JPH0625202B2 - デキストラン誘導体 - Google Patents

デキストラン誘導体

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JPH0625202B2
JPH0625202B2 JP59253964A JP25396484A JPH0625202B2 JP H0625202 B2 JPH0625202 B2 JP H0625202B2 JP 59253964 A JP59253964 A JP 59253964A JP 25396484 A JP25396484 A JP 25396484A JP H0625202 B2 JPH0625202 B2 JP H0625202B2
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08BPOLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
    • C08B37/00Preparation of polysaccharides not provided for in groups C08B1/00 - C08B35/00; Derivatives thereof
    • C08B37/0006Homoglycans, i.e. polysaccharides having a main chain consisting of one single sugar, e.g. colominic acid
    • C08B37/0009Homoglycans, i.e. polysaccharides having a main chain consisting of one single sugar, e.g. colominic acid alpha-D-Glucans, e.g. polydextrose, alternan, glycogen; (alpha-1,4)(alpha-1,6)-D-Glucans; (alpha-1,3)(alpha-1,4)-D-Glucans, e.g. isolichenan or nigeran; (alpha-1,4)-D-Glucans; (alpha-1,3)-D-Glucans, e.g. pseudonigeran; Derivatives thereof
    • C08B37/0021Dextran, i.e. (alpha-1,4)-D-glucan; Derivatives thereof, e.g. Sephadex, i.e. crosslinked dextran
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は特に抗凝血性と抗補体性とを有するデキストラ
ン誘導体並びにその製法及び生物学的使用に係る。
周知の如く、ヘパリンは抗凝血性が高いため抗血栓症薬
剤として広く使用されている。
最近の研究では生体の免疫防御において重要な役割を果
たす血漿タンパクの集合たる補体系の不活性化に関する
ヘパリンの作用も立証された。
しかしながらヘパリン鎖は特に構成及び長さが不均一で
あるためヘパリンの特性の原因となる構造の究明は容易
ではない。
ヘパリンの特性の少なくとも一部を有し且つ明確に規定
された構造をもつため問題のメカニズムを究明するため
のモデルとして使用し得るような物質を生成すべく、こ
れまで多くの実験が行なわれてきた。
そこで本発明の共同発明者のある者は抗凝血特性有する
生成物に注目し既に引用された仏国特許第2461724号及
び欧州特許第80401053.6に記載した。上記生成物は-SO3
R1,-R3SO3R1,-SO2R2,-R3SO2-R2及び-CH2-CO-NH-CHR-
COOH-(但し、式中、Rは水素原子又は生理学的に許
容しうる金属であり、Rはアミン基で-SO2-と結合す
るアミノ酸残基であり、Rは-CH2-CO-NH-R4基(R
はアルキル、アリールもしくはアリールアルキル又は置
換もしくは未置換の である)であり、Rはアミノ酸の側鎖である)の基を有
するポリマーからなる。
この分野における種々の実験の結果、本発明者等は既に
公知の多糖即ちデキストランの研究を行なうことになつ
た。
デキストランは分子量が約5000から数百万ダルトン
のポリグリコシドであり、1−6型結合を主体とするモ
チーフ(単位)Aの連鎖からなる。このモチーフAは次
式で示される。
治療上には一般に分子量が約100000より少ないデ
キストランを使用する。
この物質は主に血漿の代換物として、又は少なくともそ
の増量剤として使用される。但しこれらの用途に用いる
と場合によつては免疫シヨツクを誘発することもある。
ヘパリンの特性の少なくとも一部に類似した生物学的性
質を有し且つ免疫シヨツクを誘起し難いポリマーを生成
すべく様々な研究を行なつた末に、本発明者等はデキス
トラン鎖の種々の置換体を研究することになつた。
諸実験の結果、或る種の置換基が所定の比率に従つて同
時に存在すると、デキストラン鎖に極めて有利な生物学
的性質と大きな許容度(tolrance)とが授与されるこ
とが判明した。
以上の理由から本発明では許容度が高いために生物学的
材料として使用し得且つヘパリンの生物学的特性の少な
くとも一部を有するようなデキストラン誘導体を提供す
る。
本発明は使用が容易なこの種の誘導体の製法にも係る。
本発明は更にこれら誘導体をベースとし且つ合成によつ
て得られるという利点を有する可溶性生物材料及び高効
力薬剤の供給をも目的とする。
本発明のデキストラン誘導体は約8000ドルトンを上
回る分子量を有し、且つ統計的に −構造-O-(CH2)n-R-COO-〔式中Rは単結合又はCO-NH-(C
H2)n′−を表わし、nは1〜10の数、n′は1〜7
の数を表わす〕で示されるカルボキシル官能基をもつ基
により置換されたモチーフBを少なくとも約35%特に
は40%含むと共に、 〔式中Rは単結合、-CH2-基又は を表わし、Rは生理学的に許容し得る無機塩又は有機
塩のアニオン、より特定的にはSO3 -基を表わし、nは前
述の意味を表わす〕で示される基をもつ鎖により置換さ
れたモチーフDを少なくとも約3%含むことを特徴とす
る。
前述の置換鎖を用いてデキストランの支持体を官能化
(fonctionnalisation)すると該支持体に抗凝血活性が
有利に与えられる。この活性はヘパリンのそれよりは弱
いが前述の誘導体を生物学的に使用する場合には極めて
有利に作用する。
これらの物質は更に抗補体活性もヘパリンと同程度に有
していると考えられる。
これらの利点が得られるのは (1)モチーフBにおけるカルボキシル基と (2)モチーフDにおける置換鎖とが双方同時に存在する
ためである。前記置換鎖は無機塩又は有機塩のアニオン
によつて置換されたアリール基、より特定的にはアリー
ルスルホナート基を含み、該基はアミドを含む枝によつ
てデキストラン鎖に結合される。
本発明の有利な実施例ではこれらデキストラン誘導体は
更に 〔式中R及びnは前述の意味を表わす〕をもつ基で置
換されたモチーフCをも含む。
デキストランの未置換モチーフAと前述のモチーフCと
全体でモチーフ総の最高60%を占める。
本発明の好ましいデキストラン誘導体グループは鎖-O-C
H2-COO-で置換されたモチーフBを含む。
本発明の別のデキストラン誘導体グループではモチーフ
Bがカルボキシエチル基、カルボキシプロピル基又はカ
ルボキシブチル基、すなわち-O-(CH2)n-COO-〔式中nは
夫々2,3又は4に等しい〕で置換される。
別の好ましい誘導体グループではモチーフBが基-O-(CH
2)n-CO-NH-(CH2)n′-COO-で置換される。
n′が4,5又は7に等しい誘導体は夫々吉草酸基、ア
ミノカプロン酸及びアミノカプリル酸基に該当する基-N
H-(CH2)n′-COO-を含む。
本発明の別の好ましいデキストラン誘導体グループは前
記グループ中の1グループのモチーフBを含む他、 の鎖で置換されたモチーフDをも含む。
更に別の好ましいグループではデキストラン鎖が前記モ
チーフB以外に をもつ鎖で置換されたモチーフDを含む。
また別の好ましいグループではモチーフDが をもつ鎖で置換される。
これら種々の基ではRが前述の意味を有し有利には-S
O3 -グループを表わし、nは1〜4の数を表わし好まし
くは1に等しい。
一般的には、モチーフB,C及びDの置換基は本質的に
基本グリコシルモチーフの2位を占める。但しこれら置
換基が他の部を占め、場合によつては2位も占めるよう
な誘導体も本発明の範囲内に含まれる。
本発明はまたグリコキシルの-OH基の一部が-OR2の形態
で存在する誘導体にも係る。
これら一連の誘導体を製造する過程で本発明者等はモチ
ーフBの割合が約35%より少ないと抗凝血活性が極め
て弱くなることを発見した。モチーフDが全く存しない
場合にも同様の結果が生じる。
一般的には、モチーフBの割合が40〜50%のオーダ
ーであるとモチーフDの数の増加と共に抗凝血活性が増
大し、抗補体活性がヘパリンと明らかに同じになる。
このようにモチーフを約9〜12%含有するこの種の誘
導体Dは抗トロンビン活性を示し、分子量がより少なく
て10000のオーダーでは、300〜400uT/mg
オーダーの値を有することができる。この生成物は1〜
10μg/10EAC4b3bBbPオーダーの抗補体活性を示
す。
これらの値は実施例中に記載の方法で測定した。
モチーフDの割合がより少なくて約4%、モチーフBの
割合が40〜50%の時には、抗トロンビン活性はより
低くて1〜5uT/mgのオーダーであり、抗補体活性は
より高く1〜10μg/10EAC4b3bBbPのオーダーで
ある。
本発明の特に好ましい誘導体グループは下記のモチーフ
A,B,C及びD を前記の比率で含むデキストラン誘導体からなる。
本発明はまた前述の如きデキストラン誘導体の製法にも
係る。
この製法では、未置換モチーフAで形成されたデキスト
ラン鎖を使用してモチーフB,C及びDを順次形成す
る。これらのモチーフはいずれも指定の順序に従い前に
形成したモチーフから得る。
デキストラン鎖におけるこれら種々のモチーフの形成法
は下記のステツプからなると有利である。
−デキストランを次式 X(CH2)n-R-COOH 〔式中Xはグリコシルモチーフの−OH基とのグリコシ
ル化結合を実現せしめる反応基を表わす〕で示される誘
導体と反応させてモチーフBを形成する。
−モチーフA及びBを含む該デキストランを次式 〔式中Rは前述の意味を表わす〕で示される誘導体と
反応させてモチーフBの置換鎖に由来する基に置換アー
ル基をアミド架橋(pont amide)により固定させ、そ
れによつてモチーフCをデキストラン鎖中に導入する。
−モチーフCを塩化してモチーフDを得る。
−デキストラン誘導体を分別し分子量8000未満の誘
導体を除去する。
好ましくは先ずデキストランを分離し、次いで上記ステ
ップの操作を行うことができる。
上記各ステップはデキストラン鎖において所望のモチー
フ比率が得られるまで任意に繰返してよい。
モチーフBを形成する場合はハロゲン化物の如き反応性
誘導体をデキストランと反応させると有利である。この
ハロゲン化物としては入手し易いという理由から塩化物
を用いるとよい。
グリコシル化反応は加水分解し易いデキストラン鎖の損
傷を回避せしめるような条件の下に塩基性媒質中で生起
させる。
そのためには、デキストランを含む塩基性反応混合物の
温度を約0℃のオーダー、特に−4゜〜+5℃の範囲の
値にする。
反応性誘導体を添加した後該混合物の温度を室温より高
く最高約70℃までの値に上昇させる。
好ましくは適当な温度勾配に従い室温から約55℃まで
温度を漸増させて前記操作を行なう。その結果効率は1
ステツプ当り50%になり、2ステツプでほぼ100%
に達し得る。
抗補体性の高い物質を得たい場合にはモチーフBの割合
を小さくすることが好ましいが、誘導体の抗凝固活性を
高めるためにはこのモチーフの割合を大きくしなければ
ならないため、このようなモジユレーシヨンは有利であ
る。
反応性誘導体対デキストランの濃度比は1.5〜3.5
が望ましい。
沈殿によつて生成物を回収するためにはpHを中性pHまで
下げる。
その場合は溶媒、特にメタノールの如きアルコール性溶
媒を用いて生成物を沈殿させる。
モチーフB中の鎖Rが-CO-NH-(CH2)n′基を表わす場合
は、対応アミノ酸との反応により鎖-O-(CH2)n-COO--
置換されたモチーフBから生成物を得ると有利である。
モチーフCの形成ステツプは式 の誘導体をモチーフBの置換鎖と結合させることからな
る。有利には結合剤を室温下酸性媒質中で使用する。
この結合剤としてはReactifs IBF、“Practical guid
e for use in affinity chromatography”197
5、第34〜第37頁に記載のもの、特にN−エトキシ
カルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロコリン
(EEDQ)又はカルボジイミドがある。
より高い、即ち約10%の置換効率をもつてえ反応を生
起させるべく別の法として、アルキル(特にエチル又は
イソブチルアルキル)クロロフオルメートと、その反応
で形成されるHClと塩酸塩を形成できる誘導体、N−メ
チルモルフオリン又はその類似物とを反応させることに
よりデキストランの混合無水物を製造することもでき
る。この活性化ステツプは0℃未満、例えば−10℃、
特に−15℃の温度で実施するのが好ましい。この反応
は数分間で極めて迅速に生起する。その後低温で前記結
合を実施せしめる。
結合すべき誘導体対置換デキストランの濃度比は約2が
有利であり、前記クロロホルメート対デキストランの濃
度比は約1にすると有利である。
モチーフBのアリール核に基Rを導入する場合は、R
を有する反応性誘導体を用いる。
SO3 -基による置換はデキストラン鎖の損傷を回避すべく
希釈した状態でクロロスルホン酸を用いて行なうと有利
である。このステツプを不均質相で実施し、生成物を回
収し、洗浄及び乾燥処理する。
このステツプではモチーフCの芳香族環の約半分までの
置換が可能である。
必要であれば所望の置換率が得られるまで前記操作を繰
返す。
このようにして得られた置換デキストランは生物学的用
途に使用すべく洗浄した後凍結乾燥して保存する。
この製法を用いれば可溶性であるという利点をもつ一連
のデキストラン誘導体を合成により置換モチーフの比率
を所望の性質に応じて極めて多様に変化させながら製造
することができる。
前述の如きデキストラン誘導体の生物学的活性を種々の
レベル、特に凝血に係る或る種のタンパク、主にトロン
ビンと補体系とに関して調べた。
得られた結果によれば、トロンビンに対するこれら誘導
体の活性はモチーフB及びDの割合に左右される。
この活性はモチーフBの割合が35%を越えると、より
特定的には40%を越えると出現し、モチーフDの比率
と共に増大する。従ってこの活性は置換鎖B及びD間の
協動効果によつて生じるものと考えられる。
本発明の誘導体の幾つかの同一分子画分(fractions is
omoleculaires)を調べた結果、トロンビン阻害活性は
分子量と共に確実に増大することが判明した。
補体系の血漿タンパタに対するこれら誘導体の作用を調
べた結果、交互性C転換酵素(C Convertase al
terne)の作用に対する大きな阻害力が確認された。
従つてこれら物質は血液の存在下では溶血を減少せしめ
且つ生の炎症反応を低減せしめる作用をヘパリンと同程
度に示すことができる。
これら誘導体は許容度が高いため更に一層有用である。
NaCl等張溶質中に本発明の改質デキストランを40mg/
ml溶解した溶液を約20gのマウス1匹につき0.5ml
の割合で静脈注射して毒性テストを行なった。これらテ
ストの結果本発明の生成物は全く無害であることが判明
した。即ち、注射の間も、注射に続く14日の期間の間
も反応は全く見られなかつた。
これら誘導体は前述の如き性質を有しているため血漿の
代換物又はより特定的には増量剤として使用するのに極
めて適しており、場合によつて生じ得る過敏性の危険性
が少ないという点でデキストランより有利である。
従つて本発明は塩含有媒地中に約5%〜15%、特に約
10%で溶解した前述のデキストラン誘導体をベースと
し、血漿の代換物及び増量剤として使用し得る生物学的
材料をも提供する。
この種の増量剤は例えば約1.5〜2/日、特に約2
/日の割合で使用される。
前述の誘導体は治療作用をもつ種々の物質を固定するた
めの貴重な支持をも構成する。
医薬品のベクトル(vecteurs)に応じて活性物質の賦形
剤として許容しうる支持体を形成して合成の中間生成物
を構成する。
以下、デキストラン誘導体の製造およびその生物学的活
性の検討に関する実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。
実施例1:次式A,B,C,Dの単位を有するデキスト
ラン誘導体の製造 低圧下の液体クロマトグラフイーによつて分離した分子
量が8000より大きいデキストランサンプルを次の5
段階処理にかける。
1)モノクロロ酢酸によるカルボキシメチル化。
2)この誘導体の結合によるベンジルアミンの固定。
3)ベンジルアミンの芳香核のスルホン化。
4)洗浄および乾繰。
第1段階 デキストランのカルボキシメチル化 この段階は、F.ANTONINIらの方法(Giorn.Bioch
i.,14,88,1965)に依る。
撹拌システムを備えかつ〔氷+塩(−4℃)〕中に3/2
だけ浸漬した1のフラスコ中で、デキストラン48.
6g(0.30モル)をソーダ6400ml(2.4モ
ル)に溶解する。
−4℃で20分間撹拌する。
ClCH2COOH100g(1.05モル)を少しずつ(10
分間かけて)フラスコ中に入れる。
温度を70℃に上げ、撹拌下この温度に20分間保つ。
フラスコを氷浴中に2/3漬けて冷却する。
ほぼ11の値を示すpHを酢酸添加により7に調整する。
メタノール3で生成物を沈澱させ、次いでメタノール
で洗浄後ほぼ40℃の乾燥器中真空下で乾燥する。
この方法により、デキストラン環の約30%が巨大分子
鎖の分解を伴なうことなく置換される。この操作を複数
回(n回)繰り返すと置換度が上昇する。この様子を次
の表Iに示す。
第2段階 ベンジルアミンの固定 この段階は、P.V.SUNDARAMの方法(Biochem.Bioph
ys.Res.Comm.,61,717,1974)に従う。
2フラスコ中撹拌下周囲温度で、(第1段階で調製し
た)カルボキシメチル化デキストラン単位を90%有す
るカルボキシメチルデキストラン40gを水290mlに
溶解する。
1N塩酸を用いてpHを約3.5に調整する。
無水エタノール710ml中に溶解した次式: のN−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジ
ヒドロキノリン(E.E.D.Q)89g(0.360
モル)を入れる。
30分間撹拌する。
ベンジルアミン40ml(0.36モル)を加え、一晩撹
拌する。
混合物を蒸発によりほとんど乾燥し、メタノール2を
用いてデキストランを沈澱させ、メタノールで洗浄後、
40℃の乾燥器中真空下で乾燥する。
第3段階 ベンジルアミンの芳香核のスルホン化 第2段階で得られたベンジルアミン1ミリモル/gを含
有する生成物12gを撹拌下でメチレンクロライド24
0ml中に分散させる。
クロロスルホン酸2.4ml(0.036モル)をゆつく
りと加え、反応混合物を撹拌下で一晩放置し、濾過し、
エタノールで洗浄後、40℃の真空乾燥器中で乾燥す
る。
この方法によつて、ベンジルアミンの芳香環の約半分ま
で置換される。
所望のスルホン化度を得るには、この操作を繰り返すと
よい。
第4段階 洗浄および乾燥 第3段階で得られた生成物をソーダ水溶液に溶解し、pH
を2時間8に保つ。
次いで、Michaelis緩衝液でpHを7.35に平衡化した
水で洗浄し、更に水で洗浄する。これらの全操作は、限
外濾過(適切な排除限界を有する半透膜)法を使用して
行なう。
最後に生成物を凍結乾燥する。
実施例2:本発明誘導体の抗凝固活性測定方法 トロンビン時間(TT)及びレプチラーゼ時間(TR)
を測定する。
トロンビン時間は、血漿試料あるいはフイブリノーゲン
溶液中にトロンビンを加えた後、血塊が形成される時間
に対応する。
フイブリンにおけるフイブリノーゲンの転位能力がデキ
ストラン誘導体の存在により改変されないように、レプ
チラーゼ時間により制御できる。
本測定は、凝固測定器Dade KC1を使用して、37℃に
おいて下記のように自動的に行つた。
貧血小板血漿(PPP)あるいは、フイブリノーゲン
(6g/)の0.2mlを、デキストラン誘導体を適当
な濃度で溶解したミハエリス(Michaelis)バッフアー
の0.1mlと37℃でインキユベートした。
インキユベートは5分間行つた。
0.1mlのトロンビン溶液(ミハエリスバツフアー中)
あるいはレプチラーゼ溶液(蒸溜水中)を加え、血塊出
現時間(TTあるいはTR)を測定した。デキストラン
誘導体を除いた容量のバツフアーを使用して対照の時間
を測定した。
ポリマーの濃度によるものである、血漿に対するTTの
変化は第1図に示したようにヘパリンのそれと平行なよ
うである。
この図によれば、TTの変化は、(1)単位Dを14%、
単位Bを45%を含む誘導体(曲線●)(2)ヘパリン
(曲線◆)の関数によることが示されている。
使用したヘパリンは、173ui/mgのUSP活性と10
700ダルトンの分子量を有している。
第1表に血漿及びフイブリノーゲンに対するトロンビン
時間をレプチラーゼ時間と同様に各種デキストラン誘導
体(これ等誘導体のB、C及びD単位の含有率は第2表
に示した)から得られるものにつき示した。
ポリマーの存在によりレプチラーゼ時間は延長されず、
フイブリノーゲンは変化しないことが確認された。この
レプチラーゼ時間の不変性は、血漿におけるトロンビン
時間の延長の抗凝血効果に対する相関性を裏付けるもの
である。
フイブリノーゲンにおけるトロンビン時間はデキストラ
ン誘導体の濃度が低いときには対照のそれのオーダーで
ある。
その代り、その濃度が高くなるとその時間のわずかな延
長が見られ、ポリマーのトロンビンに対する直接作用の
可能性を示している。この観察はヘパリンにおける場合
と同様にこのメカニズムにおいてもアンチトロンビンII
Iの関与があることを示している。
抗凝血活性 抗凝血活性(抗凝固活性)(a)は、種々の濃度のポリマ
ーの存在下でのPPPのトロンビン時間から測定する。
活性aは生成物のmg当りによつて不活性化されたトロン
ビンユニット数として定義する。
この不活性化トロンビンの量は検量線より測定する。
同条件において、市販のヘパリンの活性a係数は400
0uTh/mgである。
下記第2表に、第1表で挙げた誘導体のuT/mgで表わし
た抗凝血活性a値を示す。
単位B,Dの割合による抗凝血活性aの変化 1〜28までの生成物活性aは、カルボキシメチル基を
備えた単位Bあるいはスルホネート基を持つ単位Dの割
合に対する関数として2a図及び2b図に示した。
2a図は、15±1(曲線●)、11±1(曲線▲)、
6+1(曲線△)もしくは2±1(曲線▽)の割合の単
位Dを有するときの単位Bの割合の関数として表わされ
るMP10500からのデキストラン誘導体の活性aの変化に
対応している。
2b図は、単位Dの割合の関数として表わされ単位Bの
割合が47.5±2.5%の使用デキストラン誘導体の
活性aの変化に対応している。
これ等の結果を考察すると、単位Bを少くとも35%含
有する生成物につき抗トロンビン活性があることがわか
る。
抗トロンビン活性の発現以上に、a値についても同様の
ことが言える(2a図)。
このaについては、スルホネート基を持つたデキストラ
ン構成単位の割合が高くなるに従って強くなることが示
されている(2b図)。
分子量の影響 分子量と抗凝血活性の相関を調べるために非常に多拡散
した(MW=15600,Mn=7400,M=2,1)、中程度
に活性を持つた(a=8uT/mg)デキストラン誘導体を
以下のように分画化した。
カラムの充填:予め洗浄し、1回蒸溜した蒸溜水中にお
いて20℃で10時間膨潤させたゲルを、長さ1m、内
径2.5cmのガラスカラム(LKB)に入れた。
溶出液:0.2M NaCl水溶液を使用し、“Vario Per
pex”(LKB)ポンプにより25ml/hの流速で溶出
した。
チヤージ:熔出液5ml中100mgの生成物収集容量:8
ml。
溶出液濃度の測定:UV(280nm)吸光度による。
このカラムの通過後、生成物は分子量に従って5つの分
画に分画化された(化学的定量により、分子量に従つて
完全に分離されたかどうかを確認した)。
“Merck Lichrospher”100diolカラムを使用した
0.2M Nacl水溶液中での高圧下(90bars)の液体排
除クロマトグラフイー及びカラムの重量検査により各分
画の分子量を測定した。
各分画の抗凝血活性aは下記第3表にまとめた。
同定操作は40000オーダーの分子量を有するデキストラ
ンを20ml中500mgとしてセフアデツクスS300スー
パーフアインRゲルの5cm/40cmのカラムにかけ、5
つのフラクシヨンを得て行ない、その5つのフラクシヨ
ンは次の表4bのように同定した。
考慮した分子量の範囲では、抗凝血活性は分子量に比例
することがわかった。
実施例3 血液凝固の接触相のタンパクに対する本発明
誘導体の作用の検討 接触相におけるタンパクは、内皮以外の表面に接触して
活性になり、かつ少なくとも部分的に他の血液凝固因子
の活性化に関与するタンパクである。
接触相の活性化によつて生起する酵素、カリクレインは
この系の活性化を増幅する。
以下に、これら接触相のタンパクに対する作用という観
点から本発明のデキストラン誘導体を用いて得られた結
果を記載する。
方法 接触相の活性化の測定テストでは、カリクレインの酵素
活性を定量する。この活性は、この酵素に対して特異的
な発色基質(sibstrat S2302,Kabi社製)のアミ
ド分解(amidolyse)によつて確認される。加水分解産
物の1つ、パラニトロアニリン(pNA)の放出速度を4
05nmの分光光度計によつて測定する。
405nmでの光学密度の単位時間当たりの増加がカリ
クレインの酵素活性に比例する。
このテストでは、接触相の活性化の異なる段階で別々に
分析することができないので、このテストの応答は概括
的なものである。
デキストラン誘導体による活性化を、その濃度の関数と
して、また一方では置換基の性質および組成の関数とし
て解析した。
得られた結果によると、接触系の活性化量はデキストラ
ンの活性誘導体の濃度と共に増加すると思われる。
ポリマーの接触相に対する活性化能は、その抗凝血活性
と同様に置換基の性質および組成の関数として変化する
と思われる。すなわち、活性の増加分は、糖単位Bの一
定量以上であるし、糖単位Dの割合が増大すればするほ
ど顕著になるようである。
実施例4 本発明デキストラン誘導体の補体系に対する
作用についての研究 種々の化学組成物中のデキストラン誘導体のC3コンベ
ルターゼに対する作用を検討した。C3コンベルターゼ
とはC3蛋白質を分解しうる酵素複合体であり、C3蛋
白質は補体系の第2経路の蛋白質である。
特異抗体の存否により、補体系は感染物質(L′agent
infecteur)又は外来細胞に対するホストによる認識又
は防御機構に関与する。
方法: C3bフラグメント(C3の分解により生じた小さなフ
ラグメント)を有する、より正確にはEA C4b 3bと
呼ばれる赤血球は、M−D−KazatchkineらによりJ.C
lin.Invest.67,223,1981に記載の方法で感作し
た羊赤血球(EA)から分離した。
次に、EA C4b 3b Bb Pと呼ばれる細胞から“C
3コンベルターゼ増強”部位(un site“C3 converta
se amplificatrice”)を得るに充分量の安定化剤(st
abilisaut)B,D,Pと蛋白質の存在下にこの赤血球
を置いた。この部位は、C5−C6−C7−C8−C9
血漿蛋白質からなる補体の活性化経路(la voie effe
ctrice)を活性化し、ヘモグロビンを放出する赤血球の
溶血を増強する。
この懸濁液0.1mlのフラクシヨンを先に取り、0.1
mlのDGVB++バツフア(0.15mMのCa++と0.5mMのMg
++を含有するベロナールバツフア+0.1%ゼラチンを
5%デキストロースで1/2に希釈し、0.15mMのCa++
と0.5mMのMg++を含有する)のみ又は本発明による改
質されたデキストランを適当量含有するDGVB++バツフア
ーを加えた。
混合物を30℃にて30分間撹拌した。
GVB−EDTAバツフア(0.04MのEDTAを含有す
る、ベロナルバツフア+0.1%ゼラチン)で1/20に希
釈したラツト血漿0.3mlを加えた。
37℃で60分間撹拌し、形成されたC3コンベルター
ゼが現われた。
1.6mlの0.15M NaClを加えて反応を中止させ
た。
試験管を遠心し、上澄を412nmで分光分析し溶解の
強さを測定した。
細胞当りの溶血性部位の数を計算した。
阻害活性 試験すべき生成物の阻害活性は、本発明による改質デキ
ストランが存在せずにコンベルターゼが形成されたコン
トロールの試験管を対照としたコンベルターゼ形成阻害
率で示す。
この活性はコンベルターゼの形成を50%阻害するのに
必要とされる(一定量)の生成物の重量で表わす。
この活性はモチーフの関数で変化する。
前記第1表,第2表に示された誘導体で得られた結果を
第3表に示し、生成物の化学組成と抗凝固活性aを示し
ている。
この結果の検討からデキストラン誘導体の抗補体活性は
ヘパリンのものと同程度からある誘導体ではそれ以上で
あることが示される。
第3図では、モチーフBを10から90%に変化させた
率、モチーフDを下記のように有する化学組成の関数と
して、デキストラン誘導体の抗補体活性の変化を示し
た: 9−12%:曲線■ 4− 5%:曲線▼ 2− 3%:曲線▽ 0%:● 40−50%のモチーフBの率では、阻害活性はモチー
フDの率の増加と共に増加し、それ以上モチーフBの率
を増加させても改善を引き起こさないことが判る。モチ
ーフB及びDの関数としての抗補体活性の上昇は抗凝固
活性aの上昇と非常に近似していることにも注目すべき
である。
モチーフDを少ししか含有しない誘導体は、その抗凝固
活性が非常に弱いとしても重要な抗補体活性を示すこと
に気付だろう。
一方、モチーフCのみが存在すると、どんな抗凝固効果
をも生じさせない時でさえ軽度の抗補体活性を導くこと
も認めたろう。
第4図には、誘導体の抗補体活性と抗凝固活性との間の
関係の研究により得た曲線が示され、モチーフDを9〜
12%、4〜5%、0%及び2〜3%含有するデキスト
ランを各々■,▼,●及び▽で示す。
この図は強い抗補体活性と弱い抗凝固活性とを有する生
成物が得られる可能性の証拠となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、モチーフDを14%とモチーフBを45%含
有する誘導体(曲線●)及びヘパリン(曲線◆)の関数
としてトロンビン時間の変化を示している。 第2a図は、モチーフBの割合とモチーフDの割合の関
数として、Mp 10500からのデキストラン誘導体の抗凝
血活性aの変化を示している。モチーフDの割合が15
±1のものは曲線●,11±1では曲線▲,6±1では
曲線△及び2±1では曲線▽とする。 第2b図は、モチーフDの割合の関数として、モチーフ
Bの割合が47.5±2.5%の使用デキストラン誘導体の
抗凝血活性aの変化を示す。 第3図は、モチーフBの割合が10〜90%に変化し、
モチーフDの割合が9〜12%(曲線■),4〜5%
(曲線▼),2〜3%(曲線▽)及び0%(●)の化学
組成の関数としてデキストラン誘導体の抗補体活性の変
化を示す。 第4図は、モチーフDを9〜12%,4〜5%,0%及
び2〜3%有するデキストラン誘導体の抗補体活性と抗
凝血活性との関係を示している。9〜12%のものは
■,4〜5%は▼,0%は●及び2〜3%は▽で示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子量が5000ダルトンより大きいデキ
    ストラン誘導体であり、統計的に、 −式: で示される1−6結合を有するグルコシル単位A、 −基:−O−(CH−R−COO [式中、Rは単結合または−CO−NH−(CH2n′
    −基(n′は1〜7の数)を表わし、nは1〜10の数
    である] で置換されている単位Aからなる単位Bを少なくとも約
    35%以上特に40%以上、及び −構造: [式中、Rは単結合、−CH−基または を表わし、Rは生理学上許容し得る無機塩または有機
    塩のアニオン特に−SO 基を表わし、nは上記定義
    のとおりである] の基を含む鎖によって置換されている単位Aからなる単
    位Dを少なくとも約3%含有するデキストラン誘導体。
  2. 【請求項2】更に、構造: (式中、Rおよびnは上記のとおりである) の残基で置換されている単位Aよりなる単位Cを含有す
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載のデキ
    ストラン誘導体。
  3. 【請求項3】単位Aと単位Cの合計が全単位数の多くと
    も60%であることを特徴とする特許請求の範囲第2項
    に記載のデキストラン誘導体。
  4. 【請求項4】単位Bが、鎖−O−CH−COO、ま
    たはカルボキシエチル、カルボキシプロピルもしくはカ
    ルボキシブチル、すなわち−O−(CH−COO
    基(nは夫々2,3もしくは4に等しい)、または−
    O−(CH−CO−NH−(CHn′−CO
    基(n′は4,5もしくは7に等しい)によって置
    換されていることを特徴とする特許請求の範囲第1項〜
    第3項のいずれかに記載のデキストラン誘導体。
  5. 【請求項5】単位Dが、構造: [式中、Rは上記定義のものであり、有利には−SO
    基を表わし、nは1〜4の数であり、好ましくは1
    に等しい] の鎖のうちの1つで置換されていることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載のデキス
    トラン誘導体。
  6. 【請求項6】次式の単位A,B,CおよびD: を含有することを特徴とする特許請求の範囲第1〜5項
    のいずれかに記載のデキストラン誘導体。
  7. 【請求項7】分子量が5000ダルトンより大きいデキ
    ストラン誘導体であり、統計的に、 −式: で示される1−6結合を有するグルコシル単位A、 −基:−O−(CH−R−COO [式中、Rは単結合または-CO-NH-(CH2n′−基
    (n′は1〜7の数)を表わし、nは1〜10の数であ
    る] で置換されている単位Aからなる単位Bを少なくとも約
    35%以上特に40%以上、及び −構造: [式中、Rは単結合、−CH−基または を表わし、Rは生理学上許容し得る無機塩または有機
    塩のアニオン特に−SO 基を表わし、nは上記定義
    のとおりである] の基を含む鎖によって置換されている単位Aからなる単
    位Dを少なくとも約3%含有するデキストラン誘導体の
    製法であって、 −単位Aよりなるデキストラン鎖を式: X(CH−R−COOH (式中、Xはグリコシル単位Aの−OH基とグルコシル
    化結合を形成し得る反応基を表わす)誘導体と反応させ
    て、単位Bを生成し、 −単位AおよびBを含有するデキストランを式 (式中、Rは上記定義のとおりである) の誘導体と反応させて、単位Bの置換鎖を形成している
    基に置換アリール基をアミド架橋により固定してデキス
    トラン鎖上に単位Cを導入し、 −単位Cのアリール基上にアニオンを導入して単位Dを
    形成し、 −場合により、デキストラン誘導体を分画して分子量が
    5000未満の誘導体を除去する ことからなる製法。
  8. 【請求項8】分子量が5000ダルトンより大きいデキ
    ストラン誘導体であり、統計的に、 −式: で示される1−6結合を有するグルコシル単位A、 −基:−O−(CH−R−COO [式中、Rは単結合または-CO-NH-(CH2n′−基
    (n′は1〜7の数)を表わし、nは1〜10の数であ
    る] で置換されている単位Aからなる単位Bを少なくとも約
    35%以上特に40%以上、及び −構造: [式中、Rは単結合、−CH−基または を表わし、Rは生理学上許容し得る無機塩または有機
    塩のアニオン特に−SO 基を表わし、nは上記定義
    のとおりである] の基を含む鎖によって置換されている単位Aからなる単
    位Dを少なくとも約3%含有するデキストラン誘導体か
    ら製造される代用血漿または増量剤。
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