JP3570162B2 - プーリダンパ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸、例えばエンジンのクランク軸に装着されて捩り振動を低減するプーリダンパに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジンのクランク軸に装着されてウオータポンプその他エンジンの補機類をベルトを介して駆動するクランクプーリに、トーショナルダンパを組付けてクランク軸の捩り振動を低減するようにした種々のクランクプーリダンパが提案されており、実開昭59−81835号公報にその一例が開示されている。(以下に、上記公開公報記載のプーリダンパを既提案の装置という。)
【0003】
上記既提案の装置の概略構成を、図4の断面図を参照して説明する。図中、符号01はその外周にV型のベルト溝02を設けたプーリ部03と、同プーリ部03の一側部に一体的に形成された大径のフランジ部04とを備え、複数の取付ボルト05を介してクランク軸06に固着されるプーリ本体、07はゴム部材08を介して上記フランジ部04及びプーリ本体01の円筒状延長部09に装着された円環状の慣性リングである。上記慣性リング07のゴム部材08とは反対側の側面には、多数のわん曲したフイン010突設されている。
【0004】
上記既提案の装置において、クランク軸06に固着されて同クランク軸と一体に回転するプーリ本体01に対し、慣性リング07がゴム部材08を介し相対回転することによって、クランク軸06の捩り振動が低減されるのであるが、慣性リング07が、半径方向最内端から最外端まで、実質的に等しい厚さの単純な円環状に形成されているため、重量の割に制振効果が小さい欠点がある。また、上記ゴム部材08のうち、プーリ本体01の円筒状延長部09の外周を囲撓する部分が、半径方向の寸度が大きい慣性リング07により覆われているため放熱が著しく悪く、熱害により早期に破損する恐れがあり、さらに、プーリ本体01がクランク軸06に固着されているので、制振作用を生起する慣性質量として機能せず、単なるプーリとしての機能を有するに過ぎないため、プーリダンパ全体として制振効果が小さい不具合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記既提案の装置と較べて、捩り振動の制振効果が大きく、しかも軽量であり、さらに、回転軸に対し慣性質量を相対回転可能に連結するゴム部材の冷却が効果的に行なわれ、従って耐久性が優れたプーリダンパを提供することを、主たる目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、回転軸に同軸的に連結されるダンパハブに、プーリ部と、上記プーリ部の一側部分に一体的に形成され同プーリ部の外径より大きい外径を有する円盤状の慣性マス部とからなる慣性部材がゴム部材を介して外嵌され、同慣性マス部が、その半径方向内側部分に、放射状に延びた複数のリブ部と、同リブ部相互間に夫々形成された複数の凹所とを有することを特徴とするプーリダンパを提案するものである。
【0007】
上記構成によれば、プーリ部及び同プーリ部と一体的に形成された円盤状の慣性マス部とからなるダンパ本体がゴム部材を介しダンパハブに外嵌されるので、プーリ部が慣性マス部と共に、捩り振動を低減する慣性質量として作用する。また、慣性マス部の内側部分に、放射状に延びた複数のリブ部とリブ相互間に形成された複数の凹所とが設けられているので、同凹所を設けたことによって重量が軽減され、かつ制振作用上有効な半径方向外側部分への慣性質量の優先的配置が可能となり、制振効果の増大が達成される。
【0008】
本発明において、上記慣性マス部に設けられる上記凹所の円周方向の幅が上記リブ部の円周方向の幅より大きく形成されることが好ましい。
この構成により、慣性マス部の半径方向外側部分に優先配置された慣性質量に基づく優れた制振効果を確保しながら、上記凹所の容積を十分大きくすることができ、効果的な重量軽減が達成される。
さらに、本発明において、上記凹所は、上記ゴム部材の外側に位置する半径方向内側部分が深く、半径方向外側部分が浅い形状を有することが好ましく、この構成によって、上記ゴム部材の冷却が効果的に行なわれるので、耐久性も確保される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明をエンジンのクランク軸に装着されるクランクプーリダンパに適用した好ましい実施形態を、図1ないし図3を参照して説明する。
先ず、図1に示した概略側面図において、符号10は総括的にクランクプーリダンパを示し、同クランクプーリダンパ10はその軸線方向の一端部を複数の取付ボルト12によってエンジンのクランク軸14に同軸的に固着され、また軸線方向の他端部には複数の取付ボルト16を介してファン18が装着されている。
【0010】
図2の拡大断面図及び図3の部分的拡大正面図に良く示されているように、クランクプーリダンパ10は、中空筒状のダンパハブ20を備え、同ダンパハブ20の軸線方向の一端部分には、上記複数の取付ボルト12を挿通するボルト孔22が設けられ、かつ他端部分には、上記複数のボルト16が螺合されるボス24が軸線方向に延在して突設されている。
【0011】
上記ダンパハブ20の外側に、V型のプーリ溝26を備えたプーリ部28及び同プーリ部28の一側部分に一体的に形成され同プーリ部28の外径より大きい外径を有する円盤状の慣性マス部30からなる慣性部材32と、同慣性部材32に対し同心的に配置されたスリーブ34と、同スリーブ34の外周面及び慣性部材32の内周面間に介装されて焼付け固着された短円筒状のゴム部材36とからなるプーリダンパ本体38が同軸的に配設されている。同プーリダンパ本体38は、上記スリーブ34を上記ダンパハブ20の円筒部外周面20′に圧入することによって同ダンパハブ20に組付けられる。
【0012】
上記円盤状をなす慣性マス部30の半径方向内側部分に、中心角αの角度間隔を存して複数のリブ部40が放射状に配設され、同リブ部40相互間には夫々凹所42が形成されている。図3に良く示されているように、上記リブ部40の角度間隔αに対して同リブ部40の円周方向の幅βは強度上許容し得る限度でなるべく小さく設定され、従って凹所42の円周方向の幅は相対的に著しく大きく設定される。
【0013】
また、上記凹所42のクランク軸軸線を含む平面内の断面形状は、図2の断面図に良く示されているように、半径方向内側部分では深く、半径方向外側部分では浅く形成されている。従って、上記ゴム部材36の空所42に隣接する外側部分は、同空所42の深く刳られて形成された薄い内周壁44によって、上記リブ部40に隣接する部分を除いた大部分が囲繞されることとなる。
【0014】
上記構成を備えたクランクプーリダンパ10では、慣性マス部30の半径方向内側部分に、必要な強度を十分に確保しながら円周方向の幅βをなるべく小さく形成されて放射状に配設された複数のリブ部40相互間に、夫々凹所42を設けたことによって、慣性マス部30の慣性質量を半径方向外方に優先的に配置することができる。慣性質量の捩り振動を低減する制振効果は、回転軸線から質量が存在する半径の4乗に比例するので、上記のように、慣性質量を半径方向外方に優先的に配置することによって、軽量でしかも制振効果が優れた慣性マス部30が得られる利点がある。
【0015】
また、上記空所42の形状を、半径方向内側部分で深く、半径方向外側部分で浅い形状とすることによって、慣性マス部30に隣接する部分のゴム部材36が、薄くかつ軸線方向の寸度が大きい空所内周壁44によって囲繞されることとなり、一方、空所42間の放射状リブ部40は、慣性マス部30の回転時に、遠心式ファン或いはブロワの羽根のように積極的に冷却空気流を生起させる作用があるので、ゴム部材36の冷却が十分に行なわれ、捩り振動が発生したとき慣性マス部30を含む慣性部材32がクランク軸14に固着されたダンパハブ20に対し相対回転することによって生じるゴム部材36内の発生熱が停滞することなく効果的に放散されるので、熱害によるゴム部材36の破損が確実に防止され、十分な耐久性が確保される利点がある。
【0016】
さらにまた、この構成では、プーリ部28が上記慣性マス部30と一体的に形成されて慣性部材32の一部を構成し、それ自体が慣性質量として作用して制振効果を発揮するので、前記既提案の装置と較べて、重量対制振効果の観点から、著しく有利である。
【0017】
なお、本発明は、上述したエンジンのクランク軸に装着されるクランクプーリダンパに限定されるものではなく、エンジンの動弁用カムシャフト、燃料ポンプの駆動軸、或いはエンジン以外の捩り振動を生起しかつプーリを備えた種々の回転軸に広く適用することができる。
また、上記実施形態では、慣性部材32とスリーブ34との間にゴム部材36を介装して焼付け接着し、同スリーブ34をダンパハブ20の円筒部外周面20′に圧入するように構成しているが、スリーブ34を除き、ダンパ本体38とダンパハブ20の円筒部外周面20′との間にゴム部材36を介装し焼付けて両者を直接接着することもできる。さらに、図示の実施形態では、プーリ部28に、単一のプーリ溝26が設けられているが、必要に応じ複数個のプーリ溝を設けることができ、また凹所42の断面形状も図示の三角形に限定されるものではなく、半径方向内側部分が深く、半径方向外側部分が浅い台形等適宜の断面形状を採用することができる。
【0018】
【発明の効果】
叙上のように、本発明に係るプーリダンパは、回転軸に同軸的に連結されるダンパハブに、プーリ部と、上記プーリ部の一側部分に一体的に形成され同プーリ部の外径より大きい外径を有する円盤状の慣性マス部とからなる慣性部材がゴム部材を介して外嵌され、同慣性マス部が、その半径方向内側部分に、放射状に延びた複数のリブ部と、同リブ部相互間に夫々形成された複数の凹所とを有することを特徴とし、従来の同種プーリダンパと較べ、軽量でしかも捩り振動の低減効果が大きく、また優れた耐久性及び信頼性を有するプーリダンパを提供し得る利点がある。
【0019】
また、本発明において、上記慣性マス部に設けられた上記凹所の円周方向の幅が上記リブ部の円周方向の幅より大きく形成されることにより、重量軽減の効果が大きく、さらに、上記凹所は、上記ゴム部材の外側に位置する半径方向内側部分が深く、半径方向外側部分が浅い形状を有することにより、ゴム部材を効果的に冷却することができるので、十分な耐久性を確保し得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をエンジンのクランク軸に装着されるクランクプーリダンパに適用した場合の概略側面図である。
【図2】図1に示したクランクプーリダンパの拡大断面図である。
【図3】図2の矢印III方向から視た部分的正面図である。
【図4】従来のプーリダンパの一例を示した断面図である。
【符号の説明】
10…クランクプーリダンパ、14…クランク軸、18…ファン、20…ダンパハブ、26…プーリ溝、28…プーリ部、30…慣性マス部、32…慣性部材、34…スリーブ、36…ゴム部材、38…プーリダンパ本体、40…リブ部、42…凹所、44…凹所内周壁。
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸、例えばエンジンのクランク軸に装着されて捩り振動を低減するプーリダンパに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジンのクランク軸に装着されてウオータポンプその他エンジンの補機類をベルトを介して駆動するクランクプーリに、トーショナルダンパを組付けてクランク軸の捩り振動を低減するようにした種々のクランクプーリダンパが提案されており、実開昭59−81835号公報にその一例が開示されている。(以下に、上記公開公報記載のプーリダンパを既提案の装置という。)
【0003】
上記既提案の装置の概略構成を、図4の断面図を参照して説明する。図中、符号01はその外周にV型のベルト溝02を設けたプーリ部03と、同プーリ部03の一側部に一体的に形成された大径のフランジ部04とを備え、複数の取付ボルト05を介してクランク軸06に固着されるプーリ本体、07はゴム部材08を介して上記フランジ部04及びプーリ本体01の円筒状延長部09に装着された円環状の慣性リングである。上記慣性リング07のゴム部材08とは反対側の側面には、多数のわん曲したフイン010突設されている。
【0004】
上記既提案の装置において、クランク軸06に固着されて同クランク軸と一体に回転するプーリ本体01に対し、慣性リング07がゴム部材08を介し相対回転することによって、クランク軸06の捩り振動が低減されるのであるが、慣性リング07が、半径方向最内端から最外端まで、実質的に等しい厚さの単純な円環状に形成されているため、重量の割に制振効果が小さい欠点がある。また、上記ゴム部材08のうち、プーリ本体01の円筒状延長部09の外周を囲撓する部分が、半径方向の寸度が大きい慣性リング07により覆われているため放熱が著しく悪く、熱害により早期に破損する恐れがあり、さらに、プーリ本体01がクランク軸06に固着されているので、制振作用を生起する慣性質量として機能せず、単なるプーリとしての機能を有するに過ぎないため、プーリダンパ全体として制振効果が小さい不具合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記既提案の装置と較べて、捩り振動の制振効果が大きく、しかも軽量であり、さらに、回転軸に対し慣性質量を相対回転可能に連結するゴム部材の冷却が効果的に行なわれ、従って耐久性が優れたプーリダンパを提供することを、主たる目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、回転軸に同軸的に連結されるダンパハブに、プーリ部と、上記プーリ部の一側部分に一体的に形成され同プーリ部の外径より大きい外径を有する円盤状の慣性マス部とからなる慣性部材がゴム部材を介して外嵌され、同慣性マス部が、その半径方向内側部分に、放射状に延びた複数のリブ部と、同リブ部相互間に夫々形成された複数の凹所とを有することを特徴とするプーリダンパを提案するものである。
【0007】
上記構成によれば、プーリ部及び同プーリ部と一体的に形成された円盤状の慣性マス部とからなるダンパ本体がゴム部材を介しダンパハブに外嵌されるので、プーリ部が慣性マス部と共に、捩り振動を低減する慣性質量として作用する。また、慣性マス部の内側部分に、放射状に延びた複数のリブ部とリブ相互間に形成された複数の凹所とが設けられているので、同凹所を設けたことによって重量が軽減され、かつ制振作用上有効な半径方向外側部分への慣性質量の優先的配置が可能となり、制振効果の増大が達成される。
【0008】
本発明において、上記慣性マス部に設けられる上記凹所の円周方向の幅が上記リブ部の円周方向の幅より大きく形成されることが好ましい。
この構成により、慣性マス部の半径方向外側部分に優先配置された慣性質量に基づく優れた制振効果を確保しながら、上記凹所の容積を十分大きくすることができ、効果的な重量軽減が達成される。
さらに、本発明において、上記凹所は、上記ゴム部材の外側に位置する半径方向内側部分が深く、半径方向外側部分が浅い形状を有することが好ましく、この構成によって、上記ゴム部材の冷却が効果的に行なわれるので、耐久性も確保される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明をエンジンのクランク軸に装着されるクランクプーリダンパに適用した好ましい実施形態を、図1ないし図3を参照して説明する。
先ず、図1に示した概略側面図において、符号10は総括的にクランクプーリダンパを示し、同クランクプーリダンパ10はその軸線方向の一端部を複数の取付ボルト12によってエンジンのクランク軸14に同軸的に固着され、また軸線方向の他端部には複数の取付ボルト16を介してファン18が装着されている。
【0010】
図2の拡大断面図及び図3の部分的拡大正面図に良く示されているように、クランクプーリダンパ10は、中空筒状のダンパハブ20を備え、同ダンパハブ20の軸線方向の一端部分には、上記複数の取付ボルト12を挿通するボルト孔22が設けられ、かつ他端部分には、上記複数のボルト16が螺合されるボス24が軸線方向に延在して突設されている。
【0011】
上記ダンパハブ20の外側に、V型のプーリ溝26を備えたプーリ部28及び同プーリ部28の一側部分に一体的に形成され同プーリ部28の外径より大きい外径を有する円盤状の慣性マス部30からなる慣性部材32と、同慣性部材32に対し同心的に配置されたスリーブ34と、同スリーブ34の外周面及び慣性部材32の内周面間に介装されて焼付け固着された短円筒状のゴム部材36とからなるプーリダンパ本体38が同軸的に配設されている。同プーリダンパ本体38は、上記スリーブ34を上記ダンパハブ20の円筒部外周面20′に圧入することによって同ダンパハブ20に組付けられる。
【0012】
上記円盤状をなす慣性マス部30の半径方向内側部分に、中心角αの角度間隔を存して複数のリブ部40が放射状に配設され、同リブ部40相互間には夫々凹所42が形成されている。図3に良く示されているように、上記リブ部40の角度間隔αに対して同リブ部40の円周方向の幅βは強度上許容し得る限度でなるべく小さく設定され、従って凹所42の円周方向の幅は相対的に著しく大きく設定される。
【0013】
また、上記凹所42のクランク軸軸線を含む平面内の断面形状は、図2の断面図に良く示されているように、半径方向内側部分では深く、半径方向外側部分では浅く形成されている。従って、上記ゴム部材36の空所42に隣接する外側部分は、同空所42の深く刳られて形成された薄い内周壁44によって、上記リブ部40に隣接する部分を除いた大部分が囲繞されることとなる。
【0014】
上記構成を備えたクランクプーリダンパ10では、慣性マス部30の半径方向内側部分に、必要な強度を十分に確保しながら円周方向の幅βをなるべく小さく形成されて放射状に配設された複数のリブ部40相互間に、夫々凹所42を設けたことによって、慣性マス部30の慣性質量を半径方向外方に優先的に配置することができる。慣性質量の捩り振動を低減する制振効果は、回転軸線から質量が存在する半径の4乗に比例するので、上記のように、慣性質量を半径方向外方に優先的に配置することによって、軽量でしかも制振効果が優れた慣性マス部30が得られる利点がある。
【0015】
また、上記空所42の形状を、半径方向内側部分で深く、半径方向外側部分で浅い形状とすることによって、慣性マス部30に隣接する部分のゴム部材36が、薄くかつ軸線方向の寸度が大きい空所内周壁44によって囲繞されることとなり、一方、空所42間の放射状リブ部40は、慣性マス部30の回転時に、遠心式ファン或いはブロワの羽根のように積極的に冷却空気流を生起させる作用があるので、ゴム部材36の冷却が十分に行なわれ、捩り振動が発生したとき慣性マス部30を含む慣性部材32がクランク軸14に固着されたダンパハブ20に対し相対回転することによって生じるゴム部材36内の発生熱が停滞することなく効果的に放散されるので、熱害によるゴム部材36の破損が確実に防止され、十分な耐久性が確保される利点がある。
【0016】
さらにまた、この構成では、プーリ部28が上記慣性マス部30と一体的に形成されて慣性部材32の一部を構成し、それ自体が慣性質量として作用して制振効果を発揮するので、前記既提案の装置と較べて、重量対制振効果の観点から、著しく有利である。
【0017】
なお、本発明は、上述したエンジンのクランク軸に装着されるクランクプーリダンパに限定されるものではなく、エンジンの動弁用カムシャフト、燃料ポンプの駆動軸、或いはエンジン以外の捩り振動を生起しかつプーリを備えた種々の回転軸に広く適用することができる。
また、上記実施形態では、慣性部材32とスリーブ34との間にゴム部材36を介装して焼付け接着し、同スリーブ34をダンパハブ20の円筒部外周面20′に圧入するように構成しているが、スリーブ34を除き、ダンパ本体38とダンパハブ20の円筒部外周面20′との間にゴム部材36を介装し焼付けて両者を直接接着することもできる。さらに、図示の実施形態では、プーリ部28に、単一のプーリ溝26が設けられているが、必要に応じ複数個のプーリ溝を設けることができ、また凹所42の断面形状も図示の三角形に限定されるものではなく、半径方向内側部分が深く、半径方向外側部分が浅い台形等適宜の断面形状を採用することができる。
【0018】
【発明の効果】
叙上のように、本発明に係るプーリダンパは、回転軸に同軸的に連結されるダンパハブに、プーリ部と、上記プーリ部の一側部分に一体的に形成され同プーリ部の外径より大きい外径を有する円盤状の慣性マス部とからなる慣性部材がゴム部材を介して外嵌され、同慣性マス部が、その半径方向内側部分に、放射状に延びた複数のリブ部と、同リブ部相互間に夫々形成された複数の凹所とを有することを特徴とし、従来の同種プーリダンパと較べ、軽量でしかも捩り振動の低減効果が大きく、また優れた耐久性及び信頼性を有するプーリダンパを提供し得る利点がある。
【0019】
また、本発明において、上記慣性マス部に設けられた上記凹所の円周方向の幅が上記リブ部の円周方向の幅より大きく形成されることにより、重量軽減の効果が大きく、さらに、上記凹所は、上記ゴム部材の外側に位置する半径方向内側部分が深く、半径方向外側部分が浅い形状を有することにより、ゴム部材を効果的に冷却することができるので、十分な耐久性を確保し得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をエンジンのクランク軸に装着されるクランクプーリダンパに適用した場合の概略側面図である。
【図2】図1に示したクランクプーリダンパの拡大断面図である。
【図3】図2の矢印III方向から視た部分的正面図である。
【図4】従来のプーリダンパの一例を示した断面図である。
【符号の説明】
10…クランクプーリダンパ、14…クランク軸、18…ファン、20…ダンパハブ、26…プーリ溝、28…プーリ部、30…慣性マス部、32…慣性部材、34…スリーブ、36…ゴム部材、38…プーリダンパ本体、40…リブ部、42…凹所、44…凹所内周壁。
Claims (3)
- 回転軸に同軸的に連結されるダンパハブに、プーリ部と、上記プーリ部の一側部分に一体的に形成され同プーリ部の外径より大きい外径を有する円盤状の慣性マス部とからなる慣性部材がゴム部材を介して外嵌され、上記慣性マス部が、その半径方向内側部分に、放射状に延びた複数のリブ部と、同リブ部相互間に夫々形成された複数の凹所とを有することを特徴とするプーリダンパ。
- 上記慣性マス部に設けられた上記凹所の円周方向の幅が上記リブ部の円周方向の幅より大きく形成されたことを特徴とする請求項1記載のプーリダンパ。
- 上記凹所は、上記ゴム部材の外側に位置する半径方向内側部分が深く、半径方向外側部分が浅い形状を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプーリダンパ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15730797A JP3570162B2 (ja) | 1997-05-12 | 1997-05-12 | プーリダンパ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15730797A JP3570162B2 (ja) | 1997-05-12 | 1997-05-12 | プーリダンパ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10311407A JPH10311407A (ja) | 1998-11-24 |
JP3570162B2 true JP3570162B2 (ja) | 2004-09-29 |
Family
ID=15646817
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15730797A Expired - Fee Related JP3570162B2 (ja) | 1997-05-12 | 1997-05-12 | プーリダンパ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3570162B2 (ja) |
-
1997
- 1997-05-12 JP JP15730797A patent/JP3570162B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10311407A (ja) | 1998-11-24 |
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