JPH0539306A - ヒアルロン酸およびコンドロイチン誘導体 - Google Patents

ヒアルロン酸およびコンドロイチン誘導体

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JPH0539306A
JPH0539306A JP3330905A JP33090591A JPH0539306A JP H0539306 A JPH0539306 A JP H0539306A JP 3330905 A JP3330905 A JP 3330905A JP 33090591 A JP33090591 A JP 33090591A JP H0539306 A JPH0539306 A JP H0539306A
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gly
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本 秀 幸 森
Teruomi Ito
藤 照 臣 伊
Kazuhiro Inoue
上 和 泓 井
Satoru Okuno
野 哲 奥
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D D S KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 薬物を化学結合を介して保持し、薬物送達が
可能な多糖誘導体であって、長期体内残留がなく、癌組
織への移行性ある多糖誘導体を提供する。 【構成】 ヒアルロン酸またはコンドロイチンの水酸
基、または、ヒアルロン酸またはコンドロイチンを開裂
し、開裂末端のアルデヒド基を還元して得られたポリア
ルコール体の水酸基にペプチド鎖を介して薬物を結合す
る。 〔式中、Y,Y,YおよびYは水素原子−CO
NH、または特定の基を示す〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は新規なヒアルロン酸およ
びコンドロイチンの誘導体に関する。更に詳しくは、長
期体内残留がなく、癌組織への移行性のある多糖型高分
子担体およびこれに薬物が結合した複合体としてのヒア
ルロン酸およびコンドロイチンの誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】水溶性高分子を薬物担体として使用する
ことは、従来からとりわけ製剤の分野において試みら
れ、関連する多数の技術が提供されてきた。多くの場合
においてカルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシプロ
ピルセルローズ、ヒドロキシプロピルメチルセルローズ
等のセルローズ誘導体が使用され、これらの物質自体の
物理化学的性状を利用して薬物の分散化、徐放化等が意
図されてきた。しかしこれらの例においては薬物は担体
としてのセルローズ誘導体と製剤的な混合によって一体
化はしているものの、担体に化学結合しているものでは
ない。
【0003】ところで、薬物を必要な組織に必要な時に
必要な量だけ送達する、いわゆる臓器指向の技術におい
て、水溶性高分子を薬物担体として利用する場合には、
単なる混合ではなく、薬物が担体に化学結合する必要が
ある。そのような試みとしては下記文献1),2),
3)があり、1)ではデキストランにマイトマイシンC
を結合する技術、2)ではマンナンにマイトマイシンC
を結合する技術、3)では同じくマンナンにブレオマイ
シンを結合する技術がそれぞれ開示されている。 1) 瀬崎 仁:薬学雑誌、109,611−621,
(1989) 2) 第49回日本癌学会総会記事(1990)425
頁、演題番号2155 3) 第49回日本癌学会総会記事(1990)425
頁、演題番号2154
【0004】しかし、多糖型水溶性高分子の中でもいわ
ゆるムコ多糖類と称される一群の酸性多糖高分子を担体
として利用し、これに薬物を化学結合して薬物送達を行
う技術についてはその試みは未だ十分な展開がなされて
いないのが実状である。
【0005】そこで、本発明者の中の一部の者は先にキ
チン、キトサンを使用して上記の技術の試みを行ったと
ころ、意外にもN‐アセチルカルボキシメチルキトサン
誘導体が優れた薬物送達の可能性を示すことを見出だし
た(特願平2−215803号明細書)。そこで、適切
な修飾を加えることによってムコ多糖が上記の可能性を
持つこと、とりわけ酸性ムコ多糖の代表であるヒアルロ
ン酸あるいはコンドロイチンがキチン、キトサンにおけ
ると同様にこれに適切な修飾を加えることによって前記
のような可能性を示すことが期待されるに至った。
【0006】しかしながらヒアルロン酸あるいはコンド
ロイチンにおける上記関連技術については、僅かに下記
文献4)および5)があり、白金錯体について述べられ
ているが、応用の一般的な展開は見られていない。 4) 第48回日本癌学会総会記事(1989)374
頁、演題番号2107 5) 第49回日本癌学会総会記事(1990)394
頁、演題番号1972また特開昭62−64802号公
報には、ヒアルロン酸エステルが開示されている。 しかしここにおいてもヒアルロン酸のカルボキシル基を
エステル化するにとどまっており、上記の技術における
担体としての利用に至る展開は見られてない。
【0007】上記にかんがみ本発明者はヒアルロン酸お
よびコンドロイチンについて検討を行い、その結果、ヒ
アルロン酸およびコンドロイチンを構成する単位二糖の
遊離水酸基に、更にはヒアルロン酸およびコンドロイチ
ンを酸化開環し、開裂末端のアルデヒド基を還元して得
られたポリアルコール体の水酸基にペプチド鎖を介して
薬物を結合することによって目的が達成されることを知
り、本発明を完成するに至った。
【0008】〔発明の概要〕
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、薬物
を化学結合を介して保持し、薬物送達が可能な多糖誘導
体およびその塩を提供することを目的としている。また
本発明は、長期体内残留がなく、癌組織への移行性ある
多糖誘導体であって、これに薬物が化学結合可能な薬物
担体を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明による
第一の態様の多糖誘導体は、下記の一般式(I)または
(II)で表される単位から構成される、ゲルろ過法によ
る分子量が3,000〜800,000であるものおよ
びその塩である。
【0010】
【化8】
【0011】〔前記式(I)および(II)中、Y、Y
、YおよびYは、同一または異なっていてもよ
く、それぞれ水素原子、基−CONH、または、下記
一般式(III )で表わされる基:
【0012】
【化9】
【0013】(式中、Zは1〜5個の同一または異な
るアミノ酸を含んでなるペプチド鎖を表わし、Pは水素
原子、水酸基または保護基を表わし、Wは酸素原子また
は基NHを表わす。ただし、C−Z1 結合はC−N結合
である)、を表わすか、もしくは、Y、Y、Y
よびYのうち、いずれか2つが一緒になって結合して
下記一般式(IV)で表わされる基:
【0014】
【化10】
【0015】(式中、Zは1〜5個の同一または異なる
アミノ酸を含んでなるペプチド鎖を表わし、Pは前記一
般式(III)で定義したものと同義である。ただし、C=
2 結合はC=N結合である)を表わす。ただし、
、Y、YおよびYとして前記一般式(III )
で表わされる基または前記一般式(IV)で表わされる基
を有する単位が分子中に少なくとも1以上存在する。〕
【0016】更に、本発明による第二の態様の多糖誘導
体は、下記の一般式(V)および(VI)または(VII )
および(VIII)で表わされる単位から構成される、ゲル
ろ過法による分子量が1,000〜800,000であ
るものおよびその塩である。
【0017】
【化11】
【0018】更に、本発明による第三の態様の多糖誘導
体は、下記の一般式(IX)および(X)または(XI)およ
び(XII)で表わされる単位から構成される、ゲルろ過法
による分子量が1,000〜800,000であるもの
およびその塩である。
【0019】
【化12】
【0020】更にまた、本発明による第四の態様の多糖
誘導体は、下記の一般式(XIII)および(XIV)または(X
V)および(XVI)で表わされる単位から構成されるゲル
ろ過法による分子量が1,000〜800,000であ
るものおよびその塩である。
【0021】
【化13】
【0022】〔前記式中、X、X、X、X、X
、X、XおよびXは、同一または異なっていて
もよく、それぞれ水素原子、基−CONH、または、
前記で定義した一般式(III)で表わされる基を表わす
か、もしくは、X、X、XおよびXまたは
、X、XおよびXのうちいずれか2つの基が
一緒になって結合して請求項1で定義した一般式(IV)
で表わされる基を表わす。ただし、X、X、X
、X、X、XおよびXとして前記一般式
(III )で表わされる基または前記一般式(IV)で表わ
される基を有する単位が分子中に少なくとも1以上存在
する。〕
【0023】[発明の具体的説明] (多糖誘導体)前記一般式(I)で表される二糖単位に
おいて、Y=Y=Y=Y=Hのもの、すなわ
ち、N−アセチル−3−O−β−D−グルコピラヌロシ
ル−D−グルコサミンを繰り返し単位とした高分子化合
物がいわゆるヒアルロン酸である。また、一般式(II)
で表される二糖単位において、Y=Y=Y=Y
=Hのもの、すなわち、N−アセチル−3−O−β−D
−グルコピラヌロシル−D−ガラクトサミンを繰り返し
単位とした高分子化合物がいわゆるコンドロイチンであ
る。従って、本発明による第一の態様の多糖誘導体は、
ヒアルロン酸またはコンドロイチンの水酸基にペプチド
鎖が導入されてなる誘導体、である。
【0024】一般式(I)および(II)において、
、Y、YおよびYは、それぞれ水素原子、基
−CONHもしくは前記一般式(III )で表される基
を表すか、もしくは、Y、Y、YおよびYのう
ち、いずれか2つが一緒になって結合する、前記一般式
(IV)で表される基を表す。ただし、Y、Y、Y
およびYとして前記一般式(III)で表される基もしく
は前記一般式(IV)で表される基を有する単位が分子中
に少なくとも1以上存在する必要がある。
【0025】また、前記式(V)または式(VII)で表さ
れる二糖単位はヒアルロン酸またはコンドロイチンを構
成する単位であり、前記式(VI)または式(VIII)で表さ
れる二糖単位は式(V)または式(VII)で表される単位
のグルクロン酸の2位と3位の間の結合が開裂した構造
を有する。従って、本発明による第二の態様の多糖誘導
体は、ヒアルロン酸またはコンドロイチンの分子中の一
部の二糖単位においてそのグルクロン酸の2位と3位の
間の結合が開裂され、その開裂末端がアルデヒド基であ
るものということが出来る(なお、この第二の態様の多
糖誘導体を「開環アルデヒド体」という場合がある)。
【0026】またさらに、前記式(IX)または式(XI)で表
される二糖単位はヒアルロン酸またはコンドロイチンを
構成する単位であり、前記式(X) または(XII)で表され
る二糖単位は式(IX)または式(XI)で表される単位の
グルクロン酸の2位と3位の間の結合が開裂した構造を
有する。従って、本発明による第三の態様の多糖誘導体
は、ヒアルロン酸またはコンドロイチンの分子中の一部
の二糖単位においてそのグルクロン酸の2位と3位の間
の結合が開裂され、その開裂末端がヒドロキシメチル基
であるものであるということが出来る(なお、この第三
の態様の多糖誘導体を「開環ポリアルコール体」という
場合がある)。
【0027】これらの多糖誘導体のグルクロン酸の開裂
の程度は特に限定されないが、その誘導体である後記す
る式(XIII)および(XIV)または(XV)および(XVI)で
表される単位から構成される多糖誘導体とされたときの
水溶性を考慮して決定されるのが好ましい。
【0028】前記式(XIII)、(XIV)、(XV)および
(XVI)で表される二糖単位において、X〜Xがすべ
て水素原子であるものは、それぞれ前記式(IX)、
(X)、(XI)および(XII)で表される二糖単位であ
る。従って、本発明による第四の態様の多糖誘導体は、
本発明による第三の態様の多糖誘導体の水酸基にペプチ
ド鎖が導入されてなる誘導体である。この第四の態様の
多糖誘導体は、第一の態様の多糖誘導体よりも水溶性が
高く、より疎水性の薬物を導入しても好ましい水溶性を
保持するので有利である。
【0029】式(XIII)、(XIV)、(XV)および(XVI)
において、X〜Xは同一または異なっていてもよ
く、それぞれ水素原子、基−CONHまたは前記一般
式(III)で表される基を表すか、もしくは、X〜X
のうちのいずれか2つまたはX〜Xのうちいずれか
2つが一緒になって結合する前記一般式(IV)で表され
る基を表す。ただし、X〜Xとして前記一般式(II
I)または前記一般式(IV)で表される基を有する単位が
分子中に少なくとも一つ以上存在することが必要であ
る。
【0030】一般式(III)および(IV)において、Z
もしくはZは1〜5個の同一または異なるアミノ酸を
含んでなるペプチド鎖を表す。ここで、このアミノ酸の
数は薬物放出特性や抗原性を考慮すると、1〜4個が好
ましい。さらに、このペプチド鎖はアミノ酸のみから構
成されている場合に加えて、鎖中の一部にアミノ酸以外
の化合物を含む場合も包含する意味に用いる。例えは、
コハク酸のような二塩基性カルボン酸がペプチド鎖の中
にまたは末端に存在していてもよい。また、このペプチ
ド鎖を構成するアミノ酸は、α−アミノ酸のほかに、ε
−アミノカプロン酸、γ−アミノ酪酸などのアミノ酸類
似の化合物であってもよい。また、ペプチド鎖の結合方
向は、ヒアルロン酸またはコンドロイチンにN末端側か
ら結合しているのが通常であるが、例えばペプチド鎖中
にLysが存在する場合には、ε−アミノ基を結合させ
ることによってペプチド鎖の結合方向を逆転させてもよ
い。
【0031】また、ペプチド鎖にPが結合する位置は、
ペプチド鎖の末端および鎖中のいずれでもよい。従っ
て、このペプチド鎖の末端または鎖中に結合するPが水
素原子または水酸基のときは、それぞれそのペプチド鎖
の末端または鎖中アミノ酸のアミノ基の水素原子または
末端または鎖中アミノ酸のカルボキシル基の水酸基を表
すものである。
【0032】本発明による多糖誘導体においてZおよ
びZで表されるペプチド鎖の好ましい具体例を示せば
下記の通りである。
【0033】
【化14】
【0034】また、本発明による多糖誘導体のペプチド
鎖はその末端または鎖中にあるアミノ基あるいはカルボ
キシル基が保護されていてもよい。保護基は一般的にア
ミノ酸の保護に用いられているものであれば制限されな
いが、例えば、アミノ保護基としてはt-ブトキシカルボ
ニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基、ま
た、カルボキシル基の保護基としては低級アルコキシ
基、例えばt-ブチルオキシ基、ベンジルオキシ基、低級
アルキルイミノ基、例えばメチルイミノ基などを挙げる
ことができる。
【0035】本発明による前記一般式(I)または(I
I)を単位とする多糖誘導体は、ゲルろ過法による、ピ
ーク位置の分子量が3,000〜800,000範囲に
ある。また本発明による前記式(V)および(VI)また
は(VII )および(VIII)で表わされる単位から構成さ
れる多糖誘導体ならびに前記式(IX)および式(X)ま
たは式(XI)および(XII )で表わされる単位から構成
される多糖誘導体は、ゲルろ過法によるピーク位置の分
子量が1,000〜800,000の範囲にある。
【0036】また、本発明による多糖誘導体におけるペ
プチド鎖の存在量は、その用途にしたがって適宜決定さ
れてよい。分子中の単糖単位の総モル数をaとして、分
子中に導入されたZおよび/またはZで表されるペ
プチド鎖の総モルをbとした場合、この両者の間にb/
a(置換度)=1/2〜1/100の関係が成立するも
のが好ましい。この置換度は例えば以下に説明するNM
R法または吸光光度法によって算出することができる。
【0037】NMR法 標品についてプロトン−NMRを測定する。構成成分で
あるN−アセチル−D−グルコサミン残基あるいはN−
アセチル−D−ガラクトサミン残基のアセチル基の三個
のプロトンに由来する吸収ピークは2.0ppm 付近に観
察される。一方、このピークと、Z1 −Pおよび/また
はZ2 −Pのプロトンに由来する吸収ピークが分離して
観察される場合には、両者の吸収強度を利用して置換度
を次式より求めることが可能である。
【0038】
【数1】 Is:N−アセチル−D−グルコサミン残基あるいはN
−アセチル−D−ガラクトサミン残基のアセチル基のプ
ロトン由来の吸収ピークの積分値 Iy:Z1 −Pおよび/またはZ2 −Pのプロトンに由
来の吸収ピークの積分値 n:Iyに対応するプロトンの個数
【0039】吸光光度法1 −Pおよび/またはZ2 −Pに特性吸収がある場合
に、吸光光度法によりこの置換基の含量(重量%)を求
め、次式に従って置換度を求めることが可能である。
【0040】
【数2】 Cy:Z1 −Pおよび/またはZ2 −Pの含量(重量
%) My:Z1 −Pおよび/またはZ2 −Pの分子量 Ms:式(I)または式(II)で表わされる単位から構
成される多糖誘導体の置換度を求める場合、Msはヒア
ルロン酸またはコンドロイチンを構成する二糖単位の分
子量である。なお、ナトリウム塩の場合の分子量はヒア
ルロン酸、コンドロイチンいずれの場合も401であ
る。 また、式(XIII)および式(XIV)または式(XV)および
式(XVI)で表される単位から構成される多糖誘導体の置
換度を求める場合、Msは式(IX)または式(XI)で表
される単位の分子量(401) と、式(X)または(XII)で
表される単位の分子量(403) との、式(IX)と式(X)
の存在比または式(XI)と式(XII)との存在比の重み付
け平均値である。
【0041】本発明による多糖誘導体は、その塩として
存在することができるが、その用途を考慮すれば薬学上
許容可能な塩であることが好ましい。そのような塩とし
ては、好適にはナトリウム塩、カリウム塩またはカルシ
ウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の
塩および、アルギニン塩、リジン塩のようなアミノ酸塩
を挙げることができる。特にナトリウム塩、カリウム塩
が好ましい。
【0042】本発明による多糖誘導体は、前記したZ
およびZで表されるペプチド鎖の末端または鎖中に、
生理活性を有した化合物を化学結合によって保持させる
ことが可能である。従って、本発明による多糖誘導体は
薬物輸送の担体として利用することができる。また、本
発明による多糖誘導体は、薬物送達に必要な時間内にお
いて十分な血中安定性を示す一方、生体内で徐々に分解
を受け、長時間の体内残留が起こらないことが期待され
る。さらにまた、本発明による多糖誘導体は、癌組織移
行性に優れている点も有利である。
【0043】本発明による多糖誘導体におけるペプチド
鎖への薬物の結合は、例えばペプチド鎖の末端または鎖
中アミノ酸のアミノ基またはカルボキシル基のPで表さ
れる水素原子あるいは水酸基と置換してペプチド鎖と結
合することによってなされる。例えば、一般式ROH
で表されるアルコール性水酸基を有したアルコール系医
薬化合物は末端または鎖中アミノ酸のカルボキシル基と
結合することが可能である。また、一般式RCOOH
で表されるカルボキシル基を有したカルボン酸系医薬化
合物は末端または鎖中アミノ酸のアミノ基と結合するこ
とが、また、一般式RNHで表されるアミノ基を
有したアミノ系医薬化合物もまた末端または鎖中アミノ
酸のカルボキシル基と結合することが可能である。この
ような医薬化合物の具体例として、カルボン酸系医薬化
合物としては、メソトレキサート、ブメタニド、フロセ
ミド、ジノプロストなどが挙げられ、アルコール系医薬
化合物としては、シクロシチジン、ビンクリスチン、ビ
ンブラスチン、アドレナリンなどが挙げられ、また、ア
ミノ系医薬化合物としては、ダウノルビシン、ドキソル
ビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシンなどが挙げ
られる。
【0044】(多糖誘導体の製造)本発明による多糖誘
導体の基本をなすヒアルロン酸は、臍帯、皮膚、腱、関
節液、さらにサメの皮、クジラの軟骨、ヒト血清、鶏冠
などの広く動物組織中に存在しており、これらの組織か
ら抽出して利用することが可能であり、また、市販品を
利用することも可能である。
【0045】ヒアルロン酸の平均分子量は10〜10
程度であることから、本発明による多糖誘導体に用い
るためには、適当な分子量に低分子量化することが必要
となる。低分子量化は、ヒアルロニダーゼなどの酵素に
よる加水分解によって容易に行うことができる。
【0046】例えば、ヒト臍帯由来ヒアルロン酸に、そ
の約1/200量のウシ睾丸ヒアルロニダーゼをpH
5.0、37℃で2時間反応させることにより、分子量
10に低分子化されたヒアルロン酸を得ることができ
る。酵素量や反応時間を調節することにより、得られる
ヒアルロン酸の分子量は、増減させることができる。ま
た、この酵素反応で低分子化されるヒアルロン酸の由来
は、ヒト臍帯に限らない。低分子化したヒアルロン酸
は、そのまま薬物担体の素材として化学修飾することも
可能であるが、混在する蛋白や他のムコ多糖を除去した
後に用いることが望ましい。その精製は、ムコ多糖の精
製法として知られるプロテアーゼを用いる除蛋白法やセ
チルピリジニウムクロリドなどの第四級アンモニウム塩
による分画、エタノール分画などの方法を組み合わせて
行うことができる。
【0047】コンドロイチンについては、角膜やスルメ
イカ、マダコなどの頭足類から抽出することができる。
また、コンドロイチン硫酸を脱硫酸することによっても
得ることができ、市販もされている。コンドロイチン硫
酸Aを脱硫酸したコンドロイチンの場合、分子量はおよ
そ104 であり、これをそのまま本発明による薬物担体
の素材として用いることができる。
【0048】本発明による第二の態様の多糖誘導体は、
ヒアルロン酸またはコンドロイチンから、グルクロン酸
の2位と3位の結合を酸化開裂して得ることができる。
まず、上記のようにして得た低分子量化されたヒアルロ
ン酸またはコンドロイチンに酸化剤(例えば過ヨウ素酸
またはその塩)を作用させることによって、開環アルデ
ヒド体を得ることができる。この反応は反応に関与しな
い溶媒(例えば水)中の温和な条件、例えば0〜10℃
の温度で、1〜3週間で完了させることができる。反応
後多糖誘導体は、反応液を透析し、沈殿助剤(例えば酢
酸ナトリウム)を加え、エタノールで析出させることに
よって得ることができる。
【0049】更にこうして得た多糖誘導体のアルデヒド
基を還元することにより、開環ポリアルコール体とする
ことができる。還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナ
トリウムなどを用いることができる。この反応は反応に
関与しない溶媒(例えば水)中の温和な条件、0〜30
℃の温度で、1〜3日間で完了させることができる。反
応後多糖誘導体は、反応液をpH5程度に調整し、エタ
ノールで析出させることによって得ることができる。
【0050】次にこの低分子量化されたヒアルロン酸お
よびコンドロイチン、または、開裂され、開裂末端を基
−CHOHとされた多糖誘導体を、R.Alenらの方法
(R.Alen, etal. Eur. J. Biochem. 18, 351-360(1971
))に類似の方法によって化学修飾し、分子中に存在
する水酸基にペプチド鎖を導入する。具体的には下記の
ようにして導入を行う。
【0051】まず、ヒアルロン酸もしくはコンドロイチ
ンまたは式(IX)および式(X)または式(XI)および
式(XII )で表わされる単位から構成される多糖誘導体
を水に溶かし、溶液のpHを塩基性、好ましくは10.
5〜11.5、に保ちながら、シアノゲンハライド、例
えばブロムシアン、を反応させて糖残基中の水酸基を活
性化する。ヒアルロン酸またはコンドロイチンの糖残基
数とブロムシアンのモル比は、1:20〜10:1程度
が好ましい。続いて、この反応溶液にペプチドを加えた
後、pHを、酸、例えば0.1N塩酸等を用いて9.0
程度に下げ、室温で一晩撹拌を行うと、活性化された水
酸基とペプチド鎖のアミノ基との間で結合し、本発明に
よる多糖誘導体を得ることができる。ここで、糖残基と
ペプチドの結合様式にはイソウレア型(式(III )にお
いて、Wが基NHとなる場合)、ウレタン型(式(III
)において、Wが酸素原子である場合)、イミドカル
ボネート型(式(IV)の場合)が存在する。本発明にお
いてはこれらの結合様式が単独で生じた場合あるいは複
合して生じた場合、いずれの場合も包含される。また上
記の反応の過程で、二糖単位の一部水酸基が活性化され
ることなく、不活性のカルバメートを生ずる場合(分子
中の水酸基のいずれかが基−CONHに置換された場
合)もあるが、この反応はペプチド鎖の結合を生じさせ
ないので、出来るだけ防止するのが好ましい。
【0052】加えるペプチドの量は、活性化された水酸
基に対して過剰量用いることが好ましい。また、添加す
るブロムシアンの量を調整することによって、ペプチド
の導入量を増減させることが可能となる。
【0053】以上のようにして得た本発明による多糖誘
導体に医薬化合物を化学結合させることによって、本発
明による多糖誘導体を薬物担体として用いることが可能
となる。医薬化合物の導入は、ペプチド鎖のアミノ基も
しくはカルボキシル基を、医薬化合物の官能基もしくは
活性化された置換基と反応させることによって行なえ
る。好ましい具体例を示せば下記の通りである。
【0054】例えば、本発明による多糖誘導体のペプチ
ド鎖に、Lys残基を含むペプチドを用いた場合、この
Lys残基のε−アミノ基にカルボキシル基を有する薬
物をアミド結合で導入し、〔ヒアルロン酸−ペプチド−
薬物〕複合体もしくは〔コンドロイチン−ペプチド−薬
物〕複合体を得ることができる。この場合、上述のブロ
ムシアン法によるペプチド導入反応時には、このε−ア
ミノ基は適当な保護基で保護し、反応終了後に脱保護す
る必要がある。例えば、代表的なアミノ基の保護である
Boc基でε−アミノ基を保護したLys残基(Nε−
Boc−Lys)を含むペプチドを導入した〔ヒアルロ
ン酸−保護ペプチド〕複合体を弱酸処理、例えば、0.
5N塩酸中、室温で一晩処理することにより、遊離のア
ミノ基を持つ〔ヒアルロン酸−ペプチド〕複合体を得る
ことができる。次に、この複合体を、例えば、1%Na
HCO水溶液に溶解後、カルボキシル基を有する薬物
のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(活性エステ
ル)を加えて反応させることにより、〔ヒアルロン酸−
ペプチド−薬物〕複合体を得ることができる。ここで薬
物として、例えばメソトレキサート(MTX)を選択す
れば、〔ヒアルロン酸−ペプチド−MTX〕複合体が得
られる。また、これらの複合体のペプチド末端のカルボ
キシル基にアミノ基を有する薬物をアミド結合で結合さ
せても、〔ヒアルロン酸−ペプチド−薬物〕複合体もし
くは、〔コンドロイチン−ペプチド−薬物〕複合体を得
ることができる。
【0055】
【実施例】
(実施例1)ヒト臍帯由来ヒアルロン酸(SIGMA
社、H−1876、2.05g)を、pH5.0に調整
した0.1M酢酸緩衝液(205ml)に溶解後、ウシ睾
丸ヒアルロニダーゼ(10mg)を加え、37℃で2時間
反応させた。反応液をエタノール(1L)中に加えて、
析出した沈殿物を集め、真空乾燥して1.74gの低分
子化ヒアルロン酸を得た。この物質を次のように精製し
た。この物質(1.72g)を、pH8.0に調整した
10mMリン酸緩衝液(172ml)に溶かし、プロナーゼ
E(SIGMA社、3.4mg)を加えた後、40℃で2
0時間反応させ、ヒアルロン酸に結合している蛋白を消
化した。反応液を50mlに濃縮し5.8gの塩化ナトリ
ウムを加えた後、2Mの塩化ナトリウムを含むセチルピ
リジニウムクロライド(CPC)の10%水溶液(15
3ml)を加え、さらにCPCの0.05%水溶液(61
2ml)を加えた。この溶液をポアサイズ0.45μmの
メンブランフィルター(日本ミリポア工業株式会社、H
AWP膜)を用いて吸引ろ過し、得られたろ液(810
ml)に上述のCPCの0.05%水溶液3,240mlを
加えた。析出した沈殿物を集め、10%のエタノールを
含む2M塩化ナトリウム水溶液(55ml)に溶解後、エ
タノール(240ml)を加えた。析出した沈殿物を集
め、真空乾燥して、精製された低分子化ヒアルロン酸
0.96gを得た。この物質の分子量は、デキストラン
を標準物質としてTSKgel G4000PWXLカラ
ム(東ソー株式会社)を用いたゲルろ過法で、1×10
5 であった。
【0056】この物質(80mg)を水(6ml)に溶解
し、ブロムシアン(36mg)を加え、1N NaOHで
pHを10.5〜11.5に調整しながら、30分攪拌
した。続いて、この反応液に、Lys残基のε‐アミノ
基をBoc基で保護したGly‐Gly‐Gly‐Ly
s(Boc)(81mg)を水(3ml)に溶かして加え、
0.1N HClでpHを9.0に調整した後、室温で
17時間反応させた。反応液に酢酸ナトリウム(100
mg)を加えた後、エタノール(40ml)を加えて析出し
た沈殿物を集め、真空乾燥して、80mgのヒアルロン酸
‐Gly‐Gly‐Gly‐Lys(Boc)複合体を
得た。本複合体の置換度は、NMR法により1/15と
算出された。この物質(80mg)を0.5N HCl
(8ml)に溶解後、室温で18時間処理した。反応液を
中和した後、エタノール(48ml)を加えて析出した沈
殿物を集め、真空乾燥して、Lys残基のε‐アミノ基
が脱保護されたヒアルロン酸‐Gly‐Gly‐Gly
‐Lys複合体(70mg)を得た。45mgのメソトレキ
サート(MTX)をジメチルホルムアミド(1ml)に溶
解後、N,N′‐ジシクロヘキシルカルボジイミド(2
0.6mg)を加え、4℃で17時間反応させた。反応液
にN‐ヒドロキシスクシンイミド(11.5mg)とピリ
ジン16μlを加え、室温で1.5時間反応させた。一
方、上記ヒアルロン酸‐Gly‐Gly‐Gly‐Ly
s複合体(40mg)を、1%NaHCO水溶液(4m
l)に溶解後、上記反応液の0.5mlを加えて、室温で
4時間反応させた。反応液にエタノール(18ml)を加
えて析出した沈殿物を集め、真空乾燥して、40mgのヒ
アルロン酸‐Gly‐Gly‐Gly‐Lys‐MTX
複合体を黄色粉末として得た。本複合体の紫外・可視部
吸収スペクトルとゲルろ過溶出パターンをそれぞれ図1
および図2に示す。本複合体のMTX含量は紫外部(3
06nm)の吸光度分析によると6.4%(重量%)で
あった。
【0057】(実施例2)実施例1で得られた低分子化
ヒアルロン酸 (80mg)を水(6ml)に溶解し、ブロムシアン(41
mg)を加え、1N NaOHでpHを10.5〜11.
5に調整しながら40分間攪拌した。続いて、この反応
液に、Lys残基のε‐アミノ基をBoc基で保護した
Gly‐Phe‐Gly‐Lys(Boc)(104m
g)を水(3ml)に溶かして加え、0.1NHClでp
Hを9.0に調整した後、室温で18時間反応させた。
反応液に酢酸ナトリウム(100mg)を加えた後、エタ
ノール(40ml)を加えて析出した沈殿物を集め、真空
乾燥して、93mgのヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐G
ly‐Lys(Boc)複合体を得た。本複合体の置換
度は吸光光度法により、1/12と算出された。この複
合体(91mg)を実施例1と同様に酸処理して、86mg
のヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys複合
体を得た。この物質の紫外・可視部吸収スペクトルを図
3に示す。本複合体(30mg)を1% NaHCO
溶液(3ml)に溶解後、実施例1の方法に準じて調製し
たMTXの活性エステル溶液0.5mlを加え、室温で3
時間反応させた。反応液にエタノール(14ml)を加え
て析出した沈殿物を集め、真空乾燥して、30mgのヒア
ルロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys‐MTX複
合体を黄色粉末として得た。本複合体の紫外・可視部吸
収スペクトルを図4に示す。本複合体のMTX含量は、
紫外部(308nm)の吸光度分析によると、12%
(重量%)であった。
【0058】(実施例3)実施例1で得た低分子化ヒア
ルロン酸(80mg)を水(6ml)に溶解後、ブロムシア
ン(19mg)を加え、1N NaOHでpHを10.5
〜11.5に調整しながら、40分攪拌した。続いてこ
の反応液に、ε‐アミノ基をBoc基で保護したNε‐
Boc‐Lys(98mg)を水(4ml)に溶かして加
え、0.1NHClでpHを9.0に調整した後、室温
で一晩反応させた。反応液に酢酸ナトリウム(100m
g)を加えた後、エタノール(40ml)を加えて析出し
た沈殿物を集め、真空乾燥して、79mgのヒアルロン酸
‐Lys(Boc)複合体を得た。本複合体の置換度は
NMR法によって、1/19と算出された。この複合体
(76mg)を実施例1の方法と同様に酸処理してBoc
基を除去し、66mgのヒアルロン酸‐Lys複合体を得
た。本複合体(30mg)を1% NaHCO水溶液
(6ml)に溶解後、実施例1の方法に準じて調製したM
TXの活性エステル溶液0.5mlを加え、室温で3時間
反応させた。反応液にエタノール(35ml)を加えて析
出した沈殿物を集め、真空乾燥して、29mgのヒアルロ
ン酸‐Lys‐MTX複合体を黄色粉末として得た。本
複合体のMTX含量は、紫外部(306nm)の吸光度
分析から8.3%(重量%)と決定された。
【0059】(実施例4)実施例1で得た低分子ヒアル
ロン酸(80mg)を水(6ml)に溶解後、ブロムシアン
(43mg)を加え、1N NaOHでpHを10.5〜
11.5に調整しながら、40分攪拌した。続いてこの
反応液にε‐アミノ基をBoc基で保護した。Nε‐B
oc‐Lys(99mg)を水(4ml)に溶かして加え、
0.1NHClでpHを9.0に調整した後、室温で一
晩反応させた。反応液に酢酸ナトリウム(100mg)を
加えた後、エタノール(55ml)を加えて析出した沈殿
物を集め、真空乾燥して、90mgのヒアルロン酸‐Ly
s(Boc)複合体を得た。本複合体の置換度はNMR
法によって1/6.6と算出された。この複合体(84
mg)を実施例1の方法と同様に酸処理してBoc基を除
去し、75mgのヒアルロン酸‐Lys複合体を得た。本
複合体(30mg)を1% NaHCO水溶液(3ml)
に溶解後、実施例1の方法に準じて調製したMTXの活
性エステル溶液(0.5ml)を加え、室温で3時間反応
させた。反応液にエタノール(20ml)を加えて析出し
た沈殿物を集め、真空乾燥して、34mgのヒアルロン酸
‐Lys‐MTX複合体を黄色粉末として得た。本複合
体のMTX含量は、紫外部(306nm)の吸光度分析
により18%(重量%)と決定された。
【0060】(実施例5)コンドロイチン(生化学工業
社、80mg)を水(6ml)に溶解後、ブロムシアン(4
0mg)を加え、1N NaOHでpHを10.5〜1
1.5に調整しながら、30分攪拌した。続いて、この
反応液にε‐アミノ基をBoc基で保護した。Nε‐B
oc‐Lys(98mg)を水6mlに溶かして加え、0.
1N HClでpHを9.0に調整した後、室温で16
時間反応させた。反応液に酢酸ナトリウム(100mg)
を加えた後、エタノール(60ml)を加えて析出した沈
殿物を集め、真空乾燥して、77mgのコンドロイチン‐
Lys(Boc)複合体を得た。本複合体の置換度はN
MR法により、1/24と算出された。この複合体(7
7mg)を実施例1の方法と同様に酸処理してBoc基を
除去し、57mgのコンドロイチン‐Lys複合体を得
た。本複合体(31mg)を1% NaHCO水溶液
(3ml)に溶解後、実施例1の方法に準じて調製したM
TXの活性エステル溶液0.5mlを加え、室温で3時間
反応させた。反応液にエタノール(20ml)を加えて析
出した沈殿物を集め、真空乾燥して、29mgのコンドロ
イチン‐Lys‐MTX複合体を黄色粉末として得た。
本複合体の紫外・可視部吸収スペクトルとゲルろ過溶出
パターンをそれぞれ図5および図6に示す。本複合体の
MTX含量は紫外部(308nm)の吸光度分析から、
7.1%(重量%)と決定された。
【0061】(実施例6)実施例1に準じてヒト臍帯由
来ヒアルロン酸1.97gにウシ睾丸ヒアルロニダーゼ
を作用させ、分子量が2×105 の低分子化ヒアルロン
酸(1.02g)を得た。この物質(60mg)を水(6
ml)に溶解後、ブロムシアン(80mg)を加え、1N
NaOHでpHを10.5〜11.5に調整しながら、
50分攪拌した。続いてこの反応液にGly‐Phe‐
Ala(66mg)を水(3ml)に溶かして加え、0.1
N HClでpHを9.0に調整した後、室温で20時
間反応させた。反応液に酢酸ナトリウム(100mg)を
加えた後、エタノール(40ml)を加えて析出した沈殿
物を集め、真空乾燥して81mgのヒアルロン酸‐Gly
‐Phe‐Ala複合体を得た。この物質の紫外・可視
部吸収スペクトルを図7に示す。本複合体の置換度は、
吸光光度法により1/4.2と算出された。
【0062】(実施例7)実施例6で得た低分子ヒアル
ロン酸(61mg)を水(6ml)に溶解後、ブロムシアン
(90mg)を加え、1N NaOHでpHを10.5〜
11.5に調整しながら、50分攪拌した。続いてこの
反応液にGly‐Phe‐Phe(83mg)を水(3m
l)に溶かして加え、0.1N HClでpHを9.0
に調整した後、室温で20時間反応させた。反応液に酢
酸ナトリウム(100mg)を加えた後、エタノール(4
0ml)を加えて析出した沈殿物を集め、真空乾燥して、
83mgのヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐Phe複合体
を得た。本複合体の置換度は吸光光度法より1/4.4
と算出された。
【0063】(実施例8)ヒト臍帯由来ヒアルロン酸
(SIGMA社、H‐1876、2.01g)を、pH
5.0に調製した0.1M酢酸緩衝液(201ml)に溶
解後、ウシ睾丸ヒアルロニダーゼ(10mg)を加え、3
7℃で1.5時間反応させた。反応液をエタノール(8
00ml)に加えて、析出した沈澱物を集め、真空乾燥し
て1.72gの低分子粗精製ヒアルロン酸を得た。この
物質(865mg)を実施例1に準じて精製し、682mg
の精製低分子化ヒアルロン酸を得た。この物質の分子量
を実施例1に準じて測定すると、5×105 であった。
この低分子ヒアルロン酸(80mg)を水(6ml)に溶解
した後、ブロムシアン(36mg)を加え、1N NaO
HでpHを10.5〜11.5に調整しながら室温で3
5分攪拌した。この反応液にNε‐Boc‐Lys(9
8mg)を水4mlに溶かして加え、0.1N HClで
pHを9.0に調整した後、室温で一晩反応させた。反
応液に酢酸ナトリウム(100mg)を加えた後、エタノ
ール(37ml)を加えて析出した沈澱を集め、真空乾燥
して、90mgのヒアルロン酸‐Lys(Boc)複合体
を得た。本複合体の置換度はNMR法により、1/5.
6と算出された。この複合体(86mg)を0.5N H
Cl(8.6ml)に溶解して、室温で一晩攪拌した。反
応液を中和した後、エタノール(40ml)を加え、析出
した沈澱物を集め、真空乾燥して、Boc基の除去され
たヒアルロン酸‐Lys複合体(75mg)を得た。11
4mgのMTXをジメチルホルムアミド(2.5ml)に溶
解した後、N,N′‐ジシクロヘキシルカルボジイミド
(51.5mg)を加え、4℃で一晩反応させた。反応液
にN‐ヒドロキシスクシンイミド(29mg)とピリジン
40μlを加え、室温で4時間反応させた。一方、上記
ヒアルロン酸‐Lys複合体(51mg)を1%NaHC
水溶液(5ml)に溶解後、上記反応液の0.83ml
を加えて、室温で3時間反応させた。反応液にエタノー
ル(25ml)を加えて析出した沈澱物を集め、真空乾燥
して、56mgのヒアルロン酸‐Lys‐MTX複合体を
黄色粉末として得た。本複合体のMTX含量は紫外部
(306nm)の吸光度分析によると16%(重量%)で
あった。
【0064】(実施例9)Lys(Boc)の代わりに
Gly‐Gly‐Gly‐Lys(Boc)(86mg)
を用い、加えるブロムシアンの量を38mgとした以外は
実施例8と同様に反応を行い、ヒアルロン酸‐Gly‐
Gly‐Gly‐Lys(Boc)複合体(94mg)を
得た。本複合体の置換度はNMR法により、1/11と
算出された。この複合体(85mg)を実施例8に準じて
酸処理することにより、脱保護されたヒアルロン酸‐G
ly‐Gly‐Gly‐Lys複合体(76mg)を得
た。この複合体(51mg)に、MTXの活性エステルを
実施例8と同様に作用させることにより、50mgのヒア
ルロン酸‐Gly‐Gly‐Gly‐Lys‐MTX複
合体を黄色粉末として得た。本複合体のMTX含量は紫
外部(307nm)の吸光度分析によると8.9%(重量
%)であった。
【0065】(実施例10)Lys(Boc)の代わり
にGly‐phe‐Gly‐Lys(Boc)(109
mg)を用い、加えるブロムシアンの量を45mgとした以
外は実施例8と同様に反応を行い、ヒアルロン酸‐Gl
y‐Phe‐Gly‐Lys(Boc)複合体(95m
g)を得た。本複合体の置換度は吸光度法により、1/
8.6と算出された。この複合体(91mg)を実施例8
に準じて酸処理することにより、脱保護されたヒアルロ
ン酸‐Gly‐Gly‐Gly‐Lys複合体(81m
g)を得た。この複合体(50mg)に、MTXの活性エ
ステルを実施例8と同様に作用させることにより、54
mgのヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys‐
MTX複合体を黄色粉末として得た。本複合体のMTX
含量は紫外部(307nm)の吸光度分析によると17%
(重量%)であった。
【0066】(実施例11)実施例8で得た粗精製のヒ
アルロン酸0.93gを、pH5.0に調製した0.1
M酢酸緩衝液(93ml)に溶解した後、牛睾丸ヒアルロ
ニダーゼ9.3mgを加え、37℃で6.5時間反応させ
た。反応液にエタノール(465ml)を加え、析出した
沈澱物を集め、真空乾燥して0.78gの低分子ヒアル
ロン酸を得た。このヒアルロン酸を実施例1に準じて精
製し、274mgの精製低分子ヒアルロン酸を得た。この
物質の分子量を実施例1に準じて測定すると、3×10
であった。この低分子ヒアルロン酸(80mg)を水
(6ml)に溶解した後、ブロムシアン(36mg)を加
え、1N NaOHでpHを10.5〜11.5に調整
しながら室温で30分攪拌した。この反応液にLys
(Boc)(99mg)を水3mlに溶かして加え、0.1
N HClでpHを9.0に調整した後、室温で一晩反
応させた。反応液に酢酸ナトリウム(100mg)を加え
た後、エタノール(50ml)を加え、析出した沈澱を集
め、真空乾燥して、94mgのヒアルロン酸‐Lys(B
oc)複合体を得た。本複合体の置換度はNMR法によ
り、1/7.6と算出された。この複合体(90mg)を
0.5N HCl(9.0ml)に溶解して、室温で一晩
攪拌した。反応液を中和した後、エタノール(70ml)
を加えて析出した沈澱物を集め、真空乾燥して、Boc
基の除去されたヒアルロン酸‐Lys複合体(81mg)
を得た。この複合体(51mg)を1%NaHCO水溶
液(5ml)に溶解後、実施例8に準じて調製したMTX
の活性エステル溶液0.83mlを加えて、室温で3.5
時間反応させた。反応液にエタノール(25ml)を加え
て析出した沈澱物を集め、真空乾燥して、52mgのヒア
ルロン酸‐Lys‐MTX複合体を黄色粉末として得
た。本複合体のMTX含量は紫外部(307nm)の吸光
度分析によると15%(重量%)であった。
【0067】(実施例12)Lys‐(Boc)の代わ
りにGly‐Gly‐Gly‐Lys(Boc)(87
mg)を用い、加えるブロムシアンの量を34mgとした以
外は実施例11と同様に反応を行い、ヒアルロン酸‐G
ly‐Gly‐Gly‐Lys(Boc)複合体(94
mg)を得た。本複合体の置換度はNMR法により、1/
15と算出された。この複合体(91mg)を実施例11
に準じて酸処理することにより、脱保護されたヒアルロ
ン酸‐Gly‐Gly‐Gly‐Lys(Boc)複合
体(81mg)を得た。この複合体(51mg)に、MTX
の活性エステルを実施例11と同様に作用させることに
より、48mgのヒアルロン酸‐Gly‐Gly‐Gly
‐Lys‐MTX複合体を黄色粉末として得た。本複合
体のMTX含量は紫外部(306nm)の吸光度分析によ
ると8.2%(重量%)であった。
【0068】(実施例13)Lys(Boc)の代わり
にGly‐Phe‐Gly‐Lys(Boc)(108
mg)を用い、加えるブロムシアンの量を43mgとした以
外は実施例11と同様に反応を行い、ヒアルロン酸‐G
ly‐Phe‐Gly‐Lys(Boc)複合体(11
4mg)を得た。本複合体の置換度は吸光度法により、1
/8.1と算出された。この複合体(110mg)を実施
例11に準じて酸処理することにより、脱保護されたヒ
アルロン酸‐Gly‐Gly‐Gly‐Lys複合体
(97mg)を得た。この複合体(51mg)に、MTXの
活性エステルを実施例11と同様に作用させることによ
り、53mgのヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐
Lys‐MTX複合体を黄色粉末として得た。本複合体
のMTX含量は紫外部(306nm)の吸光度分析による
と19%(重量%)であった。
【0069】(実施例14)Nε‐Boc‐Lysの代
わりにGly‐Gly‐Gly‐Lys(Boc)(8
7mg)用い、加えるブロムシアンの量を41mgとした以
外は実施例5と同様に反応を行ない、コンドロイチン‐
Gly‐Gly‐Gly‐Lys(Boc)複合体(8
1mg)を得た。本複合体の置換度はNMR法により、1
/55と算出された。この複合体(78mg)を実施例5
に準じて酸処理することにより、脱保護されたコンドロ
イチン‐Gly‐Gly‐Gly‐Lys複合体(71
mg)を得た。この複合体(60mg)に、MTX(45m
g)の活性エステルを実施例8と同様にして反応させる
ことにより、56mgのコンドロイチン‐Gly‐Gly
‐Gly‐Lys‐MTX複合体を黄色粉末として得
た。本複合体のMTX含量は紫外部(307nm)の吸光
度分析によると3.1%(重量%)であった。
【0070】(実施例15)Nε‐Boc‐Lysの代
わりにGly‐Phe‐Gly‐Lys(Boc)(1
14mg)を用い、加えるブロムシアンの量を41mgとし
た以外は実施例5と同様に反応を行い、コンドロイチン
‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys(Boc)複合体
(82mg)を得た。本複合体の置換度はNMR法によ
り、1/26と算出された。この複合体(80mg)を実
施例5に準じて酸処理することにより、脱保護されたコ
ンドロイチン‐Gly‐Gly‐Gly‐Lys複合体
(76mg)を得た。この複合体(60mg)に、MTX
(45mg)の活性エステルを実施例8と同様にして反応
させることにより、55mgのコンドロイチン‐Gly‐
Phe‐Gly‐Lys‐MTX複合体を黄色粉末とし
て得た。本複合体のMTX含量は紫外部(306nm)の
吸光度分析によると6.5%(重量%)であった。
【0071】(実施例16)Nε‐Boc‐Lysの代
わりにBoc‐Glu(Lys)(75mg)を用い、加
えるブロムシアンの量を37mgとした以外は実施例5と
同様に反応を行い、Boc‐Glu(Lys‐コンドロ
イチン)複合体(86mg)を得た。この複合体(84m
g)を実施例5に準じて酸処理することにより、脱保護
されたGlu(Lys‐コンドロイチン)複合体(78
mg)を得た。この複合体(60mg)に、MTX(45m
g)の活性エステルを実施例8と同様にして反応させる
ことにより、56mgのMTX‐Glu(Lys‐コンド
ロイチン)複合体を黄色粉末として得た。本複合体のM
TX含量は紫外部(306nm)の吸光度分析によると
5.7%(重量%)であった。
【0072】(実施例17)Nε‐Boc‐Lysの代
わりにLeu‐Ala‐Leu‐Lys(Boc)(1
17mg)を用い、加えるブロムシアンの量を35mgとし
た以外は実施例5と同様に反応を行い、コンドロイチン
‐Leu‐Ala‐Leu‐Lys(Boc)複合体
(65mg)を得た。本複合体の置換度はNMR法によ
り、1/50と算出された。この複合体(63mg)を実
施例5に準じて酸処理することにより、脱保護されたコ
ンドロイチン‐Leu‐Ala‐Leu‐Lys複合体
(54mg)を得た。この複合体(50mg)に、MTX
(45mg)の活性エステルを実施例8と同様にして反応
させることにより、45mgのコンドロイチン‐Leu‐
Ala‐Leu‐Lys‐MTX複合体を黄色粉末とし
て得た。本複合体のMTX含量は紫外部(307nm)の
吸光度分析によると6.0%(重量%)であった。
【0073】(実施例18)Nε‐Boc‐Lysの代
わりにPhe‐Phe‐Lys(Boc)(98mg)を
用い、加えるブロムシアンの量を37mgとした以外は実
施例5と同様に反応を行い、コンドロイチン‐Phe‐
Phe‐Lys(Boc)複合体(81mg)を得た。こ
の複合体(78mg)を実施例5に準じて酸処理すること
により、脱保護されたコンドロイチン‐Phe‐Phe
‐Lys複合体(72mg)を得た。この複合体(60m
g)に、MTX(45mg)の活性エステルを実施例8と
同様にして反応させることにより、56mgのコンドロイ
チン‐Phe‐Phe‐Lys‐MTX複合体を黄色粉
末として得た。本複合体のMTX含量は紫外部(307
nm)の吸光度分析から4.7%(重量%)であった。
【0074】(実施例19)実施例1に準じて調製した
分子量1×10の低分子ヒアルロン酸(80mg)を水
(6ml)に溶解した後、ブロムシアン(32mg)を加
え、1N NaOHでpHを10.5〜11.5に調整
しながら室温で30分攪拌した。この反応液にBoc‐
Glu(Lys)(75mg)を水2mlに溶かして加え、
0.1N HClでpHを9.0に調整した後、室温で
一晩反応させた。反応液に酢酸ナトリウム(100mg)
を加えた後、エタノール(40ml)を加えて析出した沈
澱を集め、真空乾燥して、92mgのBoc‐Glu(L
ys‐ヒアルロン酸)複合体を得た。本複合体の置換度
はNMR法により、1/8.0と算出された。この複合
体(90mg)を0.5N HCl(9.0ml)に溶解し
て、室温で一晩攪拌した。反応液を中和した後、エタノ
ール42mlを加え、析出した沈澱物を集め、真空乾燥し
て、Boc基の除去されたGlu(Lys‐ヒアルロン
酸)複合体(86mg)を得た。この複合体(60mg)を
1%NaHCO水溶液(5ml)に溶解した後、実施例
8に準じて調製したMTX(45mg)の活性エステルを
加えて、室温で3時間反応させた。反応液にエタノール
(35ml)を加え、析出した沈澱物を集め、真空乾燥し
て、62mgのMTX‐Glu(Lys‐ヒアルロン酸)
複合体を黄色粉末として得た。本複合体MTX含量は、
紫外部(306nm)の吸光度分析から13%(重量%)
と算出された。
【0075】(実施例20)Boc‐Glu(Lys)
の代わりにLeu‐Ala‐Leu‐Lys(Boc)
(117mg)を用い、加えるブロムシアンの量を42mg
とした以外は実施例19と同様に反応を行い、ヒアルロ
ン酸‐Leu‐Ala‐Leu‐Lys(Boc)複合
体(89mg)を得た。本複合体の置換度は、NMR法に
より1/6.8と算出された。この複合体(86mg)を
実施例19に準じて酸処理することにより、脱保護され
たヒアルロン酸‐Leu‐Ala‐Leu‐Lys(B
oc)複合体(75mg)を得た。この複合体(60mg)
に、MTX(45mg)の活性エステルを実施例8と同様
にして反応させることにより、64mgのヒアルロン酸‐
Leu‐Ala‐Leu‐Lys‐MTX複合体を黄色
粉末として得た。本複合体のMTX含量は紫外部(30
6nm)の吸光度分析によると14%(重量%)であっ
た。
【0076】(実施例21)Boc‐Glu(Lys)
の代わりにPhe‐Phe‐Lys(Boc)(98m
g)を用い、加えるブロムシアンの量を37mgとした以
外は実施例19と同様に反応を行い、ヒアルロン酸‐P
he‐Phe‐Lys(Boc)複合体(96mg)を得
た。本複合体の置換度は、NMR法により1/6.6と
算出された。この複合体(93mg)を実施例19に準じ
て酸処理することにより、脱保護されたヒアルロン酸‐
Phe‐Phe‐Lys複合体(82mg)を得た。この
複合体(60mg)に、MTX(45mg)の活性エステル
を実施例8と同様にして反応させることにより、62mg
のヒアルロン酸‐Phe‐Phe‐Lys‐MTX複合
体を黄色粉末として得た。本複合体のMTX含量は紫外
部(306nm)の吸光度分析によると17%(重量%)
であった。
【0077】(実施例22) (1) 実施例1に準じて調製した分子量1×10の低
分子化ヒアルロン酸(200mg)に、過ヨウ素酸ナトリ
ウム(36mg)を10mlの水に溶かして加え、4℃で7
日間反応させた。この反応液を水に対して透析した後、
酢酸ナトリウム(370mg)を加えた。この液をエタノ
ール(150ml)中に加え、析出した沈澱を集め、真空
乾燥して、ヒアルロン酸の開環アルデヒド体(166m
g)を得た 。 (2) このヒアルロン酸の開環アルデヒド体(16
6mg)に、水素化ホウ素ナトリウム(166mg)を0.
1%炭酸水素ナトリウム水溶液(16.6ml)に溶かし
て加え、室温で一晩攪拌した。この反応液を酢酸でpH
5.0に調整した後に、エタノール(80ml)を加え、
析出した沈澱を集め、真空乾燥して、ヒアルロン酸の開
環ポリアルコール体(150mg)を得た。この物質のゲ
ルろ過溶出パターン(検出:示差屈折率)を図11とし
て示す。 (3) この開環ポリアルコール体(70mg)を水(6m
l)に溶解した後、ブロムシアン(33mg)を加え、1
N NaOHでpHを10.5〜11.5に調整しなが
ら室温で30分攪拌した。この反応液にNε‐Boc‐
Lys(86mg)を水3mlに溶かして加え、0.1N
HClでpHを9.0に調整した後、室温で一晩反応さ
せた。反応液に酢酸ナトリウム(100mg)を加えた
後、エタノール(45ml)を加え、析出した沈澱を集
め、真空乾燥して、69mgの開環ポリアルコール化ヒア
ルロン酸‐Lys(Boc)複合体を得た。本複合体の
置換度はNMR法により、1/13と算出された。この
複合体(67mg)を0.5N HCl(6.7ml)に溶
解して、室温で一晩攪拌した。反応液を中和した後、エ
タノール40mlを加え、析出した沈澱物を集め、真空乾
燥して、Boc基の除去された、開環ポリアルコール化
ヒアルロン酸‐Lys複合体(57mg)を得た。この複
合体(45mg)を1%NaHCO水溶液(4.5ml)
に溶解した後、実施例8に準じて調製したMTX(35
mg)の活性エステルを加えて、室温で3時間反応させ
た。反応液にエタノール(40ml)を加え、析出した沈
澱物を集め、真空乾燥して、47mgの開環ポリアルコー
ル化ヒアルロン酸‐Lys‐MTX複合体を黄色粉末と
して得た。本複合体のMTX含量は、紫外部(306n
m)の吸光度分析によると12%(重量%)と算出され
た。
【0078】(実施例23)Nε‐Boc‐Lysの代
わりにGly‐Phe‐Gly‐Lys(Boc)(9
5mg)を用い、加えるブロムシアンの量を37mgとした
以外は実施例22と同様に反応を行い、開環ポリアルコ
ール化ヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys
(Boc)複合体(79mg)を得た。本複合体の置換度
は、NMR法により1/11と算出された。この複合体
(77mg)を実施例22に準じて酸処理することによ
り、Boc基の除去された開環ポリアルコール化ヒアル
ロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys複合体(60
mg)を得た。この複合体(50mg)に、MTX(38m
g)の活性エステルを実施例8と同様に反応させること
により、54mgの開環ポリアルコール化ヒアルロン酸‐
Gly‐Phe‐Gly‐Lys‐MTX複合体を黄色
粉末として得た。本複合体のMTX含量は紫外部(30
6nm)の吸光度分析によると14%(重量%)であっ
た。
【0079】(実施例24)低分子化ヒアルロン酸の代
わりにコンドロイチン(生化学工業社、200mg)を用
いた以外は実施例22と同様に反応を行い、コンドロイ
チンの開環ポリアルコール体(134mg)を得た。実施
例22に準じて、この物質(70mg)にブロムシアン
(33mg)を作用させた後、Nε‐Boc‐Lys(8
6mg)を反応させて、開環ポリアルコール化コンドロイ
チン‐Lys(Boc)複合体(64mg)を得た。本複
合体の置換度はNMR法により1/30と算出された。
この複合体(62mg)を、実施例22に準じて酸処理す
ることにより、Boc基の除去された開環ポリアルコー
ル化コンドロイチン‐Lys複合体(56mg)を得た。
この複合体(45mg)に、MTX(35mg)の活性エス
テルを実施例8と同様にして反応させることにより、4
3mgの開環ポリアルコール化コンドロイチン‐Lys‐
MTX複合体を黄色粉末として得た。本複合体のMTX
含量は紫外部(306nm)の吸光度分析によると6.4
%(重量%)であった。
【0080】(実施例25)実施例24において得られ
たコンドロイチンの開環ポリアルコール体(65mg)
に、実施例22に準じてブロムシアン(39mg)を作用
させた後、Gly‐Phe‐Gly‐Lys(Boc)
(87mg)を反応させることによって、開環ポリアルコ
ール化コンドロイチン‐Gly‐Phe‐Gly‐Ly
s(Boc)複合体(62mg)を得た。本複合体の置換
度はNMR法により1/37と算出された。この複合体
(60mg)を実施例22と同様に酸処理することによっ
て、Boc基の除去された開環ポリアルコール化コンド
ロイチン‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys複合体(5
1mg)を得た。この複合体(40mg)に、MTX(31
mg)の活性エステルを実施例8と同様に反応させること
により、37mgの開環ポリアルコール化コンドロイチン
‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys‐MTX複合体を黄
色粉末として得た。本複合体のMTX含量は紫外部(3
06nm)の吸光度分析によると5.8%(重量%)であ
った。
【0081】(実施例26)低分子化ヒアルロン酸(2
00mg)に対して反応させる過ヨウ素酸ナトリウムの量
を1/2に減じて18mgとした以外は実施例22と同様
にして、開環の割合の低いヒアルロン酸開環ポリアルコ
ール体(153mg)を得た。実施例22に準じて、この
物質(65mg)にブロムシアン(36mg)を作用させた
後、Nε‐Boc‐Lys(80mg)を反応させること
により、開環ポリアルコール化ヒアルロン酸‐Lys
(Boc)複合体(73mg)を得た。本複合体の置換度
はNMR法により1/9.0と算出された。この複合体
(71mg)を、実施例22に準じて酸処理することによ
って、Boc基の除去された開環ポリアルコール化ヒア
ルロン酸‐Lys複合体(65mg)を得た。この複合体
(50mg)に、MTX(38mg)の活性エステルを実施
例8と同様にして反応させることにより、53mgの開環
ポリアルコール化ヒアルロン酸‐Lys‐MTX複合体
を黄色粉末として得た。本複合体のMTX含量は紫外部
(306nm)の吸光度分析によると16%(重量%)で
あった。
【0082】(実施例27)実施例26において得られ
たヒアルロン酸の開環ポリアルコール体(65mg)に、
実施例22に準じてブロムシアン(27mg)を作用させ
た後、Gly‐Phe‐Gly‐Lys(Boc)(8
5mg)を反応させることにより、開環ポリアルコール化
ヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys(Bo
c)複合体(76mg)を得た。本複合体の置換度はNM
R法により1/14と算出された。この複合体(74m
g)を実施例22と同様に酸処理することによって、B
oc基の除去された開環ポリアルコール化ヒアルロン酸
‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys複合体(70mg)を
得た。この複合体(50mg)に、MTX(38mg)の活
性エステルを実施例8と同様に反応させることにより、
49mgの開環ポリアルコール化コンドロイチン‐Gly
‐Phe‐Gly‐Lys‐MTX複合体を黄色粉末と
して得た。本複合体のMTX含量は紫外部(306nm)
の吸光度分析によると13%(重量%)であった。
【0083】(実施例28)Boc‐Glu(Lys)
の代わりにGly‐Phe‐Gly‐α‐Boc‐ε‐
Lys(102mg)を用い、加えるブロムシアンの量を
41mgとした以外は実施例19と同様に反応を行い、ヒ
アルロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐α‐Boc‐ε
‐Lys複合体(100mg)を得た。本複合体の置換度
は、NMR法により1/7.1と算出された。この複合
体(97mg)を実施例19に準じて酸処理することによ
って、脱保護されたヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐G
ly‐ε‐Lys複合体(91mg)を得た。この複合体
(60mg)に、MTX(45mg)の活性エステルを実施
例8と同様にして反応させることにより、63mgのヒア
ルロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐ε‐Lys‐α‐
MTX複合体を黄色粉末として得た。本複合体のMTX
含量は紫外部(309nm)の吸光度分析によると14%
(重量%)であった。
【0084】(実施例29)Boc‐Glu(Lys)
の代わりにBoc‐Gly‐Phe‐Gly‐Lys
(102mg)を用い、加えるブロムシアンの量を41mg
とした以外は実施例19と同様に反応を行い、Boc‐
Gly‐Phe‐Gly‐Lys‐ヒアルロン酸複合体
(98mg)を得た。本複合体の置換度は、NMR法によ
り1/10と算出された。この複合体(96mg)を実施
例19に準じて酸処理することによって、脱保護された
Gly‐Phe‐Gly‐Lys‐ヒアルロン酸複合体
(91mg)を得た。この複合体(70mg)に、MTX
(54mg)の活性エステルを実施例8と同様にして反応
させることにより、71mgのMTX‐Gly‐Phe‐
Gly‐Lys‐ヒアルロン酸複合体を黄色粉末として
得た。本複合体のMTX含量は紫外部(308nm)の吸
光度分析によると16%(重量%)であった。
【0085】(実施例30)Boc‐Glu(Lys)
の代わりにBoc‐Gly‐Gly‐Gly‐Lys
(84mg)を用い、加えるブロムシアンの量を41mgと
した以外は実施例19と同様に反応を行い、Boc‐G
ly‐Gly‐Gly‐Lys‐ヒアルロン酸複合体
(99mg)を得た。本複合体の置換度は、NMR法によ
り1/6.6と算出された。この複合体(97mg)を実
施例19に準じて酸処理することによって、脱保護され
たGly‐Gly‐Gly‐Lys‐ヒアルロン酸複合
体(89mg)を得た。この複合体(70mg)に、MTX
(54mg)の活性エステルを実施例8と同様にして反応
させることにより、76mgのMTX‐Gly‐Gly‐
Gly‐Lys‐ヒアルロン酸複合体を黄色粉末として
得た。本複合体のMTX含量は紫外部(308nm)の吸
光度分析によると16%(重量%)であった。
【0086】(実施例31)実施例1に準じて調整した
分子量1×105の低分子化ヒアルロン酸(161mg)
に、過ヨウ素酸ナトリウム(29mg)を10mlの水に溶
かして加え、4℃で10日間反応させた。この反応液を
水に対して透析した後、酢酸ナトリウム(268mg)を
加えた。この液をエタノール(134ml)中に加え、析
出した沈澱を集め、真空乾燥して、ヒアルロン酸の開環
アルデヒド体(138mg)を得た。この物質のゲルろ過
溶出パターン(検出:示差屈折率)を図12として示
す。
【0087】(実験例1)試料と方法 実施例3(ヒアルロン酸‐Lys−MTX)の複合体
(1mg)を、ウシ睾丸ヒアルロニダーゼ(100μg)
の存在下および非存在下0.1M酢酸緩衝液(pH5.
0,200μl)中37℃で反応させ、0、1.4およ
び24時間の反応液を実施例1記載と同じゲルろ過法に
より分析した。結 果 結果を図8に示す。図8は反応時間とその反応時間での
反応液においてピークの溶出が現われる溶出時間との関
係を示すグラフである。図中○印線および●印線は、ヒ
アルロン酸‐Lys‐MTXについてヒアルロニダーゼ
が存在しない場合およびヒアルロニダーゼが存在する場
合におけるそれぞれの結果を示す。図8より、この複合
体にはヒアルロニダーゼの作用による低分子化が認めら
れ、従って生体内において徐々に分解を受け、長時間の
体内残留は起こらないことが期待される。
【0088】(実験例2)実施例1に示した複合体(ヒ
アルロン酸‐Gly‐Gly‐Gly‐Lys‐MT
X)を生理食塩水に溶かし、40mg/mlのものを準備し
た。別に担癌ラット数匹より血液を採取し、遠心分離に
よりプラズマを得た。直ちにプラズマ190μlに上記
の水溶液10μlを加え、37℃にて一定時間インキュ
ベートした。各時間のサンプルについてメタノール、ク
ロロホルムによる除蛋白処理を行った後に、HPLC
(GPC,カラム:TSK‐gel G4000P
XL,カラム温度:40℃,溶出液:0.1M‐NaC
l水溶液,検出:307nmにおける紫外部吸収)にて
分析した。0時間を100%とした時の各時間後の複合
体の量の変化を図9に示す。図9より本発明物質が薬物
送達に必要な時間内において十分な血中安定性を示すこ
とがわかる。
【0089】(実験例3)試料と方法 実施例4および実施例5に準じて調製したヒアルロン酸
‐Lys‐H‐MTXおよびコンドロイチン‐Lys
H‐MTXをそれぞれ試料Aおよび試料Bとした。
ICR系の雄性マウスを用いて、Sarcoma 18
0を鼠頸部皮下に移植し、10日後のマウスを実験に供
した。試料を生理食塩水に溶解し、1群3匹のマウスを
用い、尾静脈より試料AおよびBを20mg/kgを投与し
た。投与後6時間に大腿動脈および静脈を切断し、血液
を採取後、癌組織を摘出した。血液を遠心分離して得ら
れた血清と癌組織を燃焼装置を用いて燃焼し、放射活性
を液体シンチレーション法にて測定し、濃度を求めた。結 果 結果を表1に示す。表1より、試料の癌組織中濃度は血
清中濃度に比べて高く、特に試料Aについて顕著であっ
た。
【0090】
【表1】
【0091】(実験例4)実施例22で得た複合体(開
環ポリアルコール化ヒアルロン酸‐Lys‐MTX)の
ラットプラズマ中における安定性を実施例2に準じて評
価した。複合体の残存率の経時変化は図10に示される
通りである。図10により本発明による物質が薬物送達
に必要な時間内において十分な血中安定性を示すことが
わかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒアルロン酸‐Gly‐Gly‐Gly‐Ly
s‐MTX複合体の紫外・可視部吸収スペクトル(濃
度:50μg/ml、溶媒:0.2% NaHCO)を
表わす。
【図2】ヒアルロン酸‐Gly‐Gly‐Gly‐Ly
s‐MTX複合体のゲルろ過溶出パターン(検出:30
3nmにおける紫外部吸収)を表わす。
【図3】ヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐Ly
s複合体の紫外・可視部吸収スペクトル(濃度:5mg/
ml、溶媒:水)を表わす。
【図4】ヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐Gly‐Ly
s‐MTX複合体の紫外・可視部吸収スペクトル(濃
度:100μg/ml、溶媒: 0.2% NaHC
)を表わす。
【図5】コンドロイチン‐Lys‐MTX複合体の紫外
・可視部吸収スペクトル(濃度:100μg/ml、溶媒
0.2% NaHCO)を表わす。
【図6】コンドロイチン‐Lys‐MTX複合体のゲル
ろ過溶出パターン(検出:303nmにおける紫外部吸
収)を表わす。
【図7】ヒアルロン酸‐Gly‐Phe‐Ala複合体
の紫外・可視部吸収スペクトル(濃度:2.5mg/ml、
溶媒:水)を表わす。
【図8】反応時間とその反応時間での反応液においてピ
ークの溶出が現われる溶出時間との関係を示すグラフを
表わす。
【図9】複合体として存在しているMTXの血漿中濃度
の経時変化(in vitro)を示すグラフを表わす。
【図10】開環ポリアルコール化ヒアルロン酸‐Lys
‐MTXの血漿中濃度の経時変化(in vitro)を示すグ
ラフを表わす。
【図11】開環ポリアルコール化ヒアルロン酸のゲルろ
過溶出パターン(検出:示差屈折率)を表す。
【図12】開環アルデヒド化ヒアルロン酸のゲルろ過溶
出パターン(検出:示差屈折率)を表す。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式(I)または(II)で表わさ
    れる単位から構成される、ゲルろ過法による分子量が
    3,000〜800,000である、多糖誘導体および
    その塩。 【化1】 〔前記式中、 Y、Y、YおよびYは、同一または異なってい
    てもよく、それぞれ水素原子、基−CONH、また
    は、 下記一般式(III )で表わされる基: 【化2】 (式中、 Zは1〜5個の同一または異なるアミノ酸を含んでな
    るペプチド鎖を表わし、 Pは水素原子、水酸基または保護基を表わし、 Wは酸素原子または基NHを表わす。ただし、C−Z1
    結合はC−N結合である)、を表わすか、もしくは、 Y、Y、YおよびYのうち、いずれか2つが一
    緒になって結合して下記一般式(IV)で表わされる基: 【化3】 (式中、 Zは1〜5個の同一または異なるアミノ酸を含んでな
    るペプチド鎖を表わし、 Pは前記一般式(III)で定義したものと同義である。た
    だし、C=Z2 結合はC=N結合である)を表わす。た
    だし、Y、Y、YおよびYとして前記一般式
    (III )で表わされる基または前記一般式(IV)で表わ
    される基を有する単位が分子中に少なくとも1以上存在
    する。〕
  2. 【請求項2】下記の式(V)および式(VI)または式
    (VII )および式(VIII)で表される単位から構成され
    る、ゲルろ過法による分子量が1,000〜800,0
    00である、多糖誘導体およびその塩。 【化4】
  3. 【請求項3】下記の式(IX)および式(X)または式
    (XI)および式(XII)で表される単位から構成される、
    ゲルろ過法による分子量が1,000〜800,000
    である、多糖誘導体およびその塩。 【化5】
  4. 【請求項4】下記の式(XIII)および式(XIV)または式
    (XV)および式(XVI)で表される単位から構成される、
    ゲルろ過法による分子量が1,000〜800,000
    である、多糖誘導体およびその塩。 【化6】 〔前記式中、 X、X、X、X、X、X、XおよびX
    は、同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原
    子、基−CONH、または、 請求項1で定義した一般式(III )で表わされる基を表
    わすか、もしくは、 X、X、XおよびXまたはX、X、X
    よびXのうちいずれか2つの基が一緒になって結合し
    て請求項1で定義した一般式(IV)で表わされる基を表
    わす。ただし、X、X、X、X、X、X
    およびXとして前記一般式(III )で表わされる
    基または前記一般式(IV)で表わされる基を有する単位
    が分子中に少なくとも1以上存在する。〕
  5. 【請求項5】分子中の単糖単位の総モル数aと、分子中
    に導入されたZまたはZで表わされるペプチド鎖の
    モル数bとが、b/a=1/2〜1/100の関係にあ
    る、請求項1または4記載の多糖誘導体およびその塩。
  6. 【請求項6】ZおよびZが1〜4個の同一または異
    なるアミノ酸を含んでなるペプチド鎖を表わし、そのC
    末端側アミノ酸にPが結合してなる、請求項1または4
    記載の多糖誘導体およびその塩。
  7. 【請求項7】Z−PおよびZ−Pが、下記のいずれ
    かである、請求項1または4のいずれか一項記載の多糖
    誘導体およびその塩。 【化7】
  8. 【請求項8】請求項1、4〜7のいずれか一項記載の多
    糖誘導体のPで表される水素原子または水酸基が、さら
    に基OR、CORもしくはNR (ここで、 基ORは、一般式ROHで表されるアルコール性水
    酸基を有する医薬化合物のアルコール性水酸基から水素
    原子を除いた残基を表し、 基CORは、一般式RCOOHで表されるカルボキ
    シル基を有する医薬化合物のカルボキシル基から水酸基
    を除いた残基を表し、 基NRは、一般式RNHで表されるアミノ
    基を有する医薬化合物のアミノ基から水素原子を一個除
    いた残基を表す)で置換されてなる、多糖誘導体および
    その塩。
  9. 【請求項9】一般式RCOOHで表されるカルボキシ
    ル基を有する医薬化合物がメソトレキサートである、請
    求項8記載の多糖誘導体およびその塩。
  10. 【請求項10】ヒアルロン酸またはコンドロイチンにシ
    アノゲンハライドを反応させた後、ペプチド鎖を反応さ
    せることからなる、請求項1記載の多糖誘導体およびそ
    の塩の製造法。
  11. 【請求項11】ヒアルロン酸またはコンドロイチンに過
    ヨウ素酸またはその塩を反応させることからなる、請求
    項2記載の多糖誘導体およびその塩の製造法。
  12. 【請求項12】ヒアルロン酸またはコンドロイチンに過
    ヨウ素酸またはその塩を反応させ、次に水素化ナトリウ
    ムを反応させることからなる、請求項3記載の多糖誘導
    体およびその塩の製造法。
  13. 【請求項13】ヒアルロン酸またはコンドロイチンに過
    ヨウ素酸またはその塩を反応させ、次に水素化ナトリウ
    ムを反応させ、更にシアノゲンハライドを反応させた
    後、ペプチド鎖を反応させることからなる、請求項4記
    載の多糖誘導体およびその塩の製造法。
  14. 【請求項14】請求項1又は4記載の多糖誘導体のP
    を、一般式ROHで表されるアルコール性水酸基を有
    する医薬化合物、一般式RCOOHで表されるカルボ
    キシル基を有する医薬化合物または一般式RNH
    で表されるアミノ基を有する医薬化合物と置換すること
    からなる、請求項8記載の多糖誘導体の製造法。
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