JPH0541208Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、オイルリターン通路とは別個に設け
たシリンダヘツドのブローバイガス通路を介して
クランク室内のブローバイガスを吸気系に還流す
るエンジンのブローバイガス還流装置に関する。

（従来技術） エンジンのクランク室内にたまるブローバイガ
スを吸気系に還流させるためのブーバイガス通路
は、通常、シリンダヘツドとシリンダブロツクを
貫通してクランク室内に開口する一本の連通路に
よつて形成される。このようなブローバイガス通
路を通つてクランク室から導かれるブローバイガ
スは、ヘツドカバー内に付設されたオイルセパレ
ータにおいてオイル成分が分離された後、エンジ
ンの特定運転領域で吸気負圧によりエンジンの吸
気系に導入される。

ところで、この種のブローバイガス還流装置に
おいて、シリンダヘツドに形成されるブローバイ
ガス通路は、多くの場合、オイルリターン通路と
は全く別個に設けられるが、その場合に、ブロー
バイガス通路は、通常、オイルリターン通路と同
様、シリンダヘツドの上部材底面部の位置に開口
し、ほんの少し段を上げただけの高さで形成され
る。そのため、動弁系を潤滑してシリンダヘツド
上に落ちるオイルがどうしてもブローバイガス通
路に流れ込み、それによつてブローバイバスの上
方向への流れが阻害されるという問題があつた。
また、シリンダヘツドに形成されるブローバイガ
ス通路の出口開口とオイルセパレータ入口との距
離が大きいために、ブローバイガスがオイルセパ
レータ入口に向けてスムーズに流れないといつた
問題もあつた。

そこで、このような問題を解決するための手段
として、例えば実開昭62−721号公報に記載され
ているように、シリンダヘツドのブローバイガス
通路出口開口部とオイルセパレータの入口部とを
パイプ状の部材で連結したものも提案されてい
る。しかしながら、このようにパイプなどを用い
てシリンダヘツド側とオイルセパレータ側とを連
結するような構造とした場合には、ヘツドカバー
の組み付けに際して、上記パイプによる連結がど
うしても盲作業的になつてしまつて組付性が悪化
するため、嵌合部をテーパにするなどの対策が別
途必要となつてくる。また、パイプ等の連結部材
を用いること自体、部品点数の増加となるし、ま
た、連結部に熱膨張差などによる応力が加わるた
め、それによる変形や破損が生じないようなパイ
プを用いなくてはならないなど種々の問題が生ず
る。

シリンダヘツド上面のブローバイ通路開口部を
一段と高くして上方に突出した形とすれば、オイ
ルの侵入を少なくし、また、オイルセパレータ入
口へのブローバイガスの流れをよくすることもで
きる。しかしながら、そのような突出部を形成す
るのは、シリンダヘツド鋳造用の鋳型が複雑にな
るなどの問題があつて、実際上困難である。

（考案の目的） 本考案は上記問題点に鑑みてなされたものであ
つて、シリンダヘツド上部の構造を複雑なものと
したり、あるいはまた特別な装置を用いたりする
ことなしに、ブローバイガス通路をシリンダヘツ
ド上部の高い位置に開口させ、それによつて、ブ
ローバイガス通路へのオイルの侵入を防ぐととも
に、オイルセパレータへブローバイガスをスムー
ズに導くことができるようなエンジンのブローバ
イガス還流装置を得ることを目的としている。

（考案の構成） 本考案は、カムキヤツプに、シリンダヘツドの
ブローバイガス通路に連通する貫通孔を設けるこ
とによつて、ブローバイガス通路の開口部をシリ
ンダヘツド上部の底面より上方に位置せしめるよ
うにしたものであつて、その構成はつぎのとおり
である。すなわち、本考案に係るエンジンのブロ
ーバイガス還流装置は、ヘツドカバーの上部裏面
にオイルセパレータ室を設け、また、シリンダヘ
ツドに、該シリンダヘツドを貫通しその上面に開
口するブローバイガス通路を設けて、ブローバイ
ガスを、前記ブローバイガス通路からオイルセパ
レータ入口に導き、前記オイルセパレータ室内で
オイルを分離した後エンジン吸気系に還流するよ
うにしたエンジンのブローバイガス還流装置にお
いて、前記ブローバイガス通路を、カム軸軸受を
貫通して該カム軸軸受上面の前記オイルセパレー
タ入口と対向する位置に開口せしめたことを特徴
としている。

（作用） シリンダ間隙からクランク室内に漏洩した未燃
焼成分を含むブローバイガスは、ブローバイガス
通路を通つてオイルセパレータに導かれ、エンジ
ンの吸入負圧によつて吸気系に吸入される。その
際、ブローバイガス通路を通つて導かれたブロー
バイガスは、シリンダヘツド上部底面よりはるか
に高い位置からオイルセパレータ入口に向けて流
れる。それにより、ブローバイガス通路へのオイ
ルの侵入が低減され、また、オイルセパレータ入
口へのブローバイガスのスムーズな流れが確保さ
れるため、ブローバイガス還流が効率よく行われ
る。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図および第２図は４弁式のOHCエンジン
に適用した本考案の一実施例を示すものである。
この実施例において、エンジンのシリンダヘツド
１上部には、吸気側のカム軸受部２および排気側
のカム軸受部３が左右に設けられている。これら
カム軸受部２，３は、シリンダヘツド１の端部
と、各気筒の二つの吸気バルブ穴４間あるいは二
つの排気バルブ穴５間に設けられており、これら
にカムキヤツプが沿う茶鵜されて吸気側および排
気側のカム軸軸受が構成される。

排気側の、シリンダヘツド１リア側端部に位置
するカム軸受部３は、側方部がカムボルト穴６の
外側に延長され、その延長部７の上面に開口しシ
リンダヘツド１の下方に延びる貫通孔によつてブ
ローバイガス通路８が形成されている。そして、
第２図に示すように、このリア側端部のカム軸受
部３に装着されるカムキヤツプ９は、上記カム軸
受部３と同様に外側に延長され、その延長部１０
には、ブローバイガス通路８を上方に延長する形
で貫通孔１１が形成されている。

第２図に一部断面構造を示すように、シリンダ
ヘツド１の上部にはシール部材１２を介してヘツ
ドカバー１３が取り付けられている。そして、ヘ
ツドカバー１３の上部裏面には、隔壁１４で区画
されたオイルセパレータ室１５が形成されてい
る。該オイルセパレータ室１５には、上下から交
互にバツフル１６が突設されている。そして、カ
ムキヤツプ９の上記貫通孔１１の真上位置に、該
貫通孔１１と略同径で、これとほぼ対向する形の
オイルセパレータ入口１７が形成されている。

第１図に示すように、シリンダヘツド１上部の
プラグ穴１８を挟む左右両側の底面には、複数の
オイルリターン通路１９が開口している。

ブローバイガス通路８を上昇したブローバイガ
スは、カムキヤツプ９の貫通孔１１を通り、その
真上にほぼ隣接した形で対向するオイルセパレー
タ入口１７に向けて流れる。したがつて、ブロー
バイガスは、ヘツドカバー１３内に充満すること
なく直ちにオイルセパレータ室１５に導かれ、そ
こでオイル成分が分離除去された後、図示しない
供給通路を介してエンジンの吸気系に供給され
る。

ブローバイガス通路８の上方開口部を構成する
上記貫通孔１１は、カムキヤツプ９の上面に開口
し、その開口部は、動弁系のオイルがたまるシリ
ンダ１上部底面よりはるかに高い位置にあるの
で、該貫通孔へのオイルの侵入は少ない。また、
このように、既に有るカムキヤツプ７を利用し
て、単にその延長部にブローバイガス通路８の開
口部となる貫通孔１１を形成したものであるた
め、構造は簡単であり、製造も容易である。

なお、上記実施例では、カムキヤツプを真つす
ぐ外側に延長して、その延長部に貫通孔を設けて
ブローバイガス通路の開口部としたが、本考案
は、その他、カムキヤツプをＬ字状に延長し、そ
の延長部に同様の貫通孔を形成するなど、いろい
ろな態様で実施することができる。

加えて、上記実施例ではカムキヤツプを備えた
形式のカム軸軸受を示したが、シリンダヘツドに
カムキヤツプを一体形成したカム軸挿入型のカム
軸軸受にも適用できる。

（考案の効果） 本考案は以上のように構成されているので、シ
リンダヘツド上部の構造を複雑にしたり、特別な
装置を用いることなしに、ブローバイガス通路の
開口部をシリンダヘツド上部底面よりはるかに高
いオイルセパレータ入口に近付けた位置に設け
て、ブローバイガス通路へのオイルの侵入を防
ぎ、オイルセパレータへのブローバイガスのスム
ーズで効率的な流れを実現することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るシリンダヘツ
ドの平面図、第２図は同実施例の一部断面正面図
である。 １……シリンダヘツド、８……ブローバイガス
通路、９……カムキヤツプ、１０……延長部、１
１……貫通孔、１３……ヘツドカバー、１５……
オイルセパレータ室、１７……オイルセパレータ
入口、１９……オイルリターン通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ヘツドカバーの上部裏面にオイルセパレータ室
   を設け、また、シリンダヘツドに、該シリンダヘ
   ツドを貫通しその上面に開口するブローバイガス
   通路を設けて、ブローバイガスを、前記ブローバ
   イガス通路からオイルセパレータ入口に導き、前
   記オイルセパレータ室内でオイルを分離した後エ
   ンジン吸気系に還流するようにしたエンジンのブ
   ローバイガス還流装置において、前記ブローバイ
   ガス通路を、カム軸軸受を貫通して該カム軸軸受
   上面の前記オイルセパレータ入口と対向する位置
   に開口せしめたことを特徴とするエンジンのブロ
   ーバイガス還流装置。