JPH0539397U - 自動車用シートのトリム係止構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シートボトムのサイドマチを簡単に形成させ
ることができるようにする。 【構成】 シートボトム２の両側部のフレーム３に合成
樹脂製のカバープレートが５一体に取り付けられ、その
両側部のフレーム３に一体に取り付けられる合成樹脂製
のカバープレート５には下端縁に長手方向に凸条５３が
設けられ、シートボトムの両側部を被覆するトリムのサ
イドマチ６の内側下端縁には長手方向に亙って上方開口
の嵌合溝６２が設けられたセットプレート６が取り付け
られ、上記カバープレート５が上記フレーム３に取り付
けられた状態でカバープレート５の上記凸条５３を上記
セットプレート５の嵌合溝に嵌合させるように構成す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、シートボトムを対象とした自動車用シートのトリムの係止構造に関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

通常、例えば図６ないし図７に示すように、自動車のシートを構成するシート ボトムとシートバックとは、クッション材とその表面を被覆する表皮と側部をカ バーするトリム（縁取り）とからなっている。特にシートボトム２の側部を覆う トリムはサイドマチと通称されている。サイドマチはシートボトム２の座面の表 皮２２に縫製され、シートボトム２の側部を下方に延びてシートボトム２の下部 に付設されているシートアジャスターＳなどの機構を覆い隠している。

【０００３】 従来、シートボトム２の下側部に設けられたフレーム３には、幅方向に突出し た長尺の鋼板製カバープレートＦがフレーム３に一体に固設されている。そして 、その下方に延びた部分は二股に別れており、一方の押え板Ｆ１はフレーム３側 に突出し、他方のトリム側板Ｆ２はその下部先端がフレーム３側にＵ字形状に折 り返されている。

【０００４】 サイドマチ４は、表皮２２にクッション材２１の上側部において縫製されて下 方に延び、トリム側板Ｆ２の下端で内側に折り返され、そのＵ字形状の間隙に没 入している。この状態で押え板Ｆ１を図７の一点鎖線によって示すように折り曲 げ、サイドマチ４の下端部を押え板Ｆ１とトリム側板Ｆ２とによって挾み込んで サイドマチ４をシートボトム２の側部に固定している。

【０００５】 このようにすることによって、フレーム３の下側部に設けられたシートアジャ スターＳなどの付設物を視界から覆い隠している。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、従来サイドマチ４は、上記のように鋼板製カバープレートＦをまず 螺子止めなどによってフレーム３に固設してから、この鋼板製カバープレートＦ に取り付けられることから、この間重い鋼板製カバープレートＦを移動させたり 組み付けたりしなければならない。

【０００７】 また、サイドマチ４をクッション材２１とトリム側板Ｆ２との間に張設するた めに、押え板Ｆ１を折り曲げなければならないが、この処理を行うためには、シ ートボトム２を反転させてシートボトム２の裏側を上に向ける必要がある。

【０００８】 更に、上記押え板Ｆ１の折り曲げ操作を行うには非常に大きな力を要し、もし 上述の一連の操作を人力のみで行うとすればかなりの重労働となる。機械化ある いは自動化を行うにしても、シートボトム２は柔らかい表皮２２やクッション材 ２１を主体として構成されたものであるため、組み付けや加工のための据え置き が安定せず、また部分的に大きな力が加わると、クッション材２１や表皮２２が 破損することもある。

【０００９】 本考案は、上記問題点を解決するためになされたものであり、シートボトム２ の側部にサイドマチ４を組み付ける作業を容易に行うことができる自動車用シー トのトリム係止構造を提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

請求項１記載の考案は、シートボトムの両側部のフレームに合成樹脂製のカバ ープレートが一体に取り付けられ、このカバープレートの下端縁に長手方向に凸 条が設けられ、シートボトムの両側部を被覆するサイドマチの内側下端縁には長 手方向に亙って上方開口の嵌合溝が設けられたセットプレートが取り付けられ、 上記カバープレートが上記フレームに取り付けられた状態でカバープレートの上 記凸条を上記セットプレートの嵌合溝に嵌合させるように構成したことを特徴と するものである。

【００１１】 請求項２記載の考案は、請求項１記載の考案において、上記サイドマチの下端 縁を長手方向に亙って内側に断面がＵ字形状となるように折り返され、この折り 返された部分に上記セットプレートを嵌め込んだ状態でサイドマチの下端縁とセ ットプレートとが結合されていることを特徴とするものである。

【００１２】

【作用】

上記請求項１記載の本考案によれば、カバープレートの下端縁には長手方向に 凸条が設けられ、サイドマチの内側下端縁には上方開口の嵌合溝が設けられたセ ットプレートが取り付けられ、上記凸条と嵌合溝とは互いに嵌合するように形成 されているため、シートボトムにカバープレートを固設した状態で、上記凸部と セットプレートとを嵌合させることによりサイドマチは組み付けられる。

【００１３】 また、カバープレートは合成樹脂製で軽いため、サイドマチを組み付ける一連 の操作を容易に行うことができる。

【００１４】 上記請求項２記載の本考案によれば、上記サイドマチの下端縁を内側に折り返 して溝を形成させ、この溝に上記セットプレートは嵌め込まれ、互いに係合され てサイドマチが形成されているため、上記サイドマチの折り返しによってセット プレートはサイドマチのシートボトム側に隠すことができる。

【００１５】

【実施例】

図１は、本考案に係る自動車用シートのトリム係止構造を示すシートの一部切 欠き斜視図である。

【００１６】 この図に示すように、自動車のシート１は、着座面を形成するシートボトム２ と背凭れのシートバック２’とから構成されている。シートバック２’およびシ ートボトム２には、内部にクッション材２１が内装され、表面は表皮２２で覆わ れている。４は、表皮２２の縁取り部分であるトリムのうち、特にシートボトム ２の側部に設けられたサイドマチである。このようなシート１は、その前後方向 の位置決めを行うためのシートアジャスターＳの上に摺動自在に取り付けられて いる。

【００１７】 フレーム３の側部には合成樹脂製のカバープレート５取り付けられている。こ のカバープレート５は、シートボトム２の側部に垂下したサイドマチ４を張設し て固定する役目を果たす部材であり、フレーム３の側部周縁に沿った形状とされ 、全体として平板状を呈している。そしてその下方に延びる長さは、シートボト ム２の下部のシートアジャスターＳを隠すに足る長さとされている。

【００１８】 カバープレート５の長手方向の中心線上には、図２ないし図３に示すようにフ レーム３側に凹んだ２個の固設部５１が設けられている。そして、この固設部５ １は、フレーム３の側部から外方に突出して設けられたブラケット３１にビス５ ２によって螺着され、これによってカバープレート５がフレーム３の外側部に固 定されている。また、カバープレート５の下縁部には、長手方向に亙ってカバー プレート５の両面から外方に突出した凸条５３が設けられている。

【００１９】 カバープレート５の固設部５１が設けられていない部分は、図４にその断面を 示すように上下方向中央部は平板状であり、そのフレーム３側の側面には、後述 するセットスプリング７を支持するための支持片５４が設けられている。

【００２０】 図３ないし図５に示すように、サイドマチ４の下縁部に長手方向に亙って合成 樹脂製のセットプレートが設けられている。このセットプレート６は断面がＵ字 形状を呈し、その上部寄りには互いに近づくように突出した係止部６１が設けら れ、下部には上記サイドマチ４の凸条５３に対応した嵌合溝６２を形成している と共に、上部は開口６３となっている。

【００２１】 また、セットプレート６のフレーム３側の上縁部６４は他方の縁部よりも上方 向に延び、サイドマチ４の下縁部がこの上縁部６４に折り返され、この部分でリ ベット６５によるかしめ止めが行われて、セットプレート６とサイドマチ４とが 結合している。

【００２２】 このような状態でセットプレート６が取り付けられたサイドマチ４は、そのセ ットプレート６の嵌合溝６２にカバープレート５の凸条５３を嵌合させることに よって、カバープレート５の外方にシートボトム２の側部を覆うように張設され ている。

【００２３】 なおセットスプリング７は、カバープレート５の凸条５３が嵌合溝６２に嵌合 した状態で、凸条５３を中心としてセットプレート６が図４の反時計方向に回動 するのを防止するためのものであって、直角に折り曲げられ、更に逆方向に直角 に折り曲げられた板バネを使用している。その中央部および上部は支持片５４に よってカバープレート５の内側面に係止されており、下部はその付勢力によって サイドマチ４の縁部を介してセットプレート６をカバープレート５側に押し付け ている。

【００２４】 本考案の自動車用シートのトリム係止構造は以上のように構成されているので 、まず、カバープレート５の背面の支持片５４にセットスプリング７を支持させ 、このカバープレート５を、その固設部５１とフレーム３のブラケット３１とを ビス５２によって螺着することにより、カバープレート５をフレーム３に取り付 ける。

【００２５】 つぎに、この状態でカバープレート５の外方から下に延びているサイドマチ４ を、下方に引っ張りながらその下縁に付設されたセットプレート６の開口６３を カバープレート５の凸条５３に合わせ、その後押し込むようにして凸条５３をセ ットプレート６の嵌合溝６２に嵌合させる。このとき、セットプレート６の上縁 部６４をサイドマチ４の先端部を介してセットスプリング７とカバープレート５ との間隙に挿入するようにする。こうすることによって、従来のようにシート１ を反転させてシートボトム２の裏面を表に向けるという操作を行うことなく、サ イドマチ４はシートボトム２の側部に組み付けることができる。

【００２６】 サイドマチ４が上記のように組み付けられた状態においては、クッション材２ １の弾性力によって上記サイドマチ４は上方に引っ張られるため、および、セッ トプレート６の上縁部６４はセットスプリング７によって押え付けられているた め、サイドマチ４はカバープレート５の凸条５３と表皮２２の端縁との間で張設 された状態となり、弛みが発生しないから外見上見栄えがよい。

【００２７】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、シートボトムの両側部のフレームに合成樹脂製 のカバープレートを一体に取り付け、それを介してシートボトムのサイドマチを 張設するものであるため、合成樹脂製のカバープレートは従来の鋼板製カバープ レートに比べて格段に軽いから、その取り付け作業が極めて容易になる。

【００２８】 また、サイドマチは、その内側下端縁に設けられたセットプレートとカバープ レートの下縁に設けられた凸条との嵌合によってカバープレートへ組み付けられ るものであるため、従来のような鋼板を折り曲げる操作を行う必要はなく、簡単 な操作でサイドマチをシートボトムの側部に張設することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のトリム係止構造を示すシートの一部切
欠き斜視図である。

【図２】カバープレートの側面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図４】図１のＢ−Ｂ断面図である。

【図５】セットプレートの拡大斜視図である。

【図６】従来のトリム係止構造を示すシートの一部切欠
き斜視図である。

【図７】図６のＣ−Ｃ断面図である。

【符号の説明】

１ シート ２ シートボトム ２１ クッション材 ２２ 表皮 ３ フレーム ３１ ブラケット ４ サイドマチ ５ カバープレート ５１ 固設部 ５３ 凸条 ６ セットプレート ６２ 嵌合溝 ７ セットスプリング Ｆ 鋼板製カバープレート Ｓ シートアジャスター

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートボトムの両側部のフレームに合成
   樹脂製のカバープレートが一体に取り付けられ、このカ
   バープレートの下端縁に長手方向に凸条が設けられ、シ
   ートボトムの両側部を被覆するサイドマチの内側下端縁
   には長手方向に亙って上方開口の嵌合溝が設けられたセ
   ットプレートが取り付けられ、上記カバープレートが上
   記フレームに取り付けられた状態でカバープレートの上
   記凸条を上記セットプレートの嵌合溝に嵌合させるよう
   に構成したことを特徴とする自動車用シートのトリム係
   止構造。
2. 【請求項２】 上記サイドマチの下端縁を長手方向に亙
   って内側に断面がＵ字形状となるように折り返され、こ
   の折り返された部分に上記セットプレートを嵌め込んだ
   状態でサイドマチの下端縁とセットプレートとが結合さ
   れていることを特徴とする請求項１記載の自動車用シー
   トのトリムの係止構造。