JPH0541854Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、表皮一体成形シートの発泡成形金
型に関する。

［従来の技術］ 表皮一体成形シートは、パツドの成形時におい
て、表皮を一体に貼着し、表皮のパツドに対する
固定の手間を省力化した構造のシートである。

一体化の方法としては、発泡成形金型の製品表
面側を構成する下型の型面に、予め縫製または高
周波ウエルダ手段により製品外観形状に形成され
た袋状の表皮をセツトし、次いで下型の開口部に
上型を係合し、両型間に表皮の周縁をピンチした
状態で内部のキヤビテイ部分に発泡ウレタンを注
入充填し、発泡させることで型形状に応じた曲面
の発泡パツドとその表面の表皮とを一体に成形で
きる。

なお、表皮の周縁部のみをピンチしただけで
は、発泡圧力の方向性、発泡樹脂の偏在などによ
つて表皮がずれる惧れがあるため、通常は下型の
型面に適宜間隔をおいて両面粘着テープを張り付
けておき、これに表皮の各部位を押し付けること
で、型面に対する仮止めを行つている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、前記発泡性ウレタンの発泡およ
び硬化反応は、発泡熱を伴うため、成形されたパ
ツドと金型との間に温度差が生じて金型の内面に
水蒸気が結露し易く、この結果、両面粘着テープ
の表面に水蒸気が付着し、粘着性を損ねる原因と
なりやすかつた。

したがつて、従来では一成形サイクル毎に型面
の清掃を行い、またテープの張り替え作業を頻繁
に行う必要があり、成形サイクルの短縮を図る上
でのネツクとなつていた。

この考案は以上の背景に基づきなされたもので
あり、水分発生による拭き取り作業やテープの張
り替え作業の必要のない表皮一体成形シートの発
泡成形金型を提供することを目的とするものであ
る。

［課題を解決するための手段］ 前記目的を達成するため、この考案は、シート
の表面形状に形成された下型と、この下型の上面
開口に係合する上型とからなり、前記下型の型面
に予め表皮をセツトし、その背面に発泡性樹脂を
注入することによつて表皮の背面に形成されたキ
ヤビテイ内部で発泡性樹脂を発泡させ、型面形状
に形成された表皮の背面に発泡パツドを一体に成
形するようにした表皮一体成形シートの発泡成形
金型であつて、 前記下型は、その型面に開口した多数の通孔を
有する内部中空の金属素材からなり、この中空内
部に着脱可能に乾燥剤を充填するようにした。

［作用］ 以上の構成によれば、金型の成形面に結露した
水分は、下型の表面に開口した通孔を通じて中空
内部に充填された乾燥剤に吸着される。したがつ
て、金型の成形面は常時乾燥状態に保たれる。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。

第１図はこの考案を適用した発泡成形金型を示
すものであつて、図中１は下型、２は下型１の上
部開口を閉止する上型、３は下型１を保持固定す
るための設置用治具であり、上型２はこの治具３
の表面にシール４を介して気密状態にフランジ接
合され、下型１との間に所定の空間形状のキヤビ
テイを形成する。

前記下型１は、ほぼシートの外形状に形成され
たアルミニウム製の外殻体５と、外殻体５の型
面、すなわち内面に所定の空隙ｄを保つてライニ
ングされたパンチングメタル６とからなつてい
る。

パンチングメタル６としては、鉄板またはステ
ンレス板などの高い剛性を有している板に無数の
小孔を形成したものであつて、水分透過性があ
り、しかも後述する乾燥剤の粒度より小さな径の
孔径に設定されている。

そして、前記外殻体５の内側には第２図に拡大
して示すように、多数の支柱７が突設され、前記
パンチングメタル６の背面を空隙を設けた状態で
支持している。

更に、前記外殻体５の底部には蓋８が開閉可能
に設けられ、ここら乾燥剤９の充填および取り出
しが出来るようになつている。

乾燥剤９としては、例えばシリカゲルなど硬質
の粒状であつて、繰り返し再利用でき、かつ数成
形サイクルに亘つて交換することなく使用できる
乾燥剤が好ましい。

次に以上の構成の発泡成形金型を用いた表皮一
体成形シートの成形手順を説明する。

成形準備段階でまず、前記下型１を裏返した状
態で蓋８を開け、乾燥剤９を下型１の中空内部に
充填する。しかるのち蓋８を閉鎖し、下型１を治
具３上に設置固定し、次いで、第３図に示すよう
に、型面であるパンチングメタル６の表面に適宜
間隔をおいて両面粘着テープ１０を貼着すれば、
成形待機状態となる。

この状態で、表皮１１を型面形状に沿つて馴染
ませつつ前記粘着テープ１０を介してパンチング
メタル６の表面に固定した後、上型２を下型１に
係合すれば、前記表皮１１の周縁部は第１図のご
とく両者間に狭持されて固定状態となり、成形準
備を完了する。

準備完了後、図示しない注入ヘツドを介して発
泡性ウレタン原液を所定量注入充填すれば、表皮
１１の背面に形成された閉空間、すなわちキヤビ
テイ内で発泡しつつ硬化する。

そして、十分なキユアリング後に上型２を型開
きし、脱型すれば、第４図のごとく前記表皮１１
の背部に発泡パツド１２を一体化した製品を得ら
れるのである。

以上の発泡硬化反応の場合には、発泡熱を伴う
ため、成形パツド１２と金型１，２との間に温度
差が生ずる。つまり、成形パツド１２よりも金型
１，２の温度が低くなり、この温度差によつて下
型１の成形面に水蒸気が結露するが、この水分は
パンチングメタル６の小孔を伝つて中空内部に充
填されている乾燥剤に吸着される。

また、型内外の温度差によつて結露した水分も
同じく乾燥剤によつて吸着される。したがつて、
金型の成形面は常時乾燥状態に保たれるのであ
る。

なお、型面側にライニングされる多孔質部材と
しては、前記パンチングメタルだけではなく、例
えばメツシユ状の部材でも良い。

［考案の効果］ 以上実施例によつて詳細に説明したように、こ
の考案による表皮一体成形シートの発泡成形金型
にあつては、金型成形面に結露した水分は、下型
の表面に開口した通孔を通じて中空内部に充填さ
れた乾燥剤に吸着される。

したがつて、この考案によれば、金型成形面が
水分で濡れることがなく、一成形ごとに拭き取り
作業を行う必要がない。また水分により、両面粘
着テープの接着性を損なうことがなく、繰返し使
用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による表皮一体成形シートの
発泡成形金型を示す断面図、第２図は第１図のＡ
部拡大断面図、第３図は成形待機状態における粘
着テープ設置状態を示す部分断面図、第４図は得
られた製品を示す断面図である。 １……下型、２……上型、５……外殻体、６…
…パンチナグメタル、９……乾燥剤、１１……表
皮、１２……発泡パッド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シートの表面形状に形成された下型と、この下
   型の上面開口に係合する上型とからなり、前記下
   型の型面に予め表皮をセツトし、その背面に発泡
   性樹脂を注入することによつて表皮の背面に形成
   されたキヤビテイ内部で発泡性樹脂を発泡され、
   型面形状に形成された表皮の背面に発泡パツドを
   一体に成形するようにした表皮一体成形シートの
   発泡成形金型であつて、 前記下型は、その型面に開口した多数の通孔を
   有する内部中空の金属素材からなり、この中空内
   部に着脱可能に乾燥剤を充填するようにしたこと
   を特徴とする表皮一体成形シートの発泡成形金
   型。