JPH0535232Y2

JPH0535232Y2 -

Info

Publication number: JPH0535232Y2
Application number: JP1987131575U
Authority: JP
Priority date: 1987-08-31
Filing date: 1987-08-31
Publication date: 1993-09-07
Anticipated expiration: 2002-08-31
Also published as: JPS6436757U

Description

【考案の詳細な説明】［考案の目的］〈産業上の利用分野〉この考案は、内燃機関のクランクシヤフトなど
の軸端に嵌着され、前記クランクシヤフトなどか
ら伝えられる捩り振動などを吸収する手段を備え
たダンパープーリの改良に関するものである。

〈従来の技術〉内燃機関などのクランクシヤフト軸端に嵌着さ
れ動力を伝える軸端のプーリとしては、クランク
シヤフトなどの駆動側から捩りその他の振動を緩
和するために、プーリのウエブ部などに、ゴム状
の弾性体を介し慣性体を付設して、いわゆるダイ
ナミツクダンパーの効果をもたらせるようにし
た、ダンパープーリが用いられている。

これらダンパープーリは、伝達すべき動力以外
に前述したような振動に耐えるべく、高い剛性と
強度を必要とすることは当然である。

一方、プーリ全体としては回転体としての慣性
モーメントが極力小さいことが望ましい。

したがつて、これらダンパープーリには、強度
を高くしかつ軽量とするために、ウエブ部などに
いわゆる肉抜き部が設けられている。

上記肉抜き部は、この種のダンパープーリに求
められる上記の要請に応えるものであると共に、
この部分を通過する空気流によるプーリの冷却効
果や、重量の軽減などの効果をも狙いとしたもの
である。

従来、これらの肉抜き部は、第３図にみられる
ように、ウエブ部の回転中心から径方向の位置が
異なる周上、すなわち径方向内側および外側の周
上に、夫々複数個（図面では６個）設けられ、内
側の肉抜き部３２および外側の肉抜き部３３は、
互いにダンパープーリの回転中心を挟んで相対向
するように配置され、各肉抜き部３２，３３の間
には、夫々スポーク３２ａ，３３ａが配設された
構成となつていた。

〈考案が解決しようとする問題点〉しかしながら、ダンパープーリに求められる機
械部品としての機能は厳しいものであり、従来の
肉抜き部に対しても一層の改善が求められてい
た。

この考案は、上記の要請に応えるためになされ
たものであり、他の機能を減ずることなく、一層
の強度向上を図つたダンパープーリを提供するこ
とを目的とするものである。

［考案の構成］〈問題点を解決するための手段〉上記の目的を達成するために、この考案のダン
パープーリは、駆動軸に嵌着する軸穴を備えたハ
ブ部と、ベルト溝を刻設した輪部と、前記ハブ部
と輪部との中間体を構成するウエブ部と、このウ
エブ部から分岐した分岐部にゴム状の弾性体を介
して設けた慣性体とから成るダンパープーリにお
いて、前記ウエブ部の回転中心から径方向の位置
が異なる周上に夫々複数の肉抜き部を設け、これ
ら肉抜き部のうち、前記ウエブ部の同一周上に位
置する肉抜き部は、互いに前記回転中心を挟んで
相対向せず、前記ウエブ部の異なる周上に位置す
る肉抜き部は、夫々径方向に相互にオーバーラツ
プしないように、前記各肉抜き部を配置したこと
を特徴とする。

〈作用〉この考案のダンパープーリは、ウエブ部の同一
周上に位置する肉抜き部が、互いにダンパープー
リの回転中心を挟んで相対向しないように、前記
各肉抜き部を配置したため、各肉抜き部の間に残
された部分、すなわちスポークの部分も前記回転
中心を挟んで相対向せず、一本のスポークにかか
る力は従来のように対向する他の一本のスポーク
に集中することがなく、必ず二本以上のスポーク
を分散することができるばかりか、各スポークを
相対的に太くすることができるので、力を分散
し、強度を向上することが可能である。

また、この考案のダンパープーリは、ウエブ部
の回転中心から径方向の位置が異なる周上の肉抜
き部が、夫々径方向に相互にオーバーラツプしな
いように、前記各肉抜き部を配置したため、スポ
ークにかかる力はスポーク左右の肉抜き孔がオー
バーラツプしていないウエブ部へと分散するた
め、曲げ及び捩りの力に対しては強度が向上し、
亀裂などの破損を効果的に防止することができ
る。

したがつてこの考案のダンパープーリによれ
ば、強度の向上を図りながら、さらに肉抜き部を
数多く設定し、軽量化を図ることが可能である。

〈実施例〉以下、この考案のダンパープーリの一実施例に
ついて、図面を用いて詳細に説明する。

第１図はこの考案のダンパープーリの実施例を
示す一部を切欠した正面視説明図、第２図は第１
図における−矢視断面図である。

第２図に示すように、ダンパープーリＰは、内
燃機関などのクランクシヤフトの軸端に嵌合する
軸穴１１にキー溝１２を設けたハブ部１０と、外
周に複数個のベルト溝２１，２２を刻設した輪部
２０と、前記ハブ部１０と輪部２０とを繋ぐウエ
ブ部３０と、このウエブ部３０の一部を分岐形成
した分岐ドラム３１の円筒面上に嵌着されたダン
パー部４０とから構成されている。

ダンパー部４０は、ウエブ部３０の一部を分岐
形成した分岐ドラム３１の円筒面上に、圧入リン
グ４１およびゴム状の弾性体４２を介して慣性体
４３を取付けることにより構成されている。

ウエブ部３０の回転中心から径方向の位置が異
なる同心円の周上、すなわち本実施例ではハブ部
１０近傍の径方向内側および輪部２０近傍の径方
向外側の各周上に、夫々複数の肉抜き部３２およ
び３３が設けられている。

ここで、径方向内側の周上に位置する肉抜き部
３２は５個の非貫通孔からなり、径方向外側の周
上に位置する肉抜き部３３は同様に５個の貫通孔
からなつている。

そして、ウエブ部３０の同一周上に位置する肉
抜き部３２および３３は、夫々回転中心に対して
相対向しないように配置されている。

また、ウエブ部３０の異なる周上に位置する肉
抜き部３２および３３の位置関係は、夫々径方向
に相互にオーバーラツプしないように、位置をず
らして配置されている。

すなわち、内側の周上の肉抜き部３２は、外側
の周上の肉抜き部３３の間に配設したスポーク３
３ａと径方向に相対する部分に、また外側の周上
の肉抜き部３３は、内側の周上の肉抜き部３２の
間に配設したスポーク３２ａと径方向に相対する
部分に夫々設けられることによつて、肉抜き部３
２と３３は夫々径方向に相互にオーバーラツプし
ないように配置されているのである。

外側の周上に位置する肉抜き部３３は小さなも
のであるが、ダンパープーリの回転中心から遠い
位置にあり、相当する慣性モーメントとしては大
きいので、その効果は内側の周上に位置する肉抜
き部３２に劣るものではない。

本実施例では、第１図に示したように、ウエブ
部３０における肉抜き部３２および３３を、第３
図に示した従来の６個に対し夫々５個とし、スポ
ークとして残る部分３２ａおよび３３ａがともに
回転中心に対して相対向する位置になく、かつこ
れらスポークの部分３２ａおよび３３ａを従来よ
りも大きくとることができるため、強度の大幅な
向上を図ることが可能である。

［考案の効果］この考案のダンパープーリは、上述のように構
成したから、各肉抜き部の間に残された部分、す
なわちスポークの部分もダンパープーリの回転中
心を挟んで相対向せず、一本のスポークにかかる
力は従来のように対向する他の一本のスポークに
集中することがなく、必ず二本以上のスポークに
分散することができるばかりか、各スポークを相
対的に太くすることができるので、力を分散し、
強度を大幅に向上することが可能である。

また、径方向に対しては互いの肉抜き部がオー
バーラツプしないため、スポークにかかる力はス
ポーク左右の肉抜き部がオーバーラツプしていな
いウエブ部へと分散するため、曲げ及び捩りの力
に対して強度が向上し、亀裂などの破損をも効果
的に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のダンパープーリの実施例を
示す一部を切欠した正面視説明図、第２図は第１
図における−矢視断面図、第３図は従来のダ
ンパープーリの一部を切欠した正面視説明図であ
る。Ｐ……ダンパープーリ、１０……ハブ部、１１
……軸穴、２０……輪部、３０……ウエブ部、３
１……分岐ドラム（分岐部）、３２，３３……肉
抜き部、４１……ゴム状の弾性体、４３……慣性
体。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

駆動軸に嵌着する軸穴を備えたハブ部と、ベル
ト溝を刻設した輪部と、前記ハブ部と輪部との中
間体を構成するウエブ部と、このウエブ部から分
岐した分岐部にゴム状の弾性体を介して設けた慣
性体とから成るダンパープーリにおいて、前記ウ
エブ部の回転中心から径方向の位置が異なる周上
に夫々複数の肉抜き部を設け、これら肉抜き部の
うち、前記ウエブ部の同一周上に位置する肉抜き
部は、互いに前記回転中心を挟んで相対向せず、
前記ウエブ部の異なる周上に位置する肉抜き部
は、夫々径方向に相互にオーバーラツプしないよ
うに、前記各肉抜き部を配置したことを特徴とす
るダンパープーリ。