JPH0541681Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は湾曲操作ワイヤの先端側の固定機構を
設けた内視鏡に関する。

［従来の技術］ 近年、体腔内に挿入部を挿入することにより、
病変部、ポリープ等を観察したり、必要に応じて
処置具を用いて治療処置のできる医療用内視鏡が
広く用いられる様になつた。

また、工業用分野においても、上下水道、プラ
ントの配管あるいはエンジン等の内部に挿入して
傷、クラツク、さび、変色等の観察を行なうこと
のできる工業用内視鏡が広く用いられる。

ところで、従来の内視鏡では実公昭60−4124号
に開示されている様に、挿入部の先端側部材に、
湾曲操作ワイヤに形成した折返し部を巻き掛けて
湾曲操作ワイヤを固定していた。

また、特開昭62−227313号、62−227312号、62
−186836号に開示される様に、湾曲操作ワイヤの
先端にストツパとか頭部を形成したり、あるいは
端部を屈曲させて、突出部を形成し、湾曲管部の
節輪等の環状体で係止できるようにしていた。

［考案が解決しようとする問題点］ 内視鏡の光学的性能を向上するために、ライト
ガイドのフアイバ（繊維）本数を多くすることが
考えられるが、この場合上記特開昭62−186836
号、62−227312号、62−227313号に開示されてい
る様に、ライトガイドの先端の断面形状が円形の
ものを数個並べるよりも、断面形状を異形（円形
でない形状）に成形したものを配設する方が、ラ
イトガイドの繊維本数を多くでき、光学性能を向
上できる。

ところが、先端部を異形に成形したライトガイ
ドを挿入部先端構成部材に固定するためには、成
形したライトガイドの断面の形状と同じ形状の穴
を先端構成部材に設け、その穴にライトガイドを
挿入し、接着しなければならないが、挿入部の外
径が小さくなると、ライトガイドの先端成形部も
サイズが小さくなり、穴の大きさも小さくなる。

上記異形の穴が小さく、加工する深さが深い程
ドリルとかエンドミルを用いて加工することが困
難になり、特殊な加工技術が必要になる。

しかし、特殊な加工技術を用いれば、その分だ
け部品加工に要する費用が高くなり、これによつ
て製品そのものの値段を上げる欠点が生じる。ま
た、ばらつきを小さくすることが難しくなる。

これを避けるために、第１３図及びそのＡ−Ａ
線断面を示す第１４図に示すように、先端構成部
材を形成するレンズ枠１に異形の穴ではなく、ラ
イトガイド２の先端形状の一部と嵌合する切欠き
部３を設け、この切欠き部３にライトガイド２の
先端部を嵌合させ、周囲を接着剤で固定する様に
した先行例がある。

この先行例のように先端構成部材１の後端側の
（湾曲管部との）嵌合部４に切欠き部３を設ける
と、実公昭60−41204号のように湾曲操作ワイヤ
を巻き掛けたり、ワイヤの先端に突出部を設ける
方法では湾曲操作ワイヤを手元側に引き出す為の
引出し溝を切欠き部３を設けた部分には形成でき
ず、切欠き部３以外の部分に引出し溝を形成しな
ければならない。

一般的に、側視型内視鏡の湾曲方向は挿入部先
端部の観察光軸の出射面側とその反対側方向に湾
曲するようになつている。第１３図又は第１４図
においてはライトガイド２の下方位置にはイメー
ジガイド５が配設され、このイメージガイド５の
入射端面には前部対物レンズ６Ａ、左右に像が反
転するのを防ぐダハプリズム６Ｂ、後部対物レン
ズ６Ｃを経て側方（図では上方）の対象物が結像
される。又、ライトガイド２の先端面は照明用プ
リズム７が取付けられ、このプリズム７で反射さ
れて照明光が出射される。

上記後部対物レンズ６Ｃ等はレンズ枠１に取付
けられ、また、このレンズ枠１は先端カバー８に
固着されている。この図に示す先行例では、ライ
トガイド２の上側は切欠いてあるので、ワイヤの
ための引出し溝を形成できず、従つて、湾曲操作
ワイヤをライトガイド２の上側に配設できず、上
記の湾曲方向に湾曲をかけることができなくな
り、内視鏡観察をする上で充分な観察範囲あるい
は操作性を得られなくなるという欠点がある。

本考案は上述した点にかんがみてなされたもの
で、外周の一部を切欠いてライトガイドの先端部
の固定機構を形成した場合にも、切欠きが形成さ
れた方位においてワイヤを確実に固定することの
できる内視鏡を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段及び作用］ 本考案では異形化されたライトガイドの先端を
固定するための固定部材に切欠き部を設けた場
合、この固定部材にワイヤの巻掛けのためにリン
グ状等のワイヤ巻掛け部材を設け、ワイヤの先端
の折り返し部を巻掛けてワイヤ先端の固定手段を
形成することにより、湾曲管部を任意の方向に湾
曲できるようにしている。

［実施例］ 以下、図面を参照して本考案を具体的に説明す
る。

第１図ないし第１１図は本考案の第１実施例に
係り、第１図は第１実施例の先端側の構造を示す
断面図、第２図は第１実施例の内視鏡の外観を示
す側面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ線断面図、第
４図は第１図のＣ−Ｃ線断面図、第５図は第１図
のＤ−Ｄ線断面図、第６図は湾曲管部の構造を示
す断面図、第７図は湾曲管部の先端部分を示す側
面図、第８図は第６図のＥ−Ｅ線断面図、第９図
ないし第１１図はワイヤ巻掛け部材を示し、第９
図は断面図、第１０図は背面図、第１１図は側面
図である。

第２図に示すように第１実施例の内視鏡１１
は、細長の挿入部１２と、この挿入部１２の後端
に連設した操作部１３と、この操作部１３の後端
に設けた接眼部１４と、前記操作部１３の側部か
ら外部に延出されたライトガイドケーブル１５と
から構成されている。

上記ライトガイドケーブル１５の末端には、図
示しない光源装置に接続できるコネクタ１６が取
付けられている。

上記挿入部１２は、軟性の部材で形成された軟
性部１７と、この軟性部１７の前端に形成された
湾曲可能な湾曲管部１８と、この湾曲管部１８の
前端に形成した硬性の先端構成部１９とから構成
される。この湾曲管部１８は操作部１３に設けた
アングルノブ２１を回動することにより、上下の
２方向に湾曲できる。

上記先端構成部１９及び湾曲管部１８は第１図
に示す様な構造になつている。

湾曲管部１８は、（関節）駒２３，２３，……，
２３を回動自在に縦列接続して形成され、該駒２
３，２３，……，２３の内側にほぼ180°をなす角
度位置に１対の湾曲操作ワイヤ２４，２４が挿通
してある。

これらワイヤ２４，２４は駒２３，……，２３
の一部を切欠いて内側に突出させて形成したガイ
ドリング２５，……，２５内を挿通させてある。
これら１対のワイヤ２４，２４の後端は上記アン
グルノブ２１の内側の湾曲操作機構（図示せず）
に連結させてある。

上記湾曲管部１８に隣接して形成される先端構
成部１９では、レンズ枠２６内に後部対物レンズ
２７が取付けられ、この後部対物レンズ２７の結
像面に観察像伝達手段としてのイメージガイド２
８の入射端がイメージガイド口金２９を介して接
着固定されている。

上記イメージガイド２８は、湾曲管部１８及び
軟性部１７、操作部１３内を通り、接眼部１４に
その出射端部が固着されている。

上記後部対物レンズ２７の入射面側には、左右
の像の反転を生じないダハプリズム３１が接着剤
で固定され、このダハプリズム３１の入射面側に
は先端対物レンズ３２がレンズ枠２６を覆うよう
に接着固定された先端カバー３３に接着固定され
ている。この接着固定は、後部対物レンズ２７の
光軸とダハプリムズ３１を介した先端対物レンズ
３２の光軸とが一致するようにして固定される。

上記レンズ枠２６及び先端カバー３３は、後部
対物レンズ２７が取付けられる部分の上部側を切
欠いて、照明プリズム固定空間３４を形成し、こ
の空間３４に照明プリズム３５を収納し、照明光
伝達手段としてのライトガイド３６の出射端面
（先端面）３７に対向する面を衝き当て、接着剤
で固定している。このライトガイド３６は、先端
側を断面が円形状から第３図に示す如く略三日月
形状に異形化された状態で、その先端面３６Ａを
照明プリズム３５の後面に当ててその接触面を接
着し、またライトガイド３６の先端部外表面をレ
ンズ枠２６に形成した切欠き凹部３７に嵌合収納
し、ライトガイド３６の周囲を接着固定してい
る。この場合、ライトガイド３６の先端部近くに
は、接着剤等の充填剤流入防止板３８がレンズ枠
２６に貼着してあり、この防止板３８より内側に
接着剤等が流入するのを防止している。

上記ライトガイド３６は、湾曲管部１８、軟性
部１７及び操作部１３から延出されたライトガイ
ドケーブル１５内を挿通され、コネクタ１６にそ
の入射端が固定される。

ところで、上記イメージガイド２８とライトガ
イド３６とは、先端近くでは、第４図に示すよう
に、イメージガイド２８はライトガイド３６とは
別体化された口金２９で被覆されているが、先端
側の固定部分より離れた位置、例えば湾曲管部１
８での断面図である第５図に示すようにそれぞれ
別々の外装手段は施されておらず、それぞれのフ
アイバ（繊維）がむき出しの状態であり、これら
イメージガイド２８、ライトガイド３６を構成す
るフアイバが束ねられて伸縮性のある１つの外装
被覆３９で覆われていることが特徴の１つとなつ
ている。

上記イメージガイド２８及びライトガイド３６
を覆う共通の被覆手段となる外装被覆３９は、湾
曲管部１８と、軟性部１７と、操作部１３の一部
にまで延びている。

ところで、上記湾曲管部１８を構成する駒２
３，……，２３における最前段のものの前端側は
拡径にして太径部４１が形成され、この太径部４
１の後端の段部４１Ａにつば部４２を係合させた
リング状連結部材４３が外嵌され、このつば部４
２周囲で拡径部４１と連結部材４３とは接着固定
されている。

上記連結部材４３の前端側は先端カバー３３の
後端の嵌合部４４に外嵌され、レンズ枠２６のカ
シメ受け穴４５に臨む位置で重なる部分での先端
カバー３３と連結部材４３のカシメ穴４６Ａ，４
６Ｂに対し、これらを拡げるように図示しないポ
ンチでカシメを施すことによりこのカシメ受け穴
４５に入り込むように変形させ、その後接着固定
し、先端カバー３３が簡単に脱落しない様にして
いる。

又、上記太径部４１及び連結部材４３の内側に
は、ワイヤ巻掛け部材４７が収納され、最前段の
先端駒２３の太径部４１から延びたワイヤ２４，
２４は途切れることなく半円形状ループにした折
り返し部２４Ａで連結され、第４図、第７図、第
８図に示すようにワイヤ巻掛け部材４７のワイヤ
巻掛け用溝部４８に収納固定していることが特徴
となつている。

尚、略半円形状の折り返し部２４Ａは第９図な
いし第１１図に示すワイヤ巻掛け部材４７のワイ
ヤ巻掛け用溝部４８に巻き掛けるようにしてい
る。

第６図に示すように太径部４１側に延出された
ワイヤ２４，２４は、この太径部４１に嵌合する
ワイヤ巻掛け部材４７の嵌合部５１におけるワイ
ヤ引出し溝５２，５２内を通り、該ワイヤ引出し
溝５２，５２と直交する周方向に形成したワイヤ
巻掛け用溝４８に、折り返し部２４Ａが巻き付け
られる。この場合、この溝部４８に巻き付けられ
た折り返し部２４Ａは太径部４１の内径より若干
大きくなるため、第７図に示すように太径部４１
の前端を略半円形状に切欠いた切欠き５３が設け
てある。従つて、先端駒２３の太径部４１とワイ
ヤ巻掛け部材４７を嵌合させて接着し、引出し溝
５２，５２にワイヤ２４，２４をそれぞれ通し、
このワイヤ巻掛け部材４７の外周に形成した溝部
４８に折り返し部２４Ａを巻掛け、ハンダ又は接
着剤等で固定し、第６図に示す湾曲管部の骨組を
組立てることができる。

しかして、先端駒２３の太径部４１に連結部材
４３を嵌合させ、この太径部４１の後端の段部４
１Ａに連結部材４３、つば部４２を係止させる。

更に、連結部材４３をレンズ枠２６の嵌合部５
５と先端カバー３３の嵌合部４４とに嵌合させ、
接着剤で固定する。

湾曲管部骨組とレンズ枠２６の回転方向の位置
決めはワイヤ巻掛け部材４７の前端に形成した突
部５６をレンズ枠２６の凹部５７に係入させるこ
とにより位置決めを行つている。

又、レンズ枠２６と先端カバー３３の脱落を防
止する為に、レンズ枠２６にカシメ受け穴４５内
部に先端カバー３３と連結部材４３のカシメ穴４
６Ａ，４６Ｂを拡げるように図示しないポンチで
カシメを施している。

尚、第３図に示す第１図のＢ−Ｂ線断面図に示
すように、ライトガイド３６の上部にできた空間
には充填剤５９を埋めている。

ところで、ワイヤ２４は弾性を有し、折り返し
部２４Ａの両端部は真直ぐの状態に戻ろうとす
る。このときワイヤ２４は、操作部側に真直ぐ伸
びず、連結部材４３の内壁の円周接線方向に伸び
ようとする。この伸びようとする弾性力で、イメ
ージガイド口金２９が押されて観察光軸がずれて
しまうことを防ぐ為に、第１図のＤ−Ｄ線断面で
ある第４図に示すように、円弧PQRの方に折り
返し部２４Ａを巻掛けてワイヤとの干渉状態を少
くしている。

尚、上記湾曲管部１８は、可撓性の外套カバー
６１で覆われ、その前端及び後端を糸６２により
締結し、接着剤で固定されている。

この第１実施例の側視型の内視鏡１１において
は、第３図に示すように略三日月に異形化したラ
イトガイド３６の先端形状に合わせてレンズ枠２
６に前記異形化形状の一部を嵌合する形状にした
切欠き凹部３７に嵌合収納して接着剤で固定でき
る構造にしてあり、この場合ワイヤ先端の固定機
構としては、このレンズ枠２６の後部と先端駒２
３の前端部周辺に略リング状のワイヤ巻掛け部材
４７を設けてこのワイヤ巻掛け部材４７の溝部４
８にワイヤ２４の折返し部２４Ａを巻掛けて固定
する構造にしている。又、この巻掛け部材４７の
外周には連結部材４３で覆い、先端カバー３３の
抜けとか脱落を防止して確実に固定している。

従つて、この第１実施例によれば、異形に成形
したライトガイド３６の先端に対し、切欠き凹部
３７が設けられた方位（角度位置）においてもワ
イヤ２４の先端を抜けとか切断が生じるのを極力
抑えて確実に固定することができる。

上記第１実施例ではワイヤ２４の先端側を溝部
４８に巻掛けるように折返し部２４Ａを形成した
が、第１２図に示す第２実施例のワイヤ２４のよ
うに、予め折り曲げて折返し部２４Ａを設けたワ
イヤ２４を使用しても良い。

上記実施例では、２方向の湾曲機能を持つもの
であるが、本考案はこれに限定されるものでな
く、４方向に湾曲する機能を持たせることもでき
る。この場合、２本の湾曲操作ワイヤの折返し部
をワイヤ巻掛け部材の溝部の外周にほぼ90°巻掛
け、後方に引き出すようにするか、軸方向の位置
を変えて２方向づつ設けるようにしても良い。

また、上記実施例では、側視型の内視鏡につい
て述べてあるが、直視型の内視鏡に対しても上記
ワイヤの先端側の固定機構を適用することは明ら
かである。

又、上記実施例ではワイヤを途切れることなく
折返し部で連結されたものに対して説明してある
が、本考案はこれに限定されるものでなく、各ワ
イヤの先端を折返してその折返し部を穴に挿入
し、ろう付け又はねじ等で固定するようにするこ
ともできる。又、ワイヤ巻掛け部材に形成した溝
部に収納できるパイプ内にワイヤの折返し部を挿
入し、ろう付け等で固定しても良い。又、ワイヤ
巻掛け部材は、Ｃリング状のものであつても良
い。

［考案の効果］ 以上述べたように本考案によれば、ワイヤ巻掛
け部材を設けて、該ワイヤ巻掛け部材を用いてワ
イヤの先端側の固定手段を形成しているので、ワ
イヤと任意の方位に確実に固定できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第１１図は本考案の第１実施例に
係り、第１図は第１実施例の先端側の構造を示す
断面図、第２図は第１実施例の内視鏡の外観を示
す側面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ線断面図、第
４図は第１図のＣ−Ｃ線断面図、第５図は第１図
のＤ−Ｄ線断面図、第６図は湾曲管部の構造を示
す断面図、第７図は湾曲管部の先端部分を示す側
面図、第８図は第６図のＥ−Ｅ線断面図、第９図
ないし第１１図はワイヤ巻掛け部材を示し、第９
図は断面図、第１０図は背面図、第１１図は側面
図、第１２図は本考案の第２実施例におけるワイ
ヤを示す斜視図、第１３図は先行例の主要部を示
す断面図、第１４図は第１３図のＡ−Ａ線断面図
である。 １１……内視鏡、１２……挿入部、１８……湾
曲管部、１９……先端構成部、２３……駒、２４
……ワイヤ、２４Ａ……折返し部、２６……レン
ズ枠、２８……イメージガイド、３３……先端カ
バー、３６……ライトガイド、３７……切欠き凹
部、４１……太径部、４７……ワイヤ巻掛け部
材、４８……溝部、５１……嵌合部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 挿入部内を挿通された湾曲操作ワイヤの先端を
   湾曲管部の先端側ないしは先端構成部材に取付
   け、湾曲操作ワイヤの後端を手元側の湾曲操作機
   構に連結するものであつて、さらに前記挿入部内
   に挿通された照明光伝達用ライトガイドの先端が
   断面が円形でない異形化形状にて前記先端構成部
   材の外周に前記異形化形状部分を収納可能とする
   切欠き凹部に収納固着した内視鏡において、 前記湾曲操作ワイヤを挿入部の先端側で途切れ
   ることなく折り返した折り返し部を巻掛けるよう
   に収納する溝部を有する略リング形状の巻掛け部
   材を設けて前記湾曲操作ワイヤの先端側固定手段
   を形成したことを特徴とする内視鏡。