JPH0536256B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、グローブボツクス等の小物入れ用の
リツドの開閉機構に関するものである。

（従来の技術） 従来より、この種のリツドの開閉機構として、
例えば実開昭62−43846号公報に開示されるよう
に、リツドの下端をヒンジを介して被組付け部材
（グローボツクス等）に開閉回動可能に取付ける
とともに、リツドの側方側にダンパーを設け、該
ダンパーによつてリツドの開放時の緩衝作用を行
うようにしたものは知られている。

（発明が解決しようとする問題点） ところが、上記従来のものでは、高価なダンパ
ーを使用しているので、コスト的に非常に高くつ
くとともに、ダンパーの配設のために比較的広い
スペースを必要とするという問題があつた。

本発明はかかる点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、上記ダンパーの代
わりに構造の簡単な手段を用いて、リツドの開放
時の緩衝作用をコスト的およびスペース的に有効
に発揮し得る開閉機構を提供せんとするものであ
る。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本発明の解決手段
は、リツドの開閉機構として、リツドの回動中心
となる第１ヒンジと、リツドの側方から見て該第
１ヒンジの中心軸とオフセツトした位置に中心軸
を有する第２ヒンジとを備える。そして、上記第
２ヒンジは、その中心軸とリツドとを連結する部
分に第１ヒンジの中心軸と第２ヒンジの中心軸と
のオフセツトに起因してリツドの回動時に弾性変
形する弾性変形部が設けられてなる構成にしたも
のである。

（作用） 上記の構成により、本発明では、第２ヒンジの
中心軸がリツドの開閉回動軸たる第１ヒンジの中
心軸とリツドの側方から見てオフセツトした位置
に設けられているので、この第２ヒンジの中心軸
とリツドに連結された連結点との間の距離は、リ
ツドの開閉回動に伴なつて変化する。このため、
上記第２ヒンジにおける中心軸とリツドとを連結
する部分に設けられた弾性変形部は、リツドの開
放時に弾性変形するようになり、また、この弾性
変形部の弾性復元力によつてリツドの開放回動を
規制する緩衝作用が発揮される。

しかも、上記リツドの開放に対する緩衝作用
は、その緩衝力の大きさや方向が第２ヒンジの中
心軸の位置および弾性変形部の長さや弾性係数に
よつて定まるので、これらを変えることによりリ
ツドの種類や大きさ等に対応して適宜設定するこ
とができる。

さらに、緩衝作用を発揮するための構造は、単
にリツドの回動中心となる第１ヒンジとは別の第
２ヒンジを設けただけの簡単なものであり、コス
ト的に安価に実施することができ、また、上記第
２ヒンジの付加のために広いスペースを確保する
必要もない。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図および第２図は本発明の一実施例に係わ
るリツドの開閉機構を示し、１は自動車の内装品
たるクラツシユパツドのロアパネルであつて、該
ロアパネル１には手前側に開口する凹陥部１ａが
形成されているとともに、該凹陥部１ａにはリツ
ド２が設けられている。上記リツド２は、凹陥部
１ａの開口を開閉するリツドアウタ３と、該リツ
ドアウタ３の内側に接合され、リツドアウタ３と
の間に手帳などの小物を差入れ収納する収納部を
形成するリツドインナ４とからなり、このリツド
アウタ３およびリツドインナ４は共に樹脂よりな
る。上記リツドアウタ３の下端部には左右両端二
箇所にそれぞれ第１ヒンジ５，５が取付けられ、
該第１ヒンジ５，５を介してリツド２がロアパネ
ル１に開閉回動可能に連結支持されている。

また、上記リツドインナ４の下部の左右方向中
央には、括れ部６ａを中心軸として折曲げ自在な
第２ヒンジ６が一体に形成されており、該第２ヒ
ンジ６の先端部は、ロアパネル１の凹陥部１ａ下
縁にビス７，７により固定されている。上記第２
ヒンジ６の括れ部６ａつまり中心軸は、第１図に
示す如くリツド２の側方から見て上記第１ヒンジ
５の中心軸（連結ピン５ａ）とオフセツトされて
位置している。また、第２ヒンジ６の括れ部６ａ
からリツドアウタ３との連結側の部分は、その厚
みが括れ部６ａからロアパネル１との連結側の部
分のそれよりも薄く設定されて弾性変形が生じ易
い弾性変形部６ｂを構成しており、この弾性変形
部６ｂは、第１ヒンジ５の中心軸と第２ヒンジ６
の中心軸とのオフセツトに起因してリツド２の開
放時に弾性変形するようになつている。

次に、上記実施例の作用効果を説明するに、リ
ツド２の回動中心となる第１ヒンジ５とは別の第
２ヒンジ６の中心軸（括れ部６ａ）が第１ヒンジ
５の中心軸（連結ピン５ａ）とリツド２の側方か
ら見てオフセツトした位置に設けられているの
で、この第２ヒンジ６の中心軸５ａとリツド２
（リツドアウタ３）に連結された連結点Ｐとの間
の距離Ｌは、リツドの開閉回動に伴なつて変化す
る。このため、上記第２ヒンジ６における中心軸
６ａとリツド２とを連結する部分で弾性変形を生
じ易く形成された弾性変形部６ｂは、リツドの開
放時に上記距離Ｌの変化に応じて弾性変形するよ
うになり、また、この弾性変形部６ｂの弾性復元
力によつてリツド２の開放回動を規制する緩衝作
用が発揮される。

しかも、上記リツド２の開放に対する緩衝作用
は、その緩衝力の大きさや方向が第２ヒンジ６の
中心軸６ａの位置および弾性変形部６ｂの長さや
弾性係数によつて定まるので、これらを変えるこ
とによりリツド２の種類や大きさ等に対応して適
宜設定することができる。

ここで、第２ヒンジ６の中心軸６ａの位置と緩
衝作用との関係を第３図および第４図を参照しな
がら説明する。第３図および第４図は、第１ヒン
ジ５の中心軸（図ではＡ点で示す）を中心点とし
て座標を取り、この座標中における第２ヒンジ６
の中心軸（図ではＢ点で示す）の位置によつてリ
ツド２の開放時第２ヒンジ６の中心軸Ｂと第２ヒ
ンジ６のリツド２との連結点Ｐとの間の距離Ｌ
（以下、この距離を支点間長さという）の変化す
る状態を示したものである。すなわち、第３図に
示す如く第２ヒンジ６の中心軸Ｂが座標中の第２
象限領域にある場合、支点間長さＬは、リツド２
が閉じ位置（この位置での連結点Ｐは垂直軸上の
Ｐ１とする）から全開位置（この位置での連結点
Ｐは水平軸上のＰ２とする）に移動するに従つて
次第に長くなり、これに伴ないリツド２に対して
作用する緩衝力も漸次大きくなる。また、第４図
に示す如く第２ヒンジ６の中心軸Ｂが座標中の第
３象限領域にある場合、支点間長さＬは、リツド
２の開放時の初めは次第に長くなり、連結点Ｐが
第１ヒンジ５と第２ヒンジ６との中心軸Ａ，Ｂ間
を結ぶ直線上の位置（この位置での連結点はＰ３
とする）を通過した後は次第に短くなる。リツド
２に対して作用する緩衝力は、この支点間長さＬ
の変化に伴なつて変化する。さらに、図示してい
ないが、第２ヒンジ６が第４象限領域にある場
合、支点間長さＬは、上述の第２ヒンジ６が第２
象限領域にある場合とは逆にリツド２が閉じ位置
から全開位置に移動するに従つて次第に短くな
り、これに伴ない緩衝力も漸次小さくなる。ま
た、第２ヒンジ６が第１象限領域にある場合、支
点間長さＬは、上述の第２ヒンジ６が第３象限領
域にある場合とは逆に、リツド２の開放時の初め
は次第に短くなり、連結点Ｐが第１ヒンジ５と第
２ヒンジ６との中心Ａ，Ｂ間を結ぶ直線上の位置
（この位置での連結点はＰ３とする）を通過した
後は次第に長くなる。緩衝力もこの支点間長さＬ
の変化に伴なつて変化する。

さらに、上記実施例の効果としは、緩衝作用を
発揮するための構造が、単にリツド２の回動中心
となる第１ヒンジ５とは別の第２ヒンジ６を設け
ただけの簡単なものであり、コスト的に安価に実
施することができ、また、上記第２ヒンジ６の付
加のために広いスペースを確保する必要もない。
特に、実施例の場合、第２ヒンジ６をリツド２
（リツトインナ４）と一体に形成したので、部品
点数の減少により組付けの簡易化等をも図ること
ができる。

尚、本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、その他種々の変形例を包含するものであ
る。例えば、上記実施例では、第２ヒンジ６をリ
ツド２と一体に形成したが、この第２ヒンジ６と
してはリツド２とは別個のヒンジ部材を用いても
よい。この際、第２ヒンジ６において、リツド２
の開放時に弾性変形する弾性変形部６ｂは、実施
例の如く中心軸６ａとリツド２との連結点Ｐとの
間の部分全体をもつて構成する必要はなく、その
部分の一部に弾性変形可能な弾性変形部を設ける
だけでもよい。

（発明の効果） 以上の如く、本発明におけるリツドの開閉機構
によれば、リツドの回動中心となる第１ヒンジと
は別の第２ヒンジを設けただけの簡単な構成によ
つて、リツドの開放に対する緩衝作用をコスト的
に安価にかつスペース上に有効に発揮することが
できるとともに、その緩衝作用の大きさおよび方
向を任意に設定することでき、実用性に優れた効
果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
第２図のＸ−Ｘ線における断面図、第２図はリツ
ドの組付け状態を示す斜視図であり、第３図およ
び第４図は第２ヒンジの中心軸の位置とリツドに
対する緩衝作用との関係を説明するための説明図
である。 ２……リツド、５……第１ヒンジ、５ａ……連
結ピン（中心軸）、６……第２ヒンジ、６ａ……
括れ部（中心軸）、６ｂ……弾性変形部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ リツドの回動中心となる第１ヒンジと、リツ
   ドの側方から見て該第１ヒンジの中心軸とオフセ
   ツトした位置に中心軸を有する第２ヒンジとを備
   えており、上記第２ヒンジは、その中心軸とリツ
   ドとを連結する部分に第１ヒンジの中心軸と第２
   ヒンジの中心軸とのオフセツトに起因してリツド
   の回動時に弾性変形する弾性変形部が設けられて
   なることを特徴とするリツドの開閉機構。