縮半周期比を0.01〜0.1の範囲
のものとするのは、最大捲縮振幅/最大捲縮振幅
時捲縮半周期比が0.01未満のものであると前記し
たと同様に該多孔質中空糸膜を人工肺中に組入れ
た際に中空糸と中空糸の間〓を十分に大きなもの
とすることができず該間〓に空気ないしは酸素含
有ガスが溜まり易くなる虞れがあり、一方、最大
捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比が0.1を
越えるものであると該多孔質中空糸膜を人工肺に
組入れた際に中空糸と中空糸の間〓の大きさが必
要以上に変動の大きいものとなり、該間〓を流路
とする血流における圧力損失が高くなるために、
いづれも好ましくないためである。さらに捲縮率
を1.0〜3.0%の範囲のものとするのは、捲縮率が
1.0%未満であると該多孔質中空糸膜を人工肺中
に組入れた際に中空糸と中空糸の間〓を捲縮によ
り大きなものとする効果が十分なものとならず、
一方捲縮率が3.0%を越えるものであると該多孔
質中空糸膜を用いて人工肺を作成した場合に、モ
ジユールが必要以上に大大型化する虞れがあるた
めにいづれも好ましくないためである。 本発明の多孔質中空糸膜においてはさらに、空
孔率が10〜60%、さらに好ましくは30〜55%であ
り、内表面における開孔率が10〜30%、さらに好
ましくは12〜20%であり、また酸素ガスフラツク
スが100〜1500/min・m2・atm、さらに好ま
しくは600〜1000/min・m2・atmであること
が人工肺用中空糸膜として用いるために望まし
い。すなわち、空孔率が10%未満であるとガス交
換能が不十分となる虞れがあり、一方空孔率が60
%を越えると血漿の漏出の虞れが生じ、また開孔
率が10%未満であると中空糸膜の空孔部分の連通
孔の形成が不十分となるためにガス交換能が不十
分となる虞れがあり、一方、開孔率が30%を越え
ると連通孔が単純となり血漿の漏出の虞れが生
じ、さらに、酸素ガスフラツクスが100〜1500
/min・m2・atmの範囲をはずれるものである
とガス交換膜としての機能を発揮しない虞れがあ
るためである。また本発明の多孔質中空糸膜を構
成する粒子状ポリプロピレンおよびこれらの微粒
子間の間〓である連通孔の大きさ、分布度は、中
空糸膜の製造条件および原料組成によつても好ま
しい状態に制御することができるが、粒子状ポリ
プロピレンの平均粒径が0.1〜2.0μm、より好ま
しくは0.2〜1.5であり、また内表面の平均空孔径
が0.1〜1.0μm、より好ましくは0.3〜0.6μmであ
ることが望ましい。 このような中空糸膜は、例えば以下のようにし
て製造されるものである。すなわち、第1図に示
すように、ポリプロピレンと有機充填剤と結晶核
形成剤との配合物11を、ホツパー12から混練
機、例えば単軸押出機13に供給して該配合物を
溶融混練して押出したのち、紡糸装置14に送
り、口金装置15の環状紡糸孔(図示せず)から
ガス状雰囲気、例えば空気中に吐出させ、出てき
た中空状物16を冷却固化液17を収納した冷却
槽18に導入し、該冷却固化液17と接触させる
ことにより冷却固化させる。この場合、前記中空
状物16と冷却固化液17との接触は第1図に示
すように、例えば前記冷却槽18の底部に貫通し
て下方に向つて設けられた冷却固化液流通管19
内に前記冷却固化液17を流下させ、その流れに
沿つて前記中空状物16を並流接触させることが
望ましい。流下した冷却固化液17は、固化槽2
0で受けて貯蔵し、その中に前記中空状物16を
導入し、変向棒21によつて変向させて該冷却固
化液17と充分接触させて固化させる。蓄積して
くる冷却固化液16は、循環ライン23より排出
させ、循環ポンプ24により前記冷却槽18へ循
環する。次に固化されたた中空状物16は、ドラ
イブロール22aによつて、前記有機充填剤を溶
解しかつポリプロピレンを溶解しない抽出液25
をシヤワー状に落らせるシヤワー・コンベア式抽
出機27へ導かれる。この抽出機27において中
空状物16は、ベルトコンベア26上を搬送され
る間に抽出液と充分に接触されて残留する有機充
填剤を抽出除去され多孔性が付与された中空糸膜
16′となる。ドライブロール22bによつて抽
出機27から導き出された前記中空膜16′は、
必要に応じてさらに再抽出、乾燥熱処理等の工程
(図示せず)を経たのち、ドライブロール22c
によつて熱処理装置30に導かれる。しかして該
ドライブロール22cと熱処理装置30の第1ロ
ーラー29の間には張力が働いており、中空糸膜
16′に所定の割合、すなわち1〜30%の延伸が
加えられる。熱処理装置30内は、ヒーター28
等の加熱手段によつて所定の温度条件に保たれて
おり、中空糸膜16′は熱処理装置30内の各ロ
ーラー間を移動するあいだに熱処理され膜構造安
定化がはかられる。さらにこの熱処理装置30よ
り導き出された中空糸膜16′は捲取装置31に
おいてボビン32にクロス巻きに捲き取られる。
さらにボビン32にクロス巻きに捲き取られた中
空糸膜16′は、適当な条件下で熱処理を施され
捲縮状態を固定される。 本発明で原料として使用されるポリプロピレン
としては、プロピレンホモポリマーに限らず、プ
ロピレンを主成分とする他のモノマーとのブロツ
クポリマー等があるが、そのメルトインデツクス
(M.I.)が5〜70のものが好ましく、特にM.I.が
10〜40のものが好ましい。また前記ポリプロピレ
ンのうちプロピレンホモポリリマーが特に好まし
く、中でも結晶性の高いものが最も好ましい。 有機充填剤としては、前記ポリプロピレンの溶
融下で該ポリプロピレンに均一に分散できかつ後
述するように抽出液に対して易溶性のものである
ことが必要である。このような充填剤としては、
流動パラフイン(数平均分子量100〜2000)、α−
オレフインオリゴマー[例えばエチレンオリゴマ
ー(数平均分子量100〜2000)、プロピレンオリゴ
マー(数平均分子量100〜2000)、エチレン−プロ
ピレンオリゴマー(数平均分子量100〜2000)
等]、パラフインワツクス(数平均分子量200〜
2500)、各種炭化水素等があり、好ましくは流動
パラフインである。 ポリプロピレンと前記有機充填剤との配合割合
は、ポリプロピレン100重量部に対して有機充填
剤が35〜170重量部、好ましくは80〜150重量部で
ある。すなわち有機充填剤が35重量部未満では、
得られる中空糸膜の一部がポリプロピレンの連続
相で構成されてしまい十分なガス透過能を示すこ
とができなくなり、一方、170重量部を越えると
粘度が低くなりすぎて中空状への成形加工性が低
下するからである。このような原料配合は、例え
ば二軸型押出機等の押出機を用いて所定の組成の
混合物を溶融混練し、押出したのち、ペレツト化
するこという前混練方法により原料を調製(設
計)する。 本発明において原料中に配合される結晶核形成
剤としては、融点が150℃以上、(好ましくは200
〜250℃)でかつゲル化点が使用するポリプロピ
レンの結晶開始温度以上の有機耐熱性物質であ
る。このような結晶核形成剤を配合する理由は、
ポリプロピレン粒子を縮小し、これによつて粒子
間の空〓、すなわち連通孔を狭く、かつ孔密度を
高くすることにある。一例をあげると、例えば、
1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、
1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデ
ン)ソルビトール、1・3,2・4ビス(p−エ
チルベンジリデン)ソルビトール、ビス(4−t
−ブチルフエニル)リン酸ナトリウム、安息香酸
ナトリウム、アジピン酸、タルク、カオリン等が
結晶核形成剤としてあげられる。 結晶核形成剤としては、ベンジリデンソルビト
ール、特に1・3,2・4−ビス((p−エチル
ベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4ビ
ス(p−メチルベンジリデン)ソルビトールが血
液中への溶出が少なく好ましい。 ポリプロピレンと前記結晶核形成剤との配合割
合は、ポリプロピレン100重量部に対して結晶核
形成剤が0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜1.0重量
部である。 このようにして調製された原料配合物をさらに
単軸押出機の押出機を用いて、例えば160〜250
℃、好ましくは180〜220℃の温度で溶融して混練
し、必要ならば定量性の高いギアポンプを用い
て、紡糸装置の環状孔からガス雰囲気中に吐出さ
せて、中空状物を形成させる。なお前記環状孔の
内部中央部には、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、ア
ルゴン、空気等のガスを自吸させてもよいし、必
要であればこれらのガスを強制的に導入してもよ
い。続いて環状孔から吐出させた中空状物を落下
させ、ついで冷却槽内の冷却固化液と接触させ
る。中空状物の落下距離は5〜1000mmが好まし
く、特に10〜500mmが好ましい。すなわち落下距
離が5mm未満の場合には、脈動を生じて冷却固化
液に前記中空状物が侵入する際に潰れることがあ
るからである。この冷却槽内で前記中空状物は未
だ十分に固化しておらず、しかも中央部は気体で
であるために外力により変形しやすいので、第1
図に示すように、例えば冷却槽18の底部に貫通
して下方に向つて設けられた冷却固化液流通管1
9内に前記固化液17を流下させ、その流れに沿
つて前記中空状物を並流接触させることにより前
記中空状物を強制的に移動させ、かつ外力(流体
圧等)により中空状の変形は防止できる。このと
きの冷却固化液の流速は自然流下で充分である。
またこのときの冷却温度は10〜90℃、好ましくは
20〜75℃である。すなわち、10℃未満では、冷却
固化速度が速すぎて、肉厚部の大部分が緻密層と
なるためにガス交換能が低くなつてしまい、一方
90℃を越えると中空状物の冷却固化が十分でな
く、冷却固化層内で中空状物が切れてしまう虞れ
があるためである。 しかして、本発明においては、冷却固化液とし
て、使用された有機充填剤とは相溶せずかつ比熱
容量が0.3〜0.7cal/g、より好ましくは0.3〜
0.6cal/gの液体を用いる。このような冷却固化
液としては具体的には、例えば20℃における動粘
度が2〜50cSt、より好ましくは8〜40cStのジメ
チルシリコーンオイル、メチルフエニルシリコー
ンオイルなどのシリコーンオイル類、および平均
分子量が100〜400、より好ましくは180〜330のポ
リエチレングリコール類等が挙げられる。このよ
うに冷却固化液として、使用された有機充填剤と
は相溶せずかつ比熱容量が0.3〜0.7cal/gの液体
を用いるのは以下の理由による。 すなわち、冷却固化液として前記有機充填剤を
溶解し得る液体、例えば有機充填剤として流動パ
ラフインを用いた際に、ハロゲン化炭化水素類を
用いると、冷却固化液中でポリプロピレンと前記
有機充填剤との相分離が進行している間に、前記
有機充填剤が溶解抽出されてしまい、中空状物の
内側から外側へ有機充填剤が移行し、該中空状物
が完全に冷却固化されたときには、該中空状物の
内表面近傍の前記有機充填剤の割合が低くなり、
前記有機充填剤をさらに完全に溶解抽出した後の
内表面における開孔率が低くなつてしまい、膜の
ガス交換能が低下してしまうということが推測さ
れる。さらにこの例では、該中空状物中のポリプ
ロピレンの低分子量成分までが抽出され、第20
図に示す冷却固化液流通管19の内壁に堆積付着
し、該冷却固化液流通管19の内径を小さくして
しまい、該中空状物の形状が変化してしまうとい
う欠点が生じる虞れがある。また冷却固化液とし
て前記有機充填剤と同一のものあるいはその類似
化合物、例えば有機充填剤として流動パラフイン
を用いた際に、該流動パラフインと数平均分子量
の近似する流動パラフインを用いると、中空状物
の有機充填剤(流動パラフイン)が中空状物中で
大きく移行することなく所定の孔密度をもたせる
ことができかつ比熱も大きすぎないので適切な冷
却速度でポリプロピレンの結晶化を促し安定した
形状が得られるが、その冷却過程において、有機
充填剤あるいは冷却固化液が、まだ完全に冷却固
化していない中空糸の最外表面に局在し、最外表
面のポリプロピレン組成分率が低くなり、このた
め中空糸表面の孔が大きく、かつ固相は粒子状ポ
リプロピレンがネツトワーク状に広がつた凹凸の
激しい表面性状となつてしまう。さらに冷却固化
液として、有機充填剤に対して相溶しない、不活
性な液体であつても比熱容量の大きいもの、例え
ば有機充填剤として、流動パラフインを用いた際
に、比熱容量が約1.0cal/gと大きな水を用いる
と、冷却効果が高いためにポリプロピレンが急冷
され、外表面は特に結晶化度の低い状態となる虞
れがある。このためポリプロピレンの微粒子が形
成されず、外表面の孔の小さいガス交換能の小さ
い中空糸膜がつくられてしまう虞れがある。逆に
比熱容量の小さいものでは充分な冷却効果が得ら
れず中空状物を糸として得ることができなくなる
虞れがある。 これに対して、冷却固化液として、前記有機充
填剤とは相溶せず、かつ比熱容量が0.3〜0.7cal/
gである溶液を用いれば、中空糸の外表面に有機
充填剤が局在することもなく、ポリプロピレンの
冷却速度も適当であり、外表面においても適度な
ポリプロピレン組成分率を有したまま結晶化が促
進されるので、外表面は中空糸膜内部と同様にポ
リプロピレンの微粒子が繊維軸方向に連なつてで
きたポリプロピレン塊が多数集まつて形成され、
平滑な表面性状を呈することになるためである。 冷却固化槽で冷却固化された中空状物は、変向
棒を介して抽出機等へ送られ、有機充填剤を溶解
抽出する。前記有機充填剤を溶解抽出する方法と
しては、第1図に示すようなベルトコンベア上の
中空状物に抽出液のシヤワーを降らせるシヤワー
方式に限定されるものではなく、抽出槽方式、一
度捲き取つた中空状物を別のカセに捲き戻す際
に、抽出液にカセを浸す捲き戻し方式等、中空状
物が抽出液と接触することができればいずれの方
法であつてもよく、またこれらの方法を二つ以上
組合せることも可能である。 抽出液としては、中空糸膜を構成するポリプロ
ピレンを溶解せず、かつ有機充填剤を溶解抽出で
きるものであればいずれも使用できる。一例を挙
げると、例えばメタノール、エタノール、プロパ
ノール類、ブタノール類、ペンタノール類、ヘキ
サノール類、オクタノール類、ラウリルアルコー
ル等アルコール類、1,1,2−トリクロロ−
1,2,2−トリフルオロエタン、トリクロロフ
ルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、1,
1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジフルオロ
エタン等のハロゲン化炭化水素類等があり、これ
らのうち有機充填剤に対する抽出能力の点からハ
ロゲン化炭化水素類が好ましく、特に人体に対す
る安全性の点から塩化弗化炭化水素類が好まし
い。 このようにして得られる多孔質中空糸膜には、
次いで1〜30%、好ましくは5〜30%、より好ま
しくは10〜25%の延伸処理が加えられる。すなわ
ち、延伸が1%未満であると中空糸膜の破断強度
を実質的に向上させることができず、一方、延伸
が30%を越えるものであると中空糸膜の微細構造
に影響を与え、空孔率、ガスフラツクス等に変化
をきたし、ガス交換能の低下および血漿漏出を招
く虞れがあるためである。なお、延伸の方法とし
ては、特に限定はされないが、第1図に示すよう
にドライブロールとローラーとの間、あるいはロ
ーラーとローラーとの間で張力をかけて行なうこ
とが望ましい。 このようにして上記のごとき所定の割合で延伸
を加えられた中空糸膜には、さらに熱処理が施さ
れる。熱処理は、空気、窒素、炭酸ガス等のガス
状雰囲気中で70〜130℃、好ましくは100〜120℃
の温度で5秒〜120分間、好ましくは10秒〜60分
間行なわれる。この熱処理により中空糸膜の構造
安定化がなされ、寸法安定性が高くなる。 さらに延伸処理を施された多孔質中空糸膜に
は、加熱捲縮処理が施される。加熱捲縮処理の方
法としては、上記のごとき所定の割合の捲縮を付
与できるものであれば、第1図に示すようにボビ
ン等にクロス巻きに捲き取り、熱固定を行なう方
法に限定されるものではなく、これ以外にも例え
ば、多孔質中空糸膜に熱を加えてこれを歯車のよ
うに噛合つている一対の溝付ローラーの間を通す
方法、多孔質中空糸膜に熱を加えて漏斗状の狭い
孔へジグザグ状に曲げて押込み、小さい孔の方か
ら押し出す方法などが取られ得る。 本発明の多孔質中空糸膜の製造方法において
は、該多孔質中空糸膜が熱可塑性樹脂からなるも
のであることから、所定の割合の捲縮は、多孔質
中空糸膜をいつたん加熱しこれを冷却して捲縮状
態を固定することにより付与される。しかしなが
ら、捲縮の付与における熱処理が必要以上であ
り、膜構造を変化させてしまう、例えば、捲縮を
与える前の状態より空孔率が50%以上も低下する
ものであつてはその効果は発揮できず、また熱処
理が不十分でモジユール組立て時には所望の捲縮
状態を保持していてもその後残留応力により中空
糸膜に張力がかかり捲縮が失なわれるものであつ
てもその効果は得られない。このため、例えば、
第1図に示すようにボビン等にクロス巻きに捲き
取り、熱固定を行なう方法にあつては、熱固定が
50〜100℃、より好ましくは60〜80℃で、2〜48
時間、より好ましくは6〜36時間行なわれるもの
であることが望ましい。 このようにして得られる中空糸膜は、中空糸膜
型人工肺に使用すると最適である。 従来の延伸法によつて得られた中空糸膜のガス
透過能は人工肺として使用するには必要以上に高
かつた。すなわち中空糸の内側に血液を循環する
場合、酸素添加能は血液側の境膜抵抗が大きく、
中空糸膜の抵抗は律速になつておらず、一方炭酸
ガス除去能は中空糸膜抵抗に依存するがその透過
能は過剰であり、また中空糸の外側に血液を循環
する場合、ガス交換能も中空糸膜の抵抗に依存す
るがその透過能は過剰であつた。 しかるに、本発明の中空糸膜は膜単体でのガス
透過能は、従来の延伸法のものよりも低いが、人
工肺に組込んで使用する分には充分な性能が得ら
れ、しかも抽出法であるためにピンホールによる
血液漏出も起こらず、従つてガス交換能の低下を
防ぐことができる。 さらに、冷却固化液として用いられた有機充填
剤ないしその類似化合物よりなる液体を使用して
得られた中空糸膜は、前記したように、ポリプロ
ピレンがネツトワーク状に連なり、非常に凹凸の
激しい表面をもつため、人工肺として組立てる際
に糸同志がくつつき合つて固着してしまい、組立
作業を煩雑なものとしてしまい、また接着剤が糸
の回りに入り込まずポツテイング不良となる虞れ
があつた。 しかしながら、本発明の製造方法により得られ
た中空糸膜は、外表面が中空糸の内部と同様に粒
子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連なつてでき
たポリプロピレン塊が多数集まつて形成され平滑
な性状を有することからこのような人工肺組立時
における問題は生起せず、かつ上記したように、
中空糸膜の外表面あるいは内表面のいずれに血液
を流しても血球成分に損傷を与えることなくまた
圧力損失も低いものである。 さらに本発明の製造方法により得られた中空糸
膜は、上記したよう所定の割合で延伸を加えて熱
処理を行なうために破断強度が向上し、軸方向に
おける破断強度が80g/糸以上と極めて優れたも
のであるために、実際にモジユールに組付けた場
合に中空糸の破断が生じる虞れは少なく、モジユ
ールの良品率の向上が図れるものとなる。 加えて、本発明の製造方法により得られた中空
糸膜は、上記したように所定の割合で捲縮がかけ
られているために、中空糸と中空糸との間〓が比
較的大きくかつ前後にわたつて所定限度内で変化
がつけられたものとなされるために、中空糸膜の
外側に血液を循環させ、一方、中空糸膜の内側に
酸素含有ガスを吹送した場合においても、この間
〓に空気ないしは酸素含有ガスが溜まることはほ
とんど生じず、良好な血液の流通がもたらされか
つ血液と酸素含有ガスとの中空糸膜の全面を介し
ての均一な接触がなされるために、より高いガス
交換能が得られるものとなる。 第2図は、本発明の中空糸膜型人工肺の一実施
態様として、中空糸膜の内側に血液を循環し、中
空糸膜の外側に酸素含有ガスを吹送する態様(第
1の態様)の組立状態を示すものである。すなわ
ち、該中空糸膜型人工肺51は、ハウジング52
を具備してなり、このハウジング52は筒状本体
53の両端部に環状の雄ネジ付き取付けカバー5
4,55が設けられ、ハウジング52内には、全
体に広がつて多数の、例えば1000〜70000本の上
記したような特性を有する多孔質中空糸膜16′
がハウジング52の長手方向に沿つて並列的に相
互に離間配置されている。そして、この多孔質中
空糸膜16′の両端部は、取付カバー54,55
内においてそれぞれの開口が閉塞されない状態で
隔壁57,58により液密に支持されている。ま
た、上記各隔壁57,58は、多孔質中空糸膜1
6′外周面と上記ハウジング52の内面とともに
ガス室59を構成し、これを閉塞し、かつ上記多
孔質中空糸膜16′の内部に形成される血液流通
間(図示しない)とガス室59を隔離するもので
ある。また一方の取付カバー54には酸素含有ガ
スを供給する酸素含有ガス導入口60が設けられ
ており、他方の取付けカバー55には酸素含有ガ
スを排出する酸素含有ガス導出口61が設けられ
ている。 上記ハウジング52の筒状本体53の内面に
は、軸方向の中央に位置して突出する絞り用拘束
部62を設けてもよい。このように中央部に絞り
拘束部62を設けることによりガス交換効率の向
上が望めるが、前記したように本発明の人工肺に
おいて用いられる多孔質中空糸膜16′には所定
の割合で捲縮がかけられているために、このよう
な絞り拘束部62を設けなくとも高いガス交換効
率が得られるものである。この拘束部62は記筒
状本体53の内面に筒状本体53と一体に形成さ
れていて、筒状本体53内に挿通される多数の多
孔質中空糸膜16′からなる中空糸束63の外周
を締め付けるようになつている。こうして、上記
中空糸束63は軸方向の中央において絞り込ま
れ、絞り部64を形成している。従つて、中空糸
膜の充填率は軸方向に沿う各部において異なり、
中央部分において最も高くなつている。なお、各
部における望ましい充填率は次の通りである。ま
ず、第3図に示すように中央の絞り部64におけ
る充填率Aは約60〜80%、その他の筒状本体53
内では充填率Bは約30〜60%であり、中空糸束6
3の両端、つまり隔壁57,58の外面における
充填率Cは約20〜40%である。 次に、上記隔壁57,58の形成について述べ
る。前述したように隔壁57,58は、多孔質中
空糸膜16′の内部と外部を隔離するという重要
な機能を果たすものである。通常、この隔壁5
7,58は、極性の高い高分子ポツテイング材、
例えば、ポリウレタン、シリコーン、エポキシ樹
脂等をハウジング52の両端内壁面に遠心注入法
を利用して流し込み、硬化させることにより作ら
れる。さらに詳述すれば、まず、ハウジング52
の長さより長い多数の多孔質中空糸膜16′を用
意し、この両開口端を粘度の高い樹脂によつて目
止めをした後、ハウジング52の筒状本体53内
に並べて位置せしめる。この後、取付けカバー5
4,55の径以上の大きさの型カバーで、多孔質
中空糸膜16′の各両端を完全に覆つて、ハウジ
ング52の中心軸を中心にそのハウジング52を
回転させながら両端部側から高分子ポツテイング
材を流入する、流し終つて樹脂が硬化すれば、上
記型カバーを外して樹脂の外側面部を鋭利な刃物
で切断して多孔質中空糸膜16′の両開口端を表
面に露出させる。かくして隔壁57,58は形成
されることになる。 上記隔壁57,58の外面は、環状凸部を有す
る流路形成部材65,66でそれぞれ覆われてい
る。この流路形成部材65,66はそれぞれ液分
配部材67,68およびネジリング69,70よ
りなり、この液分配部材67,68の周縁部付近
に設けられた環状凸部として突条71,72の端
面を前記隔壁57,58にそれぞれ当接させ、ネ
ジリング69,70を取付けカバー54,55に
それぞれ螺合することにより固定することにより
血液の流入室73,74がそれぞれ形成されてい
る。この流路形成部材65,66にはそれぞれ血
液導入口75および血液導出口76が形成されて
いる。 この隔壁57,58と流路形成部材65,66
とにより形成される隔壁57,58の周縁部の空
〓部には、該空〓部に連通するそれぞれ少なくと
も2個の孔77,78および79,80の一方よ
り前記隔壁57,58と接触するようにシールさ
れている。あるいはまた、Oリング(図示せず)
を介してシールされることも可能である。 次に第4図に、本発明の中空糸膜型人工肺の他
の実施態様として、中空糸膜の外側に血液を循環
し、中空糸膜の内側に酸素含有ガスを吹送する態
様(第2の態様)の組立状態を示す。すなわち、
該中空糸膜型人工肺81は、ハウジング82を具
備してなり、このハウジング82は筒状本体83
の両端部に環状の取付カバー84,85が設けら
れ、ハウジング82内には、全体に広がつて多数
の、例えば1000〜70000本の上記したような特性
を有する多孔質中空糸膜16′がハウジング82
の長手方向に沿つて並列的に相互に離間配置され
ていいる。そして、この多孔質中空糸膜16′の
両端部は、取付カバー84,85内においてそれ
ぞれの開口が閉塞されない状態で隔壁87,88
によりそれぞれ液密に支持されている。また、上
記各隔壁87,88は、多孔質中空糸膜16′外
周面と上記ハウジング82の内面とともに血液室
89を構成し、これを閉塞し、かつ上記多孔質中
空糸膜16′の内部に形成される酸素含有ガス流
通空間(図示しない)と血液室89を隔離するも
のである。またハウジング82の一方には血液を
供給する血液導入口95が設けられており、ハウ
ジングの他方には血液を排出する血液導出口96
が設けられている。 上記ハウジング82の筒状本体83の内面に
は、軸方向の中央に位置して突出する絞り用拘束
部92を設けてもよい。すなわち、拘束部92は
上記筒状本体83の内面に筒状本体83と一体に
形成されていて、筒状本体83内に挿通される多
数の多孔質中空糸膜16′からなる中空糸束93
の外周を締め付けるようになつている。こうし
て、上記中空糸束93は軸方向の中央において絞
り込まれ、絞り部94を形成している。従つて、
中空糸膜の充填率は軸方向に沿う各部において異
なり、中央部分において最も高くなつている。ま
た、取付けカバー84,85にはそれぞれ酸素含
有ガス導入口90および酸素含有ガス導出口91
が形成されている。その他の部分および形成方法
等は前述の第1の態様に係わる中空糸膜型人工肺
に準ずるものであるため、説明を省略する。 (実施例) 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。 実施例 1〜4 メルトインデツクス(M.I.)が23のプロピレン
ホモポリマー100重量部に対し、流動パラフイン
(数平均分子量324)130重量部および結晶核形成
剤としてのジベンジリデンソルビトール0.5重量
部を仕込み、二軸型押出機(池貝鉄工株式会社、
PCM−30−25)により溶融混練し、押出したの
ちペレツト化した。このペレツトを第1図に示す
ような装置、すなわち単軸型押出機(笠松製作
所、WO−30)を用いて180℃で溶融し、芯径4
mm、内径6mm、外径7mm、ランド長15mmの環状紡
糸孔15より、3.6〜5.0g/minの吐出量で空気
中に吐出させ、中空状物16を落下させた。なお
落下距離は20〜30mmであつた。続いて中空状物1
6を冷却槽18内の冷却固化液17としてのポリ
エチレングリコール(Mn=200)と接触させた
のち、冷却固化液流通管19内を自然流下する冷
却固化液17と並流接触させて冷却した。なおこ
のときの冷却固化液の温度は20℃であつた。つい
で前記中空状物16を固化槽20内の冷却固化液
内に導入したのち変向棒21により変向させて80
m/minの捲速のドライブロール22aへ導き、
連続してシヤワー・コンベア方式の抽出機27に
おいて、フレオン113(1,1,2−トリクロロ−
1,2,2−トリフルオロエタン)からなる抽出
液25により前記流動パラフインを完全に抽出し
た。このようにして多孔性を付与された中空糸膜
16′はドライブロール22bにより抽出機27
から取出され熱処理装置30へ送られる間に、こ
のドライブロール22bと熱処理装置30の第1
ロール29との間で第1表に示す割合で延伸をか
けられ、さらに熱処理装置30を通る間に110℃
で20秒間の熱処理が施された。熱処理装置30を
通過した中空糸膜16′は捲取機33にて直径95
mmのボビン34にクロス巻きに捲き取られ、さら
に60℃で18時間オーブン中にて熱固定され、捲縮
をかけられた。 このようにして得られた中空糸膜について形状
(内径/肉厚)、空孔率、平均捲縮振幅、最大捲縮
振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比、捲縮率、破
断強度、ガスフラツクス、および結晶配向の指標
となる複屈折率を測定した。結果を第1表に示
す。またこのようにして得られた多孔質中空糸膜
を用いて、以下に述べるようにして前述の第1の
態様に係わる人工肺、第2の態様に係わる人工肺
ならびに第1の態様に係わる人工肺において中空
糸束の軸方向の中央において絞り込まないタイプ
(第3の態様)の人工肺モジユールを作成し、酸
素ガス添加能および炭酸ガス排除能、ならびに血
漿漏出を計測した。結果を第3表に示す。 比較例 1 比較のために延伸および捲縮処理を行わない以
外は実施例1と同様にして多孔質中空糸膜を作成
し、得られた多孔質中空糸膜について実施例1と
同様に形状(内径/肉厚)、空孔率、破断強度、
ガスフラツクス、および結晶配向の指標となる複
屈折率を測定した。結果を第1表に示す。また実
施例1と同様に第1の態様に係わる人工肺および
第2の態様に係わる人工肺を作成し、酸素ガス添
加能および炭酸ガス排除能、ならびに血漿漏出を
計測した。結果を第3表に示す。 比較例 2 比較のために延伸処理を加えない以外は実施例
1と同様にして多孔質中空糸膜を作成し、得られ
た多孔質中空糸膜について実施例1と同様に形状
(内径/肉厚)、空孔率、平均捲縮振幅、最大捲縮
振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比、捲縮率、破
断強度、ガスフラツクス、および結晶配向の指標
となる複屈折率を測定した。結果を第1表に示
す。また実施例1と同様に第1の態様に係わる人
工肺、第2の態様に係わる人工肺および第3の態
様に係わる人工肺を作成し、酸素ガス添加能およ
び炭酸ガス排除能、ならびに血漿漏出を計測し
た。結果を第3表に示す。 比較例 3〜6 比較のために捲縮処理を加えない以外は実施例
1〜4と同様にして多孔質中空糸膜を作成し、得
られた多孔質中空糸膜について実施例1〜4と同
様に形状(内径/肉厚)、空孔率、破断強度、ガ
スフラツクス、および結晶配向の指標となる複屈
折率を測定した。結果を第1表に示す。また実施
例1と同様に第1の態様に係わる人工肺および第
2の態様に係わる人工肺を作成し、酸素ガス添加
能および炭酸ガス排除能、ならびに血漿漏出を計
測した。結果を第3表に示す。 なお、これらの実施例および比較例における各
用語の定義および測定方法は次の通りである。 形状(内径/肉厚) 得られた中空糸膜を任意に10本抜きとり、鋭利
なカミソリで0.5mm程度の長さに輪切りにする。
万能投影機(ニコンプロフアイルプロジエクター
V−12)でその断面を映し出し、計測器(ニコ
ンデジタルカウンター CM−6S)でその外径
d1、内径d2を測定し、肉厚tをt=d1−d2により
算出し、10本の平均値とした。 空孔率(%) 得られた中空糸膜を約2gとり、鋭利なカミソ
リで5mm以下の長さに輪切りにする。得られた試
料を水銀ポロシメーター(カルロエルバ社65A
型)にて1000Kg/cm2まで圧力をかけ、全細孔量
(単位重さ当りの中空糸膜の細孔体積)より空孔
率を得る。 平均捲縮振幅、最大捲縮振幅/最大捲縮振幅時
捲縮半周期比 中空糸膜を万能表面形状測定器((株)小坂研究所
製:SE−3A)にて35mmの長さにわたつて表面の
凹凸を測定することによつて捲縮状態を評価した
とき、第5図に示すように1測定中の最も振幅の
大きい部分の振幅(A)を、その振幅を得たときの極
大点から極小点までの距離(B)で割つた比(A/
B)を、1ロツトにつき10回測定しその平均値を
最大捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比とし
た。また1測定中の最も振幅の大きい部分の振幅
の10回の平均値を平均捲縮振幅とした。 捲縮率 初期長25mmで、引張試験機(東洋精機(株)製:ス
トログラフT)にて中空糸膜の引張試験を行な
い、荷重のデニール当り1mgのときと、50mgのと
きの伸びの差を初期長で割つた値を百分率で表わ
した。 破断強度(g/糸) 中空糸膜を約10cmの長さに切つたものを10本用
意し、東洋精器製ストログラフTにて以下の条件
で1本づつ測定し、10本の平均値を算出した。 使用チヤツク:幅広箱チヤツク 初期長:25mm 引張速度:50mm/min 温度:23℃ ガスフラツクス 得られた中空糸膜で、有効長14cm、膜面積
0.025m2のミニモジユールを作成し、片方の端を
閉じた後、酸素で中空糸内部に1気圧の圧力をか
け、定常状態になつたときの酸素ガスの流量を流
量計(草野理化学機器製作所製、フロートメータ
ー)により読みとつた値とした。 複屈折率(Δn)(レターデーシヨン法) 得られた中空糸膜から任意に10本を取出し、中
央部を3cm切取る。さらにこのようにして得られ
た細片の一方の端部を斜めにカツトして試料とす
る。 このようにして作製した中空糸膜試料をスライ
ドグラス上に置き、浸漬液(流動パラフイン)で
試料を浸し、これを偏光顕微鏡の回転ステージ上
に置く。単色光源またはフイルターでこれを代用
し、コンペンセーターを除きクロスニコル下で試
料をステージ上で回転し、最も明るくなる位置に
固定する(最も暗くなる位置からいずれかへへ
45゜回転させる。)。ここでコンペンセーターを挿
入し、アナライザーを回転し、最暗黒になる角度
(θ)を測定し、次式よりレターデーシヨン(R)を
求め、さらに下式より中空糸膜の複屈折率を測定
し、10個の平均値をデータ値とした。 レターデーシヨン R=180−θ/180λ λ:使用波長 複屈折率 Δn=R/d d:試料厚さ(空孔率で補正を行なつたもの) 測定条件: 偏光顕微鏡 ニコンOPTIPHTO−POL 光源波長 546nm コンペンセーター セナルモン型 コンペンセータ なお、完全配向のポリプロピレンの複屈折率
Δnは0.035(文献値)である。 酸素ガス添加能、炭酸ガス排除能 (第1の態様) 中空糸膜で、有効長130mm、膜面積5.4m2の人工
肺モジユールを作成し、中空糸膜内部にウシ血液
(標準静脈血)をシングルパス(Single Path)
で6.0/minの流量で流し、中空糸膜の外側へ
純酸素を6.0/minの流量で流し、人工肺入口
および出口のウシ血液のPH、炭酸ガス分圧
(PCO2)、酸素ガス分圧(PO2)を血液ガス測定
装置(Radiometer社製、BGA3型)により測定
し、人工肺入口と人工肺出口との分圧差を算出し
た。なお標準動脈血の性状は第2表に示した。 (第2の態様) 中空糸膜で、有効長90mm、脱面積2.1m2の人工
肺モジユールを作成し、中空糸膜外部にウシ血液
(標準静脈血)をシングルパス(Single Path)
で6.0/minの流量で流し、中空糸膜の内側へ
純酸素を6.0/minの流量で流し、人工肺入口
および出口のウシ血液のPH、炭酸ガス分圧
(PCO2)、酸素ガス分圧(PO2)を血液ガス測定
装置(Radiometer社製、BGA3型)により測定
し、人工肺入口と人工肺出口との分圧差を算出し
た。なお、実施例1〜4および比較例1〜6の中
空糸膜はいずれも、その外表面が滑らかな性状を
有することからこのように血液を中空糸膜の外側
に循環させても溶血や圧力損失を高く起すことは
見られなかつた。 (第3の態様) 第1の態様に係わる人工肺において中空糸束を
軸方向の中央において絞り込まない人工肺を作成
し、同様に酸素ガス添加能、炭酸ガス排除能の測
定を行なつた。 血漿漏出 酸素ガス添加能、炭酸ガス排除能で用いたもの
と同様の人工肺モジユールを作成し、雑犬(体約
20Kg)を用いた頸静、頸動脈カニユレイシヨン
(cannulation)による部分V−Aバイパス回路に
前記人工肺モジユール(膜面積1.6m2)を組込み、
30時間体外循環を行ない、中空糸内部から漏出す
る血漿の量を測定した。また漏出が確認されなく
ても、中空糸外部の水蒸気による液滴のタンパク
質反応を調べ、微量の血漿漏れも確認した。
【表】 第2表 血液 新鮮ヘパリン加牛血 ヘマトクリツト値
35%(生理食塩水により調整) ヘモグロビン濃度 12±1g/dl 過剰塩基
0±2mEq/(重炭酸ソーダにより調整) 酸素飽和度 65±5% 炭酸ガス分圧 45±5mmHg 温度 37±2℃
【表】 (発明の効果) 以上述べたように、本発明は、多孔質ポリプロ
ピレン中空糸膜であつて、その内表面においては
固相は粒子状ポリプロピレンが一部露出しつつ密
に融和結合して形成された連続相を呈し、また膜
内部および外表面においては固相は粒子状ポリプ
ロピレンが繊維軸方向に連なつてできたポリプロ
ピレン塊が多数集まつて形成され、これらの固相
間の間〓は、3次元ネツトワーク状に連通して連
通孔を形成されてなり、かつ軸方向の破断強度が
80g/糸以上であり、また外径の35〜120%の平
均捲縮振幅および0.01〜0.1の最大捲縮振幅/最
大捲縮振幅時捲縮半周期比を有し、捲縮率が1.0
〜3.0%であることを特徴とする多孔質中空糸膜
であるから、例えば該多孔質中空糸膜を用いて人
工肺を作成した場合において、中空糸膜の破断に
よる有効膜面積の低下が生じる虞れが少なく、ま
た長期間使用に際しても血漿漏出がないにもかか
わらず、高いガス交換能を有し、さらに中空糸膜
の内側および外側のいずれに血液を循環させるタ
イプの人工肺に用いられても血球成分に損傷を与
えることがなくまた圧力損失を高めることもな
い。さらにその外表面が滑らかな性状を有するこ
とから、中空糸膜相互の固着あるいは接着剤によ
るポツテイング不良などの人工肺組立時における
問題も生起せず、極めて優れた多孔質中空糸膜で
ある。さらに加えて、この人工肺において中空糸
膜の外側に血液を循環させ、一方、中空糸膜の内
側に酸素含有ガスを吹送した場合、上記のごとき
捲縮により中空糸と中空糸との間〓が比較的大き
くかつ前後にわたつて所定限度内で変化がつけら
れたものとなされるために、この間〓に空気ない
しは酸素含有ガスが溜まることはほとんど生じ
ず、良好な血液の流通がもたらされかつ血液と酸
素含有ガスとの中空糸膜の全面を介しての均一な
接触がなされるために、高いガス交換能が得られ
るものとなる。これらの特徴は、多孔質中空糸膜
の繊維軸方向における複屈折率が0.001〜0.01で
あり、また空孔率が10〜60%、内表面の開孔率が
10〜30%、酸素ガスフラツクスが100〜1500/
min・m2・atmであり、内径が150〜300μm、肉
厚が10〜150μmであり、さらに粒子状ポリプロ
ピレンの平均粒径が0.1〜2.0μmで、内表面の平
均空孔径が0.1〜1.0μmであり、加えて軸方向の
破断強度が85g/糸以上であり、また外径の50〜
100%の平均捲縮振幅および0.02〜0.05の最大捲
縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比を有し、捲
縮率が2.0〜3.0%であるとより優れたものとな
る。 また、本発明は、ポリプロピレン、該ポリプロ
ピレン溶融下でポリプロピレンに均一に分散し
得、かつ使用する抽出液に対して易溶性である有
機充填剤、および結晶核形成剤を混練し、このよ
うにして得られる混練物を溶融状態で環状紡糸孔
から中空状に吐出させ、該中空状物を前記有機充
填剤とは相溶せずかつ比熱容量が0.3〜0.7cal/g
である冷却固化液と接触させて冷却固化し、つい
で冷却固化した中空状物を、ポリプロピレンを溶
融しない抽出液と接触させて前記有機充填剤を抽
出除去し、このようにして得られた中空糸膜に1
〜30%の延伸を加えた後熱処理を行ない、さらに
加熱捲縮し、外径の35〜120%の平均捲縮振幅お
よび0.01〜0.1の最大捲縮振幅/最大捲縮振幅時
捲縮半周期比を有する捲縮率1.0〜3.0%のものと
することを特徴とする多孔質中空糸膜の製造方法
であるから、溶融下で均一に分散した紡糸原液を
冷却固化させる過程において、外表面部に有機充
填剤を局在させることなく適当な冷却速度で原液
のポリプロピレンと有機充填剤を相分離させ適度
に結晶化して生成した粒子状ポリプロピレン間〓
に多くの微小孔を形成させることができかつ外表
面においても中空糸の肉厚部と同様に粒子状ポリ
プロピレンが繊維軸方向に並んだ固相を有し平滑
な表面性状を呈するものとすることができ、さら
に1〜30%延伸して熱処理を行なう工程におい
て、このようにして形成された多孔質中空糸膜の
優れた細孔構造、表面性状、ガス交換効率等を損
なうことなく多孔質中空糸膜の破断強度を向上さ
せることができ、さらに加熱捲縮工程において上
記のごとき所定の割合の捲縮をつけることによつ
て、ガス交換における気液接触効率を向上させる
ことができ、上記のごとき優れた性能を有する中
空糸膜を製造することができる。また本発明の製
造方法において、延伸の割合が、5〜30%、さら
に好ましくは10〜25%であり、また熱処理が70〜
130℃で5秒〜120分間行なわれるものであると破
断強度ならびにその他の特性においても極めて優
れた構造の安定した多孔質膜となり、また捲縮
が、得られた中空糸膜をボビンにクロス捲きに捲
き取り熱固定を行なうことによりなされるもので
あり、さらにその熱固定が50〜100℃で2〜48時
間行なわれるものであるとより容易に気液接触効
率の高い形状のかつ他の特性においても極めて優
れた構造の安定した多孔質膜を得ることができる
ものとなる。加えて、冷却固化液として、シリコ
ーンオイルまたはポリエチレングリコール、より
好ましくは2〜50cStの粘度を有するシリコーン
オイルまたは平均分子量100〜400のポリエチレン
グリコールを用い、有機充填剤として流動パラフ
インを用い、その配合量がポリプロピレン100重
量部に対し35〜170重量部であり、さらに結晶核
形成剤として融点が150℃以上でかつゲル化点が
ポリプロピレンの結晶開始温度以上の有機耐熱性
物質を用い、その配合量がポリプロピレン100重
量部に対して0.1〜5重量部である場合には、よ
り優れた性能を有する多孔質中空糸膜が得られる
ものとなる。 さらにまた本発明は、中空糸膜をガス交換膜と
して備えてなる人工肺において、該ガス交換膜
は、多孔質ポリプロピレン中空糸膜であつて、そ
の内表面においては、固相は粒子状ポリプロピレ
ンが一部露出しつつ融和結合して形成された連続
相を呈し、また膜内部および外表面においては固
相は粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連なつ
てできたポリプロピレン塊が多数集まつて形成さ
れ、これらの固相間の間〓は、3次元ネツトワー
ク状に連通して連通孔を形成してなり、かつ軸方
向の破断強度が80g/糸以上であり、また外径の
35〜120%の平均捲縮振幅および0.01〜0.1の最大
捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比を有し、
捲縮率が1.0〜3.0%であることを特徴とする人工
肺であるから、中空糸膜の破断による有効膜面積
の低下の生じる虞れはなく、また中空糸膜の外側
に血液を循環し、中空糸膜の内側に酸素含有ガス
を吹送する場合において、中空糸と中空糸との間
〓に酸素含有ガスないしは空気が溜まる虞れがな
く、効率よくガス交換が行なえるものであり、一
方、中空糸膜の内側に血液を循環し、中空糸膜の
外側に酸素含有ガスを吹送する場合においても効
率よくガス交換が行なえるとともに、この態様の
場合、特に中空糸束の軸方向の中央において絞り
込むことをしなくても、同様なガス交換率を得る
ことができる。すなわち、中空糸膜の内側に血液
を流すタイプにおいては、ガス交換中に、人工肺
内の酸素含有ガス中に含まれる水蒸気が人工肺の
ハウジング内面に結露するため、中空糸表面が水
滴で濡れてハウジング内面に密着することがあ
る。このため、中空糸束とハウジング内面とは所
定の間隔をおいて中空糸束とハウジング内面が密
着しにくいようにしており、一方、中空糸束の軸
方向すべてにわたり間隔をあけたままにしておく
と、その部分だけガスが流れてしまくことになる
ため、中央部のみ絞り部を設けてチヤンネリング
が起きにくいようにしている。ところが、本発明
に係わる捲縮を施した中空糸膜を用いると、ハウ
ジングの内面との間隔を大きくしなくても、中空
糸膜自体が捲縮しているために、ハウジング内面
に結露が生じたとしても中空糸膜とハウジング内
面が密着することがなく、特に絞り部を設けなく
てもガス交換効率が落ちることがないためであ
る。さらに上記のごときいずれのタイプの人工肺
においても、長時間の体外循環に際しても酸素添
加能、炭酸ガス排出能が劣ることなく、血液ない
しは血漿の漏出も生起せず、さらに血球成分に損
傷を与えたり高い圧力損失を示すこともなく極め
て優れた人工肺であるといえる。本発明の人工肺
は代表的に30時間の体外循環において血漿の漏出
およびガス交換能の低下を生じないものである。
加えて用いられる中空糸膜の繊維軸方向における
複屈折率が0.001〜0.01であり、中空糸膜の空孔
率が10〜60%、内表面の開孔率が10〜30%、酸素
ガスフラツクスが10〜1500/min・m2・atmで
あり、内径が150〜300μm、肉厚が10〜150μmで
あり、さらに粒子状ポリプロピレンの平均粒径が
0.1〜2.0μmであり、また内表面の平均空孔径が
0.1〜1.0μmであり、加えて中空糸膜の軸方向の
破断強度が85g/糸以上であり、また中空糸膜が
外径の50〜100%の平均捲縮振幅および0.02〜
0.05の最大捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期
比を有し、捲縮率が2.0〜3.0%である捲縮をかけ
られているものであると得られる人工肺の性能は
より一段と向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による多孔質中空糸膜の製造
方法において用いられ得る装置の概略断面図、第
2図は本発明による中空糸膜人工肺の一実施態様
を示す半断面図、第3図は同実施態様における中
空糸膜充填率に関する各部位を示す断面図、第4
図は本発明による中空糸膜人工肺の他の実施態様
を示す半断面図であり、また第5図は最大捲縮振
幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比(A/B)の測
定位置を示す図面である。 11…原料配合物、12…ホツパー、13…単
軸押出機、14…紡糸装置、15…口金装置、1
6…中空状物、16′…中空糸膜、17…冷却固
化液、18…冷却槽、19…冷却固化液流通管、
20…固化槽、21…変向棒、22a,22b,
22c…ドライブロール、23…循環ライン、2
4…循環ポンプ、25…抽出機、26…ベルトコ
ンベア、27…シヤワー・コンベア式抽出機、2
8…ヒーター、29…熱処理装置第1ロール、3
0…熱処理装置、31…捲取機、32…ボビン、
51,81…中空糸膜型人工肺、52,82…ハ
ウジング、53,83…筒状本体、57,58,
87,88…隔壁、59,89…ガス室、60,
90…酸素含有ガス導入口、61,91…酸素含
有ガス導出口、63,93…中空糸束、75,9
5…血液導入口、76,96…血液導出口、89
…血液室。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 多孔質ポリプロピレン中空糸膜であつて、そ
    の内表面においては固相は粒子状ポリプロピレン
    が一部露出しつつ密に融和結合して形成された連
    続相を呈し、また膜内部および外表面においては
    固相は粒子状ポリプロピレンが繊維軸方向に連な
    つてできたポリプロピレン塊が多数集まつて形成
    され、これらの固相間の間〓は、3次元ネツトワ
    ーク状に連通して連通孔を形成してなり、かつ軸
    方向の破断強度が80g/糸以上であり、また外径
    の35〜120%の平均捲縮振幅および0.01〜0.1の最
    大捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比を有
    し、捲縮率が1.0〜3.0%であることを特徴とする
    多孔質中空糸膜。 2 多孔質中空糸膜の繊維軸方向における複屈折
    率が0.001〜0.01である請求項1に記載の多孔質
    中空糸膜。 3 粒子状ポリプロピレンの平均粒径が0.1〜
    2.0μmで、内表面の平均空孔径が0.1〜1.0μmであ
    る請求項1または2に記載の多孔質中空糸膜。 4 軸方向の破断強度が85g/糸以上であり、ま
    た外径の50〜100%の平均捲縮振幅および0.02〜
    0.05の最大捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期
    比を有し、捲縮率が2.0〜3.0%である請求項1〜
    3のいずれかに記載の多孔質中空糸膜。 5 ポリプロピレン、該ポリプロピレン溶融下で
    ポリプロピレンに均一に分散し得、かつ使用する
    抽出液に対して易溶性である有機充填剤、および
    結晶核形成剤を混練し、このようにして得られる
    混練物を溶融状態で環状紡糸孔から中空状に吐出
    させ、該中空状物を前記有機充填剤とは相溶せず
    かつ比熱容量が0.3〜0.7cal/gである冷却固化液
    と接触させて冷却固化し、ついで冷却固化した中
    空状物を、ポリプロピレンを溶解しない抽出液と
    接触させて前記有機充填剤を抽出除去し、このよ
    うにして得られた中空糸膜に1〜30%の延伸を加
    えた後熱処理を行ない、さらに加熱捲縮し、外径
    の35〜120%の平均捲縮振幅および0.01〜0.1の最
    大捲縮振幅/最大捲縮振幅時捲縮半周期比を有す
    る捲縮率1.0〜3.0%のものとすることを特徴とす
    る多孔質中空糸膜の製造方法。 6 10〜25%の延伸を加えるものである請求項5
    に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。 7 捲縮は、得られた中空糸膜をボビンにクロス
    捲きに捲き取り熱固定を行なうことによりなされ
    るものである請求項5または6に記載の多孔質中
    空糸膜の製造方法。 8 中空糸膜をガス交換膜として備えてなる人工
    肺において、該ガス交換膜は、請求項1〜4のい
    ずれかに記載の多孔質ポリプロピレン中空糸膜で
    あることを特徴とする人工肺。
JP5384388A 1988-03-09 1988-03-09 多孔質中空糸膜、その製造方法およびその中空糸膜を用いた人工肺 Granted JPH01228506A (ja)

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JP5384388A JPH01228506A (ja) 1988-03-09 1988-03-09 多孔質中空糸膜、その製造方法およびその中空糸膜を用いた人工肺

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