JPH053838B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は熱記録ヘツドによりインクリボンのイ
ンクを記録用紙に転写して記録を行う熱転写記録
装置の制御方法に関するもので、詳しくは電源投
入時にインクリボンと記録用紙とを分離させるた
めの制御方法に関するものである。

〔従来の技術〕

第３図はカラー記録を行うこの種の熱転写記録
装置の概略的な斜視図、第４図はその側面図で、
図において１はローラ状のプラテンであり、この
プラテン１は図示しない紙送り用パルスモータを
動力源として回転するようになつている。

２は前記プラテン１の外周面と対向するように
設けられた熱記録ヘツドで、所謂サーマルヘツド
である。この熱記録ヘツド２は、後述する記録用
紙に対してドツトライン単位の発熱抵抗素子を有
しており、つまり印字１行分の長さとなるよう１
列に配列された発熱抵抗体を有しており、ここで
は図示しないヘツドアツプダウン用モータを動力
源として、印字時に前記プラテン１に当接（ヘツ
ドアツプ）し、また非印字時にはプラテン１から
離間（ヘツドダウン）するようになつている。

３ａと３ｂは次に述べる記録用紙の送り方向に
対して前記熱記録ヘツド２の前後の位置に配置さ
れたプレツシヤローラで、各々プラテン１に所定
の圧力で押付けられている。

４は記録用紙、５は用紙ロールで、この用紙ロ
ール５から引出された記録用紙４は前記プラテン
１とプレツシヤローラ３ａとの間に挾込まれ、プ
ラテン１と熱記録ヘツド２との間を経由させて、
更にプラテン１とプレツシヤローラ３ｂとの間を
通過するようにセツトされて支持されており、プ
ラテン１の回転により矢印で示した方向に送られ
るようになつている。

６ａと６ｂはリボンガイドローラで、このリボ
ンガイドローラ６ａ，６ｂはそれぞれ熱記録ヘツ
ド２とプレツシヤローラ３ａ，３ｂの間の位置で
前記プラテン１と当接するように配置されてい
る。

７はインクリボン、８はリボン供給ロール、９
はリボン巻取ローラで、前記リボン供給ローラ８
から引出されたインクリボン７はプラテン１とリ
ボンガイドローラ６ａとの間に挾込まれ、プラテ
ン１と熱記録ヘツド２との間、及びプラテン１と
リボンガイドローラ６ｂとの間を経由してリボン
巻取ロール９で巻取られるようにセツトされてお
り、ここでインクリボン７は前記リボンガイドロ
ーラ６ａ，６ｂ間で記録用紙４と重合わせられて
いる。

第５図は前記インクリボン７の一部分を示す正
面図で、この図に見られるようにインクリボン７
は、耐熱性を有する薄い帯状のフイルムから成る
リボン基材の片面つまり記録用紙４と接する面
に、複数色のインク例えばイエロ、マゼンタ、シ
アンの各色のインクを一定の長さづつ一定の順序
で繰返し塗布することにより構成されており、こ
こで各色のインクとしては常温で固体化し、加熱
することにより溶融して記録用紙４へ付着させる
ことが可能な所謂熱溶融性インクが使用されてい
る。

以上の構成を有する熱転写記録装置において、
印字を行う場合、まず、インクリボン７の最初に
転写すべき色、例えばイエロの先頭の部分が熱記
録ヘツド２の発熱抵抗体と対応する記録位置に位
置付けられた後、熱記録ヘツド２がこのインクリ
ボン７と記録用紙４を介してプラテン１に当接
し、この状態で印字データに基づいて熱記録ヘツ
ド２の発熱抵抗体が発熱して、これによりインク
リボン７のイエロのインクが加熱、溶融され、こ
の溶融したインクがドツトとして記録用紙に転写
される。

このようにして１ライン分のインクのドツトの
転写が行われた後、プラテン１が正方向に回転し
て記録用紙４が１ライン分だけ矢印方向に送られ
るが、このときインクリボン７も記録用紙４との
摩擦力により同速度で同量だけ送られ、送られた
分だけリボン巻取ローラ９により巻取られる。

そして、前記と同様にイエロのインクのドツト
の転写が行われ、以後前記の動作が複数繰返して
行われることにより１行分の転写が行われる。

イエロのインクの転写が終了すると、熱記録ヘ
ツド２がプラテン１から一度離れ、ここでプラテ
ン１が逆方向に回転して記録用紙４が逆送りされ
て、これによりイエロのインクによる最初のドツ
ト転写位置が記録位置まで戻されるが、このとき
インクリボン７は熱記録ヘツド２がプラテン１か
ら離れたことで、記録用紙４の摩擦力から解放さ
れているので逆送りされず、更にリボン巻取ロー
ル９により一定量巻取られて次のインク色である
マゼンタの先頭の部分が記録位置に位置付けられ
る。

その後、熱記録ヘツド２が再びインクリボン７
及び記録用紙４を介してプラテン１に当接し、以
後前記したイエロのインクの場合と同様に１行分
のマゼンタのインクがドツトとして記録用紙４に
転写され、更に続いて同様にシアンのインクが転
写されて、これにより１行分のカラー印字が終了
する。

ところで、前記の印字において、記録用紙４と
の摩擦力により送られるインクリボン７をしわや
スキユーを生じることなく走行させるには、イン
クリボン７が記録位置つまりプラテン１と熱記録
ヘツド２との間を通過した後にたるみを生じない
ようにリボン巻取ロール９で巻取る必要がある。
そのためこの種の熱転写記録装置では、プラテン
１に熱記録ヘツド２が当接した状態での記録用紙
４とインクリボン７との摩擦力より小さい摩擦力
を介してリボン巻取ロール９に駆動力を伝達する
ようにしており、以下にその構造を説明する。

第６図はリボン巻取ロール９とその駆動機構を
示す断面図で、この図に見られるようにリボン巻
取ロール９の両端にはフランジ１０ａ，１０ｂが
固定されており、この両フランジ１０ａ，１０ｂ
はそれぞれサイドフレーム１１ａ，１１ｂに取付
けられた支持軸１２ａ，１２ｂに回転自在に支持
されている。

そして、一方の支持軸１２ａには、片面にクラ
ツチ板１３を取付けたクラツチギヤ１４が回転自
在でかつ軸方向に摺動し得るように取付けてあつ
て、このクラツチギヤ１４はサイドフレーム１１
ａとの間に装着されたスプリング１５ａにより前
記クラツチ板１３を介してフランジ１０ａに押付
けられており、また前記フランジ１０ｂにもサイ
ドフレーム１１ｂとの間に設けられたスプリング
１５ｂにより押圧力が加えられている。

１６はリボン巻取用モータ、１７は該リボン巻
取用モータ１６の回転軸に取付けられた駆動ギヤ
で、この駆動ギヤ１７は前記クラツチギヤ１４と
噛合つている。

この構成は、リボン巻取用モータ１６を回転さ
せると、駆動ギヤ１７を介してクラツチギヤ１４
が回転し、このクラツチギヤ１４の回転力がクラ
ツチ板１３を介してフランジ１０ａに伝達され、
これによりフランジ１０ａ，１０ｂと一体にリボ
ン巻取ロール９が回転するものであるが、ここで
クラツチ板１３とフランジ１０ａはスプリング１
５ａ，１５ｂの力により圧接しているので、クラ
ツチギヤ１４の回転力はクラツチ板１３とフラン
ジ１０ａとの摩擦により該フランジ１０ａに伝達
されるものである。

従つて、このクラツチ板１３とフランジ１０ａ
との摩擦擦力を予め前記の記録用紙４とインクリ
ボン７との摩擦より小さくなるように設定するこ
とで、リボン巻取ロール９により印字後のインク
リボン７をたるみが生じないように巻取ることが
できる。

さて、以上のようにして印字及びそれに伴う動
作を行う熱転写記録装置では、印字終了後、印字
品位向上のため、記録位置からリボンガイドロー
ラ６ｂまでの間で記録用紙４とインクリボン７と
を重ねたまま第４図に示す距離ｌだけ送り、その
後プラテン１とリボンガイドローラ６ｂとの間を
通過した直後に、記録用紙４とインクリボン７と
を分離させているが、印字途中で装置の電源を切
つたときは記録用紙４とインクリボン７が前記距
離ｌの範囲で重なり合つたまま放置されることに
なる。

この場合、距離ｌの範囲では印字時に溶融した
インクつまりインクリボン７から記録用紙４に転
写されたインクが、インクリボン７と記録用紙４
とが密着した状態において固化することになるた
め、インクリボン７と記録用紙４とがインクの粘
着力により互いに接着し易くなる。

そのため、再度電源を投入して印字を行う場
合、従来は、プラテン１か熱記録ヘツド２を離間
させた状態で、プラテン１により記録用紙４のみ
を走行させるか、もしくは記録用紙４とインクリ
ボン７を同時に一定距離だけ送ることにより記録
用紙４とインクリボン７とを分離し、その後印字
動作に移行するようにしている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述した従来の方法では、前者
の場合、つまり記録用紙のみを走行させる方法の
場合、インクの粘着力による記録用紙４とインク
リボン７の接着力が高いので両者をうまく分離さ
せることが難かしく、そのためインクリボン７が
プラテン１とプレツシヤローラ３ｂとの間に引込
まれてジヤムを発生する恐れがあるという問題を
有している。

また、後者の記録用紙４とインクリボン７を同
時に送る方法では、両者の分離を確実に行うこと
ができるが、インクリボン７が前述したように例
えば３色のインクを持つものである場合、電源切
断時にシアンの領域の末端に近い部分が記録位置
にあると、電源の再投入時に記録用紙４と共にイ
ンクリボン７が送られることにより、最初の転写
インク色であるイエロの領域の先頭部が記録位置
を通過してしまい、その結果次のイエロの先頭部
が記録位置にくるまでインクリボン７の送りを行
わなければならなくなり、途中のマゼンタ及びシ
アンの領域、及び前記先頭部が通過してしまつた
イエロの領域がまつたく使用できず、インクリボ
ン７に非常な無駄が生じるという問題があつた。

本発明はこれらの問題を解決するためになされ
たもので、電源投入時におけるインクリボンのジ
ヤムを防止できると共に、インクリボンの無駄を
なくすことができる熱転写記録装置の制御方法を
実現することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上述した目的を達成するため、発明は電源投入
時に熱記録ヘツドをプラテンから離間させて、記
録用紙を印字時と逆の方向に一定量送ると共に、
インクリボンは送らないようにリボン巻取ロール
で保持し、その後記録用紙を印字時と同方向に前
記一定量もしくはそれ以上送つてから印字動作に
移行するようにしたものである。

〔作用〕

上述した手段によれば、電源投入時に記録用紙
のみの送りを行い、インクリボンは送らないよう
に保持することで記録用紙とインクリボンとを容
易かつ確実に分離することができる。

従つてインクリボンがプラテンとプレツシヤロ
ーラとの間に引込まれてジヤムが発生するという
事故を未然に防ぐことができ、またインクリボン
を電源投入時に送らないことから、インクリボン
の無駄をなくすことができる。

〔実施例〕

以下図面を参照して実施例を説明する。

第１図は本発明による熱転写記録装置の制御方
法の一実施例を示すフローチヤート、第２図は第
１図の制御方法を実施する熱転写記録装置の機能
ブロツク図である。

本実施例における熱転写記録装置は第３図及び
第４図に示すものが用いられ、またリボン巻取ロ
ール及びその駆動機構も第６図と同じである。

従つて、第２図において第３図〜第６図と同一
の部品は同一の符号で示している。

さて、第２図において１８は熱転写記録装置全
体を制御する制御部、１９は紙送り用制御回路、
２０は紙送り用パルスモータ、２１はヘツドアツ
プダウン用制御回路、２２はヘツドアツプダウン
用パルスモータ、２３はリボン巻取用制御回路で
あり、ここで前記紙送り用制御回路１９は制御部
１８からの指令により紙送り用パルスモータ２０
を駆動し、プラテン１を正逆両方向に回転させる
ように働く。

また、ヘツドアツプダウン用制御回路２１は制
御部１８からの指令によりヘツドアツプダウン用
パルスモータ２２を駆動して、熱記録ヘツド２を
アツプ（プラテン１への当接）、ダウン（プラテ
ン１からの離間）動作さるように働き、更に、リ
ボン巻取用制御回路２３は制御部１８からの指令
により印字時にリボン巻取用モータ１６を駆動
し、クラツチギヤ１４を介してリボン巻取ロール
９を巻取動作させるように働く。

この構成において、本実施例は第１図に示すよ
うに装置の電源を投入すると、最初のステツプＳ
１として制御部１８からヘツドダウンの指令がヘ
ツドアツプダウン用制御回路２１に出され、これ
によりこのヘツドアツプダウン用制御回路２１は
ヘツドアツプダウン用パルスモータ２２を駆動し
て熱記録ヘツド２をダウン動作させ、プラテン１
から熱記録ヘツド２を離間させる。

その後、次のステツプＳ２として、制御部１８
から記録用紙４の逆送りの指令が紙送り用制御回
路１９に出され、これにより紙送り用制御回路１
９は紙送り用パルスモータ２０を印字時と逆の方
向に駆動してプラテン１を逆回転させ、記録用紙
４を第３図及び第４図に示した矢印と逆の方向に
一定量、例えば第４図に示した距離ｌもしくはそ
れ以下の距離だけ送る。

この記録用紙４の逆送り中リボン巻取用モータ
１６は駆動されず、つまりリボン巻取用制御回路
２３に対してインクリボン７の巻取りの指令は出
されず、かつ第６図に示すリボン巻取ロール９
が、クラツチギヤ１４に設けられているクラツチ
板１３とリボン巻取ロール９に取付けられたフラ
ンジ１０ａの摩擦力により保持されているので、
インクリボン７の送りは行われず、従つて記録用
紙４とインクリボン７とが分離する。

つまり、前回の印字により第４図に示す距離ｌ
の範囲でインクの粘着力により記録用紙４とイン
クリボン７とが接着していた場合でも、前記クラ
ツチ板１３とフランジ１０ａとの摩擦力によりリ
ボン巻取ロール９が保持されているので、これに
よりインクリボン７に加わる制動力と、プラテン
１の回転により記録用紙４に加わる送り力とによ
り、記録用紙４とインクリボン７とを容易に分離
させることができる。

尚、前記記録用紙４の逆送り時における紙送り
用パルスモータ２０の回転量は、例えば５mm程度
である。

このようにして、記録用紙４とインクリボン７
とを分離した後、次のステツプＳ３として、制御
部１８から今度は記録用紙４の正送りの指令が紙
送り用制御回路１９に出され、これにより紙送り
用制御回路１９は紙送り用パルスモータ２０を印
字時と同じ方向に駆動してプラテン１を正回転さ
せ、記録用紙４を前記矢印と同方向に一定量つま
り逆送りした量と同量もしくはそれ以上の量だけ
送りを行う。

以上で、印字準備が完了し、その後印字動作に
移行して、前述した印字が行われる。

尚、上述した実施例はカラー印字を行う熱転写
記録装置について説明したものであるが、黒色等
のインクリボンを用いて単色の印字を行う装置に
も適用できることは無論である。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明は電源投入時に熱
記録ヘツドをプラテンから離間させ、プラテンを
印字時と逆方向に回転させて記録用紙を一定量逆
送りすると共に、インクリボンの送りが行われな
いように保持し、その後前記プラテンを印字と同
方向に回転させて記録用紙を前記一定量もしくは
それ以上正送りしてから印字動作に移行するよう
にしているため、電源投入時に記録用紙とインク
リボンとがインクの粘着力により接着している場
合でも、この記録用紙とインクリボンとを容易か
つ確実に分離することができ、従来のようにイン
クリボンがプラテンとプレツシヤローラとの間に
引込まれることがないので、インクリボンのジヤ
ムを防止できるという効果が得られる。

また、上述したように電源投入時に記録用紙の
みの送りを行うだけで、インクリボンの送りは行
わないため、従来のようにインクリボンを無駄に
することがなく、有効に利用できるという効果も
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による熱転写記録装置の制御方
法の一実施例を示すフローチヤート、第２図は第
１図の方法を実施する熱転写記録装置を示す機能
ブロツク図、第３図は熱転写記録装置の概略的な
斜視図、第４図はその側面図、第５図はインクリ
ボンの一部分正面図、第６図はリボン巻取ロール
とその駆動機構を示す断面図である。 １…プラテン、２…熱記録ヘツド、３ａ，３ｂ
…プレツシヤローラ、４…記録用紙、６ａ，６ｂ
…リボンガイドローラ、７…インクリボン、９…
リボン巻取ロール、１０ａ，１０ｂ…フランジ、
１３…クラツチ板、１４…クラツチギヤ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 記録用紙の支持及び送りを行うプラテンと、
   前記記録用紙の幅方向に１行分１列に配列された
   発熱抵抗体を有し、かつ前記プラテンに対して当
   接、離間可能に設けられた熱記録ヘツドと、 前記記録用紙の送り方向に対して熱記録ヘツド
   の前後の位置に配置されたリボンガイドローラ
   と、 前記発熱抵抗体により加熱することで溶融する
   インクをリボン基材に塗布して成るインクリボン
   とを備え、 このインクリボンと記録用紙を前記リボンガイ
   ドローラ間で重合わせると共に、該インクリボン
   と記録用紙とを介して熱記録ヘツドをプラテンに
   当接させて印字を行う熱転写記録装置の制御方法
   であつて、 電源投入時にプラテンから熱記録ヘツドを離間
   させて、記録用紙を印字時と逆方向に一定量送る
   と共に、インクリボンは送らないように保持し、
   その後前記記録用紙を印字時と同方向に前記一定
   量もしくはそれ以上送ることを特徴とする熱転写
   記録装置の制御方法。