JPH07309902A - アシル化ヒアルロン酸の製造法 - Google Patents
アシル化ヒアルロン酸の製造法Info
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- JPH07309902A JPH07309902A JP6124738A JP12473894A JPH07309902A JP H07309902 A JPH07309902 A JP H07309902A JP 6124738 A JP6124738 A JP 6124738A JP 12473894 A JP12473894 A JP 12473894A JP H07309902 A JPH07309902 A JP H07309902A
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Abstract
最良の可溶化溶媒であると共に環境保全に適した、環境
に優しい水系において、簡便な操作および精製法により
任意の数のアシル基を均一に導入する方法、それらを主
体とした応用性及び汎用性のあるDDS素材、および光
架橋性ヒアルロン酸をエンドトキシンフリーの状態で、
医療用材料として提供する。 【構成】 ヒアルロン酸またはその塩の水酸基を水単
独または水混和性有機溶媒を含んだ水溶液中で、アシル
化触媒存在下、カルボン酸の酸無水物または酸ハロゲン
化物と反応させ、アシル化することを特徴とするアシル
化ヒアルロン酸の製造法、で得られたアシル化ヒ
アルロン酸のアシル基を部分ケン化することにより任意
の数のアシル基が導入されたアシル化ヒアルロン酸を得
ることを特徴とするアシル化ヒアルロン酸の製造法。
Description
酸基のアシル化法に関する。ヒアルロン酸は動物組織中
に天然に存在し生体再吸収性を有すると共に毒物学的お
よび免疫学的作用が存在しないためそれ自体が薬剤、化
粧品として利用されているが、これらをアシル化等の化
学修飾を施すことによりさらなる用途が期待できる。例
えばヒアルロン酸に医薬品や生理活性ペプチドを結合さ
せたものは優れたドラッグデリバリーシステム(以下、
DDSという)の薬剤となる。またヒアルロン酸にケイ
皮酸やウラシル誘導体を結合させたものに紫外線を照射
すると分子間架橋反応により三次元網目構造を有し不溶
性の架橋ヒアルロン酸が得られ、生物分解性を有し生体
適合性にすぐれた医療用材料となる。
は、ヒアルロン酸をN,N−ジメチルホルムアミド(以
下、DMFという)に懸濁させピリジンを触媒とし酸塩
化物と反応させる方法(Eur.J.Biochem.,1,46-50(196
7)、Chem.Express,6(9),647-650(1991))、グリコサミ
ノグリカンのナトリウム塩を4級または3級アンモニウ
ム塩に置換しDMFに可溶にした後、ジメチルアミノピ
リジンを触媒とし酸無水物と反応させる方法(Carbohyd
r.Res.,236,107-119(1992))、プルランをDMF中ピリ
ジンを触媒として塩化ベンゾイルと共に加熱する方法
(特開昭52ー78286)等が知られている。
ム塩の形で入手されるが、このものは有機溶媒に不溶で
あるため、ヒアルロン酸ナトリウムを原料として使用す
ると不均一系反応となりアシル化反応は非常に遅く、ア
シル基の導入数のコントロールが難しく、導入位置にむ
らを生じ易い。また、ヒアルロン酸のカルボキシル基と
酸塩化物とが反応して酸無水物を形成し、これが水酸基
と位置非特異的に分子内または分子間エステル結合を生
じるなどの好ましくない副反応を伴う。
または3級アンモニウム塩に置換しDMFに可溶にした
後、ジメチルアミノピリジンを触媒とし酸無水物と反応
させる方法(Carbohydr.Res.,236,107-119(1992))があ
るが、この塩交換操作は非常に煩雑である上、多量のD
MF廃液を生じるため、環境的、工業的にも問題があ
る。 さらにこれらの方法は、そのほとんどが溶解度や
反応速度を上げるために加熱を必要とするが、高分子量
のヒアルロン酸の場合はそれにより速やかに低分子化を
起こす。
化学修飾では、高希釈条件での反応と濃縮を繰り返す必
要があるため従来の合成法、精製法ではその操作の煩雑
さにより処理中にエンドトキシンが混入し易く医用材料
を提供するには適さない。
は第1にヒアルロン酸の水酸基に低分子化を伴わずに、
最良の可溶化溶媒であると共に、環境保全に適した、環
境に優しい水系において、簡便な操作および精製法によ
り任意の数のアシル基を均一に導入する方法を提供する
ことであり、第2にそれらを主体とした応用性及び汎用
性のあるDDS素材、および光架橋性ヒアルロン酸をエ
ンドトキシンフリーの状態で、医療用材料として提供す
ることである。
の結果、上記課題を以下の構成によって達成することに
成功した。すなわち、この発明は、以下の通りである。 1) ヒアルロン酸またはその塩の水酸基を水単独また
は水混和性有機溶媒を含んだ水溶液中で、アシル化触媒
存在下、カルボン酸の酸無水物または酸ハロゲン化物と
反応させ、アシル化することを特徴とするアシル化ヒア
ルロン酸の製造法。
を特徴とする前記1)記載のアシル化ヒアルロン酸の製
造法。 3) アシル化触媒が、N,N−ジアルキルアミノピリ
ジン系触媒である前記1)記載のアシル化ヒアルロン酸
の製造法。 4) アシル化触媒が4−ジメチルアミノピリジンまた
は4−ピロリジノピリジンであることを特徴とする前記
1)記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。
子量が約10万〜500万であることを特徴とする前記
1)記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。 6) カルボン酸がアミノ酸、ペプチドもしくはそれら
の誘導体、ケイ皮酸もしくはそのフェニル基に置換基を
有する誘導体、オロチン酸、ウラシル−5−カルボン
酸、1−(カルボキシアルキル)チミン、サリチル酸ま
たはアセチルサリチル酸であることを特徴とする前記
1)記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。
が、アミノ保護基を有したものであることを特徴とする
前記6)記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。 8) アシル化反応後、前記7)記載のアミノ保護基を
脱離することを特徴とするアシル化ヒアルロン酸の製造
法。 9) アシル化反応が酸の中和剤存在下で行われ、酸の
中和剤として、3級アミンまたは無機塩基が用いられる
ことを特徴とする前記1)記載のアシル化ヒアルロン酸
の製造法。
を約0〜50%の範囲で含むことを特徴とする前記1)
記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。 11) ヒアルロン酸またはその塩の水酸基を水単独ま
たは水混和性有機溶媒を含んだ水溶液中で、アシル化触
媒存在下、カルボン酸の酸無水物または酸ハロゲン化物
と反応させた後、得られたアシル化ヒアルロン酸のアシ
ル基を部分ケン化することにより任意の数のアシル基が
導入されたアシル化ヒアルロン酸を得ることを特徴とす
るアシル化ヒアルロン酸の製造法。
ヒアルロン酸のアシル基の導入数がヒアルロン酸構成二
糖単位当たり約0.005〜0.5であることを特徴と
する前記11)記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。 13) 水混和性有機溶媒水溶液に分子量約10万〜5
00万のヒアルロン酸ナトリウムを溶解させた溶液に、
0℃以上、室温以下の範囲の温度において、無水ケイ皮
酸もしくはケイ皮酸クロリドと4−ジメチルアミノピリ
ジンもしくは4−ピロリジノピリジンと酸の中和剤とを
含む水混和性有機溶媒溶液を添加し、上記温度範囲にお
いて反応させ、分子量が約10万〜500万であり、水
酸基がケイ皮酸でエステル化されたヒアルロン酸を得る
ことを特徴とするシンナモイル化ヒアルロン酸の製造
法。
ン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ア
セトアミドまたはピリジンであり、酸の中和剤がトリエ
チルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、
N−メチルモルホリンまたは炭酸水素ナトリウムである
ことを特徴とする前記13)記載のシンナモイル化ヒア
ルロン酸の製造法。
分子量には限定されないが、一般的には天然物、好まし
くは脊椎動物または微生物由来で、平均分子量が約10
万〜500万、好ましくは約60万〜200万が挙げら
れ、またそのカルボキシル基は塩の形態でもよくアルカ
リ金属塩またはアルカリ土類金属塩いずれの形でも使用
できるが、特に水溶性塩が好ましく、このような塩とし
ては一般的には入手し易いナトリウム塩またはカリウム
塩が便利である。
は水混和性有機溶媒を含んだ水溶液に溶解させたヒアル
ロン酸溶液中に、カルボン酸の酸無水物または酸ハロゲ
ン化物をアシル化剤として添加することにより行われ
る。具体的には、水、または水混和性有機溶媒の約0〜
50%を含む水溶液に溶解させたヒアルロン酸またはそ
の塩の溶液中に、攪拌しながら無水の該有機溶媒に溶解
したアシル化剤を添加することによって行われる。ここ
で、水への有機溶媒の混和率(%)=100・有機溶媒
容量/混合水溶液容量である。
上記条件を満足すれば、特に制限はなく任意の方法を使
用し得るが、特に、ヒアルロン酸またはその塩は、初め
に水で溶解し、次いで有機溶媒を添加もしくは添加する
ことなく、この溶液にアシル化剤、酸の中和剤(塩
基)、およびアシル化触媒の有機溶媒溶液を約0〜50
℃、好ましくは、0℃以上、室温以下の範囲、より好ま
しくは、氷冷下に滴下してアシル化反応を行うことが好
ましい。
の場合に必要であった、塩交換や溶媒置換といった煩雑
な操作を全く経ることなくヒアルロン酸のアシル化が達
成できることが大きな利点である。
シル化触媒としてN,N−ジアルキルアミノピリジン系
触媒、特に4ージメチルアミノピリジンまたは4ーピロ
リジノピリジンを用いることが好ましく、また反応によ
って生成する酸を中和する目的で酸の中和剤としてトリ
エチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジ
ン、N−メチルモルホリンのような3級アミンまたは炭
酸水素ナトリウムのような無機塩基を用いることが好ま
しい。これらはアシル化剤と共に添加されることが好ま
しいが、予めヒアルロン酸ナトリウム溶液中に加えてお
いても良い。
間、好ましくは0℃以上、室温(JIS K0050で
は5〜35℃を室温という)以下、さらに好ましくは氷
冷下であり、反応時間は3分から2時間かけてアシル化
剤を滴下し、その後必要に応じた時間、例えば、30分
から2時間攪拌してアシル化反応を行う。その後エタノ
ール沈殿法、透析などの公知の精製法を用いて低分子の
不純物を除去する。このように反応温度を低く抑えるこ
とにより低分子化を起こし易い高分子量ヒアルロン酸で
さえも、もとの分子量を保持したままでアシル化が可能
となった。
全てのアシル基をケン化により除去したのちゲル濾過法
(GPC)等で決定できる。
媒を含んだ水溶液であり、アシル化剤の滴下中すべての
成分を溶解させておく組成が好ましいが、反応の進行と
共に生成物が析出しても問題ない。ここで、水混和性有
機溶媒とは、水と自由な割合で均一に混ざる有機溶媒で
アシル化反応を阻害しないものを意味する。
ては、具体的にジオキサン、テトラヒドロフラン(TH
F)、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、
DMF、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメ
チルリン酸トリアミド(HMPA)、N−メチルピロリ
ドン、ピリジン等が挙げられる。また、反応溶媒として
は、前記例示した水混和性有機溶媒のいずれかから選択
される1種以上の総計で約0〜50%の範囲を含む水溶
液であって、かつアシル化剤の滴下中すべての成分を溶
解させておく組成が好ましい。なお、本発明の含水系で
の反応においては、反応の進行とともに疎水性のアシル
基導入率が高くなるとアシル化ヒアルロン酸が不溶化す
るため、アシル基の導入数が高くなりすぎないという効
果がある。さらに目的物を通常の固液分離手段で分離
し、水および/または有機溶媒で洗浄することによって
容易に精製することもできる。
シル化触媒の量は、所望のアシル化ヒアルロン酸の種
類、すなわち、ヒアルロン酸の分子量あるいはアシル化
剤の種類およびアシル基の所望導入数等により適宜選定
され得るが、一般的には反応中の試薬の分解による損失
を考慮し過剰量用いるべきであろう。なお、アシル化ヒ
アルロン酸のアシル基の導入数(以下、DSという)
は、ヒアルロン酸構成二糖単位当たりの導入数として定
義できる。DSはプロトンNMRの積分強度または28
0nmの吸光度の測定により決定できる(実施例1参
照)。
が、通常、約0.005〜0.5、好ましくは約0.0
5〜0.5の範囲である。
てきた場合は、ガラスフィルター等を用いる濾過、遠心
分離、デカント等の固液分離手段により析出物を分離
し、重曹水、水、及びエタノール等の適当な溶媒で順次
洗浄するといった、より簡便な精製操作で目的物を精
製、単離することが出来る。一般にDSが高いと不溶化
するが、このようにして得たアシル化ヒアルロン酸を氷
冷下にて、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水
溶液等の希アルカリにより部分ケン化することで任意の
DS値を有する部分アシル化ヒアルロン酸を得ることも
出来る。
溶性のアシル化ヒアルロン酸を水に懸濁させておき、得
たいDSとなるために必要量の水酸化ナトリウム水溶液
を0℃で滴下し、室温で溶解するまで攪拌する。この場
合、水酸化ナトリウムはケン化したいアシル基と等モル
が使用される。また、反応終了後も生成物が析出しない
場合は、通常のこの種の反応の後処理、すなわちエタノ
ール等を用いる有機溶媒沈澱、透析、塩析、更に所望に
よりGPC、アフィニティー、イオン交換等の各種クロ
マトグラフィー等によりアシル化ヒアルロン酸を精製す
ることが可能である。
化剤は、カルボン酸の酸無水物(対称酸無水物、混合酸
無水物)または酸ハロゲン化物である。また、少なくと
もアシル化反応時に酸無水物または酸ハロゲン化物に変
化するものであってもよい。上記カルボン酸の種類は、
限定されないが、好ましい例として、ペプチドもしくは
それらの誘導体、ケイ皮酸もしくはそのフェニル基に置
換基を有する誘導体(例えば、p−アミノケイ皮酸)、
オロチン酸、ウラシル−5−カルボン酸、1−(カルボ
キシアルキル)チミン(例えば、1−(カルボキシエチ
ル)チミン)、サリチル酸、アセチルサリチル酸等が挙
げられる。
が、アミノ酸、ペプチドの残基である場合はそれらに含
まれるアミノ基をベンジルオキシカルボニル基(Z)、
t−ブトキシカルボニル基(Boc)などのペプチド化
学において常用されるアミノ基の保護基(「生化学辞
典」第2版、1471〜1472頁、1990年11月
22日、(株)東京化学同人発行)で保護しておく必要
がある。得られた保護基を有するアシル化ヒアルロン酸
は、目的に応じで脱保護し、フリーのアミノ基とするこ
とができる。該フリーのアミノ基を有するアシル化ヒア
ルロン酸の該アミノ基と所望の薬剤、アミノ酸、あるい
はペプチド等を結合させ有用なDDS薬剤等を製造する
ことができる。
または酸ハロゲン化物のようなアシル化剤の形態で反応
に供されるが、カルボン酸の酸無水物を得るためのカル
ボキシル基の活性化方法はカルボジイミド類(例えば、
ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−
(ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド等)によ
る対称酸無水物法、あるいは塩化ジメチルホスフィノチ
オイル等による混合酸無水物法等から適宜選択できる。
は、ケイ皮酸無水物が、混合酸無水物が好適なものはt
−ブトキシカルボニル化グリシン、ベンジルオキシカル
ボニル化グリシン等が挙げられる。そして、得られたベ
ンジルオキシカルボニルグリシン化ヒアルロン酸のベン
ジルオキシ基を接触水素移動還元、または接触還元など
により脱保護し、フリーのアミノ基を有するグリシル化
ヒアルロン酸を製造することができる。
ケイ皮酸クロリド及び無水ケイ皮酸が有効である。さら
にアシル基が1−カルボキシエチルチミン由来の場合に
は酸無水物による活性化が、オロチン酸由来の場合には
酸塩化物による活性化がより好ましい。本発明に使用さ
れるアシル化剤は、その他、任意のカルボン酸から選定
できる。該カルボン酸はカルボキシル基を少なくとも1
個有する有機化合物(脂肪族、芳香族、および複素環系
化合物を含む)であればよく、カルボキシル基を複数個
有したものでもよい。
チルサリチル酸、メルファラン(4−〔ビス(2−クロ
ロエチル)アミノ〕−L−フェニルアラニン)等の有用
な薬剤を使用すれば、そのアシル化ヒアルロン酸はDD
S製剤として使用可能である。
のグリコサミノグリカンのアシル化法に比べ操作が非常
に簡便であり、エンドトキシンフリーの水を使用するこ
とでエンドトキシンを実質的に含まない目的物を容易に
得ることができる。また工業的に問題となる有機廃液の
量を大幅に減らせるといった利点も併せ持つ。
製造 平均分子量100万のヒアルロン酸ナトリウム500m
g(2糖単位として1.25ミリモル)を200mlの
水に溶解した後、ジオキサン100mlを加えた。この
溶液にケイ皮酸無水物1.7g(6.25ミリモル)と
トリエチルアミン865μl(6.25ミリモル)と4
−ジメチルアミノピリジン763mg(6.25ミリモ
ル)の10mlジオキサン溶液を氷冷下にて30分間で
滴下した後、室温で1時間半攪拌を続けた。得られた溶
液を1.7L(リットル)の酢酸ナトリウム飽和エタノ
ールに注ぎ、生じた沈澱を遠心分離した。得られた沈澱
をさらに3回エタノール沈澱法により精製後、減圧乾燥
することにより標記部分シンナモイル化ヒアルロン酸を
白色粉末として417mg得た。500MHzのプロト
ンNMRの測定の結果、ヒアルロン酸のアセチル基由来
のシグナル(δ=2ppm)とケイ皮酸ベンゼン環およ
び2重結合由来のシグナル(δ=6.5−7.9pp
m)の強度比(3:2.2)よりヒアルロン酸の2糖単
位あたりのシンナモイル基のDSは0.37であった
(図1参照)。
(2糖単位として0.2ミリモル)を20mlの水に溶
解した後、ジオキサン10mlを加えた。この溶液にケ
イ皮酸クロリド144μl(1.0ミリモル)とトリエ
チルアミン139μl(1.0ミリモル)と4−ジメチ
ルアミノピリジン122mg(1.0ミリモル)の2m
lジオキサン溶液を氷冷下にて25分間で滴下した後、
室温で30分攪拌を続けた。生じた沈澱をガラスフィル
ター上に集め、エタノールにより十分に洗浄後乾燥し
た。得られた固体を微粉末とし20mlの水に懸濁させ
氷冷下0.05規定水酸化ナトリウム溶液を2ml滴下
した。さらに氷冷下にて1時間45分攪拌後得られた均
一な溶液を実施例1と同様のエタノール沈澱法にて精製
し、標記化合物を55mg得た。NMRより求めたシン
ナモイル基のDSは0.46であった。
ロン酸の原料のヒアルロン酸と部分ケン化して得られた
シンナモイル化ヒアルロン酸の分子量変化をGPCによ
り調べた結果を図2に示した。図2の(a)は、原料の
ヒアルロン酸、(b)は、部分ケン化後のもので、図2
から該部分ケン化によりヒアルロン酸は加水分解されな
かったことを、ひいてはシンナモイル化においても低分
子化されなかったことを示している。
(2糖単位として0.2ミリモル)を20mlの水に溶
解した後DMF10mlを加えた。この溶液にケイ皮酸
無水物278mg(1.0ミリモル)とトリエチルアミ
ン139μl(1.0ミリモル)と4−ジメチルアミノ
ピリジン122mg(1.0ミリモル)の2mlDMF
溶液を氷冷下にて15分間で滴下した後、室温で1時間
半攪拌を続けた。得られた溶液に250mlの酢酸ナト
リウム飽和エタノールを注ぎ、生じた沈澱を遠心分離し
た。得られた沈澱をさらに3回エタノール沈澱法により
精製後、減圧乾燥することにより標記シンナモイル化ヒ
アルロン酸を白色粉末として42mg得た。NMRより
求めたシンナモイル基のDSは0.46であった。
造 平均分子量100万のヒアルロン酸ナトリウム80mg
(2糖単位として0.2ミリモル)を20mlの水に溶
解した後ピリジン10mlを加えた。この溶液にケイ皮
酸無水物278mg(1.0ミリモル)と4−ジメチル
アミノピリジン122mg(1.0ミリモル)の2ml
ピリジン溶液を氷冷下にて15分間で滴下した後室温で
1時間半攪拌を続けた。得られた溶液に250mlの酢
酸ナトリウム飽和エタノールを注ぎ、生じた沈澱を遠心
分離した。得られた沈澱をさらに3回エタノール沈澱法
により精製後減圧乾燥することにより標記部分シンナモ
イル化ヒアルロン酸を白色粉末として67mg得た。N
MRより求めたシンナモイル基のDSは0.09であっ
た。
モイル化ヒアルロン酸の製造 平均分子量100万のヒアルロン酸ナトリウム80mg
(2糖単位として0.2ミリモル)とトリエチルアミン
に代えてジイソプロピルエチルアミンを用いたほかは、
実施例3の方法に従ってシンナモイル化ヒアルロン酸を
合成した。精製後減圧乾燥することにより標記部分シン
ナモイル化ヒアルロン酸を白色粉末として74mg得
た。NMRより求めたシンナモイル基のDSは0.54
であった。
製造 平均分子量100万のヒアルロン酸ナトリウム80mg
(2糖単位として0.2ミリモル)を20mlの水に溶
解した後ジオキサン10mlを加えた。この溶液にケイ
皮酸クロリド144μl(1.0ミリモル)とトリエチ
ルアミン139μl(1.0ミリモル)と4−ジメチル
アミノピリジン122mg(1.0ミリモル)の2ml
ジオキサン溶液を氷冷下にて15分間で滴下した後、室
温で1時間半攪拌を続けた。得られた溶液に250ml
の酢酸ナトリウム飽和エタノールを注ぎ、生じた沈澱を
遠心分離した。得られた沈澱をさらに3回エタノール沈
澱法により精製後、減圧乾燥することにより標記部分シ
ンナモイル化ヒアルロン酸を白色粉末として98mg得
た。NMRより求めたシンナモイル基のDSは0.25
であった。
ンナモイル化ヒアルロン酸の製造 平均分子量100万のヒアルロン酸ナトリウム80mg
(2糖単位として0.2ミリモル)を20mlの水に溶
解した。この溶液にケイ皮酸無水物278mg(1.0
ミリモル)とトリエチルアミン139μl(1.0ミリ
モル)と4−ピロリジノピリジン148mg(1.0ミ
リモル)の2mlジオキサン溶液を氷冷下にて15分間
で滴下した後、室温で1時間半攪拌を続けた。得られた
溶液に250mlの酢酸ナトリウム飽和エタノールを注
ぎ、生じた沈澱を遠心分離した。
法により精製後、減圧乾燥することにより標記部分シン
ナモイル化ヒアルロン酸を白色粉末として55mg得
た。NMRより求めたシンナモイル基のDSは0.95
であった。
(2糖単位として2.0ミリモル)を200mlの水に
溶解した後、ジオキサン100mlを加えた。この溶液
にケイ皮酸無水物2.78g(10ミリモル)とトリエ
チルアミン1.38ml(10ミリモル)と4−ジメチ
ルアミノピリジン1.22g(10ミリモル)の25m
lジオキサン溶液を氷冷下にて1時間で滴下した後、室
温で1時間攪拌を続けた。得られた溶液に750mlの
酢酸ナトリウム飽和エタノールを注ぎ、生じた沈澱を遠
心分離した。得られた沈澱をさらに3回エタノール沈澱
法により精製後、水溶液とすることにより標記部分シン
ナモイル化ヒアルロン酸の2.7g/l水溶液として3
00ml得た。NMRより求めたシンナモイル基のDS
は0.60であった。
化ヒアルロン酸の製造 平均分子量100万のヒアルロン酸ナトリウム80mg
(2糖単位として0.2ミリモル)を20mlの水に溶
解した。この溶液にトリエチルアミン139μl(1.
0ミリモル)と4−ジメチルアミノピリジン122mg
(1.0ミリモル)を氷冷下にて加え均一に攪拌した
後、ケイ皮酸クロリド144μlを加え室温で1時間半
攪拌を続けた。得られた溶液に250mlの酢酸ナトリ
ウム飽和エタノールを注ぎ、生じた沈澱を遠心分離し
た。得られた沈澱をさらに3回エタノール沈澱法により
精製後、減圧乾燥することにより標記部分シンナモイル
化ヒアルロン酸を白色粉末として58mg得た。NMR
より求めたシンナモイル基のDSは0.22であった。
(2糖単位として0.2ミリモル)を20mlの水に溶
解した後、ジオキサン10mlを加えた。この溶液にカ
ルボキシル基をジメチルホスフィノチオイル基で混合酸
無水物として活性化したt−ブトキシカルボニルグリシ
ン175mg(1.0ミリモル)とトリエチルアミン1
39μl(1.0ミリモル)と4−ジメチルアミノピリ
ジン122mg(1.0ミリモル)のジメチルホルムア
ミド溶液3mlを氷冷下にて加えた後、室温で1時間半
攪拌を続けた。得られた溶液に150mlの酢酸ナトリ
ウム飽和エタノールを注ぎ、生じた沈澱を遠心分離し
た。得られた沈澱をさらに3回エタノール沈澱法により
精製後、減圧乾燥することにより標記部分t−ブトキシ
カルボニルグリシル化ヒアルロン酸を白色粉末として7
5mg得た。NMRのヒアルロン酸アセチル基由来のシ
グナルと(δ=2ppm)と第3ブチル基由来のシグナ
ル(δ=1.5ppm)の強度比より求めたt−ブトキ
シカルボニルグリシンのDSは0.11であった。
造 t−ブトキシカルボニルグリシンに代えてベンジルオキ
シカルボニルグリシン(Zグリシンとも記す)209m
g(1.0ミリモル)を用い実施例10と同様の方法に
従った。
ベンジルオキシカルボニルグリシル化ヒアルロン酸を白
色粉末として74mg得た。NMRのヒアルロン酸アセ
チル基由来のシグナルと(δ=2ppm)とベンジルオ
キシカルボニルグリシンのベンジル基由来のシグナル
(δ=7.5ppm)の強度比より求めたベンジルオキ
シカルボニルグリシンのDSは0.11であった。
ニルグリシル化ヒアルロン酸の脱Z化) 実施例11で合成したZグリシル化ヒアルロン酸60m
g(0.15mmol/unit)を水50mlに溶解
し、アルゴン雰囲気下で10%パラジウム(Pd)活性
炭15mg、蟻酸アンモニウム19mg(0.3mmo
l)加え、室温で6時間攪拌した後、再び同量のPd活
性炭、蟻酸アンモニウムを加え攪拌した。6時間後、再
度同様の操作をした後、0.22μmのフィルターで活
性炭を消去し、溶液を2日間透析した後、凍結乾燥によ
り51mgの白色物を得た。NMRによりベンジル基由
来のピーク(δ=7.5ppm)の消失を確認した。
量15万)の製造 平均分子量15万のヒアルロン酸ナ
トリウム80mg(2糖単位として0.2ミリモル)を
20mlの水に溶解した後、ジオキサン10mlを加え
た。この溶液にt−ブトキシカルボニルグリシンのカル
ボキシル基をジメチルホスフィノチオイル基で混合酸無
水物として活性化したt−ブトキシカルボニルグリシン
175mg(1.0ミリモル)とトリエチルアミン13
9μl(1.0ミリモル)と4−ジメチルアミノピリジ
ン122mg(1.0ミリモル)のジメチルホルムアミ
ド溶液を氷冷下にて加えた後、室温で1時間半攪拌を続
けた。得られた溶液に150mlの酢酸ナトリウム飽和
エタノールを注ぎ、生じた沈澱を遠心分離した。得られ
た沈澱をさらに3回エタノール沈澱法により精製後、減
圧乾燥することにより標記t−ブトキシカルボニルグリ
シル化ヒアルロン酸を白色粉末として55mg得た。N
MRより求めたt−ブトキシカルボニルグリシンのDS
は0.05であった。
の水酸基の一部がシンナモイル化されたヒアルロン酸の
製造 平均分子量100万のヒアルロン酸ナトリウム5g(2
糖単位として12.5ミリモル)を乾熱滅菌した3Lの
三角フラスコに入れ、2Lの注射用水(エンドトキシン
フリー)に溶解した後、ジオキサン500mlを加え
た。この溶液にケイ皮酸無水物17.4g(62.5ミ
リモル)とトリエチルアミン8.65ml(62.5ミ
リモル)と4−ジメチルアミノピリジン7.63g(6
2.5ミリモル)の250mlジオキサン溶液を氷冷下
にて30分間で滴下した後、室温で1時間攪拌を続け
た。得られた溶液を11Lの酢酸ナトリウム飽和エタノ
ールに注ぎ、生じた沈澱を遠心分離した。得られた沈澱
をさらに3回エタノール沈澱法により精製後、減圧乾燥
することにより標記部分シンナモイル化ヒアルロン酸を
白色粉末として4.63g得た。500MHzのプロト
ンNMRの測定の結果、ヒアルロン酸のアセチル基由来
のシグナル(δ=2ppm)とケイ皮酸のベンゼン環お
よび2重結合由来のシグナル(δ=6.5−7.9pp
m)の強度比よりシンナモイル基のDSは0.35であ
った。リムルステスト(トキシカラー、生化学工業
(株)製により測定)により求めたエンドトキシン含量
はシンナモイル化ヒアルロン酸1mg当たり26.0p
gであった。
合性、生体内分解性をもちDDSや光架橋性医療材料の
素材として有用なアシル化ヒアルロン酸を分子量の低下
を伴う事なく、環境に悪影響を与えない水を溶媒とし
て、簡便な操作で、しかもエンドトキシンフリーの状態
で提供することができる。
(DS=0.37)の500MHzプロトンNMRスペ
クトルを示す。
ル化ヒアルロン酸と原料ヒアルロン酸のGPC(ゲル濾
過法)による比較を示したクロマトグラムである。
Claims (14)
- 【請求項1】 ヒアルロン酸またはその塩の水酸基を水
単独または水混和性有機溶媒を含んだ水溶液中で、アシ
ル化触媒存在下、カルボン酸の酸無水物または酸ハロゲ
ン化物と反応させ、アシル化することを特徴とするアシ
ル化ヒアルロン酸の製造法。 - 【請求項2】 反応温度が約0〜50℃であることを特
徴とする請求項1記載のアシル化ヒアルロン酸の製造
法。 - 【請求項3】 アシル化触媒が、N,N−ジアルキルア
ミノピリジン系触媒である請求項1記載のアシル化ヒア
ルロン酸の製造法。 - 【請求項4】 アシル化触媒が4−ジメチルアミノピリ
ジンまたは4−ピロリジノピリジンであることを特徴と
する請求項1記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。 - 【請求項5】 ヒアルロン酸またはその塩の平均分子量
が約10万〜500万であることを特徴とする請求項1
記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。 - 【請求項6】 カルボン酸がアミノ酸、ペプチドもしく
はそれらの誘導体、ケイ皮酸もしくはそのフェニル基に
置換基を有する誘導体、オロチン酸、ウラシル−5−カ
ルボン酸、1−(カルボキシアルキル)チミン、サリチ
ル酸またはアセチルサリチル酸であることを特徴とする
請求項1記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。 - 【請求項7】 アミノ酸またはペプチドの誘導体が、ア
ミノ保護基を有したものであることを特徴とする請求項
6記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。 - 【請求項8】 アシル化反応後、請求項7記載のアミノ
保護基を脱離することを特徴とするアシル化ヒアルロン
酸の製造法。 - 【請求項9】 アシル化反応が酸の中和剤存在下で行わ
れ、酸の中和剤として、3級アミンまたは無機塩基が用
いられることを特徴とする請求項1記載のアシル化ヒア
ルロン酸の製造法。 - 【請求項10】 前記水溶液が、水混和性有機溶媒を約
0〜50%の範囲で含むことを特徴とする請求項1記載
のアシル化ヒアルロン酸の製造法。 - 【請求項11】 ヒアルロン酸またはその塩の水酸基を
水単独または水混和性有機溶媒を含んだ水溶液中で、ア
シル化触媒存在下、カルボン酸の酸無水物または酸ハロ
ゲン化物と反応させた後、得られたアシル化ヒアルロン
酸のアシル基を部分ケン化することにより任意の数のア
シル基が導入されたアシル化ヒアルロン酸を得ることを
特徴とするアシル化ヒアルロン酸の製造法。 - 【請求項12】 部分ケン化して得られるアシル化ヒア
ルロン酸のアシル基の導入数がヒアルロン酸構成二糖単
位当たり約0.005〜0.5であることを特徴とする
請求項11記載のアシル化ヒアルロン酸の製造法。 - 【請求項13】 水混和性有機溶媒水溶液に分子量約1
0万〜500万のヒアルロン酸ナトリウムを溶解させた
溶液に、0℃以上、室温以下の範囲の温度において、無
水ケイ皮酸もしくはケイ皮酸クロリドと4−ジメチルア
ミノピリジンもしくは4−ピロリジノピリジンと酸の中
和剤とを含む水混和性有機溶媒溶液を添加し、上記温度
範囲において反応させ、分子量が約10万〜500万で
あり、水酸基がケイ皮酸でエステル化されたヒアルロン
酸を得ることを特徴とするシンナモイル化ヒアルロン酸
の製造法。 - 【請求項14】 水混和性有機溶媒が、ジオキサン、ジ
メチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトア
ミドまたはピリジンであり、酸の中和剤がトリエチルア
ミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メ
チルモルホリンまたは炭酸水素ナトリウムであることを
特徴とする請求項13記載のシンナモイル化ヒアルロン
酸の製造法。
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