JPH0541872Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、合成樹脂板状発泡体と合板との積層
体よりなるコンクリート型枠兼用複合断熱板に関
するものである。

従来の技術 合成樹脂の板状発泡体たとえば発泡ポリスチレ
ンの厚板と合板とを積層してなる複合板材は、発
泡体の断熱性と合板の剛性とを併せ持つ便利な材
料であるため、コンクリート型枠兼用複合断熱板
（以下、型枠兼用複合断熱板という）として広く
利用されている。

型枠兼用複合断熱板は、コンクリート型枠とし
て使うときは発泡体層側表面を内側（コンクリー
ト打ち込み部分）に向けて使用する。反対側の枠
板は通常の合板等を使用する。コンクリートが硬
化し型枠を解体するとき、型枠兼用複合断熱板だ
けは剥がさず、形成されたコンクリート壁と一体
化させると、合板／発泡体厚板／コンクリート壁
の３層からなる断熱性壁を一挙に形成させること
ができるから、特に寒冷地における建築にきわめ
て便利なものである。

しかしながら、この板は軟質の発泡体と木質合
板との積層体であるから、これを用いて型枠を組
み立てる場合には端部の処理に独特の工夫が必要
である。特に直角のコーナー部を形成する場合の
処理は複雑にならざるを得ない。すなわち、従来
はたとえば第６図および第７図に示したように、
発泡体部分１または合板部分２を切除した端部を
組合せて固定するのが普通であつた。このような
端部の加工を施工現場で行うことはきわめて煩雑
で能率が悪く、しかも精度の良い加工を行うこと
も難しいから、仕上りが外観や強度において不揃
いになり、セメントモルタルの漏れを招き易いと
いつた問題があつた。

考案が解決しようとする問題点 本考案は、施工現場におけるコーナー部形成の
ための加工を必要としない型枠兼用複合断熱板を
提供することにより、従来の型枠兼用複合断熱板
の使用にともなう上記問題点を解決しようとする
ものである。

問題点を解決するための手段 上記の目的を達成することに成功した本考案の
型枠兼用複合断熱板は、合成樹脂板状発泡体の表
面に合板（表面化粧合板を含む）を接合してなる
型枠兼用複合断熱板において、該型枠兼用複合断
熱板の少なくとも一辺の端面が、板面に垂直な面
から45°傾斜していることを特徴とするものであ
る。

第１図〜第３図は、いずれも本考案の型枠兼用
複合断熱板の実施例を示す断面図である。各図に
おいて共通の符号１を付した合成樹脂板状発泡体
と、同じく共通の符号２を付した合板とは、接着
剤により強固に接着されている。

通常の裁断仕上げにより形成された板の端面は
いうまでもなく板面に垂直であるが、第１図〜第
３図の諸例では、端面３ａ〜３′ｄが、板面に垂
直な面から45°傾斜している。なお、図面から明
らかなように、端面３ａ，３ｂは発泡体１の部分
にくさび形先端４ａ，４ｂが形成されるように傾
斜しており、端面３ｃ，３ｄは合板２の部分にく
さび形先端４ｃ，４ｄが形成されるように傾斜し
ている。このように、本考案における傾斜した端
面は、その傾斜の方向、および板の四辺の端面の
いずれをそれにするかの二点において、特に制限
はない。

作 用 本考案の型枠兼用複合断熱板を用いてコンクリ
ート型枠のコーナー部を構成するには、第４図に
示した例のように、傾斜方向が同一の端面同士を
突合わせて接合または位置固定を行う。発泡体１
側表面は、コンクリート打ち込み部側に配置す
る。

広い平坦面を構成する場合には、板面に垂直な
端面同士の突合せ接合によつて行うが、第３図の
例のように平行な二辺が互に平行な傾斜端面を持
つものを用い、第５図に示したように、傾斜方向
が反対の端面同士の突合せ接合を行なつてもよ
い。

なお本考案の型枠兼用複合断熱板を柱材等に固
定するのに特殊な方法を採用する必要はなく、従
来のこの種複合板や一般的な合板をコンクリート
型枠に用いる場合に採用される固定手段を適宜採
用することができる。

考案の効果 本考案の型枠兼用複合断熱板は、上述のように
工場においてあらかじめ精度よく形成された傾斜
端面を有するものであるから、これを突合せ接合
するだけで、断熱材層を有する建築物のコーナー
部およびそのための型枠を構成することができ
る。

コンクリート型枠を組立てる作業現場は木造建
築現場とは異なるので型枠用パネルは単純な切断
程度の加工で使えるものであることが望ましく、
コーナー部形成のための端部加工が煩雑な従来の
型枠兼用複合断熱材は普及が困難であつたが、本
考案により、施工現場におけるコーナー部形成の
ための端部加工は全く不要になり、きわめて能率
よく精度の高い施工が可能になる。またそれによ
り、従来よりも強度と仕上り外観においてすぐれ
た断熱壁構築が可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図：本考案の一実施例を示し、Ａ図は平面
図、Ｂ図は正面図。第２図：本考案の別の実施例
を示し、Ａ図は平面図、Ｂは正面図。第３図：本
考案の更に別の実施例を示し、Ａ図は平面図、Ｂ
は正面図。第４図：第１図〜第３図の諸例を組合
せて建物のコーナー部を構成する施工例の略平面
図。第５図：第３図の例を用いて平坦壁面を構成
する施工例の略平面図。第６図、第７図：従来の
型枠兼用複合断熱板によるコーナー部施工例の略
平面図。 １……合成樹脂板状発泡体、２……合板、３…
…傾斜した端面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂板状発泡体の表面に合板を接合してな
   る型枠兼用複合断熱板において、該型枠兼用複合
   断熱板の少なくとも一辺の端面が、板面に垂直な
   面から45°傾斜していることを特徴とするコンク
   リート型枠兼用複合断熱板。